本間社長ブログ
香取市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版
目次
- 早見表:香取市のマンション共用部で使える制度・使えない制度
- 香取市はこんな街です-水郷の商都と、東日本大震災の経験
- 結論:香取市の管理組合が押さえる3つのポイント
- 制度別に見る:使えない理由を、一つずつ確認します
- 香取市ならではの論点①:佐原の町並み地区では外装工事に許可・届出が要る
- 香取市ならではの論点②:液状化の記録を、大規模修繕の調査に生かす
- マンション管理計画認定制度-香取市は「市」が窓口になります
- 香取市のマンションの大規模修繕-足場か、ロープアクセスか、公平に比べます
- 補助金・制度を使うときの共通の落とし穴
- 香取市のマンションが大規模修繕に向けて動く5つのステップ
- 賃貸マンション・ビルのオーナーの方へ
- よくある質問(FAQ)
- この記事のポイントまとめ
- 出典・参考資料

-
著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
2026年10月6日 更新
「香取市のマンションで、大規模修繕に使える補助金はあるのか?」
結論から申し上げます。令和8年度(2026年度)の香取市公式サイトを確認した範囲では、マンション管理組合が共用部の大規模修繕工事そのものに使えると読み取れる市の補助制度は、見つかりませんでした。 香取市の耐震補助は「木造二階建て以下」、液状化対策の助成は「一戸建て専用住宅または併用住宅」、浄化槽の補助は「自己の居住用住宅」、ブロック塀の撤去助成は「個人」の所有者・管理者が対象です。
こんにちは、株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕に、20年以上携わってきました。この記事では、香取市のマンション管理組合の理事長さま、修繕委員の皆さまに向けて、香取市の補助制度を「共用部に使えるか、使えないか」で仕分けて整理します。
ただ、香取市の記事を書くにあたり、私が一番お伝えしたかったのは補助金の話だけではありません。香取市には、ほかの街にはない2つの事情があります。ひとつは、東日本大震災で液状化の被害を受けた経験。もうひとつは、佐原の町並みに「重要伝統的建造物群保存地区」と「景観形成地区」があり、外装工事に許可や届出が要ることです。どちらも、マンションの大規模修繕の段取りに直接関わります。
制度は年度の途中でも変わり、予算の上限に達すれば受付が終わります。申請の前に、市の担当窓口で最新の内容をご確認ください。
早見表:香取市のマンション共用部で使える制度・使えない制度
まず全体像です。令和8年度の香取市公式サイトで確認できた住まい関連の制度を、マンション管理組合の目線で仕分けました。
| 制度名(香取市) | 補助の内容(公式記載) | 管理組合が共用部に使えるか | 出典 |
|---|---|---|---|
| 木造住宅の耐震診断助成 | 診断費用の3分の2(限度額9万円) | ×(木造二階建て以下が対象) | 香取市 |
| 木造住宅の耐震改修助成 | 改修費用の5分の4(限度額115万円) | ×(同上) | 香取市 |
| 危険ブロック塀等の撤去助成 | 撤去費用の3分の2以内、1mあたり4,000円まで | △(対象は「個人」の所有者・管理者。管理組合の扱いは要確認) | 香取市 |
| 個人が行う住宅の液状化対策工事費の助成 | 工事費用の2分の1以内、50万円限度 | ×(一戸建て専用住宅・併用住宅が対象) | 香取市 |
| 合併処理浄化槽補助金 | 5人槽の新設(通常型)332,000円など | ×(自己の居住用住宅が対象、賃貸住宅は除く) | 香取市 |
| 住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金 | 窓の断熱改修は補助対象経費×1/4(上限8万円)など | ×(自ら居住する住宅に設置する個人が中心。共用部は対象外と読める) | 香取市 |
| 佐原地区町並み保存事業の助成 | 指定物件・特定物件の修繕、修景に助成(金額は要綱で確認) | △(佐原の伝建地区・景観形成地区内の建物に限る) | 香取市 |
| マンション管理計画認定制度 | 補助金ではなく「認定」(税制・融資の優遇につながる) | ○(分譲マンションの管理組合が申請) | 千葉県 |
○=管理組合として使える、△=条件次第・要確認、×=マンション共用部には使えない、という意味です。
この表を見て、「やっぱり何もないのか」と思われた方もいるでしょう。正直に申し上げます。香取市の補助制度は、戸建てに住む市民の暮らしを支える設計になっています。ですから管理組合は、補助金を前提にせず、修繕積立金と長期修繕計画で回せる工事計画を組むことが出発点になります。そのうえで、管理計画認定や国の税制を「後押し」として使う、という順番です。
香取市はこんな街です-水郷の商都と、東日本大震災の経験
香取市は千葉県の北東部、利根川沿いに位置する市です。市の中心となる佐原は、江戸時代に利根川の水運で栄えた商家の町で、香取市の公式サイトでも「小野川と香取街道沿いには、江戸時代から利根川水運により繁栄した商家の町並みが残っています」と紹介されています(出典:香取市「香取市佐原の伝統的建造物群保存地区と景観形成地区について」)。
マンションの立地としては、戸建て住宅と田園が中心の街で、中高層の共同住宅は数が限られます。だからこそ、香取市の管理組合さまは「近所に相談できるマンションがない」「理事が毎回手探り」という状況になりやすい、と私は感じています。
もうひとつ、香取市を語るうえで外せないのが液状化です。香取市は、東日本大震災の液状化現象で被害を受けた住宅の敷地を対象に、液状化対策工事の助成制度を設けています(出典:香取市「個人が行う住宅の液状化対策工事費の助成」)。さらに市の「液状化対策」のページには、検討委員会資料(2012年11月〜2014年12月)や市民説明会資料、地質調査の結果(ボーリング柱状図)が公開されています(出典:香取市「液状化対策」)。
この「液状化の記録が公開されている」という点は、マンション管理組合にとって実は大きな財産です。後ほど、大規模修繕の調査にどう生かすかをお話しします。
結論:香取市の管理組合が押さえる3つのポイント
先に結論を3つにまとめます。
- 市の補助金は、マンション共用部の大規模修繕には基本的に使えない:耐震・液状化・浄化槽・脱炭素のいずれも、戸建てや自己居住の個人が主な対象です。
- 佐原の伝建地区・景観形成地区にある建物は、外装工事の前に許可・届出が必要:外壁の色を変える、修繕するといった工事も対象になります。工程に「協議期間」を組み込んでください。
- 管理計画認定と国の税制は、管理組合が自ら取りに行ける数少ない優遇:ただし香取市の担当窓口は、市公式サイトでは確認できませんでした。早めの照会が必要です。
私はいつも理事長さまに、「補助金は探すもの、計画は自分で作るもの」とお伝えしています。香取市は、まさにその順番が問われる街です。
制度別に見る:使えない理由を、一つずつ確認します
ここからは制度ごとに、公式ページの記載に沿って「なぜマンション共用部に使えないのか」を確認します。総会で「補助金は調べたのか」と聞かれたときに、理事会が根拠を示せるようにするためです。
木造住宅の耐震診断・耐震改修助成:対象は「木造二階建て以下」
香取市の耐震助成は、令和8年4月10日更新のページで次のとおり案内されています(出典:香取市「木造住宅の耐震改修等に必要な経費の助成」)。
| 区分 | 対象となる住宅 | 助成内容 |
|---|---|---|
| 耐震診断助成 | 木造二階建て以下 | 診断費用の3分の2(限度額9万円) |
| 耐震改修助成 | 木造二階建て以下かつ改修が必要と認められたもの | 改修費用の5分の4(限度額115万円) |
鉄筋コンクリート造のマンションは、この「木造二階建て以下」に当てはまりません。旧耐震(1981年5月以前の建築確認)のマンションであっても、香取市のこの制度は使えない、というのが公式ページから読み取れる結論です。申請は「業者との契約前」が必要とされ、窓口は都市整備課 建築・街なみ班(電話0478-50-1214)です。
非木造の耐震診断について市独自の支援があるかは、公式サイトでは確認できませんでした。旧耐震のマンションの理事会は、同じ窓口へ「非木造の共同住宅の耐震診断に使える支援はあるか」を照会されることをおすすめします。
危険ブロック塀等の撤去助成:対象は「個人」の所有者・管理者
香取市の危険ブロック塀等の撤去助成は、次の条件です(出典:香取市「香取市危険ブロック塀等の撤去助成金制度のご案内」)。
- 倒壊する危険性があるもの(明らかに法令違反のものは対象外)
- 避難路に面したもの(隣地境界は対象外)
- コンクリートブロック塀等による組積造の塀(万年塀、金属製等は対象外)
- 対象者は、所有者または管理者である個人で、市町村税を完納している方
- 助成額は撤去費用の3分の2以内、1メートルあたり4,000円まで
マンションの敷地のブロック塀は、区分所有者全員の共有、つまり管理組合が管理する共用部分です。「個人」という要件に管理組合が当てはまるかは、公式ページからは判断できません。また、このページの更新日は2022年1月24日で、令和8年度も同じ内容で受け付けているかは確認できませんでした。令和8年度の受付状況と管理組合の扱いは、都市整備課への照会が必要です。現地確認があるため、まずは相談から、と市も案内しています。
個人が行う住宅の液状化対策工事費の助成:一戸建てが対象
香取市ならではの制度です。東日本大震災の液状化で一部損壊以上の被害を受けた住宅の敷地で、個人が行う液状化対策工事費用の2分の1以内、50万円を限度に助成します(出典:香取市「個人が行う住宅の液状化対策工事費の助成」)。
ただし、施工する住宅は「賃貸借を目的としない一戸建て専用住宅または併用住宅(居宅部分の床面積が全体の2分の1以上に限る)」とされています。分譲マンションは一戸建てではないため、対象外と読めます。この制度は、マンションの補助としては使えません。
それでも、この制度の存在そのものが「香取市には液状化のリスクを抱える地域がある」ことを示しています。マンションの理事会にとっては、補助の有無より、こちらの意味のほうが重いと私は考えています。
合併処理浄化槽補助金:自己の居住用住宅が対象
香取市の合併処理浄化槽補助金は、令和8年4月1日更新のページで案内されています(出典:香取市「合併処理浄化槽補助金」)。補助対象者は「自己の居住用住宅に、申請する年度内に合併処理浄化槽を設置する方(ただし、賃貸住宅への設置や、市税の滞納がある方は除く。)」です。
補助額の一例を挙げます(いずれも補助限度額)。
| 区分 | 性能 | 5人槽 | 7人槽 | 10人槽 |
|---|---|---|---|---|
| 新設 | 通常型 | 332,000円 | 414,000円 | 548,000円 |
| 新設 | 高度型 | 674,000円 | 770,000円 | 923,000円 |
| 単独処理浄化槽からの転換 | 通常型 | 632,000円 | 714,000円 | 848,000円 |
高度型(窒素除去型)が必要な地域として、市は「常陸利根川、横利根川、利根川に囲まれた地域、黒部川流域の地域」を挙げています。表のとおり、最大でも10人槽までの区分です。数十戸規模のマンションの共同浄化槽を想定した制度ではなく、マンションの浄化槽更新に使えるかは公式ページからは読み取れません。下水道の区域外にあるマンションの理事会は、下水道課 業務推進班(電話0478-54-3521)へ照会してください。
住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金:窓の断熱改修も「自ら居住する住宅」
香取市の脱炭素化補助(令和8年度)は、2026年9月28日に更新されています(出典:香取市「住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金制度(令和8年度)」)。マンションに関係しそうなのは「窓の断熱改修」で、補助対象経費×1/4(上限8万円)、ページ上の残り受付件数の目安は6件と表示されていました。
ただし、令和8年度の申請の手引きでは、対象者を「自ら居住又はもしくは居住を予定している市内の住宅に省エネルギー設備を設置する方」としています(出典:香取市「令和8年度 住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金 申請の手引き」)。個人が自宅に設備を付けるための制度で、管理組合が共用部に使う設計にはなっていません。
ここで、区分所有者の方に一つ注意があります。マンションの窓サッシは、多くの管理規約で共用部分と定められています。国土交通省のマンション標準管理規約も同じ考え方です。ですから、ご自宅の窓を断熱窓に替えたい場合でも、まず管理規約を確認し、管理組合の承認を得る必要があります。市の補助の対象になるかどうかとは別の話として、理事会でルールを整えておくと揉めごとを防げます。また、国の補助と併用すると、国の補助額を差し引いた残りに市の補助率がかかる、と市は注意を促しています。
佐原地区の町並み保存事業:伝建地区・景観形成地区の建物だけ
香取市佐原には、重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区、7.1ヘクタール)と、それを含む景観形成地区(18.6ヘクタール)があります(出典:香取市「香取市佐原の伝統的建造物群保存地区と景観形成地区について」)。市は「指定物件及び特定物件の修繕やそれ以外の物件で修景する場合には助成金が出ます」と案内しています。
助成の金額や補助率は、「香取市佐原地区町並み保存事業助成金交付要綱」で定められていますが、今回の記事では要綱の金額を確認しきれていません。ここでは数字を書かず、該当地区の建物をお持ちの方は都市整備課へ直接ご相談ください、とお伝えするにとどめます。
香取市ならではの論点①:佐原の町並み地区では外装工事に許可・届出が要る
ここが、香取市の記事で私が一番お伝えしたかった点です。
香取市の公式ページには、次のように書かれています。
- 伝統的建造物群保存地区内:建築物等の新築、増築、減築、修繕、色彩の変更、解体などを行う際は、あらかじめ市と協議のうえ現状変更許可申請書を提出し、許可を得てから工事する必要がある
- 景観形成地区内:同様の工事は届出制で、届出の際は内容についてあらかじめ市との協議が必要
(出典:香取市「香取市佐原の伝統的建造物群保存地区と景観形成地区について」)
伝建地区は道路に面する一宅地を範囲とした12町内で、中高層のマンションが建っていることは多くないと思います。ただ、景観形成地区は18.6ヘクタールあり、地区の範囲は市の「かとり地図GIS」で確認できます。地区内に建物をお持ちの管理組合さま、あるいは小規模な共同住宅や店舗併用ビルのオーナーさまは、次の点を工程に組み込んでください。
- 外壁の色を決める前に、市と協議する:大規模修繕で「せっかくだから色を変えたい」という声はよく出ます。地区内では、色の変更自体が協議・許可・届出の対象です。
- 仮設の計画も早めに伝える:足場やシートが町並みにどう見えるか、工事期間はどれくらいか。観光客の多い通りでは、仮設の期間そのものが論点になり得ます。
- 協議の期間を工期に含める:総会で工事を決めてから協議を始めると、着工が遅れます。設計・見積りの段階で市に相談しておくのが安全です。
私の経験上、景観の規制がある地区での修繕は、「工事の技術」よりも「段取り」で差がつきます。色見本を何案も用意し、仮設の期間を短くする工夫を示すと、協議がスムーズに進みやすい。これは現場で何度も感じてきたことです。
香取市ならではの論点②:液状化の記録を、大規模修繕の調査に生かす
先ほど触れたとおり、香取市は液状化の検討委員会資料や、地質調査の結果(ボーリング柱状図)を公開しています(出典:香取市「液状化対策」)。
マンションの大規模修繕では、外壁や屋上防水に目が行きがちです。しかし、液状化を経験した地域では、次のような「地面に近い部分」の点検を、調査の段階でセットにしていただきたいと私は考えています。
- 建物まわりの犬走り・舗装の沈下やひび割れ
- 建物と外構・渡り廊下などのつなぎ目(エキスパンションジョイント)のずれ
- 給排水の埋設配管と建物の接続部
- 外壁の下部や基礎まわりのひび割れ
これらは足場を組まなくても目視や打診で確認できる部分が多く、費用を抑えて調査できます。調査の結果、「地盤や基礎の専門家に見てもらうべき兆候」が見つかれば、外装の修繕とは切り分けて専門家に相談する。修繕積立金を守るうえで、こうした順番の整理はとても大切です。
なお、液状化対策工事費の助成(2分の1以内、50万円限度)は、前述のとおり一戸建てが対象です。マンションの外構や配管の補修には使えませんので、ご注意ください。
マンション管理計画認定制度-香取市は「市」が窓口になります
補助金が乏しい香取市で、管理組合が自ら取りに行ける優遇の代表が「マンション管理計画認定制度」です。
認定のメリット
千葉県の公式ページでは、次のメリットが紹介されています(出典:千葉県「マンションの管理計画認定制度について」)。
- 認定マンションの名称や所在地などが専用の閲覧サイトで公表され、市場評価の向上が期待される
- 住宅金融支援機構の「フラット35」「マンション共用部分リフォーム融資」で金利の引下げが実施される
- 認定を取得したマンションが大規模修繕工事を行った場合、固定資産税の減税措置を受けられる場合がある(マンション長寿命化促進税制)
固定資産税の特例の詳しい要件は、国土交通省のページでご確認ください(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」)。
認定の基本ルール
千葉県のページによると、認定の有効期間は認定日から5年間で、5年ごとに更新が可能です。また、オンラインで申請する場合(マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を利用する場合)は、システム利用料として1申請あたり10,000円がかかり、事前確認審査料が必要となる場合があります(出典:千葉県「マンションの管理計画認定制度について」)。認定基準の全体像は国土交通省のページにまとまっています(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。
香取市の窓口:市公式サイトでは確認できませんでした
ここは正直に書きます。千葉県のページには「県は、町村の区域において管理計画の認定事務を行います。市の区域のマンションについては、市が認定を行います」と明記されています。つまり、香取市内のマンションの認定窓口は千葉県ではなく香取市です。千葉県のページに書かれている「県へ直接申請する場合は手数料無料」は、町村のマンション向けの話で、香取市には当てはまりません。
一方で、香取市の公式サイトでは、管理計画認定の担当窓口や手数料、市の「マンション管理適正化推進計画」の策定状況を確認できませんでした。認定の事務は、市が推進計画を定めていることが前提になります。香取市で今すぐ申請できる状態かどうかを含めて、市役所(代表0478-54-1111)か、住まい・建築を所管する都市整備課(0478-50-1214)へ照会されることをおすすめします。制度全般の相談は、千葉県のページで案内されている「マンション管理計画認定制度相談ダイヤル(03-5801-0858)」も利用できます。
香取市のマンションの大規模修繕-足場か、ロープアクセスか、公平に比べます
補助金に頼れないなら、工事費そのものをどう最適化するかが勝負です。ここからは、明誠が提案している3つの工法を公平に比べます。
3つの工法の比較
| 項目 | 通常足場工法 | ロープアクセス工法(無足場) | ハイブリッド工法 |
|---|---|---|---|
| 仕組み | 建物の外周に仮設足場を組む | 屋上の吊元からメインロープとバックアップロープの2本に接続して外壁を移動 | 部位ごとに足場とロープを使い分け |
| 仮設費 | 総工費の15〜25%程度を占めることが多い(目安) | 足場の組立・解体費がかからない | 足場を必要な面だけに絞れる |
| 工期 | 足場の組立・解体の期間が加わる | 仮設期間が短い | 中間 |
| 居住者の生活 | 窓の前を足場とシートが覆い、防犯・採光に影響 | 窓の前を塞ぐ期間が短い | 影響を部分的にできる |
| 向いている工事 | 全面の塗装・タイル張替え、複雑な形状 | 部分補修、調査、シーリング、高層部 | 大規模・複雑な建物の総合最適化 |
| 苦手なこと | 仮設費・工期 | 大面積の全面張替えなど、資材を大量に扱う工事 | 計画の難度が上がる |
金額は物件によって大きく変わりますが、当社の過去のお見積りから見た目安として、外壁塗装は1㎡あたり3,500〜4,500円、外壁の打診調査は1㎡あたり250〜500円、防水は1㎡あたり5,000〜8,000円程度のレンジです。30戸規模のマンションの大規模修繕では、総額3,500万〜5,000万円、そのうち仮設足場が15〜25%を占めることが多い、というのが私の実感です。あくまで参考値で、実際の金額は建物の形状・劣化状況・仕様で変わります。
ロープアクセス工法の仕組みについては、明誠のロープアクセス工法の技術詳細でご紹介しています。工法そのものの一般的な安全基準や事例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく解説しています。
香取市のマンションで考えたいこと
香取市のマンションは、中層で、周囲に戸建てや田園が広がる立地が多いと思います。そうした建物では、次のような考え方ができます。
- 調査はロープアクセスで先に済ませる:外壁の打診調査や劣化状況の確認を、足場を組まずに行えます。液状化を経験した地域なら、地面まわりの点検とあわせて「どこに、どれだけ手を入れるべきか」を先に数量化できます。
- 全面塗装が必要なら足場も比較する:外壁全面の塗り替えやタイルの大量張替えでは、足場のほうが効率的な場合もあります。工法ありきではなく、見積りを並べて比べてください。
- 佐原の町並み地区に近い建物では「仮設の見え方」も判断材料に:足場を組む期間が短いことは、景観の協議でも説明しやすい材料になり得ます。ただし、協議の結論は市が判断します。
工法ごとの技術的な比較は、ロープアクセスドットコムの工法解説にもまとめています。明誠の考える大規模修繕の料金の考え方もあわせてご覧ください。
安全について、正しくお伝えします
ロープアクセスと聞くと「ロープ1本で吊られて大丈夫か」と心配される方がいます。実際には、作業員はメインロープとバックアップロープの2本に接続し、吊元も2点以上確保します。国際的なIRATA(国際産業ロープアクセス協会)の基準でも、この二重の備えが基本です。明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、ロープアクセス工法での高所作業について、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを続けています。安全への取り組みは明誠の安全管理のページでご紹介しています。
現場で見てきたこと
私が現場で20年やってきて、一番悔しい思いをするのは、「調査が足りないまま工事が始まり、途中で追加費用が膨らむ」ケースです。
外壁塗装の見積りだけで総会を通し、足場を組んでから基礎まわりのひび割れや配管の不具合が見つかって、追加の協議で工期が延びる。そうした場面を、私はこれまで何度も見てきました。先に足場なしで調査を済ませていれば、追加の項目は最初から見積りに入れられたはずです。
香取市のように液状化の経験がある地域では、なおさら「先に調べる」ことの価値が高いと私は考えています。
補助金・制度を使うときの共通の落とし穴
失敗しやすい3つのパターン
- 契約・着工してから申請しようとする:香取市の耐震助成は「業者との契約前」、ブロック塀は「工事(契約)前」、脱炭素補助は「原則として工事着工10日前まで」の申請が必要で、着工後の申請は認められていません。
- 予算の上限を見落とす:脱炭素補助は「予算上限に達した時点で補助金は終了」とされ、ページには残り受付件数が表示されています。秋以降は残りが少なくなっている設備もあります。
- 古いページの情報をうのみにする:ブロック塀の撤去助成のページは2022年1月の更新です。令和8年度も同じ条件か、窓口で確認してください。
理事会で使える質問リスト
市役所や施工会社に相談するとき、次の質問をそのまま使っていただけます。
- 「令和8年度、マンション管理組合が共用部の工事に使える市の補助はありますか」
- 「非木造の共同住宅の耐震診断に使える支援はありますか」
- 「管理組合は、危険ブロック塀等の撤去助成の『個人』に該当しますか」
- 「香取市でマンション管理計画認定の申請はできますか。窓口と手数料を教えてください」
- 「この建物は、佐原の伝建地区・景観形成地区の範囲に入りますか」
香取市のマンションが大規模修繕に向けて動く5つのステップ
- 建物の位置を確認する:佐原の伝建地区・景観形成地区に入るか、下水道区域内か、液状化の記録がある地域か。市の公開情報で確認します。
- 足場なしの劣化調査で「数量」を出す:外壁・シーリング・防水に加え、基礎まわりや外構、埋設配管との接続部も点検します。
- 長期修繕計画と積立金を見直す:調査結果をもとに、何年に何をするかを決め直します。補助金を前提にしない計画が基本です。
- 管理計画認定の可否を市に照会する:申請できるなら、認定基準を満たすよう管理規約・長期修繕計画・積立金を整えます。
- 工法を並べて見積りを比べる:足場・ロープアクセス・ハイブリッドを同じ条件で比較し、総会で根拠を示せるようにします。
管理組合さま向けの明誠のサポート内容は、管理組合向けサービスのページでご案内しています。明誠のこれまでの施工は、明誠の施工事例からご覧いただけます。株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。
賃貸マンション・ビルのオーナーの方へ
香取市で賃貸マンションや店舗併用ビルをお持ちのオーナーさまにも、ひとこと添えます。浄化槽補助は「賃貸住宅への設置」を除外しており、脱炭素補助も自ら居住する住宅が対象です。賃貸物件の外装修繕で使える市の補助は、今回の調査では見つかりませんでした。
その分、工事費と工期をどう抑えるかが、入居者の満足と収益に直結します。窓の前を足場が覆う期間を短くできれば、入居者の生活への影響も小さくなります。佐原の景観形成地区に物件をお持ちなら、外装の色や看板の変更にも協議・届出が要る点にご注意ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 香取市で、マンションの大規模修繕工事費に使える補助金はありますか?
A. 令和8年度の香取市公式サイトを確認した範囲では、管理組合が共用部の大規模修繕に使えると読み取れる市の補助制度は見つかりませんでした。耐震・液状化・浄化槽・脱炭素の各制度は、戸建てや自己居住の個人が主な対象です。最新の状況は市の窓口でご確認ください。
Q. 旧耐震のマンションです。香取市の耐震補助は使えますか?
A. 香取市の耐震診断助成(診断費用の3分の2、限度額9万円)と耐震改修助成(改修費用の5分の4、限度額115万円)は、「木造二階建て以下」の住宅が対象です。鉄筋コンクリート造のマンションは対象外と読めます(出典:香取市)。非木造の支援の有無は、都市整備課へ照会してください。
Q. 液状化対策の助成は、マンションでも使えますか?
A. 香取市の液状化対策工事費の助成(2分の1以内、50万円限度)は、「賃貸借を目的としない一戸建て専用住宅または併用住宅」が対象で、マンションは対象外と読めます(出典:香取市)。ただし、市が公開している液状化の検討資料や地質調査の結果は、大規模修繕の調査計画に役立ちます。
Q. 佐原の町並みの近くにある建物です。外壁の塗り替えに手続きは必要ですか?
A. 伝統的建造物群保存地区内では、修繕や色彩の変更を含む工事に市の許可が必要です。景観形成地区内では届出制で、事前に市との協議が必要です(出典:香取市)。地区の範囲は市の地図GISで確認し、設計の段階で都市整備課へご相談ください。
Q. 香取市のマンション管理計画認定の窓口は、どこですか?
A. 千葉県のページでは、市の区域のマンションは市が認定を行うとされています。ただし香取市の公式サイトでは担当窓口・手数料・推進計画の策定状況を確認できませんでした。市役所(代表0478-54-1111)または都市整備課(0478-50-1214)へ照会してください。
Q. 足場を組まない大規模修繕は、本当に可能ですか?
A. 調査、部分補修、シーリング打ち替え、高層部の塗装などは、ロープアクセス工法で足場なしに行える場合が多いです。一方、外壁全面のタイル張替えなど大量の資材を扱う工事は、足場やハイブリッド工法のほうが効率的なこともあります。建物ごとに見積りを並べて比べるのが確実です。
この記事のポイントまとめ
- 香取市の補助は戸建て・自己居住が中心で、共用部の大規模修繕に使える市の補助は確認できず
- 耐震助成は木造二階建て以下、液状化助成は一戸建て、浄化槽は自己居住住宅が対象
- 佐原の伝建地区・景観形成地区では、修繕や色の変更にも許可・届出と事前協議が必要
- 液状化の公開資料を生かし、基礎まわり・外構・埋設配管の点検を調査に組み込む
- 管理計画認定の窓口は県ではなく香取市。申請可否と手数料を早めに照会する
出典・参考資料
- 香取市「住まいの補助制度」
- 香取市「木造住宅の耐震改修等に必要な経費の助成」(2026年4月10日更新)
- 香取市「香取市危険ブロック塀等の撤去助成金制度のご案内」(2022年1月24日更新)
- 香取市「個人が行う住宅の液状化対策工事費の助成」
- 香取市「液状化対策」
- 香取市「合併処理浄化槽補助金」(2026年4月1日更新)
- 香取市「住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金制度(令和8年度)」(2026年9月28日更新)
- 香取市「令和8年度 住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金 申請の手引き(PDF)」
- 香取市「香取市佐原の伝統的建造物群保存地区と景観形成地区について」(2025年9月3日更新)
- 香取市「都市整備課」
- 千葉県「マンションの管理計画認定制度について」(令和8年7月30日更新)
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度」
- 国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」
- 国土交通省「マンション管理適正化法関係のガイドライン等について」
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月6日時点で公表されている香取市、千葉県、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。更新日が前年度以前のページ(ブロック塀の撤去助成など)は、令和8年度の受付状況を窓口でご確認ください。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。本記事は法的・税務上の助言ではありません。
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月6日
関連記事(姉妹サイト)
ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
本間社長の著書のご案内
『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。
香取市は、補助金に頼れる街ではありません。けれど、町並みを守る仕組みと、液状化の経験を記録として残す姿勢がある街です。その記録を生かして、先に調べ、工法を並べて比べることが、修繕積立金を守る近道だと私は考えています。総会の前段階の整理だけでも、お問合せフォームからお気軽にお声がけください。

