本間社長ブログ
厚木市のマンション漏水・防災対策|洪水・内水・土砂・液状化のハザードマップから考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】
目次

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著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
2026年10月16日 更新
厚木市で分譲マンションやビルをお持ちの方に、まず確認していただきたい数字があります。市の内水(浸水)ハザードマップは、市内全域に1時間65mmの雨が降った場合を想定しています。一方、市の雨水排水施設の整備水準は1時間51mmです(出典:厚木市 内水ハザードマップ解説)。この差の分は、排水が追いつかない前提で建物を見ておく必要があります。
私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕も手がけています。20年以上、外壁と防水の現場に立ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。
今日は、厚木市・気象庁・国土交通省の公式情報をもとに、厚木市の分譲・賃貸マンション、そしてオーナーさまのビルやホテルが、大規模修繕で先に手を打つべき漏水・防災の場所を整理します。
なお、この記事では厚木市の公式ページに載っている河川と区域だけを書きます。広域の資料に出てくる他市の川を、厚木市のものとして並べることはしません。
結論:厚木市で優先すべきは「屋上とバルコニーの排水」「河川沿い・低地の設備階」「斜面地の擁壁まわり」です
先に結論を申し上げます。厚木市のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。
- 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを点検し、防水の改修時期を記録で確認する:想定を超える雨で最初に出る被害は、排水が追いつかないことによる漏水です
- 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の置き場所を、洪水・内水の浸水想定と照らして確認する:相模川・中津川などの河川沿いで、地下や1階にある設備は最初に止まります
- 荻野地域など土砂災害警戒区域に近い建物は、擁壁・排水溝・外構の排水を点検する:斜面から水が入る建物は、外壁の防水だけを直しても止まりません
厚木市は内陸の市ですので、市の公開しているハザードマップは洪水・内水・土砂災害・オールハザード(地震・液状化を含む)の4種です(出典:厚木市 ハザードマップ)。津波・高潮のマップは掲載されていません。
厚木市のハザードマップを1枚で読む
市のページと防災都市づくり計画の概要版から、種類ごとの該当を整理しました。
| 種類 | 厚木市での扱い | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| 洪水 | 相模川、中津川、小鮎川、荻野川が対象。玉川、恩曽川には家屋倒壊等氾濫想定区域あり | 想定最大規模で最大5.0m以上の浸水深の箇所あり |
| 内水 | 1時間65mmの雨が前提 | 平成25年4月6日に市内で観測された時間最大雨量 |
| 土砂災害 | 市内に広く分布。荻野地域の住宅地の広い範囲が土石流の警戒区域 | 区域の指定は令和3年5月時点のものを表示 |
| 地震・液状化 | 都心南部直下地震で震度5強〜6強。市域中央部から南部で液状化の危険 | 厚木市地震被害想定調査(平成31年3月)に基づく |
| 津波・高潮 | 市のマップ一覧に掲載なし | 内陸のため |
出典は、厚木市 防災都市づくり計画 概要版、厚木市 洪水浸水ハザードマップ、厚木市 オールハザードマップです。
ここで一つ、注意点をお伝えします。神奈川県は2025年10月31日に、県の洪水浸水想定区域図のうち「家屋倒壊等氾濫想定区域(氾濫流)」に誤りがあったと公表しました。厚木市は、県の修正を受けてマップを更新する予定としています。浸水の深さを見る分には使えますが、家屋倒壊の区域は修正後の版で確認してください。
洪水と内水は、見る場所が違います
洪水は川があふれる話、内水は市街地に降った雨が排水しきれずにたまる話です。川から離れた建物でも、内水は起こります。
市の洪水浸水想定では、想定最大規模で浸水継続時間が1〜3日、中津川沿いと相模川沿いの一部では最長で3日以上となる箇所があります。受変電設備が水に浸かった場合、復旧までに数日かかる前提で考えたほうがよい、ということです。
実際の避難の実績
令和元年(2019年)10月12日の台風第19号では、市は相模川沿いと、中津川・小鮎川・荻野川・玉川沿いに警戒レベル4の避難指示を出しました。47か所の指定緊急避難場所に2,424世帯、5,709人が避難しています(出典:厚木市 水害被害の資料)。この資料には、市内の浸水棟数の実績は載っていませんので、被害の件数は私の方では書きません。
地域特性と漏水事故の関係
厚木市は、相模川と中津川の低地、本厚木駅周辺の市街地、そして西側の丘陵・山地に分かれます。場所によって、漏水の出方が変わります。
河川沿いの低地:浸水すると、地下ピット、1階の電気室、エレベーターのピットが水に浸かります。漏水というより、設備の水没が主な被害です。
本厚木駅周辺の市街地:舗装面が多く、雨水が一気に側溝へ流れます。内水の想定と合わせて、駐車場や半地下の出入口に水がたまりやすい建物があります。市の液状化の想定でも、市域中央部から南部の国道129号沿道の一部などが挙げられています。
荻野地域などの斜面地:土石流の警戒区域に住宅地の広い範囲が入っています。擁壁のひび割れ、水抜き穴の詰まり、外構の排水溝の勾配不良が、建物側の漏水の原因になります。
現場の話を一つ。私が以前に見たある築30年超の中規模マンションでは、雨のたびに1階の廊下天井から水が落ちていました。調べると、原因は外壁ではなく、隣の斜面から流れ込んだ水が外構の排水溝からあふれて、立上りの下端から入っていたものでした。外壁のシーリングを全部打ち替えても止まらなかったと思います。正直に申し上げます。水の入り口を見誤ると、費用だけがかさみます。私が現場で一番悔しい思いをするのは、こういうときです。
大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ
私の経験上、漏水の原因は7か所でほぼ説明がつきます。大規模修繕の見積りを見るときの、確認表としてお使いください。
- 屋上防水:ふくれ、ひび割れ、端部の浮きを確認します。防水改修の費用は、工法によりますが5,000〜8,000円/㎡が一つの目安です(物件により大きく変わります)
- シーリング:外壁目地とサッシ周囲の硬化・ひび割れ・肉やせを確認します
- バルコニー排水:排水溝に落ち葉や砂がたまっていないか、床の勾配が保たれているかを見ます
- ドレン(排水口):屋上とバルコニーのドレンが詰まると、水があふれて壁を伝います。雨の前の清掃が最も安く効きます
- 立上り:防水層の端部の立上りが低いと、想定を超えた雨で水が越えます
- サッシまわり:枠と躯体の取り合い、水切りの不具合を見ます
- エキスパンションジョイント:建物の動きを逃がす継ぎ目で、劣化すると雨水が内部に入ります
7か所のうち、お金をかけずにできるのは、ドレンの清掃と、目視の点検です。私はいつも理事長さまに、雨の降る前の週に屋上へ上がって見ていただくようお伝えしています。それだけでも、状況はかなり分かります。
漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由
漏水が起きたとき、足場を組むところから始めると、手配だけで数週間かかります。その間に雨は何度も降ります。
ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して壁面に降りる工法です。足場を組む時間がないため、調査と応急処置を短い日数で始められます。居住者の方のバルコニーに足場の部材が通ることもなく、生活への影響も小さくなります。
費用面でも差が出ます。10階建て・外周80m・工期3か月の建物を例にすると、足場工法の仮設費が約168万円、ロープアクセスでは約59万円という試算があります。あくまで条件を置いた目安で、実際の見積りは建物により変わります。
安全面について。株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセスでの高所作業では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けており、品質管理はISO9001で行っています。
詳しい技術情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに、工法の考え方と訓練の内容をまとめています。同業の方や、フランチャイズにご関心のある方はこちらの姉妹サイトもご覧ください。明誠の工法は、ロープアクセス工法のご紹介と、安全管理の取り組みで説明しています。漏水の調査と補修は漏水対応のご案内をご覧ください。
防災上の共用部の位置と修繕優先度
漏水以外に、浸水や地震で止まると困る共用部を、優先度の高い順に並べます。
| 共用部 | 確認すること | 優先度 |
|---|---|---|
| 受変電設備 | 設置階が洪水・内水の想定浸水深より上か | 高 |
| 給水ポンプ | ポンプ室が地下・1階にないか | 高 |
| 非常用発電機 | 設置階と、燃料の保管場所 | 高 |
| エレベーター | ピットの浸水対策、停止時の運用 | 中 |
| 避難通路・階段 | 荷物の放置、手すり・床の劣化 | 中 |
電気設備の浸水対策は、国土交通省・経済産業省が建築物における電気設備の浸水対策ガイドラインを公表しています。設備を上階に移す、止水板を設ける、といった考え方が整理されています。
大雨のときの危険度は、気象庁のキキクル(危険度分布)で確認できます。建物の住所を、国土地理院の重ねるハザードマップに入れて、洪水・内水・土砂・液状化を重ねて見ておくことをお勧めします。
厚木市の防災・耐震の制度
厚木市のマンション施策は、令和4年度から令和8年度までの5年間の計画に沿っています。令和2年度の実態調査では、市内のマンションは308棟、13,924戸で、築30年以上が57.5%(177棟)、旧耐震基準は36.4%(112棟)です(出典:厚木市 マンション関連施策の概要)。
制度としては、次のものがあります。
- マンション耐震アドバイザー派遣:建築士を派遣し、耐震化を検討するきっかけをつくります
- 分譲マンションへの予備診断補助:昭和56年5月31日以前に着工したマンションの管理組合が対象で、補助額は予備診断費用の2分の1、上限15万円です。予算の範囲内で行われます(出典:厚木市 分譲マンションへの予備診断補助)
- 管理計画認定制度:国が定める基準を満たすマンションを、市が認定します
予備診断補助のページの最終更新は2021年7月で、令和8年度の受付状況や予算残額は、このページからは確認できませんでした。申請を考える場合は、市の建築指導課に直接お問い合わせください。
よくあるご質問
Q. 厚木市のマンションで、ハザードマップはどこで見られますか?
A. 厚木市のハザードマップのページに、洪水・内水・土砂災害・オールハザードの4種が掲載されています。
Q. 内水とは何ですか?
A. 市街地に降った雨が、排水施設で処理しきれずにたまる浸水です。川から離れた場所でも起こります。厚木市の内水マップは、1時間65mmの雨を想定しています。
Q. 屋上防水の改修費用はいくらくらいですか?
A. 工法により、5,000〜8,000円/㎡が一つの目安です。建物の状態で大きく変わります。無料で概算お見積りを出せますので、お気軽にお問い合わせください。
Q. 漏水が起きたら、まず何をすればよいですか?
A. 水が入っている場所を写真で記録し、ドレンの詰まりを確認してください。そのうえで、原因の調査を依頼します。外壁か、屋上か、斜面からの水かを見極めることが、費用を抑える近道です。
Q. ロープアクセスなら、足場より工期は短くなりますか?
A. 足場工法の約60%の工期が目安です。10階建て・外周80mなら、足場3か月に対し1.5〜2か月程度です。建物により変わります。
Q. 受変電設備を移すのは、大規模修繕と一緒にできますか?
A. 設備の移設は電気工事の範囲で、規模も大きくなります。まず、浸水想定と設置階を確認し、止水板などの現実的な対策から検討するのが一般的です。
Q. 耐震診断の補助は、令和8年度も使えますか?
A. 厚木市のページからは令和8年度の受付状況が確認できませんでした。市の建築指導課にご確認ください。
まとめと今週動くこと3点
厚木市では、洪水と内水、土砂、液状化を、建物の場所に合わせて見分けることが出発点です。そのうえで、漏水の7か所と、電気設備の置き場所を点検します。
今週、動いていただきたいことを3つに絞ります。
- 市の公式ページで、建物の住所が洪水・内水・土砂のどの想定に入るかを確認し、理事会で共有する:コピーを1枚配るだけで十分です
- 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の設置階を、竣工図で確認する:浸水想定より下にあれば、対策の検討を始めてください
- 屋上ドレンとバルコニー排水を、雨の前に清掃する:費用をほとんどかけずにできる、最も効果の高い備えです
総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。管理組合さまは管理組合向けのご案内、ビルオーナーさまはビルオーナー向けのご案内をご覧のうえ、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。費用の考え方は明誠の料金の考え方に、これまでの実績は明誠の施工事例にあります。
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月16日時点で公表されている厚木市および国土交通省・気象庁の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず厚木市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- 厚木市「ハザードマップ」
- 厚木市「洪水浸水ハザードマップ」
- 厚木市「内水(浸水)ハザードマップ解説」
- 厚木市「オールハザードマップ」
- 厚木市「防災都市づくり計画 概要版」
- 厚木市「水害被害の資料」
- 厚木市「マンション関連施策の概要」
- 厚木市「分譲マンションへの予備診断補助」
- 気象庁「キキクル(危険度分布)」
- 国土交通省・経済産業省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(概要)」
- 国土地理院「重ねるハザードマップ」
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月16日
関連記事(姉妹サイト)
ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
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