本間社長ブログ

習志野市のマンション漏水・防災対策|埋立地の液状化・高潮・内水に備える大規模修繕2026年度版

本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

習志野市でマンションやビルをお持ちのオーナー・管理組合さまが、大規模修繕で優先すべき漏水・防災対策は、結論から言うと次の3つです。

  1. 屋上ドレン(排水口)・バルコニー排水・外壁の目地を、次の大雨の前に点検する:令和8年8月13日の線状降水帯による豪雨では、習志野市でも道路の冠水などの被害が確認されたと、市がふるさと納税の災害支援ページで伝えています。強い雨は、建物の防水の弱点を最初に見つけ出します。
  2. 洪水・内水・高潮・津波を分けて、物件の住所で確認する:習志野市は「Web版防災ハザードマップ」で、震度・液状化・津波・洪水・内水・高潮・土砂災害・防災施設の8種類を公開しています。住所検索で、物件ごとに確認できます。
  3. 液状化を前提に、地震後の漏水と設備の止まり方を修繕計画に入れる:東日本大震災では、国道14号以南の埋立地を中心に液状化が起き、下水道の排水不良は約500ヘクタールに及びました。地盤が動いたあとの外壁・配管・継ぎ目の傷みは、次の雨で漏水として表れます。

私は東京都東大和市の株式会社明誠で、20年以上、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を現場で担当してきました。習志野市は、JR津田沼駅周辺の内陸の住宅地と、袖ケ浦・秋津・香澄などの埋立地が並ぶ、成り立ちの違う地域を抱えた市です。この記事では、習志野市が公開している一次情報を中心に確認しながら、習志野市のマンションに関係する部分だけを取り上げてお話しします。

習志野市のハザードマップを1枚で読む

習志野市の公式ページ「習志野市ハザードマップ」(更新日:2024年12月6日)には、8種類のマップの作成元と想定条件が一覧でまとめられています(出典:習志野市 習志野市ハザードマップ)。

種類 市の公開内容の要点
洪水 海老川・高瀬川・谷津川・菊田川及び支川菊田川・浜田川が氾濫した場合の浸水想定区域・水深。千葉県のデータ(海老川は令和元年12月、その他は令和4年3月29日公表)
内水 昭和50年10月5日に千葉で観測された1時間71ミリの降雨を基にした浸水想定と過去の浸水被害。水防法に基づくマップではない
高潮 室戸台風級の台風を想定した浸水区域・水深・浸水継続時間。令和4年6月10日に千葉県が高潮浸水想定区域を指定
津波 千葉県の平成30年11月公表データ。最大クラスの津波が悪条件下で発生した場合の浸水区域・水深
震度・液状化 令和4年度の習志野市防災アセスメント調査による、千葉県北西部直下の地震(M7.3)を想定した震度分布と4段階の液状化しやすさ
土砂災害 千葉県の令和6年3月公表データ。土砂災害(特別)警戒区域

洪水の対象河川は、市のページに書かれている5河川です。このうち海老川について、市のページは「船橋市海老川」と表記しています。洪水マップの活用方法の欄には、「特に埋立地で河川に近傍地域は、内水はん濫による道路冠水もあわせて警戒」と書かれています。マンションの1階や地下に電気室・ポンプ室がある場合は、洪水と内水の両方の想定を確認してください。

内水のマップには、もう一つ大切な注意書きがあります。市の下水道課のページでは、道路の排水施設(U字溝・集水桝)が落ち葉などで流れにくくなると、浸水区域や浸水深が表示より大きくなる場合があると説明しています。また、マップの下水道管の情報は平成22年度末のものです(出典:習志野市 内水ハザードマップ)。

ハザードマップは、県や市が定めた条件でのシミュレーションです。市のページにも「一定の条件で想定したものであり、実際は想定を超える可能性があります」とあります。物件の住所を地図で確認したら、市のマップの「マップ印刷」機能で印刷するか、PDFで保存して、理事会や社内で共有してください。

令和8年8月の千葉豪雨と、習志野市の立ち位置

気象庁の資料によると、令和8年8月13日から14日にかけて、千葉県で線状降水帯が発生し、記録的な短時間の大雨が相次ぎました(出典:気象庁 令和8年8月千葉豪雨(速報))。

習志野市は、ふるさと納税の災害支援の受付ページで、この豪雨により「道路の冠水など大きな被害が確認されて」いると伝えています(出典:ふるさとチョイス災害支援 令和8年8月千葉豪雨(千葉県習志野市))。一方、私が確認した範囲では、習志野市内の床上・床下浸水の件数や、マンションの被害件数をまとめた公式の数字は見つかりませんでした。ですから、この記事では「習志野市でこれだけ被害が出た」という数字は書きません。

それでも、この豪雨から習志野市のマンションが学べることはあります。道路が冠水するほどの雨のとき、建物の屋上やバルコニーでは、排水口が受け止められる量を超えた雨が一気にたまります。私が現場で見てきた経験でも、強い雨のあとは、浸水していない建物の屋上やバルコニーから雨水が入り込む相談が増えます。屋上の排水口に砂や落ち葉がたまっていると、水があふれて立上りの防水を越えます。

地域特性と漏水事故の関係

習志野市の東日本大震災の検証報告書(平成24年7月)によると、市内では震度5強を観測し、国道14号以南の地域で深刻な液状化の被害が出ました。建物の被害は、全壊9棟、大規模半壊176棟、半壊537棟、一部損壊4,505棟です。上水道は約5,400戸が断水し、下水道は国道14号以南の香澄・秋津・袖ケ浦・谷津地区で、約500ヘクタールが排水不良になりました。道路の隆起・陥没は172路線にのぼります(出典:習志野市 東日本大震災の検証報告書 概要版)。

同じ報告書は、国道14号より南側の被害が集中した地域の微地形は「埋立地」であり、北側でも埋谷地・盛土地や谷底平野などで被害が固まっていたと分析しています。そして、同じ規模以上の地震では、同じ場所で被害が出ることが予想されるとしています。

液状化と豪雨の漏水は別の話に見えますが、現場ではつながっています。地盤が動いたあと、建物の配管の継手、外壁の目地、エキスパンションジョイント(建物の動きを逃がす継ぎ目)に、ひびや隙間が出ることがあります。そこに次の大雨が当たると、漏水が一気に表面化します。

習志野市のマンションを大きく分けると、点検の着眼点は次のように変わります。

  • 国道14号以南の埋立地の中高層(袖ケ浦・秋津・香澄など):液状化と高潮・津波の想定を重ねて確認します。海からの風を受けるため、私の経験では、シーリング(目地の防水材)や鉄部の傷みが内陸より早く進みます。外壁・手すり・屋上の設備架台まで、塩害の目で見ます。
  • 津田沼・谷津周辺の駅近マンション:洪水マップの対象河川が近い場所では、内水による道路冠水と合わせて、1階の共用部、地下・半地下の機械室、駐車場の排水を重点的に見ます。
  • 築30年以上の中規模マンション:外壁のシーリングの寿命が来ていることが多く、サッシまわりからの浸水を疑います。昭和56年5月31日以前に着工した建物は、耐震の確認も合わせて検討します。

大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

大規模修繕の周期は、一般に12〜15年が目安とされています。現地調査では、私は次の7か所を順に見ています。

  1. 屋上防水:膨れ、ひび割れ、保護コンクリートの伸縮目地の劣化。防水更新は1㎡あたり5,000〜8,000円程度がひとつのレンジです。
  2. シーリング:窓まわりや外壁パネルの目地。ひび割れや肉やせは、雨水の入口になります。湾岸の建物は劣化が早い傾向があります。
  3. バルコニー排水:排水口のゴミ詰まりと、床の防水層の劣化。
  4. ルーフドレン(屋上の排水口):落ち葉や土砂のたまり。大雨の前に清掃するだけで、あふれる危険が大きく減ります。
  5. 立上り:屋上や庇の防水が壁に立ち上がる部分の端部。ここの切れ目から水が入ります。
  6. サッシまわり:枠と外壁の取り合い部分。シーリングだけでなく、防水下地の確認が必要です。
  7. エキスパンションジョイント:建物の動きを受ける継ぎ目。地震のあとは、カバーの外れや内部の劣化を確認します。

金額は目安です。建物の規模や状態で大きく変わりますので、見積りは現地調査のうえで比較してください。料金の考え方は、明誠の料金の考え方にまとめています。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

大雨の翌日に漏水の連絡が入ったとき、足場を組む工事は、見積り、近隣説明、組立で数週間かかります。その間、雨が降るたびに室内へ水が入ります。

ロープアクセス(産業用ロープで外壁に降りて作業する無足場工法)なら、ロープを張った当日から、外壁の点検、応急のシーリング補修、ドレン清掃に入れる場合があります。明誠のロープアクセス工法では、メインロープとバックアップロープの2本を使い、2点以上の吊元に接続する二重の確保を基本としています。明誠および加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。

費用の面でも違いがあります。たとえば10階建て・外周80m・工期3か月の建物では、足場に約168万円かかる場合に対し、ロープアクセスでは約59万円という試算例があります。物件により変動しますので、あくまで参考値です。工期も、足場工法の約60%で済む場合があります。技術の詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。同業の方や、フランチャイズにご関心のある方にも技術情報のページをご覧いただけます。

明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。漏水の相談は、漏水対応のご案内から状況をお知らせください。

防災上の共用部の位置と修繕優先度

漏水の次に私が最初に確認するのが、暮らしを支える設備の置き場所です。内水や高潮の想定がある場所では、次の順で優先度を考えます。

設備 確認すること 優先度
受変電設備(電気室) 設置階。地下や1階なら止水板・かさ上げを検討 高
給水ポンプ 設置場所と、停電時の給水のしかた。液状化後の配管の継手も確認 高
エレベーター制御盤 機械室の位置と雨水の侵入経路 高
自家発電設備 燃料の保管量と設置階 中
避難通路・出入口 浸水時の出入口の高さ、段差。地盤沈下による段差の有無 中

東日本大震災のとき、習志野市では約5,400戸が断水し、下水道管が土砂で埋まった地区もありました。マンションでは、給水が止まったときの水の確保と、排水が使えないときのトイレの扱いを、管理組合で決めておくことが大切です。

この表はあくまで点検の考え方です。実際の判断は、建物ごとの図面と現地確認が必要です。ビルオーナーさま向けにはビルオーナー向けのご案内、管理組合さま向けには大規模修繕のご案内(管理組合)を用意しています。

習志野市の防災・修繕に関わる支援制度

習志野市には、分譲マンションの管理組合が使える支援があります。年度や期限が関わるものは、市の公式ページの更新日を確認したうえで、次のとおり整理しました(2026年11月6日時点)。

制度 内容(市のページより) ページ更新日
マンション管理士派遣事業 長期修繕計画・大規模修繕計画の作成・見直しなどの相談。1管理組合につき年度内2回まで、1回2時間程度、費用は無料(市が全額負担)。令和8年度の申請期間は令和8年4月1日から12月28日まで 2026年4月1日
マンションの耐震診断費補助(予備診断) 昭和56年5月31日以前着工、3階以上・延べ面積1,000㎡以上などの分譲マンションが対象。補助は費用の3分の2、1棟34,000円まで。令和8年度分は8月31日で受付終了 2026年4月15日
大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額 令和5年4月1日から令和9年3月31日までに長寿命化に資する大規模修繕工事を完了したマンションが対象。翌年度分の家屋の固定資産税の3分の1を減額 2026年5月15日

マンション管理士派遣は、令和8年度の申請期限が令和8年12月28日です。来年の理事会で長期修繕計画を見直す予定のある管理組合は、年内に住宅課(電話047-453-9296)へ申請しておくと、専門家の意見を早めに聞けます(出典:習志野市 マンション管理士派遣事業)。

マンションの耐震診断費補助は、令和8年度分の受付が令和8年8月31日で終了しています。令和9年度以降の制度は決定次第ページで知らせると、市は案内しています。補助を受けるには、耐震診断の契約前の申請が必要です。対象のマンションをお持ちの管理組合は、建築指導課(電話047-453-9231)へ令和9年度の予定をご確認ください(出典:習志野市 令和8年度 マンションの耐震診断費補助のご案内)。

固定資産税の減額は、築20年以上・10戸以上で、過去に大規模修繕を1回以上行っていることなどが要件です。修繕積立金の引上げなどの要件もあり、改修完了後3か月以内に資産税課への申告が必要です。令和9年3月31日までに工事が完了する予定の管理組合は、要件を住宅課と資産税課に早めに確認してください(出典:習志野市 大規模修繕工事を行ったマンションに対する固定資産税の減額制度)。

よくあるご質問

Q. 習志野市のマンションで、大雨の前にやっておくことは何ですか?

A. 屋上ドレンとバルコニー排水の清掃が最優先です。次に、受変電設備や給水ポンプの設置階を確認します。清掃だけなら大きな費用はかかりません。

Q. 習志野市のハザードマップは、どこで確認できますか?

A. 市の「習志野市Web版防災ハザードマップ」で、住所を入れて確認できます。洪水・内水・高潮・津波・液状化などを切り替えて見られ、印刷機能もあります。

Q. 漏水が起きたとき、まず何をすればよいですか?

A. 水の入り口を写真で記録し、管理会社に連絡してください。ロープアクセスで、点検と応急補修を即日〜翌日に着手できることが多いです。物件の状況により異なりますので、まずはお問い合わせフォームから状況をお知らせください。

Q. 屋上防水の費用はどれくらいですか?

A. 工法や面積で変わりますが、防水の更新は1㎡あたり5,000〜8,000円程度がひとつのレンジです。現地調査をしたうえでの見積りをおすすめします。

Q. 液状化の想定がある地域で、大規模修繕の前にできることはありますか?

A. 地震のあとに外壁の目地、エキスパンションジョイント、配管の継手を点検する習慣をつくってください。傷みが小さいうちに直せば、次の雨の漏水を防げることがあります。

Q. 工期はどれくらい違いますか?

A. ロープアクセス工法なら、足場工法の約60%の工期で完了する場合があります。10階建て・外周80mの建物で、足場3か月に対し、ロープアクセスは1.5〜2か月が目安です。

Q. ロープアクセスは安全ですか?

A. メインロープとバックアップロープの2本を、2点以上の吊元に接続する二重の確保が基本です。明誠および加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。

まとめ+今週動くこと3点

習志野市は、洪水・内水・高潮・津波・液状化などを1つのWeb版ハザードマップで確認できる市です。東日本大震災では国道14号以南の埋立地を中心に液状化が起き、令和8年8月の豪雨では道路の冠水が確認されました。私は理事長さまやオーナーさまに、「雨が降る前に、ドレンと受変電設備の場所を見てください」とお伝えしています。

今週動いていただきたいのは、次の3点です。

  1. 習志野市Web版防災ハザードマップで、物件所在地の洪水・内水・高潮・津波・液状化の想定を確認し、印刷かPDFで保存する。
  2. 屋上ドレンとバルコニー排水のゴミ詰まり、受変電設備・給水ポンプ・エレベーター制御盤の設置階を、管理会社と一緒に点検する。
  3. 長期修繕計画を見直したい管理組合は、令和8年12月28日の期限までに、住宅課へマンション管理士派遣を申請するかを理事会で話し合う。

理事会で1分だけでも、この話題を出してみてください。

明誠のこれまでの施工事例は、明誠の施工事例からご覧いただけます。

出典・参考資料


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年11月6日


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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年11月6日時点で公表されている習志野市、気象庁、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、習志野市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

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