本間社長ブログ

2026.09.19

渋谷区の管理組合が無料で使える相談・派遣10選|マンション相談は毎月第3金曜・区役所8階(次は10月16日・申込10月1日から)、管理士派遣は年度内4回まで無料【令和8年度版】

渋谷区の管理組合が無料で使える相談・派遣10選|マンション相談は毎月第3金曜・区役所8階(次は10月16日・申込10月1日から)、管理士派遣は年度内4回まで無料【令和8年度版】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

2026年9月19日 更新

「本間さん、うちは28戸しかないんです。管理会社に相談しても、なんだか後回しにされている気がしてね」

今年の夏、幡ヶ谷のマンションの理事長さまから、そう伺いました。築29年、28戸。1回目の大規模修繕から14年が経ち、外壁のタイルが数か所浮いているのは分かっている。でも、次に何をすればいいのかが分からない、というご相談でした。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンションやビル、ホテルの外壁の仕事をしてきました。足場を組んで建物を囲う工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらの現場も自分の足で踏んできた人間です。

その理事長さまにお伝えしたのは、ひとつだけでした。見積りを取る前に、渋谷区と東京都の無料の窓口を先に使いましょう、と。

渋谷区は、23区のなかでも小規模マンションの比率が高い区です。代官山・恵比寿・松濤のような住宅地にも、幡ヶ谷・笹塚・初台のような沿線エリアにも、30戸前後の分譲マンションが数多く建っています。戸数が少ないということは、修繕積立金の総額も小さく、理事のなり手も限られるということです。だからこそ、外部の専門家を無料で呼べる制度の価値が、大きい区でもあります。

今日は、渋谷区のマンション管理組合とビルオーナーさまが、お金をかけずに使える相談・派遣を10個、令和8年度(2026年4月1日から2027年3月31日まで)の一次情報で整理します。


結論:渋谷区で無料で使える相談・派遣は10ある

先に一覧でお示しします。

# 制度・窓口 誰が対応するか 費用・回数 申込先
1 渋谷区 マンション管理無料相談会 マンション管理士(東京都マンション管理士会 東京山手支部) 無料/毎月第3金曜・先着2組・年度内3回まで 住宅政策課 03-3463-3548
2 渋谷区 分譲マンション管理士派遣制度 マンション管理士 無料/1回2時間・年度内4回まで 住宅政策課 03-3463-3548
3 渋谷区 住宅相談会(庁内相談会) 一級建築士 無料/45分・先着6組 LINEまたは 03-3463-3548
4 渋谷区 専門家セミナー(6月・11月) 外部専門家 無料/年2回 住宅政策課 03-3463-3548
5 渋谷区 管理組合交流会(2月) ― 無料/年1回 住宅政策課 03-3463-3548
6 渋谷区 法律相談 弁護士 無料/40分・年度内3回まで 渋谷区コールセンター 03-3463-1211
7 渋谷区 消費者相談コーナー 消費生活相談員 無料/月〜金 9時30分〜16時 03-3406-7644
8 東京都 分譲マンション総合相談窓口 マンション管理士 無料/随時 03-6427-4900
9 東京都 マンションアドバイザー無料派遣 マンション管理士・建築士等 要届出マンションは1回、管理不全の兆候ありは5回まで無料 03-5989-1453
10 東京都 マンション管理士無料派遣(防災・認知症) マンション管理士 各テーマ2回まで無料/令和9年2月26日まで 東京都マンション管理士会HP

このうち 1・2・3 は渋谷区が独自に持っている窓口で、区内の管理組合なら真っ先に検討すべきものです。8・9・10 は東京都の制度で、渋谷区の窓口と併用できます。

私が現場で一番もったいないと感じるのは、この10個を1つも使わないまま、いきなり工事業者に見積りを頼んでしまう組合が多いことです。順番が逆なのです。


渋谷区の管理組合が最初に使うべき「マンション管理無料相談会」

渋谷区の相談窓口のなかで、管理組合にとって入口になるのがこれです。

開催は毎月第3金曜、先着2組

渋谷区は東京都マンション管理士会 東京山手支部の協力を得て、毎月第3金曜日にマンション管理無料相談会を開いています(出典:渋谷区「マンション管理無料相談会」/2026年4月1日更新)。

令和8年度の残りの日程は次のとおりです。

開催日 時間 場所 申込期間
10月16日(金) 14時〜16時 区役所本庁舎8階 810会議室 10月1日〜9日
11月20日(金) 15時30分〜16時30分 区役所本庁舎8階 813-1.2.3会議室 11月4日〜13日
12月18日(金) 14時〜16時 区役所本庁舎8階 810会議室 12月1日〜11日
令和9年1月15日(金) 14時〜16時 区役所本庁舎8階 810会議室 1月4日〜8日
令和9年2月19日(金) 15時30分〜16時30分 区役所本庁舎8階 813-1.2.3会議室 2月1日〜12日
令和9年3月19日(金) 14時〜16時 区役所本庁舎8階 811-2会議室 3月1日〜12日

対象は区内の分譲マンション管理組合の役員および区分所有者で、1組あたり2人以内。定員は各開催日先着2組まで。1組につき原則として年度内3回までです。

先着2組というのは、正直に申し上げてかなり狭い枠です。申込期間は開催の1〜2週間前しか開いていませんので、次の10月16日を狙うなら、10月1日の朝に電話するくらいの構えでちょうどいいと思います。申込先は住宅政策課住環境整備係(電話:03-3463-3548)です。

11月20日と2月19日は中身が違う

一覧をよく見ると、11月20日と2月19日だけ時間が15時30分〜16時30分と短くなっています。これは渋谷区が、6月と11月に専門家によるセミナー、2月に交流会を組み合わせているためです。

セミナーは、他のマンションがどう考えているかを知る機会になります。交流会はさらに直接的で、区内の他の管理組合の役員と情報交換ができます。

私は、これを軽く見ないほうがいいと考えています。私が理事長さまからよく伺うのは「うちだけがおかしいのかと思っていた」という言葉です。修繕積立金が足りない、理事のなり手がいない、管理会社の提案が妥当か分からない。こうした悩みは、ほとんどの組合が同じように抱えています。それを知るだけで、判断が落ち着きます。

持っていくと話が早くなる資料

渋谷区は、相談内容によって用意すると良い資料を具体的に挙げています。管理規約、総会議案書・議事録、理事会の議事録、管理委託契約書、滞納記録、不具合箇所の写真、長期修繕計画書、修繕工事記録です。

30分から2時間の枠で、資料なしに口頭だけで説明すると、状況の共有だけで時間が終わります。不具合箇所の写真は、特に効きます。 スマートフォンで撮った写真で構いません。外壁のひび割れ、タイルの浮き、屋上の水たまり。5枚もあれば、専門家は建物の状態をかなり正確に推測できます。

なお、この相談会では事業者の紹介、居住者間や近隣とのトラブルの解決・権利調整は対応していません。そこは別の窓口(後述の法律相談)の役割です。


専門家に来てもらう「分譲マンション管理士派遣制度」

相談会が「区役所に行く」制度なら、こちらは「マンションに来てもらう」制度です。渋谷区の制度のなかで、私が最も価値が高いと考えているのがこれです。

1回2時間、年度内4回まで、費用は無料

渋谷区は、マンション管理士を管理組合の会合などに無料で派遣しています(出典:渋谷区「分譲マンション管理士派遣制度」/2026年4月1日更新)。

  • 相談時間:1回につき2時間
  • 費用:無料(ただし配付物の印刷費や登記簿謄本の取得など一定の実費が発生する場合あり)
  • 回数:同一マンションで年度内4回まで

年度内4回、1回2時間ということは、合計8時間ぶんの専門家の時間を無償で使えるということです。マンション管理士に個別に業務委託すれば、相応の費用がかかります。それが4回無料というのは、区の制度としてはかなり手厚いほうです。

対象になる7つの要件

ただし、誰でも使えるわけではありません。次の7つのうちいずれか1つ以上に該当する区内分譲マンションの管理組合が対象です。

  1. 管理組合がないこと
  2. 管理者などが定められていないこと
  3. 管理規約が存在しない、または必要に応じた改正がされていないこと
  4. 集会(総会)が年1回以上開催されていないこと
  5. 管理費と修繕積立金の区分経理、適正管理がされていないこと
  6. 適宜適切な維持修繕を行うための修繕積立金が積み立てられていないこと
  7. 築20年以上のマンションで、過去に大規模修繕工事(外壁塗装など工事、床防水工事および屋根防水工事)を実施していないこと

私が特に申し上げたいのは7番目です。築20年以上で一度も大規模修繕をしていないというだけで、この制度の対象になります。渋谷区の築古マンションには、該当する物件が相当数あるはずです。

また、管理組合設立を自主的に行おうとする区分所有者の団体も申請できます。管理組合そのものが機能していない建物にも、入口が用意されているということです。

支援の対象になること・ならないこと

ここは誤解が多いところなので、正確に整理します。

支援を受けられること

  • 意見の整理およびアドバイス
  • 対応策などの資料作成
  • 関係資料の収集および提供
  • 管理組合の総会および理事会に係る開催支援

支援の対象外

  • 耐震診断、測定器などを使用した建物の精密測定、劣化診断・調査
  • 大規模修繕計画、長期修繕計画の作成
  • 修繕工事などの設計
  • 管理規約の作成
  • 見積書などの比較検討
  • 工事および維持管理業務の受注および発注並びに業者の紹介
  • 居住者間および居住者・近隣住民間の紛争解決および権利調整

正直に申し上げます。「劣化診断」も「長期修繕計画の作成」も「見積書の比較検討」も、この制度では対象外です。

つまり、外壁の状態を実際に測ってもらったり、修繕費がいくらかかるかを計算してもらったりすることはできません。できるのは、理事会や総会の場で「今どういう状態で、次に何を検討すべきか」を整理してもらうことです。

私はこれを、限界ではなく役割分担だと考えています。合意形成と情報整理はマンション管理士、建物の物理的な状態の診断は施工会社や設計事務所。この線引きがはっきりしているほうが、組合にとってはむしろ安全です。中立の立場の人に「業者を紹介してもらう」形だと、その中立性が疑わしくなりますから。

申請は希望日の3週間前まで、理事長名で

手続きの流れは4段階です。

  1. 申請:派遣を希望する3週間前までに「分譲マンション管理士派遣事業マンション管理士派遣申請書」を住宅政策課の窓口へ持参または郵送
  2. 派遣決定の通知:承認されると決定通知書が届く
  3. 派遣:マンション管理士が訪問してアドバイス
  4. 報告:終了後、派遣結果報告書を区へ提出

申請は理事長名です。管理組合設立前で理事長名での申請が困難な場合は、設立を自主的に行おうとする団体の長が申請できます。

ひとつ注意点があります。区の案内には「令和9年2月以降に申請される場合は、事業スケジュールの都合により受付できない場合がございます」と明記されています。年度末に駆け込もうとすると間に合わない可能性があるということです。今が9月ですから、動くなら秋のうちです。

申請書と案内チラシは区の公式ページからダウンロードできます。


建築士に建物のことを聞ける「住宅相談会(庁内相談会)」

マンション管理士は管理・運営の専門家ですが、建物そのものの話をしたいときは、建築士のいる窓口が別にあります。

渋谷区は東京土建一般労働組合渋谷支部との共催で、「建築士」資格を有した相談員による無料相談会を開いています(出典:渋谷区「住宅相談会(庁内相談会)」/2026年3月11日更新)。

  • 相談時間:1組につき45分(13時30分〜/14時20分〜/15時10分〜の3枠)
  • 場所:区役所本庁舎1階ロビースペース
  • 定員:各開催日先着6組(空きがあれば当日参加も可能)
  • 対象:区内在住の人

令和8年度の残りの開催日は、10月21日(申込期間8月19日〜10月20日)、11月18日(10月22日〜11月17日)、12月16日(10月22日〜12月15日) です。

先ほどのマンション管理無料相談会と比べると、定員が6組と多く、申込期間も長いのが特徴です。空きがあれば当日参加もできます。ハードルはこちらのほうが低いということです。

申込はLINE(渋谷区公式アカウント @shibuyacity を友だち登録後、住宅相談会予約画面から)か、住宅政策課住環境整備係への電話(03-3463-3548)です。

私がこの窓口をお勧めするのは、「外壁の写真を見せて、これは急ぐのか急がないのかを聞く」という使い方です。45分あれば十分に話せます。管理会社から「そろそろ大規模修繕を」と言われたけれど本当に今なのか、という判断に迷っている段階で、利害関係のない建築士の意見を聞けるのは大きいと思います。


滞納・トラブルに使える「法律相談」と「消費者相談」

管理組合の悩みは、建物のことばかりではありません。管理費の滞納、区分所有者間のトラブル、リフォーム工事をめぐる業者との紛争。こうしたときの窓口も、渋谷区は無料で持っています。

弁護士による法律相談(毎週月・木)

渋谷区は、毎週月曜日・木曜日(月曜が祝日・休日の場合は翌火曜に振替)に弁護士による法律相談を行っています(出典:渋谷区「法律相談」/2026年4月21日更新)。

  • 相談時間:40分間
  • 相談枠:13時〜、13時45分〜、14時30分〜、15時25分〜、16時10分〜の5枠
  • 定員:月曜は各枠2人(合計10人)、木曜は各枠3人(合計15人)
  • 対象:区在住または在勤の人
  • 回数:おひとりにつき年度内3回まで
  • 電話相談も可

相談内容は相続関係、離婚、土地、家屋、相隣関係、金銭問題など。管理費滞納の督促や、区分所有者間の権利関係の整理は、ここに含まれます。

予約は3つの経路があります。渋谷区公式LINE、区民相談WEBメニュー、または渋谷区コールセンター(電話:03-3463-1211)。いずれも先着順です。

ひとつ、押さえておくべき運用ルールがあります。予約枠は毎月第3火曜日の9時から、翌月1か月分が開放されます。 つまり10月分の枠は9月15日(第3火曜)の9時に開いており、11月分は10月20日の9時に開きます。人気の枠は早く埋まりますので、この日時を理事会の誰かがカレンダーに入れておくと確実です。

なお、当日朝9時以降のキャンセルや日程変更は、相談実施1回分としてカウントされます。年度内3回という枠を無駄にしないよう、ご注意ください。

詳しい利用方法は区が公開しているR8年度区民相談のしおり(PDF)にまとまっています。

消費者相談コーナー(業者トラブル)

工事業者との契約トラブル、不当な請求、強引な訪問販売。こうした消費生活に関するトラブルは、消費者相談コーナーが窓口です(出典:渋谷区「消費者相談」/2025年10月1日更新)。

  • 相談専用電話:03-3406-7644
  • 相談日時:月曜日〜金曜日(祝休日・年末年始を除く)9時30分〜16時
  • 対象:区内在住・在勤・在学の人
  • 相談方法:電話または来所(まずは電話で問い合わせ)

ここで重要な制約があります。消費者相談コーナーは「消費者からの相談のみを受け付けています。事業者や個人事業主からの相談はお受けできません」と明記されています。

管理組合は法人格の有無によって扱いが変わり得ますので、組合として相談したい場合は、まず電話で「管理組合の立場だが受け付けてもらえるか」を確認するのが確実です。区分所有者個人としてのご相談であれば、問題なく受け付けてもらえます。

私が現場で見てきたなかで、いちばん多いトラブルは「点検に来た業者に、その場で屋上防水の緊急工事を勧められて契約してしまった」というパターンです。屋上に上がって写真を見せられると、素人目には確かに緊急に見えます。ですが、本当に急ぐ劣化かどうかは、複数の目で確認してから判断すべきです。 契約直後であればクーリング・オフが使える場合もありますので、迷ったらすぐ03-3406-7644に電話してください。


東京都の3制度:区の窓口と併用できる

渋谷区の窓口と並行して、東京都の制度も使えます。ここを知らずに区の窓口だけで終わっている組合が、かなり多いというのが私の実感です。

分譲マンション総合相談窓口(電話1本で聞ける)

公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンターに「分譲マンション総合相談窓口」が置かれています。マンション管理士が、日常の維持管理・再生に関する相談に応じます。

  • 電話:03-6427-4900
  • 受付:月曜日〜金曜日 9時〜17時(土日祝・年末年始休み)
  • メール:mansion-soudan@tokyo-machidukuri.jp
  • FAX:03-6427-4901

相談できる内容は、管理組合の運営、大規模修繕工事の検討や準備、改修や建替えに向けた合意形成のアドバイス、都や区市町村が実施している助成制度の紹介、管理状況届出制度に関する説明などです。

(注:この窓口を案内する渋谷区の該当ページは2023年3月17日更新のため、最新の運用は上記センターに直接ご確認ください。)

予約不要で電話1本、というのが最大の利点です。区の相談会は先着2組ですが、こちらは平日いつでもつながります。まず何から手をつけるべきか分からないという段階なら、ここが一番早い。

マンションアドバイザー無料派遣(要届出マンション向け)

こちらは、東京都の条例に基づく管理状況届出制度とセットになった制度です。

「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」により、昭和58(1983)年12月31日以前に新築された、居住用の独立部分が6戸以上の分譲マンションは、管理状況の届出が義務付けられています(要届出マンション)。渋谷区の場合、届出書の提出先は渋谷区です。

この届出が受理されると、マンションアドバイザー派遣を無料で使えます(出典:東京都防災・建築まちづくりセンター「マンションアドバイザー無料派遣」)。

区分 無料回数
届出が受理された要届出マンション 1回まで無料
うち管理不全の兆候があるマンション 5回まで無料

各コース1回あたり2時間程度。コースは講座編(A-1〜A-6)と相談編(B-1〜B-6)に分かれており、大規模修繕に直結するのは次のあたりです。

  • A-2:長期修繕計画作成ガイドライン活用の手引きの解説
  • A-4:計画修繕工事の進め方
  • B-4:修繕計画の作成や修繕積立金等の設定に関すること
  • B-5①:修繕工事検討段階での相談(建物・設備等の劣化状況の調査・診断、修繕工事の検討組織、修繕工事の方式等)
  • B-5②:修繕工事準備段階での相談(修繕工事の内容、業者選定の仕方、合意形成等)

B-5①とB-5②は、渋谷区の管理士派遣では対象外だった「修繕工事の検討」を正面から扱えます。 ここが区の制度との大きな違いです。

申込は申込書に記入のうえ、FAX・メール・郵送で東京都防災・建築まちづくりセンター(まちづくり推進課/TEL 03-5989-1453)へ。申込後1〜2週間程度でアドバイザーから日程調整の連絡が入ります。

Cコース(支援編)の派遣費用助成

さらに、管理不全の兆候があるマンション向けに、Cコース(支援編)の派遣料助成があります(出典:東京都マンションポータルサイト「マンション管理アドバイザーCコース(支援編)派遣費用の助成」)。

対象は、①都マンション管理条例に基づく要届出マンション、②届出が受理されたマンション、③管理不全の兆候があるマンション──のすべてに該当する分譲マンションです。

助成内容は次のとおりです。

  • 「状況確認・課題整理、コース案内」と「総会立会等」:各1回まで全額助成
  • 「管理組合運営体制の整備に関すること」「長期修繕計画見直し案及び修繕積立金見直し案に関すること」など9コース:合計2回まで半額助成

「管理不全の兆候」の判定は、管理組合の有無、管理者等の有無、管理規約の有無、年1回以上の総会開催の有無、管理費の有無、修繕積立金の有無、修繕の計画的な実施(大規模な修繕工事)の有無──これらのいずれかが「ない」「いない」と回答したマンション、という基準です。

大規模修繕を計画的に実施していない、というだけで該当し得るということです。お問い合わせは東京都防災・建築まちづくりセンター まちづくり推進課(03-5989-1453/平日9時〜17時)へ。

マンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)

東京都が令和5年度から実施している事業で、令和8年度も継続しています(出典:東京都マンションポータルサイト「分譲マンション向けマンション管理士無料派遣(防災力向上・認知症対応)」)。

  • 対象:都内に所在するマンション管理組合(築年数や届出の有無は問わない)
  • 回数:1管理組合につき、防災力向上と認知症対応それぞれ2回まで(無料)
  • 受付期間:令和8年6月23日(火)から令和9年2月26日(金)まで
  • 申込:東京都マンション管理士会のHPから

注意点が2つあります。ひとつは、申込が募集数(防災力向上・認知症対応 合わせて160件)に達した時点で新規受付が締め切られること。都内全体で160件ですから、決して多い枠ではありません。

もうひとつは、派遣回数は通算でカウントされること。令和5〜7年度に本事業で派遣を受けている場合、その回数も各テーマ2回の上限に含まれます。過去に使ったことがある組合は、残り回数を確認してから申し込んでください。

お問い合わせは東京都住宅政策本部 民間住宅部 マンション課 マンション管理担当(03-5320-5004)です。


国の窓口:(公財)マンション管理センターの無料電話相談

区でも都でもない、国の指定を受けた窓口もあります。

公益財団法人マンション管理センターは、マンション管理適正化法に基づく「マンション管理適正化推進センター」の指定を受けている唯一の団体です(出典:マンション管理センター「相談窓口について」)。

相談内容 電話番号
管理組合運営、管理規約等のご相談 03-3222-1517
建物・設備の維持管理のご相談 03-3222-1519
  • 受付:月曜日〜金曜日(祝日・年末年始を除く)9時30分〜17時
  • 費用:無料
  • 1件あたりの目安:15分前後

メールでの相談も受け付けています(回答は口頭)。面談は要予約です。

「公平・中立的な立場でアドバイス」を明示しており、特定の弁護士や企業を紹介することはしないと明記されています。だからこそ信頼できる、という見方もできます。

ただし制約もあります。専門家レベルの法律相談や税務相談、修繕等に関する個別具体的なアドバイスは行っていません。また、書面での回答はなく、個別事案の適法性の判断もしません。15分という時間も踏まえると、「一般論として、この進め方は妥当か」を確認する窓口と考えるのが実態に近いと思います。

なお、賃貸マンションに関する相談はこのセンターの担当外で、(公財)日本賃貸住宅管理協会が窓口になります。


渋谷区で大規模修繕を検討するとき、無料相談では埋まらない部分

ここまで10個の窓口をご紹介してきました。ここからが本題です。

無料の相談窓口は、「何を検討すべきか」を整理するのには非常に有効です。しかし、「実際にいくらかかるか」「この建物ならどの工法が最適か」という問いには、原理的に答えられません。渋谷区の管理士派遣が劣化診断と見積比較を対象外にしているのは、そういう理由です。

そして、この最後の部分で、渋谷区の建物には特有の事情があります。

渋谷区の狭小・近接立地では、足場が組みにくい

渋谷区の分譲マンションは、敷地に余裕のない物件が多いのが特徴です。隣地との離隔が1メートルを切っている、前面道路が細い、1階に店舗が入っていてシャッターを塞げない。私が実際に見てきた渋谷区の現場でも、こうした条件は珍しくありませんでした。

こういう建物で足場を組もうとすると、道路使用許可の取得、隣地所有者との協議、店舗の営業補償といった、工事費とは別のコストと時間が発生します。

足場費とロープアクセスの差額は、100万円規模になることがある

具体的な数字でお示しします。10階建て・外周80m・工期3か月という条件のマンションで、仮設足場を組む場合の費用はおよそ168万円。同じ範囲をロープアクセス工法(産業用ロープで作業員が懸垂下降しながら施工する無足場工法)で施工した場合、およそ59万円。差額は109万円という試算になります。

30戸規模のマンションの大規模修繕は、総額3,500万〜5,000万円というレンジが一般的で、そのうち仮設足場が15〜25%を占めます。仮設の部分を圧縮できれば、その分を外壁や防水の品質に回せる、という考え方ができます。

工種別の㎡単価の目安も挙げておきます。外壁塗装3,500〜4,500円/㎡、打診調査250〜500円/㎡、屋上防水5,000〜8,000円/㎡。いずれも目安のレンジであり、劣化状況・足場条件・数量によって大きく変動します。実際の金額は現地を見なければ確定しません。

工法の技術的な背景を詳しく知りたい方は、同業者・技術者向けにまとめている姉妹サイトロープアクセスドットコムをご覧ください。ロープの二重化や墜落制止用器具の運用など、安全管理の実務をそのまま公開しています。

3つの工法から選べるということ

私がこの仕事で一番大切にしているのは、建物に合った工法を選ぶことです。

株式会社明誠は、通常の仮設足場工法、ロープアクセス工法(無足場工法)、そして両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法──この3つを自社で提案できます。日本では数少ない体制だと思っています。

なぜ3つ持っているかというと、どの工法にも向き不向きがあるからです。ロープアクセスは万能ではありません。バルコニー内部の細かい作業や、大量の資材を上げ下ろしする工種では、足場のほうが効率的です。逆に、隣地に余裕がない高層部や、店舗の営業を止められない建物では、ロープアクセスが圧倒的に有利になります。

だから私は、部位ごとに分けるハイブリッド工法を提案することが多いのです。低層部と共用廊下は足場、高層部の外壁とシーリングはロープアクセス。これで総額を抑えつつ、品質も工期も守れます。詳しくは明誠のロープアクセス工法の技術詳細と大規模修繕の料金の考え方にまとめています。

数字も申し上げます。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工し、安全管理の考え方は明誠の安全管理への取り組みに公開しています。

実際の施工事例は施工実績ページ(約6,000棟)からご覧いただけます。渋谷区と条件の近い、狭小地・隣地近接の物件の事例もあります。


相談に行く前に用意する「3点セット」

どの窓口に行くにしても、これだけは揃えておいてください。私が理事長さまにいつもお伝えしている3点です。

1. 総会議事録(直近3年分)

管理組合として何を決めてきたかが分かります。大規模修繕の検討が議題に上がった記録があるかどうかで、話の出発点が変わります。

2. 長期修繕計画書(あれば最新版)

なければ「ない」で構いません。むしろ、ないこと自体が渋谷区の管理士派遣制度の対象要件に該当し得ます。 無理に取り繕う必要はありません。

3. 不具合箇所の写真(スマートフォンで5枚)

外壁のひび割れ、タイルの浮き、屋上の水たまり、共用廊下の鉄部のサビ、エントランスの床の欠け。手が届く範囲で撮れるもので十分です。

この3つを1つのクリアファイルか、PDFにまとめておく。それだけで、45分や2時間という限られた相談枠を、状況説明ではなく中身の議論に使えます。

管理委託契約書と滞納記録も、内容によっては持参すると話が早くなります。渋谷区の相談会は、用意すべき資料を公式ページに明記していますので、申込の電話で「何を持っていけばいいか」を直接確認するのが確実です。


よくあるご質問

Q. 渋谷区のマンション管理無料相談会は、区分所有者個人でも申し込めますか?

A. 申し込めます。対象は「区内の分譲マンション管理組合役員および区分所有者」で1組あたり2人以内です。理事でなくても構いません。ただし定員が各回先着2組と少ないため、申込期間の初日に電話(03-3463-3548)するのが確実です。

Q. 分譲マンション管理士派遣制度で、大規模修繕の見積りをチェックしてもらえますか?

A. できません。渋谷区は支援の対象外として「見積書などの比較検討」「大規模修繕計画、長期修繕計画の作成」「劣化診断・調査」を明記しています。見積りの妥当性を確認したい場合は、東京都のマンションアドバイザー制度のB-5②コース(修繕工事準備段階での相談/業者選定の仕方、合意形成等)を検討するか、複数の施工会社から相見積りを取るのが現実的です。

Q. 東京都のマンションアドバイザー無料派遣は、どのマンションでも使えますか?

A. 無料になるのは、東京都の管理状況届出制度で届出が受理された要届出マンション(昭和58年12月31日以前に新築、居住用独立部分6戸以上)に限られます。1回まで無料、管理不全の兆候がある場合は5回まで無料です。要届出に該当しないマンションでも制度自体は有料で利用できます。まずは届出の有無を渋谷区住宅政策課(03-3463-3548)にご確認ください。

Q. 東京都のマンション管理士無料派遣(防災・認知症)は、いつまで申し込めますか?

A. 令和8年度の受付期間は令和9年2月26日(金)までです。ただし申込が募集数(防災力向上・認知症対応 合わせて160件)に達した時点で締め切られます。都内全体の枠ですので、年明けまで待たずに動くことをお勧めします。申込は東京都マンション管理士会のHPからです。

Q. 管理費の滞納について、渋谷区の無料相談で対応してもらえますか?

A. 渋谷区の法律相談(弁護士/毎週月・木、40分、年度内3回まで)で「金銭問題」として相談できます。ただし相談会のほうのマンション管理無料相談会は、居住者間の紛争解決や権利調整を対象外としています。督促の一般的な進め方はマンション管理士、法的手続きが視野に入るなら弁護士、と使い分けてください。法律相談の予約枠は毎月第3火曜9時から翌月分が開放されます。

Q. 30戸規模の大規模修繕は、だいたいいくらかかりますか?

A. 総額3,500万〜5,000万円というレンジが一般的です。うち仮設足場が15〜25%を占めます。外壁塗装は3,500〜4,500円/㎡、屋上防水は5,000〜8,000円/㎡が目安ですが、劣化状況と足場条件で大きく変動します。概算のお見積りは無料でお出しできますので、明誠のお問い合わせフォームからご連絡ください。

Q. ロープアクセス工法にすると工期はどれくらい短くなりますか?

A. 足場工法の約60%が目安です。10階建て・外周80mのマンションであれば、足場工法で3か月かかるところ、ロープアクセス工法なら1.5〜2か月程度。足場の組立・解体に必要な期間がまるごと不要になるためです。居住者の方がバルコニーを使えない期間も、その分短くなります。工法ごとの適用条件はロープアクセスドットコムで技術的に整理しています。

Q. 渋谷区は敷地が狭い物件が多いのですが、足場は組めますか?

A. 隣地との離隔や前面道路の幅によっては、足場の設置に道路使用許可や隣地所有者との協議が必要になり、想定外のコストと期間が発生することがあります。そうした条件の建物こそ、ロープアクセス工法やハイブリッド工法が効きます。管理組合向けサービスページに、ご相談から着工までの流れをまとめています。現地を一度拝見すれば、どの工法が成立するかをその場でお答えできます。


まとめ:今週、渋谷区の管理組合が動けること3つ

長くなりましたので、動くべきことだけ3つに絞ります。

1. 10月1日の朝、マンション管理無料相談会に電話する(10月16日開催分)

申込期間は10月1日から9日まで。定員は先着2組です。区役所本庁舎8階、14時から16時。電話は住宅政策課住環境整備係 03-3463-3548。同じ番号で、10月21日の住宅相談会(建築士・45分・先着6組)も申し込めます。1本の電話で両方押さえるのが効率的です。

2. 管理士派遣制度の7要件に該当するか、理事会で確認する

とくに「築20年以上で、過去に大規模修繕工事(外壁塗装・床防水・屋根防水)を実施していない」に当てはまるなら、年度内4回・1回2時間の派遣を無料で使えます。申請は希望日の3週間前まで、理事長名。令和9年2月以降は受付できない場合があると区が明記していますので、動くなら秋のうちです。

3. 3点セットを1つのファイルにまとめる

総会議事録(直近3年分)・長期修繕計画(あれば)・不具合箇所の写真5枚。次の理事会で、誰が用意するかだけ決めてしまってください。これがあるかないかで、どの窓口でも話の進み方がまるで違います。

渋谷区は、小規模マンションが多いぶん、管理組合の負担が一人ひとりに重くのしかかりやすい区です。だからこそ、無料で外部の専門家を呼べる制度を、遠慮なく使っていただきたい。10個も用意されているのに、ほとんど使われないまま年度が終わってしまうのは、あまりにもったいないと思うのです。

冒頭の幡ヶ谷の理事長さまは、結局この秋に区の相談会と東京都の総合相談窓口の両方を使われました。そのうえで「工法の選択肢だけ聞かせてほしい」とご連絡をいただきました。私はその順番が、正しいと思っています。

10月1日という申込開始日がある以上、次の理事会を待っていると1か月ずれます。1分だけでも、この話題をメールで共有してみてください。工法の選択肢や概算のご相談だけでも、私どもでお力になれることがあります。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月19日時点で公表されている渋谷区および東京都・国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。特に消費者相談は参照した渋谷区公式ページの更新日が2025年10月1日、分譲マンション総合相談窓口は2023年3月17日であり、令和8年度の運用に変更が加えられている可能性があります。また、東京都のマンション管理士無料派遣は募集数160件に達し次第締め切られ、渋谷区の分譲マンション管理士派遣制度は令和9年2月以降の申請を受け付けられない場合があります。実際に申請される前に、必ず渋谷区 住宅政策課住環境整備係(03-3463-3548)および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月19日

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