本間社長ブログ

2026.10.01

マンション大規模修繕の談合を受け国交省が検討会を設置|10月19日に初会合、管理組合が『発注の仕組み』を今から見直すべき理由【2026年10月】

マンション大規模修繕の談合を受け国交省が検討会を設置|10月19日に初会合、管理組合が『発注の仕組み』を今から見直すべき理由【2026年10月】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

この記事で分かること

「うちのマンションの大規模修繕は、本当に適正な金額で発注できているのだろうか」——2026年9月28日の公正取引委員会の発表以降、理事長さまや修繕委員会の方から、私のところにもこうしたご相談が増えています。

この記事では、次の問いにお答えします。関東のマンション大規模修繕工事をめぐる談合が認定され、国土交通省が発注適正化の検討会を設置した今、管理組合とオーナーは何を確認し、どこから発注の仕組みを見直せばよいのか?

きっかけは、2026年9月29日にGoogleアラートで届いた複数の報道です。公正取引委員会が関東のマンション大規模修繕工事をめぐる独占禁止法違反を認定したこと、そして国土交通大臣が「誠に遺憾」と述べ、国土交通省が有識者による検討会を設けると報じられたことが並んでいました(出典:日本経済新聞「マンション修繕工事、適正発注へ有識者会議 談合受け国交省が設置へ」)。

私は株式会社明誠の本間と申します。東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年以上やってきました。この業界の人間として、今回の件は他人事ではなく、正直に申し上げて、悔しい思いで受け止めています。ただ、感情論で終わらせても管理組合さまの役には立ちません。今日は、公的な一次情報と報道を分けて整理し、理事会が来週から動ける形でお伝えします。

なお、この記事は特定の会社や特定のマンションについて、違法性や損害の有無を断定するものではありません。公正取引委員会の命令の内容は公表資料で確認できる範囲にとどめ、報道由来の数字は出典を示して区別します。個別の対応は、弁護士やマンション管理士などの専門家にご相談ください。


結論:管理組合は「誰が、どの情報を握って、どう比較するか」を先に決めておくと守りやすくなります

先に結論をお伝えします。私は、今回の件から管理組合が学べる点を、次の3つに整理しています。

  1. 公取委が認定した構図は「管理組合の予算情報が、特定の業者に先に渡る」ことから始まっている(公表資料の記述にもとづく)
  2. 国交省の検討会は2026年10月19日に初会合が予定されており、ルールづくりはこれから(結論が出る前に、組合側でできる備えがある)
  3. 備えの中心は、予算の非開示・比較のものさしの統一・選定過程の記録という3点

特別な知識がなくても、理事会の運営ルールを少し変えるだけで、リスクを下げられる部分があります。以下で順に説明します。


1. ニュースの要点:公取委の命令と、国交省の検討会設置

まず、事実を確認します。ここは公表資料に当たれる部分と、報道に頼る部分を分けて書きます。

1-1. 公正取引委員会の発表(2026年9月28日)

公正取引委員会は2026年9月28日、関東地区のマンション管理組合が設計コンサルタント業務を委託したうえで発注する大規模修繕工事をめぐり、施工業者らに対して、独占禁止法にもとづく排除措置命令と課徴金納付命令を行いました。公表資料の表題は「関東地区所在のマンションの管理組合が設計コンサル業者に委託して発注する大規模修繕工事の施工業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について」とされています(出典:公正取引委員会 報道発表(令和8年9月28日))。

公表資料から読み取れる主な数字は次のとおりです。

項目 内容 出典
課徴金の合計 16億3,788万円 公正取引委員会 報道発表資料
違反行為の開始時期 設計コンサル2社のうち、一方の関連案件は遅くとも令和3年9月27日以降、もう一方の関連案件は遅くとも令和3年11月16日以降 同上
対象事業者 設計コンサル2社に関連する施工業者ら(延べ・実数の内訳は公表資料に記載。報道では「38社に排除命令」「42社を認定」など表現が分かれる) 同上
課徴金の納付期限 令和9年4月30日 同上

対象件数や発注総額については、報道各社が「関東1都6県のマンション修繕工事171件」などと伝えています(出典:日本経済新聞「マンション大規模修繕談合 公取委、38社に排除命令」)。毎日新聞は「計310億円」と報じており、報道によって表現が異なります。本記事では「報道では」と断ったうえで、おおむね300億円規模という理解にとどめます。

1-2. 国土交通省の動き(2026年9月29日公表)

国土交通省は、「マンション大規模修繕工事の発注等の適正化に関する検討会」を設置し、初会合を開くと公表しました。主な内容は次のとおりです(出典:国土交通省 報道発表資料)。

項目 内容
検討会の名称 マンション大規模修繕工事の発注等の適正化に関する検討会
第1回の日時 2026年10月19日(月)15:00〜17:00
目的 管理組合が留意すべき事項や、適切な事業者確保に向けた方策などを議論する
公開の範囲 検討会は非公開(報道関係者は冒頭のみ傍聴可)。資料と議事要旨は後日、国土交通省のホームページに掲載予定
担当 国土交通省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)付

大切なのは、検討会は「これから議論を始める」段階だという点です。どのような指針やガイドラインが出るのかは、現時点では分かりません。したがって、結論を待つより、いま組合の側でできる備えを進めておくほうが、合理的だと私は考えています。

1-3. 背景にある「市場の大きさ」

報道によると、国土交通省の集計で全国の分譲マンションは2025年末時点で約720万戸を超える規模に達しており、修繕工事の需要も高まっています。大規模修繕工事は十数年おきに行われることが多く、規模によっては1回の工事が1億円を超えることもあります(出典:Yahoo!ニュース(毎日新聞)「計310億円のマンション修繕談合」)。

1億円を超える発注は、管理組合にとって人生で何度も経験しない大きな意思決定です。私の経験上、理事長さまの多くは建築の専門家ではなく、初めての大規模修繕で「何を基準に判断すればよいのか」と不安を抱えながら、任期の2年間で結論を出すことになります。


2. 公取委が認定した「受注調整」の仕組みを、管理組合目線で読み解く

公表資料に書かれた手口を、専門用語を避けて整理します。ここは、組合が自衛するための大事な部分です。

2-1. 公表資料に書かれている仕組み

公取委の公表資料には、次のような構図が記載されています(出典:公正取引委員会 公表資料(PDF))。

  1. 施工業者が受注希望を設計コンサル業者に伝え、「受注予定者」が決められる「受注協力関係」がある
  2. 設計コンサル業者が、設計予算情報を受注予定者に提供する
  3. 「受注予定者以外の者は、受注予定者が受注できるように協力する」という合意にもとづく動きがある
  4. 受注予定者以外は、受注予定者が受注できる見積価格を提示するか、見積りに参加しない(公表資料の趣旨)
  5. 受注後、工事請負契約金額の「一定割合に相当する金銭」が「手数料等」として支払われる

ここで私が注目するのは、管理組合の手元に届く見積書は、どれも「競争した結果」の顔をしている点です。相見積りが3社、5社と並んでいても、提出の前に調整が済んでいれば、組合は比較しているつもりで、実は比較できていないことになります。

2-2. 「設計監理方式」そのものが悪いわけではありません

誤解のないように申し上げます。設計コンサルタントが組合の代理人として仕様書を作り、見積りを比較し、工事を監理する「設計監理方式」は、多くの管理組合で採用されてきた、正当な方式です。専門家が組合の味方として機能すれば、素人の理事会にとって心強い仕組みになります。

問題になるのは、本来は組合の側に立つべき専門家が、特定の施工業者と利害でつながってしまう場合です。今回の公表資料は、まさにその構図を問題にしています。設計コンサルの独立性をどう確保するか——これが今後の議論の中心になると、私は見ています。

2-3. 報道が伝える「水増し」の大きさ

報道では、談合によって工事費が押し上げられた可能性や、リベートの相場に関する指摘も出ています。読売新聞は社説で、価格のつり上げ分の補償を急ぐべきだと論じました(出典:読売新聞 社説「マンション談合 価格つり上げ分の補償を急げ」)。

ただし、実際に各マンションでどれだけ高くなったのか、損害がいくらなのかは、個別の事案ごとの判断になります。私が現場で見てきた感覚でも、見積りの差は工法や仕様、劣化の程度で大きく変わるため、「差額=水増し」と単純に決めつけることはできません。この点は慎重に考える必要があります。


3. なぜ管理組合は気づきにくいのか:「情報の非対称」が生まれる3つの場面

談合が疑われる構造が生まれやすい背景には、管理組合と業者のあいだの情報格差があります。私が相談を受けるなかで、特に見落とされやすい場面を3つに整理します。

3-1. 予算を「先に聞かれる」場面

修繕委員会が立ち上がった初期に、業者や設計コンサルから「ご予算は、いくらくらいをお考えですか」と聞かれることがあります。修繕積立金の残高を伝えるのは、親切心からの場合が多いのですが、予算の上限を先に知った側は、その範囲いっぱいで見積りを組み立てやすくなります。

私はいつも理事長さまに、予算の総額は最後まで伏せ、仕様を先に固めるようにお伝えしています。予算は「工事の範囲」と「優先順位」を決めたあとで、初めて意味を持つ数字だからです。

3-2. 相見積りが「揃いすぎている」場面

5社から見積りを取ったのに、金額の並び方が不自然なほど整っている場合があります。たとえば、最安の会社と他社の差が毎回ほぼ同じ比率だったり、項目の順番や言い回しが似通っていたりするケースです。

もちろん、同じ仕様書で見積もれば金額が近づくのは自然なことです。だからこそ、「近いから怪しい」と決めつけるのではなく、見積りの内訳(数量・単価・諸経費)を項目ごとに並べて比べる習慣が大切になります。

3-3. 推薦の理由が「説明されない」場面

設計コンサルから「この会社が良いと思います」と推薦されたとき、その理由が施工実績・体制・保証内容などの具体的な根拠で語られているかどうかを確認します。根拠が曖昧なまま、特定の会社だけが強く推される場合は、理事会として理由を文書で求めてよい場面です。

場面 起こりがちなこと 組合側でできる確認
初期の予算質問 積立金の残高や上限を伝えてしまう 予算総額は仕様確定後まで伏せる
相見積りの比較 総額だけで比べ、内訳を見ない 項目別の比較表を第三者と作る
業者の推薦 理由が曖昧なまま特定社が推される 推薦理由と紹介料の有無を文書で確認
選定会議 議事録が残らない 選定基準と採点結果を議事録に残す

4. 発注方式の違いを知る:設計監理・責任施工・CMの比較

「誰を組合の味方にするか」は、発注方式の選択そのものです。代表的な3つを、一般的な特徴で整理します。各方式の向き不向きは建物や組合の体制で変わるため、優劣を断定するものではありません。

方式 仕組み 組合にとっての利点 留意点
設計監理方式 設計コンサルが仕様作成・業者選定支援・工事監理を担う 専門家が組合の代理人として関与できる コンサルと施工業者の独立性の確認が欠かせない
責任施工方式 施工業者が診断・設計・施工まで一括で担う 窓口が一本で、意思疎通が早いことが多い 比較の相手が少なくなりやすく、第三者の目を入れる工夫が必要
CM(コンストラクション・マネジメント)方式 発注者側の立場でマネジャーが工程・費用を管理する 費用の内訳が見えやすい設計にしやすい 報酬体系と、CM自身の利害関係の確認が必要

4-1. どの方式でも共通する「確認の軸」

私は、どの方式を選ぶ場合も、次の3点は理事会で確認してほしいとお伝えしています。

  1. 報酬の仕組みが見えるか:設計コンサルやCMへの報酬は、組合が直接支払う固定報酬か。施工業者から何らかの金銭を受け取る仕組みはないか
  2. 利害関係の申告があるか:特定の施工業者との取引関係・資本関係・紹介関係がある場合に、書面で申告してもらえるか
  3. 選定の経過が記録されるか:採点基準、採点結果、選定理由が議事録に残り、総会で説明できるか

4-2. 「紹介料」という言葉に敏感になる

紹介や仲介に対する金銭の支払いについては、報道でもさまざまな指摘が出ています。公取委の公表資料が「工事請負契約金額の一定割合に相当する金銭」を問題としている点も、この文脈で読むと分かりやすくなります。

理事会では、「この工事に関して、施工業者から設計コンサル・管理会社・紹介者へ、金銭の支払いはありますか」と、入札の要項に明記して確認する方法があります。回答を文書で求めておけば、後から事情が分かったときに、組合の立場を整理しやすくなります。


5. 管理組合が今日から動ける「7つの備え」

検討会の結論を待たずに、理事会の運営ルールとしてすぐ着手できる項目を、優先度の高い順に並べます。

備え1:予算総額は、仕様確定まで非開示にする

修繕積立金の残高や、総会で承認された予算の上限は、業者選定の前段階では外部に伝えない運用にします。必要なときは、工事の範囲と優先順位を先に決め、予算はその後に示します。

備え2:仕様書と見積書の様式を統一し、内訳で比較する

各社の見積りを同じ様式の内訳に揃え、数量・単価・諸経費・仮設費・保証内容を項目別に並べます。第三者の専門家に比較表づくりを依頼する方法も有効です。

備え3:見積りの参加社は、実績や系列の偏りを見て選ぶ

相見積りに参加する5社が、実は同じ系列や同じ紹介ルートだった、という事態を避けるため、会社の資本関係・取引関係を申告してもらうと、偏りに気づきやすくなります。

備え4:利害関係と金銭授受について、書面で申告してもらう

設計コンサル・管理会社・施工業者のそれぞれから、「本工事に関連して金銭のやり取りはありません」「あるなら内容と金額」を記した書面を取ります。

備え5:選定の過程を、議事録と資料で残す

誰が・いつ・どの基準で・どう採点したかを記録します。理事が交代しても、説明できる形で残すことが、次期以降の組合を守ります。

備え6:外部の相談窓口を活用する

国土交通省は、相談窓口を周知しています。管理組合や区分所有者の疑問に応える窓口として、次の2つが案内されています(出典:国土交通省「マンション大規模修繕工事の発注等に関する相談窓口の周知等について」)。

窓口 内容 電話番号・受付時間
住まいるダイヤル マンション管理士や建築士等によるアドバイス。見積費用チェックサービス(無料)の案内あり 03-3556-5147/月〜金 10:00〜17:00(祝日・年末年始を除く)
マンション管理センター 建物・設備の維持管理等に関するアドバイス 03-3222-1519/月〜金 9:30〜17:00(祝日・年末年始を除く)

受付時間や内容は変わる場合がありますので、ご利用前に国土交通省のページで最新の情報をご確認ください。

備え7:疑わしい点は、ひとりで抱え込まずに情報提供窓口へ

独占禁止法違反の疑いがある事実を知った場合、公正取引委員会には申告の窓口が設けられています(出典:公正取引委員会 独占禁止法違反被疑事実についての申告窓口)。疑いの段階で理事会が判断するのは難しいため、まずは弁護士などの専門家に相談し、必要に応じて窓口を使う、という順番が現実的だと私は考えます。


6. すでに契約済み・工事中・工事済みの管理組合は、何を確認すべきか

「うちはもう契約してしまった」という組合も多いはずです。慌てて動く前に、落ち着いて確認する項目を整理します。

6-1. まずは事実関係の確認から

公取委の公表資料では、命令の対象となった事業者や、対象となった設計コンサルが公表されています。自分たちのマンションの工事に関わった設計コンサルや施工業者が、公表された事業者に含まれているかどうかは、公表資料と契約書で、事実として確認できる範囲があります。

ただし、「関わった」ことと「自分たちの工事で不適切な調整があった」ことは同じではありません。事実を確認したうえで、次の段階に進みます。

6-2. 損害賠償の一般的な考え方

独占禁止法には、不当な取引制限(いわゆる談合)をした事業者に対して、被害者が損害賠償を求められる仕組みが定められています。e-Govの法令検索で条文を確認できます(出典:e-Gov法令検索「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」)。

独占禁止法25条にもとづく損害賠償の請求は、排除措置命令等が確定した後でなければ裁判で主張できず(26条)、確定から3年で請求権が時効により消滅すると定められています。このほか民法上の不法行為にもとづく請求も考えられますが、要件や時効が異なります。被害の有無や金額は個別に立証が必要ですので、条文は上記のe-Govでご自身でもご確認のうえ、請求できるかどうか・いくらになるかは、弁護士に確認するのが最優先です。私は建設の現場の人間であり、法律の専門家ではありません。この点の断定は避けます。

6-3. 工事中の組合が、いまできる工夫

工事が進行中の場合、契約の解除や変更は、組合に別のリスクを生むことがあります。工事を止めるかどうかは、専門家の助言を得てから判断するのが安全です。そのうえで、次のような確認は現実的に進められます。

  • 追加工事や変更契約の見積りを、第三者の専門家に内訳でチェックしてもらう
  • 今後の追加発注は、あらためて複数社の見積りを取る
  • 設計コンサル・施工業者に、利害関係と金銭授受の有無について書面での回答を求める

7. 工法の選び方が、見積りを比べる「ものさし」を変えます

談合の話と工法の話は、一見すると別の問題に見えます。けれど私は、比較のものさしが増えるほど、組合は業者の言い値に流されにくくなると考えています。

7-1. 足場仮設の有無で、見積りの構成が変わる

一般に、大規模修繕の費用には、足場の設置・解体にかかる仮設費が相当の割合を占めるといわれます。通常の足場を組む工法、足場を使わずロープで作業する「ロープアクセス工法(無足場工法)」、両者を組み合わせる「ハイブリッド工法」では、見積りの内訳が大きく異なります。

私ども明誠は、通常足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つの工法から、建物に合わせた方法をご提案しています。建物の形状、劣化の範囲、居住者さまへの影響、工期などで、向く工法は変わります。ロープアクセス工法が常に安いわけでも、適しているわけでもありません。

7-2. 相見積りに「工法の違う案」を入れる意味

すべての会社が同じ工法・同じ仕様の見積りを出すと、金額の並びだけで比べることになり、仕様の違いによる差が見えにくくなります。そこで、あえて工法の異なる案を1〜2社ぶん入れて、内訳を比較する方法があります。足場仮設費、作業日数、居住者対応の費用などを並べると、見積りの「中身」に注意が向きます。

ロープアクセスの技術情報や、一般的な安全基準、施工事例については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しくまとめています。工法の違いを理解する入り口として、ご活用ください。

7-3. 当社の考え方

私たちは、見積りの内訳を項目ごとにご説明し、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3案を並べて比較できる形でご提案することを心がけています。工事の金額は、最終的には建物の状態と仕様で決まります。だからこそ、仕様と内訳を見える形にすることが、管理組合さまとの信頼の土台だと考えています。

大規模修繕の総合的なご提案については、大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。


8. 賃貸マンション・ビル・ホテルのオーナーにとっての意味

今回の報道は、分譲マンションの管理組合が発注する工事が中心です。ただ、賃貸マンションやビル、ホテルのオーナーさまにも、参考になる点があります。

8-1. 発注者が1人でも、「情報の非対称」は起こります

オーナーさまは、管理組合のように合議で決める必要がない分、意思決定は早くなります。その一方で、設計事務所・管理会社・施工会社のいずれかが、特定の相手を強く勧める場面では、同じ構図が生じえます。予算の非開示、内訳の比較、紹介料の確認は、オーナーさまの発注にも、そのまま使える考え方です。

8-2. 収益物件では「工期と稼働」も比較軸になる

賃貸物件やホテルでは、工事中の入居者さま・宿泊者さまへの影響が、収益に直結します。金額だけでなく、工期の長さ、騒音や臭気、共用部の使えない期間などを、見積りの比較項目に加えておくと、判断の精度が上がります。足場を組まないロープアクセス工法は、場合によって、この点で選択肢になります。具体的な適否は建物ごとに異なります。

各物件のタイプ別のご案内は、賃貸マンション・ビルオーナーさま向け、ホテルオーナーさま向け、管理組合さま向けのページにまとめています。


9. 検討会の動きを、どう追いかけるか

最後に、情報の追い方をお伝えします。

  1. 10月19日の初会合後:国土交通省のホームページに、資料と議事要旨が掲載される予定です。管理組合の理事会では、掲載を待って、論点を確認すると効率的です
  2. 指針やガイドラインが出たとき:発注方式や、設計コンサルの独立性、報酬の開示などについて、考え方が示される可能性があります。自分たちの運用ルールと照らし合わせます
  3. 公取委・国交省の追加発表:今回の命令は関東地区の事案ですが、関東以外の組合さまも、今後の発表に目を配っておくと安心です

私は、今回の件が、マンション管理のルールを見直す契機になることを願っています。専門家に頼りきりにならず、かといって専門家を疑い続けるのでもなく、見える仕組みの中で専門家の力を借りる。これが、管理組合さまと業界の双方にとって、健全な姿だと私は考えています。


よくある質問(FAQ)

Q1. 公正取引委員会は何を認定したのですか?
A. 関東地区のマンションの大規模修繕工事をめぐり、設計コンサル業者と施工業者らが受注予定者を決めて競争を制限したとして、2026年9月28日に排除措置命令と課徴金納付命令を行いました。課徴金の合計は16億3,788万円です。(出典:公正取引委員会)

Q2. 国土交通省の検討会はいつ始まりますか?
A. 「マンション大規模修繕工事の発注等の適正化に関する検討会」の第1回は、2026年10月19日(月)15:00〜17:00に開催予定です。検討会は非公開で、資料と議事要旨は後日、同省のホームページに掲載される予定です。(出典:国土交通省)

Q3. 設計監理方式は使わないほうがよいのでしょうか?
A. そうとは限りません。専門家が組合の味方として機能する正当な方式です。報酬の仕組み、利害関係の申告、選定過程の記録の3点を確認したうえで、建物と組合の体制に合う方式を選ぶことが大切です。

Q4. 自分のマンションが関係していたか、どう確認すればよいですか?
A. 公表資料で示された事業者と、自分たちの工事の契約書・議事録に出てくる会社名を照らし合わせる方法があります。関わりがあった場合も、個別の工事で不適切な調整があったかは別問題ですので、弁護士などの専門家にご相談ください。

Q5. 相談できる公的な窓口はありますか?
A. 国土交通省が、住まいるダイヤル(03-3556-5147)とマンション管理センター(03-3222-1519)を案内しています。受付は月〜金で、祝日・年末年始を除きます。(出典:国土交通省)

Q6. 予算を業者に伝えないと、見積りが出ないのではないですか?
A. 仕様書の作成を先に行えば、予算を伝えなくても見積りは出せます。予算の総額は、工事の範囲と優先順位が決まった後、最終段階で検討する運用が考えられます。


この記事のポイントまとめ

  • 公取委は2026年9月28日、関東の大規模修繕談合を認定し課徴金は合計16億3,788万円
  • 国交省の検討会は2026年10月19日に初会合で、ルールづくりはこれから
  • 構図の出発点は「予算や選定の情報が特定業者に偏る」こと
  • 予算非開示・内訳比較・利害関係の申告・議事録の4点で備えを固められる
  • 工法の異なる案を入れて比較すると、見積りの中身が見えやすくなる

出典・参考資料


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この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月1日

今回の報道を受けて、不安になった理事長さまも多いと思います。けれど、仕組みを知り、予算の出し方と比較の仕方を少し変えるだけで、守れるものは増えていきます。まずは次回の理事会で、予算の伝え方を議題に出してみてください。これは私が現場で20年以上見てきた実感です。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


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