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杉並区のマンション管理計画認定制度|区への手数料は当面無料、独自基準なし、認定は33件【2026年度版】

杉並区のマンション管理計画認定制度|区への手数料は当面無料、独自基準なし、認定は33件【2026年度版】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

結論:杉並区で管理計画認定を取ると何が変わるか、手数料はいくらか

先に結論です。杉並区のマンションの管理計画認定は、東京都ではなく「杉並区」が行います。区への認定手数料は「当面のあいだ」無料です(出典:杉並区「マンション管理計画認定制度」、ページ更新日2026年2月27日)。

区の独自基準はありません。区の基準は国のマンション管理適正化指針と同じ内容で、国の基準を満たしていれば足ります。

お金と時間の面で、押さえておく点は次のとおりです。

  • 杉並区への認定手数料は、当面無料です
  • 事前確認の審査料と、管理計画認定手続支援システムの利用料は別にかかります(区のページに金額の記載はありません)
  • 区の認定一覧には33件が載っています。最新の認定日は令和7年7月15日です(出典:杉並区「認定マンション一覧(PDF)」。公表に同意した物件のみの掲載です)
  • 固定資産税の減額を狙う場合、外壁・床防水・屋根防水の工事完了期限は令和9年3月31日です

私は東京都東大和市に会社を構え、多摩から23区まで、20年以上マンションの大規模修繕に携わってきました。杉並区は中央線沿線の古いマンションが多く、築30年、40年の管理組合から、長期修繕計画のご相談をいただく地域です。

この記事では、理事長さま、理事の皆さまが読んだその日に動けるよう、認定主体、17の要件、独自基準の有無、申請ルートと費用、経済効果、逆算スケジュールの順にお伝えします。

杉並区の認定主体と窓口:区が認定し、窓口は住宅課空家対策係です

管理計画認定制度は、令和4年4月に始まった国の制度です。管理組合の管理計画を審査して認定する役所を「認定行政庁」(認定の事務を担う自治体のこと)と呼びます。国土交通省のページでは、マンション管理適正化推進計画をつくった市・特別区が認定を担い、市以外の町村部は都道府県が担当すると整理されています(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。

杉並区は特別区ですので、区内のマンションの申請先は杉並区です。区は「杉並区マンション管理適正化推進計画」をつくり、令和5年6月から認定制度を運用しています。

窓口は、都市整備部住宅課空家対策係です。電話は区の代表番号、03-3312-2111です。所在地は阿佐谷南1丁目15番1号になります。

認定の有効期間は、認定を受けた日から5年間です。更新する場合は、従前の期間の満了日の翌日から、さらに5年間となります。更新の申請をしないまま期間が過ぎると、認定は失効します。

認定を受けると、マンション名、所在地、認定日、認定コードが区のサイトとマンション管理センターの閲覧サイトに載ります。ただし、載るのは申請者が公表を承諾した場合に限られます。管理計画の中身までは公開されません。

認定17要件:総会・規約・経理・長期修繕計画のどこでつまずくか

国土交通省の基準は、大きく5つの分野で構成されています。管理組合の運営、管理規約、管理組合の経理、長期修繕計画の作成及び見直し等、そしてその他です。

国の基準PDFには、次の17の項目が並んでいます(出典:国土交通省「マンションの管理計画認定の基準(PDF)」)。

分野 要件
管理組合の運営 管理者等と監事の選任/総会の定期開催
管理規約 規約の作成/緊急時の専有部分への立入り/修繕履歴の保管/財務・管理情報の提供
経理 管理費と修繕積立金の区分経理/積立金会計から他会計への充当なし/滞納への適切な対処
長期修繕計画 標準様式準拠と総会決議/7年以内の作成・見直し/計画期間30年以上で大規模修繕2回以上/将来の一時金徴収を予定しない/積立金の平均額が著しく低額でない/最終年度に借入金残高なし
その他 組合員名簿・居住者名簿の整備/適正化指針に照らして適切であること

なお、杉並区の手引きは、基準を16項目に整理して記載しています。国のPDFの最後にある「適正化指針に照らして適切であること」は、手引きでは独立した項目になっていません。申請の前に、手引きの最新版をご確認ください。

現場でつまずきやすい3か所

築30年を超えるマンションで、私が実際によく見るのは次の3か所です。

1つ目は、長期修繕計画が7年以内に見直されていないケースです。作成から10年たっているのに、一度も見直されていない計画は珍しくありません。

2つ目は、計画の最終年度に借入金が残る資金計画になっているケースです。大規模修繕のために借入れを前提にしている計画は、この要件で止まります。

3つ目は、組合員名簿と居住者名簿の整備です。賃貸に出している住戸が多いマンションほど、居住者の把握が追いつきません。年1回以上の確認を示す書類(表明保証書など)が必要になります。

滞納の要件は、直前の事業年度末時点で、3か月以上の滞納額が全体の1割以内であることが目安です。

独自基準の有無と実務への影響:杉並区は上乗せ基準なしです

東京都内の特別区の中には、防災の取組などを加える区もあります。しかし杉並区は、区のページに「区独自の基準はありません」と明記されています。認定基準は国のマンション管理適正化指針と同一です。

実務への影響は、次のとおりです。

  • 国の基準の準備だけで足ります。防災マニュアルや訓練の記録を、認定のために整える必要はありません
  • 他区の事例を参考にした資料は、杉並区の申請には流用できないことがあります。杉並区の手引きに沿って確認してください
  • 国の基準は今後も見直される可能性があります。認定基準のガイドラインは、令和8年3月31日に最終改訂されています

もう一つ、混同しやすい制度があります。「管理状況届出制度」です。東京都の条例にもとづき、昭和58年12月31日以前に新築された、住居として使う独立部分が6戸以上の分譲マンションが対象になります。届出は5年ごとの更新が必要です(出典:杉並区「マンションの管理状況届出制度」、ページ更新日2024年9月26日)。

管理計画認定とは別の制度です。ただし、築古の管理組合は、両方を同じタイミングで整理すると手間が減ります。

手数料と申請ルート:事前確認の4パターンとマンション管理センター

杉並区の申請は、事前確認を受けたうえで、手続支援システムから区に申請する流れです。順番は次のとおりです(出典:杉並区「マンション管理計画認定制度」)。

  1. 事前確認を依頼する
  2. 「事前確認適合証」を受け取る
  3. 手続支援システムを通じて、区に認定を申請する
  4. 認定通知書が郵送で届く
  5. 公表(承諾がある場合のみ)

事前確認の申請先は、次の4パターンです。

パターン 申請先 備考
1 マンション管理士(管理会社所属を含む) 区分所有者や管理委託先の担当者である管理士は除く
2 管理委託先(管理会社等) マンション管理適正評価制度と同時申請できる
3 日本マンション管理士会連合会 マンション管理適正化診断サービスと同時申請できる
4 公益財団法人マンション管理センター 適合証を発行

事前確認を行えるのは、マンション管理センターの事前確認講習を修了した管理士に限られます。

費用の目安と、確認が必要な点

区への手数料は当面無料ですが、事前確認とシステムには費用がかかります。他区が公開しているマンション管理センターの利用案内(2023年4月版)では、システム利用料が1申請あたり10,000円(税込)、センターや日本マンション管理士会連合会に申し込む場合の事前確認審査料が、長期修繕計画1計画あたり10,000円(税込)とされています(出典:世田谷区「管理計画認定手続支援サービス利用案内(PDF)」)。

管理士や管理会社に依頼する場合は、管理組合と依頼先の間で金額を決めます。長期修繕計画の見直しが必要なら、その費用も別にかかります。

なお、私が確認した時点では、マンション管理センターのホームページが、システムメンテナンスのため一時的に利用を停止している旨のお知らせを出していました。再開時期は同センターが案内するとのことです。申請の前に、同センター(03-3222-1516)または区の住宅課で最新の状況を確認してください(出典:公益財団法人マンション管理センター)。

また、金額は年度で変わることがあります。上の費用は2023年版の案内にもとづく目安で、令和8年度の現行額ではない可能性があります。

必要書類の中心

書類は電子化して、システムにアップロードします。中心になるのは次のものです。

  • 管理者等の選任と、監事の設置がわかる書類、直近の総会の議事録
  • 管理規約の写し
  • 直前事業年度の貸借対照表と収支計算書(総会で決議済みのもの)、直前年度の月別の滞納額がわかる書類
  • 長期修繕計画の写しと、作成・変更を決議した議事録
  • 名簿の整備と年1回以上の更新を示す書類
  • 認定申請を決議した議事録、事前確認適合証

認定の3つの経済効果:税・フラット35・共用部リフォーム融資

認定を取るメリットは、「安心感」だけではありません。数字で見える効果が3つあります。

1つ目:長寿命化促進税制(固定資産税の減額)

管理計画認定を受けたマンションが、長寿命化に資する大規模修繕工事を行うと、固定資産税が減額されます。国の資料では、減額割合は1/6から1/2の範囲で市町村の条例が定めることになっています(出典:国土交通省「管理計画認定制度のインセンティブ(PDF)」、令和8年4月1日現在)。

東京23区は、東京都の資料で「住宅1戸あたり100㎡相当分までの固定資産税額の2分の1」を減額するとされています(出典:東京都主税局「マンション長寿命化促進税制」、ページ更新日2023年6月8日)。

主な要件は次のとおりです。

  • 築後20年以上、総戸数10戸以上
  • 外壁塗装等工事、床防水工事、屋根防水工事の3つすべてを実施
  • 工事の完了が令和9年3月31日まで
  • 工事完了から3か月以内に申告

3つすべての工事が条件ですので、外壁だけの工事では対象になりません。問い合わせは、杉並都税事務所(03-3393-1171)です。

東京都のページは2023年の更新です。完了期限は国の令和8年4月1日現在の資料と一致していますが、申告の前には都税事務所で最新の要件をご確認ください。

2つ目:フラット35の金利引下げ

国の資料では、管理計画認定の取得を条件に、フラット35の借入金利が当初5年間、年0.25%引き下げられます。返済期間が最長50年の「フラット50」も利用できます。区分所有者が購入や借換えをするときの追い風になります。

3つ目:マンション共用部分リフォーム融資(マンションすまい・るローン)

住宅金融支援機構の「マンションすまい・る融資」は、管理計画認定の取得により、融資金利が年0.2%引き下げられます。融資の申込み時点で、認定を取得している必要があります(出典:住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」)。

なお、同機構の「すまい・る債」も、認定マンションの管理組合は利率が上乗せされます。令和8年度の応募受付は10月9日までで、すでに終了しています。次の募集は、同機構の発表をご確認ください。

金額のイメージ

たとえば、杉並区内の築30年・50戸・住居専用のマンションで、1戸あたりの固定資産税額(建物部分、100㎡以内)が年10万円と仮定します。減額が2分の1なら、1戸あたり年5万円、50戸で年250万円の減額です。工事完了の翌年度が対象です。

これは試算です。実際の税額は建物の評価で大きく変わります。

工事費の面でも効く話:足場とロープアクセスの比較

税の減額を狙うには、外壁・床防水・屋根防水の3つの工事が条件です。工事の中身と工法を、早めに決める必要があります。

私が現場でよく見る場面をお話しします。

私はいつも理事長さまに、足場の費用は「ゼロにする」ものではなく「比べる」ものだとお伝えしています。理事会で工事会社の見積もりを並べたとき、仮設足場の費用が全体の中でも目立つ項目になっていることが多いのです。

10階建て・外周80m・工期3か月という条件で試算すると、仮設足場が約168万円、ロープアクセス工法なら約59万円で、差額は約109万円になります。これはあくまで目安で、物件の形状や条件で大きく変わります。

ただし、すべての部位をロープアクセスにすればよいわけではありません。足場が合う部位もあります。私どもは、通常の足場、ロープアクセス、両方を組み合わせるハイブリッドの3つから、建物に合う工法を提案しています。

技術の詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。工法の比較や訓練の情報を知りたい方は、ロープアクセスドットコムの技術情報も参考になります。ロープアクセスの安全管理は、明誠のロープアクセス工法の技術詳細や安全管理の取り組みをご覧ください。

明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。

料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方に書いています。明誠のこれまでの施工事例は、明誠の施工事例からご覧いただけます。

逆算スケジュール:総会決議から認定通知まで

今日は2026年10月28日です。固定資産税の減額を狙うなら、工事の完了期限は令和9年3月31日で、残りはおよそ5か月です。

結論から言います。この期限までに工事を完了させる予定がない管理組合は、今回の税特例は難しい可能性があります。期限の延長があるかどうかは、国と東京都の発表をご確認ください。

一方、税特例とは関係なく、認定を取りたい管理組合は、次の順で進めます。目安の期間は、管理組合によって大きく変わります。

時期の目安 やること
1〜2か月前 理事会で要件のチェック。長期修繕計画の作成時期、名簿、滞納額を洗い出す
2〜3か月前 計画の見直し(必要な場合)。事前確認の依頼先を決める
総会 認定申請を行うことと、必要な議案の決議
総会後 事前確認の依頼、適合証の受領
適合証の後 手続支援システムから区へ申請
申請後 区の審査、認定通知書の郵送

区のページに審査期間の記載はありません。住宅課へご確認ください。長期修繕計画の見直しが必要なら、先にそこから着手してください。

まとめと今週動くこと3点

杉並区の管理計画認定は、区が認定し、区への手数料は当面無料、独自基準はありません。事前確認とシステムの費用は別にかかります。経済効果は、固定資産税の減額、フラット35の金利引下げ、共用部リフォーム融資の金利引下げの3つです。

今週動くことを3点に絞ります。

  1. 理事会で、長期修繕計画の作成・見直しの時期を確認する(7年以内か)
  2. 名簿の整備状況と、3か月以上の滞納額の割合を確認する
  3. 区の住宅課(03-3312-2111)に、審査期間と最新の手続を問い合わせる

認定を取るかどうかは、メリットと手間を見比べて決めればよい話です。理事会で1分だけでも、この話題を出してみてください。

大規模修繕の工法選びや、長期修繕計画の見直しに合わせた概算のご相談は、管理組合向けのご案内、またはお問い合わせフォームから承っています。ご相談だけでも、遠慮なくお声がけください。

よくあるご質問

Q. 杉並区のマンションの管理計画認定に、区へ払う手数料はいくらですか?

A. 区への認定手数料は当面無料です。ほかに、事前確認の審査料と手続支援システムの利用料がかかります。金額は依頼先やマンション管理センターにご確認ください。

Q. 杉並区に独自の認定基準はありますか?

A. ありません。区の基準は国のマンション管理適正化指針と同じ内容です。国の基準を満たしていれば足ります。

Q. 管理組合が区に直接申請できますか?

A. 申請は手続支援システムを通じて行い、マンション管理センターが発行する事前確認適合証が必要です。事前確認は、マンション管理士、管理会社、日本マンション管理士会連合会、マンション管理センターのいずれかに依頼します。

Q. 認定の有効期間と更新はどうなりますか?

A. 認定を受けた日から5年間です。更新すると、従前の満了日の翌日から5年間になります。期間内に更新申請をしないと、認定は失効します。

Q. 固定資産税はどれくらい減りますか?

A. 東京23区では、住宅1戸あたり100㎡相当分までの固定資産税額の2分の1が目安です。外壁塗装等・床防水・屋根防水の3つの工事をすべて令和9年3月31日までに完了し、3か月以内に申告することが条件です。

Q. 長期修繕計画が古い場合はどうすればよいですか?

A. 作成や見直しが7年以内であることが要件です。古い場合は、先に計画の見直しから始めてください。杉並区では、杉並マンション管理士会による無料相談が案内されています(区のページは2020年の更新のため、日程は事前にご確認ください)。

Q. 管理状況届出制度とは別ですか?

A. 別の制度です。届出制度は、昭和58年12月31日以前に新築された6戸以上の分譲マンションが対象で、5年ごとの更新が必要です。認定制度は、管理計画の基準を満たした管理組合が任意で申請するものです。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月28日


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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月28日時点で公表されている杉並区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。杉並区の制度ページは2026年2月27日更新、届出制度のページは2024年9月26日更新です。区の認定一覧は日付の記載がなく、最新の認定日は令和7年7月15日でした。東京都の固定資産税減額のページは2023年6月8日更新ですが、工事の完了期限は国土交通省の令和8年4月1日現在の資料と一致しています。事前確認の審査料とシステム利用料は、区のページに金額の記載がなく、他区が掲載する2023年4月版の案内にもとづく目安です。マンション管理センターのホームページは確認時点でメンテナンス中でした。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず杉並区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

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