本間社長ブログ
大規模修繕談合で国交省の検討会が初会合|年度末に対策取りまとめへ、2027年4月には設計契約の書面化も。首都圏の管理組合が今から整えたい7つの書類【2026年10月】
目次
- この記事で分かること
- 1. ニュースの要点:10月19日の初会合で何が話されたのか
- 2. もう1つのニュース:2027年4月、設計・監理の契約は「全件書面」へ
- 3. なぜ「書類」がいちばんの自衛策になるのか
- 4. 首都圏の管理組合が今から整えたい「7つの書類」
- 5. 見積りを比べる「ものさし」を増やす:金額の目安
- 6. 東京・神奈川・埼玉・千葉の管理組合が使える相談窓口
- 7. すでに契約済み・工事済みの管理組合は何を確認すべきか
- 8. 賃貸マンション・ビル・ホテルのオーナーにとっての意味
- 9. 明誠が大切にしている「見える発注」
- 10. 検討会の動きをどう追いかけるか
- よくあるご質問
- この記事のポイントまとめ
- 出典・参考資料

-
著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
この記事で分かること
「談合のニュースは見た。でも、うちの理事会は結局、何を変えればいいのか」——。東京や神奈川、埼玉、千葉の管理組合の理事長さまから、この1か月でいちばん多くいただいたご相談がこれです。
その答えの方向性が、少しずつ見えてきました。国土交通省は2026年10月19日、「マンション大規模修繕工事の発注等の適正化に関する検討会」の第1回を開きました(出典:国土交通省 報道発表「マンション大規模修繕工事の発注等の適正化に関する検討会」の設置・開催について(令和8年9月29日))。報道によれば、年度末に対策を取りまとめる方針が確認され、委員からは「管理組合が主体的に発注できるよう、修繕工事に必要な情報を提供する環境整備が必要」との意見が出たとされています(出典:テレビ朝日系(ANN)/KSB 2026年10月19日)。
同じ時期に、もう1つ見逃せない動きがあります。改正建築士法の一部が令和9年(2027年)4月1日に施行され、建築士が行うすべての設計受託契約・工事監理受託契約で書面による契約が義務になり、契約時の見積書作成が努力義務になります(出典:国土交通省 報道発表「改正建築士法の施行に伴う関係政令を閣議決定」(令和8年10月6日))。
この記事が答える質問は、次の1つです。
Q. 検討会の結論を待つ間に、首都圏の管理組合やマンションオーナーは何を準備しておけばよいのか。
結論を先にお伝えします。
- 国の対策は年度末(2027年3月ごろ)の取りまとめ(報道により「中間とりまとめ」とも)が目標で、それまでの約5か月は「各管理組合の自衛」が中心になります。 検討会の配布資料は、国交省の検討会ページに後日掲載される予定です。
- 2027年4月からは、建築士が受ける設計・工事監理の契約は規模にかかわらず書面化が義務になります。 ただし、大規模修繕の設計コンサル業務のどこまでが対象になるかは、業務内容によって整理が必要です。法の適用を待たずに、同じ水準の書面を求めておくのが現実的です。
- 私がおすすめしたいのは「7つの書類」を理事会の手元にそろえることです。 契約書・業務範囲表・見積書(報酬の根拠)・利害関係の申告書・選定経過の記録・工事内訳の比較表・工事監理の記録です。
- 工法の違う見積りを1〜2社入れると、見積りを比べる「ものさし」が増えます。 足場の費用が工事費全体に占める割合を知るだけでも、内訳の見え方が変わります。
1. ニュースの要点:10月19日の初会合で何が話されたのか
まず、事実関係を整理します。
| 項目 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 会議名 | マンション大規模修繕工事の発注等の適正化に関する検討会 | 国交省 報道発表(令和8年9月29日) |
| 第1回の日時 | 令和8年10月19日(月)15:00〜17:00(オンライン併用) | 同上 |
| 目的 | 管理組合が留意すべき事項や、適切な事業者の確保に向けた方策等を議論 | 同上 |
| 公開方法 | 非公開(報道関係者は冒頭のみ傍聴可)。資料と議事要旨は後日HPに掲載予定 | 同上 |
| 座長 | 神戸芸術工科大学の松村秀一学長(報道) | 日本経済新聞 |
| 今後 | 年度末に対策を取りまとめる方針(報道) | 共同通信、ANN |
検討会の冒頭、国交省の佐々木俊一住宅局長は「本検討会では管理組合が安心して発注するために必要な情報や方策について、ご議論いただきたい」と述べたと報じられています(出典:ANN/KSB)。
もう1つ、管理組合にとって重い話も伝えられました。国交省によれば、実施した大規模修繕工事が談合のもとで行われていたと分かった管理組合から、工事業者への損害賠償請求について相談が寄せられているということです(同上)。
取りまとめの時期は、報道によって表現が少し異なります。共同通信やANNは「年度末」、テレ東BIZは「2027年3月ごろに中間とりまとめ」と伝えています(出典:テレ東BIZ)。正式な位置づけは、国交省の検討会ページに掲載される資料で確認するのが確実です。本記事の公開時点では「配布資料等は、検討会終了後に掲載予定」と記載されています。
背景にある談合事件については、以前の記事で詳しく書きました。公正取引委員会は2026年9月28日、関東地区のマンション管理組合が設計コンサル業者に委託して発注する大規模修繕工事をめぐり、排除措置命令と課徴金納付命令を出しています(出典:公正取引委員会 報道発表(令和8年9月28日))。報道では、東京都と関東6県の工事171件が対象とされています。
2. もう1つのニュース:2027年4月、設計・監理の契約は「全件書面」へ
談合の話と同じくらい、私が理事会でお伝えしたいのがこちらです。
国交省は2026年10月6日、改正建築士法(令和8年法律第74号)の一部の施行期日を定める政令などを閣議決定しました。政令は10月9日に公布され、令和9年4月1日から施行されます(出典:国土交通省 報道発表(令和8年10月6日))。
| 項目 | 現行 | 2027年4月1日以降 |
|---|---|---|
| 書面での契約締結 | 延べ面積300㎡超の新築などの設計・工事監理契約が対象 | 建築士が行うすべての設計受託契約・工事監理受託契約が対象 |
| 見積書の作成 | 見積書作成に関する規定なし | 契約締結にあたって見積書を作成する努力義務 |
| 目的 | — | 将来の建築士等の確保と、契約の適正化 |
業界紙も「契約書の相互交付義務の対象範囲の拡大」と「見積書の作成などについての努力義務」の2点が柱だと伝えています(出典:住宅産業新聞 2026年10月19日)。
管理組合にとっての意味
正直に申し上げます。この改正が、マンションの大規模修繕で使われる「設計監理方式」の設計コンサル業務すべてに、そのまま当てはまるとは限りません。調査診断や修繕設計、工事監理など、業務の中身によって法律上の位置づけが変わりうるためです。どこまでが対象になるかは、国交省の今後の解説や、建築士事務所の団体からの案内を確認する必要があります。
それでも、国が「設計や監理を頼むなら、書面で契約し、報酬の根拠を見積書で示すのが当たり前」という方向を、法律ではっきり示したことには大きな意味があります。法律の適用を待つ必要はありません。管理組合は、今から同じ水準の書面を求めて差し支えないのです。
3. なぜ「書類」がいちばんの自衛策になるのか
私は20年以上、マンションやビル、ホテルの大規模修繕の現場に立ってきました。そのなかで、トラブルになった管理組合さまにはある共通点がありました。「あとから確かめる材料が、手元に残っていない」ことです。
国交省は2018年に、直近3年間の大規模修繕工事944事例を分析した実態調査を公表しています。そのなかで、管理組合が事前に検討したほうがよいポイントとして、次の3点を挙げています(出典:国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査を初めて実施」(平成30年5月11日))。
- 工事内訳に、過剰な工事項目・仕様の設定がないか
- 戸あたり・床面積あたりの工事金額が割高になっていないか
- 設計コンサルタントの業務量(人・時間)が著しく低く抑えられていないか。特に、業務量の多くを占める工事監理の業務量が低すぎないか
8年前の資料ですが、今回の談合事件を読むと、指摘の中身はそのまま通用すると私は感じています。そして、この3点はどれも書類がなければ確かめられません。
現場の感覚でいうと、「格安のコンサル料」には注意が必要です。国交省の同じ資料には、利益相反の例として「格安のコンサルタント料金で受託し、結果として管理組合に経済的な損失を及ぼす事態」が挙げられています。安さそのものが悪いのではありません。安い理由が書類で説明できるかどうかが分かれ目です。
4. 首都圏の管理組合が今から整えたい「7つの書類」
ここからが本題です。検討会の結論を待たずに、理事会の手元にそろえておきたい書類を7つにまとめました。
| No. | 書類 | 確認のポイント | 誰に求めるか |
|---|---|---|---|
| 1 | 設計・監理の業務委託契約書 | 業務の範囲、期間、報酬、成果物、解約条件が書かれているか | 設計コンサル |
| 2 | 業務範囲表(業務内容の一覧) | 調査診断・修繕設計・施工者選定支援・工事監理のどこまでを頼むのか | 設計コンサル |
| 3 | 見積書(報酬の算定根拠) | 業務ごとの人数・日数(人工)が示されているか。工事監理の日数が極端に少なくないか | 設計コンサル |
| 4 | 利害関係・金銭授受の申告書 | 施工業者との資本・取引・紹介関係、紹介料などの有無 | 設計コンサル・管理会社・施工業者 |
| 5 | 施工業者の選定経過の記録 | 公募条件、応募社数、辞退理由、評価の基準と点数、決定理由 | 理事会・修繕委員会 |
| 6 | 工事内訳の比較表 | 項目・数量・単価を横並びにし、仕様の違いを質問と回答で残す | 理事会(コンサル作成でも原本を保管) |
| 7 | 工事監理の記録 | 検査の日時・立会者・指摘事項・是正結果、写真 | 設計コンサル・施工業者 |
書類1〜3:契約書・業務範囲表・見積書は「セット」で受け取る
2027年4月からの書面化と見積書の努力義務を先取りする形です。私がとくに見てほしいのは、見積書の「工事監理」の行です。
たとえば工期が5〜6か月ある工事で、監理の日数が月に数日しか見込まれていなければ、誰がいつ品質を確かめるのかを質問してください。答えを書面でもらうだけで、業務の実態がかなり見えてきます。
書類4:利害関係の申告は「全員から」もらう
公取委は、施工業者がコンサルタントに支払う手数料等(いわゆる紹介料)について、業界団体に会員への周知を求めたと発表しています(出典:公正取引委員会 報道発表(令和8年9月28日))。設計コンサルだけでなく、管理会社や施工業者にも同じ書式で「関係がない」「あるなら内容」を書いてもらうと、公平感が保てます。私ども明誠も、ご依頼があれば喜んで提出します。
書類5:選定経過は「理事会の議事録」に残す
公募に何社が応じ、何社が辞退し、なぜその会社に決まったのか。これを理事会や修繕委員会の議事録に残しておくと、総会で区分所有者さまに説明するときの根拠になります。辞退理由を聞いておくことも、意外と大切です。
書類6:工事内訳の比較表は、理事会が原本を持つ
比較表を設計コンサルが作るのは自然なことです。ただし、元の見積書と比較表の原本は管理組合が保管してください。あとから第三者に見てもらうとき、元データがないと何も検証できません。
書類7:工事監理の記録は、竣工後も保管する
検査記録や写真は、次の大規模修繕や、万一の不具合のときにいちばん役に立ちます。私の経験上、12〜15年後の次回工事で「前回の下地補修の数量と位置」が分かると、調査の精度がぐっと上がります。
5. 見積りを比べる「ものさし」を増やす:金額の目安
書類がそろったら、次は中身を比べます。ここでは、私が現場で使っている金額の目安をお示しします。物件の規模や状態、時期によって大きく変わりますので、あくまで参考値としてご覧ください。
| 項目 | 目安(参考値) | 備考 |
|---|---|---|
| 30戸規模のマンション大規模修繕の総工費 | 3,500万〜5,000万円程度 | 仕様・劣化状況で大きく変動 |
| うち仮設足場の割合 | 15〜25%程度 | 建物形状・高さで変動 |
| 外壁塗装 | 3,500〜4,500円/㎡ | 下地補修は別途の場合あり |
| 外壁打診調査 | 250〜500円/㎡ | 調査方法・範囲で変動 |
| 防水(屋上・バルコニー等) | 5,000〜8,000円/㎡ | 工法・既存防水の状態で変動 |
経済調査会の「マンション修繕費指数2026」でも、修繕費は1戸あたり約156万円と過去最高の水準で、仮設費の上昇が目立つと報告されています(出典:一般財団法人 経済調査会「マンション修繕費指数」2026年版)。足場の費用が大きくなっている今は、「足場を立てる前提が本当に必要か」を見積りの段階で一度問い直す価値があります。
工法の違う案を1〜2社入れる
すべての会社が同じ工法・同じ仕様で見積りを出すと、比べられるのは合計金額の並びだけになります。そこで、あえて工法の違う案を混ぜる方法があります。
たとえば、10階建て・外周80m・工期3か月の外壁補修を想定した試算では、足場の費用が約168万円、ロープアクセス工法なら約59万円で、差額は約109万円という例があります(明誠の試算例。建物条件で大きく変わります)。こうした比較が1つあるだけで、他社の見積りの仮設費の妥当性について質問しやすくなります。
ロープアクセス工法は、屋上などに設けた吊元から、メインロープとバックアップロープの2本に接続して作業員が外壁に降り、補修・塗装・調査を行う工法です。2点以上の吊元を確保する二重の安全対策が業界の基本です。技術的な詳細は、姉妹サイトのロープアクセスドットコム(無足場工法の専門メディア)で詳しく解説しています。
もちろん、すべての建物にロープアクセスが向いているわけではありません。形状が複雑な中低層の建物では、足場のほうが合理的なこともあります。明誠では、通常足場・ロープアクセス・その2つを部位ごとに組み合わせるハイブリッド工法の3つから比較してご提案しています。工法の考え方は明誠のロープアクセス工法の技術紹介と、明誠が提供する価値と大規模修繕の考え方のページでもご紹介しています。
6. 東京・神奈川・埼玉・千葉の管理組合が使える相談窓口
「書類を集めたけれど、読み解けない」というときは、公的な相談窓口が使えます。国交省は談合事件を受けて、2つの窓口を改めて周知しています(出典:国土交通省「マンション大規模修繕工事の発注等に関する相談窓口の周知等について」)。
| 窓口 | 電話 | 受付時間 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| (公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住まいるダイヤル」 | 0570-016-100(PHS・一部IP電話は03-3556-5147) | 月〜金 10:00〜17:00(祝日・年末年始を除く) | 発注等の相談。見積費用については無料の「見積チェックサービス」もあり |
| (公財)マンション管理センター | 03-3222-1519 | 月〜金 9:30〜17:00(祝日・年末年始を除く) | 建物・設備の維持管理等の相談 |
どちらも、マンション管理士や建築士などがアドバイスを行う窓口です。見積りが届いてから慌てるより、見積りを取る前に電話しておくほうが、理事会の負担は軽くなると私は思います。
7. すでに契約済み・工事済みの管理組合は何を確認すべきか
「うちはもう契約してしまった」「数年前に工事が終わった」という管理組合さまもいらっしゃるでしょう。その場合は、次の順番で確認するのが現実的です。
- 契約書・見積書・議事録が手元に残っているかを確かめる。 管理会社が保管している場合は、写しを管理組合でも持っておきます。
- 設計コンサルと施工業者の会社名を、公取委の公表資料と照らし合わせる。 公表資料は公正取引委員会の報道発表ページから確認できます。
- 該当する可能性があれば、弁護士に相談する。 損害賠償を請求できるかどうか、いくらになるかは個別の判断になります。
報道によれば、すでに国交省には管理組合から損害賠償請求の相談が寄せられています。私は建設の現場の人間で、法律の専門家ではありません。請求の可否や時効などについての判断は、弁護士にご確認ください。
工事中の管理組合さまは、書類7の「工事監理の記録」を今から意識してください。検査の立会いに理事や修繕委員が1人でも加わると、記録の質が変わります。
8. 賃貸マンション・ビル・ホテルのオーナーにとっての意味
今回の検討会は分譲マンションの管理組合が主な対象ですが、収益物件のオーナーさまにも関係があります。
1つめは、2027年4月の建築士法の改正は、分譲・賃貸を問いません。賃貸マンションやテナントビルの改修で建築士事務所に設計・監理を頼む場合も、書面契約と見積書の流れが標準になっていきます。
2つめは、発注の透明性は、融資や売却のときの評価にも響くことです。修繕の履歴、契約書、検査記録がそろっている建物は、金融機関や買い手に説明しやすくなります。資産価値を保つという意味で、書類はオーナーさまの資産の一部です。
一棟マンションのオーナーさま向けのご提案は収益不動産オーナーさま向けページ、テナントビルはビルオーナーさま向けの大規模修繕、ホテルはホテル向けの改修工事のご案内でご紹介しています。管理組合さまは管理組合さま向けの大規模修繕のご案内をご覧ください。
9. 明誠が大切にしている「見える発注」
最後に、私ども明誠の考え方を少しだけお話しさせてください。
明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ロープアクセス工法での高所作業では、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを続けています(2026年10月時点・明誠調べ)。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受け、品質面ではISO9001の品質マネジメントシステムを運用しています。
そのうえで、私が若い職人にいつも話しているのは「お客さまがあとから確かめられる形で仕事を残せ」ということです。見積りの内訳、工法を選んだ理由、検査の写真。どれも、管理組合さまが次の理事会、次の総会、次の大規模修繕で使える材料になります。
明誠は日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の専門職と組んで施工しています。業者間の連携の仕組みや、同業の方向けの技術情報は姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。これまでの工事の様子は明誠の施工事例からご覧いただけます。
10. 検討会の動きをどう追いかけるか
検討会は、報道によれば今後2回ほど開かれ、年度末に対応策を取りまとめる予定です。理事会としては、次の3つを押さえておけば十分です。
- 国交省の検討会ページを、月に1回のぞく。 第1回の配布資料と議事要旨は、後日ここに掲載される予定です。
- 改正建築士法の解説資料が出たら、設計コンサルとの契約書の書式と見比べる。 2027年4月1日の施行前後で書式が変わる可能性があります。
- 2027年春以降に大規模修繕を予定している管理組合は、取りまとめの内容を発注手続きに反映できるか、今からスケジュールを確認する。
私も新しい資料が出たら、このブログで現場目線の読み解きをお届けするつもりです。
よくあるご質問
Q. 国交省の検討会の結論が出るまで、大規模修繕は延期したほうがいいですか?
A. 一律に延期する必要はないと私は考えます。劣化が進んでいる建物を先送りすると、補修費が増えることがあります。結論を待つより、本記事の「7つの書類」をそろえて透明性を高めながら進めるほうが現実的です。
Q. 2027年4月の改正建築士法で、管理組合に新しい義務が生まれますか?
A. 改正の中心は、建築士事務所側の書面契約の義務と見積書作成の努力義務です。管理組合が発注者として受け取る書類が増えるイメージです。大規模修繕の設計コンサル業務のどこまでが対象かは、業務内容により整理が必要ですので、国交省の解説でご確認ください。
Q. 設計コンサルの報酬が他社より大幅に安いのは問題ですか?
A. 安さだけで問題とは言えません。国交省の実態調査では、工事監理の業務量が低すぎないかを事前に確認するよう示されています。見積書で人数と日数の根拠を説明してもらい、納得できるかで判断するのがよいと思います。
Q. 見積りが適正かどうか、無料で見てもらえるところはありますか?
A. 住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住まいるダイヤル」(0570-016-100、PHS・一部IP電話は03-3556-5147)で発注等の相談ができ、見積費用については無料の見積チェックサービスもあります。マンション管理センター(03-3222-1519)でも維持管理の相談ができます。
Q. ロープアクセス工法にすると、どれくらい費用が変わりますか?
A. 建物の高さや形状、工事範囲によって大きく変わります。試算例では、10階建て・外周80mの外壁補修で足場約168万円に対しロープアクセス約59万円という比較があります。すべての工事が置き換えられるわけではないため、現地調査のうえで比較をご提案します。
Q. 東京都以外の首都圏でも相談できますか?
A. はい。明誠は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県を中心に、関東一円と山梨県東部・静岡県東部で施工しています。現地調査と概算のお見積りは無料で承っています。
Q. すでに工事が終わった管理組合ですが、談合の対象だったかどうか調べられますか?
A. 公正取引委員会の公表資料に、命令の対象となった事業者が記載されています。契約書に記載された設計コンサルと施工業者の社名を照らし合わせてください。該当の可能性がある場合の対応は、弁護士にご相談ください。
この記事のポイントまとめ
- 国交省の「マンション大規模修繕工事の発注等の適正化に関する検討会」が2026年10月19日に初会合。報道では年度末に対策を取りまとめる方針
- 改正建築士法の一部が2027年4月1日に施行され、建築士が行う設計・工事監理の契約は規模にかかわらず書面化が義務、見積書作成は努力義務に
- 管理組合は、契約書・業務範囲表・見積書・利害関係の申告書・選定経過の記録・工事内訳の比較表・工事監理の記録の「7つの書類」を今からそろえる
- 工法の違う見積りを1〜2社入れると、仮設費など内訳を比べる「ものさし」が増える
- 相談は「住まいるダイヤル」(0570-016-100)と「マンション管理センター」(03-3222-1519)へ。損害賠償などの判断は弁護士に
出典・参考資料
- 国土交通省「「マンション大規模修繕工事の発注等の適正化に関する検討会」の設置・開催について」(令和8年9月29日)
- 国土交通省「マンション大規模修繕工事の発注等の適正化に関する検討会」
- 国土交通省「改正建築士法の施行に伴う関係政令を閣議決定」(令和8年10月6日)
- 国土交通省「マンション大規模修繕工事の発注等に関する相談窓口の周知等について」
- 国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査を初めて実施」(平成30年5月11日)
- 公正取引委員会「関東地区所在のマンションの管理組合が設計コンサル業者に委託して発注する大規模修繕工事の施工業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について」(令和8年9月28日)
- テレビ朝日系(ANN)/KSB「マンション修繕談合受け国交省が初会合 被害受けた管理組合による損賠請求の相談も」(2026年10月19日)
- テレ東BIZ「修繕談合で有識者ら初会合 国交省 対策とりまとめへ」
- 日本経済新聞「マンション修繕工事、適正発注へ有識者会議 談合受け国交省が設置へ」
- 住宅産業新聞「国土交通省、2027年4月に改正建築士法施行=全ての設計受託契約で書面契約義務化」(2026年10月19日)
- 一般財団法人 経済調査会「「マンション修繕費指数」2026年版」
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談合のニュースが続き、理事会のみなさまが業者を信じにくくなっているのを、私は現場でひしひしと感じています。だからこそ、施工会社の側から「確かめられる書類」を先にお出しするのが、私たちの務めだと思っています。見積りの読み解きや工法の比較だけでも、お問い合わせフォームからお気軽にお声がけください。書類で確かめられる仕事を残すことが、20年現場に立ってきた私の信条です。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月20日
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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
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