
2026年5月、日本デコラックスがメラミン化粧板関連部材を5〜15%以上値上げするという報道がありました。
対象となるのは、不燃メラミン化粧板「パニート」の施工に使用される接着剤や両面テープなどの施工部材で、7月受注分から価格改定が実施されるとのことです。
背景には、中東情勢の緊迫化による原油価格の上昇があります。
一見すると「また資材が少し上がったのか」と思われるかもしれません。
しかし、実際に現場で仕事をしている私たちからすると、これは単なる“値上げニュース”ではありません。
正直に申し上げて、内装工事業界全体にじわじわと深刻な影響が出始めています。
そして今、一番大きな問題は、「今後の見通しが立たない」ということです。
値上げは、もう一度や二度ではない
ここ数年、建設業界はずっと資材高騰に苦しめられてきました。
鉄。
木材。
ボード。
接着剤。
副資材。
塗料。
設備機器。
輸送コスト。
何一つとして安定していません。
以前であれば、ある程度は年間の価格予測ができました。
「今年はこれくらい」
「来期はこの程度」
そうした見通しの中で見積もりを組み、工程を調整し、利益計画を立てることができました。
しかし現在は違います。
数カ月前に出した見積もりが、着工時には成立しないことも珍しくありません。
今回のメラミン化粧板部材の値上げも、その流れの一つです。
しかも問題なのは、「今回だけで終わる保証がない」ということです。
中東情勢、円安、物流費、人件費、エネルギー価格――
どれを見ても、不安定要素ばかりです。
つまり、建設業界は今、“価格が読めない時代”に入っているのです。
内装工事は想像以上に影響を受ける
内装工事というと、「最後の仕上げ」というイメージを持たれることがあります。
しかし実際には、非常に多くの材料と部材が組み合わさって成り立っています。
メラミン化粧板一つ取っても、
- 接着剤
- 下地材
- テープ
- 金物
- 加工費
- 輸送費
- 施工費
さまざまなコストが重なっています。
そして今、それらすべてが上がっています。
特に最近は、副資材の値上がりが深刻です。
以前は「数百円程度」の変動だったものが、今では一気に10%、15%、場合によっては20%以上上がるケースもあります。
しかもメーカー側も、「これ以上は企業努力だけでは吸収できない」という段階に来ています。
これは決して一企業だけの問題ではありません。
業界全体が限界に近づいているのです。
“利益が出ない工事”が増えている現実
今、建設業界で静かに増えているのが、「売上はあるのに利益が残らない工事」です。
資材価格が上がっても、すぐには価格転嫁できない。
契約後に値上がりしても、追加請求が難しい。
結果として、施工会社側が負担を抱え込む。
これは中小企業にとって非常に厳しい問題です。
現場は止められません。
職人さんへの支払いもあります。
工程もあります。
だからこそ、多くの会社が苦しい中でも何とか現場を回しています。
しかし、この状態が長く続けば、体力のある会社しか残れなくなります。
特に内装工事は、元請・下請構造の中で価格交渉力が弱いケースも少なくありません。
「この金額でやってほしい」
「厳しいけどお願いしたい」
そう言われれば、無理をしてでも受けてしまう会社もあります。
ですが、その積み重ねは、最終的に業界全体を疲弊させてしまいます。
一番怖いのは“先が見えない”こと
私たちが今、一番不安に感じているのは、「いつ落ち着くのか分からない」ということです。
例えば、一時的な高騰であれば対応策も考えられます。
しかし現在は、
- 原材料価格
- 世界情勢
- エネルギー価格
- 為替
- 人件費
- 物流
すべてが連動しています。
つまり、一つが落ち着いても別の問題が起きる。
その繰り返しです。
これは現場にとって本当に厳しい。
見積もりが難しい。
長期案件が読めない。
利益計算ができない。
設備投資の判断ができない。
経営として、「未来の数字」が描きにくくなっています。
これは経営者として非常に大きなストレスです。
それでも品質は落とせない
ただ、どれだけ厳しくても、私たちは品質を落とすわけにはいきません。
建設業は、人の暮らしに直結する仕事です。
特に内装は、完成後に毎日目に入る部分です。
見た目。
耐久性。
安全性。
清掃性。
使いやすさ。
どれも妥協はできません。
だからこそ、資材高騰の中でも、現場では必死に品質を守っています。
安い材料に切り替えれば済む話ではありません。
価格だけで選べば、数年後に不具合が出ることもあります。
施工品質が落ちれば、結局困るのはお客様です。
私たちはそこを一番大切にしたいと思っています。
建設業界は今、大きな転換点にいる
ここ数年で、建設業界は大きく変わりました。
「安ければいい」という時代は、もう限界です。
もちろんコスト意識は大切です。
しかし、適正価格でなければ、良い施工は維持できません。
職人不足も深刻です。
若手人材も減っています。
その中で、材料費まで高騰し続ければ、現場はさらに厳しくなります。
これからは、
- 適正価格
- 適正利益
- 適正工期
これらを社会全体で理解していく必要があると思います。
無理な価格競争だけでは、建設業そのものが持続できなくなります。
株式会社明誠として思うこと
私たち株式会社明誠としても、今回の値上げを非常に重く受け止めています。
実際に現場への影響も出始めています。
見積調整。
材料選定。
工程変更。
価格交渉。
これまで以上に慎重な判断が必要になっています。
ただ、その中でも私たちは、
「誠実に説明すること」
を大切にしたいと思っています。
値上げがあるなら正直に伝える。
なぜ必要なのか説明する。
品質を守るためだと理解していただく。
簡単なことではありません。
ですが、こういう時代だからこそ、会社としての姿勢が問われるのだと思います。
最後に
日本デコラックスの値上げ発表は、単なる一商品の価格改定ではありません。
今の建設業界、そして内装工事業界が抱えている厳しい現実を象徴しているように感じます。
そして今後もしばらくは、不安定な状況が続く可能性があります。
正直、明確な見通しは立っていないので不安しかないです。
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