
弊社のお客様は、不動産を複数所有する資産家の方が多く、どういった物件が良いのかホームインスペクションをお願いして頂く場合があります。
そのような中で不動産オーナー様が、物件を選ぶ時にあまり気を使っていない落とし穴の部分が、いくつかあるので御紹介致します。
~落とし穴➁~
【擁壁問題】
2025年9月30日夜、東京都杉並区堀ノ内で、老朽化した擁壁(高さ4〜5m)の崩落により木造住宅が全壊し、隣接マンションへ土砂が流入する事故が発生しましたね。
全国的に老朽擁壁の崩落リスクが懸念されていますが詳細は以下の通りになります。
杉並区擁壁崩壊事故の詳細(2025年)
- 発生と被害: 9月30日夜、杉並区堀ノ内1丁目の住宅地で、擁壁が崩れて住宅が倒壊。がれきが隣接マンションに流入した。幸い人的被害はなかった。
- 原因: 専門家は、老朽化に加え、集中豪雨による水圧や、かさ上げされた盛土の土圧が原因である可能性を指摘。
- 背景と対策: 当該擁壁は、区が1984年以降、約40年間にわたって計11回の指導を行っていたが、抜本的な補強工事が遅れていた。
- 緊急対応: 事故を受け、杉並区は10月2日から緊急点検(24件)を実施。
- 所有者の責任: 擁壁の維持管理は所有者責任が基本であり、今回の事例でも適切な管理が問われている。
この事故は、全国に点在する「旧基準(1981年以前)の擁壁」の危険性を浮き彫りにした。
実は全国にある2m以上の擁壁は200万箇所もあると言われています。
では、こういった物件を購入してしまった場合、どのような対策を講じるべきなのでしょうか。
東京理科大学の教授であり、構造設計の1級建築士でもある高橋 治さんが業界トップの方ですので、是非、動画を見てみて下さい。
では、実際にどのように問題解決をすれば良いのでしょうか。
それは高橋さんが開発をされた「ポリウレア」による補強です。
ポリウレアはとても固くなるので、例えば卵に塗布すると高いところから落としても割れず、発泡スチロールに塗布すると水害の際に避難ボートになります。
人が、こんなに乗っても大丈夫な強度は凄いですよね。
こちらを擁壁に施工をすることで、旧基準の擁壁でも強固な擁壁に生まれ変わります。
擁壁補強におけるポリウレアの適用性とその利点
はじめに
近年、インフラの老朽化や自然災害の多発により、**擁壁(ようへき)**の補修・補強の需要が急速に高まっています。擁壁は斜面の土砂崩れを防ぎ、住宅地や道路の安全を確保する重要な構造物であり、その耐久性や安全性の維持は極めて重要です。
従来の補強工法には、コンクリートの巻き立てや鉄筋挿入、繊維補強材の利用などがありますが、施工期間の長期化やコスト増加といった課題も抱えています。こうした中で注目されているのが、**「ポリウレア樹脂」**による補強工法です。
本稿では、擁壁補強におけるポリウレアの適合性、その特性、利点、施工方法、適用事例、注意点などを包括的に解説します。
ポリウレアとは?
ポリウレア(Polyurea)は、イソシアネート成分とポリアミン成分が高速で化学反応を起こして形成される高分子エラストマー樹脂です。1980年代に開発され、当初は工業用の防水や耐摩耗用途で使用されていましたが、その優れた特性が認められ、近年では土木・建築分野でも応用が広がっています。
主な特性
| 特性 | 説明 |
|---|---|
| 高速硬化性 | 噴霧後わずか数秒でゲル化、1〜2分で歩行可能な強度に達する。 |
| 高耐候性 | 紫外線、熱、酸性雨などの影響を受けにくく、長期間劣化しにくい。 |
| 高伸縮性 | 伸び率が数百%にも達し、クラックの追従性に優れる。 |
| 高接着性 | コンクリート、金属、木材、アスファルトなど多様な基材に密着。 |
| 無溶剤・無毒性 | VOC(揮発性有機化合物)を含まず、環境に優しい。 |
| 耐摩耗性 | 高い衝撃・摩耗に耐え、重機や車両が通る箇所にも適用可。 |
擁壁補強における課題とポリウレアの活用
擁壁に見られる劣化現象
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クラック(ひび割れ)
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表面剥離
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中性化や塩害
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漏水や凍害
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鉄筋の露出・腐食
これらの劣化は構造物の安全性を低下させ、地震時や大雨時に甚大な被害を引き起こす原因にもなります。
ポリウレアが解決する主な課題
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クラックの補修と封じ込め
ポリウレアは高い伸縮性を持つため、ひび割れのある擁壁にも密着し、クラックの進行を防止します。 -
防水・止水機能
表面をポリウレアでコーティングすることで、水分や塩分の侵入を防ぎ、中性化や凍害、塩害の進行を抑制します。 -
劣化表面の再生
剥離や劣化の進んだ表面に対し、ポリウレアは新たな保護膜を形成し、構造物の寿命を延ばします。 -
施工性の高さ
短時間で硬化するため、交通規制や環境制限のある現場でも迅速に施工が可能です。
ポリウレア補強の施工プロセス
-
下地処理
高圧洗浄、ケレン(サビ・劣化部分の除去)、クラック補修などを行い、基材を清潔かつ乾燥させます。 -
プライマー塗布
ポリウレアの密着性を高めるために、下地にプライマー(接着剤)を塗布します。 -
ポリウレア噴霧
専用のスプレー装置でポリウレアを均一に噴霧。数秒で硬化し、施工面全体を覆います。 -
仕上げ・検査
厚みや密着状況を検査し、必要に応じて仕上げ塗装や保護材の追加を行います。
他の補強工法との比較
| 項目 | ポリウレア | 繊維補強(CFRP等) | コンクリート巻き立て |
|---|---|---|---|
| 施工期間 | 非常に短い | 中程度 | 長期化しやすい |
| 工期中の制限 | 最小限 | 一部制限あり | 大規模な制限が必要 |
| 防水性 | 非常に高い | 補助材料が必要 | 中程度 |
| 重量増加 | ほぼなし | 軽量 | 重量増加あり |
| 柔軟性 | 高い | 中程度 | なし |
| 施工費用 | 中程度(長期的には安価) | 高額 | 中程度〜高額 |
適用事例
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道路沿いの老朽化擁壁の再生
→ ポリウレアを全面塗布し、防水性とひび割れ補修を同時に達成。 -
河川堤防や護岸ブロック
→ 耐水性と耐摩耗性を活かし、流水による劣化防止。 -
急傾斜地の擁壁補修
→ 重機搬入が困難な場所でも短期間施工が可能。
注意点と課題
ポリウレアは万能ではなく、いくつかの注意点もあります。
-
施工には専用機材と訓練された技術者が必要
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湿潤環境下ではプライマーの選定に注意
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下地との密着性が悪い場合は性能が発揮されにくい
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初期コストがやや高く感じられることもある
したがって、信頼できる施工業者の選定と、現地の状況に合わせた適切な仕様設計が重要です。
今後の展望
ポリウレアはその特性から、従来の補修工法の代替ではなく、新しい補強工法の柱として期待されています。特に、気候変動による集中豪雨や地震リスクの高まりを背景に、「強靭かつ軽量で柔軟な補強材」としての役割はますます大きくなっていくでしょう。
また、カーボンニュートラル時代においても、環境負荷の少ない無溶剤系材料としてのポリウレアは、高評価を受けています。
まとめ
擁壁補強において、ポリウレアは以下のような点で極めて適した材料です。
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高耐久・高柔軟性により、ひび割れや劣化への対応が可能
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短時間施工で交通規制や住環境への影響を最小限に
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優れた防水・耐摩耗性能で構造物の寿命を延ばす
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環境負荷が少なく、将来性も高い
施工方法や用途に対する理解を深め、適切に活用することで、より安全で持続可能なインフラ整備が実現できます。
弊社は通常の足場による大規模修繕工事と無足場工法によるロープアクセス工事の両方をメイン事業としていますが、外壁打診調査、漏水調査、ピンポイントの塗装、防水など建物の事であれば何でも行っています。
また空室対策、不動産管理、地震保険や補助金助成金申請サポート、各専門の士業の御紹介などオーナー様の様々なお困りごとをトータルでサポートもしております。
相談は無料ですので、お悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。
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