本間社長ブログ
古河市の賃貸マンション補助金2026|止水板は最大30万円、ブロック塀は受付終了
目次
- 古河市で賃貸オーナーが確認すべき制度【令和8年度・一覧】
- 古河市は特定行政庁 — 建築確認も定期報告も市の建築指導課へ
- 止水板設置補助は令和8年11月30日まで — 賃貸の「使用者」も対象
- 危険ブロック塀等の撤去補助 — 令和8年度は8月14日で受付終了
- 木造住宅の耐震補助は「自己用住宅」限定 — 賃貸アパートは対象外の前提
- 固定資産税の減額 — 耐震・省エネ・長寿命化の3制度を賃貸目線で仕分ける
- マンション管理計画認定制度 — 古河市は分譲限定、賃貸一棟は対象外
- 商店街の空き店舗補助とまちなか住宅取得奨励金 — 空室対策と競合の両面から
- 入居率1%がキャッシュフローをどう動かすか(試算)
- 補助金が薄い市だからこそ、工事費そのものの最適化が効く
- 損金算入と資本的支出:税務処理で手残りが変わる
- 出口戦略:修繕履歴と安全対応が売却価格に効く
- 医療法人・介護事業者オーナーさまへ:BCPと浸水対策の視点
- 足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の選び方
- 修繕計画の立て方:定期報告の周期から逆算する
- よくあるご質問
- この記事のポイントまとめ
- 古河市の賃貸オーナーさまへ

-
著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
古河市で賃貸マンション・賃貸アパート・収益ビルをお持ちのオーナーさまへ。この記事は、令和8年度(2026年度)に古河市の賃貸オーナーさまが実際に使える制度と、使えない制度・すでに終わった制度を、市の公式ページで確認できた事実だけで仕分けたものです。「古河市の賃貸物件で大規模修繕を考えているが、補助金や税制優遇はどこまで当てにできるのか」という疑問に、誇張なくお答えします。
結論からお伝えします。古河市の住宅系の補助は、私が公式ページで確認できた範囲では「自分で住む個人」向けか「分譲マンション」向けが中心で、賃貸オーナーさまが正面から使える制度は多くありません。木造住宅の耐震改修補助は「市内に住所を有し、自己用住宅として所有する方」が前提、省エネ改修の固定資産税減額は「賃貸住宅は対象外」、管理計画認定制度は分譲マンション限定です。さらに、賃貸オーナーさまにも関係のあった危険ブロック塀等の撤去補助は、令和8年度分が8月14日で受付を終了しています。
その一方で、今この瞬間に申請できる制度が一つあります。止水板の購入・設置に対する補助です。補助率は対象経費の50%、上限30万円、受付は令和8年11月30日まで。しかも対象は「所有者・使用者」と明記されており、個人だけでなく法人も申請できます。1階に店舗や駐車場、エントランスを持つ賃貸物件のオーナーさまにとっては、数少ない「今使える現金補助」です。この記事では、制度の仕分けに加えて、入居率とNOI(実質賃料収入)を守る視点、損金算入の考え方、出口戦略、そして3つの工法の選び方まで、20年以上この仕事をしてきた私の現場感覚も交えて整理します。
古河市で賃貸オーナーが確認すべき制度【令和8年度・一覧】
まず全体像を表で押さえます。詳細は後述の各見出しで一つずつ解説します。
| 制度名 | 対象 | 賃貸オーナーの使いやすさ | 令和8年度の状況 |
|---|---|---|---|
| 止水板設置補助 | 所有者・使用者(個人・法人可) | ○(賃貸建物の使用者も対象と明記) | 令和8年11月30日まで・予算上限で終了・補助率50%・上限30万円 |
| 危険ブロック塀等撤去費用補助 | 危険ブロック塀等の所有者または共有者 | △(法人・賃貸の明記なし) | 令和8年度は8月14日で受付終了・上限10万円 |
| 木造住宅耐震改修補助 | 市内に住所を有し自己用住宅として所有する方 | ×(賃貸は対象外の前提) | 補助率4/5・上限115万円・受付は広報で周知 |
| 住宅の耐震改修に伴う固定資産税減額 | 昭和57年1月1日より前の住宅など | △(要件・期限を資産税課で確認) | 1/2減額(長期優良住宅は2/3)・完了後3か月以内に申告 |
| 住宅の省エネ改修に伴う固定資産税減額 | 自己居住の住宅 | ×(賃貸住宅は対象外) | 1/3減額・完了後3か月以内に申告 |
| マンション長寿命化促進税制 | 築20年以上・10戸以上の区分所有マンション | △(管理計画認定等が前提。一棟賃貸は要確認) | 1/3減額・令和9年3月31日までの完了分 |
| マンション管理計画認定制度 | 古河市内の分譲マンション | ×(賃貸一棟所有は対象外) | 令和6年5月1日開始・市の手数料は無料 |
| 商店街空き店舗等対策事業補助金 | 商店街の空き店舗へ出店する事業者 | △(テナント側の制度。募集時の訴求材料) | 開業の30日前までに事前相談・予算内 |
表の見方のコツは、「○」を探すことより、「×」「△」の理由を先に知ることです。古河市の制度は、物件の持ち方(自己居住か賃貸か、区分所有か一棟所有か)で使えるかどうかが分かれます。ご自身の物件がどこに当てはまるかを確認してから、工事計画の資金繰りを組むのが安全です。
古河市は特定行政庁 — 建築確認も定期報告も市の建築指導課へ
茨城県が公表している定期報告制度のページ(更新日:2026年8月30日)には、特定行政庁として「水戸市・日立市・土浦市・古河市・高萩市・北茨城市・取手市・つくば市・ひたちなか市」が並び、これらの市ではそれぞれの市で定期報告を受け付けると明記されています。つまり古河市内の建築物の定期報告(いわゆる12条点検の報告)は、県ではなく古河市の建築指導課が窓口です。
窓口は、三和庁舎(古河市仁連2065番地)にある建築指導課で、電話は0280-76-1511(代表)、開庁は平日の午前8時30分から午後5時15分です。賃貸マンションや賃貸ビルのオーナーさまは、点検・耐震・ブロック塀といった「建物の安全」に関する相談を、まずここに集約できると覚えておくと動きやすくなります。
どの建物が定期報告の対象になるかは、用途と規模(階数・床面積)で決まります。県の定期報告のページには、「報告対象建築物と報告時期」「報告対象建築設備等と報告時期」のPDFが公開されています。共同住宅(賃貸マンション)が対象かどうか、いつ報告するのかは、物件の階数と床面積によって異なりますので、ご自身の物件については必ず建築指導課または管理会社に確認してください。点検の周期に合わせて外壁の打診調査と修繕を組み合わせると、足場の仮設や調査費用の重複を避けられます。この考え方は後述の「修繕計画の立て方」で詳しくお話しします。
止水板設置補助は令和8年11月30日まで — 賃貸の「使用者」も対象
古河市の止水板補助は、賃貸オーナーさまにとって令和8年度もっとも現実的な制度です。公式ページ(更新日:2026年4月8日)で確認できた内容は次のとおりです。
- 補助率と上限:対象経費の50%、上限30万円
- 受付期間:令和8年11月30日(月曜日)まで。予算上限に達した時点で受付終了
- 対象者:所有者・使用者。個人・法人ともに申請可。賃貸建物の使用者も対象と明記
- 対象経費:止水板として販売されている製品で、十分な止水性能と耐久性があり、取り外しや移動ができ、繰り返し使用できるもの。設置工事の費用を含む。自作や自施工は対象外
- 対象外:市税の滞納者、暴力団関係者、転売目的の購入者など
この制度の読みどころは「使用者」まで含まれている点です。賃貸物件の場合、オーナー(所有者)が申請するのか、1階で営業するテナント(使用者)が申請するのかを、契約や費用負担の取り決めに合わせて決めることになります。オーナーさまが申請する場合も、テナントが申請する場合も、事前に管理会社を交えて役割分担を文書にしておくと、後のトラブルを防げます。
なお、市のページには対象地域や河川名の記載がありません。補助の対象は、過去または今後の浸水被害が想定される場所の建物とされています。ご自身の物件が該当するかどうかは、古河市が公開しているハザードマップで浸水想定を確認し、担当窓口に相談するのが確実です。私の経験上、浸水リスクの有無は、入居者募集の場面でも、物件を売却する場面でも、買い手や借り手が必ず確認するポイントになっています。止水板は、補助率50%で「リスクの見える化と対策の実績」を作れる、費用対効果の高い投資と言えます。
受付は予算上限に達した時点で終了するため、年度の後半は枠が少なくなる可能性があります。検討される場合は、11月30日の期限を待たず、早めに建築・防災の担当窓口へ確認してください。
危険ブロック塀等の撤去補助 — 令和8年度は8月14日で受付終了
賃貸オーナーさまの敷地に古いブロック塀がある場合、古河市には「危険ブロック塀等撤去費用の一部を補助する制度」があります。ただし、市の公式ページ(更新日:2026年8月14日)には、「令和8年度の受付を終了いたしました」と明記されています。受付期限は令和8年8月14日(金曜日)でした。
制度の中身を、次年度以降の検討材料として整理しておきます。
- 対象者:危険ブロック塀等の所有者または共有者。共有の場合は他の共有者の同意書が必要。個人・法人の区別、賃貸オーナーについての明記はありません。
- 補助額:次の3つのうち最も低い額。(1)補助対象経費の3分の2、(2)撤去する延長に1メートルあたり10,000円(高さ1メートル以下は7,000円)を乗じた額、(3)10万円
- 対象のブロック塀:倒壊の危険があり、通学路または緊急輸送道路の通行者に危険を及ぼすおそれがある、組積造またはコンクリートブロック造で、高さ80センチメートル超のもの。不動産販売目的の撤去や、すでに補助を受けた敷地は対象外
- 手続き:事前申込書の提出、交付対象の確認、交付申請書の提出、工事、実績報告、交付請求の順。工事着手前の申請が必須
令和9年度以降の受付がどうなるかは、現時点で公表されていません。次年度に備えるなら、今のうちに自社物件のブロック塀の高さと劣化状況を把握し、写真で記録しておくと、申請の準備が早く進みます。
ブロック塀の撤去は、補助がなくても検討する価値があります。倒壊すれば第三者への賠償責任が発生しうるうえ、劣化した塀は内見時の第一印象を下げ、賃料交渉や入居の決まり方にも静かに影響します。補助金の有無で判断を先送りせず、管理会社の点検で危険度だけは把握しておくことをお勧めします。
木造住宅の耐震補助は「自己用住宅」限定 — 賃貸アパートは対象外の前提
古河市は、昭和56年(1981年)の建築基準法改正以前に建築された木造住宅について、茨城県の木造住宅耐震診断士を派遣する無料の耐震診断を行っています。診断結果をもとにした耐震改修訪問相談もあり、改修を行う場合の補助は次の内容です(市の公式ページ、更新日:2026年4月1日)。
- 補助率:補強設計・耐震建替え設計、耐震改修工事・耐震建替え工事に必要な経費の4/5に相当する額
- 上限:115万円
- 対象者:市内に住所を有し、自己用住宅として所有または所有予定の方
- 令和8年度の受付:ページには具体的な日程の記載がなく、広報およびお知らせページで周知するとされています
対象者が「自己用住宅として所有する方」とされているため、賃貸に出している木造アパート・戸建て賃貸は、この補助の対象にならないと考えるのが自然です。ページに賃貸住宅や法人についての記載がないことから、「使える可能性がある」と期待するのではなく、使えない前提で資金計画を組み、使えそうなら担当課に確認するくらいの距離感が現実的です。
参考までに、古河市の「耐震改修促進計画アクションプログラム2026」では、年間の目標として耐震診断士の派遣5戸、耐震改修訪問相談3戸、耐震改修費補助1戸が掲げられています。令和5年度の耐震診断士派遣は17戸で、目標を上回ったと記載されています。診断までは動いても、改修補助まで進む件数は少ない、という現状が数字から読み取れます。件数の少なさは、制度が「個人の自己居住」を想定した小さな枠であることを示しています。
固定資産税の減額 — 耐震・省エネ・長寿命化の3制度を賃貸目線で仕分ける
補助金が薄い自治体では、固定資産税の減額が実質的な支援になります。古河市の資産税課のページには、住宅の改修に関する3つの減額制度が掲載されています。賃貸オーナーさまの目線で仕分けると、次のようになります。
1. 住宅の耐震改修に伴う減額(更新日:2026年4月1日)
昭和57年1月1日より前に建てられた住宅を、現行の耐震基準に適合させる工事を行うと、工事完了の翌年度の固定資産税が、120平方メートル相当分まで2分の1に減額されます。長期優良住宅の認定を受けた場合は3分の2です。工事費が一定額(50万円)を超えることが条件で、完了から3か月以内に申告が必要です。賃貸住宅や併用住宅の扱い、工事完了期限の最新の取り扱いは、資産税課(電話0280-22-5111)で必ず確認してください。
2. 住宅の省エネ改修に伴う減額(更新日:2026年4月1日)
窓の断熱改修などを行った場合に3分の1が減額されますが、自己居住の住宅に限られ、賃貸住宅は対象外と明記されています。賃貸オーナーさまは、この制度を前提に計画を立てないでください。
3. マンション長寿命化促進税制(更新日:2025年5月27日)
令和5年度の税制改正で創設された制度で、古河市のページには次の要件が示されています。築20年以上かつ総戸数10戸以上、居住用の専有部分があること、過去に外壁・床防水・屋根防水の工事をすべて実施していること、そして管理計画認定を受けたマンションか、市の指導を受けた管理組合であること。減額は3分の1で、対象は工事完了の翌年の1月1日を賦課期日とする1年度分、床面積100平方メートル相当分までです。令和5年4月1日から令和9年3月31日までに完了した工事が対象で、完了から3か月以内の申請が必要です。耐震・バリアフリー・省エネの減額との併用はできません。
3つ目の制度は「区分所有マンションの管理組合」を主な対象に想定した設計です。一棟すべてを所有する賃貸マンションオーナーさまが、そのまま使えるとは限りません。「管理計画認定または市の指導を受けた管理組合」が要件に入っているため、一棟所有の場合の扱いは資産税課に確認が必要です。
大切なのは、税の減額は工事が終わった後で、一定の期限内に自分で申告しなければ受けられないことです。工事の契約前に、対象かどうか・必要書類・期限を確認しておく習慣をつけてください。
マンション管理計画認定制度 — 古河市は分譲限定、賃貸一棟は対象外
古河市のマンション管理計画認定制度は、令和6年(2024年)5月1日に運用が始まりました。担当は営繕住宅課(電話0280-76-1511)です。公式ページには次のように書かれています。
- 対象:古河市内の分譲マンション。申請者は管理組合の管理者等
- 手数料:古河市への手数料は無料。ただし、公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」による事前確認は有料
- 認定基準:国の基準(マンション管理適正化指針)をそのまま採用し、古河市独自の上乗せはなし
- 有効期間:認定から5年。更新の申請は期限前に行う必要がある
賃貸一棟所有のオーナーさまは、この制度の直接の対象にはなりません。ただし、間接的な意味はあります。管理計画認定を受けた分譲マンションが市場で評価される流れは、賃貸マンションにも「管理の見える化」が求められる時代に入ったことを示しているからです。修繕履歴、長期修繕計画、収支の記録を整えておくことは、認定の有無にかかわらず、融資の相談や売却の場面で効いてきます。
商店街の空き店舗補助とまちなか住宅取得奨励金 — 空室対策と競合の両面から
古河市には、収益物件のオーナーさまにとって「味方」と「競合」の両面を持つ二つの制度があります。
商店街空き店舗等対策事業補助金(更新日:2026年7月10日)
商店街の空き店舗に新規出店する事業者が、改装費や店舗の家賃を補助してもらえる制度です。申請は開業の30日前までに必要で、事前の相談が前提、予算内での交付です。補助の受け手は出店するテナント側ですが、1階が店舗区画の賃貸ビルを持つオーナーさまにとっては、「この区画には補助制度が使える可能性がある」とテナント募集の場で伝えられる点が意味を持ちます。補助率や上限額は市のページ上では確認できなかったため、詳細は産業戦略課(電話0280-22-5111)への確認が必要です。
若者・子育て世帯まちなか住宅取得奨励金(令和6年1月1日〜令和8年12月31日)
居住誘導区域内で住宅を取得し、そこに住む若者世帯(40歳未満)または15歳以下の子どもがいる世帯に、基本額10万円に居住年数や子育て等の加算を加え、最大で50万円程度が支給されます。賃貸オーナーさまにとっては、賃貸の入居ターゲットになりやすい若年・子育て世帯が「購入」に動く後押しになりうる制度です。受付は令和8年12月31日までの購入・居住が対象ですから、少なくとも令和8年度中は、この動きが強まる可能性を織り込んだほうが安全です。対策は、賃料を下げることではなく、設備・共用部・安全性で「選ばれる賃貸」の水準を保つことです。
入居率1%がキャッシュフローをどう動かすか(試算)
補助金が限られる市で賃貸経営を守るには、「工事の質とタイミング」が収益に与える影響を数字で把握しておく必要があります。以下は、仮定にもとづくイメージ試算です(実際の物件の数字ではありません)。
仮に、20戸・平均賃料6万円の賃貸マンションがあるとします。満室時の年間賃料収入は、20戸×6万円×12か月=1,440万円です。入居率が1%下がると年間約14.4万円、空室が1戸あたり3か月続けば18万円の機会損失です。外壁のタイルの浮きや雨漏り、エントランスの劣化といった「見た目と安全の問題」は、内見で静かに効いてきます。築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として少しずつ積み上がるのです。
さらに、物件価値は収益還元の考え方で動きます。年間NOIが700万円の物件を、キャップレート6.0%で評価すれば約1億1,667万円、6.5%で評価すれば約1億769万円と、わずか0.5ポイントの違いで約900万円の差が出ます。管理状態が良く、修繕履歴が整理されている物件は、買い手が見るリスクが小さくなり、有利な評価につながりやすくなります。修繕は「費用」ではなく、NOIと物件価値を守る投資として設計することが、オーナー経営の基本です。
補助金が薄い市だからこそ、工事費そのものの最適化が効く
古河市で賃貸オーナーさまが使える補助は、止水板のように限定的です。つまり、補助金で工事費を圧縮する余地は大きくありません。その場合に最も効くのは、工事の仕様と工法の選び方で、総額そのものを下げることです。
大規模修繕の総工費の中で、仮設足場の費用は一般に15〜25%を占めます。30戸規模のマンションの大規模修繕は、おおよそ3,500〜5,000万円がひとつのレンジで、その中で足場費は数百万円規模になります。足場をかけずにロープアクセスで施工できる部位が多い建物では、ここが大きな削減余地です。たとえば、10階建て・外周80メートル・工期3か月の建物で、足場工法の概算が168万円、ロープアクセス工法が59万円となった事例では、仮設費だけで約109万円の差が出ます(建物の形状や条件により変わる目安であり、実際の見積は物件ごとに異なります)。
あわせて、仕様の見直しも効きます。外壁の打診調査は一般に1平方メートルあたり250〜500円、外壁塗装は3,500〜4,500円、防水は5,000〜8,000円が目安です。まず調査で劣化の範囲を正確に把握し、必要な箇所に必要な工事をすることで、「全面やり替え」の見積を適正化できます。株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受け、品質面ではISO9001を取得し、日本ロープ高所作業協会の事務局も担当しています。料金の考え方は、明誠の大規模修繕の料金の考え方のページにまとめています。
損金算入と資本的支出:税務処理で手残りが変わる
オーナーさまにとって、工事費の税務処理は手残りに直結します。基本の考え方は、修繕費(その年の経費)と資本的支出(資産に計上して減価償却)のどちらに区分されるかです。原状回復や維持管理の範囲であれば修繕費として当期の損金(個人は必要経費)に算入できますが、価値を高める、あるいは耐用年数を延ばす性質が強い工事は資本的支出となり、数年にわたって費用化されます。
区分の判断には、一般に、1つの工事が20万円未満であるか、おおむね3年以内の周期で行う工事か、60万円未満であるか、あるいは前期末の取得価額のおおむね10%以下か、といった形式的な基準が使われます。ただし、実際の判断は工事の内容によって異なります。大規模修繕の見積書は、修繕費に当たる部分と資本的支出に当たる部分を分けて内訳を出すことで、税理士が処理しやすくなります。私たちは、オーナーさまの税務処理を前提に、見積の項目を整理してお出しするようにしています。
補助金を受け取る場合の税務にも注意が必要です。受給した補助金は、個人は所得の区分、法人は雑収入の計上や圧縮記帳の可否など、受け取り方によって扱いが変わります。たとえば止水板補助のように、補助を受けた分だけ手残りが増えると考えがちですが、税務上は収入として扱われる場合があります。補助金は受給時に課税関係が生じうることを念頭に、必ず顧問税理士に事前に相談してください。
出口戦略:修繕履歴と安全対応が売却価格に効く
物件をいつか売却する、あるいは相続で次世代に引き継ぐことを考えるなら、「どんな修繕を、いつ、いくらで行ったか」の記録そのものが価値になります。買い手の側では、金融機関の融資審査でも、建物の管理状態が確認されます。外壁や防水の修繕履歴、定期報告の実施記録、耐震や止水対策の有無が整理されている物件は、買い手の「見えないリスク」への割引が小さくなる傾向があります。
反対に、補助金が使えなかったからという理由で修繕を先送りすると、劣化が進んで、将来の工事費が膨らみます。特に防水と外壁は、劣化が小さいうちに手を入れれば小規模な補修で済むところを、放置するとやり替えが必要になりがちです。出口を見据えた修繕投資は、利回りを改善する以上に、物件価値そのものを底上げします。調査記録はドローン調査なども活用して写真で残しておくと、売却時の説明資料として役立ちます。
医療法人・介護事業者オーナーさまへ:BCPと浸水対策の視点
古河市内でクリニックやサービス付き高齢者向け住宅、介護施設を運営している、あるいはそうした建物を貸しているオーナーさまは、一般の賃貸住宅とは別の視点が必要です。入居者や患者さまの安全が事業の前提ですから、BCP(事業継続計画)と防災対策が、施設の信頼と介護報酬・医療報酬を伴う運営の継続性に直結します。
止水板は、まさにこの観点で意味を持ちます。浸水により電気設備や医療機器、エレベーターが使えなくなれば、運営の停止につながります。止水板の補助は個人・法人どちらも対象ですから、施設の運営法人が申請者になることも考えられます。あわせて、外壁の剥落やブロック塀の倒壊は、来訪者や入所者に直接の危険を及ぼします。施設の大規模修繕では、入居者・利用者の生活への影響を最小限にできる工法が求められます。足場を組まないロープアクセス工法は、窓や共用部を長期間覆わずに済むため、騒音や視界の遮断を抑えたい施設で選ばれています。詳しい施工の考え方は、ビルオーナー向けの明誠のサービスをご覧ください。
足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法の選び方
株式会社明誠は、通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、足場とロープアクセスを組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法を提案できる、日本でも数少ない会社です。それぞれの向き不向きを整理します。
| 工法 | 向いている建物 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 通常の足場工法 | 中低層、形状が複雑、広い面を一度に施工したい建物 | 作業の自由度が高く、大面積の工事に向く | 足場費がかさみ、工期が長く、居住者・テナントへの影響が大きい |
| ロープアクセス工法(無足場) | 高層、足場の架設が難しい立地、コストを抑えたい建物 | 足場費の削減、工期短縮、入居者・テナントの生活への影響が小さい | 重量物の搬入や広範囲の全面施工には向きにくい場合がある |
| ハイブリッド工法 | 大規模・複雑で、部位ごとに最適化したい建物 | 足場とロープを部位で使い分け、総額を最適化 | 工程管理に高い調整力が必要 |
3つの工法を選べる会社は、建物の条件に合わない工法を押しつけません。古河市内でも、物件の階数や形状、周辺の敷地条件によって最適解は変わります。たとえば中低層で広い面を施工する建物は足場、部分的な補修や高所の局所工事はロープアクセス、といった組み合わせが効果的な場合が少なくありません。ロープアクセス工法の技術的な詳細や、同業者・フランチャイズ加盟を検討されている方向けの情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで解説しています。また、安全管理の考え方は明誠の安全管理への取り組みで公開しています。
修繕計画の立て方:定期報告の周期から逆算する
古河市のオーナーさまが無理なく修繕を進めるには、次の順序で考えるのが現実的です。
- 建物の現状把握:外壁の打診、屋上・バルコニーの防水、鉄部の錆、ブロック塀の状態を調査する。ドローンや目視でも概況は把握できます。
- 定期報告の要否と時期を確認:物件が定期報告の対象かどうか、対象の場合の報告時期を建築指導課または県の公開資料で確認する。
- 制度の使える・使えないを仕分け:止水板のように使える制度、ブロック塀のように来年度に備える制度、税の減額のように事前確認が必要な制度に分ける。
- 工法と仕様の比較見積:足場・ロープアクセス・ハイブリッドで比較し、修繕費と資本的支出の内訳も出してもらう。
- 入居者・テナントへの周知と工程調整:騒音や視界の遮断を最小化する工程を組み、入居率への影響を避ける。
この流れの中で、調査を先に行い、必要な工事の範囲を絞ってから見積を取ることが最も大切です。調査前に総額を決めてしまうと、過剰な仕様や不足のある仕様のどちらにもなりやすいからです。漏水が気になる物件は、漏水対応のページも参考にしてください。
よくあるご質問
Q1. 古河市の止水板補助は、賃貸マンションのオーナーでも申請できますか?
A. 対象者は「所有者・使用者」で、個人・法人どちらも申請できます。賃貸建物の使用者も対象と市のページに明記されています。受付は令和8年11月30日まで、補助率は50%、上限30万円です。予算上限に達すると受付が終了するため、早めに担当窓口へ確認してください。
Q2. 古河市のブロック塀の撤去補助は、令和8年度はまだ申請できますか?
A. できません。令和8年度の受付は8月14日で終了しています。補助額は、経費の3分の2、延長に応じた単価額、10万円のうち最も低い額でした。令和9年度以降の受付は公表待ちですので、市の公式ページで最新情報をご確認ください。
Q3. 古河市の木造住宅耐震改修補助は、賃貸アパートにも使えますか?
A. 対象は「市内に住所を有し、自己用住宅として所有する方」とされています。賃貸に出している木造アパートは、対象外と考えるのが自然です。個別の事情は、建築指導課(0280-76-1511)にご確認ください。
Q4. 古河市のマンション長寿命化促進税制の減額割合は何分の1ですか?
A. 3分の1で、床面積100平方メートル相当分までが対象です。築20年以上・10戸以上、管理計画認定または市の指導を受けた管理組合などの要件があり、完了から3か月以内の申請が必要です。区分所有マンション向けの設計のため、一棟所有の賃貸の扱いは資産税課にご確認ください。
Q5. 賃貸マンションの省エネ改修でも、固定資産税の減額は受けられますか?
A. 古河市の省エネ改修に伴う減額は、自己居住の住宅に限られ、賃貸住宅は対象外と明記されています。賃貸オーナーさまは、この制度を前提にした資金計画は避けてください。
Q6. 古河市で12条点検(定期報告)の提出先はどこですか?
A. 古河市は特定行政庁で、定期報告は古河市の建築指導課が受け付けています。県の定期報告のページ(更新日:2026年8月30日)にも、古河市は市で受付すると記載されています。対象の規模や報告時期は、県が公開するPDFや市の窓口でご確認ください。
Q7. 古河市の管理計画認定制度は、賃貸マンションにも使えますか?
A. 対象は分譲マンションで、賃貸一棟所有は対象外です。市への手数料は無料ですが、マンション管理センターの事前確認は有料です。
Q8. 大規模修繕の費用は、修繕費と資本的支出のどちらで処理すればいいですか?
A. 原状回復や維持管理の性質が強い工事は修繕費、価値を高めたり耐用年数を延ばしたりする工事は資本的支出となるのが原則です。内訳の区分で結果が変わるため、見積の段階で分けて出してもらい、必ず顧問税理士にご確認ください。
この記事のポイントまとめ
- 古河市で賃貸オーナーさまが今使える現金補助は、止水板設置補助(補助率50%・上限30万円・令和8年11月30日まで)が中心です。
- 危険ブロック塀等の撤去補助は、令和8年度は8月14日で受付終了。令和9年度に備えて現状把握を進めておきましょう。
- 木造耐震補助・省エネ減額・管理計画認定は、自己居住または分譲が前提で、賃貸には使えない前提で資金計画を立てます。
- 長寿命化促進税制は3分の1ですが、区分所有向けの設計のため、一棟賃貸は資産税課への確認が必須です。
- 補助が薄いからこそ、工法選び・仕様の見直し・調査先行でNOIと出口価格を守ることが重要です。
古河市の賃貸オーナーさまへ
古河市は、補助金で工事費を大きく圧縮できる環境ではありません。だからこそ、「使える制度は確実に使い、使えない制度に期待せず、工法と仕様で総額を最適化する」という現実的な設計が、オーナーさまの手残りを守ります。
お持ちの物件で、まだ修繕計画や補助・税制の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問合せください。1棟の現地調査と利回り改善シミュレーション、キャッシュフロー試算だけでも、ご相談を承ります。こちらからお問合せいただけます。あわせて、収益物件の修繕に関する考え方はオーナー向けの明誠のご案内にもまとめています。数字の話と、次の一歩を、一緒に整理させてください。
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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月3日時点で公表されている古河市および国土交通省・茨城県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、必ず古河市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月3日
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『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。
出典(古河市・茨城県・国土交通省 公式ウェブサイト)
- 危険ブロック塀等の撤去費用の一部を補助します – 古河市
- 止水板の購入・設置に必要な工事に対し補助金を交付します – 古河市
- 古河市耐震改修促進事業のご案内 – 古河市
- 古河市耐震改修促進計画 – 古河市
- 住宅の耐震改修に伴う固定資産税の減額 – 古河市
- 住宅の省エネ改修に伴う固定資産税の減額 – 古河市
- 長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額制度 – 古河市
- マンション管理計画の認定制度 – 古河市
- 古河市商店街空き店舗等対策事業補助金 – 古河市
- 古河市若者・子育て世帯まちなか住宅取得奨励金 – 古河市
- 建築指導課 – 古河市
- 定期報告制度について – 茨城県
- 木造住宅耐震補助(市町村一覧)- 茨城県
- マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)- 国土交通省
- マンション管理計画認定制度 – 国土交通省

