本間社長ブログ
マンションの外壁タイルが歩道に落下|東京・北区王子と北海道・旭川で相次ぐ。東京都の共同住宅は令和9年度が定期報告の年——首都圏の管理組合・オーナーが今から確かめたい7項目【2026年10月】
目次

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著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
この記事で分かること
「うちのマンションの外壁タイルは、落ちる前に見つけられているだろうか?」——この記事は、この問いに答えるために書きました。
2026年10月、外壁が歩道に落ちる出来事が続きました。10月21日には東京都北区王子3丁目のマンションで外壁タイルが剥がれて歩道に散乱し、10月14日には北海道旭川市の中心部でビルの外壁の一部が落下して、通行人がけがをしています(詳しくは次の章で出典とともに紹介します)。
東京・神奈川・埼玉・千葉など首都圏には、築30年を超えるタイル張りのマンションやビルがたくさんあります。外壁タイルの落下は「古い建物だけの話」ではなく、施工時の接着不良や下地のひび割れなど、築15〜20年程度の建物でも起こりえます。
結論から申し上げます。外壁タイルの落下は、建築基準法12条の定期調査(いわゆる12条点検)と、10年ごとの「全面打診」を計画どおりに回していれば、多くの場合は事前に兆候をつかめます。そして東京都の共同住宅(5階以上かつ延べ面積1,000㎡超)は、令和9年度(2027年5月〜10月)が次の定期報告の年にあたります。今から半年余りの準備期間を、調査方法と費用の比較、そして次の大規模修繕との組み合わせを考える時間に使っていただきたい、というのが私の提案です。
最終更新:2026年10月29日
2026年10月、外壁の落下が相次いだ
まず、10月に報じられた2件の事実関係を整理します。
| 日付 | 場所 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 2026年10月14日 | 北海道旭川市3条通8丁目 | ビルの外壁の一部が歩道に落下。けが人が出たが軽傷。強風が原因とみられると報道 | 北海道新聞、HBCニュース北海道 |
| 2026年10月21日 | 東京都北区王子3丁目 | マンションの外壁タイルが剥がれ、歩道に落下・散乱。区は以前から管理会社に改修を求めていたと区議会議員が発信 | 北区議会議員のX投稿(まとめ記事経由) |
旭川市:ビル外壁の落下で通行人がけが
北海道新聞は、10月14日午後4時10分ごろ、旭川市3条通8丁目(買物公園)のビルで外壁の一部が落下したと報じました。旭川中央署によると、けが人がいるものの軽傷で命に別条はないとのことです。見出しでは「強風が原因か」とされています(出典:北海道新聞「旭川の買物公園でビル外壁落下 強風が原因か」)。
また、HBCニュース北海道は見出しで、外壁タイルが12メートル下にいた10代後半の男女3人に当たったこと、ビルが築30年を超えていること、市への点検報告が「18年間なし」だったことを伝えています(出典:HBCニュース北海道(Yahoo!ニュース配信))。原因の詳細は調査中とみられ、本記事では報道の範囲を超えた推測はしません。
東京都北区王子:マンション外壁タイルが歩道に
10月21日には、北区王子3丁目のマンションで外壁タイルが剥がれ、歩道に落下しました。北区議会議員がX(旧Twitter)で、区が以前から管理会社に改修工事を求めていたこと、カラーコーンなどで注意喚起を行うことを発信しています(出典:まとめダネ!「東京都北区王子3丁目 マンション外壁タイルが落下し歩道に散乱」に引用された区議会議員の投稿)。けが人の有無は、この投稿からは確認できません。
本記事では、個別の建物名は取り上げません。大切なのは「どの建物か」ではなく、同じことが自分たちの建物でも起こりうるかを確かめることだからです。
なぜ外壁タイルは落ちるのか
外壁タイルは、コンクリートの躯体(建物の骨組み)の上に、モルタルや接着剤を介して張られています。落下の多くは、この「層と層のあいだ」がはがれる浮きから始まります。
| 主な原因 | 起こること | 気づくきっかけ |
|---|---|---|
| 経年による接着力の低下 | 下地モルタルとタイルの間、または躯体とモルタルの間が少しずつはがれる | 打診(たたいて音を聞く)で「カラカラ」と軽い音がする |
| 温度変化の繰り返し | 日射で温まる南面・西面で、膨張と収縮によって浮きが広がりやすい | 南面・西面の上層階に浮きが集中する |
| 雨水の浸入 | ひび割れや目地から水が入り、下地を傷める。寒冷地では凍結で押し広げる | 白い汚れ(白華・エフロレッセンス)や錆汁が出る |
| 施工時の不具合 | 張り付け時間の管理不足などで、最初から接着が弱い部分ができる | 築年数が浅いのに、まとまった範囲で浮きが見つかる |
| 地震・強風 | すでに浮いている部分に力が加わり、落下の引き金になる | 地震や台風の後に、タイルの欠けやずれが見つかる |
浮きは、外から見ただけでは分かりにくいのが厄介なところです。タイルが割れていなくても、裏側ではがれていることがあります。だからこそ、打診や赤外線などで「中の状態」を確かめる調査が必要になります。
建築基準法12条の定期調査と「10年ごとの全面打診」
定期報告制度のしくみ
建築基準法第12条では、一定の用途・規模の建築物(特定建築物)について、所有者・管理者が定期的に資格者に調査をさせ、その結果を特定行政庁(建築確認などを担当する自治体)に報告することを定めています(出典:e-Gov法令検索「建築基準法」)。報告をしなかったり、虚偽の報告をしたりした場合は、100万円以下の罰金の対象になると、自治体も案内しています(出典:群馬県「定期報告制度に関するQ&A」)。
外壁タイルは「10年ごとに全面打診」が原則
外壁タイルなどの調査方法は、平成20年国土交通省告示第282号で定められています。国土交通省は、タイル、石張り(乾式工法を除く)、モルタルなどについて、おおむね6か月から3年以内に一度の手の届く範囲の打診等に加え、おおむね10年に一度、落下により歩行者等に危害を加えるおそれのある部分の全面的な打診等を行うこととしていると説明しています(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。
「10年」の数え方は、竣工後・外壁改修後・前回の全面打診の後が起点です。群馬県のQ&Aでは、起点を「竣工等が属する年度の翌年度の最初の日」とする例が示されています(出典:群馬県「定期報告制度に関するQ&A」)。運用の細部は特定行政庁ごとに確認が必要です。
令和4年から「ドローンによる赤外線調査」も選べるように
国土交通省は令和4年1月18日付で告示第282号を改正し、打診以外の方法として、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を持つ無人航空機(ドローン)による赤外線調査を明確化しました。精度の判断には、日本建築防災協会の委員会がまとめたガイドラインを参照するよう求めています(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。
つまり今は、打診(人がたたいて音で調べる)と赤外線(温度差で浮きを推定する)を組み合わせて調査を設計できる時代になっています。
東京都の共同住宅は「5階以上かつ1,000㎡超」、次の報告は令和9年度
東京都で定期報告の対象となる主な特定建築物と報告時期を、東京都都市整備局の一覧から抜き出しました(出典:東京都都市整備局「定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」(PDF))。
| 用途 | 対象となる規模(いずれか・または両方) | 報告の頻度と時期 |
|---|---|---|
| 共同住宅・下宿・寄宿舎(用途コード40) | 5階以上の階にその用途があり、かつ延べ面積(その用途部分)1,000㎡超 | 3年ごと(令和3年、令和6年…)、5月1日〜10月31日 |
| 旅館・ホテル(用途コード13) | 3階以上かつ2,000㎡超 | 毎年、11月1日〜翌年1月31日 |
| 旅館・ホテル(毎年報告以外、用途コード22) | 地階、3階以上、または300㎡超など | 3年ごと(令和元年、令和4年…)、5月1日〜10月31日 |
| 事務所等(用途コード34) | 5階建て以上で延べ2,000㎡超のうち、3階以上かつ1,000㎡超 | 3年ごと(令和2年、令和5年…)、5月1日〜10月31日 |
共同住宅(用途コード40)は「令和3年、令和6年…」の3年ごとですので、次の報告年は令和9年度(2027年5月1日〜10月31日)です。報告日前3か月以内に行った調査の結果を報告するのが原則で、全面打診が必要な年に当たる建物は、調査の段取りに時間がかかります。
なお、東京都の一覧では、共同住宅の住戸内は報告対象から除かれています。また、新築・改築後の「初回免除」の考え方もあります(出典:東京都都市整備局「定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」)。
神奈川・埼玉・千葉・茨城・栃木・群馬の各市町村では、対象となる用途・規模や報告年が東京都と異なります。たとえば群馬県のQ&Aでは、共同住宅のうちサービス付き高齢者向け住宅など就寝用福祉施設に当たるものが対象と説明されています(出典:群馬県「定期報告制度に関するQ&A」)。ご自身の建物が対象かどうかは、所管の特定行政庁(市役所・区役所の建築指導担当など)に確認してください。
そして大切なことをひとつ。定期報告の対象外の建物でも、外壁タイルが落ちれば危険であることに変わりはありません。対象外だから調べなくてよい、という話ではないのです。
落ちたら誰の責任になるのか
外壁タイルが落ちて通行人にけがをさせた場合、建物側の責任が問われる可能性があります。
民法第717条は、土地の工作物(建物を含む)の設置や保存に瑕疵(欠陥)があって他人に損害を与えたとき、まず占有者が損害賠償の責任を負い、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたときは所有者が賠償しなければならない、と定めています(出典:e-Gov法令検索「民法」第717条)。所有者の責任は、過失がなくても負う可能性がある重い責任と一般に説明されています。
分譲マンションの外壁は共用部分ですので、管理組合(区分所有者全体)の問題になります。賃貸マンションやビルであれば、オーナーさまご自身の問題です。ホテルであれば、営業中の宿泊客や通行人への影響に加え、報道による風評という別のリスクもあります。
具体的な責任の範囲は個別の事情によって変わるため、ここでは断定しません。ただ、「定期的に調べ、見つけた浮きに手を打っていた」という記録を残しておくことが、通行人を守るうえでも、管理組合やオーナーさまを守るうえでも、大切な備えになると私は考えています。
全面打診の方法と費用の目安
全面打診をどう行うかで、費用と工期は大きく変わります。代表的な方法を比べます。
| 方法 | 向いている建物・部位 | 長所 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 仮設足場を組んで打診 | 大規模修繕と同時に行う場合、低層で複雑な形状の建物 | 全面に手が届き、見つけた浮きをその場で補修しやすい | 調査だけのために足場を組むと費用がかさむ |
| ゴンドラで打診 | 屋上に設置スペースがある中高層の建物 | 足場より仮設が軽い | 設置・移動の制約があり、形状によっては使いにくい |
| ロープアクセスで打診 | 中高層、足場が組みにくい敷地、部分的な調査 | 足場不要で短期間。浮きの補修も同時に行いやすい | 作業できる技能者と安全管理の体制が必要 |
| 赤外線調査(地上・ドローン) | 面積の大きい外壁の一次スクリーニング | 短時間で広い範囲を調べられる | 日射条件・方位・仕上げ材で精度が左右される。ガイドラインに沿った実施が必要 |
費用は、建物の高さ・外周・タイルの面積・敷地条件で大きく変わります。明誠の社内参考値としては、打診調査そのものは1㎡あたり250〜500円程度が目安です。ただし、ここに足場やゴンドラなどの仮設費が加わると、総額は大きく膨らみます。
仮設の差を例で示します。明誠の社内試算では、10階建て・外周80m・工期3か月の建物で、仮設足場が約168万円に対し、ロープアクセスなら約59万円(約109万円の差)という参考例があります。いずれも物件により大きく変動する目安で、実際の金額は現地調査と見積りでご確認ください。
赤外線調査は足場などの仮設が不要なため、調査費を抑えやすい方法です。ただし、赤外線で「浮きの疑いあり」と出た部分は、最終的には近づいて打診し、補修する必要があります。
私がおすすめしているのは、赤外線で全体の傾向をつかみ、疑わしい部分や精度に不安のある部位をロープアクセスで近接打診・補修するという組み合わせです。足場を組まずに、危険度の高い場所から順に手を打てます。
なお、ロープアクセス工法は、作業員がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保する二重の安全対策を基本とする方法です。技術や安全基準の詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで解説しています。明誠の工法についてはロープアクセス工法の特徴と施工の流れ、調査の内容は明誠の外壁打診調査、ドローンを使った点検はドローンによる外壁点検のページもご覧ください。
首都圏の管理組合・オーナーが今から確かめたい7項目
令和9年度の報告年を前に、次の7項目を確認してみてください。
| No. | 確かめること | 確認先 |
|---|---|---|
| 1 | 自分の建物が定期報告の対象か(用途・階数・面積) | 所管の特定行政庁、管理会社 |
| 2 | 前回の定期報告はいつ提出したか。報告書の控えはあるか | 管理会社、理事会の書類 |
| 3 | 竣工・前回の外壁改修・前回の全面打診はいつか(10年の起点) | 竣工図書、修繕履歴 |
| 4 | 前回の報告で「要是正」「要観察」とされた項目は何か。その後どう対応したか | 定期調査報告書 |
| 5 | 浮き・ひび割れ・白華・欠けなど、目に見える兆候はないか | 日常点検、居住者・テナントからの情報 |
| 6 | 次の大規模修繕はいつか。全面打診と合わせられるか | 長期修繕計画 |
| 7 | 歩道・出入口・駐輪場など、人が通る場所の真上はどこか | 現地確認 |
特に7番目は見落とされがちです。同じ浮きでも、人が通らない植栽の上と、エントランスの真上とでは危険度がまったく違います。調査も補修も、人が通る場所の上から優先順位をつけるのが基本です。
浮きや落下の兆候を見つけたら
「もしかしたら浮いているかもしれない」と気づいたときの初動を整理します。
- 人を近づけない:落下のおそれがある範囲の真下に、コーンやバリケードで立ち入り禁止の範囲をつくります。北区の事例でも、カラーコーンでの注意喚起が行われると発信されていました。
- 落下防止の応急措置:ネットの設置や、浮いたタイルの撤去で、まず二次被害を防ぎます。
- 範囲の確認:打診や赤外線で、浮きがどこまで広がっているかを確かめます。
- 補修方法の選定:浮きの程度に応じて、アンカーピンでタイルを躯体に留める方法(ピンニング)、注入による固定、張り替えなどを選びます。
- 記録と報告:いつ、どこで、何をしたかを写真とともに残し、理事会・総会やオーナー会議で共有します。
ここで一番避けたいのは、「次の大規模修繕まで様子を見よう」と、危険な箇所をそのままにしてしまうことです。落ちる可能性が高い場所は、大規模修繕を待たずに部分補修する。この判断ができるかどうかで、通行人の安全も、建物の評判も変わります。
部分補修のために足場を組むと費用が大きくなりがちですが、ロープアクセスなら、高所の一部分だけを短期間で補修できる場合があります。補修の方法は外壁タイル落下防止措置や劣化タイルの張替えのページで詳しくご紹介しています。
大規模修繕とどう組み合わせるか
全面打診の時期と大規模修繕の時期が近い場合、どう組み合わせるかで総額が変わります。
| 状況 | 考え方の一例 |
|---|---|
| 大規模修繕が1〜2年以内 | 大規模修繕の足場を使って全面打診と補修を行い、その結果を定期報告に使えるか、特定行政庁や調査者と相談する |
| 大規模修繕が3年以上先 | 赤外線+ロープアクセスで全面打診と危険箇所の補修を行い、本格的な改修は大規模修繕で行う |
| 高層部だけ劣化が目立つ | 高層部はロープアクセス、低層部は足場など、部位ごとに工法を変える(ハイブリッド工法) |
30戸程度のマンションの大規模修繕では、総工費が3,500万〜5,000万円程度になる例が多く、そのうち仮設足場が15〜25%程度を占めることがあります(明誠の社内参考値)。調査のために一度、工事のためにもう一度と、足場費を二重に払わない計画を立てることが、修繕積立金を守ることにつながります。
明誠は、通常の足場工法、ロープアクセス工法(無足場工法)、その両方を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、建物ごとに最適な組み合わせをご提案しています。管理組合の皆さまは管理組合向けの大規模修繕、ビルオーナーさまはビルオーナー向けの大規模修繕、ホテルの方はホテル向けの大規模修繕のページもあわせてご覧ください。
明誠が外壁調査で大切にしていること
明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で過去16年間、墜落による労働災害ゼロを続けています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けており、品質管理はISO9001の考え方に沿って行っています。会社の概要は株式会社明誠の企業情報のページでご紹介しています。
外壁調査で私たちが大切にしているのは、「見つけた浮きを、その場でどうするか」まで考えて調査を設計することです。調査だけして報告書を出しても、危険な浮きが残っていれば意味がありません。タイル・塗装・防水など各分野の専門職がフランチャイズに加盟しているため、調査から補修までを一つの流れで進めやすい体制です。ロープアクセスの技術情報やフランチャイズの取り組みについては、ロープアクセスドットコムでも発信しています。
これまでの実績は明誠の施工事例からご覧いただけます。
現場で見てきた「落ちる前のサイン」
ここからは、20年以上の現場経験から、典型的なご相談パターンをお伝えします(特定の建物の事例ではありません)。
一番多いのは、「定期報告はずっと出しているが、全面打診はしたことがない」というケースです。手の届く範囲の打診や目視で毎回の報告は出せていても、10年ごとの全面打診が抜けていたり、「足場を組まないとできない」と思い込んで先送りになっていたりします。
次に多いのが、「1枚だけ落ちたので、その1枚だけ張り直した」というケースです。1枚が落ちたということは、周りも浮いている可能性があります。落ちた場所の周辺だけでも打診をしておくと、次の落下を防げることがあります。
そしてもう一つ。白い汚れ(白華)や錆汁は、外壁の中に水が回っているサインのことがあります。見た目の問題として後回しにされがちですが、浮きの前ぶれとして注意して見ていただきたいポイントです。
よくあるご質問
Q. うちのマンションが定期報告の対象かどうか、どうすれば分かりますか?
A. 東京都では、共同住宅は5階以上かつその用途の延べ面積が1,000㎡を超えるものが対象です。ほかの県や市では基準が異なるため、管理会社にこれまでの報告履歴を確認するか、所管の特定行政庁(市役所・区役所の建築指導担当など)にお問い合わせください。
Q. 東京都の共同住宅の次の報告はいつですか?
A. 東京都都市整備局の一覧では、共同住宅(用途コード40)は令和3年、令和6年の3年ごとで、次は令和9年度(2027年5月1日〜10月31日)です。新築・改築後は初回免除の扱いがあるため、建物ごとに確認が必要です。
Q. 全面打診は足場を組まないとできませんか?
A. いいえ、足場以外の方法もあります。ゴンドラ、ロープアクセス、そして令和4年の告示改正で明確化されたドローンによる赤外線調査などから、建物の条件に合わせて選べます。赤外線を使う場合は、国土交通省が示すガイドラインに沿った実施が必要です。
Q. 全面打診の費用はどのくらいですか?
A. 打診作業そのものは1㎡あたり250〜500円程度が明誠の社内参考値ですが、総額は足場やゴンドラなどの仮設費で大きく変わります。10階建て・外周80mの例では、仮設足場約168万円に対しロープアクセス約59万円という社内試算があります。実際の金額は現地調査のうえでお見積りします。
Q. タイルが1枚落ちました。まず何をすればよいですか?
A. まず落下した場所の真下に人が近づかないよう、コーンなどで立ち入りを制限してください。そのうえで、周辺に浮きが広がっていないかを打診などで確かめ、危険な部分から補修します。管理会社や施工会社にすぐご相談ください。
Q. 定期報告の対象外の賃貸マンションでも調査は必要ですか?
A. 法律上の報告義務がなくても、外壁タイルが落ちれば通行人を危険にさらし、所有者として責任を問われる可能性があります。報告義務の有無にかかわらず、10年程度を目安に全面的な調査を検討されることをおすすめします。調査の進め方は明誠の外壁打診調査のページもご覧ください。
Q. 明誠に外壁調査だけを頼むことはできますか?
A. はい、可能です。打診・赤外線・ロープアクセスによる近接調査を組み合わせ、浮きの補修や次の大規模修繕の計画まで含めてご提案しています。お問い合わせフォームからご相談ください。
この記事のポイントまとめ
- 2026年10月、東京都北区王子のマンションで外壁タイルが歩道に落下し、旭川市ではビル外壁の落下で通行人がけがをした
- 外壁タイルの落下の多くは「浮き」から始まり、外から見ただけでは分かりにくい
- 建築基準法12条の定期調査では、おおむね10年に一度、落下のおそれがある部分の全面打診等が求められる
- 令和4年の告示改正で、打診と同等以上の精度を持つドローンによる赤外線調査も選べるようになった
- 東京都の共同住宅(5階以上かつ1,000㎡超)は3年ごとの報告で、次は令和9年度(2027年5月〜10月)
- 落下で他人に損害を与えると、民法717条により占有者・所有者が責任を問われる可能性がある
- 赤外線で全体をつかみ、疑わしい部分をロープアクセスで近接打診・補修する組み合わせなら、足場費を抑えやすい
出典・参考資料
- 北海道新聞「旭川の買物公園でビル外壁落下 強風が原因か」(2026年10月14日)
- HBCニュース北海道「ビルの外壁タイルが12m下の10代後半の男女3人に直撃 ビルは築30年超…市への点検報告「18年間なし」北海道旭川市(Yahoo!ニュース配信)」(2026年10月)
- まとめダネ!「東京都北区王子3丁目 マンション外壁タイルが落下し歩道に散乱」(2026年10月21日、北区議会議員のX投稿を引用)
- 国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」
- 国土交通省「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査ガイドライン(PDF)」
- 東京都都市整備局「定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」/「一覧表(PDF)」
- 群馬県「定期報告制度に関するQ&A」(2026年3月17日更新)
- e-Gov法令検索「建築基準法」/「民法」
※定期報告の対象や報告時期は、特定行政庁(自治体)ごとに異なり、変更される場合があります。最新の情報は所管の自治体の公式ページでご確認ください。本文中の費用は参考値であり、実際の金額は建物の状況により異なります。報道に関する記述は、各報道機関が公表した範囲に基づいています。
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
外壁タイルは、落ちてから「調べておけばよかった」と言っても取り返しがつきません。一方で、計画的に調べていれば、多くの浮きは落ちる前に見つけられます。これは私が現場で20年以上見てきた実感です。令和9年度の報告年まで、まだ半年以上あります。前回の報告書を開いて、10年の起点がいつなのかを確かめるところから始めてみてください。調査方法の比較や、大規模修繕との組み合わせのご相談だけでも、お問い合わせフォームからお気軽にお声がけください。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月29日
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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
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