本間社長ブログ

2026.09.21

荒川区のマンション管理計画認定制度|令和8年度の区手数料は当面無料・独自基準は管理状況届出【大規模修繕2026年度版】

荒川区のマンション管理計画認定制度|令和8年度の区手数料は当面無料・独自基準は管理状況届出【大規模修繕2026年度版】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

先週、荒川区の町屋で理事会にお邪魔したとき、副理事長さまからこう聞かれました。「認定を取った近所のマンションが何棟もあるらしいんですが、うちは何から手を付ければいいんでしょうか」。

ご近所の動きが気になる、というのは正しい感覚だと思います。荒川区の管理計画認定は、令和6年2月の1件目から令和8年9月まで、公表されているだけで33棟。南千住、町屋、東日暮里、西尾久と、区内にまんべんなく広がっています。

そして荒川区には、他区にない分かりやすい追い風が1つあります。区へ納める手数料が、当面無料であることです。当初認定も、変更も、更新もです。

ただし、油断できない点も1つあります。荒川区には区独自の認定基準があるということです。しかもその独自基準は、マンション管理士による事前確認の対象外です。つまり、事前確認を通っても区の審査で止まり得ます。

今回は荒川区の管理組合さま向けに、費用と落とし穴を数字から先に整理します。私は大規模修繕の現場を20年以上見てきましたが、認定基準の中身は半分近くが長期修繕計画と修繕積立金の話です。工事の話と切り離せませんので、そこも含めてお話しします。

結論:荒川区で管理計画認定を取ると何が変わるか

荒川区で認定を取得したときに変わることを、先に表にします。

論点 荒川区の場合
認定主体 東京都ではなく荒川区(特別区は区が認定主体)
制度の運用開始 令和5年11月1日
区独自の上乗せ基準 あり。「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」の要届出マンションは、管理状況の届出が行われていること
区への手数料(当初・変更・更新) 当面無料(0円)
区以外への費用 (公財)マンション管理センターのシステム利用料10,000円+事前確認審査料
申請方法 事前確認適合証を取得後、管理計画認定手続支援システムから申請(区の窓口での申請は不可)
審査期間 区に申請後、認定まで概ね1か月(不備がない場合)
有効期間 認定日から5年。満了日までに更新申請が必要
認定実績 令和8年9月15日時点で33件(公表に同意したマンション)

出典:荒川区「荒川区マンション管理計画認定制度」(更新日:2026年9月17日)

私はいつも理事長さまに「認定は、ご褒美をもらう制度ではなく、健康診断の結果票をもらう制度です」とお伝えしています。認定を取ること自体より、取りにいく過程で管理の穴が見えることのほうが、長い目では効きます。

荒川区で認定主体はどこか

管理計画認定制度は、令和4年4月に始まった国の制度です。ただし、審査して認定を出すのは国ではありません。

認定主体は次のように決まっています。

  • 市および東京23区の区域内にあるマンション → その市・区
  • 町村の区域内にあるマンション → 都道府県(法律の規定により事務を行う町村は当該町村)

出典:(公財)マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」

荒川区は特別区ですから、認定主体は荒川区です。東京都ではありません。窓口は防災都市づくり部 住まい街づくり課 住宅係(荒川区荒川二丁目11番1号 北庁舎2階/電話 03-3802-4454)になります。

もう1つ、見落とされがちな前提があります。認定申請ができるのは、マンション管理適正化推進計画を作成している自治体に立地するマンションの管理組合に限られるという点です。荒川区は「荒川区マンション管理適正化推進計画」(令和5年11月〜令和10年度末)を策定済みで、令和5年11月1日から制度を運用しています。

対象になるのは、区内に所在するいわゆる分譲マンションです。ワンオーナーの賃貸マンションは対象外とはっきり書かれていますので、投資用の一棟物件をお持ちのオーナーさまは、この制度ではなく別の打ち手(長寿命化工事そのものの費用対効果や、管理の見える化)で資産価値を組み立てることになります。

なお、新築マンションの管理計画案については、マンション管理センターが認定主体となる「予備認定」という別の仕組みがあります。既存マンションの認定とは入口が違うので、混同しないようご注意ください。

荒川区の管理計画認定基準を、5つの塊で読む

国の認定基準は、細かく数えると17項目あります。荒川区はこれに独自基準を1つ足した形です。条文どおりに読むと頭に入りませんので、5つの塊に分けてご説明します。

1. 管理組合の運営(3項目)

  • 管理者等が定められていること
  • 監事が選任されていること
  • 集会(総会)が年1回以上開催されていること

2. 管理規約(3項目)

  • 管理規約が作成されていること
  • 災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部分への立入り、修繕等の履歴情報の管理について定められていること
  • 管理組合の財務・管理に関する情報の書面交付(または電磁的方法による提供)について定められていること

3. 管理組合の経理(3項目)

  • 管理費と修繕積立金等が明確に区分して経理されていること
  • 修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこと
  • 直前の事業年度末時点で、修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること

4. 長期修繕計画の作成及び見直し等(6項目)

ここが本丸です。

  • 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成され、計画の内容と修繕積立金額が総会で決議されていること
  • 長期修繕計画の作成または見直しが7年以内に行われていること
  • 計画期間が30年以上で、かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるよう設定されていること
  • 将来の一時金徴収を予定していないこと
  • 計画期間全体での修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと
  • 計画期間の最終年度において、借入金の残高がない長期修繕計画となっていること

5. その他(3項目・ここに荒川区独自基準が入る)

  • 組合員名簿・居住者名簿を備え、年1回以上は内容の確認を行っていること
  • 荒川区マンション管理適正化指針に照らして適切なものであること
  • 【荒川区独自基準】「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」の要届出マンションに該当する場合、管理状況の届出が行われていること

出典:荒川区「荒川区マンション管理計画認定制度」、(公財)マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」

この基準の根拠となる国のガイドライン類は、直近で相次いで改訂されています。事務ガイドラインは令和8年3月改訂、マンション標準管理規約は令和7年10月改正、長期修繕計画標準様式・作成ガイドラインと修繕積立金ガイドラインは令和6年6月改訂です。古いひな形のまま総会に上程すると、事前確認で差し戻されます。ここは本当に多いので、先に確認してください。

荒川区独自基準「管理状況届出」の正体と、実務上の意味

荒川区の独自基準は1つだけ。しかし、高経年マンションにとっては無視できない1つです。

東京都には「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」という条例があり、昭和58年(1983年)12月31日以前に新築されたマンションは、管理状況を届け出る義務があります。これを「要届出マンション」と呼びます。

荒川区の認定基準では、この要届出マンションに該当する場合、管理状況の届出が済んでいることが認定の条件になります。

出典:荒川区「マンション管理状況届出制度」(更新日:2026年8月20日)

ここで実務上、決定的に重要な点があります。

区独自基準は、マンション管理士による事前確認の対象外です。

マンション管理センターのページにも、「地方公共団体が独自の認定基準を設けている場合、当該独自基準はマンション管理士による事前確認の対象外となります」と明記されています。つまり、事前確認適合証が出たからといって、荒川区の審査を通る保証にはなりません。届出が未済のまま申請すると、区の段階で止まります。

築40年を超える荒川区内のマンションは、この条件に該当する可能性が高いと考えたほうが安全です。昭和58年以前の竣工であれば、まず管理状況の届出を済ませているかを、理事会の議事録か引継書で確認してください。届出先は荒川区役所 住まい街づくり課 住宅係(電話 03-3802-4454)、届出システムのID・パスワードに関する問い合わせは東京都住宅政策本部マンション課(電話 03-5320-4913)です。

逆に言えば、昭和59年以降に新築されたマンションであれば、この独自基準は実質的に関係ありません。国の基準17項目だけを見ればよいことになります。

築年で分岐する、というのが荒川区の特徴です。ここを最初に仕分けてください。

荒川区の手数料は「当面無料」——では総額はいくらか

お金の話を整理します。荒川区のホームページにはこう書かれています。

荒川区への申請・変更・更新手数料は当面無料です。

※注釈 管理計画認定手続支援システム利用料及び事前確認審査料が別途必要です。

(出典:荒川区「荒川区マンション管理計画認定制度」)

23区の中には、当初認定で4,000円前後の手数料を条例で定めている区もあります。荒川区はそこが0円です。金額そのものは大きくありませんが、変更認定と更新も無料である点は効きます。5年ごとの更新に手数料がかからないということは、10年、15年と続ける前提で考えたときに差が出ます。

ただし「当面」という言葉には注意してください。条例改正で有料化される可能性はゼロではありません。申請の直前に、区のページで最新の記載を確認してください。

区への手数料が無料でも、認定取得は無料ではありません。区の外に支払う費用があります。

総額の目安(長期修繕計画が1計画の場合)

費目 支払先 金額の目安
区への認定手数料 荒川区 0円(当面無料)
システム利用料 (公財)マンション管理センター 10,000円(1申請あたり、税込。うち消費税909円)
事前確認審査料 依頼先による 10,000円(長期修繕計画1計画あたり、税込。パターン③・④の場合)
合計 — 20,000円程度

出典:(公財)マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」

事前確認審査料は、申請パターンによって決まり方が変わります。

  • パターン①:事前確認講習を修了したマンション管理士に個別に依頼 → 審査料は管理組合と管理士の協議で決定(センターは関与しません)
  • パターン②:管理会社経由で(一社)マンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」と併せて申請 → 審査料は委託先との協議
  • パターン③:(一社)日本マンション管理士会連合会経由で「マンション管理適正化診断サービス」と併せて申請 → 長期修繕計画1計画あたり10,000円
  • パターン④:管理組合が直接マンション管理センターに申込 → 長期修繕計画1計画あたり10,000円
  • パターン⑤:管理組合が直接自治体に申請 → 事前確認は行われない

荒川区は「区の窓口での申請はできません」と明記しており、区への申請には事前確認適合証が必要とされています。したがって、荒川区の管理組合が現実的に選ぶのは①〜④です。パターン⑤は想定されていないと考えてください。

費用を確定させたいならパターン④が最も読みやすい、というのが私の実感です。合計20,000円で天井が見えます。一方、管理会社に管理を委託していて、管理会社が適正評価制度を使っているならパターン②が手間は少なくて済みます。

見落としやすい費用

表に出てこない費用が2つあります。

1つは、長期修繕計画の見直し費用です。作成・見直しが7年以内でない場合、あるいは計画期間が30年に届いていない場合、計画そのものを作り直す必要があります。管理会社や設計事務所に依頼すれば、規模によりますが数十万円単位の費用になります。

もう1つは、管理規約の改正費用です。専有部立入り・履歴情報の管理・情報の書面交付の3点が規約にない場合、規約改正が必要です。総会の特別決議(区分所有者および議決権の各4分の3以上)が要りますので、日程も含めて余裕を見てください。

認定手数料が無料だからといって、認定取得が無料とは限らない。ここは正直にお伝えしておきます。

認定の3つの経済効果を、金額で押さえる

「20,000円払って、何が返ってくるのか」。ここが一番知りたいところだと思います。荒川区のページに挙げられているメリットを、お金の話に翻訳します。

1. 固定資産税の減額(マンション長寿命化促進税制)

一定の要件を満たす長寿命化工事(屋根防水工事・床防水工事・外壁塗装等工事)を実施した場合、工事の翌年度に課される建物部分の固定資産税が2分の1に減額されます。

対象期間は令和5年4月1日から令和9年3月31日までに長寿命化に資する大規模の修繕等が行われたマンションです(当初の令和7年3月31日から、令和7年度税制改正で2年延長されました)。

出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」

ここで順番の話をします。この税制を狙うなら、認定が先、工事が後です。 工事を終えてから認定を取っても、その工事には適用されません。大規模修繕の着工予定がある荒川区の管理組合さまは、今すぐスケジュールの前後関係を整理してください。令和9年3月31日という期限を考えると、逆算できる時間は決して長くありません。

2. フラット35の金利引下げ

管理計画認定マンションは、フラット35の借入金利が当初5年間・年0.25%引下げの対象になります。これは区分所有者個人が住宅を購入・借換えする際の話ですので、管理組合の会計に直接効くものではありません。

ただし、売却時に効きます。買主のローン金利が下がるということは、同じ返済負担で買える価格が上がるということです。中古市場での競争力に響きます。

3. マンション共用部分リフォーム融資・すまい・る債

住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資では、認定マンションは全期間・年0.2%の金利引下げを受けられます。大規模修繕で借入れを行う管理組合には直接効きます。

さらに、マンションすまい・る債の利率上乗せも受けられます。修繕積立金を運用している管理組合にとっては、こちらも実利です。

出典:荒川区「荒川区マンション管理計画認定制度」、住宅金融支援機構

なお、いずれの制度も認定以外に固有の要件があります。詳細は各制度のページで必ずご確認ください。

4. 数字にならないメリット

荒川区は、認定を受けたマンションを区のホームページとマンション管理センターの閲覧サイトで公表しています(公表に同意した場合)。実際、区のページには33棟のマンション名と所在地が並んでいます。

これは、不動産仲介会社や買主が誰でも見られる「公的なお墨付き」です。管理状態を数字で示せない中古マンション市場において、第三者が確認できる看板がある意味は小さくありません。

荒川区の管理組合がつまずきやすい4つの落とし穴

現場で見てきた範囲で、荒川区の管理組合が引っかかりやすいポイントを4つ挙げます。

落とし穴1:独自基準(管理状況届出)を事前確認で拾えると思っている

繰り返しになりますが、独自基準は事前確認の対象外です。マンション管理士は国の基準しか見ません。昭和58年12月31日以前に新築されたマンションは、申請前に自分で届出の有無を確認してください。

落とし穴2:総会決議の前に事前確認を頼んでしまう

マンション管理センターの規定で、事前確認を行うマンション管理士は「総会決議を経ていない管理組合の事前確認はできない」とされています。順番は、総会決議 → 事前確認 → 区への申請です。逆にすると、丸ごと出直しになります。

落とし穴3:有効期間5年の満了を忘れる

認定の有効期間は5年です。満了日までに更新申請をしなければ失効します。理事が毎年入れ替わる管理組合では、5年前の書類は引き継がれないことが多い。認定通知書を総会資料の定位置に綴じ、引継書に「認定有効期限:令和◯年◯月◯日」と明記しておくことを強くおすすめします。

荒川区の場合、更新手数料も当面無料ですから、更新のコスト負担は事前確認とシステム利用料だけです。忘れさえしなければ、負担は軽い。

落とし穴4:修繕積立金の「著しく低額でない」で引っかかる

私の経験上、荒川区の高経年マンションで最初につまずくのは、ほぼ決まって長期修繕計画の計画期間30年・大規模修繕2回以上と修繕積立金の平均額の2点です。

国のガイドライン(令和6年6月改訂)の水準を下回る場合、専門家による「修繕積立金の平均額が著しく低額でない旨の理由書」の提出が必要になります。しかもこの理由書は、事前確認を担当するマンション管理士が作成することはできません。別の専門家を探す必要があり、その分の費用と時間がかかります。

認定基準の本丸は長期修繕計画——だから工事費の話になる

ここから先は、大規模修繕の施工業者としての話です。

認定基準17項目のうち6項目が長期修繕計画に関するものです。そして、その長期修繕計画が通るかどうかは、突き詰めると「30年分の工事費を、今の積立で賄えるか」という一点に収束します。

このとき、多くの管理組合が「積立金を上げる」という解法しか検討しません。しかし、方程式の右辺——つまり工事費のほうを下げるという解法もあります。

仮設費という、意外に大きな塊

30戸規模のマンションの大規模修繕は、総額3,500万〜5,000万円程度がレンジです(建物の状態・仕様により大きく変動します)。このうち仮設足場が15〜25%を占めるのが一般的です。

仮設足場は、建物を1ミリも良くしません。作業員が高所に届くための手段です。にもかかわらず、総工費の5分の1前後を持っていく。

ここを圧縮できると、長期修繕計画の帳尻が変わります。

足場とロープアクセスの費用差(目安)

10階建て・外周80m・工期3か月のマンションを想定した目安です。

項目 通常足場工法 ロープアクセス工法
仮設費 約168万円 約59万円
差額 — ▲約109万円
工期の目安 約3か月 約1.5〜2か月
居住者への影響 全戸のベランダ・窓に足場。防犯・日照・プライバシーの影響が大きい 作業箇所のみ。生活影響を局所化できる

※あくまで目安・参考値です。建物形状、劣化状況、工事範囲、近隣条件によって実際の金額は大きく変わります。必ず現地調査のうえでのお見積りをご確認ください。

参考までに、㎡単価の目安も挙げておきます。外壁塗装3,500〜4,500円/㎡、外壁打診調査250〜500円/㎡、防水5,000〜8,000円/㎡といったレンジです(いずれも仕様・数量により変動します)。

30年の長期修繕計画に大規模修繕が2回入るとすれば、仮設費の圧縮効果も2回分効きます。100万円の差が2回で200万円。修繕積立金の月額に換算すれば、30戸で30年なら月額185円分に相当します。「著しく低額でない」のラインぎりぎりで悩んでいる管理組合にとって、この差は小さくありません。

もちろん、すべての建物にロープアクセス工法が向くわけではありません。バルコニー内部の広範囲な工事や、大掛かりな躯体補修が必要な場合は足場のほうが合理的です。だからこそ株式会社明誠では、通常足場・ロープアクセス・両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、建物特性に応じてご提案しています。3工法を自社で持っている会社は、日本でも多くありません。

明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工にあたります。工法選定の考え方は明誠のロープアクセス工法の技術詳細に、費用の考え方は大規模修繕の料金の考え方にまとめています。技術的な比較をさらに深掘りしたい方は、同業者・技術者向けの姉妹サイトロープアクセスドットコムもご覧ください。

総会から逆算する、荒川区の認定取得スケジュール

認定取得は、総会決議が必須です。年1回の通常総会しか開かない管理組合であれば、そこから逆算するしかありません。目安は5〜7か月です。

時期 やること 担当
6〜7か月前 理事会で認定取得の方針を確認。築年を確認し、昭和58年以前なら管理状況届出の有無をチェック(荒川区独自基準) 理事会
5〜6か月前 長期修繕計画の現状を点検(計画期間・大規模修繕の回数・一時金の有無・借入残高)。見直しが必要なら着手。標準様式(令和6年6月改訂)への準拠を確認 理事会+専門家
4〜5か月前 管理規約の点検。専有部立入り・履歴情報管理・情報提供の3点が規定されているか(令和7年10月改正の標準管理規約を参照) 理事会
3〜4か月前 総会で決議(長期修繕計画の内容・修繕積立金額・認定申請すること) 総会
2〜3か月前 事前確認の依頼先を決定(パターン①〜④から選択)。費用を比較 理事会
1〜2か月前 事前確認の実施 → 事前確認適合証の発行 マンション管理士等
申請月 支援システムから荒川区へ申請(区の窓口では受け付けられません) 管理者等
申請後 荒川区の審査(概ね1か月)→ 認定通知書の発行 荒川区

荒川区は、申請から認定まで「概ね1か月」と明示しています(不備等がない場合)。この見通しが公表されているのは、スケジュールを組む側としてはありがたい情報です。

9月の今から動けば、春の通常総会での決議は十分に射程です。

荒川区の管理組合が使える無料の支援

いきなり有償の専門家に依頼する前に、無料で使える窓口があります。荒川区は、ここが手厚い区です。

荒川区のコンサルタント派遣制度(出張相談)

荒川区は、分譲マンションの管理組合に対してコンサルタント(マンション管理士、一級建築士、防災士など)を派遣する「出張相談」を実施しています。相談内容には、管理計画認定制度の申請にあたっての相談が明示的に含まれています。

利用回数は、防災に関する助言が1年度につき3回まで(毎年リセット)、それ以外の助言が1管理組合につき通算6回まで(次年度へ繰越)です。申込は、派遣希望日の7日前までに申請書と関連資料を区へ提出します。事前相談が必要です。

ただし、管理規約や長期修繕計画等の書類作成、見積の作成、修繕工事の設計、耐震等の診断・調査、特定業者の紹介は対象外です。「相談」と「実務」の線引きは明確ですので、そこは押さえておいてください。

出典:荒川区「コンサルタント派遣制度(マンション)」(更新日:2026年9月4日)

マンション管理計画認定制度「相談ダイヤル」

(一社)日本マンション管理士会連合会が運営する専用ダイヤルです。認定制度や長寿命化促進税制について、マンション管理士の相談員が回答します。

  • 電話番号:03-5801-0858
  • 受付時間:月曜〜土曜 午前10時〜午後5時(祝日・休日、年末年始を除く)

管理計画認定手続支援システムに関する相談

システムの操作や申請パターンについては、(公財)マンション管理センターへ。

  • 電話番号:03-6261-1274
  • 受付時間:月曜〜金曜 午前9時30分〜午後5時(祝日・休日、年末年始を除く)

荒川区の窓口

制度そのものの運用や独自基準については、荒川区役所 防災都市づくり部 住まい街づくり課 住宅係(北庁舎2階/電話 03-3802-4454)へ。申請の全体像は、区が公開している荒川区マンション管理計画認定制度・認定申請の手引き(PDF)が最もまとまっています。最初にここを読むのが早道です。

よくあるご質問

Q. 荒川区で管理計画認定を取るのに、全部でいくらかかりますか?

A. 長期修繕計画が1計画の標準的なケースで、20,000円程度が目安です。内訳は荒川区への手数料0円(当面無料)、マンション管理センターのシステム利用料10,000円、事前確認審査料10,000円(マンション管理センターまたは日本マンション管理士会連合会経由の場合)です。マンション管理士に個別に依頼する場合、審査料は協議で決まります。ただし、長期修繕計画の見直しや管理規約の改正が必要な場合は、別途その費用がかかります。

Q. 荒川区に独自の認定基準はありますか?

A. あります。「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」の要届出マンション(昭和58年12月31日以前に新築されたマンション)に該当する場合、管理状況の届出が行われていることが条件です。この独自基準はマンション管理士による事前確認の対象外ですので、申請前にご自身で届出の有無を確認してください。

Q. 賃貸マンションでも認定は取れますか?

A. 取れません。荒川区の制度対象は区内の分譲マンションで、ワンオーナーの賃貸マンションは対象外と明記されています。一棟オーナーさまの資産価値対策としては、長寿命化工事そのものの費用対効果と、修繕履歴の記録という別の切り口でのご提案になります。詳しくはオーナー向けの大規模修繕をご覧ください。

Q. 認定を取ると、区から補助金がもらえますか?

A. 認定そのものに対する補助金はありません。経済的なメリットは、固定資産税の減額(マンション長寿命化促進税制)、フラット35の当初5年間・年0.25%引下げ、マンション共用部分リフォーム融資の全期間・年0.2%引下げ、マンションすまい・る債の利率上乗せの4つです。

Q. 認定と大規模修繕、どちらを先にやるべきですか?

A. 固定資産税の減額を狙うのであれば、認定が先です。長寿命化促進税制は、認定マンションが長寿命化に資する大規模修繕工事を完了させた場合に適用されるためです。しかも対象期間は令和9年3月31日まで。着工予定のある管理組合さまは、前後関係を早めに整理されることをおすすめします。

Q. 修繕積立金が少ないと、認定は取れませんか?

A. 認定基準では「計画期間全体での修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと」が求められます。国のガイドライン(令和6年6月改訂)の水準を下回る場合は、専門家による「著しく低額でない旨の理由書」の提出が必要になります。なお、この理由書は事前確認を担当するマンション管理士が作成することはできませんので、別の専門家に依頼する必要があります。積立の増額だけでなく、工事費側を圧縮して計画の帳尻を合わせる選択肢もあります。

Q. 大規模修繕の工期はどれくらい見ればいいですか?

A. 足場を架ける従来工法では、10階建て・外周80m程度のマンションで約3か月が目安です。ロープアクセス工法を使う場合は1.5〜2か月程度に短縮できるケースがあります。足場の架設・解体そのものに時間がかかるため、その工程が丸ごと不要になる分の差です。ただし、工事範囲や部位によって適する工法は変わりますので、まずは建物を見せていただいてからのご判断になります。

Q. 認定の更新を忘れるとどうなりますか?

A. 有効期間(5年)の満了日までに更新申請を行わないと、認定は失効します。荒川区は更新手数料も当面無料ですので、忘れさえしなければ負担は軽い制度です。認定通知書を総会資料の定位置に綴じ、引継書に有効期限を明記しておくことをおすすめします。

まとめ:荒川区の管理組合が今週動けること3点

荒川区は、区への手数料が当面無料で、審査期間の目安も公表されており、無料のコンサルタント派遣も使える区です。認定を取りにいく環境としては、恵まれているほうだと思います。

つまずくとすれば、制度の側ではなく、長期修繕計画と修繕積立金という管理組合の内側の問題です。あとは、築年によっては管理状況届出という独自基準が1つ。

今週、理事会で動けることを3つ挙げます。

  1. 建物の竣工年を確認する。 昭和58年12月31日以前なら、管理状況届出が済んでいるかを引継書か議事録で確認してください。これが荒川区独自基準の入口です。
  2. 長期修繕計画の表紙を見る。 作成・見直しの日付が7年以内か、計画期間が30年以上か、大規模修繕が2回以上入っているか。この3点だけなら、その場で確認できます。
  3. 次の総会の議案に「認定申請の決議」を入れるか決める。 総会決議がないと事前確認に進めません。ここを逃すと1年待ちです。

この3点で引っかかる項目が出たら、そこが認定のボトルネックです。そして、そのボトルネックが「工事費が重くて積立が追いつかない」であれば、工法の選択肢を増やすことで解ける可能性があります。

明誠のこれまでの施工事例(約6,000棟)は https://rita-construction.com/renew/blog/category/works/ からご覧いただけます。管理組合さま向けのサービス内容は管理組合向けの大規模修繕サービスにまとめました。工法ごとの技術的な違いをもう少し掘りたい方は、ロープアクセスドットコムもあわせてご参照ください。

認定を取るかどうかの前段階、「うちの長期修繕計画、そもそも通るのか」という整理だけでもお力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください(お問合せフォーム)。

10月の理事会で1分だけでも、この話題を出してみてください。春の総会に間に合うかどうかは、そこで決まります。

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月21日時点で公表されている東京都荒川区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。特に荒川区の認定手数料は「当面無料」という記載であり、将来的に有料化される可能性があります。また、マンション長寿命化促進税制の適用期限は令和9年3月31日です。実際に申請される前に、必ず荒川区(防災都市づくり部 住まい街づくり課 住宅係 電話 03-3802-4454)および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月21日

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