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大規模修繕に建築確認は必要?|11月1日施行の建築基準法施行令改正を機に、法律上の「大規模の修繕」との違いを国交省資料で整理。首都圏のマンション・ビル・ホテルが外壁・屋上の改修前に確かめたい7項目【2026年11月】
目次
- この記事で分かること
- 結論:大規模修繕の多くは建築確認不要。ただし「中身」しだいで変わります
- 2026年11月1日施行の建築基準法施行令改正:何が変わったのか
- マンションの「大規模修繕」と建築基準法の「大規模の修繕」は別物
- 外壁・屋上の改修で建築確認は要る? 国交省の通知とQ&Aで確認
- 2025年4月の改正建築基準法と、国の「既存建築物」支援策
- 現場20年で見てきた「確認申請の誤解」が生む3つのロス
- 首都圏の管理組合・オーナーが改修前に確かめたい7項目
- 仮設費は工事費の大きな割合。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの比較
- 明誠のご提案(自社サービスのご紹介)
- よくあるご質問
- この記事のポイントまとめ
- 出典・参考資料

-
著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
この記事で分かること
「うちのマンションの大規模修繕、建築確認の申請は要るのでしょうか?」——東京都や神奈川県、埼玉県の管理組合の理事長さま、ビルオーナーさまから、私がここ1〜2年で本当によく受けるご質問です。
2026年11月1日、私が購読しているGoogleアラートに、弁護士JPニュースの「資材不足でも”住宅の円滑供給”へ…11月施行の建築基準法施行令改正、4つの”変更点”」という記事が届きました。国土交通省が9月11日に閣議決定を発表した「建築基準法施行令の一部を改正する政令」が、この日から施行されたというニュースです(出典:国土交通省 報道発表(令和8年9月11日))。
この記事が答える質問は、次の1つです。「首都圏のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕で、建築確認は必要になるのか。今回の法改正で何か変わるのか」。
結論から申し上げます。
- 今回(2026年11月1日施行)の施行令改正は、型式適合認定・採光・防火避難・危険物の4項目の見直しです。一般的な外壁塗装・シーリング・屋上防水の大規模修繕に、新しい手続きが加わる内容ではありません。
- マンションでいう「大規模修繕工事」と、建築基準法でいう「大規模の修繕」は別の言葉です。法律上の「大規模の修繕」は、主要構造部の一種以上について過半を修繕することを指します。
- 国土交通省の通知では、外装材のみの改修や、既存の外壁・屋根にかぶせるカバー工法などは「大規模の修繕・模様替」に該当しないものとして扱われ、該当しない改修であれば確認申請は不要とされています。ただし、確認が不要でも、改修後の建物が建築基準法に適合している必要があります。
この記事では、国土交通省の通知・説明会Q&A・報道発表(一次情報)をもとに、建築確認が要る工事・要らない工事の境目を整理し、首都圏の管理組合・オーナーが外壁や屋上の改修前に確かめたい7項目をお伝えします。
最終更新:2026年11月4日
結論:大規模修繕の多くは建築確認不要。ただし「中身」しだいで変わります
まず、読者の方からいただきそうな問いに、短くお答えします。
| よくある問い | 答え(要点) | 根拠 |
|---|---|---|
| 11月1日の施行令改正で、大規模修繕の手続きは変わる? | 一般的な外壁・屋上の修繕に新たな手続きが加わる内容ではありません。改正は型式適合認定・採光・防火避難・危険物の4項目です | 国土交通省 報道発表(令和8年9月11日) |
| マンションの「大規模修繕」は法律上の「大規模の修繕」? | 同じではありません。法律上は「主要構造部の一種以上について行う過半の修繕」です | 建築基準法第2条第14号 |
| 外壁塗装・タイル補修・シーリング打ち替えは? | 外装材のみの改修は「大規模の修繕・模様替」に該当しないものとして扱われ、確認申請は不要とされています | 国住指第355号・第356号(令和6年2月8日) |
| 屋上防水の改修は? | 防水層(仕上げ)の工事で、屋根スラブ自体の過半を直さなければ一般に該当しないと考えられます。国交省Q&Aでも、既存屋根にかぶせるカバー工法は確認不要と例示されています | 国交省 説明会Q&A(令和8年3月5日時点) |
| 確認が要らなければ、何をしてもいい? | いいえ。手続きが不要でも、改修後の建物が建築基準法に適合している必要があります | 同上 |
私はいつも理事長さまに、「“確認申請が要るかどうか”より先に、”どの部位を、どこまで直すのか”を決めてください」とお伝えしています。手続きの要否は、工事の中身で決まるからです。
2026年11月1日施行の建築基準法施行令改正:何が変わったのか
改正の4項目(国土交通省の発表から)
国土交通省は2026年9月11日、「建築基準法施行令の一部を改正する政令」の閣議決定を発表しました。公布は令和8年9月16日、施行は令和8年11月1日です(出典:国土交通省 報道発表(令和8年9月11日))。
改正の柱は次の4つです。
| 項目 | 改正の内容(要旨) | マンション・ビルの大規模修繕との関係 |
|---|---|---|
| ①型式適合認定の類型の追加 | 建築物の構造耐力に係る規定への適合を対象とする型式を追加。資材の調達が難しくなった場合に、その資材の部分だけ個別に審査を受けるといった柔軟な対応を可能にする | 主に新築住宅の供給に関する見直し |
| ②採光規制の対象の合理化 | 児童福祉施設等のうち、利用者の滞在時間が短いなど衛生上支障がないものとして大臣が定めるものを採光規制から除外 | 保育施設などへの用途変更を検討するオーナーには関係する可能性 |
| ③防火上・避難上の規制の対象の合理化 | 施行令第109条の2の2、第112条第1項・第4項・第5項・第11項の対象のうち、大臣が定める防火上(避難上)支障がないものを除外 | 具体的な基準は告示で規定。個別の建物で該当するかは設計者・行政への確認が必要 |
| ④用途地域における危険物の総量規制の合理化 | 大臣が定める基準に適合する設備で貯蔵・処理される圧縮ガス・可燃性ガスを、用途規制上の危険物から除外 | 燃料電池や水素関連設備などの導入を検討するビル・ホテルに関係する可能性 |
弁護士JPニュースの記事では、③の防火・避難規制について、「層間変形角」「面積区画」「竪穴区画」に関する規制の一部が、定められた条件の下で適用対象から除外されると解説されています(出典:弁護士JPニュース(2026年11月1日))。
告示で決まる部分が多い点に注意
国土交通省の発表では、②③④の具体的な基準は「別途告示で規定」とされています。つまり、施行令の条文だけでは「自分の建物が該当するか」は判断できません。
正直に申し上げます。この改正は、主に新築住宅の円滑な供給や新しい設備の導入を後押しするための見直しです。築20〜40年のマンションで外壁や屋上を直す、いわゆる「大規模修繕工事」の手続きが、この改正で大きく変わるわけではありません。
それでも私がこのニュースを取り上げたのは、法改正の報道が出るたびに、管理組合の方から「うちも何か手続きが要るの?」と不安の声をいただくからです。せっかくの機会ですので、大規模修繕と建築確認の関係を、国の一次情報で一度きちんと整理しておきたいと思います。
マンションの「大規模修繕」と建築基準法の「大規模の修繕」は別物
法律上の「大規模の修繕」とは
建築基準法第2条第14号は、「大規模の修繕」を建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕と定めています。第15号の「大規模の模様替」も、同じく主要構造部の一種以上について行う過半の模様替です(出典:e-Gov法令検索「建築基準法」)。
ここでいう「主要構造部」(建物の骨格として防火上重要な部分)は、次のとおりです。
- 壁
- 柱
- 床
- はり
- 屋根
- 階段
ただし、構造上重要でない間仕切壁、間柱、最下階の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段などは除かれます(建築基準法第2条第5号)。
管理組合でいう「大規模修繕工事」とは
一方、管理組合や管理会社が使う「大規模修繕工事」は、長期修繕計画(建物を長持ちさせるための30年程度の修繕の予定表)にもとづいて、12〜15年前後の周期で行う外壁・屋上・鉄部・共用部の計画的な修繕を指すのが一般的です。
主な工事は次のようなものです。
- 外壁の下地補修(ひび割れ・欠損の補修)
- 外壁タイルの浮き補修・張り替え
- シーリング(目地のゴム状の防水材)の打ち替え
- 外壁塗装
- 屋上・バルコニー・廊下の防水
- 鉄部塗装、手すりや金物の交換
これらの多くは、仕上げ材や防水層、外装材を直す工事です。柱やはり、構造壁そのものの過半を作り直すわけではありません。だからこそ、言葉は似ていても、法律上の「大規模の修繕」に当たらないケースが大半なのです。
「過半」はどう判断するのか
国土交通省が開いた「建築物の改修における建築基準法のポイント説明会」のQ&Aでは、過半の判断は建築物全体の主要構造部に対する割合をもとに行うと説明されています。たとえば階段が2つある建物で、そのうち1つを架け替えても、過半にならないため大規模の修繕・模様替には該当しない、という例も示されています(出典:国土交通省「令和7年度 建築物の改修における建築基準法のポイント説明会」第1部Q&A(令和8年3月5日時点))。
外壁・屋上の改修で建築確認は要る? 国交省の通知とQ&Aで確認
国住指第356号(令和6年2月8日)のポイント
国土交通省は令和6年2月8日、特定行政庁などに「屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱いについて」(国住指第355号)を通知し、あわせて住宅局建築指導課長から関係団体あてに「屋根及び外壁の改修に係る設計・施工上の留意事項について」(国住指第356号)を出しています。外装材のみの改修やカバー工法の改修を「大規模の修繕・模様替」に該当しないものとする取扱いは355号で示され、356号にはそれを受けて次のように明記されています(出典:国土交通省 国住指第356号)。
- 建築基準法第2条第14号の大規模の修繕、第15号の大規模の模様替に該当しない屋根及び外壁の改修を行う際には、確認申請は不要である
- ただし、確認申請を要さない改修であっても、改修後の建築物が構造耐力上または防火上安全であることが明らかでない場合には、設計にあたり構造安全性の確認、または外装材等の防耐火性能の確保が必要となる
- 特に、既存の外壁に新しい仕上げ材をかぶせる工法による改修では、断熱材を含めて所定の防耐火性能が確保されるよう注意すること
外壁の外装材のみの改修や、カバー工法による改修が「大規模の修繕・模様替」に該当しない扱いになることは、各地の特定行政庁(建築確認を担う自治体)の案内でも同じ趣旨で示されています。ただし、外壁の全部を改修する場合の扱いなど、自治体ごとに補足の取扱いがあることにも注意が必要です。
工事別の早見表
ここまでの国の資料を、首都圏のマンション・ビルでよくある工事に当てはめると、おおむね次のように整理できます。
| 工事の内容 | 建築確認の要否(目安) | 注意点 |
|---|---|---|
| 外壁塗装・下地補修 | 不要とされるケースが大半 | 塗料の防火性能(不燃・準不燃の認定)を確認 |
| 外壁タイルの浮き補修・部分張り替え | 不要とされるケースが大半 | 落下防止の観点で工法を選ぶ |
| シーリングの打ち替え | 不要とされるケースが大半 | 材料の適合・耐用年数の確認 |
| 屋上防水の改修(かぶせ工法を含む) | 不要とされるケースが大半(国交省Q&Aは屋根のカバー工法を確認不要と例示) | 荷重増加、高さ制限への適合を確認 |
| 外壁に新しい仕上げ材・断熱材をかぶせる改修 | 不要とされる扱い | 防耐火性能の確保に特に注意(国住指第356号) |
| 構造壁・柱・床・はりの過半に及ぶ改修 | 大規模の修繕・模様替に該当し得る | 設計段階で建築士・特定行政庁に確認 |
| 増築・用途変更(例:事務所→共同住宅) | 規模・用途により確認が必要 | 既存不適格の扱いを含めて現況調査が必要 |
※あくまで国の通知・Q&Aにもとづく目安です。個別の建物で該当するかどうかは、設計者(建築士)と所在地の特定行政庁・指定確認検査機関に確認してください。
国交省のQ&Aでは、「カバー工法による屋根の改修の場合、大規模修繕・模様替には該当せず建築確認は不要です。ただし、手続が不要であっても、建築物は建築基準法の規定に適合することが必要です」とされています(出典:同Q&A)。この一文は、管理組合の方にこそ覚えておいていただきたい部分です。
該当した場合の確認申請
もし工事の中身が法律上の「大規模の修繕・模様替」に該当する場合、同じQ&Aでは「平屋かつ延べ面積200㎡以内のものを除き、建築確認が必要」と説明されています。共同住宅・ホテルは建築基準法上の特殊建築物でもあり、一般的な規模の鉄筋コンクリート造マンションやビルであれば、確認の対象規模に入ると考えておくのが安全です。
2025年4月の改正建築基準法と、国の「既存建築物」支援策
2025年4月施行の改正で何が変わったか
2025年(令和7年)4月の改正建築基準法の施行により、2階建ての木造一戸建て住宅などの大規模な修繕・模様替を行う際にも、建築確認手続が必要になりました(出典:国土交通省 報道発表「住宅ストック活用のため、改正建築基準法のポイントを解説!」(令和8年9月8日))。
木造の戸建てやアパートでは影響が大きい改正でした。一方、鉄筋コンクリート造のマンション・ビルは、改正前から確認の対象規模に入っているケースが多く、外壁・屋上の一般的な修繕の扱いが大きく変わったわけではありません。ただ、この改正をきっかけに「大規模修繕=確認申請が必要」という誤解が広がり、私のところにもご質問が増えました。
現況調査ガイドラインと緩和措置の解説集
国土交通省は、既存建築物の改修を円滑にするため、令和6年12月に「既存建築物の現況調査ガイドライン」と「既存建築物の緩和措置に関する解説集」を策定・公表し、その後も改訂しています(出典:国土交通省「既存建築物の活用の促進について」)。
- 現況調査ガイドライン:増築や大規模の修繕・模様替をする場合に、建築士が建物の法適合状況を調べる手順・方法を示したもの
- 緩和措置の解説集:既存不適格建築物(建てた当時は適法だが、その後の法改正で現行基準に合わなくなった建物)について、一定の範囲の増築等や用途変更なら、現行規定を引き続き適用しない(遡及しない)条件を解説したもの
さらに令和8年8月31日には「既存建築物の増築等に係る建築基準法の運用の合理化等について(技術的助言)」(国住指第299号)も出ています。国は「既存の建物を直して長く使う」方向に、手続きを少しずつ合理化しているわけです。
築40年前後のマンションやビルでは、確認済証はあっても検査済証(完了検査の合格証)がないケースが少なくありません。将来、用途変更や増築を考えるオーナーの方は、大規模修繕の機会に図面と現況を整理しておくと、後の選択肢が広がります。
現場20年で見てきた「確認申請の誤解」が生む3つのロス
ロス1:不要な手続き費用を見込んでしまう
ある築30年・40戸ほどの賃貸マンションのオーナーさまから、「他社の見積りに『確認申請費用』が入っているが、本当に必要か」とご相談をいただいたことがあります。工事の中身は外壁塗装・シーリング・屋上防水で、私の経験上、法律上の「大規模の修繕」に当たる内容ではありませんでした。
確認申請が必要かどうかは、本来、設計段階で建築士が判断して説明すべきことです。見積書に申請費用がある場合も、ない場合も、「なぜ必要(不要)なのか」の説明を求めてください。
ロス2:「確認不要=何でも自由」と考えてしまう
逆のケースもあります。「確認が要らないなら、安い材料でかぶせればいい」という発想です。国住指第356号が注意しているとおり、既存の外壁に新しい仕上げ材や断熱材をかぶせる工法では、防耐火性能の確保が欠かせません。私は、材料の認定書や仕様書を施主さまにお渡しするようにしています。
ロス3:調査を省いて、工事中に計画が崩れる
外壁を開けてみたら、躯体(コンクリートの構造部分)の劣化が想定より深く、補修範囲が大きく広がる——これは大規模修繕の現場では珍しくありません。補修が構造部分に及べば、手続きや構造の検討が必要になる可能性も出てきます。着工前の劣化診断と、図面と現況の照合が、結果的に工期とコストを守ります。
首都圏の管理組合・オーナーが改修前に確かめたい7項目
ここからが本題です。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県など首都圏で、マンション・ビル・ホテルの外壁や屋上の改修を検討している方に、私が着工前に確認していただきたい7項目をまとめます。
-
工事範囲を「部位×数量」で書き出す
外壁・屋根・床・柱・はり・階段のどこを、どれだけ直すのかを、設計図書や見積書で数量化してもらいます。主要構造部の過半に及ぶかどうかの判断の土台になります。 -
建築確認の要否を、根拠つきで説明してもらう
「不要です」「必要です」だけでなく、国住指第356号や特定行政庁の取扱いなど、どの根拠で判断したかを書面でもらいましょう。 -
かぶせ工法の材料は、防耐火性能を確認する
外壁のカバー工法や外断熱を採用する場合、外装材と断熱材の組み合わせで所定の防耐火性能を満たすかを確認します。 -
確認済証・検査済証・竣工図の有無を整理する
管理組合・オーナーの手元にあるかを確認し、ない場合は所在地の自治体で「建築計画概要書」や台帳記載事項証明の取得を検討します。 -
石綿(アスベスト)の事前調査と報告を確認する
建築物の改修工事は、請負金額100万円以上(税込)の場合、石綿の事前調査結果を元請業者が工事開始前に報告することが義務です。石綿が含まれていない場合も、その旨の報告が必要です(出典:環境省「石綿事前調査結果の報告について」、厚生労働省 石綿総合情報ポータル「改修・リフォーム業者のみなさまへ」)。古い塗膜や下地調整材に含まれることがあるため、外壁改修では特に重要です。 -
12条点検(定期報告)の結果と、修繕範囲を突き合わせる
特定建築物の定期調査(建築基準法第12条)で指摘された外壁タイルの浮きなどが、今回の修繕範囲に含まれているかを確認します。 -
仮設計画(足場・ロープアクセス・ハイブリッド)を部位ごとに比較する
確認申請の要否とは別に、工事費の大きな割合を占めるのが仮設です。部位ごとに工法を比べると、総額が変わることがあります(次の章で詳しくお伝えします)。
仮設費は工事費の大きな割合。足場・ロープアクセス・ハイブリッドの比較
工法ごとの特徴
外壁や屋上の改修では、建築確認の要否に関係なく、作業のための「仮設」が必要です。明誠では、建物の形状・高さ・工事内容に応じて、次の3つの工法からご提案しています。
| 工法 | 向いている建物・工事 | 主な留意点 |
|---|---|---|
| 通常足場工法 | 中低層、全面的な外壁改修、重量物の取り付け | 足場の架設・解体に日数と費用がかかる。居住者の採光・防犯への影響 |
| ロープアクセス工法(無足場工法) | 高層、部分補修、調査、足場の設置が難しい面 | 作業者はメインロープとバックアップロープの2本に接続し、2点以上の吊元を確保。広範囲の全面工事では足場が合理的なことも |
| ハイブリッド工法 | 面ごとに条件が違う大規模・複雑な建物 | 部位ごとの工程調整が必要 |
ロープアクセス工法の詳しい仕組みは、明誠のロープアクセス工法の技術詳細のページでご紹介しています。ロープアクセスの安全基準や技術情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにも詳しくまとめています。
金額の目安
私どもが参考値としてお示ししている比較例では、10階建て・外周80m・工期3か月の建物で、足場の仮設費168万円に対し、ロープアクセスでは59万円(差額約109万円)という試算があります。また、首都圏の一般的な単価の目安としては、外壁塗装3,500〜4,500円/㎡、打診調査250〜500円/㎡、防水5,000〜8,000円/㎡程度です。
※いずれも明誠の社内試算・参考値です。実際の金額は、建物の形状・劣化状況・仕様・立地により大きく変わります。個別の現地調査と見積りでご確認ください。
30戸前後のマンションで総工費が3,500万〜5,000万円程度になる場合、仮設費が15〜25%を占めることもあります(社内実績からの目安)。戸あたりに直すと、仮設費だけで1戸あたり数十万円規模になることもあり、ここを部位ごとに見直す意味は小さくありません。料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方でもご説明しています。
ロープアクセスが向かないケースも正直にお伝えします
全面的な外壁の張り替え、重量物の搬入・取り付け、広い面積での長期間の作業などは、足場のほうが安全・合理的なことがあります。私はこれを、いつもワンセットで説明するようにしています。工法の良し悪しではなく、部位ごとの向き不向きです。
明誠のご提案(自社サービスのご紹介)
ここからは、自社のサービス紹介です。
株式会社明誠は、これまでに約6,000棟(明誠社内集計)のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害ゼロ(明誠社内集計・2026年11月時点)を維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工にあたり、ISO9001の品質マネジメントシステムを運用しています。ロープアクセスの訓練体制やフランチャイズの仕組みは、同業者向けの姉妹サイトロープアクセスドットコム(技術・訓練情報)でも発信しています。
また明誠は、日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職と連携しています。通常足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法から、建物ごとに最適な組み合わせをご提案できるのが強みです。
- 管理組合の方向け:管理組合さま向けサービス
- ビルオーナーの方向け:ビルオーナーさま向けサービス
- 外壁の劣化状況を把握したい方:ドローンを活用した外壁調査
- 安全への取り組み:明誠の安全管理
これまでの工事の様子は、明誠の施工事例からご覧いただけます。
よくあるご質問
Q. マンションの大規模修繕で、建築確認は必要ですか?
A. 外壁塗装・シーリング・屋上防水など、外装材や防水層を直す一般的な大規模修繕は、法律上の「大規模の修繕」に該当せず、確認申請は不要とされるケースが大半です。ただし、構造部分の過半に及ぶ工事などは該当し得るため、設計者と特定行政庁に確認してください。
Q. 2026年11月1日の建築基準法施行令の改正で、大規模修繕の手続きは変わりましたか?
A. 改正は型式適合認定・採光・防火避難・危険物の4項目の見直しで、一般的な外壁・屋上の修繕に新しい手続きが加わる内容ではありません。防火避難規制などの具体的な基準は告示で定められます(出典:国土交通省 報道発表(令和8年9月11日))。
Q. 屋上防水のかぶせ工法は、建築確認が要りますか?
A. 防水層の改修で屋根スラブ自体の過半を直さなければ、一般に「大規模の修繕」には該当しないと考えられます。国土交通省の説明会Q&Aでも、既存屋根にかぶせるカバー工法による改修は大規模修繕・模様替に該当せず、建築確認は不要とされています。ただし、手続きが不要でも、建物は建築基準法の規定に適合している必要があります。
Q. 外壁に断熱材をかぶせる改修で気をつけることは?
A. 国住指第356号では、既存の外壁に新しい仕上げ材をかぶせる工法の場合、断熱材を含めて所定の防耐火性能が確保されるよう注意を求めています。材料の認定書・仕様を確認してください。
Q. 検査済証がないマンションでも大規模修繕はできますか?
A. 外装・防水の一般的な修繕は、検査済証がなくても実施されています。ただし、将来の増築・用途変更では法適合状況の調査が必要になるため、国土交通省の「既存建築物の現況調査ガイドライン」を参考に、建築士と図面・現況を整理しておくことをおすすめします。
Q. 外壁改修でアスベストの調査は必要ですか?
A. 建築物の改修工事で請負金額が100万円以上(税込)の場合、元請業者による石綿の事前調査結果の報告が工事開始前に必要です。石綿が含まれていない場合も報告が必要です(出典:環境省)。
Q. ロープアクセス工法なら費用はどれくらい下がりますか?
A. 明誠の参考試算では、10階建て・外周80mの建物で、足場168万円に対しロープアクセス59万円という例があります。ただし建物の形状や工事内容によって大きく変わり、足場が合理的なケースもあります。無料で現地を拝見し、概算をお出しします。
この記事のポイントまとめ
- 建築基準法施行令の改正は令和8年11月1日施行。型式適合認定・採光・防火避難・危険物の4項目の見直し
- 防火避難・採光・危険物の具体的な基準は告示で規定。個別の建物での適用は設計者・行政に確認
- マンションの「大規模修繕工事」と、法律上の「大規模の修繕」(主要構造部の過半の修繕)は別物
- 外装材のみの改修やカバー工法は「大規模の修繕・模様替」に該当せず確認申請不要とされる(国住指第355号・第356号)
- 確認が不要でも、改修後の建物は建築基準法に適合している必要がある。かぶせ工法は防耐火性能に注意
- 改修工事の請負金額が100万円以上(税込)なら、石綿の事前調査結果の報告が工事開始前に必要
- 仮設は工事費の大きな割合を占める。足場・ロープアクセス・ハイブリッドを部位ごとに比較する
出典・参考資料
- 弁護士JPニュース「資材不足でも”住宅の円滑供給”へ…11月施行の建築基準法施行令改正、4つの”変更点”」(2026年11月1日、Googleアラート経由で確認)
- 国土交通省「『建築基準法施行令の一部を改正する政令』を閣議決定」(令和8年9月11日 報道発表)
- 国土交通省「屋根及び外壁の改修に係る設計・施工上の留意事項について」(国住指第356号、令和6年2月8日。別添として国住指第355号「屋根及び外壁の改修に関する建築基準法上の取扱いについて」を収録)
- 国土交通省「建築物の改修における建築基準法のポイント説明会 第1部Q&A」(令和8年3月5日時点)
- 国土交通省「既存建築物の活用の促進について」(現況調査ガイドライン・緩和措置の解説集・技術的助言)
- 国土交通省「住宅ストック活用のため、改正建築基準法のポイントを解説!」(令和8年9月8日 報道発表)
- e-Gov法令検索「建築基準法」
- 環境省「石綿事前調査結果の報告について」
- 厚生労働省 石綿総合情報ポータル「改修・リフォーム業者のみなさまへ」
※本記事は、国土交通省・環境省・厚生労働省の公表資料と報道の範囲に基づいています。建築確認の要否は、個別の建物・工事内容により、設計者(建築士)と所在地の特定行政庁・指定確認検査機関が判断します。費用・工期は一般的な目安・参考値であり、実際は建物の状況により異なります。
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
法改正のニュースが出るたびに、「うちは何をすればいいのか」と不安になるお気持ちは、私もよく分かります。ただ、手続きの要否を決めるのは、いつも工事の中身です。まず建物の状態を知り、直す範囲を決め、そのうえで必要な手続きを確かめる——この順番を守れば、余計な費用も、思わぬ手戻りも防げます。外壁や屋上の劣化診断、修繕範囲の整理のご相談だけでも、お問い合わせフォームからお声がけください。現場で20年見てきた者として、できる限り分かりやすくお答えします。
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年11月4日
関連記事(姉妹サイト)
ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
本間社長の著書のご案内
『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。

