本間社長ブログ

カスハラ対策義務化と大規模修繕|2026年10月施行、管理組合・オーナーが知っておきたい居住者クレームの受け止め方と工事前の備え【2026年10月】

カスハラ対策義務化と大規模修繕|2026年10月施行、管理組合・オーナーが知っておきたい居住者クレームの受け止め方と工事前の備え【2026年10月】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

この記事で分かること

「ベランダの植木を動かせと言われても困る」「朝8時半から音を出すなんて聞いていない」——大規模修繕工事の現場では、毎日のように居住者の方からさまざまな声をいただきます。私はそのひとつひとつが、住まいを大切に思う気持ちから出たものだと考えています。

ただ、20年以上この仕事をしてきて、ごくまれに「これはもう苦情の範囲を超えている」と感じる場面に立ち会ったこともあります。作業員を何十分も足止めして怒鳴り続ける、毎日のように同じ要求を電話で繰り返す、といったケースです。

この記事では、次の問いにお答えします。2026年10月1日にカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が事業主の義務になったことで、マンションの大規模修繕工事では何が変わるのか? 管理組合や収益マンションのオーナーは、工事前に何を準備しておけばよいのか?

結論を先に書きます。

  • 法律上の義務を負うのは、作業員や管理員を雇っている「事業主」(施工会社・管理会社など)です。 管理組合や居住者に新しい罰則ができたわけではありません。
  • ただし、厚生労働省の指針では、カスハラを行う「顧客等」に取引の相手方や施設の近隣住民も含まれると整理されています。大規模修繕では、居住者・理事・近隣の方の言動が、施工会社の作業員にとっての「顧客等の言動」になり得ます。
  • 苦情のすべてがカスハラではありません。 騒音・臭気・プライバシーへの不安は、工事側が誠実に受け止めるべき正当な声です。
  • 管理組合にできる一番の備えは、工事前に「窓口」「ルール」「記録」の3点を決めておくこと、そして居住者の負担が小さい工法・工程を選ぶことです。

なお、本記事の制度内容は、2026年10月11日時点で厚生労働省が公表している資料に基づいています。運用の詳細は今後変わる可能性がありますので、最新の情報は厚生労働省・都道府県労働局でご確認ください。

2026年10月11日 更新


何が変わった?2026年10月1日施行「カスハラ対策の義務化」を整理する

改正法と指針の基本情報

まず、制度の骨格を表で整理します。

項目 内容
根拠となる法律 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)等の一部を改正する法律(令和7年法律第63号)
公布日 令和7年(2025年)6月11日
施行日 令和8年(2026年)10月1日
指針 事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和8年厚生労働省告示第51号、令和8年2月26日公布)
義務を負う人 労働者を雇用する事業主
同時に義務化されたもの 求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置

(出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」、厚生労働省リーフレット(詳細版))

これまでパワハラ・セクハラについては、事業主に防止措置が義務づけられていました。今回、そこに「お客さま側からのハラスメント」が加わった形です。

業界団体の動きも出ています。賃貸住宅管理業者の団体である公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協)は、2026年10月9日付の会員向けメールマガジンで、カスハラ対応ブックや啓発ポスター、契約解除に踏み込んだ条文を加えた管理受託契約書などのひな形を会員ページで公開したと案内しています。管理会社の側でも、具体的な備えが一気に進み始めていると私は受け止めています。

「カスタマーハラスメント」の定義——3つの要素

厚生労働省のリーフレットでは、職場におけるカスタマーハラスメントを、次の3つの要素をすべて満たすものと定義しています。

  1. 顧客等の言動であること
  2. 業務の性質その他の事情に照らして、社会通念上許容される範囲を超えたものであること
  3. 労働者の就業環境が害されること

電話やSNSなどインターネット上の言動も含まれます(出典:厚生労働省リーフレット(詳細版))。

ここで大規模修繕に関わる方にぜひ知っておいていただきたいのが、①の「顧客等」の範囲です。指針の整理では、顧客等にはサービスの利用者やその家族、取引先の担当者、契約交渉の担当者、そして施設の近隣住民も含まれます。

「社会通念上許容される範囲を超える」とは

リーフレットでは、典型例を「言動の内容」と「手段・態様」の2つに分けて示しています。

区分 典型例(厚生労働省の整理)
言動の内容が範囲を超えるもの 理由のない要求、サービスと全く関係のない要求/契約で想定したサービスを著しく超える要求/対応が著しく困難・不可能な要求/不当な損害賠償要求
手段・態様が範囲を超えるもの 身体的な攻撃/脅迫・中傷・侮辱・暴言・土下座の強要などの精神的な攻撃/威圧的な言動/継続的・執拗な言動/不退去・居座り・監禁などの拘束的な言動

(出典:厚生労働省リーフレット(詳細版))

大切なのは、リーフレット自身が「顧客等からの苦情の全てがカスタマーハラスメントに該当するわけではありません」と明記している点です。また、障害のある方が合理的配慮を求めることそのものは、カスハラには当たらないとされています。判断にあたっては、言動の目的や経緯、頻度、労働者側の問題行動の有無なども含めて総合的に考えることが適当とされています。


大規模修繕工事がカスハラ問題と無関係ではない3つの理由

理由1:居住者が「住みながら」行う工事だから

マンションの大規模修繕工事は、居住者の方が毎日生活している建物で、数か月にわたって行う工事です。新築工事のように、工事エリアと生活エリアがはっきり分かれていません。

ベランダの私物移動、洗濯物を外に干せない期間、窓を開けられない日、塗料の臭い、ドリルやケレン(古い塗膜をはがす作業)の音。どれも工事の性質上、ある程度は避けられないものです。そのぶん、居住者の方のストレスが作業員や管理員に向かいやすい構造があります。

理由2:関係者が多く、「誰に言えばいいか」が分かりにくいから

大規模修繕工事には、少なくとも次の関係者がいます。

立場 主な役割 カスハラ対策義務との関係
管理組合(理事会・修繕委員会) 発注者 職員を雇用していれば事業主として義務の対象になり得る。発注者として、施工会社の作業員にとっての「取引の相手方」にもなる
管理会社 管理委託先、居住者対応の窓口 事業主として、フロント担当・管理員を守る措置が義務
施工会社(元請・協力会社) 工事の実施 事業主として、現場代理人・作業員を守る措置が義務
設計監理者(コンサルタント) 監理・品質チェック 事業主として、自社社員を守る措置が義務
居住者・近隣住民 生活者 新たな罰則はない。ただし言動によっては「顧客等」として問題になり得る

※表の整理は、厚生労働省の指針・リーフレットの考え方をもとに、大規模修繕の現場に当てはめた私の解釈です。個別のケースの法的判断は、専門家や労働局にご相談ください。

窓口があいまいだと、居住者の方は目の前にいる作業員に直接声をかけるしかありません。作業員は判断する権限を持っていないので「確認します」としか言えず、それがさらに不満を大きくする。私はこの悪循環を、何度も現場で見てきました。

理由3:工期が長いほど「継続的・執拗な言動」に発展しやすいから

国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、工事費に占める仮設工事費の割合は約22.8%でした(共通仮設費・消費税を除く集計)(出典:国土交通省 マンション大規模修繕工事に関する実態調査)。仮設足場は費用だけでなく、組んでいる期間そのものが居住者の負担になります。

足場とメッシュシートに覆われた期間が長くなると、日当たりや眺望、防犯への不安が積み重なります。最初は穏やかだったご意見が、工事の後半になるほど強い口調になっていく。これは私の実感でもあります。


正当な苦情とカスハラはどう違う?大規模修繕の現場でよくある例

判断の目安を表で比べる

ここが一番大切なところです。居住者の方の声を「カスハラ」と決めつけて切り捨てるのは、本来の制度の趣旨にも反します。私が現場で使っている目安を、厚生労働省の整理に沿って表にしました。

場面 正当な苦情・要望として受け止めるべき例 カスハラに該当し得る例
騒音・作業時間 「告知より早い時間に音が出ていた」「在宅勤務の時間帯を教えてほしい」 作業員を1時間以上その場に引き留めて大声で責め続ける
ベランダ・専有部 「植木の移動を手伝ってほしい」「室外機の扱いを相談したい」 契約にない専有部のリフォームを無償で要求し、断ると脅す
塗料の臭い 「体調が悪いので臭いの少ない日を知りたい」 根拠なく高額な慰謝料を要求し、毎日電話をかけ続ける
作業員の態度 「挨拶がなかった」「ベランダをのぞかれた気がして不安」 作業員の顔写真を撮ってSNSに中傷とともに投稿する
工期・仕上がり 「色見本と違う気がする」「工期が延びた理由を知りたい」 土下座を求める、個人の自宅や家族に連絡すると言う

※あくまで目安です。実際には、言動の目的・経緯・頻度・態様などを総合的に考慮して判断されます(厚生労働省リーフレット(詳細版))。

左側の声には、工事側が誠実に、具体的に応える責任があります。右側に進みそうなときに、作業員一人で抱え込ませない仕組みをつくるのが、今回の義務化の中心です。

私が現場で見てきた「こじれ方」のパターン

正直に申し上げます。私が見てきたトラブルの多くは、最初から悪意があったわけではありません。

ある築30年ほどのマンションの現場では、工事の初週に「ベランダの物干し金物を外すと聞いていなかった」というご意見が1件ありました。工事説明会の資料には書いてあったのですが、その方は説明会を欠席されていました。窓口がはっきりしていなかったため、作業員、管理員、理事長と3人がそれぞれ違う説明をしてしまい、2週間後には「誰も責任を取らない」というお怒りに変わっていました。

最終的には現場代理人が書面で経緯を説明し、物干しの代替手段をご用意して落ち着きました。振り返ると、最初の1件を決まった窓口で、記録を取りながら、1回で正確に答えていれば、こじれることはなかったと思います。


管理組合・オーナーが工事前に決めておきたい「窓口・ルール・記録」

備え1:窓口を一本化する

工事が始まる前に、次の3点を理事会で決めておくことをおすすめしています。

  1. 居住者からの問い合わせ先を1か所にする(例:現場事務所の「工事相談窓口」)
  2. 窓口の受付時間と連絡手段を掲示する(電話・意見箱・専用フォームなど)
  3. 作業員は個別対応せず、窓口に案内するというルールを、居住者にも作業員にも周知する

作業員が「その件は現場事務所でうかがいます」と言えるだけで、現場の空気はかなり変わります。居住者の方にとっても、「ここに言えば記録され、回答が来る」という安心感につながります。

備え2:ルールを書面にする

厚生労働省の指針では、事業主が講ずべき措置として、方針の明確化と周知、相談体制の整備、事後の迅速かつ適切な対応、特に悪質なカスハラへの対処方針の策定などが挙げられています。そして、可能な限り労働者を一人で対応させない、犯罪に該当し得る言動は警察へ通報する、といった対処の例も示されています(出典:厚生労働省リーフレット(詳細版))。

これは施工会社・管理会社の義務ですが、発注者である管理組合も、次のような書面の段階で関与できます。

書面 盛り込みたい内容
工事請負契約書・特記仕様書 居住者対応の窓口と責任者、苦情の記録と報告の方法、悪質な言動があった場合の協議方法
工事説明会資料 作業時間、ベランダ立ち入り日、洗濯物の制限期間、窓口の連絡先、「作業員への直接のご要望はご遠慮ください」の一文
掲示物・お知らせ 週間工程、臭いや音の大きい作業の予告、問い合わせ先
理事会決議・細則 管理組合としてのカスハラに対する基本姿勢(居住者の声は窓口で受け止める、威圧的な言動は認めない)

なお指針では、自社の労働者や役員が他社の労働者にカスハラに当たる言動をした場合に、他の事業主から事実関係の確認などへの協力を求められたら応じるよう努めることとされています。これは居住者一人ひとりに向けた規定ではありませんが、施工会社から「居住者の方とのやり取りを確認したい」と相談があったときに管理組合や管理会社が協力できる体制を、あらかじめ話し合っておくとよいでしょう。

備え3:記録を残す

苦情は「記録」があって初めて、正当な声なのか、行き過ぎた言動なのかを冷静に判断できます。私の現場では、次の項目を「工事相談受付票」に残すようにしています。

  • 受付日時、受付者
  • 部屋番号(お名前は任意)
  • ご意見の内容(できるだけ言われたままの言葉で)
  • 回答内容と回答日
  • 再発防止のために変えたこと

この記録は、トラブル対応のためだけのものではありません。工事が終わったあとに「次回の大規模修繕では、どんな説明が足りなかったのか」を振り返る、管理組合の大切な財産になります。


東京都の条例と相談窓口——関東の管理組合・オーナーが押さえたいこと

東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(令和7年4月1日施行)

国の法改正より一足早く、東京都では令和7年(2025年)4月1日に「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されています。都は条例に基づく指針や、業界団体向けの「各団体共通マニュアル」、事業者マニュアルのひな形も公表しています(出典:東京労働局掲載資料「東京都におけるカスタマーハラスメント防止施策の概要」)。

同資料によると、都はカスハラに関する問い合わせを一元的に受け付ける総合相談窓口を設けており、事業者・就業者だけでなく「顧客等」の立場の方も相談できるとされています。「自分の伝え方がカスハラと誤解されないか心配」という居住者側の相談も例として挙がっているのが印象的です。

また、条例施行日以降にマニュアルを整備し、実践的な防止対策を行った中小企業等への奨励金(令和7年度は定額40万円)も紹介されています。令和8年度の募集状況・要件は変わる可能性があるため、利用を検討される事業者の方は、東京都産業労働局などの最新の募集要項をご確認ください。

相談先の一覧

相談先 主な相談内容 出典
都道府県労働局 雇用環境・均等部(室) 改正法・指針の内容、事業主の措置義務 厚生労働省リーフレット(詳細版)
総合労働相談コーナー 職場のハラスメント全般(無料) 厚生労働省
東京都のカスハラ総合相談窓口 都内の事業者・就業者・顧客等からの相談 東京労働局掲載資料
マンション管理士・弁護士 管理組合内のルールづくり、個別の法的判断 —

神奈川・埼玉・千葉など他県の管理組合の方も、国の改正法・指針は全国共通で適用されます。県独自の条例や支援策の有無は、各都県の公式サイトでご確認ください。


工法の選び方で居住者の負担は変わる——足場・ロープアクセス・ハイブリッドの比較

そもそも「不満の種」を減らすという発想

ここからは、施工会社としての私の考えです。カスハラ対策の義務化で「対応の仕組み」は整っていきますが、私はそれと同じくらい、居住者の方の不満の種そのものを減らす工事計画が大切だと考えています。

その選択肢のひとつが、工法の選び方です。明誠では、通常の足場工法、足場を使わないロープアクセス工法(無足場工法)、そして両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、建物ごとに比べてご提案しています。

3工法の比較表

比較項目 足場工法 ロープアクセス工法 ハイブリッド工法
仮設の期間 組立・解体を含め工事期間中ずっと設置 作業する日・面だけロープを設置 足場は必要な面・期間に限定
日照・眺望 メッシュシートで暗くなりやすい 作業時以外はほぼ影響なし 足場の範囲だけ影響
防犯面の不安 足場が侵入経路になる懸念が出やすい 足場がないため、その懸念は小さい 足場の範囲で対策が必要
ベランダへの影響 足場の設置・作業で長期間影響 作業日の窓前通過が中心 部位による
向いている建物 中低層、複雑な形状、全面的な下地補修 高層、足場が組みにくい敷地、部分補修 大規模・複雑な建物で総合的に最適化したい場合
注意点 費用・工期が大きくなりやすい 大量のタイル張り替えなど、工種によっては不向き 計画・調整の手間がかかる

ロープアクセス工法でも、作業日には作業員が窓の前を通りますし、ベランダや窓まわりの作業ではご協力をお願いすることがあります。「足場がないから苦情が出ない」わけではありません。ただ、足場が建物を覆う期間がないぶん、日照・防犯・圧迫感への不安は小さくなるのが一般的です。

安全面についても誤解のないように書いておきます。ロープアクセス工法では、作業員はメインロープとバックアップロープの2本に接続し、吊元(ロープを固定する支点)も2点以上確保して作業します。国際的な産業ロープアクセスの基準に沿った二重の安全確保が業界の標準です。技術的な基準や事例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく解説しています。

費用の目安——戸あたり・㎡あたりで考える

国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、1回目の大規模修繕工事の戸あたり工事金額は「100〜125万円/戸」の割合が最も高く、次いで「75〜100万円/戸」「125〜150万円/戸」という結果でした(出典:国土交通省 マンション大規模修繕工事に関する実態調査)。ただし、この調査は数年前のもので、2026年現在は資材費・人件費の上昇が続いています。

参考までに、明誠が現場で使っている工事単価の目安をお示しします。

工種 単価の目安(明誠の参考値)
外壁塗装 3,500〜4,500円/㎡
外壁打診調査 250〜500円/㎡
防水工事 5,000〜8,000円/㎡

※建物の規模・劣化状況・立地・工法により大きく変わります。あくまで目安であり、実際の金額は現地調査のうえでお見積りします。

「工法を変えると、どれくらい仮設費が変わるのか」は建物ごとにまったく違います。明誠の大規模修繕の料金の考え方もあわせてご覧ください。


管理組合の理事会で使える「カスハラ対策」チェックリスト

工事前(発注・契約の段階)

  • [ ] 施工会社に「居住者対応の窓口と責任者」を確認した
  • [ ] 施工会社・管理会社が、改正法に沿ったカスハラ対策の方針を定めているか確認した
  • [ ] 苦情の記録方法と、理事会への報告の頻度を決めた
  • [ ] 工法(足場・ロープアクセス・ハイブリッド)の比較で、居住者負担も検討項目に入れた

工事説明会・着工前

  • [ ] 作業時間、ベランダ立ち入り日、洗濯物の制限期間を具体的に説明した
  • [ ] 欠席者にも資料を配布し、窓口の連絡先を伝えた
  • [ ] 在宅勤務の方、小さなお子さまや高齢の方がいる世帯の要望を事前に聞いた
  • [ ] 「作業員への直接の要望はご遠慮いただき、窓口へ」と丁寧にお願いした

工事中

  • [ ] 週間工程と、音・臭いの大きい作業を事前に掲示している
  • [ ] 受付票の記録を、理事会で定期的に確認している
  • [ ] 同じ内容のご意見が複数あれば、工程や説明の改善につなげている
  • [ ] 行き過ぎた言動があった場合に、施工会社・管理会社・理事会で協議する手順がある

このチェックリストは、カスハラを「取り締まる」ためのものではありません。居住者の声を正しく受け止め、作業員も居住者も安心して工事期間を過ごすための段取りです。


明誠が現場で大切にしていること

「言われる前に伝える」が一番の予防

私が新人の現場代理人にいつも伝えているのは、「苦情は、伝えていなかったことから生まれる」ということです。

明誠では、工事説明会に加えて、音や臭いの大きい作業の前日にはお知らせを掲示し、ベランダに入る日は個別にご案内するようにしています。ご意見をいただいたら、その日のうちに一次回答をすることを目標にしています。完璧にできているとは申しません。ただ、こうした積み重ねで、こじれる前に解決できるケースが確実に増えたと感じています。

工事中の安全管理や品質管理の考え方は、明誠の大規模修繕の安全管理のページにまとめています。

3工法とフランチャイズで「建物に合った工事」を

株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板などの専門職の加盟企業と連携しています。

管理組合の皆さまには、管理組合向け大規模修繕のご案内で、発注の流れや進め方を紹介しています。ロープアクセス工法の技術的な特徴は明誠のロープアクセス工法の技術詳細で、実際の現場の様子は明誠の施工事例でご覧いただけます。

同業の施工会社の方や、ロープアクセス技術者の育成・安全基準について知りたい方には、ロープアクセスドットコム(無足場工法専門メディア)もおすすめです。


よくあるご質問

Q1. カスハラ対策の義務化は、いつから始まりましたか?

A. 令和8年(2026年)10月1日からです。令和7年6月11日に公布された改正労働施策総合推進法等(令和7年法律第63号)により、カスタマーハラスメントの防止措置が事業主の義務になりました(厚生労働省)。

Q2. 管理組合や居住者に罰則ができたのですか?

A. いいえ。義務を負うのは労働者を雇用する事業主で、雇用管理上の措置を講じることが求められています。ただし、管理組合が管理員などを直接雇用している場合は、管理組合も事業主として対象になり得ます。

Q3. 大規模修繕工事の騒音について苦情を言うと、カスハラになりますか?

A. 通常の苦情はカスハラではありません。厚生労働省も「顧客等からの苦情の全てがカスハラに該当するわけではない」と明記しています。問題になるのは、内容や手段が社会通念上許容される範囲を超え、作業員などの就業環境が害される場合です。

Q4. 近隣住民からの苦情も対象になりますか?

A. 厚生労働省の整理では、「顧客等」には施設の近隣住民も含まれます。ただし、近隣の方からの正当な苦情に誠実に対応することは、施工会社の基本的な責任です。

Q5. 管理組合が工事前にできる一番の対策は何ですか?

A. 居住者からの問い合わせ窓口を1か所に決め、作業時間やベランダ立ち入り日などのルールを書面で伝え、受け付けた声を記録することです。窓口・ルール・記録の3点がそろうと、トラブルの多くは早い段階で解決しやすくなります。

Q6. ロープアクセス工法にすれば、居住者の苦情はなくなりますか?

A. なくなるわけではありません。ただ、足場が建物を覆う期間がないため、日照・眺望・防犯面の不安は小さくなるのが一般的です。工種によっては足場の方が向いている場合もあるため、3工法を比べて決めることをおすすめします。

Q7. 明誠に相談すると費用はかかりますか?

A. 建物の現地調査と概算のお見積りは無料で承っています。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法を比べたうえでご提案します。お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。


この記事のポイントまとめ

  • 2026年10月1日から、カスハラ防止措置が事業主の義務になった
  • 義務を負うのは施工会社・管理会社などの事業主で、居住者に新たな罰則はない
  • 指針上の「顧客等」には、取引の相手方や施設の近隣住民も含まれる
  • 苦情の全てがカスハラではなく、正当な声には誠実に応えることが前提
  • 管理組合の備えは「窓口・ルール・記録」と、居住者負担の小さい工法選び

出典・参考資料


▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア

工事の主役は、建物とそこに暮らす皆さまです。作業員も居住者も、お互いを尊重しながら工事期間を過ごせるように、段取りの段階からお手伝いします。現地調査と概算のお見積りは無料で承っていますので、お問い合わせフォームから、ご相談だけでもお気軽にどうぞ。現場で20年以上見てきた実感です。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月11日


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