本間社長ブログ

2026.09.19

豊島区のマンション管理計画認定制度|区への手数料は3,900円。ただし独自基準3つ(防災・名簿・町会)が関門です【2026年度版】

豊島区のマンション管理計画認定制度|区への手数料は3,900円。ただし独自基準3つ(防災・名簿・町会)が関門です【2026年度版】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

豊島区でマンション管理計画認定の相談をいただくと、話はたいてい同じところで止まります。「事前確認適合証はもう取った。それなのに、区から名簿と町会の書類を出してくださいと言われた」。

これは手続きの行き違いではありません。豊島区は、国の認定基準に加えて豊島区独自の認定基準を設けている区だからです。区の公式ページにも「公益財団法人マンション管理センターでは、区独自の認定基準の適合確認は行いません。事前確認適合証を受けた場合であっても、豊島区独自の認定基準に適合しない場合は認定が受けられません」とはっきり書かれています(出典:豊島区「豊島区マンション管理計画認定制度」/更新日:2026年8月14日)。

一方で、豊島区は費用の面では取りに行きやすい区です。マンション管理センターの支援サービスを使って申請すれば、区への基本手数料は3,900円。23区のなかでも低い水準です。

つまり豊島区の管理計画認定は、「お金の関門は低いが、書類の関門が3つある」という構造になっています。この記事では、その3つの関門が具体的に何で、理事会が何を用意すればいいのかを整理します。あわせて、令和9年4月1日に控える国の認定基準見直しと、豊島区が独自に持つ計画修繕調査費助成(費用の2分の1・20万円限度)の使い方までお伝えします。

私は大規模修繕の施工会社の人間で、認定申請の代行はしません。ただ、認定基準の中心にある長期修繕計画・修繕積立金・計画的な修繕の実施は、私が20年以上、豊島区を含む都内の現場で向き合ってきた項目そのものです。パンフレットには書かれない「どこでつまずくか」を、豊島区に絞ってお伝えします。

結論:豊島区は区手数料3,900円・独自基準3つ。実費は約2.4万円から

先に数字から整理します。豊島区で管理計画認定を取るときに、実際に出ていくお金は次のとおりです。

費用の項目 金額 支払先
豊島区への基本手数料(支援サービス利用の場合) 3,900円 豊島区
同/長期修繕計画が複数ある場合の加算(2件目以降1件あたり) 1,600円 豊島区
豊島区への基本手数料(区に直接申請する場合) 29,500円 豊島区
同/長期修繕計画が複数ある場合の加算(2件目以降1件あたり) 15,900円 豊島区
(公財)マンション管理センターへの申請手数料 20,000円 マンション管理センター
合計の目安(支援サービス利用・長期修繕計画1本) 約23,900円 ―

出典はいずれも豊島区「豊島区マンション管理計画認定制度」(更新日:2026年8月14日)です。

この表で目を引くのは、支援サービス経由(3,900円)と区への直接申請(29,500円)で、区の手数料が7.5倍以上違うという点です。区が事前確認を代行せず自前で全項目を審査する分、直接申請のほうが高く設定されています。豊島区の場合、センターへの20,000円を足しても支援サービス経由のほうが安い計算になります(3,900円+20,000円=23,900円 対 29,500円)。長期修繕計画が複数ある団地型では、その差はさらに開きます。

理事会での結論としては、特別な事情がなければ支援サービス経由が合理的です。ただしどちらのルートでも、豊島区独自基準の書類は別途そろえる必要があります。ここが次章の本題です。

なお私はいつも理事長さまに、こうお伝えしています。「認定でお金がかかるのは申請手数料ではなく、認定基準に届いていない項目を直す費用のほうです」。長期修繕計画が古ければその見直し費用、修繕積立金が足りなければ増額の合意形成。時間と労力の大半はそちらにかかります。手数料の2万円台は、正直なところ最後の会計処理にすぎません。

豊島区独自の認定基準3つ|ここが本当の関門

豊島区の独自基準は、「豊島区マンション管理適正化指針に照らして適切なものであること」という枠で定められています。認定申請書(別記第1号様式(豊島区))の第六面と、管理組合が作成する表明保証書で確認される仕組みです。中身は次の3つです。

独自基準①:災害時の対応(防災への取組)

内容:マンション代表者等は、防災用品の備蓄、定期的な防災訓練の実施、当該マンションの実情に応じた防災に関する手引の作成を行い、居住者等への周知徹底を図るよう努めていること。

確認方法:別記第1号様式 第六面「1.防災への取組」のいずれかの項目が「有」であること。

ここは「すべて満たすこと」ではなく「いずれかの項目が有」である点がポイントです。備蓄・訓練・防災手引のうち、実際にやっているものが1つでもあれば要件を満たします。すでに年1回の消防訓練をしている組合なら、追加でやることはほぼありません。

独自基準②:3種類の名簿を備え、年1回以上更新していること

内容:組合員名簿(区分所有者名簿)、居住者名簿、災害時要支援者名簿の3つを備え、それぞれ年1回以上、内容を確認・更新していること。

確認方法:管理組合が作成する表明保証書に、3つの名簿を備え年1回以上更新している旨と、マンションの名称・所在地が記載されていること。

ここが最大の関門です。区の確認資料には「3つのうちいずれか一つが欠けている場合は本項目に該当しない」と明記されています。国の認定基準では組合員名簿・居住者名簿の2種類で足りますが、豊島区は災害時要支援者名簿を追加で求めます。この1本が抜けていて止まる組合を、私は実際に見ています。

「更新」の意味も定義されています。名簿の内容を確認したうえで、変更があれば反映する作業を年1回以上行っていること。作りっぱなしで5年放置、という状態は更新に当たりません。理事の改選期に合わせて毎年確認する運用にしておくのが現実的です。

独自基準③:地域コミュニティの形成(町会・自治会との協議)

内容:マンション代表者等および居住者等が、地域住民との良好なコミュニティの形成に取り組むよう努めていること。町会・自治会に加入していないマンションの代表者は、町会・自治会と加入等について協議していること(※加入そのものは任意)。

確認方法:表明保証書。ただし区が示す「基準を満たしていると判断できる例」に当たらない場合は、町会・自治会加入等協議報告書(別記第2号様式)が必要になり、管理組合と町会・自治会の双方の署名が要ります。

区が示している「満たしていると判断できる例」は次のとおりです。

  • 例1:管理組合員と町会との関係について総会等で議決が行われている(「管理組合全体で町会加入する」「町会加入は各区分所有者の任意とする」など)
  • 例2:管理規約の中に地域コミュニティ(町会)との良好な関係の構築に関する規定がある
  • 例3:管理組合全体で町会に加入している
  • 例4:管理組合員が各個人の判断で町会に加入している

区の判断基準は「町会に入っているかどうか」ではなく、「町会との関係について管理組合の中で議論され、一定の結論が出ているかどうか」です。無関心であることが問題とされています。例4まで含まれていますから、実務上はハードルが高いとは言えません。ただし例1〜4のいずれにも当たらない場合は、町会・自治会に出向いて協議し、双方の署名入りの報告書を作る必要があります。これは日程調整の分だけ時間がかかります。申請の3カ月前には着手しておきたい項目です。

独自基準の手続きで理事会がやること(区の整理)

豊島区は、支援サービス経由で申請する場合に申請担当者が行うことを3点に整理して公表しています。

  1. 豊島区が発行した納付書を用いて、近くの金融機関で申請手数料を納付する
  2. 認定申請書(豊島区の独自基準が反映された書式:別記第1号様式(豊島区))に必要事項を記入し、豊島区に提出する
  3. 豊島区独自基準に関する事項を反映した表明保証書を作成し、豊島区に提出する

手数料が納付書払いである点に注意してください。オンラインで完結せず、金融機関に出向く工程が1つ入ります。

豊島区に申請できるマンション・できないマンション

申請できるのは、豊島区内に所在する分譲マンションです。ワンオーナーの賃貸マンションは対象外と明記されています。申請主体は管理組合の管理者等で、あらかじめ集会(総会)で認定申請を行う旨の決議を得ておく必要があります(豊島区マンション管理計画認定制度に関する事務取扱要綱 第3条)。臨時総会でも構いません。

賃貸オーナーさまの物件は認定制度の対象外ですが、計画的な修繕によって資産価値を保つという考え方は同じです。収益不動産オーナーさま向けのご提案もご用意しています。

豊島区ならではの前提|マンション管理推進条例の届出義務

豊島区の管理組合には、認定制度とは別に、条例に基づく届出義務があります。

豊島区マンション管理推進条例は、区内の分譲マンションに「マンション管理状況届出書」の提出を義務づけています(出典:豊島区「豊島区マンション管理推進条例」/更新日:2026年3月5日)。1棟オーナーの賃貸マンションは除かれ、また「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」の届出対象マンションも除かれます。

区の同ページには「マンションは、区民の7割が居住する主要な居住形態となっています」と記されています。区としてマンション管理を重点政策に置いている背景が、この条例にも独自基準にも表れています。

届出書は押印不要・添付書類不要で、持参・郵送・メール(A0022901@city.toshima.lg.jp)のいずれでも提出できます。様式は別記第1号様式(マンション管理状況届出書兼変更届出書)です。

実務上ここで申し上げたいのは、この届出をきちんと出してきた組合は、管理計画認定の独自基準にすでに半分近く届いているということです。届出の過程で管理規約・長期修繕計画・名簿の整備状況を棚卸ししているからです。逆に届出が長年止まっている組合は、認定以前に現状把握から始めることになります。まずは届出の最終提出日を確認してください。

認定基準の17項目|国基準の骨格

豊島区の独自基準は、あくまで国の基準への上乗せです。土台になる国の認定基準(5分野17項目)を整理します。

1. 管理組合の運営(3項目)

  • 管理者等が定められていること
  • 監事が選任されていること
  • 集会(総会)が年1回以上開催されていること

監事の選任忘れが意外と多いつまずきです。規約上は置くことになっているのに、長年空席のまま回している組合を何度も見てきました。総会議事録で確認できる状態にしておいてください。区の確認資料では、議事録の有効性を「区分所有法第42条における議長および議長が指名する2名の署名(または電子署名)」で確認するとされています。署名欄が空白の議事録は、それだけで差し戻しになり得ます。

2. 管理規約(3項目)

  • 管理規約が作成されていること
  • 災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部分への立入り、修繕等の履歴情報の管理等について規約に定められていること
  • 管理組合の財務・管理に関する情報の書面交付(または電磁的方法による提供)について規約に定められていること

標準管理規約(単棟型)でいえば第23条、第32条第6号、第64条第3項に相当する規定です。ここは規約改正が必要になるケースが多く、規約改正は特別決議(区分所有者および議決権の各4分の3以上)ですから、総会1回では終わらないこともあります。

3. 管理組合の経理(3項目)

  • 管理費および修繕積立金等について明確に区分して経理が行われていること
  • 修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこと
  • 直前の事業年度終了日時点で、修繕積立金の3カ月以上の滞納額が全体の1割以内であること

区分経理の確認書類は貸借対照表および収支計算書に限定されており、預金通帳では認められません。区の確認資料に明記されています。

4. 長期修繕計画の作成および見直し等(6項目)

ここが本丸です。

  • 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成され、その内容と算定された修繕積立金額が総会で決議されていること(19工事項目、修繕積立金の月当たり㎡単価など10要素を含むこと)
  • 長期修繕計画の作成または見直しが7年以内に行われていること
  • 計画期間が30年以上で、かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていること
  • 将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していないこと
  • 計画期間全体での修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと
  • 計画期間の最終年度において借入金の残高がない計画であること

「残存期間」の起算日は認定申請日です。10年前に作った30年計画をそのまま出すと、残り20年に大規模修繕が2回入らず落ちる、というのがよくあるパターンです。計画期間そのものの延長が必要になります。

5. その他(豊島区ではここに独自基準が入る)

国基準では組合員名簿・居住者名簿の整備が中心ですが、豊島区ではここに前述の防災・3名簿・町会協議が加わります。

認定の3つの経済効果|豊島区で取ると何が変わるか

豊島区の公式ページは、認定のメリットとして次を挙げています。

  • 区分所有者の管理意識が高く保たれ、管理水準を維持向上しやすくなる
  • 一定水準以上の管理がされているマンションとして市場で評価される
  • 認定取得後に大規模修繕工事を行った場合、その翌年度の固定資産税(建物部分)が減額される
  • 住宅金融支援機構の【フラット35】およびマンション共用部分リフォーム融資の金利引き下げ等が適用される

① マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)

管理計画認定マンションが長寿命化に資する大規模修繕工事を実施した場合、その翌年度の固定資産税(建物部分)が減額される制度です(出典:国土交通省「マンション税制」)。東京都内の物件については東京都主税局のページもあわせてご確認ください。

適用期限にご注意ください。 当初の適用期限は令和7年3月31日でしたが、令和7年度税制改正で2年間延長され、現在は令和9年3月31日までとされています。延長がさらに行われるかどうかは、現時点では確定していません。工事の実施時期が令和8年度中に収まるかどうかは、理事会の判断材料になります。

手続きには「大規模の修繕等証明書」「過去工事証明書」「修繕積立金引上証明書」といった様式が必要です。様式は国土交通省のページからダウンロードできます。工事が終わってから慌てて証明書を集めるのは避けてください。施工者側で証明できる項目がありますので、契約前の段階で施工会社に「長寿命化促進税制の証明書に対応できるか」を確認しておくのが確実です。

② 住宅金融支援機構の融資・債券での優遇

管理計画認定マンションには、【フラット35】の金利引下げ、【フラット50】の利用、マンション共用部分リフォーム融資(マンションすまい・る融資)の金利引下げ、マンションすまい・る債の利率上乗せが用意されています(出典:住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」)。

大規模修繕で借入れを使う予定がある組合にとっては、金利引下げの効果が手数料23,900円を大きく上回ることがあります。借入額が大きいほど効果も大きくなります。

③ 市場での評価(売却時の説明材料)

認定を受けたマンションは、豊島区のホームページおよび(公財)マンション管理センターの管理計画認定マンション一覧で公表されます(管理者等が公表を希望した場合のみ)。不動産情報サイトのアットホーム「建物ライブラリー」にも情報が掲載されます。

池袋・大塚・巣鴨・目白といった豊島区の中古マンション市場は、築年数の幅が広く、同じ駅・同じ築年で複数の物件が売りに出る場面が珍しくありません。そのときに「管理計画認定マンション」という一行が資料に載るかどうかは、区分所有者にとって無視できない差になります。

豊島区で使えるもう1つの制度|計画修繕調査費助成

認定制度と直接の関係はありませんが、豊島区には大規模修繕の前段階で使える助成があります。分譲マンション計画修繕調査費助成です(出典:豊島区「分譲マンション計画修繕調査費助成」/更新日:2026年3月10日)。

項目 内容(令和8年度)
対象 豊島区内の分譲マンション管理組合
要件 建築後8年以上経過/管理規約が整備されている/集会で調査実施を決議済み/過去10年以内に本助成を受けていない
助成額 計画修繕調査に要する費用の2分の1(20万円限度)
受付開始 令和8年4月1日から(予算の範囲内。予算超過で受付終了)
注意 助成金の申請は調査の契約締結前、調査完了は年度内のものが対象

対象になる調査は、大規模修繕工事のため、または長期修繕計画の作成・更新のために調査業者へ委託して実施する劣化診断調査です。調査対象箇所は外壁(塗装・タイル)、防水(屋上・ルーフバルコニー・開放廊下・屋外階段)、鉄部塗装、外構、給排水設備、電気設備、消防設備、エレベーター、機械式駐車場と広く取られています。

実務上、この助成は管理計画認定と相性が良い制度です。認定基準の「長期修繕計画の作成または見直しが7年以内」を満たすために計画を見直すなら、その根拠となる劣化診断の費用が半分戻る計算になります。順序としては、①劣化診断(助成申請は契約前)→②長期修繕計画の見直しと総会決議→③管理計画認定の申請、という流れが無駄がありません。

ただし注意点が2つあります。契約を結んでしまってからでは申請できないこと、そして予算枠に達すると受付が終了することです。調査会社と話を進める前に、住宅・マンション課マンショングループ(03-3981-1385)へ事前相談を入れてください。区も「申請前には必ずお問い合わせください」と明記しています。

なお、豊島区には分譲マンション建替え・改修アドバイザー制度利用助成(東京都のアドバイザー派遣を利用する際、派遣料の3分の2を助成)もあります。建替えか改修かを検討する段階の組合は、こちらも窓口でご確認ください。

令和9年4月1日の基準見直しをどう考えるか

国は、令和7年のマンション関係法改正を受けて、管理計画認定制度の拡充と認定基準の見直しを行いました。

  • マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則等の一部を改正する省令(令和8年国土交通省令第70号)/令和8年7月31日公布、令和9年4月1日施行
  • マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針の一部を改正する告示(令和8年国土交通省告示第1017号)/令和8年7月31日公布、令和9年4月1日施行

出典は国土交通省「マンション管理計画認定制度」です。

重要なのは、国交省が「地方公共団体への申請日が令和9年4月1日以降となる場合は、見直し後の認定基準が適用されます」と明記している点です。基準日は工事日でも決議日でもなく、区への申請日です。

令和9年4月以降は、分譲時に分譲事業者が管理計画を作成して管理組合の管理者等に引き継ぐ仕組みが導入され、分譲事業者が申請者となる場合の認定基準が新たに定められます。既存の管理組合が申請者となる場合の基準についても見直しが行われます。改正省令の附則では経過措置も設けられています。

ここで誤解していただきたくないのは、「新基準が厳しくなるから急げ」という話ではないということです。見直しの内容は公表されていますので、理事会として必要なのは次の判断です。

  • 令和8年度中(区への申請日が令和9年3月31日まで)に出し切るなら、現行基準で審査を受けられる
  • 長期修繕計画の見直しに時間がかかり、どうしても令和9年度にまたがるなら、新基準を前提に計画を組み直す

どちらが有利かは物件の状況によります。ただ、豊島区の場合は独自基準の書類(とくに町会・自治会加入等協議報告書が必要なケース)に日数がかかりますので、令和8年度中に出し切るつもりなら、逆算するともう時間の余裕は多くありません。

逆算スケジュール|豊島区で令和8年度中に申請を出し切るには

区への申請日を令和9年3月中旬に置いた場合の目安です。

時期 やること
2026年9〜10月 住宅・マンション課マンショングループへ事前相談(豊島区は事前相談が必須)。独自基準3項目の現状を確認
2026年10〜11月 3種類の名簿(組合員・居住者・災害時要支援者)の整備と更新。町会・自治会との関係を理事会で整理し、必要なら協議を申し入れる
2026年11〜12月 長期修繕計画の作成日を確認。7年を超えていれば見直しに着手(劣化診断が必要なら計画修繕調査費助成の事前相談も並行)
2027年1〜2月 総会で「管理計画認定申請の件」と、必要なら長期修繕計画・修繕積立金の改定を決議
2027年2月 (公財)マンション管理センターへ事前確認申請 → 事前確認適合証の交付
2027年3月上旬 豊島区発行の納付書で手数料3,900円を納付。別記第1号様式(豊島区)+表明保証書+独自基準の確認書類を提出

豊島区は「必ず申請準備中に豊島区独自の認定基準を確認し、マンショングループへの事前相談をお願いいたします」と、公式ページで2回にわたって求めています。これは形式的な案内ではありません。独自基準の書類は区でしか判断できないためです。まず電話を入れることが、この制度の実質的な第一歩です。

認定基準と大規模修繕はつながっている

ここからは施工会社としての話です。

認定基準のうち、私たちが実務で関わるのは「長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと」という項目です。これは国のマンションの修繕積立金に関するガイドラインが示す目安の下限値を上回っているかで判定されます。下回る場合は、マンション管理士や一級建築士など専門家の理由書が必要になります。

この基準を満たすための方法は、実は2つあります。

1つは、修繕積立金を増額すること。 多くの組合が最初に考える方法で、総会での合意形成が最大の山になります。

もう1つは、長期修繕計画に計上している将来の工事費そのものを見直すことです。こちらを検討していない組合が、私の実感ではかなり多い。

大規模修繕の総工費は、30戸規模のマンションで3,500万〜5,000万円程度がひとつの目安です(建物の規模・形状・劣化状況により大きく変動します)。そのうち仮設足場が占める割合は15〜25%。ここが工法によって動きます。

具体例で申し上げます。10階建て・外周80m・工期3カ月の物件で、通常の枠組足場を架設すると仮設費は168万円程度。同じ範囲をロープアクセス工法(無足場工法)で施工すると59万円程度で、差額は約109万円です。あくまで一例で、バルコニーの形状や近隣との離隔、工事範囲によって変わります。それでも、30年の長期修繕計画に大規模修繕を2回計上すれば、仮設費の差だけで200万円規模の違いが出る計算になります。

工事単価の目安も挙げておきます。

工種 ㎡単価の目安
外壁打診調査 250〜500円/㎡
外壁塗装 3,500〜4,500円/㎡
防水(屋上・開放廊下等) 5,000〜8,000円/㎡

いずれも目安であり、実際の見積は物件により大きく変動します。ただ、長期修繕計画に載っている概算が現在の相場から離れていないかを確認するには十分な材料になります。

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工にあたり、日本ロープ高所作業協会の事務局も担当しています。工法の技術的な詳細はロープアクセスドットコムで公開していますので、施工者選定の比較材料としてご覧ください。

明誠の工法の考え方はロープアクセス工法の技術詳細、費用の組み立て方については大規模修繕の料金の考え方にまとめています。

なお、池袋周辺のように前面道路が狭く、隣地との離隔が取りにくい物件では、足場の架設そのものに制約がかかることがあります。豊島区は23区のなかでも面積あたりの建物密度が高い区です。足場が組みにくい面をロープアクセスで、組める面は足場で施工するハイブリッド工法が現実解になる物件も少なくありません。3つの工法を比較したうえで判断できる体制を持っているかどうかは、施工会社を選ぶときの確認ポイントのひとつです。

よくあるご質問

Q. 豊島区の管理計画認定は、結局いくらかかりますか?

A. マンション管理センターの支援サービスを使う場合、豊島区への基本手数料3,900円+センターへの申請手数料20,000円で、合計約23,900円が目安です。区に直接申請する場合は区への手数料が29,500円になります。長期修繕計画が複数ある場合は、2件目以降1件あたり1,600円(直接申請なら15,900円)が加算されます。

Q. 事前確認適合証を取れば、豊島区の認定は確実に下りますか?

A. いいえ。豊島区は国基準に加えて独自の認定基準を設けており、マンション管理センターは独自基準の適合確認を行いません。事前確認適合証があっても、防災への取組・3種類の名簿の年1回更新・町会との協議という独自基準を満たしていなければ認定は受けられません。区への本申請時に、独自基準の確認書類を別途ご用意ください。

Q. 災害時要支援者名簿を作っていません。それでも申請できますか?

A. 現状のままでは独自基準②を満たしません。豊島区は組合員名簿・居住者名簿・災害時要支援者名簿の3つすべてを備え、年1回以上更新していることを求めており、1つでも欠けていれば該当しないと明記しています。名簿の整備と最初の更新を済ませてから申請してください。

Q. 町会に加入していないと認定は取れませんか?

A. 町会・自治会への加入そのものは任意です。区が見ているのは「町会との関係について管理組合の中で議論され、一定の結論が出ているか」という点です。総会で「加入は各区分所有者の任意とする」と議決していれば基準を満たす例として区が挙げています。いずれにも当たらない場合は、町会・自治会と協議のうえ、双方の署名が入った町会・自治会加入等協議報告書が必要です。

Q. 長期修繕計画が10年前のものです。認定は無理でしょうか?

A. そのままでは2項目に抵触します。「作成または見直しが7年以内」と、「残存期間内に大規模修繕工事が2回以上」です。見直しが必要ですが、その前段の劣化診断には豊島区の計画修繕調査費助成(費用の2分の1・20万円限度)が使える可能性があります。契約締結前の申請が条件ですので、調査会社と契約する前に区へご相談ください。

Q. 認定を取ると固定資産税はどれくらい下がりますか?

A. マンション長寿命化促進税制により、認定マンションが長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合、その翌年度の建物部分の固定資産税が減額されます。減額の割合や範囲は条例等で定められ、対象となる工事や証明書の要件も細かく決まっています。現行の適用期限は令和9年3月31日です。具体的な減額見込みは、東京都主税局および国土交通省の資料でご確認ください。

Q. 賃貸マンションのオーナーですが、認定は受けられますか?

A. 制度の対象は分譲マンションで、ワンオーナーの賃貸マンションは対象外です。ただし、計画的な修繕によって資産価値と収益性を維持するという考え方は同じです。収益不動産オーナーさま向けのご提案をご覧ください。

Q. 修繕積立金が足りず「著しく低額」と言われそうです。どうすればいいですか?

A. 積立金の増額が基本ですが、それだけではありません。長期修繕計画に計上している将来の工事費そのものを見直す方法もあります。足場費を含めた工法の選択で工事費が下がれば、必要な積立金の水準も変わります。総会に増額議案を出す前に、工事費の側から一度検証されることをおすすめします。

まとめ|豊島区の理事会が今週動くこと3点

豊島区は、費用の面では管理計画認定を取りやすい区です。支援サービス経由なら区への手数料は3,900円。一方で、独自基準3つ(防災・3名簿・町会協議)という書類の関門があります。止まるのはお金ではなく書類です。

今週動けることを3つに絞ります。

  1. 豊島区 住宅・マンション課マンショングループ(03-3981-1385)に電話で事前相談の予約を入れる。区が公式に事前相談を必須としています。確認するのは「独自基準3項目のうち、うちの組合で足りていないもの」の1点です。
  2. 名簿を3本そろえて開く。組合員名簿・居住者名簿・災害時要支援者名簿。1つでも欠けていれば、そこから着手してください。最後に更新した日付も確認します。
  3. 長期修繕計画の表紙の日付を見る。作成または見直しから7年を超えていれば、認定の前にまず見直しが必要です。劣化診断から始めるなら、契約前に計画修繕調査費助成(2分の1・20万円限度)の事前相談を。

管理組合向けのサービス内容は管理組合のみなさまへ、これまでの施工事例(約6,000棟)は施工事例一覧からご覧いただけます。足場を組むべき物件か、ロープアクセスで足りる物件か、両方を組み合わせるべきかの判断材料については、ロープアクセスドットコムの技術解説もあわせてご参照ください。

長期修繕計画に載せる工事費が妥当かどうかの概算検証は、無料でお出しできます。認定の相談だけでも構いません。お問い合わせフォームから遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

出典・参考資料

  1. 豊島区「豊島区マンション管理計画認定制度」(更新日:2026年8月14日)
    https://www.city.toshima.lg.jp/322/machizukuri/sumai/kekaku/mansion/2305291410.html
  2. 豊島区「認定基準、確認対象書類、確認事項、確認方法及び留意点」(PDF/2026年8月14日掲載)
    https://www.city.toshima.lg.jp/documents/44615/20260814154147.pdf
  3. 豊島区「豊島区マンション管理計画認定制度に関する事務取扱要綱」(PDF)
    https://www.city.toshima.lg.jp/documents/44615/outline_nintei_toshima.pdf
  4. 豊島区「豊島区マンション管理推進条例」(更新日:2026年3月5日)
    https://www.city.toshima.lg.jp/322/machizukuri/sumai/kekaku/mansion/028729.html
  5. 豊島区「分譲マンション計画修繕調査費助成」(更新日:2026年3月10日)
    https://www.city.toshima.lg.jp/322/machizukuri/sumai/kekaku/mansion/030404.html
  6. 豊島区「分譲マンション建替え・改修アドバイザー制度利用助成」
    https://www.city.toshima.lg.jp/322/machizukuri/sumai/kekaku/mansion/000740.html
  7. 国土交通省「マンション管理計画認定制度」(令和9年4月1日施行関係を含む)
    https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/keikakunintei.html
  8. 国土交通省「マンション税制(マンション長寿命化促進税制)」
    https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000121.html
  9. 国土交通省「令和8年度税制改正概要」(令和7年12月)
    https://www.mlit.go.jp/page/content/001975596.pdf
  10. (公財)マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」
    https://www.mankan.or.jp/11_managementplan/mpsupport.html
  11. (公財)マンション管理センター「管理計画認定マンション一覧」
    https://publicview.mankannet.or.jp/
  12. 東京都主税局「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに対する固定資産税の減額」
    https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/oshirase/2023/daikibo_syuzen.html
  13. 住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資(マンションすまい・る融資)」
    https://www.jhf.go.jp/kanri/mansionreform_kanri/index.html
  14. 東京都マンションポータルサイト「マンション管理計画認定制度」
    https://www.mansion-tokyo.metro.tokyo.lg.jp/kanri/02kanrikeikaku-seido/

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月19日時点で公表されている豊島区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。豊島区の管理計画認定制度のページは2026年8月14日更新、計画修繕調査費助成のページは2026年3月10日更新のものを参照しました。マンション長寿命化促進税制の適用期限(令和9年3月31日)は令和7年度税制改正による2年延長後の期限であり、さらなる延長の有無は本記事執筆時点で確定していません。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず豊島区都市整備部住宅・マンション課マンショングループ(03-3981-1385)および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月19日

※本記事は制度の概要を解説するものであり、個別の申請可否を保証するものではありません。記載の金額はいずれも目安であり、実際の工事費は建物の規模・形状・劣化状況により大きく変動します。

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