
テナントに貸す場合、退去時には現状復帰で戻すことが一般的ですが、その際にオーナー様として留意をしておいた方が良いことが色々とあります。
その中で、退去時に「おおごと」になりやすいのが路面店のサッシを変えてしまう場合があります。
通常、外観を変えたい場合には、内側も外側も増し張りで壁を作った方が良く、その際には天井や土間に打ち込みをした方が望ましいです。
最悪、サッシに穴を開けた場合は最後に補修の穴埋めとサッシの塗装が必要になります。
おおごとな原状復帰になる場合、退去時にテナント様の金銭的な余力があるかも大事になってきます。
借りるときと退去するときは色々と状況が変わる可能性がありますので、仮にテナントを借りたい方が「サッシを壊したい」「壁を作りたい」などの希望があった場合には
オーナー様として極力、原状復帰に費用が発生しない方法を提案した方が不要なトラブルを避けることが出来ます。
ビルオーナーがテナントに貸す際に注意すべきポイント(総合解説)
ビルオーナーとしてテナントに物件を貸すことは、安定した収益を得る大きなチャンスである一方、契約・法務・税務・管理など多岐にわたるリスク管理が求められます。特に日本では、借地借家法による借主保護の原則が強く、オーナー側が一方的に有利になることは難しい制度設計となっています。
本稿では、契約前の審査から契約内容の設計、管理運営、トラブル対応、出口戦略まで、実務上重要なポイントを体系的に整理します。
1. テナント選定と信用調査
① 財務状況の確認
法人テナントの場合、直近3期分の決算書の提出を求めることが一般的です。特に確認すべき項目は以下です。
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自己資本比率
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営業利益の推移
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キャッシュフロー
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借入金の総額
新設法人の場合は、代表者の資産状況や連帯保証の可否を慎重に判断する必要があります。
② 業種リスクの分析
業種によってリスクは大きく異なります。
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飲食店:排気・臭気・火災リスク
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美容室:水漏れ・設備負荷
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医療系:長期安定性はあるが内装特殊
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風俗関連:近隣トラブルの可能性
用途が建物の用途地域や管理規約に適合しているかも必ず確認します。
2. 賃貸借契約の設計
① 契約形態の選択
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普通建物賃貸借契約
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定期建物賃貸借契約
普通借家契約は更新拒絶に「正当事由」が必要ですが、定期借家契約は期間満了で終了します。将来的に建替えや売却を検討している場合は、定期借家契約が有効です。
② 賃料・保証金の設定
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賃料相場の調査(周辺市場比較)
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保証金・敷金の額(通常賃料の6~12か月分)
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礼金の有無
保証金償却条項を設ける場合は、消費者契約法との関係も考慮が必要です。
③ 更新条件
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更新料の有無
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賃料改定条項
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原状回復範囲
原状回復はトラブルになりやすいため、具体的に特約で明記します。
3. 法令遵守と建物の適法性
① 建築基準法・用途地域
建物が現行の建築基準法に適合しているか確認します。違法増築や用途変更未届出があると、テナント営業停止のリスクがあります。
② 消防法対応
飲食店などでは防火管理者選任、消火設備、避難経路の確保が必要です。
③ バリアフリー・改正法対応
近年は高齢者・障害者配慮も求められています。社会的評価の観点でも重要です。
4. 保証とリスクヘッジ
① 連帯保証人
法人契約でも代表者個人保証を取ることが多いですが、近年は保証規制が厳格化しています。
② 家賃保証会社
保証会社利用は回収リスクを軽減しますが、保証範囲や免責条項を確認する必要があります。
③ 保険加入
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火災保険
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賠償責任保険
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施設賠償保険
オーナー側も建物保険を適切に加入します。
5. 管理体制の整備
① 管理会社の選定
自主管理か、専門の不動産管理会社へ委託するか検討します。管理委託契約の内容も精査が必要です。
② 修繕計画
長期修繕計画を立てておくことで、突発的な資金負担を防ぎます。
③ 共用部管理
清掃、設備点検、防犯対策などは入居率維持に直結します。
6. 滞納・契約違反対応
① 滞納時の初動
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内容証明郵便による催告
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保証会社への通知
対応が遅れると回収率は下がります。
② 契約解除と明渡し
解除には信頼関係破壊の法理が適用されます。自己判断での鍵交換は違法となる可能性があります。
7. 原状回復と退去精算
退去時の精算は最もトラブルが多い場面です。
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写真記録の保管
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工事見積の透明化
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減価償却の考慮
飲食店など特殊内装の場合はスケルトン返しを契約で明記します。
8. 税務上の注意点
① 消費税
事業用賃貸は原則課税対象です。課税事業者選択の有無で収益構造が変わります。
② 固定資産税
賃料設定時に固定資産税・都市計画税を織り込みます。
③ 相続対策
賃貸ビルは評価減効果がありますが、空室率が高いと効果が下がります。
9. 近隣関係と社会的リスク
騒音・臭気・ゴミ出し問題など、テナントの行動がオーナー責任に発展することがあります。管理規約でルールを明確にし、違反時の措置を定めておくことが重要です。
10. 出口戦略
① 売却
定期借家契約は売却時に有利になることがあります。
② 建替え
正当事由の補完として立退料が必要になるケースがあります。
まとめ
ビルオーナーがテナントに貸す際には、単に賃料収入を得るという発想だけでなく、法的リスク管理、契約設計、テナント選定、建物維持管理、税務戦略、出口戦略まで包括的に考える必要があります。
特に日本では借主保護が強いため、契約締結前の段階で十分な準備を行うことが、将来的なトラブル防止につながります。
安定経営の鍵は「慎重な選定」と「明確な契約」、そして「継続的な管理」にあります。
弊社は通常の足場による大規模修繕工事と無足場工法によるロープアクセス工事の両方をメイン事業としていますが、外壁打診調査、漏水調査、ピンポイントの塗装、防水など建物の事であれば何でも行っています。
また空室対策、不動産管理、地震保険や補助金助成金申請サポート、各専門の士業の御紹介などオーナー様の様々なお困りごとをトータルでサポートもしております。
相談は無料ですので、お悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。


