本間社長ブログ
豊島区の管理組合が無料で使える相談・派遣11選|マンションアドバイザーは年4回・1回2時間まで無料、管理状況の届出は区の条例で義務【令和8年度版】
目次
- 結論:豊島区で使える支援は11ある
- 1. 豊島区マンションアドバイザー派遣:年4回・1回2時間が無料
- 2. 区の窓口そのものが、最初の相談先になる
- 3. 電話だけで済ませたいときの30分:東京都マンション管理士会
- 4. 東京都の2つの窓口:総合相談と、区を経由する専門相談
- 5. 豊島区の法律相談:1回30分、予約は毎月20日から
- 6. 豊島区は「届出が義務」の区である
- 7. 調査には助成が出る:計画修繕調査費、2分の1・20万円限度
- 8. 旧耐震なら:診断3分の2・100万円、改修23%・1,000万円
- 9. 管理計画認定制度:手数料が3,900円と29,500円で分かれる
- 10. マンション防災:東京とどまるマンションと備蓄の補助
- 11. 相談の前に持っておきたい、修繕の相場観
- 12. 豊島区の管理組合が、今週動くこと3点
- よくあるご質問
- まとめ
- 出典・参考資料

-
著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
2026年9月20日 更新
豊島区の管理組合さまから伺う相談で、いちばん多いのはこれです。
「修繕の時期が近いのは分かっている。でも、誰に聞けばいいのか分からない」
管理会社に聞けば、管理会社の答えが返ってきます。施工会社に聞けば、施工会社の答えが返ってきます。どちらも嘘ではないのですが、組合の側に立った第三者の意見が一つも入らないまま、数千万円の工事を決める。これがいちばん危うい。
私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁の仕事をしてきました。足場を組んで建物を囲う工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらの現場も自分の足で踏んできた人間です。
その立場から申し上げると、豊島区は23区のなかでも、管理組合向けの無料支援がよく整っている区です。しかも、豊島区には他区にない特徴が一つあります。管理状況の届出を、区の条例で「義務」としていることです。
豊島区は、区内の住宅のうち約8割がマンション(分譲マンションを含む共同住宅)であり、竣工後40年以上経過したマンションが今後急激に増加していくと公表しています(出典:豊島区「管理不全の予防~まずは、こちら!~」、2026年6月18日更新)。池袋・目白・大塚・巣鴨・要町と、駅ごとに性格の違うマンション群を抱えながら、そのストックが一斉に高齢化していく。区が支援制度を厚くしているのは、この事情があるからです。
今日は、豊島区の管理組合とビルオーナーさまが使える相談・派遣・助成を11個、令和8年度(2026年4月1日から2027年3月31日まで)の一次情報で整理します。
結論:豊島区で使える支援は11ある
先に一覧でお示しします。無料のものと、費用の一部が戻るものを分けて並べました。
| # | 制度・窓口 | 誰が対応するか | 費用 | 申込先 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 豊島区マンションアドバイザー派遣事業 | マンション管理士・一級建築士・税理士 | 無料/同一年度内4回・1回2時間まで | 住宅・マンション課マンショングループ 03-3981-1385 |
| 2 | 住宅・マンション課マンショングループの窓口・電話・メール相談 | 区職員 | 無料/平日9時〜17時 | 03-3981-1385 |
| 3 | 東京都マンション管理士会 電話相談 | マンション管理士 | 無料(通話料は自己負担)/30分程度 | 03-5829-9774 |
| 4 | 分譲マンション総合相談(東京都防災・建築まちづくりセンター) | 専門相談員 | 無料/平日+第1土曜・第3日曜 | 03-6427-4900 |
| 5 | 分譲マンション専門相談(東京都住宅政策本部) | 弁護士・一級建築士 | 無料/弁護士は月3回、建築士は月1回・完全予約制 | 区の住宅・マンション課経由 03-3981-1385 |
| 6 | 豊島区 法律相談(弁護士) | 弁護士 | 無料/1回30分以内・要予約 | 区民相談課 03-3981-4164 |
| 7 | (公財)マンション管理センター 電話相談 | 専門相談員 | 無料/平日9時30分〜17時 | 運営 03-3222-1517/建物・設備 03-3222-1519 |
| 8 | 分譲マンション計画修繕調査費助成 | ― | 調査費の2分の1(20万円限度) | 住宅・マンション課 03-3981-1385 |
| 9 | 分譲マンション耐震診断助成 | ― | 対象経費の3分の2(100万円限度) | 同上 |
| 10 | 分譲マンション耐震改修助成 | ― | 工事費の23%(1,000万円限度)、補強設計は3分の2(100万円限度) | 同上 |
| 11 | 建替え・改修アドバイザー制度利用助成 | 東京都のアドバイザー | 派遣料16,500円のうち10,000円を助成 | 同上 |
覚えておく電話番号は、実質2つで足ります。住宅・マンション課マンショングループ(03-3981-1385)と、東京都マンション管理士会の電話相談(03-5829-9774)。前者が豊島区の制度すべての入口で、後者は区役所の開いていない時間帯に考えを整理したいときの相手です。
ここからが本題です。
1. 豊島区マンションアドバイザー派遣:年4回・1回2時間が無料
豊島区の管理組合が最初に使うべき制度が、これです。
豊島区は、分譲マンションの管理組合にマンション管理士、一級建築士、税理士を無料で派遣し、維持管理・大規模修繕・建替えなどの疑問や相談について情報提供や助言を行っています(出典:豊島区「マンションアドバイザー派遣事業」、2026年7月1日更新)。
条件を整理します。
- 派遣対象:豊島区内に所在する分譲マンションの管理組合(管理組合が組織化されていない場合は要相談)
- 派遣時間:1回につき2時間まで(派遣開始時間の目安は午前10時〜午後6時)
- 派遣回数:1つのマンションにつき、同一年度内で4回まで
- 費用:無料。ただし会場費や資料代が発生した場合は管理組合の負担
- 専門家:マンション管理士/一級建築士/税理士
年4回×2時間で、合計8時間。マンション管理士を理事会に2回、一級建築士を修繕の検討会に2回、というように専門分野を分けて呼べるのがこの制度の大きな利点です。
申請前の「電話相談」が必須
ここを飛ばすと止まります。区は「派遣をご希望の場合、必ず“申請前に”住宅・マンション課マンショングループへお電話でご相談ください」と明記しています。電話番号は03-3981-1385です。
手続きの流れは次のとおりです。
- 事前電話相談(03-3981-1385)
- 「豊島区マンションアドバイザー派遣申請書」を記入(押印不要)し、窓口・郵送・メールのいずれかで提出。申請者は管理組合の代表者(理事長)
- 区から「派遣決定通知書」が届く
- アドバイザー本人から担当者へ直接連絡が入り、日程調整
- 訪問
- 終了後、「派遣結果報告書」を提出
原則として、派遣希望日の3週間前までに申請が必要です。理事会の日程が決まった時点で動かないと間に合いません。
対象外になる業務を先に知っておく
次の5つは、この派遣事業ではできません。
- 耐震診断の実施
- 長期修繕計画の作成
- 修繕工事等の設計書作成
- 係争中の事案
- 測定器による建物の精密測定
つまり、「作ってもらう」ことはできず、「判断を助けてもらう」制度だとご理解ください。長期修繕計画そのものを作りたい場合は、後述の計画修繕調査費助成(8番)のほうが筋がよいです。
なお区は、利用者が多い場合には年度途中で受付を終了することがあるとしています。年度前半に動くほうが確実です。
2. 区の窓口そのものが、最初の相談先になる
制度を使うほどではないけれど、方向だけ知りたい。そういうときは、住宅・マンション課マンショングループに直接聞けます。
区は、職員が窓口・電話・メール等で相談を受け、アドバイスや関係機関の紹介を行うと案内しています(出典:豊島区「分譲マンションの管理に関する相談窓口について知りたい」、2026年6月16日更新)。
- 受付:午前9時〜正午、午後1時〜5時(土日祝・年末年始を除く)
- 電話:03-3981-1385
- メール:A0022901@city.toshima.lg.jp
- 窓口:豊島区南池袋2-45-1 豊島区役所6階 住宅・マンション課マンショングループ
ただし、区は当事者間の仲裁に立つことや、特定の弁護士・企業・事業者を紹介することはできないと明記しています。「うちの管理会社と揉めているので間に入ってほしい」という使い方はできません。
私の経験上、この手の窓口は「答えをもらう場」というより「自分の物件の論点を整理する場」として使うのが正解です。外壁の浮きが何を意味するのか、いま動くべきか3年待てるのか。そこが整理できるだけで、次の理事会の議題が決まります。
3. 電話だけで済ませたいときの30分:東京都マンション管理士会
区役所が開いていない、あるいはまず匿名に近い形で聞いてみたい。そういう段階に向くのがこちらです。
一般社団法人 東京都マンション管理士会が、マンション管理士による電話相談を行っています(出典:前掲・豊島区の相談窓口ページ)。
- 電話:03-5829-9774
- 受付:月曜日〜金曜日 10時〜12時、13時〜16時(土日祝・振替休日は休み)
- 相談時間:30分程度
- 費用:相談は無料(ただし通話料は自己負担)
- 対面での相談は受け付けていません
30分という枠を活かすなら、聞きたいことを3つに絞って紙に書いてから電話してください。「修繕積立金が不足している」「見積りの金額差が説明できない」「理事のなり手がいない」——このくらい具体的なほうが、返ってくる答えも具体的になります。
4. 東京都の2つの窓口:総合相談と、区を経由する専門相談
豊島区の制度の外側に、東京都の窓口が2つあります。性格がまったく違うので分けて説明します。
分譲マンション総合相談(東京都防災・建築まちづくりセンター)
日常の維持管理、建替えや改修に関する相談、管理状況届出制度の問い合わせに応じる総合窓口です。
- 所在地:新宿区西新宿7-7-30 小田急西新宿O-PLACE 2F
- 電話:03-6427-4900/FAX:03-6427-4901
- 相談日:月曜日〜金曜日、第1土曜日および第3日曜日
- 相談時間:午前9時〜午後5時(水曜日は午後7時まで延長、受付は午後6時まで)
- 詳しくは公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター
平日に動けない理事の方にとって、第1土曜・第3日曜が開いているのは大きい。水曜の夜間延長も覚えておいて損はありません。
分譲マンション専門相談(東京都住宅政策本部)
弁護士や一級建築士に相談する必要があると考えられる案件に向けた、都の専門相談です。申込は区の窓口を経由します。
- 弁護士相談:月3回 午後1時〜3時(完全予約制)
- 建築士相談:月1回 午後1時〜3時(完全予約制)
- 利用の流れ:① 豊島区住宅・マンション課へ来庁し、相談内容と希望日を伝える → ② 相談日の3日前までに都の担当者から直接連絡 → ③ 当日、都庁第二本庁舎13階南(新宿区西新宿2-8-1)へ
- 問い合わせ:03-3981-1385(豊島区住宅・マンション課マンショングループ)
建築士相談は月1回しか枠がありません。大規模修繕の設計や工事監理について第三者の意見が欲しいなら、早めに区へ来庁予約の相談をしてください。
なお、区の相談窓口ページでは東京弁護士会マンション管理相談窓口(03-3581-2223)も案内されていますが、こちらは最初の電話で取扱対象かを確認したうえでの面接相談が30分5,500円(税込)の有料です。無料の窓口と混同しないようご注意ください。
5. 豊島区の法律相談:1回30分、予約は毎月20日から
区分所有者間のトラブルや、管理費の滞納、賃貸借に関する法律問題は、区の法律相談が使えます。
弁護士が土地・家屋・金銭貸借・相続など法律問題全般について、問題解決の糸口となる初歩的な法的アドバイスを行う相談です(出典:豊島区「法律相談(弁護士)」、2025年6月30日更新)。
- 1回30分以内、1日3人(組)まで
- 相談日時:月曜日〜金曜日 午後1時15分〜3時45分、毎月第2土曜日 午前10時15分〜午後0時45分
- 予約:毎月20日から翌月分の受付開始(20日が閉庁日の場合は翌開庁日から)
- 対象:豊島区在住・在勤・在学のかた。同じ内容での相談は1回のみ
- 予約・問い合わせ:区民相談課庶務・相談グループ 03-3981-4164
- 令和5年8月から、対面/電話/オンライン(ビデオトーク)を選べます
注意点として、調停や裁判で係争中の案件は受け付けられません。また、書類作成や相手方との交渉は行いません。あくまで入口です。
6. 豊島区は「届出が義務」の区である
ここが豊島区のいちばんの特徴です。
豊島区は、管理状況届出書の作成と届出を管理組合の義務としています。根拠は「豊島区マンション管理推進条例」と「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」の2つ。しかも区は、届出が無い場合等には条例に基づきマンション名を公表する場合があると明記しています(出典:豊島区「『管理状況届出制度』に関する届出について」、2026年3月5日更新)。
対象は豊島区内のすべての分譲マンションの管理組合です。東京都条例の届出義務が「昭和58年12月31日以前に新築された6戸以上」に限られるのに対し、豊島区は区の条例で全分譲マンションに広げている。ここが他区と違います。
届出書の様式も2種類に分かれます。
| 対象 | 根拠 | 様式 |
|---|---|---|
| 昭和58(1983)年12月31日以前に新築された6戸以上の分譲マンション | 東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例 | 都様式の管理状況届出書 |
| 上記以外の分譲マンション | 豊島区マンション管理推進条例 | 区様式の管理状況届出書(PDF・エクセル) |
平成25年(2013年)の制度開始以来、届出率は8割を超えたものの、約2割のマンションが未届出というのが区の公表している状況です。
届出は「義務」であると同時に、無料の自己診断ツールでもある
制度の主旨は取り締まりではありません。区は、総会の年1回開催、管理規約の作成・更新、長期修繕計画の作成・見直し、大規模修繕工事の実施といった「管理組合が必ず行わなければならないこと」を、届出書を作成する過程で自ら確認してもらうことが目的だと説明しています。
そして区は、届出書を作って改善点が見えたものの、課題の整理や優先順位づけができない場合はマンション専門家派遣事業を使ってほしいと案内しています。つまり、届出書の作成 → 課題の抽出 → アドバイザー派遣という流れが、区が想定している使い方です。ここまでの費用はゼロです。
届出先は住宅・マンション課マンショングループ。郵送・FAX(03-3980-5136)・メール(A0022901@city.toshima.lg.jp)・窓口持参のいずれでも受け付けています。
7. 調査には助成が出る:計画修繕調査費、2分の1・20万円限度
ここからは「無料ではないが、費用の一部が戻る」制度です。大規模修繕に直結するのはこちらです。
豊島区は、長期修繕計画の作成や大規模修繕工事のために行う建物診断(劣化診断)の費用の一部を助成しています(出典:豊島区「分譲マンション計画修繕調査費助成」、2026年3月10日更新)。
- 助成額:計画修繕調査に要する費用の2分の1(20万円限度)
- 令和8年度の受付は4月1日から開始。申請前に必ず住宅・マンション課マンショングループへ問い合わせ
- 申請は調査の契約締結前、調査完了は年度内のものが対象
- 予算の範囲内。予算を超えた場合は受付終了
対象となる管理組合の条件は4つです。
- 建築後8年以上を経過した分譲マンションの管理組合であること
- 管理規約が整備されていること
- 管理組合の集会で、計画修繕調査の実施について決議がなされていること
- 過去10年以内に、本要綱による助成を受けていないこと
対象となる調査は、共用部分について、大規模修繕工事のため、または長期修繕計画の作成・更新のために調査業者に委託して実施する劣化診断調査です。調査対象箇所は区が明示しています。
- 構造:外壁(塗装・タイル)、防水(屋上・ルーフバルコニー・開放廊下・屋外階段)、鉄部塗装、外構
- 設備:給排水設備、電気設備、消防設備、エレベーター、機械式駐車場
外壁とタイル、屋上・バルコニーの防水が正面から対象に入っています。2回目・3回目の大規模修繕を控えた豊島区のマンションにとって、いちばん実務的な助成がこれです。
注意すべきは順番です。契約してから申請しても対象外になります。総会で調査実施を決議 → 区へ事前相談 → 申請 → 承認通知を受けてから契約・着手、という順を崩さないでください。
8. 旧耐震なら:診断3分の2・100万円、改修23%・1,000万円
昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた分譲マンションには、別枠の助成があります。
耐震診断助成
(出典:豊島区「分譲マンションの耐震診断助成事業」、2025年8月12日更新)
- 助成額:助成対象経費の3分の2(100万円が限度)
- 対象建築物:昭和56年5月31日以前に建築基準法第6条に基づく確認を受けた分譲マンションで、3階(地階を除く)以上のもの/原則として建築基準法および関係法令に適合していること/耐火建築物または準耐火建築物であること/耐震診断に必要な図書に不備がないこと
- 対象者:管理組合
- 申請は耐震診断着手前、診断完了は年度内のものが対象
耐震改修助成
(出典:豊島区「分譲マンションの耐震改修助成事業」、2025年6月17日更新)
- 助成額:耐震改修工事に要した費用の23パーセント(1,000万円が限度)。利用の可否は事前に要問い合わせ
- 耐震補強設計:要した費用の3分の2(100万円が限度)
- 追加条件:耐震診断の結果、倒壊の危険があると判断されたもの/補強設計により構造耐震指標Is値が0.6以上となること/管理組合の総会で耐震改修工事を実施する決議がなされていること
- 申請は工事着手前、工事完了は年度内のものが対象
上記2ページは更新日が令和7年(2025年)中のものです。令和8年度の予算枠や運用に変更がないかは、申請前に必ず住宅・マンション課(03-3981-1385)へご確認ください。本記事では区ページに現在掲載されている内容をそのまま紹介しています。
建替えか改修かで迷っている段階なら
東京都の「分譲マンション建替え・改修アドバイザー制度」を利用する際、豊島区は派遣料の3分の2を助成します。Aコース入門編の派遣料16,500円(税込)に対し、助成額は10,000円です(出典:豊島区「分譲マンション建替え・改修アドバイザー制度利用助成」、2026年3月5日更新)。テキスト代・消費税・違約金は助成対象外で、助成は予算の範囲内です。
実質6,500円で、建替え円滑化法や税制、老朽度判定、合意形成の進め方についてアドバイザーの説明を受けられる。改修で延命するか建替えるかを判断する前の「共通言語づくり」として、費用対効果は高いと思います。
9. 管理計画認定制度:手数料が3,900円と29,500円で分かれる
豊島区は令和5年4月1日から、マンション管理計画認定制度を開始しています(出典:豊島区「豊島区マンション管理計画認定制度」、2026年8月14日更新)。
認定を受けると、次のような効果が期待されると区は説明しています。
- 一定水準以上の管理がされているマンションとして市場で評価される
- 認定取得後に大規模修繕工事を行った場合、その翌年度の固定資産税(建物部分)が減額される
- 住宅金融支援機構の【フラット35】およびマンション共用部分リフォーム融資の金利引き下げ等が適用される
有効期間は認定日から5年間(5年ごとの更新が可能)です。
手数料の差が7.5倍あるという事実
ここは金額を正確に押さえてください。豊島区の申請手数料は、申請ルートによって大きく変わります。
| 申請ルート | 基本手数料 | 長期修繕計画が複数ある場合の1件あたり加算 |
|---|---|---|
| (公財)マンション管理センターの事前確認を経て申請 | 3,900円 | 1,600円 |
| 豊島区に直接申請 | 29,500円 | 15,900円 |
ただし前者は、豊島区への手数料とは別に、マンション管理センターへの申請手数料20,000円が必要です。合計では23,900円。単純な比較ではなく、書類の整い方や手戻りの少なさまで含めて選ぶことになります。
豊島区には「独自の認定基準」がある
見落とされがちな点です。豊島区は国の認定基準に加えて区独自の認定基準を設けており、マンション管理センターでは区独自基準の適合確認を行いません。区は「事前確認適合証を受けた場合であっても、豊島区独自の認定基準に適合しない場合は認定が受けられません」と明記しています。
申請にあたっては、①区が発行した納付書で手数料を納付、②豊島区独自基準を反映した書式の認定申請書を提出、③区独自基準に関する表明保証書を作成して提出、という3点が必要です。いずれの方法で申請する場合も、事前に集会(臨時総会を含む)での決議が必要で、申請準備中に区独自基準を確認したうえでマンショングループへ事前相談することが求められます。
10. マンション防災:東京とどまるマンションと備蓄の補助
大規模修繕とは別の軸ですが、管理組合として動きやすいのがこちらです。
豊島区は、首都直下地震が発生した場合、区内の小中学校に救援センターを開設するものの、原則として住まいを失った方が避難する場所であるため、マンション居住者には在宅避難を推奨しています(出典:豊島区「マンション防災」、2026年8月10日更新)。
区はマンション防災マニュアルの作成例(ワード形式)を無料で配布しています。ゼロから書く必要はありません。
また東京都の「東京とどまるマンション」制度に登録すると、分譲マンションの管理組合や賃貸マンションの所有者等を対象に、簡易トイレやエレベーターに設置する防災キャビネットなどの防災備蓄資器材の購入等について補助を受けられます。豊島区版のリーフレットも区が作成しています。
賃貸マンションのオーナーさまも対象に含まれる点は、収益不動産をお持ちの方にとって見逃せないところです。
11. 相談の前に持っておきたい、修繕の相場観
窓口で「うちはいくらかかりそうか」と聞かれたとき、ゼロから説明するのは大変です。参考値として一般的なレンジを頭に入れておくと、話が早く進みます。
| 項目 | 参考値の目安 |
|---|---|
| 外壁打診調査 | 250〜500円/㎡ |
| 外壁塗装 | 3,500〜4,500円/㎡ |
| 屋上・バルコニー防水 | 5,000〜8,000円/㎡ |
| 30戸規模の大規模修繕 総額 | 3,500〜5,000万円 |
| うち仮設足場が占める割合 | 総額の15〜25% |
これらはあくまで目安・レンジであり、実際の見積は建物の形状、立地、劣化状況によって大きく変動します。断定的な数字としては扱わないでください。
それでも、仮設足場が総額の15〜25%を占めるという構造だけは知っておく価値があります。見積書の金額差の多くは、ここと、数量の拾い方の違いで説明がつきます。
たとえば10階建て・外周80m・工期3か月の物件で、仮設足場が約168万円かかるケースがあります。同じ範囲をロープアクセス工法(産業用ロープで作業員が懸垂下降しながら施工する無足場工法)に置き換えると、仮設費が約59万円まで下がる試算になります。差額にして約109万円。これも条件次第で変わる参考値ですが、桁の感覚として頭に置いておくと、見積書の読み方が変わります。
豊島区は、池袋周辺の商業地と、目白・雑司が谷・要町といった住宅地が混在しています。隣地との離隔が取りにくい敷地、前面道路が狭く足場材の搬入が難しい敷地が少なくありません。足場が組みにくい外周だけロープアクセスで対応するハイブリッド工法という選び方もあります。工法ごとの違いは、明誠のロープアクセス工法の技術詳細と、同業者・技術者向けの姉妹サイトロープアクセスドットコムで解説しています。
株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業については、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職が加盟する体制をとっており、IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が現場に立ちます。安全管理の考え方は明誠の安全管理体制に、料金の組み立て方は大規模修繕の料金の考え方にまとめました。
12. 豊島区の管理組合が、今週動くこと3点
長くなりましたので、動き方だけ整理します。
1. 管理状況届出が済んでいるか確認する
豊島区では届出は義務です。未届出のまま放置すると、条例に基づきマンション名が公表される場合があります。過去に届け出ていても、管理費・修繕積立金・長期修繕計画・管理者等に変更があれば変更届出が必要です。最後の届出から5年経っていれば更新届出への協力も求められています。まず理事会で「うちは出したか」を確認してください。
2. アドバイザー派遣を、次の理事会に合わせて申請する
年4回・1回2時間が無料。原則3週間前までの申請です。逆算すると、来月の理事会に呼ぶなら今週中に03-3981-1385へ電話する必要があります。利用者多数の場合は年度途中で受付終了もあり得ます。
3. 調査を予定しているなら、契約前に区へ相談する
計画修繕調査費助成は、契約締結前の申請が条件で、調査完了は年度内。しかも予算の範囲内です。見積りを取り始める前に、住宅・マンション課へ一本入れてください。順番を間違えると、20万円が消えます。
この3つは、どれも理事会の決議を待たずに「問い合わせ」まで進められます。総会の前段階で情報を集めておくかどうかで、1年後の選択肢の数が変わります。
よくあるご質問
Q. 豊島区のマンションアドバイザー派遣は、何回まで無料ですか?
A. 1つのマンションにつき、同一年度内で4回までです。1回あたり2時間まで、費用は無料です(会場費や資料代が発生した場合は管理組合の負担になります)。利用者が多数の場合は年度途中で受付を終了することがあるため、早めの申請をおすすめします。
Q. アドバイザー派遣で、長期修繕計画を作ってもらえますか?
A. 作成はできません。豊島区は派遣対象外の業務として、耐震診断の実施、長期修繕計画の作成、修繕工事等の設計書作成、係争中の事案、測定器による建物の精密測定の5つを挙げています。長期修繕計画の作成や更新のための劣化診断調査については、計画修繕調査費助成(費用の2分の1・20万円限度)のほうが対象になります。
Q. 賃貸マンションやビルのオーナーでも使える制度はありますか?
A. 豊島区のマンションアドバイザー派遣や各種助成は、分譲マンションの管理組合が対象です。一方で、東京都の「東京とどまるマンション」制度の防災備蓄資器材の補助は、賃貸マンションの所有者等も対象に含まれます。区の法律相談(区民相談課 03-3981-4164)も、豊島区在住・在勤・在学であれば個人として利用できます。収益物件の維持管理・修繕についてはビル・収益不動産オーナー向けのご提案もご覧ください。
Q. 管理計画認定は、どちらのルートで申請すると安いですか?
A. 豊島区への手数料だけを見れば、マンション管理センターの事前確認を経るルートが3,900円、区に直接申請するルートが29,500円です。ただし前者はマンション管理センターへの手数料20,000円が別途必要なため、合計では23,900円になります。いずれの場合も豊島区独自の認定基準への適合が必要ですので、申請準備中にマンショングループ(03-3981-1385)へ事前相談してください。
Q. 外壁の打診調査にはいくらかかりますか?
A. 一般的な目安として250〜500円/㎡程度ですが、建物の形状、足場の要否、調査範囲によって大きく変わります。明誠ではロープアクセス工法を使い、足場を組まずに打診調査を行う方法もご提案しています。概算のお見積りをご希望でしたら明誠のお問い合わせ窓口からご連絡ください。
Q. 足場を組まないロープアクセス工法だと、工期はどれくらい短くなりますか?
A. 物件条件によりますが、仮設足場の架設・解体に要する期間が不要になるため、足場工法の6割程度の工期で完了するケースがあります。10階建て・外周80mのマンションであれば、足場工法で約3か月のところ、ロープアクセスで1.5〜2か月が一つの目安です。工法ごとの技術的な条件はロープアクセスドットコムでも解説しています。
Q. 管理状況届出をしていないと、どうなりますか?
A. 豊島区は管理状況届出書の作成・届出を管理組合の義務としており、届出が無い場合等には区の条例に基づきマンション名を公表する場合があると明記しています。届出率は8割を超えていますが、約2割が未届出という状況です。様式は建築年と戸数によって都条例系・区条例系の2種類に分かれますので、住宅・マンション課(03-3981-1385)へご確認ください。
Q. 耐震改修の助成は、工事のあとでも申請できますか?
A. できません。耐震改修助成は工事着手前の申請、工事完了は年度内のものが対象です。耐震診断助成も同様に、診断着手前の申請が条件です。計画修繕調査費助成も契約締結前の申請が必要で、いずれも「先に契約してしまうと対象外」という共通の落とし穴があります。
まとめ
豊島区の管理組合とオーナーさまが使える支援は、無料の相談・派遣が7つ、費用の一部が戻る助成が4つ。合計11あります。
このうち、豊島区でいちばん使い勝手がいいのはマンションアドバイザー派遣(年4回・1回2時間・無料)です。マンション管理士・一級建築士・税理士という3つの専門を、年度内に使い分けて呼べる。これだけの枠を用意している区は多くありません。
そして、豊島区だけの論点が管理状況届出の義務化です。届出書を作る作業そのものが、総会の開催状況、管理規約、長期修繕計画、大規模修繕の実施状況を棚卸しする無料の自己診断になっています。届出 → 課題の抽出 → アドバイザー派遣。この順で進めれば、ここまで費用はかかりません。
制度は、知っている組合だけが使えます。私が現場で見てきたかぎり、修繕で苦労する組合とそうでない組合の差は、建物の状態よりも「相談先をいくつ持っているか」で決まります。管理会社が1社だけ、という状態が一番危うい。
明誠のこれまでの施工事例(約6,000棟)は https://rita-construction.com/renew/blog/category/works/ からご覧いただけます。管理組合さま向けのサービス内容は管理組合向けの大規模修繕サポートに、私たちの仕事の考え方は明誠の理念にまとめました。
まずは03-3981-1385に一本。理事会で1分だけでも、この話題を出してみてください。
出典・参考資料
- 豊島区「マンションアドバイザー派遣事業」(2026年7月1日更新)
- 豊島区「分譲マンションの管理に関する相談窓口について知りたい」(2026年6月16日更新)
- 豊島区「管理不全の予防~まずは、こちら!~」(2026年6月18日更新)
- 豊島区「『管理状況届出制度』に関する届出について」(2026年3月5日更新)
- 豊島区「分譲マンション計画修繕調査費助成」(2026年3月10日更新)
- 豊島区「分譲マンションの耐震診断助成事業」(2025年8月12日更新)
- 豊島区「分譲マンションの耐震改修助成事業」(2025年6月17日更新)
- 豊島区「分譲マンション建替え・改修アドバイザー制度利用助成」(2026年3月5日更新)
- 豊島区「豊島区マンション管理計画認定制度」(2026年8月14日更新)
- 豊島区「マンション防災」(2026年8月10日更新)
- 豊島区「法律相談(弁護士)」(2025年6月30日更新)
- 公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター「分譲マンション総合相談」
- 一般社団法人 東京都マンション管理士会
- 公益財団法人 マンション管理センター
- 東京都マンションポータルサイト「東京とどまるマンション」
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度」
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月20日時点で公表されている豊島区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。分譲マンションの耐震診断助成・耐震改修助成のページは令和7年(2025年)中の更新であり、令和8年度の予算枠や運用が変更されている可能性があります。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず豊島区住宅・マンション課マンショングループ(03-3981-1385)および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年9月20日

