本間社長ブログ

茅ヶ崎市のマンション漏水・防災対策|洪水・内水・津波・高潮のハザードマップから考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】

茅ヶ崎市のマンション漏水・防災対策|洪水・内水・津波・高潮のハザードマップから考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

2026年10月15日 更新

茅ヶ崎市で分譲マンションやビルをお持ちの方に、まず確認していただきたいことがあります。市が公開している津波ハザードマップ(令和7年8月作成)では、最大の津波高が9.6m、最短7分で到達する想定も示されています。海に近い建物だけの話ではなく、河川沿いの建物も、市内を流れる川の洪水と内水の想定を見ておく必要があります。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、神奈川県内のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕も手がけています。20年以上、外壁と防水の現場に立ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。

今日は、茅ヶ崎市・神奈川県・気象庁・国土交通省の公式情報をもとに、茅ヶ崎市の分譲・賃貸マンション、そしてオーナーさまのビルやホテルが、大規模修繕で先に手を打つべき漏水・防災の場所を整理します。

なお、台風第25号(2026年9月)では、千葉県で24時間降水量が観測史上1位を更新した地点が出るなど、関東の広い範囲で大雨への警戒が高まりました(出典:銚子地方気象台 速報)。茅ヶ崎市内の個別の被害状況は、私の方で公式資料を確認できておりませんので、この記事では触れません。


結論:茅ヶ崎市で優先すべきは「津波と高潮に備えた地下・低層の設備」「河川沿いの内水対策」「屋上とバルコニーの排水」です

先に結論を申し上げます。茅ヶ崎市のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。

  1. 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の置き場所を、ハザードマップの浸水想定と照らして確認する:地下や1階にある設備は、津波・高潮・内水のどれでも最初に止まります
  2. 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを点検し、防水の改修時期を記録で確認する:まとまった雨で最初に出る被害は、排水が追いつかないことによる漏水です
  3. 市の洪水・内水ハザードマップで、自分の建物が浸水する深さと時間を理事会で共有する:「うちは大丈夫」という思い込みが、一番の弱点になります

順に見ていきます。


茅ヶ崎市のハザードマップを1枚で読む

茅ヶ崎市は、洪水・土砂災害・内水・津波・高潮・液状化のハザードマップを、市の公式ページで公開しています。まず種類ごとに、何が書いてあるかを整理します。

種類 市の公開内容(要点) マンションでの見方
洪水・土砂災害・内水 表面に洪水と土砂災害、裏面に内水。対象河川は相模川・小出川・千ノ川・駒寄川・目久尻川 浸水の深さ・時間・河岸侵食の3点を見る
津波 令和7年8月作成。5つの想定地震を重ねた最大津波高と到達時間 避難先と上階への避難経路、設備の高さ
高潮 神奈川県の高潮浸水想定区域図に基づく。浸水想定区域内の字名を一覧で公開 台風時の1階・地下の止水対策
液状化 50mメッシュ。平成25年8月に完成 建物まわりの地盤沈下・配管の破損

(出典:茅ヶ崎市「洪水・土砂災害・内水ハザードマップ」「高潮ハザードマップ」「液状化ハザードマップ」)

洪水・内水:市の地図に載っている河川は5本です

市の洪水・土砂災害・内水ハザードマップに掲載されている対象河川は、相模川、小出川、千ノ川、駒寄川、目久尻川です。ここで申し上げておきたいのは、広域の資料に出てくる川を、すべて茅ヶ崎市に当てはめてはいけない、ということです。私はいつも、市の公式ページに載っている川だけを見るようにしています。

市のページによると、このハザードマップは令和3年度に更新され、PDFは2021年9月の改訂版です。さらに、駒寄川と千ノ川の浸水想定区域の一部は、市が管理する河川として計算したもので、水防法の方法による想定ではない、という注記があります。

そして新しい動きがあります。市のページには、令和8年3月31日に雨水出水(内水)の浸水想定区域を市が指定した、との記載があります。内水とは、川があふれるのではなく、下水や排水路が雨水をさばけずに街があふれる現象です。川から離れた建物でも起こります。

土砂災害:県が令和8年2月27日に区域を更新しています

土砂災害警戒区域・特別警戒区域は、令和8年2月27日に神奈川県が更新しました。市のページは、正確な境界は県の告示図書と県の土砂災害情報ポータルで確認するよう案内しています。市の地図は目安であり、不動産の判断に使えるほど精密ではない、とも明記されています。斜面や擁壁に接する建物は、県の情報で確認してください。

津波:最大9.6m、最短7分の想定があります

市の津波ハザードマップ(令和7年8月作成)には、想定地震ごとの最大津波高と最大津波到達時間が示されています。

想定地震 最大津波高 最大津波到達時間
相模トラフ沿いの海溝型地震(西側モデル) 8.6m 17分
相模トラフ沿いの海溝型地震(中央モデル) 9.6m 16分
元禄関東地震タイプ 7.1m 7分
元禄関東地震タイプと国府津-松田断層帯地震の連動 7.1m 7分
慶長型地震 7.7m 52分

(出典:茅ヶ崎市「津波ハザードマップ」令和7年8月)

この地図は、神奈川県が令和7年3月24日に茅ヶ崎市を津波災害警戒区域に指定したことを受け、県の示す基準水位に基づいて作られました(出典:茅ヶ崎市「新たな津波ハザードマップを作成」令和7年8月27日)。7分という数字は、揺れが収まってから理事会を開いている時間がない、ということを意味します。

高潮:市内の字名が一覧になっています

高潮ハザードマップは、神奈川県が作成した高潮浸水想定区域図が元になっています。市のページには、矢畑、中海岸3丁目、南湖、柳島、浜之郷、萩園、汐見台、白浜町、浜須賀などの字名が、浸水想定区域内として示されています。お持ちの建物の住所が、この一覧に入っているかどうかを、まず市のページで確認してください。


地域特性と漏水事故の関係:海沿いの塩害と、河川沿いの水

茅ヶ崎市のマンションをご覧になるとき、私は大きく3つの地形で見ています。ここは私の現場経験にもとづく見方であり、市の公式資料の分類ではないことをお断りしておきます。

海に近い建物:塩害と飛来物で、防水と金物が傷みます

海風の当たる建物では、屋上の金物、手すり、設備架台の錆が早く進みます。塗膜の端部から錆が入り、そこから雨水が回って、防水層の下で広がる例を、私はこれまで何度も見てきました。津波や高潮のときだけでなく、日常の潮風が、建物の寿命を縮めています。

河川沿いの建物:内水と排水能力の限界

千ノ川、小出川、駒寄川の沿いでは、過去に水位の上昇で避難の情報が出た経緯があります。市の資料によると、平成26年10月の台風18号では、千ノ川で8,097世帯(19,752人)、小出川で9,547世帯(24,497人)が避難勧告の対象になりました。これは避難勧告の対象規模であり、浸水した棟数ではありません。また、平成28年の台風9号、平成29年の台風21号、平成30年の台風12号でも、千ノ川の水位上昇により避難準備情報等が出されています(出典:茅ヶ崎市「風水害対策」)。

同じ資料は、市内で1時間に50mmを超える大雨の頻度が増えていると記しています。1時間50mmは、屋上ドレンや雨どいの設計を超えやすい雨量です。排水が追いつかない屋上は、数センチの水が溜まるだけで、立上りの端部やパラペットの笠木の継ぎ目から水が入ります。

内陸の斜面や擁壁に接する建物:土の水を見ます

斜面や擁壁に接している建物では、擁壁の水抜き穴の詰まりが、地下階や1階の漏水につながります。県の土砂災害情報ポータルで、警戒区域に入っているかを確認し、擁壁の点検記録も合わせて保管してください。


大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

ここからは、地域を問わず、私が現場で最初に見る7か所です。一つずつ、茅ヶ崎市の事情に引きつけてお話しします。

  1. 屋上防水:塩害と紫外線で、保護層のひび割れや防水層の膨れが出ます。防水改修の目安は、工法により10〜15年程度とされることが多く、一般的な改修費の目安は㎡あたり5,000〜8,000円です(物件により大きく変わります)
  2. シーリング(目地の防水材):外壁の目地とサッシ周りは、打ち替えの時期を記録で確認します。ここが切れると、雨が壁内に入ります
  3. バルコニー排水:落ち葉や砂で詰まりやすい場所です。海に近い建物は砂の堆積も見ます
  4. 屋上ドレン(排水口):豪雨で最初に詰まる場所です。ストレーナー(ごみ除け)の清掃と、排水管の勾配・口径の確認をします
  5. 立上り(防水層の端部):水が溜まったときに水が越える部分です。高さと端部の処理を確認します
  6. サッシまわり:強風を伴う雨では、サッシ下端から水が入ります。台風時は特にここの相談が増えます
  7. エキスパンションジョイント(建物の継ぎ目):建物の揺れや沈下に追従する部分で、ここが劣化すると、地震後に漏水が出ます

足場を組まずに、屋上からロープで降りて確認できる部位も多くあります。調査の段階で、足場工法と無足場工法、またはその両方を組み合わせたハイブリッド工法の、どれが合うかを見極めます。詳しい技術情報は、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」にまとめています。


漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

大雨のあとに「最上階の天井から水が落ちてくる」という連絡を受けたとき、足場を組む手配から始めると、早くても数日から1週間以上かかります。その間に、住戸の被害は広がります。

ロープアクセスは、メインロープとバックアップロープの2本に接続して作業します。屋上の吊り元を2点以上確保できれば、足場の手配を待たず、原因箇所の特定と応急処置に入れます。足場を組まないぶん、仮設費も抑えられます。たとえば10階建て・外周80m・工期3か月の目安では、足場費が約168万円に対し、ロープアクセスでは約59万円(差額約109万円)という比較例があります(物件により大きく異なる参考値です)。

明誠は、約6,000棟の大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業については、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。技能訓練はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準で行っています。

応急処置の費用は、被害の範囲や建物の高さで変わります。散水試験を含む原因調査と、シーリングの部分補修で、数万円から数十万円の範囲に収まるケースもあります。ただし、あくまで目安ですので、状況を拝見した上で見積もりをお出しします。漏水の相談は、明誠の漏水対応のご案内をご覧ください。ロープアクセス工法そのものの考え方は、ロープアクセス工法のご紹介に整理しています。

大規模修繕の総額は、30戸規模のマンションで3,500万〜5,000万円がひとつの目安で、そのうち仮設足場が15〜25%を占めます。ここを見直せるのが、ロープアクセスの強みです。料金の考え方は明誠の料金の考え方にあります。


防災上の共用部:位置と修繕の優先度

漏水の修繕と並んで、私が理事会でお伝えしているのが、共用部の位置の確認です。国土交通省と経済産業省の「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」は、令和元年東日本台風で武蔵小杉周辺の高層マンションの受変電設備が浸水し、エレベーターや給水設備が長時間使えなくなった事例を背景に作られました。ガイドラインでは、ハザードマップなどから想定浸水深を決め、浸水リスクの低い場所への設置、開口部の止水、設備の嵩上げなどを組み合わせて対策を検討する、と整理されています。受変電設備の復旧は、排水、清掃・点検、応急措置、組立・配線、送電の順に進み、所要日数は概ね2〜4日とされています(出典:国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(概要)」)。

茅ヶ崎市のマンションで、確認していただきたい順番を表にしました。

共用部 確認すること 優先度の考え方
受変電設備・自家発電機 設置階が、浸水想定より上か 最優先。止まるとほかの設備もすべて止まる
給水ポンプ ポンプ室の位置と、止水板の有無 断水は、居住の継続を直撃する
エレベーター 制御盤の位置、浸水時の停止運用 受変電設備とセットで確認
避難通路・外階段 手すり・踏面の劣化、津波避難時の通行 7分で動ける経路かを実際に歩いて確認
屋上・バルコニー排水 ドレンの清掃記録 毎年の点検で足りる、最も費用対効果が高い

大規模修繕の工事の足場をかけるついでに、これらの周辺の外壁や防水を直しておくと、無駄な再工事を避けられます。


茅ヶ崎市の防災補助・耐震助成

市は、昭和56年5月31日以前に建築または着工した旧耐震基準の分譲マンションについて、耐震診断費用の一部を補助する制度を案内しています。市のページによると、補助率は耐震診断費用の2分の1、上限額は区分所有者が居住する住戸数に30,000円を乗じた額で、実際の補助額はこの額と補助率による額のうち少ない方です。

ただし、このページの更新日は令和5年3月31日で、現行の令和8年度の実施状況や金額は、このページだけでは確認できません。制度は年度で変わりますので、ここで紹介した数字はあくまで市のページの記載内容です。申請をお考えの管理組合さまは、市の建築指導課に、令和8年度の受付可否と補助額を直接ご確認ください。市のページには、補助金額が単年度予算を超える場合は10月までに相談するよう案内もあります(出典:茅ヶ崎市「分譲マンション耐震診断事業補助金のご案内」)。


よくあるご質問

Q. 茅ヶ崎市のマンションは、津波と洪水のどちらを先に備えるべきですか?

A. 建物の位置によります。市の津波ハザードマップには最短7分の想定があり、海に近い建物は避難経路と設備の高さを先に確認してください。河川沿いの建物は、洪水・内水の浸水深と時間を市の地図で確認することから始めます。

Q. 内水ハザードマップは、どこで見られますか?

A. 市の「洪水・土砂災害・内水ハザードマップ」の裏面に内水の情報があります。市のページでは、令和8年3月31日に雨水出水(内水)の浸水想定区域を市が指定したとの記載もありますので、最新の資料は防災対策課にご確認ください。

Q. 雨のたびに最上階で漏水します。足場を組まないと調べられませんか?

A. ロープアクセスなら、屋上からメインロープとバックアップロープの2本に接続して外壁やサッシまわりを調べられます。足場の手配を待たずに、原因箇所の特定と応急処置に入れることが多いです。

Q. 防水の改修費用はどのくらいですか?

A. 一般的な目安は、㎡あたり5,000〜8,000円です。屋上の面積、既存の防水の種類、下地の状態で大きく変わります。現地を拝見したうえで概算をお出しします。

Q. 足場を組む場合とロープアクセスで、工期はどう違いますか?

A. 10階建て・外周80mのマンションでは、足場の3か月に対し、ロープアクセスは1.5〜2か月が目安です。建物の形状によっては、足場とロープアクセスを部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の方が、総額が下がることもあります。

Q. 耐震診断の補助金は、令和8年度も使えますか?

A. 市のページの更新日は令和5年3月31日です。令和8年度の受付状況と補助額は、市の建築指導課に直接ご確認ください。

Q. まず何から相談すればよいですか?

A. 竣工図と、過去の大規模修繕の記録、屋上防水の施工年がわかる資料をご用意ください。そこから、漏水の履歴と、ハザードマップ上の位置を一緒に整理します。


まとめ:今週動くこと3点

茅ヶ崎市のマンション管理組合さま、ビルオーナーさまに、今週のうちに動いていただきたいことを3つに絞ります。

  1. 市の公式ページで、建物の住所が洪水・内水・津波・高潮のどの想定に入るかを確認し、理事会で共有する:コピーを1枚配るだけで十分です
  2. 受変電設備・給水ポンプ・非常用発電機の設置階を、竣工図で確認する:浸水想定より下にあれば、対策の検討を始めてください
  3. 屋上ドレンとバルコニー排水を、雨の前に清掃する:費用をほとんどかけずにできる、最も効果の高い備えです

総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。管理組合さまは管理組合向けのご案内、ビルオーナーさまはビルオーナー向けのご案内をご覧のうえ、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。これまでの実績は明誠の施工事例からご覧いただけます。ロープアクセス工法の詳しい技術情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにあります。

次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月15日


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