本間社長ブログ
さいたま市浦和区のマンション漏水・防災対策|芝川の洪水と令和8年4月公開の新内水ハザードマップから考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】
目次

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著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
2026年10月18日 更新
さいたま市浦和区で分譲マンションやビルをお持ちの方に、まず確認していただきたい資料があります。さいたま市が令和8年4月23日に公開した「内水ハザードマップ」です。時間最大153mm、総雨量249mmの雨が市全域に降った場合を想定して作られ、浦和区版も用意されています(出典:さいたま市 内水ハザードマップについて)。
私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、埼玉県内のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕も手がけています。20年以上、外壁と防水の現場に立ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。
今日は、さいたま市・気象庁・国土交通省の公式情報をもとに、浦和区の分譲・賃貸マンション、そしてオーナーさまのビルやホテルが、大規模修繕で先に手を打つべき漏水・防災の場所を整理します。
なお、この記事では、さいたま市の公式ページで浦和区に該当すると確認できた内容だけを書きます。荒川や利根川など広域の資料に出てくる河川を、浦和区のものとして並べることはしません。
結論:浦和区で優先すべきは「屋上・バルコニーの排水」「内水を前提にした低層階と設備」「芝川に近い建物の電気設備」です
先に結論を申し上げます。浦和区のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。
- 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを点検し、防水の改修時期を記録で確認する:時間153mmという想定は極端ですが、時間50mmを超える雨でも、排水が追いつかずに水が壁や窓を伝う漏水は起こります
- 内水ハザードマップ(浦和区版)で、建物の敷地と半地下・地下の駐車場、1階の電気室の位置を確認する:内水は川から離れた市街地でも起こります。市も「想定区域外でも浸水する可能性がある」と注意書きをしています
- 洪水ハザードマップで、建物が荒川・入間川、あるいは芝川の想定に入るかを住所で調べ、受変電設備・給水ポンプの置き場所を確認する:浦和区は、荒川・入間川の図と、芝川・笹目川の図の対象になっています
市の資料によれば、浦和区は大宮台地の上にあり、区の北部では見沼区との境に芝川が流れています(出典:さいたま市 区の概要(浦和区))。台地の上だから安心、とも、川があるから危ない、とも言い切れません。建物ごとに、住所で調べることが出発点になります。
浦和区のハザードマップを1枚で読む
さいたま市の公式ページから、浦和区に関わる部分を整理しました。
| 種類 | 浦和区での扱い | 想定の前提・公開時期 |
|---|---|---|
| 内水 | 浦和区版(情報面・地図面)あり | 時間最大153mm・総雨量249mm。令和8年4月23日公開 |
| 洪水(荒川・入間川) | 市内全区が対象の図に含まれる | 荒川は72時間632mm、入間川は72時間740mm |
| 洪水(芝川・笹目川など) | 浦和区が対象の図に含まれる | 芝川は2日間839mm、笹目川は24時間690mm |
| 洪水(鴨川・利根川・綾瀬川など) | 浦和区は対象外 | 市の整理による |
| 土砂災害 | 市がハザードマップを別に公開 | 浦和区内の指定は、県のGISで住所ごとに確認が必要 |
| 地震・液状化 | 市が揺れやすさマップと液状化危険度マップを公開 | 平成25年度の被害想定調査(平成26年3月策定)に基づく |
| 津波・高潮 | 内陸のため、市の浦和区向け資料に想定の記載なし | 確認できた範囲で |
出典は、さいたま市 洪水ハザードマップについて(令和7年1月作成、令和7年2月25日更新)、さいたま市 内水ハザードマップについて、さいたま市 ハザードマップ一覧です。
内水ハザードマップは、令和8年4月に新しくなりました
内水(ないすい)とは、市街地に降った雨が下水道や水路から排水しきれず、道路や敷地にたまる浸水のことです。川があふれる洪水とは別の現象です。
市の説明では、新しい内水ハザードマップは、雨水出水浸水想定区域図(令和8年3月31日指定)をもとに作られています。浸水の深さは0.1m以上10.0m未満の範囲が6段階に色分けされ、さいたま市地図情報システムの防災まちづくり情報マップで、メッシュごとの浸水深を確認できます。
大事な注意点が2つあります。一つは、このマップに一級河川の洪水は含まれていないことです。もう一つは、令和3年4月版の旧マップは、水防法施行規則に基づくものではなかったと市が書いていることです。古い版を理事会で配っている管理組合さまは、令和8年版に差し替えてください。
洪水ハザードマップは、2つの図を見ます
市の洪水ハザードマップは、河川ごとに図が分かれています。浦和区は、荒川・入間川の図と、芝川・笹目川などの図の両方に含まれます。市は、洪水浸水想定区域や想定浸水深に変更はなく、避難所名などを更新したと説明しています。
家屋倒壊等氾濫想定区域(川の氾濫で家屋そのものが流されるおそれのある区域)は、荒川・入間川の図にだけ別のPDFがあります。建物が川の近くにある場合は、浸水の深さだけでなく、この区域に入るかどうかも確認してください。
過去の浸水は「浸水履歴マップ」で見られます
想定ではなく、実際に起きた浸水は、さいたま市の「浸水履歴マップ」で確認できます。平成25年4月から令和4年12月の被害を、約50m四方のマスで、床上浸水(赤)、床下浸水(青)、道路冠水(黄)に分けて示したものです(出典:さいたま市 ハザードマップ)。
私はこのマップを、想定図と見比べるよう、理事長さまにお伝えしています。想定は計算の結果で、履歴は現実に起きた事実です。敷地の近くに赤や青のマスがあれば、その建物は過去に水が入った場所に立っています。
地域特性と漏水事故の関係
浦和区は、大宮台地の上にあり、さいたま市の中南部に位置します。市の資料では、人口は約14万5千人、世帯数は約6万2千世帯です(平成22年国勢調査ベース。古い数字なので、傾向を見る目安としてお使いください)。区北部の芝川沿いを除くと、台地の上の住宅地とマンションが中心の区です。
ここからは、私の現場感覚も交えてお話しします。
台地の上の住宅地・駅周辺のマンション:浦和駅周辺のような市街地は、舗装面が多く、雨水が短時間で側溝や下水道に集まります。想定を超える雨では、坂の下や、道路より低く造られた敷地の入口、半地下の駐車場や地下の電気室に水が流れ込みます。台地の上でも、敷地の中の「低い場所」が被害を受けます。
芝川に近い北部の建物:芝川の洪水想定は、2日間839mmという大規模な雨を前提にしています。川に近い低い敷地の建物では、1階の共用部、地下ピット、エレベーターピットの浸水が主な被害です。漏水というより、設備が水に浸かる被害になります。
築30年を超える中規模マンション:現場で多いのは、外壁や屋上の劣化部分から雨水が入り、室内側に出てくる漏水です。私が以前に見た築30年超のマンションでは、雨のたびに最上階の廊下の天井から水が落ちていました。調べると、原因は屋上の防水端部の浮きと、ドレンまわりの詰まりでした。外壁を疑って足場の見積りを取った後でしたが、実際に必要だったのは屋上の部分補修と清掃が中心で、工事の範囲は大きく絞れました。場所を特定せずに工事範囲を広げると、費用が大きくなります。
大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ
私の経験上、漏水の原因は次の7か所でほぼ説明がつきます。大規模修繕の見積りを見るときの、確認表としてお使いください。
- 屋上防水:ふくれ、ひび割れ、端部の浮きを確認します。ふくれの下に水が回っていると、見た目より範囲が広がっています
- シーリング:外壁目地とサッシ周囲の硬化・ひび割れ・肉やせを確認します。指で押して弾力がなければ、寿命のサインです
- バルコニー排水:排水溝に落ち葉や砂がたまっていないか、床の勾配が保たれているかを見ます
- ドレン(排水口):屋上とバルコニーのドレンが詰まると、水があふれて壁を伝います。雨の前の清掃が最も安く効きます
- 立上り:防水層の端部の立上りが低いと、想定を超えた雨で水が越えます。改修時に高さを見直せる部分です
- サッシまわり:枠と躯体の取り合い、水切りの不具合を見ます。横殴りの雨で最初に水が入る場所です
- エキスパンションジョイント:建物の動きを逃がす継ぎ目で、劣化すると雨水が内部に入ります
気象庁の区分では、1時間に50mm以上80mm未満の雨は「非常に激しい雨」、80mm以上は「猛烈な雨」です(出典:気象庁 雨の強さと降り方)。市の想定する153mmは、その区分の上限を大きく超えます。想定どおりの雨は限られた確率でも、50〜80mmの雨は、近年どの地域でも珍しくありません。
7か所のうち、費用をかけずにできるのは、ドレンの清掃と目視の点検です。私はいつも理事長さまに、雨の降る前の週に屋上へ上がって見ていただくようお伝えしています。
漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由
漏水が起きたとき、足場を組むところから始めると、手配だけで数週間かかります。その間に雨は何度も降ります。
ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して壁面に降りる工法です。足場を組む時間がないため、原因調査と応急処置を短い日程で始められます。シーリングの打ち替えや、外壁のひび割れ補修、部分的な防水補修のように、範囲の限られた漏水対応と相性がよい工法です。
費用面でも差が出ます。10階建て・外周80m・工期3か月の建物を例にすると、足場工法の仮設費が約168万円、ロープアクセスでは約59万円という試算があります(物件条件により変わります)。足場が不要な分、居住者の方の窓やバルコニーが覆われる期間も短くなります。
もちろん、すべての工事がロープアクセスに向くわけではありません。全面的な塗り替えや、大規模な躯体補修は足場を使うほうがよい場合もあります。株式会社明誠は、通常の足場工法、ロープアクセス工法、両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物ごとに合うものをご提案しています。
詳しい技術情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに、工法の考え方と訓練の内容をまとめています。工法の概要はロープアクセス工法のご紹介、漏水の調査と対応は漏水調査・対策のご案内もご覧ください。
防災上の共用部の位置と修繕優先度
漏水以外に、浸水や地震で止まると困る共用部を、優先度の高い順に並べます。
| 共用部 | 確認すること | 優先度 |
|---|---|---|
| 受変電設備 | 設置階が洪水・内水の想定浸水深より上か | 高 |
| 給水ポンプ | ポンプ室が地下・1階にないか | 高 |
| 非常用発電機 | 設置階と、燃料の保管場所 | 高 |
| エレベーター | ピットの浸水対策、停止時の運用 | 中 |
| 避難通路・階段 | 荷物の放置、手すり・床の劣化 | 中 |
電気設備の浸水対策については、国土交通省・経済産業省が建築物における電気設備の浸水対策ガイドラインを公表しています。設備を高い階へ移す、止水板を設ける、重要な回路だけ別に守るなど、建物の状況に合わせた考え方が整理されています。
大雨のときの危険度は、気象庁のキキクル(危険度分布)で確認できます。建物の住所は、国土地理院の重ねるハザードマップでも、洪水・土砂・津波などをまとめて調べられます。理事会で一度、画面を見ながら確認していただくのがお勧めです。
さいたま市で使えるマンション支援の制度(令和8年度)
さいたま市の住宅政策課マンション管理支援係は、令和8年度の受付を4月1日に開始した次の制度を案内しています(出典:さいたま市 マンション管理支援、ページの更新日は令和8年9月24日)。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 分譲マンションアドバイザー派遣制度 | マンション管理士の資格を持つアドバイザーを市内のマンションに派遣し、課題について助言 |
| マンションライフサイクルシミュレーション相談 | 住宅金融支援機構と連携した無料の相談。長期修繕計画の作成・見直しを支援 |
| マンション管理相談・大規模修繕相談 | 市住宅政策課による予約制の無料相談。南区役所、浦和区、大宮区で実施 |
対象となる条件や申込み方法は、制度ごとの個別ページに書かれています。申込みの前に、市の担当窓口(住宅政策課マンション管理支援係、048-829-1518)へご確認ください。なお、耐震改修や防水工事に対する補助金については、上記ページに記載を確認できませんでしたので、本記事では紹介していません。
大規模修繕の相談窓口が浦和区内にあるのは、浦和区の管理組合さまにとって心強い点です。見積りを取る前に、第三者の目で長期修繕計画を見ておくことをお勧めします。
まとめと今週動くこと3点
浦和区では、市街地全体で起こる内水、芝川側の洪水、荒川・入間川の洪水を、建物の場所に合わせて見分けることが出発点です。そのうえで、漏水の7か所と、電気設備の置き場所を点検します。
今週、動いていただきたいことを3つに絞ります。
- 令和8年4月公開の内水ハザードマップ(浦和区版)で、建物の住所の想定浸水深を確認し、理事会で共有する:旧版の令和3年版は差し替えてください
- 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の設置階を、竣工図で確認する:想定浸水深より下にあれば、止水板などの対策の検討を始めてください
- 屋上ドレンとバルコニー排水を、雨の前に清掃する:費用をほとんどかけずにできる、最も効果の高い備えです
総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。管理組合さまは管理組合向けのご案内、ビルオーナーさまはビルオーナー向けのご案内をご覧のうえ、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月18日時点で公表されているさいたま市および国土交通省・気象庁の公式情報をもとに執筆しています。制度やハザードマップは更新されることがあります。実際に判断される前に、さいたま市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- さいたま市「内水ハザードマップについて」(令和8年4月23日公開)
- さいたま市「洪水ハザードマップについて」(令和7年2月25日更新)
- さいたま市「ハザードマップ一覧」
- さいたま市「ハザードマップ(浸水履歴マップ等)」
- さいたま市「区の概要(浦和区)」
- さいたま市「地震防災マップ」(令和8年4月1日更新)
- さいたま市「マンション管理支援」(令和8年9月24日更新)
- 埼玉県「土砂災害警戒区域等の指定について」
- 気象庁「雨の強さと降り方」「キキクル(危険度分布)」
- 国土交通省・経済産業省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(概要)」
- 国土地理院「重ねるハザードマップ」
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月18日
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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
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