本間社長ブログ

船橋市のマンション漏水・防災対策|海老川流域の豪雨と内水に備える大規模修繕2026年度版

本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

船橋市でマンションやビルをお持ちのオーナー・管理組合さまが、大規模修繕で優先すべき漏水・防災対策は、結論から言うと次の3つです。

  1. 屋上ドレン(排水口)とバルコニー排水、外壁の目地を先に直す:令和8年8月の千葉豪雨では、船橋市の市施設で雨漏りが32件ありました。強い雨は、建物の防水の弱点を最初に見つけ出します。
  2. 「洪水」と「内水」を分けて、物件の住所でハザードマップを確認する:船橋市は、川の氾濫を想定する洪水と、下水道が雨水を受けきれずにあふれる内水を、別のレイヤーで公開しています。
  3. 受変電設備・給水ポンプ・エレベーター制御盤の設置階を、修繕計画に入れる:漏水を直しても、設備が浸水すれば暮らしは止まります。

私は東京都東大和市の株式会社明誠で、20年以上、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を現場で担当してきました。船橋市は、船橋駅周辺の商業地から、海老川沿いの住宅地、東京湾に近い地域まで、性格の違う街が並ぶ市です。この記事では、船橋市と国土交通省が公開している一次情報を確認しながら、船橋市のマンションに関係する部分だけを取り上げてお話しします。

船橋市のハザードマップを1枚で読む

船橋市の公式ページ「船橋市ハザードマップ」には、津波、地震・液状化、洪水・内水・土砂災害、高潮の4種類が掲載されています。WEB版は令和8年3月1日時点の情報をもとに作成されたと案内されています(出典:船橋市 船橋市ハザードマップ)。

種類 市の公開内容の要点
洪水 国と千葉県が水防法に基づいて指定した洪水浸水想定区域を表示。すべての河川と内水を併せた最大浸水深(想定最大規模)のレイヤーもある
内水(雨水出水) 市が独自に想定した区域。公共下水道事業計画区域が対象で、市内全域ではない
高潮 千葉県が指定した高潮浸水想定区域を表示
津波 千葉県が平成30年(2018年)11月に公表した津波浸水予測を使用
地震・液状化 千葉県北西部直下地震の予測震度と、液状化の予測を表示

(出典:船橋市 ハザードマップの閲覧について(令和7年5月12日更新)、船橋市 重要事項説明書等に関する災害リスク情報(令和8年3月30日更新))

ここで、私がいつもオーナーさまにお伝えしていることがあります。市の公式ページには、洪水の説明のなかで海老川(えびがわ)と真間川(ままがわ)が、家屋倒壊等氾濫想定区域に関連する河川として挙げられています。ただし、これは「船橋市のどの建物が、どの川の影響を受けるか」を表したものではありません。ご自分の物件が川の想定にかかるかは、住所でWEB版マップを開いて、浸水の深さを画面で確認してください。川の名前だけを見て安心したり、慌てたりしないことが大切です。

なお、船橋市の重要事項説明書等の資料では、津波について千葉県が津波災害特別警戒区域を指定していない旨が記載されています。一方で、土砂災害特別警戒区域は市内に指定があります。丘陵地や斜面に近いマンションは、土砂災害のレイヤーも併せて見てください。

インターネットの環境がない場合は、市が該当するハザードマップを印刷して渡す案内もあります(問合せ先:危機管理課 防災政策担当 047-436-2037)。

内水ハザードマップは「市内全域ではない」

船橋市の公式ページ「内水(雨水出水)浸水想定区域について」(令和6年10月4日更新)によると、内水の浸水想定区域の対象は、令和6年4月1日時点の公共下水道事業計画区域です。ページには「市内全域を対象としたものではありません」と明記されています。想定降雨は、想定し得る最大規模の降雨で、9時間の総雨量が516mm、1時間の最大雨量が153mm以上とされ、年超過確率はおおむね1/1,000(0.1%)以下です。また、浸水深0.5m以上が概ね24時間以上続く長時間浸水のおそれのある地区はない、とされています(出典:船橋市 内水(雨水出水)浸水想定区域について)。

洪水と内水の違いを、あらためて整理します。洪水は、川の水があふれる現象です。内水(ないすい)は、雨水管や水路が受けきれず、マンホールや雨水ますから水があふれる現象です。マンションにとって厄介なのは、川から離れた場所でも、内水で道路が冠水し、駐車場や1階の共用部、地下の設備室に水が入る可能性があることです。

令和8年8月の千葉豪雨で船橋市に起きたこと

令和8年8月13日の大雨について、船橋市は「令和8年8月千葉豪雨」として被害状況を公開しています。ページが「令和8年8月27日現在」とする状況は、次のとおりです。件数は精査中で、変動する可能性があるとも記載されています(出典:船橋市 令和8年8月千葉豪雨の状況)。

項目 市が公開した内容
累積雨量 210.0mm(8月13日0時〜14日6時50分)
最大時間雨量 61.0mm(8月13日19時)
住家被害(罹災証明の申請件数) 床上浸水72件、床下浸水36件
道路冠水 143件(解消済み。件数は精査中)
河川溢水(市管理) 7件
市施設の被害 雨漏り32件、浸水被害7件
避難所 28施設を開設。最大避難者は89人、帰宅困難者は232人

河川の水位も公表されています。海老川の水位は8月13日18時に2.63mで、氾濫危険水位の2.6mを上回りました。飯山満川(はさまがわ)の水位は同日15時に6.1mで、堤防の天端高は7.63mとされています。

注目したいのは、市施設の「雨漏り32件」です。公共の建物でも、強い雨で雨漏りが起きています。民間のマンションでも、同じことが起きていても不思議ではありません。住家被害の床上・床下浸水(合計108件)も、川の氾濫だけでなく、道路や敷地の冠水、排水の限界と合わせて考える必要があります。

なお、このページには停電の戸数が記載されていないため、本記事では船橋市の停電の規模には触れません。

地域特性と漏水事故の関係

船橋市は、船橋駅周辺の高層マンションやビルから、住宅地の中低層マンション、賃貸アパート、東京湾に近い地域の建物まで、タイプの違う建物が混在しています。私が現場で見る限り、強い雨のあとに相談が増えるのは、次のような建物です。

屋上が広く、ドレンの数が多い中高層のマンション・ビルは、ドレン1か所の詰まりが、パラペット(屋上の立上り壁)の端部からの浸水につながります。高層になるほど風が強く、横殴りの雨がサッシまわりに当たります。

築20〜30年を超えた賃貸マンションは、屋上防水やシーリング(外壁目地の充填材)の更新時期を迎えているのに、修繕が後回しになっていることがあります。賃貸オーナーさまにとって、漏水は入居者の不満、退去、家賃の減額に直結します。駅に近い物件ほど、空室期間の損失が大きくなります。

敷地が周囲より低い建物は、内水で道路が冠水したとき、駐車場、1階のエントランス、地下の設備室に水が入りやすくなります。

よくあるケース

台風や豪雨の翌朝に、最上階の住戸から「天井にシミが出た」と連絡が入ることは、珍しくありません。現場に上がると、原因が屋上ドレンの砂やゴミの詰まり、立上り防水の端部の浮きであることが、よくあります。

管理会社さんが足場業者を手配すると、最短でも1〜2週間かかります。ロープアクセスなら、立上りの端部やシーリングの応急補修に、即日〜翌日で着手できることが多いです。足場を組む前提で168万円かかる見積りが、同じ範囲をロープアクセスで施工すると59万円になり、差額は109万円というケースもあります(10階建て・外周80m・工期3ヶ月を想定した試算の目安です。実際の費用は建物の形状や状態で大きく変わります)。

大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

1時間60mmを超える雨でも、建物の弱点は表に出ます。診断のとき、私は次の順番で見ています。

  1. 屋上防水:ふくれ、ひび割れ、保護コンクリートの割れ。防水の更新費用の目安は、工法や面積により、1㎡あたり5,000〜8,000円程度が一般的なレンジです(物件により変動します)。
  2. シーリング(外壁目地・サッシまわり):硬化、ひび割れ、肉やせ。
  3. バルコニー排水:排水口の詰まり、勾配不良、床防水の摩耗。
  4. ドレン(屋上の排水口):ゴミ詰まり、周囲の防水端部の浮き、目皿(ストレーナ)の欠損。
  5. 立上り(屋上やパラペットの根元):笠木(かさぎ)の継ぎ目、防水の端部、押さえ金物。
  6. サッシまわり:枠の周囲のシーリング、水切りの勾配。
  7. エキスパンションジョイント:カバー材の外れ、止水の劣化。

外壁の劣化の把握には、足場を組まずに調べられるドローンを使った外壁調査も選択肢になります。外壁の打診調査の費用は、1㎡あたり250〜500円程度が目安です。

30戸規模のマンションの大規模修繕工事は、総額で3,500〜5,000万円程度が一般的なレンジで、そのうち仮設足場が15〜25%を占めるとされています(目安であり、建物の規模・状態により大きく変動します)。足場費の見直しは、修繕積立金を守る大きなポイントです。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本を、2点以上の確実な吊元に接続して作業する工法です。国際的な技能基準であるIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の訓練を受けた作業員が、足場を組まずに壁面や屋上端部へ到達します。

足場の場合は、見積り、居住者への周知、資材手配、組立てと、早くても1〜2週間かかります。ロープアクセスなら、点検と応急補修に即日〜翌日で着手できることが多いのが強みです。居住者の方にとっても、窓の前に足場が立たず、洗濯物やバルコニーの利用への影響が小さくなります。

明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセスによる高所作業では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。工法の技術的な詳細は、明誠のロープアクセス工法のご紹介と、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。安全管理の考え方は、明誠の安全管理への取り組みをご覧ください。

漏水の調査や応急対応の考え方は、明誠の漏水対応のご案内にまとめています。

足場とロープアクセスのどちらが良いかは、建物によって違います。明誠は、通常の足場、ロープアクセス、両者を組み合わせたハイブリッドの3工法から、建物にとって最適な方法を提案できます。同業者・フランチャイズ加盟をお考えの方向けの技術情報は、ロープアクセスドットコムの技術情報でご覧いただけます。

防災上の共用部の位置と修繕優先度

今回の豪雨で、船橋市は避難所28施設を開設し、市施設でも浸水被害が7件ありました。想定最大規模の水害はめったに起きません。しかし、起きたときの被害は、建物の設備の位置で決まります。

設備 水害・停電時に起きること 修繕・対策の優先度
受変電設備・キュービクル 浸水すると復旧が長期化 高。設置階の確認、かさ上げ、防水扉の検討
給水ポンプ・加圧ポンプ 停止で上階が断水 高。設置場所の確認、電源の確保、非常用の給水手段
エレベーター制御盤・機械室 停止で高層階の生活が困難 高。設置階の確認、停止時の運用ルール
地下・1階の駐車場、機械式駐車場 内水による冠水で車両・設備が被害を受ける 中〜高。止水板の備え、避難ルールの周知
屋上・バルコニーの排水 詰まりで屋内へ浸水 高。年に1〜2回の清掃と点検

これらは、大規模修繕の工事費に比べて小さい金額で改善できることも多いです。長期修繕計画に「水害・停電対策」の項目を入れておくと、理事会で優先順位を議論しやすくなります。

船橋市の支援制度(令和8年度)

分譲マンションの耐震診断助成

船橋市は、市内で昭和56年5月以前に建築された、地上3階以上の分譲マンションを対象に、耐震診断の費用を助成しています。延べ面積1,000㎡以上、住宅戸数6戸以上などの条件があります。助成額は、予備診断が費用の3分の2(上限3万4千円)、本診断が費用の3分の2または面積に応じた算定額の3分の2のいずれか低い額(上限350万円)です。

ただし、市のページ(令和8年9月1日更新)には「令和8年度分の交付申請の受付は終了しました」と記載されています。令和9年度分の受付は、令和9年4月上旬頃に市のホームページで発表される予定です(出典:船橋市 マンション耐震診断助成事業)。旧耐震の管理組合は、来年度に向けて、今のうちに総会の議題にしておくことをおすすめします。

マンション管理無料相談・マンション管理士等派遣事業

大規模修繕の進め方、総会・理事会の運営、修繕積立金などについて、無料で相談できる制度です。無料相談は、令和8年4月〜12月の日曜日9回と、令和9年2月・3月の日曜日2回があります。各日13時〜16時で、1件30分以内、予約制で各開催日3件までの先着順です。会場は船橋駅前総合窓口センター(フェイスビル5階)です。

管理組合で合意したうえで申請すれば、マンション管理士等の派遣(1回2時間)も、無料で受けられます。希望日時によっては派遣できない場合があります。受付期間は明記されておらず、電話連絡のうえで申請書を送る流れです(出典:船橋市 令和8年度マンション管理無料相談・マンション管理士等派遣事業(令和8年5月8日更新))。

マンション管理計画認定制度

管理計画の認定は、有効期間が5年です。船橋市は令和5年(2023年)4月3日から受付を始めており、国の基準をそのまま適用し、市独自の基準はありません。市への申請は無料ですが、事前確認適合証を取得するための、マンション管理センターの手数料は別にかかります(出典:船橋市 マンション管理計画認定制度(令和8年5月26日更新))。長期修繕計画と修繕積立金の見直しの区切りとして、検討する価値があります。

よくあるご質問

Q. 船橋市のマンションで、最初にすべき漏水対策は何ですか?

A. 屋上ドレンとバルコニー排水の清掃・点検です。令和8年8月13日の大雨では、船橋市で最大時間雨量が61.0mmに達し、市施設でも雨漏りが32件ありました。年に1〜2回の清掃で防げるケースが多いです。

Q. 洪水と内水は、何が違いますか?

A. 洪水は川の水があふれる現象、内水は雨水管や水路が受けきれず、マンホールや雨水ますから水があふれる現象です。船橋市は、洪水と内水を別のレイヤーで公開しています。

Q. 内水のハザードマップは、市内のどこでも見られますか?

A. 内水の浸水想定区域の対象は、公共下水道事業計画区域で、市内全域ではありません。区域外の場合も、道路の冠水などが起きることはありますので、過去の被害状況も参考にしてください。

Q. ハザードマップで色が付いていない場所なら、水害対策は不要ですか?

A. 不要とは言えません。想定は、条件を設定したシミュレーションです。想定を超える雨が降ることもありますので、あくまで備えの目安としてお使いください。

Q. 緊急の漏水で足場が間に合わないときは、どうすればいいですか?

A. ロープアクセスで、点検と応急補修を即日〜翌日に着手できることが多いです。物件の状況により異なりますので、まずはお問い合わせフォームから状況をお知らせください。

Q. 屋上防水の費用はどれくらいですか?

A. 工法や面積で変わりますが、防水の更新は1㎡あたり5,000〜8,000円程度がひとつのレンジです。現地調査をしたうえでの見積りをおすすめします。

Q. 船橋市の耐震診断助成は、令和8年度はまだ申請できますか?

A. 市のページによると、令和8年度分の受付は終了しています。令和9年度分は、令和9年4月上旬頃に市のホームページで発表される予定です。

Q. ロープアクセスは安全ですか?

A. メインロープとバックアップロープの2本を、2点以上の吊元に接続する二重の確保が基本です。明誠および加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。

まとめ+今週動くこと3点

船橋市は、洪水・内水・高潮・津波・地震・液状化と、複数のマップが公開されています。そのうえで、令和8年8月の千葉豪雨は、床上浸水72件、床下浸水36件、市施設の雨漏り32件という被害をもたらしました。私は理事長さまやオーナーさまに、「雨が降る前に、ドレンと受変電設備の場所を見てください」とお伝えしています。

今週動いていただきたいのは、次の3点です。

  1. 船橋市のハザードマップ(WEB版)で、物件所在地の洪水・内水・高潮・地震(液状化)の想定を確認し、画面やPDFを保存する(国土交通省のハザードマップポータルサイトで重ねて見る方法もあります)。
  2. 屋上ドレンとバルコニー排水のゴミ詰まり、受変電設備・給水ポンプ・エレベーター制御盤の設置階を、管理会社と一緒に点検する。
  3. 市の無料相談・マンション管理士派遣の利用を、理事会で検討する。

理事会で1分だけでも、この話題を出してみてください。

明誠のこれまでの施工事例は、明誠の施工事例からご覧いただけます。管理組合さま向けには大規模修繕のご案内(管理組合)、ビルオーナーさま向けにはビルオーナー向けのご案内をご用意しています。漏水の原因調査や概算のお見積りは、お問い合わせフォームから無料で承ります。

出典・参考資料


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年11月3日


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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年11月3日時点で公表されている船橋市および国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、船橋市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

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