本間社長ブログ

川越市のマンション漏水・防災対策|入間川洪水と内水153mmに備える大規模修繕2026年度版

本間 幸紘

著作者プロフィール

株式会社明誠 代表取締役

本間 幸紘

大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。

川越市でマンションやビルをお持ちのオーナー・管理組合さまが、大規模修繕で優先すべき漏水・防災対策は、結論から言うと次の3つです。

  1. 屋上防水とドレン(排水口)まわりを先に直す:川越市の内水ハザードマップは、令和5年10月の改訂で、想定する雨を1時間72.5mmから1時間153mmへ引き上げました。この雨で最初に悲鳴を上げるのは、屋上とバルコニーの排水です。
  2. 受電設備・給水ポンプ・エレベーター制御盤の「置き場所」を修繕計画で見直す:川越市の水害ハザードマップは、荒川・入間川・新河岸川の3水系の想定最大規模の浸水を重ねて表示しています。漏水を直しても、電気と水が止まれば暮らしは止まります。
  3. 足場を組む時間のない緊急漏水に備え、ロープアクセスで即日動ける業者を決めておく:台風や豪雨の直後は、足場の手配では間に合いません。

私は東京都東大和市の株式会社明誠で、20年以上、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕を現場で担当してきました。川越市のように、川越駅・本川越駅周辺の市街地と、入間川沿いの低地、そして土砂災害警戒区域のある斜面地が同じ市内に混在する街では、「川があふれる心配」「雨水が排水しきれない心配」「斜面や地盤の心配」を分けて考えることが大切です。この記事では、川越市が公開している一次情報を確認しながら、現場目線でお話しします。

川越市のハザードマップを1枚で読む

川越市の公式ページ「水害ハザードマップ」(2026年3月25日更新)と関連ページから、市が公開している地図を整理すると次のとおりです。

種類 市の説明の要点
水害(洪水)ハザードマップ 想定最大規模の降雨を前提に、荒川・入間川・新河岸川の3水系の浸水想定区域を重ね、各地点の最大浸水深を表示
浸水継続時間図 同じ3水系をもとに、各地点の最大浸水継続時間を表示
内水ハザードマップ 洪水とは別に作成。令和5年10月2日に告示・改訂
土砂災害ハザードマップ 岸町2丁目地区・仙波町4丁目地区の一部が対象
地震ハザードマップ ゆれやすさマップと液状化危険度マップ

(出典:川越市 水害ハザードマップ、川越市 土砂災害ハザードマップ、川越市 地震ハザードマップ)

ここで私がオーナーさまにいつもお伝えしているのは、洪水と内水は別物だという点です。洪水は川の水があふれる現象、内水(ないすい)は、雨水管や水路が受けきれず、マンホールや雨水ますから水があふれる現象です。管理会社さんでも、この2つを混同されている方は少なくありません。

洪水:荒川・入間川・新河岸川の3水系

市のページによると、水害ハザードマップの元になっているのは、「荒川水系荒川及び入間川流域」「新河岸川流域」「入間川流域」の浸水想定区域図です。問い合わせ先も区間で分かれており、荒川・入間川の関越自動車道より下流は国土交通省の荒川上流河川事務所、新河岸川と入間川の関越自動車道より上流は埼玉県の川越県土整備事務所とされています。

また、入間川は令和7年5月29日から洪水予報河川に指定され、市内全域が対象になっています。埼玉県と熊谷地方気象台が共同で、6時間先の予測水位をもとに洪水予報を発表する仕組みです。管理組合の防災マニュアルに、この情報の見方を入れておくと役に立ちます。

国土交通省の荒川水系の資料では、入間川の洪水浸水想定区域図が令和元年6月20日に変更されています(出典:国土交通省 関東地方整備局 荒川水系洪水浸水想定区域)。物件の所在地ごとの深さは、市のマップと国の資料で地点を指定して確認してください。

なお、市の広報川越(令和2年2月10日号)の市長コラムは、令和元年の台風19号のとき、避難勧告・避難指示の対象が約21万人に及んだこと、荒川は氾濫しなかったものの、もしあふれていれば市内だけで数千棟の被害もあり得たことを書いています(出典:広報川越 No.1456)。「あふれなかった」ことと「安全だった」ことは別、という教訓です。

内水:時間最大153mmの想定

川越市の内水ハザードマップは、令和5年10月2日付の発表で、次のように見直されました(出典:川越市 内水ハザードマップ改訂の報道発表)。

  • シミュレーションの雨量を、市内の既往最大の1時間72.5mmから、想定し得る最大規模の1時間153mmに見直し
  • シミュレーションの範囲を、下水道雨水計画区域から市内全域に拡大
  • 浸水想定区域の表示を、従来の50mメッシュから25m以下の矩形に細分化
  • 水防法に基づく浸水想定区域として指定され、不動産取引時の重要事項説明の対象
  • 公開GIS「小江戸川越マップ」で住所検索ができ、市内を10分割したPDFも市HPから入手可能

つまり、これまでの倍以上の雨を前提に、市内全域で、より細かく示された地図です。賃貸オーナーさまが物件を売却・仲介するときにも、この情報は説明の対象になります。

土砂・地震・液状化

土砂災害ハザードマップの対象は、岸町2丁目地区と仙波町4丁目地区の一部で、埼玉県が平成26年1月28日に土砂災害警戒区域・特別警戒区域を指定しています。想定される現象は急傾斜地の崩壊です。市は、指定区域以外でも土砂災害が起きる可能性があると注意しています。

地震については、埼玉県の被害想定の5つの地震のうち、川越市にもっとも影響が大きい「関東平野北西縁断層帯地震(破壊開始点:南)」を想定したゆれやすさマップと、液状化危険度マップが公開されています。液状化は、水を多く含んだ砂地盤の河川沿いなどで起きやすいと市は説明しています。

地域特性と漏水事故の関係

川越市は、川越駅・本川越駅・南大塚駅周辺に分譲マンションや賃貸マンション、事務所ビルが集まる一方、古い住宅地や工場・倉庫の立地も多い、多様な街です。私が現場で感じる川越のような郊外の中核都市の特徴は、次の3点です。

1つ目は、築年数の幅が広いこと。昭和50年代に建った分譲マンションと、駅前再開発で建った新しい建物が並びます。築古の建物は、屋上防水の寿命とシーリングの劣化が重なりがちです。

2つ目は、川沿いと台地側でリスクの種類が違うことです。入間川など川沿いの物件は洪水と浸水継続時間を、そうでない場所は内水や排水容量の不足を、先に疑います。どちらに当たるかは、物件の住所でマップを確認して判断してください。

3つ目は、賃貸オーナーさまの場合、漏水は即「入居者の不満」と「退去・家賃減額」に直結することです。駅近の物件ほど、空室期間の損失が大きくなります。

現場であった話

数年前、築30年を超える首都圏のマンションで、台風の翌朝に最上階の住戸から「天井にシミが広がっている」というご連絡をいただいたことがあります。現場に上がってみると、原因は屋上ドレンの落ち葉詰まりでした。排水口の周りに水が溜まり、立上りの防水層の端部から雨水が回っていたのです。

管理会社さんが足場業者を手配すると、最短でも2週間かかる見込みでした。私どもは、ロープアクセスで当日中に立上りの端部とシーリングを応急補修し、後日、本格的な防水改修を提案しました。足場を組む前提だと168万円かかる見積りが、同じ範囲をロープアクセスで施工すると59万円で、差額は109万円でした(10階建て・外周80m・工期3ヶ月を想定した試算の目安です。実際の費用は建物の形状や状態で大きく変わります)。

雨が降る前の点検で防げる漏水が、本当に多いのです。

大規模修繕で必ずチェックすべき漏水ポイント7つ

川越市に限らず、台風とゲリラ豪雨で試されるのは次の7か所です。診断のとき、私はこの順番で見ています。

  1. 屋上防水:ふくれ、ひび割れ、保護コンクリートの割れ。防水の更新費用の目安は、工法や面積により、1㎡あたり5,000〜8,000円程度が一般的なレンジです(物件により変動します)。
  2. シーリング(外壁目地・サッシまわりの充填材):硬化、ひび割れ、肉やせ。
  3. バルコニー排水:排水口の詰まり、勾配不良、床防水の摩耗。
  4. ドレン(屋上の排水口):ゴミ詰まり、周囲の防水端部の浮き、ストレーナ(目皿)の欠損。
  5. 立上り(屋上やパラペットの根元):笠木の継ぎ目、防水の端部、押さえ金物。
  6. サッシまわり:枠の周囲のシーリング、水切りの勾配。
  7. エキスパンションジョイント(建物の動きを逃がす継ぎ目):カバー材の外れ、止水の劣化。

外壁の劣化の把握には、足場を組まずに調べられるドローンを使った外壁調査も選択肢になります。

漏水緊急対応でロープアクセスが強い理由

ロープアクセス工法は、メインロープとバックアップロープの2本を、2点以上の確実な吊元に接続して作業する工法です。国際的な技能基準であるIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の訓練を受けた作業員が、足場を組まずに壁面や屋上端部へ到達します。

足場の場合は、見積り、近隣・居住者への周知、資材手配、組立てと、早くても1〜2週間かかります。台風の後、雨雲がまた来る前に応急処置が必要なときは、この時間差が痛手になります。ロープアクセスなら、点検と応急補修を即日〜翌日に着手できることが多いのが強みです。

明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセスによる高所作業では、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業で、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。工法の技術的な詳細は、明誠のロープアクセス工法のご紹介と、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。

漏水の調査や応急対応の考え方は、明誠の漏水対応のご案内をご覧ください。

足場とロープアクセスのどちらが良いかは、建物によって違います。明誠は、通常の足場、ロープアクセス、両者を組み合わせたハイブリッドの3工法から、建物にとって最適な方法を提案できます。同業者・フランチャイズ加盟をお考えの方向けの詳しい技術情報は、ロープアクセスドットコムでご覧いただけます。

防災上の共用部の位置と修繕優先度

水害ハザードマップが示す想定最大規模の浸水は、めったに起きません。しかし、起きたときの被害は、建物の設備の位置で決まります。次の順で、設置階を確認してください。

設備 水害・停電時に起きること 修繕・対策の優先度
受変電設備・キュービクル 浸水で停電が長期化 高。設置階の確認、かさ上げ、防水扉の検討
給水ポンプ・加圧ポンプ 停止で上階が断水 高。電源の浸水対策、非常用の給水手段
エレベーター制御盤・機械室 停止で高層階の生活が困難 高。設置階の確認、停止時の運用ルール
自家発電機 浸水や燃料切れで機能せず 中〜高。設置階と燃料の保管
避難通路・階段 滞留水、照明停止で危険 中。非常照明の更新、物の放置禁止

これらは、大規模修繕の工事費に比べて小さい金額で改善できることも多いです。長期修繕計画に「水害対策」の項目を入れておくと、理事会で優先順位を議論しやすくなります。

川越市の防災補助・耐震助成・税の特例

旧耐震建築物の耐震診断・耐震改修補助(令和8年度)

川越市の「旧耐震建築物の耐震診断・耐震改修補助制度」のページ(2026年4月1日更新)には、分譲・賃貸マンションを含む「共同住宅」の区分があります(出典:川越市 旧耐震建築物の耐震診断・耐震改修補助制度)。

区分 耐震診断の補助 耐震改修の補助
共同住宅(分譲・賃貸マンション) 診断費の3分の2、上限100万円(面積に応じた算定上限あり) 改修費の3分の1、上限300万円(令和8年度は募集なし)

主な要件は次のとおりです。

  • 昭和56年5月31日以前に着工した建築物であること
  • 3階建て以上、1,000㎡以上、木造以外の耐火・準耐火建築物などの条件があること
  • 分譲マンションの場合は、管理組合で耐震事業の実施を決議すること
  • 事業契約の前に申請が必要で、先着順・予算の範囲内であること
  • 令和8年度の募集期間は4月1日から12月4日まで、実績報告は令和9年2月1日まで

令和8年度は、共同住宅の改修補助は募集がなく、診断補助のみが対象です。しかも、募集の締切は12月4日です。旧耐震のマンションをお持ちの方は、今週のうちに市の建築指導課へご相談ください。

大規模修繕を行ったマンションの固定資産税の減額

川越市のページ(2026年4月1日更新)によると、新築から20年以上が経過した総戸数10戸以上のマンションで、一定の大規模修繕を行った場合、工事完了年の翌年度分の居住部分の固定資産税が、100㎡までを限度に3分の1減額されます。都市計画税は減額されません。申告は、工事完了後3か月以内です(出典:川越市 大規模の修繕等が行われたマンションに係る固定資産税の減額)。工事の種類や金額などの要件は、市の資産税担当で事前に確認してください。

マンション管理の支援

川越市は令和5年1月に「川越市マンション管理適正化推進計画」を策定しています。管理組合の運営や、管理計画認定制度の相談窓口をお探しの方は、市の公式ページから確認できます(出典:川越市マンション管理適正化推進計画)。

よくあるご質問

Q. 川越市のマンションで、最初にすべき漏水対策は何ですか?

A. 屋上ドレンとバルコニー排水の清掃・点検です。内水ハザードマップが想定する時間最大153mmの雨では、排水の詰まりがそのまま漏水につながります。年に1〜2回の清掃で防げるケースが多いです。

Q. 洪水と内水は、何が違いますか?

A. 洪水は川の水があふれる現象、内水は雨水管や水路が受けきれず、マンホールや雨水ますから水があふれる現象です。川越市は、洪水(荒川・入間川・新河岸川)と内水のマップを別々に公開しています。

Q. ハザードマップで色が付いていない場所なら、水害対策は不要ですか?

A. 不要とは言えません。市の広報や内水ハザードマップの説明でも、実際の浸水は想定どおりになるとは限らず、避難の目安として使うよう案内されています。

Q. 緊急の漏水で足場が間に合わないときは、どうすればいいですか?

A. ロープアクセスで、点検と応急補修を即日〜翌日に着手できることが多いです。物件の状況により異なりますので、まずはお問い合わせフォームから状況をお知らせください。

Q. 屋上防水の費用はどれくらいですか?

A. 工法や面積で変わりますが、防水の更新は1㎡あたり5,000〜8,000円程度がひとつのレンジです。現地調査をしたうえでの見積りをおすすめします。

Q. 川越市の耐震補助は、分譲マンションにも使えますか?

A. 令和8年度は、昭和56年5月31日以前に着工した共同住宅の耐震診断補助が対象です(診断費の3分の2、上限100万円)。改修補助は今年度は募集がありません。締切は12月4日ですので、市の建築指導課へお早めにご確認ください。

Q. ロープアクセスは安全ですか?

A. メインロープとバックアップロープの2本を、2点以上の吊元に接続する二重の確保が基本です。明誠および加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。

まとめ+今週動くこと3点

川越市は、洪水(荒川・入間川・新河岸川)、内水(時間最大153mm)、土砂、地震・液状化と、複数のマップを公開しています。そのうえで、毎年の雨で試されるのは、屋上防水とドレンです。私は理事長さまやオーナーさまに、「雨が降る前にドレンを見てください」とお伝えしています。

今週動いていただきたいのは、次の3点です。

  1. 水害ハザードマップと内水ハザードマップ(小江戸川越マップ)で、物件所在地の想定を確認し、画面やPDFを保存する。
  2. 屋上ドレンとバルコニー排水のゴミ詰まり、受電設備・給水ポンプの設置階を、管理会社と一緒に点検する。
  3. 旧耐震のマンションは、12月4日までの耐震診断補助について、市の建築指導課に問い合わせる。

12月4日の締切までは約5週間です。理事会で1分だけでもこの話題を出してみてください。

明誠のこれまでの施工事例は、明誠の施工事例からご覧いただけます。管理組合さま向けには大規模修繕のご案内(管理組合)、ビルオーナーさま向けにはビルオーナー向けのご案内をご用意しています。漏水の原因調査や概算のお見積りは、お問い合わせフォームから無料で承ります。

出典・参考資料


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年10月30日


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本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月30日時点で公表されている川越市、埼玉県および国土交通省の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、川越市および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

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