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創業から6000棟超の施工実績

東京理科大学・高橋治教授が開発した制震ダンパーはなぜ地震に有効なのか〜大規模修繕・耐震改修の新たな選択肢〜

東京理科大学・高橋治教授が開発した制震ダンパーはなぜ地震に有効なのか〜大規模修繕・耐震改修の新たな選択肢〜

日本は世界有数の地震大国です。2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震では最大震度7を記録し、建物倒壊や人的被害が広範囲に及びました。さらに、南海トラフ地震や首都直下地震といった巨大地震の発生も近い将来予測されており、建物の耐震対策は喫緊の課題となっています。

こうしたなか、建築業界で改めて注目されているのが「制震(制振)」という考え方です。そして、その制震技術の第一人者として国内外で高く評価されているのが、東京理科大学工学部建築学科の高橋治教授です。

本記事では、高橋治教授が長年にわたり研究・開発を続けてこられた制震ダンパー、特にオイルダンパーの仕組みと有効性について、科学的根拠を交えながら詳しく解説していきます。マンションやビルの大規模修繕を検討されているオーナー様、管理組合の皆様、そして建物の地震対策に関心をお持ちの方にとって、有益な情報をお届けしたいと思います。

高橋治教授とはどのような研究者か

まず、高橋治教授がどのような人物なのかをご紹介します。

高橋治教授は1967年に東京都北区で生まれ、東京理科大学工学部第一部建築学科を卒業後、同大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了されました。1991年から株式会社構造計画研究所に入社し、解析技術部・構造設計部を経て執行役員・技師長まで務められた構造設計の実務家でもあります。2006年には東京理科大学にて工学博士(論文博士)を取得され、2015年に東京理科大学工学部建築学科教授に就任されました。

高橋教授の専門は建築構造設計、免震・制振技術です。建築用オイルダンパーや三次元免震装置の開発者として知られており、免震・制振・構造補強分野で研究開発と構造設計に尽力されています。また、ポリウレア樹脂を用いた構造補強・防災技術の実用化にも先鞭をつけており、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)による電波塔構造設計を日本で初めて実現するなど、革新的な技術開発を続けておられます。

受賞歴も華々しく、2001年のグッドデザイン賞「ODBシステム(オイルダンパ・ブレーシング・システム)」、2012年の日本建築学会賞(技術)「三次元免震システムの開発と集合住宅への適用」、第13回日本免震構造協会協会賞(技術賞)特別賞「阿佐ヶ谷・知粋館」、2025年ジャパン・レジリエンス・アワード優良賞「SAM-MEGA FLOAT」など、数々の栄誉に輝いています。

2016年には東京理科大学発ベンチャー企業「株式会社サイエンス構造」を設立し、大学の研究成果を社会実装する取り組みも進められています。また「建築用オイルダンパーは地震のない国では斬新な装置であり、高橋治教授は諸外国からオイルダンパーについての講演を依頼されることがある」ほど、国際的にも高い評価を得ておられます。

耐震・制震・免震の違いを理解する

制震ダンパーの有効性を理解するためには、まず「耐震」「制震」「免震」という3つの地震対策の違いを整理する必要があります。

耐震構造は、壁や柱を強化して建物自体の強度で揺れに対抗する構造です。日本の住宅で最も一般的な地震対策であり、新築住宅は建築基準法により一定の耐震性能が義務付けられています。1995年の阪神・淡路大震災を教訓に2000年には「耐震等級」が導入され、耐震等級3が最高等級とされています。

しかし、耐震構造には限界があります。それは、繰り返す地震の揺れによって、耐力壁が少しずつ損傷し、性能が劣化してしまう点です。一度大きな力に耐えたとしても、木材の接合部が緩んだり、筋交いが座屈したりといったダメージが蓄積されていくのです。この事実が広く知られるきっかけとなったのが、2016年の熊本地震でした。耐震性の低い建物では一度目の揺れには耐えたものの、二度目の揺れで倒壊に至ったケースが多数報告されています。

免震構造は、建物と地盤の間に特殊な装置(免震装置)を設置し、地震の揺れを建物に直接伝えない構造です。地震時の揺れを大幅に低減できる優れた工法ですが、導入コストが1棟あたり約250〜400万円と高額で、軟弱地盤には設置できない、狭小地への対応が難しいといった制約があります。

制震構造は、建物に「制震ダンパー(制振ダンパー)」と呼ばれる装置を設置し、地震の振動エネルギーを吸収・減衰させる構造です。耐震構造を基本としたうえで制震装置を追加することで、より高い安全性を実現できます。免震構造よりもコストが安く、既存建物への後付けも可能なため、新築・リフォームどちらにも対応できる現実的な地震対策として注目されています。

制震ダンパーの種類と特徴

制震ダンパーには、大きく分けて3つの種類があります。

鋼材ダンパーは、鋼などの金属を用いたダンパーで、金属が曲がる時の力を熱エネルギーに変換して揺れを軽減します。コストが安く、メンテナンス不要というメリットがありますが、小さな揺れには効果が低く、繰り返しの揺れで金属疲労を起こす可能性があります。

粘弾性(ゴム)ダンパーは、粘着性の高い特殊ゴム、アクリル、シリコンなどを使用したダンパーで、素材が持つ弾力性や伸縮する性質によって地震の揺れを吸収します。繰り返しの地震に強いメリットがある一方、気温差による性能変化があり、高温環境では柔らかくなりやすく、低温環境では硬くなる傾向があります。

オイルダンパーは、オイル(作動油)を封入したシリンダー内をピストンが往復運動する際、オイルがオリフィス(小さな穴)を通過するときの流体抵抗によって地震エネルギーを吸収する装置です。自動車のサスペンション内にあるショックアブソーバーと同じ原理で、この3種類の中で最も優れた性能を持つとされています。

高橋治教授が長年研究・開発に取り組まれてきたのは、まさにこの「オイルダンパー」です。

高橋治教授のオイルダンパーが優れている理由

高橋治教授が開発に携わってこられたオイルダンパーは、なぜ地震に有効なのでしょうか。科学的な観点から、その優位性を詳しく見ていきましょう。

1. 微小な変形から減衰力を発揮する

従来型の制震ダンパーの多くは、建物が大きく変形してからようやく効果を発揮する仕組みでした。つまり、構造用合板や筋交いが傷み始めてから働き出すため、構造部材の損傷を回避することが難しかったのです。

これに対し、オイルダンパーは約0.1度という極めて繊細な変形角から減衰力を発揮します。オイルが入ったシリンダー内をピストンが移動する際、オイルがピストンに対して抵抗さえすれば一定の効果が現れるため、小さな揺れから大きな揺れまで幅広く対応できるのが最大の魅力です。これは速度依存型のダンパーならではの特性で、ゆっくりとした大きな揺れから、速く細かい小さな揺れまで、あらゆる地震動に対してエネルギーを吸収し続けることができます。

2. 繰り返しの地震に強い

熊本地震や能登半島地震で明らかになったように、近年の大地震は本震だけでなく、度重なる余震が建物に深刻なダメージを与えます。耐震構造だけでは、繰り返しの揺れで構造部材に疲労が蓄積し、最終的に倒壊に至るケースが少なくありません。

オイルダンパーは、ピストンとオイルの組み合わせによって、何度揺れても同じように減衰力を発揮し続けます。金属疲労のような劣化もなく、長期間にわたって安定した性能を維持できるのです。これにより、本震と余震の両方から建物を守ることが可能になります。

3. 地震エネルギーの大幅な吸収

制震ダンパーによるエネルギー吸収効果は、各種実験データでも明確に示されています。たとえば、日本制震システムが展開する「MER System」では、建物に伝わる地震エネルギー(加速度)を約40〜48%吸収し、建物への負担を大幅に軽減することが確認されています。

また、アエラホームと日本制震システムが共同で実施した「W制震」の実験では、地震の揺れを58%軽減できるという結果が得られています。高橋治教授はオイルダンパーの優位性について、この結果を踏まえて学術的な観点からコメントされています。

4. 台風や強風にも効果を発揮する

オイルダンパーは地震だけでなく、近年激甚化している台風や強風による揺れにも効果を発揮します。日常の微振動から非常時の大きな揺れまで、あらゆる振動エネルギーを吸収するため、建物の耐久性を総合的に高めることができます。

5. コンパクトで施工性が良い

オイルダンパーはゴムダンパーや鋼材ダンパーと比べてコンパクトサイズで、間取り制限を受けにくいというメリットがあります。外周を中心に分散配置するため、さまざまな住宅タイプに設置可能で、施工性も優れています。また、後付けも可能なため、既存建物のリフォーム・リノベーション時にも導入しやすい工法です。

実際の地震での実績

制震ダンパーの有効性は、机上の理論だけでなく、実際の地震での被害状況によっても裏付けられています。

2018年大阪府北部地震では、最大震度6弱を記録しましたが、「αダンパーExⅡ」を施工した住宅では、構造躯体への損傷がほとんど見られないという結果が確認されました。

2016年熊本地震では、住友ゴム工業の制震ダンパーを設置した住宅の半壊・全壊棟数がゼロという実績が報告されています。また、耐震構造の建物に高減衰ゴムを利用した制震装置「H.E.A.R.T」を搭載した実験では、震度7相当の揺れを3回与えても倒壊せず、搭載なしの建物と比べて揺れ幅を最大89%も抑えることができたという結果が出ています。

2024年能登半島地震でも、evoltz搭載住宅573棟において、被災度区分判定による「倒壊」「全壊」「半壊」はゼロ棟という驚くべき結果が示されました。また、住友ゴム工業の制震ダンパーが採用されていた約300棟すべてで、大きな損壊が見られなかったとされています。

これらの実績は、耐震構造に制震ダンパーを組み合わせることの有効性を、実地で証明するものです。

高橋治教授が代表を務める「株式会社サイエンス構造」

高橋治教授は、東京理科大学発のベンチャー企業「株式会社サイエンス構造」の代表も務められています。同社では、炭素繊維やポリウレア樹脂、αゲルといった高機能素材を活用した最先端の建築技術の研究開発を行っており、その成果を社会実装する取り組みを進めています。

また、高橋研究室では以下のような幅広い研究テーマに取り組んでおられます。

  • 三次元免震、オイルダンパー、制振・免震装置全般の研究
  • シェルター、コンテナハウスの研究開発
  • 新素材(カーボン、アラミド、ポリウレア、αゲルなど)を扱った建築設計・製品開発
  • 津波シェルターの開発(ジャパン・レジリエンス・アワード優良賞受賞)
  • 木造住宅の耐震性向上に関する研究(オイルダンパー付き制振壁の振動実験)
  • ブロック塀の崩落防止補強工法の研究

高橋教授のミッションキーワードは「構造技術で社会をデザインする」「葛飾発の構造技術を世界に発信する」「守るべきもののために謙虚な姿勢で挑み続ける」というものです。この姿勢こそが、長年にわたる研究・開発の原動力となっているのです。

制震ダンパーを既存建物へ導入する意義

ここまで制震ダンパーの有効性についてお話ししてきましたが、特に注目したいのが「既存建物への導入」です。

日本には、1981年の新耐震基準以前に建てられた建物や、2000年の改正建築基準法以前に建てられた木造住宅がまだ多数存在します。こうした建物は、現行の耐震基準を満たしていない可能性があり、大地震の際に大きな被害を受けるリスクがあります。

しかし、建物を取り壊して建て替えるのは、コスト面でも環境面でも大きな負担となります。そこで有効なのが、耐震補強と制震ダンパーの導入を組み合わせた改修工事です。

制震オイルダンパーは、小型で施工性が良く、既存建物への後付けも可能です。耐震補強工事と組み合わせることで、新築同等の地震対策が実現できる場合も少なくありません。高橋治研究室でも「木造建物を対象とした新たな改修工法の研究―オイルダンパー・重ね板バネを併用した補強効果の検証―」といった、既存建物への制震技術適用に関する研究が進められています。

マンションやビルといった大規模建築物においても、大規模修繕工事のタイミングで制震装置の導入を検討することは、建物の長寿命化と居住者の安全確保の両面から非常に有効です。

大規模修繕と制震技術の組み合わせ

マンションの大規模修繕は、通常12〜15年周期で実施されます。この機会に、外壁塗装や防水工事だけでなく、制震技術の導入を検討することは、建物の資産価値を高めるうえで非常に有効な選択肢となります。

特に、築年数が経過した中低層のマンションや商業ビルでは、構造躯体にかかる地震時の負担を軽減することで、次回の大規模修繕までの期間における構造劣化を抑制することが可能です。これは長期的に見て、修繕費用の削減にもつながります。

また、制震ダンパーを導入することで、地震時の建物被害が軽減されれば、居住者の安全確保だけでなく、地震保険料の優遇措置を受けられる可能性もあります。建物オーナー様にとっては、資産保全と居住者満足度の両方を高める重要な投資となるでしょう。

まとめ〜高橋治教授の制震ダンパーが切り拓く未来〜

東京理科大学の高橋治教授が長年にわたり研究・開発を続けてこられたオイルダンパーを中心とした制震技術は、日本の建物の地震対策において、今や欠かせない存在となっています。

高橋治教授の制震ダンパーが地震に有効である理由を改めて整理すると、以下のようになります。

  1. 約0.1度という微小な変形から減衰力を発揮し、小さな揺れから大きな揺れまで対応できる
  2. 繰り返しの地震にも性能が劣化せず、本震・余震の両方から建物を守る
  3. 地震エネルギーを40〜58%という高い効率で吸収し、建物の揺れを大幅に軽減する
  4. 台風や強風にも効果を発揮し、日常の微振動から非常時の大揺れまでカバーする
  5. コンパクトで施工性が良く、新築・既存建物のどちらにも導入可能
  6. 熊本地震・大阪府北部地震・能登半島地震などの実地震で有効性が実証されている

南海トラフ地震や首都直下地震といった巨大地震の発生が予測されるなか、「耐震」だけでは不十分という認識が広がっています。「耐震+制震」の組み合わせこそが、建物と人命を守る最も有効なアプローチなのです。

高橋治教授をはじめとする研究者の方々の長年の研究成果が、私たちの命と財産を守ってくれる技術として社会に還元されていることに、心から敬意を表したいと思います。そして、私たち建物の修繕・メンテナンスに携わる事業者としても、こうした最先端の耐震・制震技術を積極的に活用し、建物オーナー様の安心・安全な暮らしをサポートしていきたいと考えています。

建物の大規模修繕や耐震改修をご検討の際は、ぜひ制震ダンパーの導入も選択肢の一つとしてご検討ください。


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