本間社長ブログ

和光市のマンション漏水・防災対策|荒川洪水と内水に備える大規模修繕2026年度版

本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

和光市でマンションやビルを持つオーナー・管理組合さまが、大規模修繕で優先すべき漏水・防災対策は、結論から言うと次の3つです。

  1. 屋上防水とドレン(排水口)まわりを先に直す:和光市の内水ハザードマップは、時間最大153mmという非常に強い雨を想定しています。この雨で最初に悲鳴を上げるのは、屋上とバルコニーの排水です。
  2. 受電設備・給水ポンプ・エレベーター制御盤の「置き場所」を修繕計画で見直す:荒川洪水ハザードマップは1,000年に1回程度の雨を想定しています。漏水を直しても、電気と水が止まれば暮らしは止まります。
  3. 足場を組む時間のない緊急漏水に備え、ロープアクセスで即日動ける業者を決めておく:台風や豪雨の直後は、足場の手配では間に合いません。

私は東京都東大和市の株式会社明誠で、20年以上、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を現場で担当してきました。和光市のように、荒川という大河川と、新河岸川・白子川といった中小河川の両方が関わる街では、「川があふれる心配」と「雨水が排水しきれない心配」を分けて考えることが大切です。この記事では、和光市が公開している一次情報を確認しながら、現場目線でお話しします。

和光市のハザードマップを1枚で読む

和光市の公式ページ「防災ガイド&ハザードマップ、避難所一覧」(2026年5月29日更新)によると、市が公開している地図は次の6種類です(出典:和光市 防災ガイド&ハザードマップ、避難所一覧)。

種類 市の説明の要点
荒川洪水ハザードマップ 1,000年に1回程度の雨で荒川が氾濫した場合の浸水区域・浸水の深さ・避難施設
新河岸川洪水ハザードマップ 新河岸川(県管理区間)の氾濫を想定
土砂災害ハザードマップ 土砂災害時の避難施設も表示
揺れやすさマップ 東京湾北部地震を想定
液状化マップ 東京湾北部地震を想定
内水ハザードマップ 別ページで公開(想定最大規模降雨)

ここで私がオーナーさまにいつもお伝えしているのは、洪水と内水は別物だという点です。洪水は川の水があふれる現象、内水(ないすい)は、雨水管や水路が受けきれず、マンホールや雨水ますから水があふれる現象です。マンションの管理会社さんでも、この2つを混同されている方は少なくありません。

県管理河川(新河岸川)の想定

埼玉県が管理する新河岸川については、和光市の公式ページ「県管理河川の洪水浸水想定区域図・水害リスク情報図」(2024年1月18日更新)に、次の内容が載っています(出典:和光市 県管理河川の洪水浸水想定区域図・水害リスク情報図)。

  • 想定最大規模:新河岸川流域の2日間雨量746mmの降雨を前提に、浸水する区域を示した図
  • 計画規模:2日間雨量332.6mmの降雨を前提に、浸水した場合の水深を示した図
  • 公表:埼玉県が令和2年5月26日に公表

さらに、同ページでは、河岸の侵食で家屋が倒壊するおそれのある区域(家屋倒壊等氾濫想定区域)が、和光市域では越戸川・谷中川・白子川にあると説明されています。川沿いの物件は、浸水の深さだけでなく、この区域に入っていないかも確認してください。

なお、荒川そのものについては、国土交通省の荒川水系の洪水浸水想定区域の公表資料が一次情報です(出典:国土交通省 関東地方整備局 荒川水系洪水浸水想定区域)。物件の所在地ごとの深さは、市のマップと国の「浸水ナビ」で、地点を指定して確認するのが確実です。

内水ハザードマップの条件

和光市の「内水ハザードマップ」ページ(2026年9月9日更新)には、想定条件が次のように示されています(出典:和光市 内水ハザードマップ)。

  • 想定最大規模降雨:時間最大153mm、10分最大30mm、総雨量690mm
  • マップは令和4年4月公表、令和6年4月改訂
  • 市は、河川への放流停止などは条件に含まれておらず、想定していない場所でも浸水する可能性があると注意しています
  • 主な管きょ以外の雨水管は考慮されていないため、想定している場所でも浸水しない可能性があるとも説明しています
  • 水防法に基づく「雨水出水浸水想定区域」には指定されていないため、同法に基づくハザードマップではなく、「あくまで目安」と明記されています

つまり、「マップで色が付いていないから安心」とも、「色が付いているから危ない」とも言い切れません。マップは入口であり、最後は自分の建物の屋上、ドレン、地下、受電設備の目で見た確認が必要です。

土砂・地震・液状化

土砂災害ハザードマップ、揺れやすさマップ、液状化マップも、同じ市のページから高画質PDFが公開されています。揺れや液状化は、埼玉県の地震被害想定調査をもとにした検索サイトで、5つの想定地震ごとの震度や液状化のしやすさを確認できます(出典:埼玉県 地震被害想定調査)。

地域特性と漏水事故の関係

和光市は、東京メトロ有楽町線・副都心線と東武東上線が乗り入れる和光市駅を中心に、分譲マンション、賃貸マンション、事務所ビルが密集する街です。私が現場で感じる和光市のような郊外ターミナル周辺の特徴は、次の3点です。

1つ目は、築年数に幅があること。昭和50年代に建った分譲マンションと、駅前再開発で建った新しい建物が、同じ町内に並びます。築古の建物は、屋上防水の寿命とシーリングの劣化が重なりがちです。

2つ目は、河川に近い地区と、そうでない地区で、気をつけるリスクが違うことです。川沿いは洪水と河岸侵食、台地側は内水や、雨水を逃がす排水の容量不足が気になります。ここは物件ごとにマップを見て判断してください。

3つ目は、賃貸オーナーさまの場合、漏水は即「入居者の不満」と「家賃減額・退去」に直結することです。駅近の物件ほど、空室期間の損失が大きくなります。

現場であった話

数年前、築30年を超える首都圏のマンションで、台風の翌朝に最上階の住戸から「天井にシミが広がっている」というご連絡をいただいたことがあります。現場に上がってみると、原因は屋上ドレンの落ち葉詰まりでした。排水口の周りに水が溜まり、立上りの防水層の端部から雨水が回っていたのです。

管理会社さんが足場業者を手配すると、最短でも2週間かかる見込みでした。私どもは、ロープアクセスで当日中に立上りの端部とシーリングを応急補修し、後日、本格的な防水改修の提案をしました。足場を組む前提だと168万円かかる見積りが、同じ範囲をロープアクセスで施工すると59万円で、差額は109万円でした(10階建て・外周80m・工期3ヶ月を想定した試算の目安です。実際の費用は建物の形状や状態で大きく変わります)。

雨が降る前の点検で防げる漏水が、本当に多いのです。

大規模修繕で必ずチェックすべき漏水ポイント7つ

和光市に限らず、台風とゲリラ豪雨で試されるのは次の7か所です。診断のときに、私は必ずこの順番で見ています。

  1. 屋上防水:ふくれ、ひび割れ、保護コンクリートの割れ。防水の更新費用の目安は、工法や面積により、1㎡あたり5,000〜8,000円程度が一般的なレンジです(物件により変動します)。
  2. シーリング(外壁目地・サッシまわりの充填材):硬化、ひび割れ、肉やせ。
  3. バルコニー排水:排水口の詰まり、勾配不良、床防水の摩耗。
  4. ドレン(屋上の排水口):ゴミ詰まり、周囲の防水端部の浮き、ストレーナ(目皿)の欠損。
  5. 立上り(屋上やパラペットの根元):笠木の継ぎ目、防水の端部、押さえ金物。
  6. サッシまわり:枠の周囲のシーリング、水切りの勾配。
  7. エキスパンションジョイント(建物の動きを逃がす継ぎ目):カバー材の外れ、止水の劣化。

外壁の劣化の把握には、足場を組まずに調べられるドローンを使った外壁調査も選択肢になります。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本を、2点以上の確実な吊元に接続して作業する工法です。国際的な技能基準であるIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の訓練を受けた作業員が、足場を組まずに壁面や屋上端部へ到達します。

足場の場合は、見積り、近隣・居住者への周知、資材手配、組立てと、早くても1〜2週間かかります。台風の後、雨雲がまた来る前に応急処置が必要なときは、この時間差が致命的です。ロープアクセスなら、点検と応急補修を即日〜翌日に着手できることが多いのが強みです。

明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセスによる高所作業では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。工法の技術的な詳細は、明誠のロープアクセス工法のご紹介と、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。

漏水の調査や応急対応の考え方は、明誠の漏水対応のご案内をご覧ください。

足場とロープアクセスのどちらが良いかは、建物によって違います。明誠は、通常の足場、ロープアクセス、両者を組み合わせたハイブリッドの3工法から、建物にとって最適な方法を提案できます。同業者・フランチャイズ加盟をお考えの方向けの詳しい技術情報は、ロープアクセスドットコムでご覧いただけます。

防災上の共用部の位置と修繕優先度

荒川洪水ハザードマップが想定する「1,000年に1回程度」の雨は、めったに起きません。しかし、起きたときの被害は、建物の設備の位置で決まります。次の順で、設置階を確認してください。

設備 水害・停電時に起きること 修繕・対策の優先度
受変電設備・キュービクル 浸水で停電が長期化 高。設置階の確認、かさ上げ、防水扉の検討
給水ポンプ・加圧ポンプ 停止で上階が断水 高。電源の浸水対策、非常用の給水手段
エレベーター制御盤・機械室 停止で高層階の生活が困難 高。設置階の確認、停止時の運用ルール
自家発電機 浸水や燃料切れで機能せず 中〜高。設置階と燃料の保管
避難通路・階段 滞留水、照明停止で危険 中。非常照明の更新、物の放置禁止

これらは、大規模修繕の工事費に比べて小さい金額で改善できることも多いです。長期修繕計画に「水害対策」の項目を入れておくと、理事会で優先順位を議論しやすくなります。

自治体の防災補助・耐震助成

和光市には、住宅・建築物耐震改修補助金があります。市のページによると、対象は建築確認を取得し、昭和56年5月31日以前に着工された分譲マンションです。補助額は次のとおりです(出典:和光市 住宅・建築物耐震改修補助金)。

  • 耐震診断:診断費用の2/3、戸数×2万円、100万円のうち最も少ない額
  • 耐震改修:改修費用の1/5、戸数×30万円、2,000万円のうち最も少ない額
  • 申請の目安:毎年5月から12月、当該年度の予算の範囲内

ただし、このページの更新日は2025年8月20日で、年度の明記がありません。令和8年度の受付状況や予算は、必ず和光市の建築課に直接ご確認ください。工事の契約は、交付決定通知書を受け取る前に行うと、補助の対象外になる場合があります。

また、和光市の耐震診断・耐震改修の補助は、昭和56年5月以前の着工という条件があります。それ以降の建物は、この補助の対象にはなりません。その場合は、国の長寿命化促進税制や管理計画認定制度など、別の仕組みが使えるかを検討してください。

よくあるご質問

Q. 和光市のマンションで、最初にすべき漏水対策は何ですか?

A. 屋上ドレンとバルコニー排水の清掃・点検です。内水ハザードマップが想定する時間最大153mmの雨では、排水の詰まりがそのまま漏水に直結します。年に1〜2回の清掃で防げるケースが多いです。

Q. ハザードマップで色が付いていない場所なら、水害対策は不要ですか?

A. 不要とは言えません。和光市の内水ハザードマップ自身が「想定していない場所でも浸水する可能性がある」と注意しています。あくまで目安として使ってください。

Q. 洪水と内水は、何が違いますか?

A. 洪水は川の水があふれる現象、内水は雨水管や水路が受けきれず、マンホールや雨水ますから水があふれる現象です。和光市は荒川洪水・新河岸川洪水・内水の3種類のマップを別々に公開しています。

Q. 緊急の漏水で足場が間に合わないときは、どうすればいいですか?

A. ロープアクセスで、点検と応急補修を即日〜翌日に着手できることが多いです。物件の状況により異なりますので、まずはお問い合わせフォームから状況をお知らせください。

Q. 屋上防水の費用はどれくらいですか?

A. 工法や面積で変わりますが、防水の更新は1㎡あたり5,000〜8,000円程度がひとつのレンジです。現地調査をしたうえでの見積りをおすすめします。

Q. 和光市の耐震補助は、どのマンションが対象ですか?

A. 市のページでは、昭和56年5月31日以前に着工した分譲マンションが対象です。補助額や受付期間は年度ごとに変わる可能性があるため、市の建築課へ最新の内容をご確認ください。

Q. ロープアクセスは安全ですか?

A. メインロープとバックアップロープの2本を、2点以上の吊元に接続する二重の確保が基本です。明誠および加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。

まとめ+今週動くこと3点

和光市は、荒川洪水、新河岸川洪水、内水、土砂、地震、液状化と、6種類のマップを公開しています。そのうえで、毎年の雨で試されるのは、屋上防水とドレンです。私は理事長さまやオーナーさまに、「雨が降る前にドレンを見てください」とお伝えしています。

今週動いていただきたいのは、次の3点です。

  1. 荒川洪水・新河岸川洪水・内水の各ハザードマップで、物件所在地の想定を確認し、画面やPDFを保存する。
  2. 屋上ドレンとバルコニー排水のゴミ詰まり、受電設備・給水ポンプの設置階を、管理会社と一緒に点検する。
  3. 過去の漏水箇所を一覧にし、次回の大規模修繕の診断に渡す。

明誠のこれまでの施工事例は、明誠の施工事例からご覧いただけます。管理組合さま向けには大規模修繕のご案内(管理組合)、ビルオーナーさま向けにはビルオーナー向けのご案内をご用意しています。漏水の原因調査や概算のお見積りは、お問い合わせフォームから無料で承ります。理事会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。

出典・参考資料


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月29日


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ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。

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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月29日時点で公表されている和光市、埼玉県、国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、和光市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

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