本間社長ブログ

西東京市のマンション漏水・防災対策|石神井川・白子川の洪水と内水氾濫、台地の低層団地で優先すべき大規模修繕【2026年度版】

西東京市のマンション漏水・防災対策|石神井川・白子川の洪水と内水氾濫、台地の低層団地で優先すべき大規模修繕【2026年度版】
本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

2026年10月2日 更新

西東京市のマンションで、私が調査に入ると最初に確認するのは、外壁のひび割れよりも屋上ドレン(排水口)とバルコニーの排水溝です。落ち葉と砂が詰まり、豪雨のたびに水が逃げ場を失って壁の内側へ回る。理事会では外壁の色の話ばかりで、排水の話は誰もしていない。西東京市に限らず、多摩北部で何度も見てきた光景です。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近く、マンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。仮設足場を組む工事も、2本のロープで壁面に降りる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間です。西東京市は私の拠点から見れば同じ多摩北部の生活圏で、この街の雨の降り方や、築年数を重ねた低層マンションの傷み方は、肌感覚で分かります。

西東京市は令和8年(2026年)3月に浸水ハザードマップを改訂したばかりです。今日はその内容と、東京都・国の公式情報を数字で整理し、大規模修繕で先に手を打つべき場所をお伝えします。


結論:西東京市で優先すべきは「排水」「設備の設置階」「耐震と防水の同時検討」です

先に結論を申し上げます。西東京市の分譲・賃貸マンションで、私が最初にお勧めする確認は次の3つです。

  1. 屋上ドレン・バルコニー排水・敷地側溝の排水能力:令和8年3月改訂の市の浸水ハザードマップは、1時間最大雨量153mm・総雨量690mmという想定です。排水が詰まっていれば、被害は一気に広がります
  2. 受変電設備・給水ポンプ・非常用電源の設置階:浸水想定より低い位置にあれば、修繕計画の前倒しを検討する価値があります
  3. 旧耐震(昭和56年5月以前)のマンションは、耐震化と防水・外壁修繕を同じ議題で検討すること:足場を組む回数を減らせれば、仮設費用を抑えられます

西東京市は、私が見るところ「ハザードが少ない街」ではなく、「川の水だけでなく、下水道があふれる内水の被害を意識すべき街」です。以降、順に見ていきます。

西東京市のハザードマップを1枚で読む(洪水/内水/土砂/液状化/高潮)

まず、西東京市の公式ページで公表されている内容を整理します(出典:西東京市「西東京市浸水ハザードマップ(令和8年3月改訂)」、ページ更新日 令和8年4月14日)。

種別 西東京市の公表状況 私の読み方
洪水(外水) 石神井川・白子川流域、黒目川・落合川・柳瀬川・空堀川・奈良橋川流域を対象に表示 川に近い低地の物件は浸水深の確認が必須
内水(下水道の氾濫) 同じマップに内水氾濫も表示 川から離れていても、排水が追いつかなければ浸水します
高潮 市のページに「高潮浸水区域はない」と記載 内陸のため該当しません
土砂災害 市の防災ページで警戒区域の記載を確認できませんでした 市内の指定の有無は東京都の公開情報でご確認ください
液状化 市の浸水マップには含まれません 東京都の液状化予測図で個別に確認してください

注目すべきは、洪水(外水)と内水の両方が1枚のマップに載っている点です。川の氾濫は遠い話に聞こえても、集中豪雨で下水道の排水が追いつかない内水氾濫は、住宅地のど真ん中で起きます。「うちは川から遠いから」という理事長さまのお言葉を、私は現場で何度も聞いてきました。しかし、ハザードマップの地図上で川から離れていても、ご自身の建物の排水能力は別の話です。

洪水:想定最大規模は「1時間153mm・24時間690mm」

西東京市の浸水ハザードマップは、「総雨量690mm、時間最大雨量153mm」の降雨を前提にしています。東京都建設局が公表する石神井川及び白子川の洪水浸水想定区域図も、時間最大雨量153mm・24時間総雨量690mmの想定で、公表は令和6年2月15日です(出典:東京都建設局「石神井川及び白子川洪水浸水想定区域図」)。

この数字は、過去の観測値というより「想定し得る最大規模」の雨です。毎年起きるわけではありません。ただ、一度でも起きれば、築30〜40年の中低層マンションの屋上や地下の設備に、一斉に負荷がかかります。ですから大規模修繕のタイミングで排水まわりを見直すことは、遅すぎず、早すぎもしない、現実的な備えです。

地震:総合危険度ランクは、市内101町丁目のうち最高ランクは1か所

東京都の第9回地域危険度測定調査(令和4年9月公表)によれば、西東京市の対象は101町丁目です。総合危険度のランクはランク1が47、ランク2が45、ランク3が8、最も高いランク4が1(中町五丁目)という内訳です(出典:東京都都市整備局「地震に関する地域危険度一覧表(西東京市)」)。

つまり約9割の町丁目はランク1〜2で、数字だけ見れば穏やかな地域です。ただし、これは建物倒壊や火災の「地域」としての指標です。個々のマンションの耐震性や、設備の損傷による漏水リスクとは別の話です。ランク1の町丁目でも、受水槽や給水配管が揺れで壊れれば、共用部で水が噴き出します。

地域特性と漏水事故の関係:台地の住宅地に広がる築年数を重ねた低層マンション

西東京市は、武蔵野台地の上に住宅地が広がる市で、駅周辺に中低層の分譲マンションや賃貸マンション、昔からの団地が点在しています。現場の感覚で整理すると、傷み方の出方が次のように違います。

築30〜40年の中低層マンション・団地:屋上防水の改修周期(12〜15年)を超えている建物が多く、立上りやドレンまわりから雨水が回る例が目立ちます。私が現場でよく見るのは、築35年前後で一度も防水をやり直しておらず、最上階の天井に染みが出てから慌ててご相談いただく流れです。

川に近い低地や、地下・半地下に設備を持つ建物:地下駐車場や1階の電気室、ポンプ室は水に弱い部位です。外壁側が問題なくても、設備側で被害が出ます。

旧耐震(昭和56年5月以前)の建物:耐震診断・改修と、防水・外壁の大規模修繕の時期が重なります。次の章でご紹介する市の助成制度を見ながら、順番を決めることになります。

大規模修繕でチェックすべき漏水ポイント7つ

ここからが本題です。大規模修繕の現場で、漏水の原因として私が優先して見る7か所を、費用感とあわせて整理します。金額は目安で、建物の状態や規模で大きく変わります。

  1. 屋上防水:改修周期は一般に12〜15年が目安です。防水工事の㎡単価は工法により5,000〜8,000円/㎡程度が一つの参考値です
  2. シーリング(目地・サッシまわりの充填材):10年前後で硬化・断裂し、雨水の入口になります
  3. バルコニー排水:排水溝の勾配不良や砂詰まりは、豪雨時に下階への漏水を引き起こします
  4. 屋上ドレン(排水口):落ち葉・土砂で詰まると、屋上に水が溜まります。153mmの豪雨では、排水能力の余裕がそのまま被害の差になります
  5. 防水の立上り:パラペットや設備基礎との取り合いは、最も傷みが早い部位の一つです
  6. サッシまわり:枠と躯体の間のシーリング、窓下の水切りを確認します
  7. エキスパンションジョイント:棟と棟のつなぎ目は、動きがあるため劣化しやすく、見落としがちです

私の経験上、この7か所のうち3か所以上に傷みがある建物は、すでに内部への水の回り込みが始まっていることが多いです。調査の段階で、赤外線やドローンを使った非破壊の点検を併用すると、足場を組む前に状態を把握できます。ドローンによる調査は明誠のドローン調査のご紹介、漏水への対応は明誠の漏水対応のご紹介をご覧ください。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由(足場を組む時間がありません)

台風や豪雨の後、「最上階の天井から水が落ちている」「外壁のひびから雨が入る」という連絡をいただくことがあります。このとき、足場を組む工事では、手配と架設で1〜2週間かかります。その間、雨はまた降ります。

ロープアクセス工法(産業用ロープで壁面に降りて作業する無足場の工法)なら、原因箇所の特定と応急処置を、足場なしで短期間に行えます。仮設足場の費用も、目安として10階建て・外周80mのマンションで足場約168万円に対し、ロープアクセスでは約59万円(差額約109万円)という試算があります。もちろん物件により大きく変動しますので、あくまで参考値です。

株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセスでの高所作業については、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けています。安全管理の考え方は明誠の安全管理のページにまとめています。

工法の技術的な詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで、訓練体制や技術情報はロープアクセスの技術情報ページで詳しくご覧いただけます。発注者さま向けの工法のご紹介は明誠のロープアクセス工法のページにまとめています。

防災上の共用部(避難通路/エレベーター/受電設備/給水ポンプ/自家発)の修繕優先度

漏水対策は、防災対策と地続きです。私は共用部を次の順番で見るようお勧めしています。

優先度 共用部 見る点
高 受変電設備・電気室 設置階が低くないか。浸水時は停電とエレベーター停止につながります
高 給水ポンプ・受水槽 浸水・地震で止まると断水します。耐震固定と設置階を確認します
中 非常用電源(自家発) 燃料備蓄量と、燃料タンクの設置位置を確認します
中 避難通路・階段 屋外階段の防水と手すり、通路の排水を確認します
中 エレベーター 停止時の防災キャビネット、復旧までの対応を整理します

東京都の「東京とどまるマンション普及促進事業」は、登録マンションの防災備蓄資器材の購入費を助成する制度です。通常分は補助率2/3・上限100万円、町会等との連携分は補助率10/10・上限150万円とされています(出典:東京都マンションポータルサイト「東京とどまるマンション普及促進事業」)。申請期間は年度ごとに異なるため、令和8年度の最新の受付期間は、公式ページでお確かめください。

西東京市の防災補助・耐震助成・税の減額制度

西東京市の公式ページで確認できる、マンション関連の制度を3つご紹介します。

分譲マンション耐震化促進事業助成制度

西東京市は、管理組合向けに耐震化の助成制度を設けています(出典:西東京市「分譲マンション耐震化促進事業助成制度」、ページ更新日 令和8年4月1日)。

  • 対象:区分所有法に基づく管理組合で、総会等で決議をした分譲マンション
  • 建物の要件:昭和56年6月1日より前の建築、耐火・準耐火構造で3階以上、診断のIs値が0.6未満
  • 耐震診断:費用の3分の2(上限200万円)
  • 補強設計:費用の3分の2(上限200万円)
  • 耐震改修・建替え等:費用の23%(上限2,000万円)

対象は旧耐震の建物に限られますので、ご自身の建物の建築時期を、まず確認してください。申請は事前相談から始まり、交付決定を受けてから着工する流れです。着工後に申請しても対象にならない制度が多いため、必ず順番を守ってください。

長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションの固定資産税減額

次に、大規模修繕と直接つながる制度です(出典:西東京市「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに対する固定資産税の減額制度」、ページ更新日 令和7年4月16日)。

  • 新築から20年以上が経過した、10戸以上のマンション
  • 令和5年4月1日から令和9年3月31日までに、長寿命化に資する大規模修繕工事を完了
  • 翌年度分の固定資産税を3分の1減額
  • 申告は工事完了日から3か月以内

工事の完了期限が令和9年3月31日です。令和8年10月の今から、設計・見積・総会決議・施工と進めると、決して余裕のある日程ではありません。大規模修繕を検討中の管理組合は、この期限から逆算して、早めに動いてください。なお、この制度は管理計画の認定や、助言・指導に関する要件が付く場合があります。詳細は市の公式ページで必ずご確認ください。

マンション管理計画認定制度

西東京市は令和5年8月1日に、管理計画認定制度を開始しています。市への申請手数料は無料です。ただし、事前確認を行うマンション管理センターの支援サービスは有料(1万円)とされています。申請先は住宅課(保谷東分庁舎)です(出典:西東京市「マンションの管理計画認定制度」、最終更新日 令和8年9月4日)。

認定を受けるには、管理規約や長期修繕計画などが基準を満たす必要があります。大規模修繕の計画を見直す機会に、認定の取得も同時に検討することをお勧めします。

まとめ+今週動くこと3点

西東京市の漏水・防災対策は、「排水」「設備の設置階」「耐震と防水の同時検討」の3点に集約されます。気象庁も、大雨の発生状況や災害の資料を公開しています(出典:気象庁 東京管区気象台「気象災害に関する資料」)。降り方が変わっているのは事実です。

今週、理事会や管理会社へ次の3点をお伝えください。

  1. 屋上ドレンとバルコニー排水溝の目視点検(落ち葉・砂の撤去。専門業者に依頼する場合も、まず状況の写真をお撮りください)
  2. 国土交通省のハザードマップポータルサイトと、西東京市の浸水ハザードマップで、自分の建物の洪水・内水リスクを確認し、受変電設備・給水ポンプの設置階を図面で調べる
  3. 前回の防水工事の時期を確認し、12〜15年を超えていれば、調査のご相談を。あわせて固定資産税減額の期限(令和9年3月31日)から逆算する

10月は台風の影響が続く季節です。まずは理事会で1分だけでも、この話題を出してみてください。

関連して、ビルオーナーさま向けにはビルオーナー向けのサービス、管理組合さま向けには管理組合向けのサービスをご用意しています。個別のご相談はお問合せフォームから承ります。大規模修繕の費用の考え方は明誠の料金の考え方に、明誠のこれまでの施工事例もあわせてご覧いただけます。

よくあるご質問

Q. 西東京市の分譲マンションで、洪水の心配はありますか?

A. 市の浸水ハザードマップ(令和8年3月改訂)は、石神井川・白子川流域などの外水氾濫と、下水道の内水氾濫の両方を表示しています。想定は1時間153mm・総雨量690mmの最大規模降雨です。物件ごとの浸水深は、市の公開図で確認してください。

Q. 内水氾濫とは何ですか?川から遠くても関係ありますか?

A. 大雨で下水道や排水路の処理能力を超え、道路や敷地に水があふれる現象です。川から離れていても起こり得ます。建物側の排水口の詰まりを防ぐことが、まず有効です。

Q. 緊急の漏水は、足場なしで対応できますか?

A. 原因箇所の特定と応急処置であれば、ロープアクセス工法で足場なしの短期対応が可能なケースが多いです。ただし原因や規模により異なりますので、まず現地調査をお勧めします。

Q. 屋上防水のやり直しはいくらかかりますか?

A. 工法により5,000〜8,000円/㎡程度が目安ですが、既存防水の状態や面積で変動します。無料で概算お見積りを提示しますので、ご相談ください。

Q. 大規模修繕の工期はどれくらいですか?

A. ロープアクセス工法は、足場工法の約60%の工期が目安です。10階建て・外周80mの例では、足場3か月に対し1.5〜2か月です。

Q. 固定資産税の減額制度は、どのマンションでも使えますか?

A. 新築から20年以上、10戸以上が要件で、工事完了は令和9年3月31日までです。申告は完了から3か月以内です。細かな要件は市の公式ページをご確認ください。

Q. 耐震化の助成は、どんなマンションが対象ですか?

A. 昭和56年6月1日より前の建築で、耐火・準耐火構造の3階以上、Is値0.6未満の建物が対象です。診断・設計は費用の3分の2(上限200万円)です。


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月2日時点で公表されている西東京市および国土交通省・東京都・気象庁の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、西東京市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

出典・参考資料

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月2日


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