大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

甲斐市のマンション補助金|管理組合の大規模修繕2026

2026年8月16日 更新

「甲斐市の分譲マンションで大規模修繕をするとき、市の補助金は使えるのか?」——この記事は、その問いに正面からお答えします。

先に結論を申し上げます。甲斐市が2026年度(令和8年度)に公表している住まい系の支援制度のうち、分譲マンションの共用部大規模修繕そのものに直接お金が出る制度は、私が公開情報を確認した範囲では見当たりません。ここを曖昧にしたまま「補助金が出ますよ」と営業してくる会社があれば、私は警戒します。

ただ、そこで話を終わらせるのはもったいない。甲斐市にはブロック塀等安全確保対策支援事業という敷地内で使える補助があり、国の側にはマンション長寿命化促進税制住宅金融支援機構の低利融資という、共用部大規模修繕に直接効く仕組みがあります。そして何より、工法の選択で総工費そのものを1〜2割動かせます。

私は株式会社明誠の本間と申します。マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を20年近く手がけ、足場工法とロープアクセス工法(ロープで吊り下がって施工する無足場工法)の両方を扱ってきました。甲斐市の理事長さま・理事会の皆さまが総会の前に押さえておくべき論点を、公的な一次情報のリンク付きで整理します。


この記事の結論:甲斐市の管理組合が握るべきは「四本柱+工法」

甲斐市の分譲マンション管理組合が、2026年度に現実的に手を伸ばせる支援は、次の4つに集約されます。

  1. 甲斐市のブロック塀等安全確保対策支援事業(敷地内の危険な塀の撤去に使える可能性がある唯一の市補助)
  2. マンション管理計画認定制度(管理の質を国の基準で認定してもらう。融資・税制の入口になる)
  3. マンション長寿命化促進税制(大規模修繕の翌年度、建物の固定資産税が減額される)
  4. 住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資/マンションすまい・る債(低利で借りる・有利に積む)

そして5つ目が、補助金ではありませんが効き目としては最も大きい工法の選択です。足場を全面に架けるのか、ロープアクセスで無足場にするのか、部位ごとに使い分けるハイブリッド工法にするのか。ここで数百万円から千数百万円の差が生まれる現場を、私は何度も見てきました。

打ち手 種類 効き目の目安 窓口
ブロック塀等安全確保対策支援事業 市の補助 撤去単価9,000円/㎡・上限18万円(要確認) 甲斐市 建築住宅課 建築開発係
マンション管理計画認定 認定制度 融資金利の引下げ・税制要件・市場評価 甲斐市(受付状況は要確認)
長寿命化促進税制 税の減額 翌年度の建物固定資産税を減額 甲斐市 税務課 資産税係
機構の共用部分リフォーム融資 低利融資 全期間固定・理事長の個人保証不要 住宅金融支援機構
マンションすまい・る債 積立 認定等で利率上乗せ(2026年度拡充) 住宅金融支援機構
工法の最適化 工事側 総工費の1〜2割規模で変動 施工会社(明誠など)

順番に、根拠となる一次情報とともに見ていきます。


甲斐市の住宅支援メニューを「使える/使えない」で正直に仕分けする

甲斐市は、竜王町・敷島町・双葉町が2004年(平成16年)に合併して誕生した市です。人口は約7万6,000人で県内2位、甲府市のベッドタウンとして山梨県の市部で唯一人口が伸びている——そんな都市です。JR中央本線の竜王駅・塩崎駅、中央自動車道の甲府昭和IC・双葉JCT、そして武田信玄が永禄3年(1560年)に築いたとされる信玄堤。釜無川と荒川に挟まれた甲府盆地の北西部に、分譲マンションが点在しています。

その甲斐市の住宅系支援制度を、分譲マンション管理組合の目線で仕分けすると、こうなります。

甲斐市の制度 共用部大規模修繕との関係 判定
ブロック塀等安全確保対策支援事業 敷地の危険な塀の撤去・生け垣化に活用余地 ○ 接点あり
木造住宅耐震化支援事業(診断・改修・シェルター) 木造在来軸組・2階建以下・長屋/共同住宅以外 × 対象外
木造住宅耐震リフォーム工事費補助事業 木造の耐震改修と同時施工が条件 × 対象外
KAITEKI住宅普及促進事業費補助金(最大120万円) やまなしKAITEKI住宅の認定・自ら居住が前提 × 不適
子育て世帯住宅取得支援事業 住宅の取得・引越費(人口減少対策) × 不適
空き家バンクリフォーム補助金(最大100万円) 空き家バンク登録物件が前提 × 不適

○ ブロック塀等安全確保対策支援事業:敷地内で唯一つながる市の補助

甲斐市は「ブロック塀等安全確保対策支援事業」として、地震時の倒壊や避難路の閉塞を防ぐため、危険なブロック塀等を撤去する方に補助を行っています。

公開情報で確認できる範囲での概要は次のとおりです。

  • 対象:避難路に面し、道路面または地盤面からの高さが1メートルを超える危険なブロック塀等
  • 補助単価:撤去したブロック塀等の面積1㎡あたり9,000円
  • 上限額18万円
  • 例外:実際の工事費が9,000円/㎡を下回る場合は、その費用の3分の2
  • 併設:ブロック塀に代えて生け垣・花壇を設置する場合の補助も用意されている
  • 手順:撤去工事の前に市へ事前相談し、市職員の現地確認で要件を満たすか確認する。交付決定前に着工したものは対象外

なぜ管理組合にとって「接点あり」なのか。分譲マンションの敷地境界には、ゴミ置き場まわり、駐車場と歩道の境、隣地との境界に、築年数の古いブロック塀が残っていることがよくあります。大規模修繕の足場計画やロープアクセスの下部養生を検討する際、私はまず敷地の外周を歩きます。そのとき「これは傾いていますね」という塀に出会うことが、実に多い。

大規模修繕の共用部工事そのものには使えませんが、同じ工事期間中に併せて処理してしまえば、管理組合の持ち出しを数十万円単位で減らせる可能性があります

ただし、正直に申し上げます。この制度の受付期間について、平成30年9月1日から令和5年8月31日までとする記述がインターネット上に残っています。2026年度(令和8年度)に受付が継続しているかどうか、また管理組合名義で申請できるかどうかは、公開情報から断定できませんでした。 ここは断定しません。まず建築住宅課 建築開発係(Tel:055-268-2336)へ電話で現況を確認してください。それが最短です。

× 木造住宅耐震化支援事業は、一次情報で「対象外」と断定できます

甲斐市の「木造住宅耐震化支援事業」は、昭和56年5月31日以前に建てられた木造住宅を対象に、無料の耐震診断と各種補助を行う制度です。内容は手厚く、木造戸建てにお住まいの方には非常に有利です。

  • 耐震診断:市の補助で実施し、個人の費用負担なし
  • 耐震改修工事費・建替え工事費:補助上限額125万円(設計費を含む)
  • 耐震シェルター設置工事費:補助上限額36万円(総合評点0.7未満が対象)
  • 木造住宅耐震リフォーム工事費:リフォーム工事費の1/5以内・上限20万円

このリフォーム補助の「リフォームの種類」には、屋根の葺き替え・防水工事外壁の張替え、外壁の塗装又は吹付け工事床・壁・窓・天井・屋根の断熱改修工事が明記されています。ここだけ読むと「マンションの外壁塗装にも使えるのでは」と思われるかもしれません。

しかし、対象となる木造住宅の要件に、こう明記されています。

長屋および共同住宅以外の個人所有の住宅(貸家は一戸建てであっても対象外)

さらに「木造在来軸組工法で建築されたもの」「2階建て以下の住宅」という要件もあります。RC造・SRC造の分譲マンションの共用部は、この制度の対象外です。 これは一次情報から明確に断定できます。加えて、耐震リフォーム工事費補助は「木造住宅耐震改修工事と同時に施工するもの」が条件で、単独でリフォーム工事のみを行うものは対象になりません

なお、この事業の窓口は建設課 建設総務係(Tel:055-278-1668)、住所は甲斐市篠原2610です。市は「住宅耐震化緊急促進アクションプログラム」も策定しています。

× KAITEKI住宅普及促進事業費補助金は、金額は大きいが共用部には届かない

甲斐市の「住宅取得支援事業」ページには、最大120万円という目を引く補助が掲載されています。「KAITEKI住宅普及促進事業費補助金」(令和7年度から令和9年度まで)です。

基本額20万円(やまなしKAITEKI住宅=長期優良住宅・断熱等性能等級6以上・相当隙間面積1.0c㎡/㎡)に、ZERO(一次エネ削減率)で20万円、FORET(県産木材使用量)で最大40万円、子育て世帯等で20万円、リノベーションで20万円が加算される仕組みです。

「リノベーション」の文字を見て期待される方がいらっしゃると思いますが、条件はこうです。

  1. 「やまなしKAITEKI住宅」の認定を受けている
  2. 認定住宅が市内にあり、住所をおいている
  3. 工事を施工した会社が山梨県内に本店をおいている
  4. 「やまなしKAITEKI住宅認定通知書」の日付から6か月以内である
  5. 市税等を滞納していない

対象は「住宅を建築又は取得した方」であり、自ら居住する住宅の断熱・省エネ性能を認定基準まで引き上げる制度です。分譲マンションの共用部(外壁・屋上防水・鉄部)の大規模修繕は、この制度の想定外と考えるのが妥当です。申請受付期間は令和8年4月1日から令和9年2月26日まで。窓口は建築住宅課 建築開発係(055-268-2336)です。


マンション管理計画認定制度:甲斐市は「県では申請できない」のがポイント

ここから国の制度に移ります。まず、すべての入口になるのがマンション管理計画認定制度です。

これは、マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づき、管理組合が作成した管理計画が一定の基準を満たす場合に、地方公共団体から「管理が適正なマンション」として認定を受けられる制度です(2022年4月開始)。認定を受けると次のようなメリットがあります。

メリット 内容
市場評価 「管理が良いマンション」として売買・賃貸時に訴求できる
住宅金融支援機構 フラット35の金利引下げ、共用部分リフォーム融資の優遇
マンションすまい・る債 認定を受けた管理組合向けの利率上乗せ
長寿命化促進税制 税制の適用要件(積立金の引上げ)の判定に関わる
合意形成 第三者の基準で管理状態を可視化でき、総会の議論が進む

ここで甲斐市固有の注意点があります。 認定を受けられるのは、自治体が「マンション管理適正化推進計画」を作成している地域にあるマンションだけです。そして山梨県の「マンション管理計画認定制度について」のページでは、山梨県マンション管理適正化推進計画の対象区域は「市部を除く町村部」とされ、県は町村部にあるマンションのみを対象に令和4年4月1日から受付を開始した、と説明されています。

つまり、甲斐市内のマンションは、山梨県の窓口では申請できません。 市部は市が認定主体になります。

では甲斐市自身はどうか。甲斐市がマンション管理適正化推進計画を作成し、認定申請を受け付けているかどうかは、私が公開情報を確認した範囲では確認できませんでした。 ここも断定しません。参考までに、同じ山梨県内の中核市である甲府市は、令和5年5月に推進計画・指針を策定し、令和5年7月から認定申請の受付を開始しています。全国的にも早い部類です。

甲斐市の管理組合の皆さまには、建築住宅課(055-268-2336)へ「甲斐市はマンション管理計画認定の申請を受け付けていますか」と一本電話を入れることをお勧めします。もし受付があれば、公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を経由してオンラインで申請するのが標準的なルートです。事前確認(適合証の取得)を経ることで、自治体への手数料が大きく下がる自治体が多いのも押さえておきたいポイントです。

もし甲斐市に推進計画がまだない場合でも、マンション管理適正化診断サービスやマンション管理適正化評価制度(管理組合向けの民間評価)は利用できます。後述するとおり、2026年度からはこれらの評価もマンションすまい・る債の利率上乗せ対象に加わりました。


マンション長寿命化促進税制:甲斐市の減額割合は「市の条例」で決まる

補助金がなくても、税金が減るなら実質的な負担は下がります。大規模修繕に直接効く国の制度が、マンション長寿命化促進税制です。

国土交通省の「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」によれば、一定の要件を満たす長寿命化工事(大規模修繕等)を行ったマンションについて、工事完了年の翌年度の建物部分の固定資産税が減額されます。

適用の主な要件(管理組合のチェックリスト)

要件 内容
工事完了時期 令和5年4月1日から令和9年3月31日までに完了
築年数 築20年以上
規模 総戸数10戸以上
過去の実績 過去に1回以上の長寿命化工事(大規模修繕等)を実施
修繕積立金 管理計画の認定、または助言・指導を受けて積立金を引き上げている
工事内容 屋根防水工事+床防水工事+外壁塗装等を一体で実施
対象範囲 居住用の専有部分1戸あたり床面積100㎡までの部分
回数 1回限り
申告 工事完了後3か月以内に市へ申告

見落としがちなのが「屋根防水+床防水+外壁塗装等を一体で」という要件です。「今回は外壁だけ」「屋上防水は次回に回そう」と工事を分けてしまうと、この税制は使えません。工事の分割は、税制の観点からは不利になり得る——これは総会でぜひ共有していただきたい論点です。

そしてもう一つ。減額割合は市町村の条例で定められます。 国が示す参酌基準は3分の1で、6分の1から2分の1の範囲で各自治体が条例で定める仕組みです。東京23区や小田原市が2分の1、高崎市・太田市・佐野市が3分の1といった例があります。甲斐市の減額割合については、公開情報から確認できませんでした。断定は避けます。

確認先は甲斐市 市民部 税務課 資産税係です。甲斐市の固定資産税ページには「住宅耐震改修工事を行った住宅に対する固定資産税の減額」「居住安全(バリアフリー)改修工事を行った住宅に対する固定資産税の減額」といった減額制度の案内があり、資産税係は竜王庁舎で申告を受け付けています。着工前に、①甲斐市の減額割合、②申告期限と必要書類、③耐震・バリアフリー・省エネ減額との重複可否を確認してください。長寿命化促進税制は、これらの他の減額制度と重複して適用できません

なお、申告は管理組合の代表者(理事長)が、複数の区分所有者分をまとめて行うことができます。区分所有者一人ひとりに申告を委ねると、抜け漏れが出やすくなります。理事会が主導して一括で処理する——これが実務上の正解です。団地型マンションの場合は、工事を行った当該棟のみが対象になる点にもご注意ください。


住宅金融支援機構:積立金が足りないときの現実解

「補助金も税制も分かった。でも、そもそも積立金が足りない」——甲斐市に限らず、私が現場で最も多く聞く声です。ここで効くのが住宅金融支援機構(JHF)の2本柱です。

マンション共用部分リフォーム融資(マンションすまい・る融資)

管理組合が共用部分の改修工事を行う際に利用できる、全期間固定金利の融資です。2026年度お申込分の案内が機構から公表されています。実務的なポイントは3つ。

  1. 管理組合名義で借りられる——区分所有者個人のローンではありません
  2. 公益財団法人マンション管理センターの債務保証を利用することで、理事長個人の連帯保証が不要になります
  3. Web申込サービスが用意されており、手続きの負担が軽い

管理計画認定を受けたマンションには、返済期間や金利について優遇が用意されています。ただし金利は毎月見直されるため、この記事で具体的な数値を断定することは避けます。総会資料に載せる際は、機構の公式サイトで申込時点の金利をご確認ください。

理事会でよく出るのが「借金してまで修繕すべきか」という議論です。私の実感を申し上げます。修繕を先送りして劣化が下地まで進むと、次回工事の単価そのものが跳ね上がります。 借入コストより劣化進行コストのほうが大きくなる局面は、確実に存在します。

マンションすまい・る債

こちらは借りるのではなく積む制度です。管理組合が修繕積立金を機構の債券で積み立てる仕組みで、2026年度の募集は2026年4月13日(月)から開始されました。口数に上限があり、先着順で受付が終了します。

2026年度からは制度が拡充され、管理計画認定マンションに加えて、マンション管理適正化評価制度またはマンション管理適正化診断サービスで一定の評価基準以上を得たマンションも、利率上乗せの対象になりました(住宅金融支援機構)。甲斐市のように市の認定受付状況が確認しづらい地域の管理組合にとって、これは朗報です。認定がなくても、評価制度・診断サービス経由で上乗せの道が開けます。


2026年4月施行の改正区分所有法:決議のハードルが下がりました

制度の話をもう一つ。2026年4月1日、改正区分所有法(令和7年法律第47号)が施行されました。 管理組合にとっての最大の変化は、共用部分の大規模修繕等の決議の母数です。

従来は「区分所有者及び議決権の各4分の3以上」など、全区分所有者を母数とする要件でした。総会に来ない人、アンケートに答えない人、連絡が取れない人が一定数いると、それだけで決議が事実上不可能になる。この構造が、多くのマンションで修繕を止めてきました。

改正後は、大規模修繕等の決議が出席した区分所有者を母数とする形へ緩和されます。欠席者・無回答者は母数から外れます。さらに、所在等が不明な区分所有者については、裁判所の関与する手続を経て母数から除外できるようになりました。

甲斐市は甲府のベッドタウンとして発展してきた地域です。転勤・相続・賃貸化によって「連絡が取れない区分所有者」が生じているマンションは、決して少なくないはずです。過去に決議が通らなかった管理組合こそ、2026年の今、もう一度議案を出す価値があります。

ただし、建替え等については従来要件が残る部分があります。詳細は弁護士やマンション管理士にご確認ください。


補助金より効く「工法の選択」:仮設費は総工費の15〜25%

ここからは、私の本業の話です。

大規模修繕の見積書を開いたとき、多くの理事の方が驚かれるのが仮設工事費の大きさです。一般的に、足場を含む仮設費は総工費の15〜25%を占めます。1億円の工事なら1,500万〜2,500万円が「作業のための足場」に消えている計算です。

しかも足場には、金額以外のコストがあります。

  • 工期が伸びる(架設・解体だけで数週間)
  • 防犯リスク(足場が侵入経路になる。1階・2階の住戸から不安の声が出やすい)
  • 生活影響(メッシュシートで採光が落ち、洗濯物が干せない期間が長い)
  • 駐車場の使用制限(甲斐市のように車が生活必需品の地域では、これが最大の不満になります)

3つの工法の比較

項目 通常足場工法 ロープアクセス工法(無足場) ハイブリッド工法
仮設費 大(総工費の15〜25%) 小(大幅に削減) 中(必要部位のみ足場)
工期 長い 短い
生活影響 大(採光・洗濯物・駐車場)
防犯リスク あり(侵入経路化) ほぼなし 限定的
適する工事 全面改修・下地補修が広範 塗装・シーリング・部分補修・調査 大規模かつ部位差が大きい建物
適する建物 中低層・複雑形状 高層・足場架設が困難な形状 総合的にコスト最適化したい建物

ロープアクセス工法は、産業用ロープで作業員が吊り下がって施工する無足場工法です。日本ではまだ扱える会社が限られています。ロープアクセス工法の技術情報・安全基準・事例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめています。

そして私が一番おすすめしているのがハイブリッド工法です。「全面足場か、全面ロープか」の二択ではなく、下地補修が多い面だけ足場を架け、それ以外はロープアクセスで回す。建物の劣化状況を診断したうえで部位ごとに使い分ける考え方です。株式会社明誠は、この3工法すべてを扱い、建物にとって最適な組み合わせを提案できる日本でも数少ない会社です(3工法のご紹介)。


甲斐市の気候と、工事のベストシーズン

甲斐市は甲府盆地の北西部、内陸性気候の地域です。塩害はほぼ気にしなくてよい一方、建物にとって厳しい要因が3つあります。

  1. 夏の猛暑と強い日射——甲府盆地は日本有数の高温地帯。紫外線による塗膜劣化・シーリングの硬化が早く進みます
  2. 冬の放射冷却と凍結融解——盆地特有の冷え込みで、外壁のひび割れに入った水が凍結・膨張して割れを広げます
  3. 昼夜・季節の寒暖差——躯体とシーリング材の伸縮が大きく、目地の追従性能が試されます

この気候を踏まえた、甲斐市での工事適期は次のとおりです。

時期 塗装・防水の適性 備考
3月下旬〜6月上旬 ◎ 最適 気温・湿度が安定。梅雨入り前に山場を越したい
6月中旬〜7月中旬 梅雨。工程が延びやすい
7月下旬〜8月 猛暑。塗膜の乾燥が早すぎる時間帯があり、作業効率も落ちる
9月〜11月中旬 ◎ 最適 秋の乾燥期。仕上がりが安定する
11月下旬〜3月中旬 × 低温で塗料・防水材の硬化不良リスク。凍結の懸念

塗料や防水材には施工可能な温度・湿度の下限があります(一般に気温5℃以下・湿度85%以上は施工不可とされる材料が多い)。甲斐市で12月〜3月に外装工事を「やってしまう」のは避けたほうがよい——これは強く申し上げておきます。

逆算すると、春の着工を狙うなら前年の初夏から、秋の着工を狙うなら同年の初冬から、それぞれ準備を始める必要があります。

現場のエピソード:屋上防水の「膨れ」を1年放置した管理組合

以前、内陸の寒暖差が大きい地域で、こんな現場に立ち会いました。

屋上防水シートに、畳1枚ほどの膨れが出ていました。理事会は「まだ雨漏りしていないから」と、次年度の総会に判断を持ち越しました。1年後に伺うと、膨れは数倍に広がり、シートの継ぎ目から入った水が下地のコンクリートまで回っていました。最上階の住戸の天井には、うっすらとシミが出ていました。

結果、防水の張り替えだけで済んだはずの工事に、下地の改修が加わり、費用は当初見積りの数倍になりました。しかも最上階の住戸には、内装補修という別の問題が発生しました。

膨れの多くは、下地に残った水分が日射で気化して起こります。日射が強く寒暖差の大きい甲斐市のような地域では、これが起こりやすい。「まだ漏っていない」は、判断を先送りする理由になりません。 劣化診断だけでも、ロープアクセスなら足場なしで実施できます。


モデルケース:甲斐市の管理組合で、いくら変わるか

具体的な数字を2つ挙げます。あくまでモデルケースであり、実際の金額は建物の形状・劣化状況・仕様で変わります。

ケース1:竜王駅周辺・築25年・11階建・48戸

項目 通常足場工法 ハイブリッド工法
総工費(概算) 9,000万円 7,800万円
差額 ▲1,200万円
1戸あたり ▲25万円
工期 5か月 約3週間短縮
駐車場の使用制限 全期間 部分・短期間

下地補修が集中する妻面のみ足場を架け、残りの3面と塔屋・高架水槽まわりをロープアクセスで施工した想定です。差額の1,200万円は、次回の修繕に向けた積立に回せます。

ケース2:郊外・築40年超・5階建・18戸

項目 通常足場工法 ロープアクセス主体
総工費(概算) 3,200万円 2,600万円
差額 ▲600万円
1戸あたり ▲33万円
資金手当て 一時金が必要 機構融資で一時金ゼロも可能

戸数が少ないマンションほど、1戸あたりの負担は重くなります。18戸で600万円の差は、1戸あたり33万円。ここに機構の共用部分リフォーム融資を組み合わせれば、一時金の徴収なしで工事を成立させる設計も可能です。


総会から逆算する18か月カレンダー

「いつから動けばいいのか」——理事長さまから最も多い質問です。標準的なスケジュールをお示しします。

時期 やること
18か月前 劣化診断の実施(ロープアクセスなら足場不要)/長期修繕計画の見直し
15か月前 修繕委員会の設置/甲斐市 建築住宅課・税務課へ制度の照会
12か月前 工事仕様と概算予算の確定/資金計画(積立金・借入・一時金)の検討
10か月前 相見積り(3社程度)の依頼/機構融資の事前相談
8か月前 見積比較・施工会社の絞り込み/説明会の開催
6か月前 総会(工事・予算・借入の決議)
4か月前 契約締結/近隣挨拶・住民説明
0か月 着工(春または秋の適期に合わせる)
完了後3か月以内 長寿命化促進税制の申告(期限厳守)

最後の行が抜け落ちる管理組合が、本当に多い。工事が終わって理事が交代し、申告期限が過ぎてから気づく——これほどもったいないことはありません。引継ぎ書に「税制申告」の一行を入れておくことをお勧めします。


相見積りで失敗しないための3つのポイント

補助金を取りに行くより、見積りの精度を上げるほうが確実に効く場面があります。私が管理組合にお伝えしている3点です。

  1. 数量を揃える——各社に同じ「数量拾い」の条件を提示する。外壁面積、シーリング延長、鉄部塗装面積がバラバラなら、金額は比較になりません
  2. 仕様を揃える——塗料のグレード(シリコン/フッ素/無機)、防水工法(ウレタン密着/通気緩衝/シート)を指定する。「同等品」という言葉が並ぶ見積書は要注意です
  3. 「別途」を潰す——見積書の末尾にある「別途」項目を全部洗い出す。仮設電気、産廃処理、下地補修の数量超過分——ここが後から膨らみます

特に3番目。下地補修は「実費精算」になりがちですが、想定数量を明記させ、超過時の単価まで見積書に書かせておく。これだけで、後から数百万円の追加請求に驚かされる事態を防げます。

株式会社明誠では、適正価格でのご提案安心の施工体制を柱に、管理組合の皆さまのご相談を承っています。マンション管理組合向けのサービス内容はこちらをご覧ください。


修繕積立金が足りないときの4つの打ち手

最後に、資金の話を整理します。積立金不足に直面したときの選択肢は、実質4つしかありません。

打ち手 メリット デメリット
① 一時金の徴収 借入コストがかからない 合意形成が最も難しい。滞納リスク
② 積立金の値上げ 将来の工事も含めて安定する 効果が出るまで時間がかかる
③ 機構等からの借入 一時金なしで着工できる 利息負担。返済期間中の管理が必要
④ 工事範囲・工法の見直し 総額そのものを下げられる 先送りすると劣化が進むリスク

①〜③は「お金の集め方」の話ですが、④だけは「必要額そのもの」を変えられます。 私が工法の選択を強調するのは、この一点に尽きます。1,200万円の削減は、48戸なら1戸あたり25万円の一時金を回避できる金額です。

なお、私が代表理事を務める一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)では、全国の建設業者向けに経営支援の情報発信やビジネスマッチングを行っています。地域の施工力を高めることが、結果として管理組合の皆さまの選択肢を増やすと考えています。


よくある質問(FAQ)

Q1. 甲斐市に、マンションの大規模修繕そのものに使える補助金はありますか?
A. 私が公開情報を確認した範囲では、共用部の大規模修繕に直接交付される甲斐市独自の補助金は見当たりませんでした。ただし敷地内のブロック塀撤去には「ブロック塀等安全確保対策支援事業」の活用余地があり、国の長寿命化促進税制・機構融資は利用できます。

Q2. 甲斐市の木造住宅耐震リフォーム補助(上限20万円)は、マンションの外壁塗装に使えますか?
A. 使えません。対象は「長屋および共同住宅以外の個人所有の住宅」「木造在来軸組工法」「2階建て以下」に限定され、かつ木造耐震改修工事と同時施工が条件です(出典:甲斐市)。

Q3. マンション管理計画認定は、山梨県に申請すればよいですか?
A. 甲斐市内のマンションは県では申請できません。山梨県の推進計画の対象区域は市部を除く町村部だからです。甲斐市が受付をしているかは建築住宅課(055-268-2336)へご確認ください。

Q4. 長寿命化促進税制で、甲斐市はいくら減額されますか?
A. 減額割合は市町村の条例で定められ、国の参酌基準は3分の1(範囲は6分の1〜2分の1)です。甲斐市の割合は公開情報から確認できませんでした。税務課 資産税係へ着工前にご確認ください。

Q5. 外壁だけ先に工事して、屋上防水は次回に回してもよいですか?
A. 工事としては可能ですが、長寿命化促進税制は「屋根防水+床防水+外壁塗装等の一体実施」が要件です。分割すると税制が使えなくなる可能性があります。

Q6. ロープアクセス工法は、どんな建物でも使えますか?
A. 万能ではありません。下地補修が広範囲に及ぶ場合や、建物形状によっては足場が適します。だからこそ、部位ごとに使い分けるハイブリッド工法をご提案しています。

Q7. 積立金が足りません。工事を先延ばしにすべきでしょうか?
A. 劣化が下地まで進むと、次回工事の単価そのものが上がります。機構の共用部分リフォーム融資は理事長の個人保証が不要で、一時金なしの資金計画も組めます。まず診断で現状を把握することをお勧めします。

Q8. 甲斐市で工事をするなら、いつ着工するのがよいですか?
A. 3月下旬〜6月上旬、または9月〜11月中旬が適期です。盆地の冷え込みで、12月〜3月中旬は塗料・防水材の硬化不良リスクがあります。


この記事のポイントまとめ

  • 甲斐市に共用部大規模修繕への直接補助は確認できず。まず正直な線引きから
  • ブロック塀等安全確保対策支援事業(撤去9,000円/㎡・上限18万円)は敷地内で活用余地あり
  • 木造住宅耐震化支援事業は「長屋・共同住宅以外」と明記され、分譲マンションは対象外
  • 甲斐市は市部のため、管理計画認定は山梨県では申請できない。市へ要確認
  • 長寿命化促進税制は屋根防水+床防水+外壁塗装の一体実施が要件。工事分割は不利
  • 減額割合は市条例で決まる。甲斐市の割合は税務課 資産税係へ着工前確認を
  • 機構の共用部分リフォーム融資は理事長の個人保証が不要。すまい・る債は2026年度に拡充
  • 仮設費は総工費の15〜25%。工法の選択が補助金より大きく効く場面がある

執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都小平市を拠点に、東京・関東一円および山梨県でロープアクセス工法・通常足場工法・ハイブリッド工法の3工法を提案できる改修会社。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開しています。

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最終更新:2026年8月16日


出典・参考資料

※本記事の制度情報は2026年8月16日時点で公開されている情報に基づいています。補助制度・税制は年度ごとに内容が変更される場合があります。申請にあたっては、各窓口の最新情報をご確認ください。