本間社長ブログ

分譲マンションで防犯カメラ更新費10万円の臨時徴収|管理費とは別に求められたら確認したい5点と、一時金に頼らない修繕資金の備え方【2026年10月】

分譲マンションで防犯カメラ更新費10万円の臨時徴収|管理費とは別に求められたら確認したい5点と、一時金に頼らない修繕資金の備え方【2026年10月】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

この記事で分かること

「毎月、管理費も修繕積立金も払っているのに、防犯カメラの更新で10万円を追加で払ってほしいと言われました。これは普通のことなのでしょうか」——管理組合の理事長さまや、区分所有者の方から、こうしたご相談を耳にする機会が増えました。

この記事では、次の問いにお答えします。分譲マンションで「防犯カメラ更新費」などの名目で臨時徴収(一時金)を求められたとき、区分所有者と管理組合は、何を確認し、どう備えればよいのか?

きっかけは、2026年10月3日にGoogleアラート(「分譲マンション」)で届いたYahoo!ニュースの記事です。見出しや冒頭の記述によると、毎月管理費を払っているのに「防犯カメラ更新費」として10万円の臨時徴収を求められた、という相談が取り上げられ、普段の管理費とは別にこうした費用まで負担しなければならないのか、という疑問が示されています(出典:Yahoo!ニュース 配信記事)。なお、私はこの記事の全文を確認したわけではありません。ここでは冒頭で紹介されている相談内容を起点にした、一般論としてお話しします。

私は株式会社明誠の本間と申します。東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年以上やってきました。足場を組む工事も、足場を使わないロープアクセス工事も、現場で両方を経験しています。

結論を先に書きます。臨時徴収そのものは、規約と総会の決議に基づいて行われるものであり、それだけで直ちに不当と判断されるものではないと考えられます。ただし、「なぜ今必要か」「なぜ10万円なのか」「なぜ修繕積立金ではなく一時金なのか」の3点に、書面で答えられない場合は、一度立ち止まって確認する価値があると私は考えています。 そして、管理組合側から見れば、臨時徴収が必要になる前に、設備更新を長期修繕計画に織り込んでおくことが、住民との信頼を守る最も確実な方法の一つだと私は考えています。

なお、この記事は法的な助言ではありません。個別の管理組合の規約や決議の有効性は、規約の内容と経緯によって変わります。判断に迷う場合は、マンション管理士や弁護士などの専門家にご相談ください。


何が起きている?「防犯カメラ更新費10万円」の相談を整理する

相談の中身は、とても身近な話

防犯カメラは、いまや多くの分譲マンションに設置されている設備です。エントランス、エレベーター、駐輪場、ゴミ置き場。入居者の安心感に直結する一方で、機器は永遠には使えません。録画装置の故障、画質の劣化、カメラ本体の経年劣化、保存媒体の容量不足など、更新が必要になる場面は、いつか訪れます。

今回の相談で気になるのは、金額そのものよりも、「毎月の管理費とは別に」という点への戸惑いです。区分所有者の側から見れば、毎月払っているお金で賄われるはずの設備が、なぜ別途の請求になるのか、という素朴な疑問です。

管理費・修繕積立金・臨時徴収の違い

ここで、用語を整理しておきます。マンションの管理組合が集めるお金には、大きく3つの種類があります。

種類 主な使い道 集め方
管理費 日常の管理に必要な費用(清掃、設備の保守点検、管理員、共用部分の水道光熱費など) 毎月、規約に基づいて徴収
修繕積立金 長期修繕計画に基づく計画的な修繕、不測の事故などの特別な修繕 毎月、規約に基づいて積み立て
臨時徴収(一時金) 上記で賄えない不足分や、特別な支出 総会の決議などを経て、必要なときに徴収

どの費用で何を賄うかは、各マンションの管理規約で定められています。防犯カメラの更新費用が、管理費で賄われるのか、修繕積立金で賄われるのか、それとも別枠になるのかは、マンションごとの規約・長期修繕計画・過去の運用によって異なります。 全国一律のルールがあるわけではありません。

国の標準管理規約は、改正のたびに使途の考え方を整理している

国土交通省は、管理組合が規約を作る際の参考として「マンション標準管理規約」を示しています。令和7年(2025年)10月の改正の概要では、修繕積立金について、計画的な修繕や不測の事故などに加えて、「敷地及び共用部分等の改良」にも充当できるよう規定されたことが示されています(出典:国土交通省「令和7年マンション標準管理規約改正の概要」)。

これは、あくまで標準的なひな型の話です。実際に各マンションの規約が同じ内容になっているとは限りません。ご自身のマンションの規約で、修繕積立金や管理費の使途がどう書かれているかを、一度ご確認いただくことをお勧めしています。


臨時徴収を求められたら、確認したい5つのポイント

ここからが、私が理事長さまや区分所有者の方に、よくお伝えしている部分です。感情的に反発する前に、次の5点を、書面で確認してください。

ポイント1:決議の根拠はあるか

臨時徴収は、通常、管理規約の定めと、総会(または規約で定められた手続き)での決議を根拠に行われます。確認したいのは次の点です。

  1. 総会の議案書に、臨時徴収の議案として明記されていたか
  2. 議案書に、金額・徴収時期・使途・徴収方法が書かれていたか
  3. 決議の結果(賛成・反対の数)が議事録に記録されているか
  4. 規約上、理事会だけで決められる範囲を超えていないか

議案書や議事録は、区分所有者であれば閲覧を求められるのが一般的です。まずは、冷静に資料を見せてもらうことから始めてください。

ポイント2:金額の根拠は、見積りで示されているか

「1戸あたり10万円」という数字の裏には、総額の見積りと、戸数(または専有面積などの負担割合)の計算があるはずです。たとえば、総戸数が80戸のマンションで、1戸あたり10万円を集めるなら、総額は800万円です(単純計算)。

その800万円が、防犯カメラの更新費として妥当かどうかは、台数、画質、録画装置の仕様、配線工事の範囲、保守契約の有無などで大きく変わります。確認したいのは次の点です。

  1. 見積りは複数社から取っているか
  2. 見積りの内訳(機器代、工事費、保守費、諸経費)は開示されているか
  3. 機器の仕様(台数、画素数、保存期間)は、必要な水準に見合っているか
  4. 更新後の保守費用(月額・年額)は、どう変わるか

ポイント3:なぜ「臨時徴収」なのか、積立金では賄えないのか

ここが、最も大事な確認点です。防犯カメラの更新が、長期修繕計画に入っていれば、修繕積立金から支出できる可能性があります。入っていなければ、積立金の残高に余裕があっても、使途の規定によっては使えない場合があります。

つまり、臨時徴収が必要になった理由は、「設備更新が計画に入っていなかったから」か、「計画には入っていたが積立金が足りないから」のどちらかであることが多いのです。この2つは、意味が全く違います。前者は計画の見直し不足、後者は積立不足の問題です。

ポイント4:支払い方法と時期に、配慮はあるか

臨時徴収が決議された場合でも、一括払いだけでなく、分割払いや、支払い時期の猶予を設けている管理組合もあります。年金生活の世帯が多いマンションや、築年数が進んで高齢化が進んだマンションでは、こうした配慮が、トラブルの予防になります。

ポイント5:今後も同じことが起きないか

一度きりの臨時徴収なのか、今後も設備更新のたびに同様の徴収が続くのかは、区分所有者にとって重要な情報です。「今回だけ」と説明されても、他の設備(インターホン、給水ポンプ、エレベーター、照明など)の更新時期が近づいていれば、同じことが繰り返されるかもしれません。 長期修繕計画に、設備更新がどう織り込まれているかを、確認してください。


修繕積立金の不足は、全国的な課題になっている

国の調査が示す「積立不足」の現実

臨時徴収が必要になる背景には、修繕積立金の不足があります。国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、計画上の修繕積立金の積立額に対して、現在の積立額が不足しているマンションの割合は36.6%でした。不足していないマンションは39.9%、不明が23.5%です(出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」)。

また、同じ調査では、25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金の額を設定しているマンションの割合は59.8%でした。計画に基づく設定が進んでいる一方で、現実の積立額が追いついていないマンションが、少なくない割合で存在していることが分かります。

積立金の目安と、段階増額方式のリスク

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)では、専有床面積あたりの月額の目安が、事例にもとづき規模別に示されています(事例の3分の2が収まる幅)。地上20階未満・延床5,000㎡未満のマンションでは、月額235〜430円/㎡(平均335円)です。延床5,000〜10,000㎡では170〜320円(平均252円)です(出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」)。

このガイドラインは、将来の増額を前提にしない「均等積立方式」を、安定的に積み立てられる方法として位置づけています。一方、段階的に増額する方式では、計画どおりに増額しようとしても、区分所有者間で合意形成ができず、積立金が不足する場合があると注意喚起しています。

私が現場で見てきた感覚でも、「最初は安く、あとで上げる」という計画を立てたマンションほど、増額の総会で苦労されている印象があります。住民の負担感が強い増額議案は、通りにくいからです。その結果、計画上の工事ができなくなったり、臨時徴収に頼らざるを得なくなったりします。


設備更新を、長期修繕計画にどう織り込むか

「建物の修繕」と「設備の更新」を、別々に考えない

大規模修繕というと、外壁、屋上防水、鉄部塗装といった「建物の工事」を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、実際の長期修繕計画には、給排水管、電気設備、エレベーター、インターホン、防犯カメラ、照明など、「設備の更新」も数多く含まれます。

私がご相談を受けるときに、最初に確認するのは、長期修繕計画の項目に、設備の更新がどれだけ入っているかです。外壁と防水だけが細かく書かれていて、設備は「その他」にまとめられている計画は、要注意です。

設備更新を計画に入れるときの3つのコツ

  1. 更新の目安時期を、機器ごとに書き出す:メーカーの推奨や、これまでの故障履歴をもとに、目安時期を一覧にします。
  2. 概算費用を、複数社から取って幅で持つ:1社の見積りだけでなく、幅(最低〜最高)で持っておくと、積立の計画が現実的になります。
  3. 5年ごとに見直す:機器の仕様や価格は変わります。長期修繕計画は、5年程度を目安に見直すのが望ましいとされています。

管理計画認定制度を使って、計画の質を点検する

マンション管理計画認定制度は、地方公共団体が、長期修繕計画の内容や修繕積立金の状況などを基準に、管理計画を認定する制度です。認定を目指す過程で、長期修繕計画の見直しが進むという副次的な効果も期待できます。ただし、認定を受けたからといって、臨時徴収が不要になるわけではありません。制度は、あくまで「計画の質を点検する機会」として活用するのが現実的だと思います。


現場で見る「更新費が膨らむ理由」と、足場を共用する考え方

高所の機器更新は、作業費が意外と大きい

防犯カメラの更新といっても、エントランス内の低い位置にあるカメラと、建物の外壁面や外階段の上部、駐車場の天井に取り付けられたカメラでは、工事の手間が大きく違います。高い位置の機器を交換するには、脚立では届かず、高所作業車や仮設足場が必要になることがあります。

私が現場で見てきた中でも、機器代そのものより、高所で作業するための仮設費や手配費が、見積りの中で目立っているケースがありました。見積りを見るときは、機器代と工事費、仮設費が分けて書かれているかを確認してください。

大規模修繕の足場と同時にできる工事は、まとめて検討する

外壁の大規模修繕で足場を組む場合、その足場を使って、外壁面に取り付けられた照明、カメラ、センサー、看板などの点検や交換を一緒に行える可能性があります。別々に工事をすれば、そのたびに高所作業の費用がかかります。

ただし、これは「安くなる」と言い切れる話ではありません。機器の更新時期が大規模修繕の時期と合うか、足場の設置範囲に機器が含まれるか、電気工事の資格を持つ業者の手配が可能か、といった条件があります。だからこそ、設備更新の時期を長期修繕計画に書き出しておくことが、工事の組み合わせを考える前提になります。

足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法を比べる

明誠では、足場、ロープアクセス、両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つを比べて、建物にとって合理的な方法を提案しています。高所にある機器の点検・交換でも、考え方は同じです。

工法 向いているケース 注意点
通常の足場工法 外壁全面の改修と同時に、広範囲の機器を更新する場合 仮設費・工期がかかる。足場期間中は居住者への配慮が必要
ロープアクセス工法(無足場) 数か所の機器の点検・交換、部分的な補修 作業量が多いと割高になることも。建物の形状や周辺環境による制約あり
ハイブリッド工法 高層部は無足場、低層部は足場など、部位で使い分けたい場合 工程調整が必要。事前の現地調査での設計が大切

ロープアクセス工法の基本的な考え方や安全基準は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも解説しています。


想定ケースで考える|築22年・80戸のマンション

ここからは、説明のための想定ケースです。実在の建物や実際の金額ではありません。

想定する建物

築22年、鉄筋コンクリート造10階建て、全80戸の分譲マンション。1回目の大規模修繕は築12年で実施済みで、2回目を築24年ごろに予定しています。防犯カメラは築時の機器をそのまま使っていて、録画装置が不調になりつつあります。

想定される3つの進め方

パターンA:臨時徴収で対応する
防犯カメラの更新費を、総会で一時金として決議し、全戸から徴収します。短期間で資金を集められる反面、区分所有者の負担感が強く、納得感を得るための説明に手間がかかります。

パターンB:修繕積立金で対応する
規約上、使途として認められている場合は、積立金から支出します。ただし、2回目の大規模修繕の資金に影響が出ないか、残高と今後の計画を、あわせて確認する必要があります。

パターンC:大規模修繕と合わせて計画する
2回目の大規模修繕の長期修繕計画に、設備更新を正式に組み込みます。足場を使える範囲の機器は、同時に更新する前提で、費用と時期を整理します。住民への説明も、大規模修繕の議案の一部として行えます。

どれが最適かは、積立金の残高、機器の状態、規約の定めによって変わります。私は、「緊急でなければ、パターンCを先に検討する」ことをお勧めしています。 緊急性が高い場合は、最低限の応急対応をしたうえで、本格更新を計画に織り込む二段構えも、現実的な選択です。


理事会・管理組合が、臨時徴収の前にやっておくべきこと

説明資料は「なぜ」に答える内容にする

区分所有者が納得しやすい説明資料には、次の要素が入っています。

  1. 機器の現状(故障の履歴、写真、メーカーの保守終了時期など)
  2. 更新しなかった場合のリスク(防犯上の問題、録画データが残らない場合の影響)
  3. 複数社の見積り比較と、選定理由
  4. 資金の出どころの検討過程(積立金で賄えない理由、他の選択肢との比較)
  5. 負担の方法(一括、分割、猶予)と、今後の再発防止策

反対意見を、早い段階で聞く

総会の直前に議案を出すと、「説明が足りない」という不満が出やすくなります。私の経験上、議案の骨子を、総会の1〜2か月前に広報紙や説明会で共有しておくと、反対意見を早い段階で拾えます。反対意見の中には、運営を改善するヒントが含まれていることも多いのです。

専門家の力を、早めに借りる

見積りの妥当性を判断するには、第三者の目が役立ちます。マンション管理士や、設備に詳しい設計者のセカンドオピニオンを取ることを、ためらわないでください。調査や相談の費用は、工事費に比べて小さく収まることが多いと感じています。必要のない工事を省き、必要な工事に予算を集中させることが、区分所有者全員の負担を抑えることにつながる場合があります。


臨時徴収に頼らない、資金面の選択肢を知っておく

一時金のほかに、どんな選択肢があるのか

資金が足りないとき、選べる方法は臨時徴収だけではありません。管理組合が検討できる主な選択肢を、整理しておきます。

  1. 修繕積立金の見直し(増額):毎月の積立額を引き上げ、将来の支出に備える方法です。時間はかかりますが、特定の月に大きな負担が集中しにくくなります。
  2. 金融機関からの借入れ:住宅金融支援機構などが、マンション共用部分の工事向けの融資制度を設けています。借入れは返済の原資を確保する必要があり、条件も金融機関ごとに異なりますので、最新の内容は各機関でご確認ください。
  3. 自治体の補助・助成の活用:自治体によっては、防犯カメラの設置や、防犯・防災に関わる共用部分の整備を対象とした補助制度を設けている場合があります。対象となる設備、補助率、申請期限は自治体ごとに異なり、年度で変わることもあります。工事の契約前に、管理組合のある自治体の窓口で確認することをお勧めします。
  4. 仕様の見直し:機器の台数や性能を、本当に必要な水準に絞り込む方法です。防犯上の必要性を損なわない範囲で、設置場所や画質、保存期間を見直すだけでも、費用が変わることがあります。

順番は「計画」「見積り」「資金」の順に

私がご相談を受けるときにお伝えしているのは、資金の集め方から考え始めないことです。先に、何が、いつまでに必要かを整理し、複数の見積りで金額の幅をつかみ、そのうえで、積立金・借入れ・補助・一時金の組み合わせを考える。この順番を守るだけで、住民の方々の納得感は、大きく変わります。

逆に、先に「足りないから集めます」と決めてしまうと、金額の根拠が弱くなり、反対意見が出やすくなります。理事会の皆さまは、日々の運営でお忙しいと思います。だからこそ、外部の専門家の知見を、早い段階で取り入れてほしいと願っています。


注意点|この記事の読み方について

注意点①:報道は相談の一例であり、個別の事案の評価ではない

この記事は、報道された相談を起点にした一般論です。個別のマンションの臨時徴収が適切かどうかは、規約や決議の経緯、機器の状態などによって変わります。

注意点②:規約や制度は変わる

国の標準管理規約は、令和6年、令和7年と改正が続いています。各マンションの規約も、時代に合わせて見直されることがあります。実際の判断では、最新の規約と、国土交通省などの公式情報を確認してください。

注意点③:法的な判断は専門家に

臨時徴収の決議の有効性や、支払いを拒否した場合の対応などは、法律の専門的な判断が必要です。この記事は法的な助言ではありません。具体的なご相談は、マンション管理士や弁護士にお願いします。

注意点④:工事を同時にすれば安くなるとは限らない

足場を共用できれば、仮設費を抑えられる可能性はあります。しかし、機器の更新時期や工事の範囲、電気工事の手配によって、効果は変わります。工事の組み合わせは、見積りを並べて比較して判断してください。


管理組合と区分所有者に伝えたい、私の考え

私は、臨時徴収そのものが悪いとは思っていません。想定外の故障や、計画に入っていなかった支出は、どのマンションでも起こり得ます。大切なのは、「いきなり請求される」状態を、できるだけ減らすことです。

そのためには、理事会が、機器の状態と今後の更新時期を、日ごろから区分所有者に見える形で共有しておくことが有効だと考えています。毎年の総会で、「今年はここまで点検しました。来年から3年のうちに、これとこれの更新が必要になりそうです」と一言添えるだけでも、住民の受け止め方は変わります。

足場を組むか、ロープで吊るか、両方を使うか。選べる工法が増えれば、建物ごとに合った方法を選べます。明誠は、その3つを比べて提案する会社として、管理組合の「見えない不安」を、「見える数字」に変えるお手伝いをしていきたいと思っています。


よくある質問(FAQ)

Q1. 管理費を払っているのに、防犯カメラの更新で臨時徴収をされるのは普通ですか?
A. 規約や決議の内容によっては、臨時徴収が行われる場合があります。管理費で賄う範囲は規約で決まっており、設備更新が管理費や修繕積立金の対象外の場合は、総会決議を経て臨時徴収される場合があります。まず議案書と規約を確認してください。

Q2. 臨時徴収の請求を、断ることはできますか?
A. 有効な決議に基づく請求の場合、支払いを求められるのが通常とされています。個別の有効性は専門家にご確認ください。決議の手続きに疑問がある場合は、マンション管理士や弁護士などの専門家にご相談ください。

Q3. 防犯カメラの更新費は、修繕積立金から出せますか?
A. マンションの規約と長期修繕計画によります。国の標準管理規約(令和7年10月改正)では、修繕積立金を「敷地及び共用部分等の改良」にも充当できる規定が示されていますが(出典:国土交通省)、各マンションの規約が同じとは限りません。

Q4. 修繕積立金が足りないマンションは多いのですか?
A. 国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、計画上の積立額に対して現在の積立額が不足しているマンションが36.6%でした(出典:国土交通省)。

Q5. 臨時徴収を避けるには、どうすればよいですか?
A. 設備の更新時期と概算費用を長期修繕計画に入れ、5年程度ごとに見直すことが基本です。積立金の水準は、国土交通省のガイドラインの目安と比べて点検してください。

Q6. 高い場所にある機器の更新は、足場なしでもできますか?
A. 条件によっては可能です。ロープアクセスによる点検・交換という方法もあります。数か所の作業なら有利になる場合がある一方、作業量が多い場合は足場が適することもあります。現地確認のうえで比較します。


この記事のポイントまとめ

  • 防犯カメラ更新費10万円の臨時徴収を求められた相談が、2026年10月にYahoo!ニュースで取り上げられた
  • 臨時徴収は規約と総会決議が根拠。決議・金額・費用区分・支払い方法・再発の有無の5点を書面で確認する
  • 令和5年度の国の調査では、積立額が計画に対して不足するマンションは36.6%
  • 設備更新は長期修繕計画に書き出し、5年程度ごとに見直す
  • 高所の機器更新は、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法を比べて判断する

出典・参考資料


▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月5日

「いきなり請求される」をなくす一番の近道は、機器の状態と更新の見通しを、日ごろから住民と共有することです。まずは長期修繕計画の設備項目を、一度見直してみてください。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。お問合せフォームから承ります。これは私が現場で20年以上見てきた実感です。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


関連記事(姉妹サイト)

ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」もぜひご覧ください。

▶ ロープアクセスドットコムを見る


本間社長の著書のご案内

『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。

▶ Amazonで見る(Kindle版)

← 前の記事 記事一覧 次の記事 →

お気軽にご相談ください!