本間社長ブログ
箱根町のマンション補助金|大規模修繕に使える制度【2026】
目次
- 早見表:箱根町のマンション共用部で使える制度・使えない制度
- 箱根町はこんな町です-人口約1万人、リゾートマンションが多い県西の観光地
- 町村部のマンションは、神奈川県が管理計画を認定します
- 条件つきで検討できる制度①:大規模修繕後の固定資産税の減額(長寿命化促進税制)
- 条件つきで検討できる制度②:箱根町の再生可能エネルギー設備導入費補助金
- 条件つきで検討できる制度③:緊急輸送道路沿道建築物の耐震化補助
- 条件つきで検討できる制度④:ブロック塀等の撤去・改修補助
- 使えない制度を、先に見極めましょう
- 補助が少ない町だからこそ:融資と工法の選び方で、総額を見直す
- 制度を使うときの共通の落とし穴
- 箱根町のマンションが大規模修繕に向けて動く5つのステップ
- 賃貸マンション・ビル・大手ホテルチェーンのオーナーの方へ
- よくあるご質問
- この記事のポイントまとめ
- 出典・参考資料

-
著作者プロフィール
株式会社明誠 代表取締役
本間 幸紘
大規模修繕・外壁工事・ロープアクセス工事に関する情報を、現場経験をもとに分かりやすくお届けします。
2026年10月9日 更新
「箱根町で、マンションの大規模修繕に使える補助金はあるのか?」
結論から申し上げます。令和8年度(2026年度)の箱根町公式サイトを確認した範囲では、マンション管理組合が共用部の大規模修繕工事費そのものに使える補助金は見つかりませんでした。 一方で、見落としたくない道が3つあります。1つめは、町村部のマンションの管理計画は、町ではなく神奈川県が認定すること。2つめは、その認定を受けると使える可能性のある国のマンション長寿命化促進税制(大規模修繕後の固定資産税の減額)。3つめは、条件が合えば検討できる町の再生可能エネルギー設備導入費補助金や緊急輸送道路沿道建築物の耐震化補助です。ただし税制には工事の完了日が2027年3月31日までという期限があり、箱根町の公式サイトでは、この税の減額の案内ページを私は確認できませんでした。
こんにちは、株式会社明誠の本間です。マンション・ビル・大手ホテルチェーンの大規模修繕に20年以上携わってきました。この記事では、箱根町のマンションの理事長さま・理事の皆さまに向けて、町と県と国の制度を「共用部に使えるか、使えないか」で仕分けし、そのうえで、補助が少ない町だからこそ大切になる「工事費そのものを適正に抑える考え方」までお伝えします。
なお、神奈川県の資料には、町村部のマンションは「その半数以上が、別荘的な居住を目的としたリゾートマンション」と書かれています。箱根町は、その町村部にあたります。区分所有者の多くが普段は町外にお住まいで、理事会の開催や合意形成に時間がかかる。そうした事情を前提に、制度と進め方をまとめました。
早見表:箱根町のマンション共用部で使える制度・使えない制度
| 制度 | 共用部の大規模修繕に使えるか | 補足 |
|---|---|---|
| 工事費そのものへの補助(町) | 公式ページでは確認できず | 令和8年度の町の住宅補助制度は、家賃補助・若者世帯の住宅取得・空き家リフォームの3つ |
| 管理計画認定制度(県が認定) | 補助ではないが、税の減額と融資の入口になる | 町村部のマンションは県が認定。窓口は住宅計画課民間住宅グループ |
| マンション長寿命化促進税制(国) | 条件つき | 管理計画認定などが前提。外壁塗装等・床防水・屋根防水の3つをすべて実施し、2027年3月31日までに完了 |
| 再生可能エネルギー設備導入費補助金(町) | 共用部は不可と読める | 集合住宅は居室部分で使う設備が対象。管理組合の申請可否は明記なし |
| 緊急輸送道路沿道建築物耐震化補助(町) | 条件に合えば検討可 | 昭和56年5月31日以前の着工など。区分所有の扱いは窓口で確認 |
| ブロック塀等撤去改修補助(町) | 条件に合えば検討可 | 管理組合が「管理者」にあたるかは窓口で確認 |
| 木造住宅耐震化補助(町) | 使えない可能性が高い | 対象は木造2階建て以下の一戸建て・併用住宅 |
箱根町はこんな町です-人口約1万人、リゾートマンションが多い県西の観光地
箱根町の公式サイトによると、2026年9月1日現在の人口は10,224人(男4,828人・女5,396人)、世帯数は6,150世帯です。観光の町として知られる一方、神奈川県の資料では、町村部のマンションの半数以上がリゾートマンションと整理されています。
この特徴は、大規模修繕の進め方に直結します。居住者が少なく、区分所有者の多くが遠方にいるマンションでは、総会の定足数が集まりにくい、修繕積立金の滞納や連絡不能の区分所有者への対応に手間がかかる、といった課題が出やすいからです。また、標高が高く寒暖差の大きい山間部や、温泉地では、一般に外壁やシーリング、金属部の傷み方が平地と違うと言われます。ただし、これは建物ごとに差が大きいので、診断で確かめることをおすすめします。
私がこれまで見てきた現場でも、「使っていない部屋が多いから、傷みも少ないだろう」と思われていた建物が、実は共用部の防水や外壁から先に傷んでいた、という話は珍しくありません。人が住んでいなくても、雨風と寒暖差は毎日、建物にあたっています。
町村部のマンションは、神奈川県が管理計画を認定します
ここが、箱根町のマンションで一番大切な点です。神奈川県の「マンション管理計画認定制度の手引き」によると、神奈川県の町村部にあるマンションは、県が認定します。箱根町は町村部に含まれます。市部のマンションは各市が窓口になるため、同じ神奈川県内でも窓口が違います。
窓口と申請の流れ
県の手引きに書かれている主な点は次のとおりです。
- 窓口:神奈川県 県土整備局 建築住宅部 住宅計画課 民間住宅グループ(電話:045-210-6557)
- 提出部数:正本1部、副本1部
- 申請前に電話で相談することが求められています。書類がすべてそろっていなくても相談できるとされています
- 認定基準は、マンション管理適正化法などに基づくもので、県独自の基準は設けていないとされています
- 申請手数料:手引きには記載がありませんでした。窓口でご確認ください
認定基準のおもな中身
県の手引きから、理事会で最初に確認したい項目を抜き出します。
| 分野 | 主な基準 |
|---|---|
| 管理組合の運営 | 管理者等と監事が選任されていること。集会が年1回以上開かれていること |
| 管理規約 | 専有部分への立入り、維持管理記録の作成・保存、情報提供への対応が定められていること |
| 経理 | 管理費と修繕積立金が区分経理されていること。修繕積立金を他会計へ充当していないこと。3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること |
| 長期修繕計画 | 標準様式に準拠し、集会で決議されていること。作成・見直しが7年以内であること。計画期間が30年以上で、大規模修繕工事を2回以上含むこと。一時金の徴収を予定していないこと。最終年度に借入金残高がないこと |
| 名簿 | 組合員名簿と居住者名簿が作成され、年1回以上更新されていること |
リゾートマンションで引っかかりやすいのは、「集会が年1回以上開かれていること」と「名簿が年1回以上更新されていること」だと私は考えています。区分所有者の連絡先が古いままだと、名簿の更新に時間がかかります。認定を考えるなら、大規模修繕の準備と並行して、早めに名簿の整備から始めてください。
条件つきで検討できる制度①:大規模修繕後の固定資産税の減額(長寿命化促進税制)
国土交通省の資料によると、「マンション長寿命化促進税制」は、一定の要件を満たすマンションが長寿命化工事を行った場合に、翌年度分の建物の固定資産税を減額する制度です。
制度の中身
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象マンション | 居住用専有部分があり、新築から20年以上が経過した、総戸数10戸以上のマンション |
| 前提となる条件 | 管理計画認定マンションであること、またはマンション管理適正化法に基づく助言・指導を受けた管理組合のマンションであること |
| 対象工事 | 外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事の3つすべて。同一の工事請負契約など、一体として扱われること |
| 減額の内容 | 翌年度分の固定資産税額を、6分の1から2分の1以下の範囲で市町村等の条例で定める割合で減額(参酌基準は3分の1) |
| 上限 | 工事が行われた棟の建物部分が対象で、1戸あたり100㎡相当分まで |
| 期限 | 令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に工事が行われること。工事完了日から3か月以内に市町村等へ申告 |
箱根町での扱いは、窓口で確認が必要です
減額の割合は、国の枠の中で市町村の条例で決まります。私が箱根町の公式サイトを確認した範囲では、この制度の専用の案内ページは見つかりませんでした。したがって、箱根町での減額割合や申告の手順は、町の税務担当の窓口に直接ご確認ください。
期限は、思っているより近い
2026年10月9日現在、期限の2027年3月31日までは、約5か月半です。総会での決議、見積り比較、契約、着工、完了までの日程を考えると、これから新しく計画する工事を期限内に完了させるのは、かなり厳しい場合があります。すでに計画が進んでいるマンションは、完了日の見通しを工程表で確認してください。間に合わない場合は、延長などの動向を確認しつつ、先に管理計画の認定と長期修繕計画の見直しを進めておくのが現実的です。
併用できない制度もあります。国土交通省の資料では、既存住宅の耐震改修・居住安全改修・熱損失防止改修などの固定資産税の減額措置や、認定長期優良住宅の減額措置とは併用できないとされています。
条件つきで検討できる制度②:箱根町の再生可能エネルギー設備導入費補助金
箱根町の環境のページに掲載されている補助金は、「再生可能エネルギー設備導入費補助金」です。町の案内では、対象設備は次の5種類です。
- 住宅用太陽光発電システム(合計出力10kW未満):補助額は上限5万円
- 定置用リチウムイオン蓄電池:上限5万円
- 家庭用燃料電池システム:上限5万円
- V2H充放電設備(電気自動車を所有する方に限る):上限5万円
- HEMS:上限1万円
補助額は、事業費(設備費+設置工事費)から国・県の補助金を引いた額と上限額を比べて決まります。受付期間はページに記載がなく、「予算の範囲内」で交付されます。申請書類は、設備の設置工事に着手する前に環境課へ提出します。
管理組合が共用部で使えるかは、読み取れません
ここが注意点です。町の案内では、集合住宅は対象になり得るものの、設備は居室部分で使用し、共用部分では使用しないことが条件とされています。つまり、エントランスや廊下の照明、共用部の電気をまかなうための太陽光発電などは、対象外と読めます。また、管理組合が申請者になれるかどうかは、ページに記載がありません。この補助金は、大規模修繕の費用を軽くするものではなく、区分所有者が自分の住戸で使う設備向けの制度と考えてください。
条件つきで検討できる制度③:緊急輸送道路沿道建築物の耐震化補助
箱根町には、「緊急輸送道路沿道建築物耐震化補助事業」があります。町の案内によると、対象の道路は国道1号(箱根新道・小田原箱根道路を除く)、国道138号、県道75号です。
| 区分 | 補助率 | 上限(1棟あたり) |
|---|---|---|
| 耐震診断費 | 経費の3分の2以内 | 240万円 |
| 耐震設計費 | 経費の3分の2以内 | 240万円 |
| 耐震改修費 | 経費の2分の1以内 | 1,000万円 |
対象は、昭和56年5月31日以前に着工された建築物で、緊急輸送道路沿いにあり、一定の高さ以上のものなどです。耐震改修の場合は、耐震診断で倒壊の危険性があると判断されていることも条件です。補助金の交付は、年度予算の範囲内とされています。
私が確認した範囲では、町のページにマンションへの言及はなく、区分所有の建物での申請手続きや、高さの基準は読み取れませんでした。旧耐震のマンションで、国道1号・138号・県道75号に面している場合は、都市整備課(電話:0460-85-9566)に一度、問い合わせる価値があります。
条件つきで検討できる制度④:ブロック塀等の撤去・改修補助
敷地の道路側にブロック塀がある場合は、「ブロック塀等撤去改修補助事業」も選択肢です。町の案内では、対象は「町内にある道路等に面したブロック塀等の所有者または管理者」で、補助額は次のとおりです。
- 撤去:工事費(税抜)と、延長1メートルあたり1万円を乗じた額のいずれか少ない方の2分の1(上限10万円)。通学路沿いは10分の9(上限20万円)
- 改修(安全な工作物の設置):工事費(税抜)と、延長1メートルあたり2万円を乗じた額のいずれか少ない方の2分の1(上限20万円)。通学路沿いは10分の9(上限40万円)
交付決定の前に撤去や改修を始めると、対象から外れます。分譲マンションの管理組合が「管理者」にあたるかは、ページに記載がないため、都市整備課に確認してください。
使えない制度を、先に見極めましょう
木造住宅の耐震化補助:RC造のマンションは対象外と読めます
町の「木造住宅耐震化補助事業」の対象は、昭和56年5月31日以前に建築された木造2階建て以下の一戸建て住宅または併用住宅です。鉄筋コンクリート造のマンションは、この条件に当てはまりません。耐震診断(上限8万円)、耐震改修(上限100万円)などの金額が目につきますが、管理組合が使える制度ではありません。
町の住宅補助制度:マンション共用部の修繕は対象ではありません
町の「住宅補助制度」のページには、3つの制度が載っています。
- 民間賃貸住宅家賃補助制度:新婚世帯または転入若者世帯向け。家賃の2分の1、月額上限2万円、24か月
- 若者世帯住宅取得補助制度:40歳未満の夫婦などが町内に住宅を取得した場合。取得費用の10分の1、上限100万円
- 空き家リフォーム事業補助制度:空き家バンクに登録された空き家を定住目的でリフォームする場合。費用の2分の1、上限50万円
いずれも、マンションの共用部の大規模修繕とは別の目的の制度です。
工事費そのものへの補助:令和8年度の公式ページでは確認できず
以上を見渡したうえで、私が箱根町の公式サイトで確認できた範囲では、「分譲マンションの共用部の大規模修繕工事費に補助する制度」は見つかりませんでした。年度の途中で新設されることもあり得ますので、実際に動き出す前に、窓口に「管理組合が使える補助制度はありますか」と一度お尋ねください。
補助が少ない町だからこそ:融資と工法の選び方で、総額を見直す
補助金が見当たらない場合、修繕積立金を守る手段は大きく2つです。資金の借り方を見直すことと、工事費そのものを適正に抑えることです。
修繕積立金が足りないときの選択肢:管理組合向けの融資
住宅金融支援機構の「マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)」は、マンションの共用部分リフォーム工事が対象です。公式ページによると、公益財団法人マンション管理センターなどの保証を利用すれば担保は必要ありません。また、耐震・浸水対策・省エネの工事、「マンションすまい・る債」の残高があること、管理計画の認定を受けていることのそれぞれで、金利が年0.2%引き下げられる場合があります(出典:住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)」)。融資限度額・返済期間・金利は、機構のページや窓口で最新のものをご確認ください。県の認定を受けることは、税の減額だけでなく、この融資の金利優遇にもつながります。
費用の目安
金額は物件によって大きく変わるため、あくまで参考値です。私たちが見積りの入口でお伝えしている目安は、次のとおりです。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 30戸規模マンションの大規模修繕 総工費 | 約3,500万〜5,000万円 |
| うち仮設足場の割合 | 総工費の約15〜25% |
| 外壁塗装 | 1㎡あたり約3,500〜4,500円 |
| 外壁の打診調査 | 1㎡あたり約250〜500円 |
| 防水工事 | 1㎡あたり約5,000〜8,000円 |
たとえば、10階建て・外周80m・工期3か月の建物を例にとると、足場の費用が約168万円かかるところ、ロープアクセスでは約59万円、差額は約109万円という試算になります。もちろん、工事内容によってはロープアクセスが向かないこともあります。実際の見積りは、建物の形状・劣化状況・工事範囲によって変わります。料金の考え方は大規模修繕の料金の考え方(明誠)でもご紹介しています。
3つの工法を、公平に比べる
明誠は、次の3つから建物に合う工法を提案しています。
| 工法 | 向いている建物・工事 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 通常の足場仮設工法 | 外壁の全面補修、塗装・防水・タイルを一括で行う大規模修繕 | 作業の安全性と品質を確保しやすく、全面的な工事に適する | 足場の設置・解体の費用と工期がかかる。山間部では材料搬入の道が狭い場合がある |
| ロープアクセス工法(無足場工法) | 外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査・点検、部分塗装 | 足場が不要なため、工期と費用を抑えやすい。居住者・宿泊者への影響が少ない | 作業内容によっては向かない。専門の技能を持つ職人が必要 |
| ハイブリッド工法 | 面ごと・部位ごとに足場とロープを使い分ける建物 | 部位ごとに最適な方法を選べ、総額を最適化しやすい | 計画と工程管理に専門性が必要 |
ロープアクセス工法は、作業者がメインロープとバックアップロープの2本に接続し、屋上などに2点以上の吊元(ロープを固定する支点)を確保して作業する方法です。明誠の工法の詳細は明誠のロープアクセス工法の技術と実績、業界全体の安全基準や事例は姉妹サイトのロープアクセスドットコム(無足場工法の専門メディア)で詳しく解説しています。
ここは利益相反になるので、正直に申し上げます。 私たちは3つの工法をすべて扱うので、足場が最適なら足場を、ロープが向くならロープを提案します。税の減額を使う外壁・床・屋根の全面改修なら、足場を中心に、屋上まわりや調査だけロープアクセスを使う、という組み合わせを提案することもあります。リゾートマンションのように普段の居住者が少ない建物は、足場の防犯や、工事中の宿泊・滞在への影響を考える必要があります。そのため、部分補修を早めにロープで行い、全面改修の時期を見極める、という考え方もあります。どれか1つに誘導するための記事ではありません。
明誠について、数字でお伝えします
株式会社明誠は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・大手ホテルチェーンの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠と全国のフランチャイズ加盟企業では、過去16年間、墜落による労働災害ゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が施工し、ISO9001の品質マネジメントシステムを運用しています。また、日本初のロープアクセス工事のフランチャイズ本部として、塗装・防水・タイル・電気・看板の各分野の専門職と連携しています。
箱根町のマンションで、理事会が確認したいこと
- 県の管理計画認定を受けているか、受ける準備ができているか(税の減額と融資の金利優遇に関わります)
- 前回の大規模修繕で、外壁塗装・床防水・屋根防水を行ったか、書類は残っているか
- 修繕積立金の残高と、長期修繕計画の見直し時期(30年以上の計画で、大規模修繕が2回以上含まれているか)
- 区分所有者の名簿と連絡先が最新か。総会の出席・議決権行使書の回収が、現実にできる状態か
- 外壁・シーリング・屋上防水・鉄部の状態(寒暖差や湿気、温泉地特有の腐食の影響が出ていないか)
- 敷地への車両の搬入経路、足場材料の置場の余裕(山間部では道幅や勾配が制約になる場合があります)
- 町の景観計画や届出が必要な工事にあたらないか(箱根町には景観計画・景観条例のページがあります)
現場で見てきたこと
現場で20年以上やってきて、私が一番悔しい思いをするのは、「使えたはずの制度を、期限や手順を知らずに逃した」という話を、工事が終わってから聞く場面です。補助金も税の減額も、工事の前や契約の前に動かなければ、後からは取り戻せないものがほとんどです。この税制も、屋根防水を外した仕様で契約してしまってから気づいた、というのでは手遅れになります。
特にリゾートマンションでは、総会を一度開き直すだけで数か月かかることがあります。管理組合向けのサービス内容はマンション管理組合さま向けの大規模修繕サービスにまとめています。明誠のこれまでの施工の様子は、明誠の施工事例からご覧いただけます。
制度を使うときの共通の落とし穴
失敗しやすい3つのパターン
- 3つの工事の一部を外してしまう:税の減額は、外壁塗装等・床防水・屋根防水のすべてを実施することが条件です。予算を理由に一部を次回送りにすると、対象から外れる可能性があります
- 工事の完了期限を、着工の時期で考えてしまう:期限は「完了」が2027年3月31日です。天候による遅れも見込んだ余裕のある工程にしなければなりません。山間部は冬に気温が下がり、塗装・防水に適さない日が増えることもあります
- 窓口を間違える:管理計画の認定は県、税の減額は町、耐震やブロック塀は町の都市整備課と、窓口が分かれます。最初に一覧にして、担当を決めておくと混乱しません
理事会で使える質問リスト
窓口へ問い合わせるとき、次の質問をそのまま使えます。
- 県の管理計画認定について、申請手数料・必要書類・所要日数を教えてください(県 住宅計画課 民間住宅グループ:045-210-6557)
- 大規模修繕後の固定資産税の減額は、箱根町では減額割合と申告の期限をどう定めていますか(町の税務担当)
- 再生可能エネルギー設備導入費補助金は、管理組合が申請者になれますか。共用部は対象外と考えてよいですか(環境課)
- 緊急輸送道路沿道建築物耐震化補助は、区分所有のマンションでも申請できますか。対象になる高さの基準を教えてください(都市整備課:0460-85-9566)
- 管理組合が使える補助制度で、公式サイトに載っていないものはありますか
箱根町のマンションが大規模修繕に向けて動く5つのステップ
- 長期修繕計画と過去の修繕履歴を確認する:特に、前回の工事の内容と書類、修繕積立金の残高、区分所有者名簿の状態を確かめます
- 県と町の窓口へ質問リストで確認する:県の住宅計画課民間住宅グループ(045-210-6557)、町の都市整備課(0460-85-9566)、環境課、税務の担当へ、前章の質問を投げます
- 建物診断(劣化調査)を行う:工法を選ぶ前に、劣化の程度を調べます。ロープアクセスでの外壁調査の方法という選択肢もあります
- 3つの工法で相見積りを取る:足場・ロープ・ハイブリッドのそれぞれで、工事の範囲と見積りを比べます。税の減額を狙うなら、仕様書に外壁塗装等・床防水・屋根防水の3つが入っているかも比べてください
- 完了期限から逆算して工程を組む:総会の決議、契約、着工、完了までの日付を工程表に書き込みます。2027年3月31日に間に合わない場合は、延長の動向を見ながら、認定と計画づくりを先に進めます
賃貸マンション・ビル・大手ホテルチェーンのオーナーの方へ
収益不動産をお持ちのオーナーの方にとって、箱根町の制度は限られています。木造住宅の耐震補助は一戸建てが対象で、税の減額制度も管理計画認定を受けた分譲マンションが前提です。ワンオーナーの賃貸マンションが使えるかは、窓口に確認が必要です。
ここで私がお勧めするのは、補助金に頼らない収支計画です。外壁の塗装やシーリングの傷み、屋上防水の劣化を放置すると、雨漏りや入居者の退去、宿泊施設であれば客室の稼働停止につながります。足場を組まないロープアクセス工法で部分的に早めに手当てすれば、工事費を抑えながら営業を続けられる場合があります。オーナーさま向けの考え方はビルオーナーさま向けの大規模修繕でご紹介しています。大手ホテルチェーンや旅館の施設をお持ちの方は、大手ホテルチェーンさま向けの大規模修繕もご覧ください。
よくあるご質問
Q. 箱根町で、マンションの大規模修繕工事費に使える補助金はありますか?
私が箱根町の公式サイトで確認した範囲(2026年10月9日時点)では、分譲マンションの共用部の大規模修繕工事費そのものに補助する制度は見つかりませんでした。町の住宅補助制度は、家賃補助・若者世帯の住宅取得・空き家リフォームの3つです。年度途中の新設もあり得るため、窓口でご確認ください。
Q. 箱根町のマンションの管理計画認定は、どこに申請しますか?
神奈川県の手引きによると、町村部のマンションは県が認定します。箱根町は町村部に含まれ、窓口は神奈川県 県土整備局 建築住宅部 住宅計画課 民間住宅グループ(電話:045-210-6557)です。申請前に電話相談が求められています。
Q. 大規模修繕のあとに、固定資産税が安くなる制度はありますか?
国のマンション長寿命化促進税制があります。管理計画認定などの要件を満たし、外壁塗装等・床防水・屋根防水の3つをすべて実施して、2027年3月31日までに工事を完了すると、翌年度分の建物の固定資産税が減額されます。減額の割合は市町村の条例で決まるため、箱根町の窓口でご確認ください。
Q. 再生可能エネルギー設備導入費補助金を、管理組合は申請できますか?
町のページに、管理組合が申請者になれるかの記載はありません。集合住宅は対象になり得るものの、設備は居室部分で使い、共用部分では使わないことが条件です。共用部の設備は対象外と読めますので、環境課にご確認ください。
Q. 旧耐震のマンションで、耐震化の補助は使えますか?
町には、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化補助があります。対象は、昭和56年5月31日以前に着工され、国道1号・138号・県道75号に面するなどの建築物です。マンションへの言及はページになく、区分所有の扱いは読み取れません。都市整備課(電話:0460-85-9566)にご相談ください。木造住宅の耐震補助は、RC造のマンションは対象外と読めます。
Q. リゾートマンションでも、大規模修繕を進められますか?
進められます。ただし、居住者が少なく区分所有者が遠方にいるため、総会の成立や名簿の整備に時間がかかる傾向があります。書面や電磁的方法による議決権行使など、運営面の準備を早めに始めることをおすすめします。
Q. 足場を組まない大規模修繕は、可能ですか?
外壁の部分補修、シーリングの打替え、調査・点検、部分塗装などは、ロープアクセス工法で可能な場合があります。一方、全面改修では足場が適することもあります。明誠は、通常の足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3つから、建物に合う工法をご提案しています。
Q. 相談や見積りに費用はかかりますか?
ご相談や、お見積りのご依頼に費用はかかりません。お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
この記事のポイントまとめ
- 箱根町の令和8年度の制度で、管理組合が共用部の大規模修繕工事費に使える補助金は、公式サイトでは確認できなかった
- 町村部のマンションの管理計画は県が認定する。窓口は県の住宅計画課民間住宅グループ(045-210-6557)
- 国の固定資産税の減額は、管理計画認定などが前提で、外壁塗装等・床防水・屋根防水をすべて実施し、2027年3月31日までに完了することが条件。箱根町の案内ページは確認できず、町の窓口に確認
- 緊急輸送道路沿道建築物の耐震化補助とブロック塀の補助は、条件に合えば検討できる。区分所有の扱いは都市整備課(0460-85-9566)に確認
- 木造住宅の耐震補助と町の住宅補助3制度は、マンション共用部の修繕には使えない可能性が高い
- 神奈川県の町村部のマンションは、半数以上がリゾートマンション。名簿の整備と総会の成立を早めに準備する
出典・参考資料
- 箱根町「箱根町ホームページ(人口・世帯数)」
- 箱根町「箱根町の住宅補助制度」
- 箱根町「環境先進観光地(補助金・助成制度)」
- 箱根町「再生可能エネルギー設備導入費補助金」
- 箱根町「木造住宅耐震化補助事業について」
- 箱根町「緊急輸送道路沿道建築物耐震化補助事業について」
- 箱根町「ブロック塀等撤去改修補助事業について」
- 神奈川県「マンション管理計画認定制度の手引き」
- 神奈川県「神奈川県マンション管理適正化推進計画(第5章)」
- 国土交通省「マンション長寿命化促進税制について」
- 国土交通省「マンション管理計画認定制度」
- 住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)」
本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年10月9日時点で公表されている箱根町、神奈川県、国土交通省、住宅金融支援機構の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請・申告される前に、箱根町および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。本記事は法的・税務上の助言ではありません。
箱根町は、工事費に補助金を出す町ではありません。それでも、県の管理計画認定という入口と、期限つきの税の減額、条件が合えば使える耐震やブロック塀の補助という、確かめる価値のある道があります。まずは使える制度と使えない制度を仕分けして、期限から逆算する。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。ご相談だけでも遠慮なくお問い合わせフォームからお声がけください。
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・大手ホテルチェーンの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
最終更新:2026年10月9日
関連記事(姉妹サイト)
ロープアクセス工法の詳細や実例については、姉妹サイト「ロープアクセスドットコム」の以下の記事もぜひご覧ください。
本間社長の著書のご案内
『大規模修繕工事 職人だから言える本当の話 —— 見積書では見えない業界の裏側と、修繕積立金を守る発注術』(Kindle版)を出版しています。20年以上の現場経験から、管理組合・オーナーが修繕積立金を守るための発注術と、業界の内幕を書き下ろしました。

