本間社長ブログ
さいたま市南区のマンション漏水・防災対策|荒川・芝川・鴨川の洪水と令和8年4月公開の新内水ハザードマップから考える大規模修繕の優先順位【2026年度版】
目次

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著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
2026年10月19日 更新
さいたま市南区で分譲マンションやビルをお持ちの方に、まず確認していただきたい資料があります。さいたま市が令和8年4月23日に公開した「内水ハザードマップ」です。時間最大153mm、総雨量249mmの雨が市全域に降った場合を想定して作られ、「南区_内水ハザードマップ」として情報面と地図面の2種類のPDFが用意されています(出典:さいたま市 内水ハザードマップについて)。
私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。拠点は東京都東大和市ですが、埼玉県内のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕も手がけています。20年以上、外壁と防水の現場に立ってきました。仮設足場を組む工事も、メインロープとバックアップロープの2本に接続して壁面に降りる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。
南区は、さいたま市の最南端で、戸田市と蕨市に接する区です。JR埼京線・京浜東北線・武蔵野線が通り、武蔵浦和駅や南浦和駅の周辺にはマンションが集まっています(出典:さいたま市 区の概要(南区))。管理組合の理事長さまやビルオーナーさまにとって、水害と漏水は他人事ではない区だと私は考えています。
今日は、さいたま市・気象庁・国土交通省の公式情報をもとに、南区の分譲・賃貸マンション、そしてオーナーさまのビルやホテルが、大規模修繕で先に手を打つべき漏水・防災の場所を整理します。
なお、この記事では、さいたま市の公式ページで南区に該当すると確認できた内容だけを書きます。広域の資料に出てくる河川を、南区のものとして並べることはしません。
結論:南区で優先すべきは「屋上・バルコニーの排水」「内水を前提にした低層階と設備」「洪水ハザードマップで確認する電気設備の位置」です
先に結論を申し上げます。南区のマンションでは、次の3つから動くことをお勧めします。
- 屋上ドレン・バルコニー排水・サッシまわりのシーリングを点検し、防水の改修時期を記録で確認する:時間50mmを超える雨では、排水が追いつかずに水が壁や窓を伝う漏水が起こります
- 内水ハザードマップ(南区版)で、敷地と半地下・地下の駐車場、1階の電気室の位置を確認する:市も、想定区域外でも状況によっては浸水すると注意を呼びかけています
- 洪水ハザードマップで、荒川・入間川版を含む3つの図を見て、受電設備と給水ポンプの高さを確認する:南区はこの3つの図の対象に含まれます
この3つは、どれも大規模修繕の計画に組み込めます。後回しにすると、台風の直前に慌てて動くことになります。
南区のハザードマップを1枚で読む
さいたま市の公式ページで、南区に関係するハザードマップは次のとおりです。
| 種類 | 南区の該当 | 確認先 |
|---|---|---|
| 内水ハザードマップ | 南区版あり(情報面・地図面の2種類) | 内水ハザードマップについて |
| 洪水ハザードマップ | 南区専用の版はなく、3つの図の対象に含まれる | 洪水ハザードマップについて |
| 浸水履歴マップ | 南区のPDFあり | 浸水履歴マップ |
| 地震防災マップ | 市全域の揺れやすさ等を掲載 | 地震防災マップ |
内水ハザードマップは、令和8年4月に新しくなりました
令和8年4月23日公開のマップは、市全域に時間最大153mm、総雨量249mmの雨が降り、放流先の河川の水位が高い場合を想定しています。基になった「雨水出水浸水想定区域図」は、令和8年3月31日に指定されています。地図面は、浸水深0.1m以上10.0m未満を6段階で色分けしています。
大切なのは、このマップが水防法施行規則の規定に基づくものになった点です。市の説明では、宅地建物取引業者は重要事項として説明する必要があるとされています。令和3年4月版は、同規定に基づかないものでした。マンションの売買や賃貸の場面で、内水の浸水想定が説明される時代になったということです。管理組合としても、自分の建物がどう見えているかを先に知っておく価値があります。
ただし、市は「一級河川の外水氾濫(洪水)は考慮されていない」「市民からの浸水通報は考慮されていない」とも注意しています。内水マップだけで安心せず、洪水ハザードマップと浸水履歴マップを合わせて見てください。
洪水ハザードマップは、3つの図を見ます
さいたま市の洪水ハザードマップは河川ごとに分かれていて、南区専用の版はありません。市の説明では、南区は次の3つの図の対象に含まれています。
- 荒川・入間川版(国管理):想定降雨は72時間総雨量で、荒川流域632mm、入間川流域740mm。全区が対象です
- 芝川・笹目川など版(埼玉県管理):想定降雨は、芝川流域で2日間839mm、笹目川流域で24時間690mm
- 鴨川・鴻沼川・新河岸川など版(埼玉県管理):想定降雨は、鴨川流域で24時間674mm、新河岸川流域で2日間746mm
ここで私が気をつけているのは、河川名の扱いです。これらの図は市全体を対象にした分類で、図に載る河川がすべて南区を流れているわけではありません。南区の浸水深や浸水継続時間は、市の「防災まちづくり情報マップ」で住所から検索できます。建物ごとの数字は、こちらで確認してください。
南区役所のページでは、荒川・入間川版について、荒川の氾濫時は浸水想定区域の外へ避難するのが基本とされています。区の概要資料でも、南区は洪水のリスクが高い区として、迅速な情報伝達と避難の体制づくりが課題に挙げられています(出典:さいたま市 南区役所 洪水ハザードマップ、区の概要(南区))。
過去の浸水は「浸水履歴マップ」で見られます
浸水履歴マップは、平成25年4月から令和4年12月までの被害を、50メートル四方のマス目で示したものです。赤が床上浸水、青が床下浸水、黄が道路冠水を表します。市民などからの報告に基づくので、すべての被害を網羅してはいません。南区のPDFも公開されています。
私はお客さまの物件を見に行く前に、この種の履歴を確認するようにしています。ハザードマップは「これから起こりうる」図、履歴は「実際に起きた」図です。両方を重ねると、その土地の癖が見えてきます。
地域特性と漏水事故の関係
駅前の高層・中高層マンション:屋上とバルコニーに雨が集中します
武蔵浦和駅のような再開発エリアには、屋上面積の大きな中高層マンションが多くあります。区の概要資料でも、都市型住宅と商業・業務の集積を目指す大規模な再開発が進んでいるとされています。
屋上が広いと、集まる雨水の量も大きくなります。気象庁の表では、1時間に50mm以上80mm未満の雨を「非常に激しい雨」、80mm以上を「猛烈な雨」としています(出典:気象庁 雨の強さと降り方)。内水ハザードマップが想定する時間153mmは、その「猛烈な雨」のさらに上です。極端な想定ですが、排水設備の弱い建物は、50mm台の雨でも先に音を上げます。
私が現場で一番よく見るのは、屋上ドレンの落ち葉詰まりです。立上りの内側に水が溜まり、そこから笠木の継ぎ目や外壁のクラックへ回って、最上階の天井に染みが出ます。
築30年前後の中規模マンション:シーリングの切れが入口になります
築年数が進んだ建物では、サッシまわりやエキスパンションジョイントのシーリングが硬化して切れます。横殴りの雨のとき、切れた隙間から水が入ります。外壁タイルの浮きから入る水と合わせて、「どこから入っているのか分からない漏水」になりがちです。
地下・半地下の駐車場と電気室:内水の影響を受けやすい場所です
内水氾濫は、雨水が排水しきれずに道路や敷地にあふれる現象です。川から離れていても起こります。地下や半地下の駐車場、1階の電気室、機械室は、敷地より低い位置にあるほど水が流れ込みます。国土交通省と経済産業省は、建築物の電気設備の浸水対策ガイドラインで、受変電設備などの配置の考え方を示しています(出典:建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(概要))。
大規模修繕で必ずチェックすべき漏水ポイント7つ
私が点検に入るとき、いつも見ている順番です。
- 屋上防水:膨れ、破れ、端部の剥がれ。防水層の改修時期を、施工記録で確認します
- シーリング:サッシまわり、パネル目地、手すりの根元。指で押して弾力が残っているかを見ます
- バルコニー排水:ドレンと排水管の詰まり。居住者さまの置物や落ち葉がよく原因になります
- ドレン(屋上・庇):ストレーナーの状態と、オーバーフロー管の有無
- 立上り:防水層の端部、笠木との取り合い。ここが一番水を拾います
- サッシまわり:枠と外壁の取り合いのシーリング、水切りの勾配
- エキスパンションジョイント:建物同士の継ぎ目。動きが大きく、劣化も早い場所です
費用の目安をお伝えしておきます。物件の規模や下地の状態で大きく変わりますが、足場を組む工事では、足場の仮設費用が総額の2〜3割を占めることがあります。屋上防水やシーリングの部分補修は、無足場のロープアクセスなら、足場費用をかけずに実施できる場合があります。具体的な金額は、現地調査のうえ、見積書で内訳を確認してください。
漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由
台風の後に「最上階の天井から水が落ちている」と連絡をいただくことがあります。足場を組むには、手配と申請で数日から数週間かかります。その間、雨はまた降ります。
ロープアクセスは、産業用ロープで壁面に降りる工法です。足場を組む時間がないため、原因箇所の特定と応急処置を、早い段階で始められます。シーリングの打ち替え、ひび割れの補修、ドレンまわりの応急防水といった作業が中心です。
私たち明誠は、ロープアクセス工事のフランチャイズ本部として、全国の加盟店と安全基準を共有しています。工法の技術的な詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムでも解説しています。また、ロープアクセス工法のご紹介もあわせてご覧ください。漏水の原因調査については、漏水・雨漏りのご案内にまとめています。
建物が大きく、全体の修繕が必要な場合は、足場とロープアクセスを部位ごとに使い分けるハイブリッド工法も選べます。大切なのは、工法ありきではなく、建物にとってどれが最適かを、3つの中から比べて決めることです。
防災上の共用部の位置と修繕優先度
漏水の修繕と同じくらい、防災上の共用部の見直しは大切です。私は次の順で確認をお勧めしています。
| 共用部 | 確認すること | 優先度 |
|---|---|---|
| 受変電設備・電気室 | 内水・洪水の浸水想定より高い位置にあるか | 高 |
| 給水ポンプ・受水槽 | 浸水時に停止しないか、予備の確保 | 高 |
| 自家発電設備 | 設置階と燃料の保管場所、稼働時間 | 高 |
| エレベーター | 浸水時の停止階・復旧の手順 | 中 |
| 避難通路・非常階段 | 雨で滑りやすくないか、物が置かれていないか | 中 |
| 地下・半地下の駐車場 | 止水板や土のうの備え、車の避難ルール | 中 |
土のうは、南区では南部建設事務所に連絡する案内があります(市の内水ハザードマップのQ&Aに記載、電話番号は市のページでご確認ください)。止水板などの備えは、台風シーズン前に動作を試しておいてください。
さいたま市で使えるマンション支援の制度(令和8年度)
さいたま市のマンション管理支援のページ(2026年9月24日更新)には、次の制度が載っています(出典:さいたま市 マンション管理支援)。
- マンション管理相談:無料・予約制。南区役所では毎月第3火曜日に開催されます。申込は開催の5営業日前までです
- マンション大規模修繕相談:無料・予約制。浦和区役所で第4木曜日に開催されます
- ライフサイクルシミュレーション相談:住宅金融支援機構と連携した、長期修繕計画づくりの無料支援。令和8年度の申込を受け付けています
- 分譲マンションアドバイザー派遣制度:マンション管理士を派遣する制度。令和8年度の申込を受け付けています。費用は、市のページに記載がありません
窓口は住宅政策課(電話048-829-1518)です。市は、特定の業者の紹介や推薦は行っていないと明記しています。
耐震については、令和8年度の埼玉県の補助一覧で、さいたま市の窓口は建築総務課 企画係(電話048-829-1539)とされています(出典:埼玉県 令和8年度 耐震診断補助一覧)。マンションを対象にした補助の金額や受付期間は、私が確認した範囲では読み取れませんでした。ご検討の際は、窓口で直接ご確認ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 南区のマンションは、内水ハザードマップの想定区域外なら安心ですか?
いいえ。市自身が、想定区域外でも状況によっては浸水する可能性があると注意しています。20cm未満の浸水は図に表示されない点にも、ご注意ください。
Q2. 洪水ハザードマップは、どれを見ればよいですか?
市の説明では、南区は荒川・入間川版、芝川・笹目川など版、鴨川・鴻沼川・新河岸川など版の対象に含まれます。建物ごとの浸水深は、防災まちづくり情報マップで住所から検索してください。
Q3. 内水マップが新しくなって、何が変わりましたか?
令和8年4月23日公開版は、水防法施行規則の規定に基づくもので、宅地建物取引業者の重要事項説明の対象になります。令和3年4月版は、その規定に基づかないものでした。
Q4. 屋上防水の改修時期は、何年ごとですか?
建物の仕様や劣化状況で異なります。私は、築10年を過ぎたら一度点検を入れ、結果を記録に残すようお勧めしています。年数だけで決めず、現地の状態で判断してください。
Q5. 漏水の緊急対応は、足場なしでできますか?
原因箇所によります。外壁面や最上階まわりのシーリング、ひび割れ、ドレンまわりの応急処置は、ロープアクセスで対応できることが多くあります。屋内側の原因なら、足場も不要です。まず現地調査をさせてください。
Q6. 修繕積立金が足りない場合はどうすればよいですか?
優先順位をつけて、漏水の入口になる部位から先に直す方法があります。さいたま市の大規模修繕相談や、ライフサイクルシミュレーション相談も、無料で使えます。
まとめと今週動くこと3点
南区は、荒川・入間川版を含む3つの洪水の図と、令和8年4月に新しくなった内水ハザードマップの両方を見る必要がある区です。そこにマンションが集まっていることを考えると、漏水と防災の備えは、大規模修繕の計画に最初から組み込むべきだと私は思います。
今週、理事会や管理会社さまと次の3点に動いてみてください。
- 内水ハザードマップ(南区版)と防災まちづくり情報マップで、建物の住所の浸水深を確認する
- 屋上ドレンとバルコニー排水の詰まりを、台風シーズンが終わる前に清掃する
- 受変電設備・給水ポンプ・自家発電の設置位置を、図面で確認して一覧にする
私はいつも理事長さまに、「雨が降る前の1時間が、降った後の100時間に勝ちます」とお伝えしています。無足場での漏水補修の実例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムの解説記事でもご覧いただけます。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。管理組合さまは管理組合向けのご案内、ビルオーナーさまはビルオーナー向けのご案内をご覧のうえ、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月19日時点で公表されているさいたま市および国土交通省・気象庁・埼玉県の公式情報をもとに執筆しています。制度やハザードマップは更新されることがあります。実際に判断される前に、さいたま市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。
次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- さいたま市「内水ハザードマップについて」(令和8年4月23日公開)
- さいたま市「洪水ハザードマップについて」(令和7年2月25日更新)
- さいたま市「ハザードマップ一覧」
- さいたま市「浸水履歴マップ」
- さいたま市南区役所「洪水ハザードマップ(荒川・入間川版)」
- さいたま市「区の概要(南区)」
- さいたま市「地震防災マップ」(令和8年4月1日更新)
- さいたま市「マンション管理支援」(令和8年9月24日更新)
- 埼玉県「令和8年度 耐震診断補助一覧」
- 気象庁「雨の強さと降り方」「キキクル(危険度分布)」
- 国土交通省・経済産業省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(概要)」
- 国土地理院「重ねるハザードマップ」
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月19日
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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
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