本間社長ブログ

稲敷市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

稲敷市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

2026年11月3日 更新

「稲敷市のマンションで、大規模修繕に使える補助金はありますか?」

先に結論をお伝えします。2026年11月3日時点で稲敷市・茨城県・国の公式ページを確認した範囲では、外壁塗装や屋上防水といったマンション共用部分の大規模修繕工事そのものに、管理組合が使える稲敷市の補助金は見つかりませんでした。 ただし稲敷市は、近隣の市と比べてマンション管理組合が関われる制度の入り口が多い市です。

稲敷市の管理組合さま・オーナーさまに押さえていただきたいのは、次の5点です。

  1. 稲敷市は令和6年4月からマンション管理計画認定の受付を始めており、市への申請手数料は無料です(マンション管理センターの事前確認の費用は別途)
  2. 危険ブロック塀等撤去補助は、補助対象者を「所有者、共有者又は管理者」と明記しています。分譲マンションの敷地の塀にも関係しうる制度です(令和8年度の受付は9月30日で終了)
  3. 住宅リフォーム資金補助は外壁塗装・屋根塗装も対象ですが、対象は「対象住宅に居住する所有者」で、共用部の修繕に管理組合が使う制度とは読めません
  4. 国の住宅省エネ2026キャンペーンは、リフォームの交付申請の予約が遅くとも2026年11月16日までです
  5. 補助で賄える額は限られます。修繕積立金を守る鍵は、診断を先に行い、足場を掛ける範囲と回数を設計することにあります

こんにちは、株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕に20年以上携わってきました。この記事は、稲敷市にマンションをお持ちの管理組合さま、そして市内で賃貸マンション・アパート・社宅などを経営されているオーナーさまに向けて書いています。制度を「共用部に使えるか、使えないか」で仕分けし、確認できなかったことは、確認できなかったと正直に書きます。

早見表:稲敷市で共用部に使える制度・使えない制度

2026年11月3日時点で確認できた稲敷市・茨城県・国の公式ページをもとに整理しました。「使えるか」の欄は、公式ページの記載から私が読み取った判断です。最終判断は各窓口でご確認ください。

制度 窓口 管理組合・オーナー(共用部)で使えるか 確認できた内容
外壁・屋上の大規模修繕そのものへの市の補助 — × 見当たらない 県の稲敷市一覧(R8.4.1)・市の「住宅」ページに該当制度なし
マンション管理計画認定制度 産業振興課 ○ 管理組合が申請者 令和6年4月受付開始。市の申請手数料は無料、市独自基準なし。賃貸マンション(ワンオーナー)は対象外
危険ブロック塀等撤去補助金 産業振興課 ○〜△ 敷地の塀なら対象になりうる 補助対象者は「所有者、共有者又は管理者」。3分の2など・上限20万円。令和8年度は6月1日〜9月30日で受付終了
住宅リフォーム資金補助金 産業振興課 × 共用部には読めない 外壁塗装・屋根塗装も対象。工事費の10%・上限10万円。対象は居住する所有者。下期は10月1日受付開始
戸建て木造住宅耐震改修・耐震診断士派遣 産業振興課 × 対象外 戸建ての木造住宅が対象
社宅整備促進補助金 市の担当課 △ 法人オーナー向け 市内で従業員の住居を新たに整備した法人向けの制度。令和8年度の内容は市公式で確認できず
下水道排水設備工事資金補助・高度処理型浄化槽設置補助 上下水道課 △ 建物の条件次第で要相談 公共下水道への接続や高度処理型浄化槽の設置への補助
自立・分散型エネルギー設備(蓄電池)導入促進補助 環境課 × 読み取れない 蓄電システムの設置費の助成。共同住宅の扱いは記載なし
マンション長寿命化促進税制 国の制度(固定資産税の特例) ○ 要件に合えば 築20年以上・総戸数10戸以上など。工事完了の期限は令和9年3月31日
住宅省エネ2026キャンペーン(国) 登録事業者が申請 ○ 共同住宅を含む事業あり 予約は遅くとも11月16日、申請は遅くとも12月31日。予算上限で締切

この表を一言でまとめると、稲敷市には共用部の大規模修繕に直接届く市の補助は見当たらない。一方で、管理計画認定は無料で受けられ、ブロック塀撤去補助は「管理者」も申請できる。管理組合が使える入り口を、確実に押さえておきたい市です。

稲敷市の住まい事情-霞ヶ浦と利根川に挟まれた、人口3万5千人の市

数字で見る稲敷市

まず、市の姿を公的な統計で確認します。茨城県統計課の「市町村のデータ(稲敷市)」(2026年8月31日更新)によると、次のとおりです。

項目 数値 時点・出典
常住人口 35,028人 令和8年7月1日(県常住人口調査)
世帯数 14,849世帯 令和8年7月1日(同上)
面積 205.81平方キロメートル 令和8年4月1日(国土地理院)
65歳以上の割合 40.6% 令和7年10月1日(県常住人口調査)
土地利用 農地45.9%、宅地7.6%、山林7.5%、その他39.0% 令和7年1月1日(県市町村課)
国勢調査人口の推移 平成7年 51,652人 → 令和2年 39,039人 総務省「国勢調査」
汚水処理人口普及率 80.4% 令和7年3月31日(県下水道課)

人口は平成7年の国勢調査をピークに減り続け、65歳以上の方が4割を超えています。北に霞ヶ浦、南に利根川を望む低地と台地の市で、市域の半分近くを農地が占めます。

茨城県の推計では、市内のマンションは約30戸

茨城県と県内29市が共同で作成した「茨城県マンション管理適正化推進計画」(2024年3月)には、平成30年住宅・土地統計調査にもとづく市町村別のマンション戸数が載っています。稲敷市の欄は、住宅総戸数13,730戸に対し、マンション戸数30戸(0.2%)です。茨城県全体のマンション割合3.1%、全国の10.6%と比べても、ごく少ない数字です。

この戸数には空室や賃貸化した住戸は含まれないと注記されていますので、実際の棟数を表すものではありません。それでも、稲敷市で分譲マンションの管理組合を運営されている方は、市内では少数派だということは読み取れます。その少数派のために、市が独自に管理計画認定のページを用意し、手数料を無料にしていることは、私は前向きに受け止めてよい点だと考えています。

高齢化率40%超の市で、管理組合が気をつけたいこと

高齢化が進むと、補助金の探し方より前に、管理組合の運営そのものが難しくなります。理事長さまからよくうかがうのは、次のような悩みです。

  1. 理事の担い手が見つからず、同じ方が何期も続けている
  2. 長期修繕計画が作られたまま、何年も見直されていない
  3. 修繕積立金の値上げを総会に出しにくい

私が理事長さまにいつもお伝えしているのは、「制度は、管理組合の背中を押す道具として使ってください」ということです。後ほど触れる管理計画認定の基準は、まさに長期修繕計画や積立金の見直しを促す内容になっています。

マンション管理計画認定-稲敷市は「手数料無料・独自基準なし」

稲敷市の案内ページの要点

稲敷市の「マンション管理計画認定制度」のページ(2024年3月27日更新)では、次のように案内されています。

項目 稲敷市の案内
受付開始 令和6年4月
対象 稲敷市内にある区分所有された分譲マンション(ワンオーナーの賃貸マンションは対象外)
申請の方法 原則として市への直接申請は行わず、マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」で事前確認適合証を取得してから申請
申請の手順 ①総会での認定申請の決議 → ②事前確認の申請 → ③事前確認適合証の取得 → ④稲敷市へ認定申請
市の手数料 無料(支援サービスの利用料や事前確認審査料は別途)
認定基準 稲敷市独自の基準はなく、国と同様
問い合わせ 産業振興課(代表029-892-2000)

参考までに、茨城県が認定する12町村の場合、県への認定・更新申請手数料は1棟で4,000円(2棟以上は追加1棟につき2,000円加算)と、茨城県のページで案内されています。稲敷市は市の手数料が無料ですので、費用の壁は低いと言えます。事前確認の費用は、公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」で、システム利用料(1申請あたり10,000円)と事前確認審査料がかかります。

市のページが挙げる4つのメリット

稲敷市のページでは、認定のメリットとして次の4つが挙げられています。

  1. 区分所有者の管理への意識が高く保たれ、管理水準が向上する
  2. 適切に管理されたマンションとして市場において評価される
  3. 住宅金融支援機構の制度(マンション共用部分リフォーム融資)を有利に活用できる
  4. 2回目以降の長寿命化工事が完了見込みなど、特定の条件を満たした場合に固定資産税が減税される

また、一般社団法人茨城県マンション管理士会で、マンション管理士による相談が受けられることも案内されています。周りにマンションが少なく相談相手が見つかりにくい地域では、こうした窓口を知っておくだけでも心強いはずです。

認定基準で、自分たちの管理を点検する

推進計画に掲載された認定基準のうち、修繕計画の点検に役立つ項目を挙げます。

  1. 長期修繕計画の作成または見直しが7年以内に行われていること
  2. 計画期間が30年以上で、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていること
  3. 将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していないこと
  4. 修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと
  5. 計画期間の最終年度に借入金の残高がないこと
  6. 管理者等と監事が選任され、集会(総会)が年1回以上開催されていること

私は、認定を取ること自体を目的にするより、この基準で自分たちの管理を点検することをお勧めしています。手数料が無料の稲敷市なら、「まずは事前確認に挑戦してみる」という使い方も現実的です。足りない項目が見つかれば、それが次の総会の議題になります。

危険ブロック塀等撤去補助-補助対象者に「管理者」が明記されている

稲敷市の制度の要点

ここが、稲敷市ならではの論点です。稲敷市の「危険ブロック塀等撤去補助金」(2026年10月14日更新)は、次のような制度です。

項目 稲敷市の案内
対象の塀 倒壊の危険性があり、避難路・緊急輸送道路・通学路を通行する人に危険を及ぼすおそれがあると市長が認める組積造・補強コンクリートブロック造の塀
高さ 道路面からの高さが80センチメートルを超えるもの
補助対象者 危険ブロック塀等の所有者、共有者又は管理者
共有者・管理者が申請する場合 他の共有者または所有者の同意書(様式は任意)を添付
補助金額 補助対象経費の3分の2、または「撤去延長×20,000円/m×3分の2」のいずれか少ない額(上限20万円)
施工者 建設業者または解体工事業者で、市内に本社・支店・営業所を有する者
令和8年度の受付期間 令和8年6月1日〜9月30日(受付終了)

たとえば鉾田市の同種の制度では、補助対象者は「所有者又は共有者」とされていますが、稲敷市は「管理者」も補助対象者に含めています。分譲マンションの敷地にある塀は、通常は区分所有者全員の共有で、管理組合の管理者(多くは理事長)が管理しています。条文上は、管理組合の管理者が、他の共有者の同意を得て申請する道が開かれていると私は読んでいます。ただし、マンションの管理組合が実際に申請できるかどうかは、個別に産業振興課で確認してください。

令和9年度に向けた準備

令和8年度の受付は9月30日で終わっています。敷地の塀が通学路などに面しているマンションやアパートでは、次の段取りで令和9年度に備えるのが現実的です。

  1. 国土交通省の「ブロック塀の安全点検」チェックリスト(市のページからダウンロード可)で、塀の状態を確認する
  2. 気になる点があれば、受付期間の前でも産業振興課に事前相談の方法を問い合わせる(申請には市職員の現地判定が必要です)
  3. 管理組合では、通常総会で「制度があれば申請する」ことを条件付きで決議しておく
  4. 市内の建設業者・解体工事業者から見積りを取り、受付開始と同時に申請できるようにする

塀の撤去は、大規模修繕と同じ時期に行うと、外構工事や仮設をまとめられることがあります。ただし、交付決定前に契約・着工すると補助対象外になりますので、順番には十分注意してください。

住宅リフォーム資金補助は「外壁塗装も対象」-ただし誰が使えるか

制度の要点

稲敷市の「住宅リフォーム資金補助金交付事業」(2026年9月29日更新)は、市内の施工業者に発注するリフォーム工事に対する補助です。対象工事の例として、外壁塗装、屋根塗装・張替え、雨樋の修理・交換が「補助対象」と明記されています。

項目 稲敷市の案内
補助額 補助対象工事費の10%(上限10万円、千円未満切り捨て)
対象工事 市内施工業者に発注するリフォーム工事(税抜10万円以上)
補助対象者 対象住宅に住民登録して居住している(または工事後3年以上居住予定の)所有者など
工事期限 交付決定通知後に着手し、令和9年1月29日までに完了
令和8年度予算 400万円(上期200万円、下期は予算に達するまで)
下期の受付 令和8年10月1日9時から。残枠15名(令和8年10月2日午前8時30分時点)
対象外の例 門・塀・車庫など居住用以外の工作物、新築・増改築、災害復旧、ソーラーパネルなど

分譲マンションの共用部には使えるか

結論から言うと、管理組合が共用部の外壁塗装に使う制度とは読めません。 補助対象者は「対象住宅の所有者」で、そこに居住していることが条件です。交付要綱でも、対象は自己の居住の用に供する個人住宅と、併用住宅等のうち個人住宅の部分とされていると読めます。

一方で、自宅の一部を賃貸にしている併用住宅のオーナーさまや、戸建ての自宅をお持ちの方にとっては、外壁塗装に使える数少ない市の制度です。下期の残枠は10月2日時点で15名でしたので、検討中の方は早めに産業振興課へ確認してください。

社宅・排水設備・蓄電池-オーナーさまが確認したい市の制度

社宅整備促進補助金

稲敷市の住宅の「補助・制度」一覧には、「稲敷市社宅整備促進補助金」が掲載されています。市内で従業員の住居を新たに整備した法人を対象とする制度とされていますが、令和8年度の補助額や受付状況は、今回市の公式ページで確認できませんでした。 市内で社宅や従業員寮の整備・取得を検討している法人オーナーさまは、市にお問い合わせください。既存の社宅の修繕が対象になるかどうかも、窓口で確認が必要です。

下水道接続・高度処理型浄化槽

茨城県の「住宅関連助成制度等一覧【稲敷市】」(R8.4.1)には、上下水道課が窓口の「下水道排水設備工事資金補助金」と「高度処理型浄化槽設置事業費補助金」が載っています。稲敷市の汚水処理人口普及率は80.4%です。郊外で浄化槽を使っている賃貸アパートや社宅では、排水設備の更新時期が外装の修繕と重なることがよくあります。令和8年度の補助額や共同住宅の扱いは確認できませんでしたので、上下水道課(代表029-892-2000、内線2974)にご確認ください。

蓄電池の導入促進補助

環境課の「自立・分散型エネルギー設備(蓄電池)導入促進補助金」も、県の一覧と市の「補助・制度」に掲載されています。共同住宅や管理組合が申請者になれるかは、一覧からは読み取れませんでした。

11月16日が分かれ目-住宅省エネ2026キャンペーン

リフォーム4事業の予算消化率(11月2日時点)

国土交通省・経済産業省・環境省の「住宅省エネ2026キャンペーン」の公式サイトでは、予算に対する補助金申請額の割合が毎日公表されています。2026年11月2日時点のリフォーム関連の数値は次のとおりでした。

事業 主な対象工事 予算 申請額の割合(11/2時点)
みらいエコ住宅2026事業 断熱改修を含む幅広いリフォーム(平成28年以前に新築された住宅) 300億円 12%
先進的窓リノベ2026事業 高断熱の窓への改修(ガラス交換・内窓・外窓交換) 1,125億円 34%
給湯省エネ2026事業 高効率給湯器の設置 570億円 55%
賃貸集合給湯省エネ2026事業 賃貸集合住宅の小型省エネ給湯器への交換 35億円 69%

キャンペーンのリフォーム向けページでは、交付申請の予約の受付終了は遅くとも2026年11月16日まで、交付申請の受付終了は遅くとも2026年12月31日までとされ、いずれも予算上限に達した時点で終了すると明記されています。

共同住宅と賃貸オーナーに関係するポイント

公式ページの表では、みらいエコ住宅2026事業、先進的窓リノベ2026事業、給湯省エネ2026事業のいずれも、補助対象住宅に「共同(集合)住宅」が含まれ、その定義は「2つ以上の住戸を有する建物(二世帯住宅、マンション、長屋を含む)」とされています。先進的窓リノベ2026事業の補助上限は、住宅の場合1戸あたり100万円です。賃貸集合給湯省エネ2026事業は、対象が「貸家に限る」とされ、補助対象者は「工事発注者かつ住宅所有者」です。

注意点は次の3つです。

  1. 申請は工事施工者等が行う:発注者が自ら申請することはできず、住宅省エネ支援事業者として登録した施工者を通す必要があります
  2. 予約は工事着手以降:11月16日までに着工できる工事でなければ、予約に間に合いません
  3. 管理組合が発注する共用部工事の扱い:公式ページだけでは判断できなかったため、登録事業者への確認が必要です

これから理事会で検討を始める工事を、11月16日の予約期限に間に合わせるのは難しいと私は考えています。工事の必要性が先、補助金は後、という順番を崩さないことが、結局は一番の節約になります。

マンション長寿命化促進税制-10戸以上・令和9年3月31日まで

マンション長寿命化促進税制は、一定の要件を満たすマンションが長寿命化工事を行った場合に、翌年度分の建物の固定資産税額が減額される国の特例です。船橋市や横浜市の案内ページから読み取れる主な要件は次のとおりです。

項目 内容
築年数 新築から20年以上
規模 総戸数10戸以上
長寿命化工事 外壁塗装等、床防水、屋根防水の工事をすべて実施
工事の完了期間 令和5年4月1日から令和9年3月31日まで
申告 工事完了日から3か月以内
減額の割合 市町村の条例で定める(船橋市は3分の1、横浜市は2分の1)

稲敷市のページでも、認定のメリットとして「2回目以降の長寿命化工事が完了見込みなど、特定の条件を満たした場合、固定資産税が減税される」と案内されています。稲敷市での減額割合と申告窓口は、今回確認できませんでした。 市の固定資産税担当にお問い合わせください。工事完了の期限が令和9年3月31日ですから、今から管理計画認定と工事の両方を間に合わせるのは、日程的にかなり厳しいと私は見ています。期限に合わせて仕様を削るのは本末転倒です。

賃貸マンション・アパート・社宅のオーナーさまへ

稲敷市の管理計画認定は、ワンオーナーの賃貸マンションは対象外です。確認できた範囲では、賃貸物件の外壁・屋根の修繕に使える市の補助も見当たりません(住宅リフォーム資金補助は、所有者自身が居住する住宅が対象です)。

オーナーさまに押さえていただきたいのは、次の4点です。

  1. 修繕費は家賃収入から計画的に積み立てる:補助金は「使えたら幸運」くらいに考える
  2. 敷地の塀が通学路などに面していないか確認する:危険ブロック塀撤去補助は所有者も対象(令和9年度の募集に向けて)
  3. 排水設備の状態を把握する:下水道接続・浄化槽の制度と、外装修繕の時期を合わせて考える
  4. 外壁や防水の劣化は、入居者の安全と空室率に直結する:本格修繕の前に、診断だけでも先に行う

賃貸物件の修繕と資産価値の守り方は、収益不動産オーナーさま向けのご案内と、ビルオーナーさま向けのご案内にまとめています。

稲敷市の建物で大規模修繕をどう組むか-足場・ロープアクセス・ハイブリッド

費用の目安を知ることが、最大の節約になる

補助で賄える額が限られるなら、頼りは修繕積立金や家賃収入からの積立てです。以下は、公的な単価表ではなく、当社が見積りの際に参考にしている目安です。建物の規模・形状・劣化状況・仕様で大きく変わりますので、個別の見積りなしに金額は確定できません。

工事の種類 目安の単価
外壁塗装 1平方メートルあたり3,500〜4,500円程度
外壁タイルの打診調査 1平方メートルあたり250〜500円程度
防水工事 1平方メートルあたり5,000〜8,000円程度

私の経験では、大規模修繕の総額のうち、足場の仮設・解体にかかる費用は、案件によっては2割前後を占めることがあります。費用の考え方は大規模修繕の料金の考え方でも詳しく説明しています。

3つの工法を、建物の条件で選ぶ

明誠は、通常の足場仮設による工事、ロープアクセスによる無足場工法、足場とロープアクセスを組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な方法をご提案しています。日本でも、この3つを同じ目線で比べて提案できる会社は多くありません。

建物の状況 検討しやすい工法 理由
外壁全面の塗装・タイル補修・防水を一度にまとめたい 通常の足場工法 全面改修では作業効率が高い
部分補修、シーリングの打ち替え、劣化調査が中心 ロープアクセス工法 足場の仮設費を抑えやすく、窓をふさぎにくい
低層部は足場、高所や足場を立てにくい面はロープ ハイブリッド工法 面ごとに最適な方法を組み合わせ、総額を抑える
2〜3階建てのアパートで、屋根・外壁を全面的に直したい 通常の足場工法が中心 低層では足場の効率が良いことが多い

ロープアクセス工法では、作業員はメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保して作業します。明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、ロープアクセスでの高所作業について、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の訓練を受けた作業員が担当し、ISO9001の品質マネジメントシステムのもとで施工しています。当社のロープアクセス工法の技術詳細は明誠のロープアクセス工法のご紹介に、安全への取り組みは明誠の安全管理と大規模修繕の総合提案に掲載しています。工法の一般的な安全基準や他現場の事例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで解説しています。

水辺に近い平地で、見ておきたいこと

稲敷市は、北に霞ヶ浦、南に利根川を望む市です。一般論として、水辺に近い平地では湿気がこもりやすく、北面の外壁にコケやカビが出やすい傾向があり、遮るもののない平地では、強い風雨が外壁の目地や屋上防水の端部に当たりやすい傾向があります。ただし、市内のどの地区でどの程度の影響があるかについて、私は公的なデータを確認していませんので、物件ごとの診断で見極めるのが確実です。

診断で重点的に見るのは、次の4点です。

  1. 屋上防水の立上りと排水口まわり:雨水が最初に集まり、漏水の入口になりやすい場所
  2. シーリング(目地のゴム状の充填材)の硬化・ひび割れ:サッシまわりから雨水が入る入口
  3. 外壁タイルやモルタルの浮き:落下事故につながるため後回しにしない
  4. 鉄部(外階段・手すり・屋上設備架台)のさび:塗装周期の判断材料

打診調査とは、タイルなどを専用の棒で軽くたたき、音の違いで浮きを見つける検査です。ロープアクセス工法なら、足場を組まずに壁面へ近づいて調査できるため、本格的な修繕の前に調査だけを先に行う進め方も選べます。ドローンを使った外壁の調査についてはドローン調査のご案内もご覧ください。

冬に動き出すなら、春の総会と初夏の受付を見すえて

11月の今から検討を始める場合、外壁塗装や防水の本工事は、低温の時期を避けて春以降に組むのが一般的です。冬のあいだは、診断、長期修繕計画の見直し、見積りの比較、総会の準備に充てる期間と考えてください。稲敷市のブロック塀撤去補助は、令和8年度は6月1日に受付が始まりました。春の総会で管理計画認定の申請とブロック塀の条件付き申請を決議し、初夏の受付に間に合わせるという逆算が、稲敷市の制度を生かす現実的な道筋です。

現場で私が見てきたこと-「制度の入り口」は、使ってこそ意味がある

ここで、私が現場で何度も感じてきたことをお話しします。特定の物件の話ではなく、これまでの経験をまとめたものです。

管理計画認定やブロック塀の補助のように、管理組合が使える制度があっても、「うちには関係ない」と思い込んで、存在すら知らないままという管理組合は少なくありません。理事が1〜2年で交代するマンションでは、前の理事会が調べたことが引き継がれないこともよくあります。

修繕の現場でもう一つよくあるのは、手元の見積りが「全面足場・全面改修」の一本だけ、というケースです。打診調査を先に行ってみると、劣化が日当たりや風当たりの強い特定の面に集中していることが珍しくありません。そうした場合は、劣化の進んだ面だけ足場を掛け、残りの面はロープアクセスで部分補修するハイブリッド案を並べて、比較していただきます。どちらを選ぶかは管理組合が決めることですが、比べる選択肢があること自体が、理事会の安心につながると、私は現場で何度も感じてきました。

明誠はこれまでに、約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。数を誇りたいのではありません。いろいろな建物を見てきたからこそ、「この建物に全面足場は本当に必要か」を最初に疑うことができる、と私は考えています。部分補修でロープアクセスを使う場面の具体例や、打診調査の手順は、姉妹サイトのロープアクセスドットコム(無足場工法専門メディア)でも紹介しています。当社の施工実績は明誠の施工事例でご覧いただけます。

この記事で確認できなかったこと(正直にお伝えします)

次の点は、今回の調査で公式サイトから確認できませんでした。

  1. 危険ブロック塀等撤去補助で、分譲マンションの管理組合(管理者)が実際に申請した例や、その場合の必要書類の詳細
  2. 令和9年度のブロック塀撤去補助・住宅リフォーム資金補助の実施予定と受付時期
  3. 社宅整備促進補助金の令和8年度の補助額・受付状況と、既存社宅の修繕が対象になるか
  4. 下水道排水設備工事資金補助・高度処理型浄化槽設置補助の令和8年度の補助額と、共同住宅・賃貸物件の扱い
  5. 蓄電池の導入促進補助の、共同住宅・管理組合の扱い
  6. 稲敷市のマンション長寿命化促進税制の減額割合と申告窓口
  7. 非木造(鉄筋コンクリート造)のマンションに対する耐震診断・耐震改修の市の補助の有無
  8. 市内の分譲マンションの実際の棟数(県計画の約30戸は平成30年住宅・土地統計調査にもとづく推計)

これらは窓口への問い合わせで解決できる内容ですので、次のチェックリストをお使いください。

窓口に電話する前のチェックリスト

失敗しやすい3つのパターン

  1. 交付決定前に契約・着工してしまう:ブロック塀撤去補助も住宅リフォーム資金補助も、交付決定後の着手が条件です
  2. 総会を待つ間に受付が終わる:ブロック塀撤去補助の受付は6月1日〜9月30日でした。前年度からの準備が欠かせません
  3. 管理計画認定を市へ直接申請しようとする:稲敷市は、原則としてマンション管理センターの事前確認適合証を取得してからの申請です

窓口で使える質問リスト

  1. 危険ブロック塀等撤去補助は、マンション管理組合の管理者が申請できますか。必要な同意書の範囲を教えてください
  2. 令和9年度もブロック塀撤去補助を実施する予定はありますか。受付開始はいつ頃ですか
  3. 管理計画認定の申請で、よく不足する書類は何ですか
  4. マンション長寿命化促進税制の、稲敷市での減額割合と申告先はどこですか
  5. 下水道接続・浄化槽の補助は、共同住宅や賃貸アパートでも使えますか
  6. 社宅整備促進補助金の令和8年度の内容と、既存社宅の修繕が対象になるかを教えてください

稲敷市役所の代表電話は029-892-2000です。県の一覧に記載された内線は、産業振興課が2423、まちづくり推進課が2429、上下水道課が2974、環境課が2319です。

稲敷市のマンションが大規模修繕に向けて動く5つのステップ

  1. 長期修繕計画を取り出す:最後の見直しが7年以内か、積立金の残高と見込みを確認します
  2. 管理計画認定の事前確認に挑戦する:市の手数料は無料です。不足項目が次の総会の議題になります
  3. 劣化診断を先に行う:屋上・外壁・シーリング・鉄部、敷地の塀や排水設備の状態を把握します
  4. 工法を比較する:足場・ロープアクセス・ハイブリッドを、診断結果にもとづいて比べます
  5. 仕様をそろえて相見積りを取る:同じ条件で3社程度から見積りを取り、工事の中身を比べます

管理組合さま向けの進め方は、管理組合さま向けのご案内にもまとめています。

よくあるご質問

Q. 稲敷市で、マンションの大規模修繕工事費に使える補助金はありますか?

A. 2026年11月3日時点で、県の一覧(R8.4.1版)と市の「住宅」ページを確認した範囲では、共用部の塗装・防水などに管理組合が使える市の補助は見当たりませんでした。最終的には市役所(029-892-2000)でご確認ください。

Q. 稲敷市のマンション管理計画認定に、手数料はかかりますか?

A. 稲敷市への申請手数料は無料です。マンション管理センターの支援サービスの利用料や事前確認審査料は別途かかります(出典:稲敷市)。

Q. 稲敷市の危険ブロック塀撤去補助は、マンションの管理組合でも使えますか?

A. 補助対象者は「所有者、共有者又は管理者」と明記されており、他の共有者の同意書を添える仕組みです。管理組合の管理者が申請できる余地はありますが、個別に産業振興課でご確認ください。上限は20万円です。

Q. 稲敷市の住宅リフォーム資金補助で、マンションの外壁塗装はできますか?

A. 外壁塗装は対象工事ですが、補助対象者は対象住宅に居住する所有者です。管理組合が共用部の外壁塗装に使う制度とは読めません。

Q. 国の住宅省エネ2026キャンペーンは、いつまでですか?

A. 公式サイトによると、リフォームの交付申請の予約は遅くとも2026年11月16日まで、交付申請は遅くとも12月31日までで、予算上限に達した時点で終了します(出典:住宅省エネ2026キャンペーン)。

Q. 賃貸マンションでも、管理計画認定を受けられますか?

A. 稲敷市のページでは、ワンオーナーの賃貸マンションは対象外とされています。対象は区分所有された分譲マンションです。

Q. 相談や劣化診断の費用はかかりますか?

A. 明誠では、相談や診断の段階での費用の扱いを、建物の規模や内容に応じて事前にご説明しています。まずはお問い合わせフォームからご相談ください。

この記事のポイントまとめ

  • 稲敷市には、共用部の大規模修繕に直接使える市の補助は見当たらない
  • 管理計画認定は令和6年4月開始、市の手数料は無料・独自基準なし
  • ブロック塀撤去補助は「管理者」も補助対象者。上限20万円、令和8年度は受付終了
  • 住宅リフォーム資金補助は外壁塗装も対象だが、居住する所有者向け
  • 住宅省エネ2026の予約は遅くとも11月16日まで
  • 診断を先に行い、足場を掛ける範囲を設計することが修繕費を守る近道

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年11月3日時点で公表されている稲敷市および茨城県・国土交通省ほかの公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず稲敷市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

結びに

稲敷市は、霞ヶ浦と利根川に挟まれた、人口3万5千人あまりの市です。分譲マンションは推計で約30戸と少数派ですが、その少数派のために、市は管理計画認定の手数料を無料にし、ブロック塀撤去補助では「管理者」を補助対象者に含めています。制度の入り口を確実に押さえ、来年度の受付に間に合うよう春の総会で決議し、診断を先にして足場の範囲を見極める。この3つが、稲敷市で修繕積立金を守る一番の近道だと私は考えています。

長期修繕計画の見直しや、管理計画認定の事前確認の準備、屋上・外壁・目地の診断の進め方のご相談だけでも、お力になれることがあります。総会の前段階の整理だけでも遠慮なく、明誠へのお問い合わせフォームからお声がけください。

県内の記事として、常陸太田市のマンション補助金、鉾田市のマンション補助金、小美玉市のマンション補助金もあわせてご覧ください。同じ茨城県でも、管理計画認定の手数料やブロック塀補助の対象者が、市ごとに違うことが分かります。漏水でお困りの方は漏水・雨漏りのご案内、建物の資産価値については建物の資産価値を守る修繕も参考にしてください。


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この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年11月3日


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