
上尾市内で賃貸マンション・アパート、あるいは自社ビルを運用されているオーナーさまから、私はこの数年、こんなご相談を受けることが増えました。「築年が進んで、入居者から冬の寒さや結露の苦情が出るようになった」「電気代・ガス代の高止まりで、共用部の光熱費が経費を圧迫している」「外壁もそろそろ気になるが、まとまった出費のタイミングを計りかねている」。
いずれも、放っておけば入居率・賃料、そして売却時の物件価値(収益還元価格)に静かに効いてくる話です。ただ、2026年度(令和8年度)は、こうした改修に使える補助金が、国・埼玉県・上尾市の三層でそろっています。この記事では、上尾市で収益不動産や自社ビルを持つオーナーさまの視点で、「どの制度が、いくらまで、誰の申請で使えるのか」を整理してお伝えします。
私は上尾を含む首都圏で、大規模修繕の現場に20年近く立ってきました。補助金は「使える人が、期限内に、正しい手続きで動いた場合だけ」現金として戻ってきます。そして上尾市には、他市と比べて「事業者・法人オーナーに手厚い市独自の制度」と、「自宅居住者しか使えない制度」がはっきり分かれるという特徴があります。ここを取り違えないことが、手残りを守る第一歩です。ここからが本題です。
まず全体像:上尾市の賃貸・ビルオーナーが向き合う補助金の三層構造
はじめに全体像を整理します。オーナーさまが関わる補助金は、大きく三つの層に分かれます。
一つ目は国の「住宅省エネ2026キャンペーン」。窓・給湯器・断熱といった省エネ改修を対象に、賃貸物件でも使える枠が用意されています。二つ目は埼玉県の上乗せ補助。国の窓補助に県がさらに上乗せする「埼玉県窓断熱リフォーム支援事業」が代表格です。三つ目は上尾市の独自制度で、ここが上尾ならではの厚みを持っています。個人の住宅向けの「住宅断熱改修奨励金」「再エネ・省エネ対策推進奨励金」に加えて、事業者向けの「太陽光発電設備設置補助金」「省エネ設備等設置補助金」という、法人オーナー・自社ビルオーナーが主役になれる制度が用意されているのです。
オーナー視点で先に結論を申し上げます。2026年度に上尾で「賃貸集合住宅の共用改修」に最も現実的に効くのは、国の先進的窓リノベ2026事業と、それに県が上乗せする埼玉県窓断熱リフォーム支援事業の組み合わせです。給湯器更新期の物件には「賃貸集合給湯省エネ2026事業」を重ねます。そして、自社ビルや事業所を保有する法人オーナーであれば、上尾市の事業者向け太陽光・省エネ設備補助という、他市ではなかなか見ない市独自の事業者枠が視野に入ります。
一方で、正直にお伝えしておくべき点もあります。上尾市の「住宅断熱改修奨励金」や住宅用の再エネ奨励金は、オーナーが自ら居住する住宅が前提で、投資用の賃貸物件には原則使えません。ここを期待して計画を組むと、あとで狂います。使える制度だけでなく、使いにくい制度も正直にお伝えするのが、この記事の役割です。
① 国の先進的窓リノベ2026事業:賃貸でも使える、金額の大きい本命枠
金額のインパクトで言えば、まずこれが賃貸オーナーの本命です。先進的窓リノベ2026事業(環境省)は、既存住宅の窓を断熱改修した場合に補助が出る国の制度で、賃貸物件やマンションにも適用できます(出典:環境省 先進的窓リノベ2026事業)。
窓は、住まいの熱の出入りが最も大きい部位です。埼玉県の資料でも「冬に流出する熱の約6割、夏に流入する熱の約7割が窓などの開口部から」とされています(出典:埼玉県 窓断熱リフォーム支援事業)。ここを断熱化すると、入居者の体感が変わり、冷暖房効率も上がり、結露やカビのクレームも減ります。
補助額の目安は次の通りです。戸建てで上限100万円、内窓(既存の窓の内側にもう一枚窓を付ける工法)の設置は1箇所あたり最大14.0万円、外窓交換(カバー工法。既存枠を残して新しい窓をかぶせる工法)は最大23.9万円。中高層の集合住宅の内窓では、サイズに応じて1箇所あたり15.2万円・9.8万円・6.4万円などの区分があります。
賃貸オーナーにとって嬉しいのは、戸数の多い物件ほど「戸あたり×窓箇所数」で補助総額が積み上がる点です。1棟20戸、各戸に2箇所の内窓を入れれば、単純計算で数百万円規模の補助が視野に入ります。
ただし2026年度は要件が一段厳しくなりました。内窓の設置は熱貫流率(窓の断熱性能を示す数値。小さいほど高性能)Uw1.5以下(S・SSグレード)のみが対象で、旧Aグレード(Uw1.9以下)は対象外です。また、この事業単独で申請する補助額は5万円以上が最低ラインです。製品選定を誤ると補助がゼロになりかねないので、対象製品での見積りが欠かせません。
② 埼玉県窓断熱リフォーム支援事業:国の窓補助への「上乗せ」
ここが上尾市のオーナーさまにとって、他県より一歩得なポイントです。埼玉県は、国の「先進的窓リノベ2026事業」または「みらいエコ住宅2026事業」を使って県内住宅の窓断熱改修を行った場合に、費用の一部をさらに上乗せ補助します(出典:埼玉県 窓断熱リフォーム支援事業)。
この制度は、戸建て・マンション・アパートを問わず、また持ち家・賃貸を問わず対象とされている点が、賃貸オーナーにとって大きな意味を持ちます。上乗せの目安は国の補助額の2分の1まで。しかも、国と県を合わせた補助額が工事費の90%を超えない範囲という設計です。つまり、国の窓補助を土台にすれば、実質負担が大きく圧縮される可能性があります。
対象は、令和8年3月2日以降に埼玉県内の事業者と工事契約を締結したものとされ、施工は県内のリフォーム業者に依頼することが条件です。申請の流れとしては、まず国の「先進的窓リノベ2026事業」の交付決定を受けた上で、県の事業に申請します。申請受付は令和8年5月18日開始、受付期間は令和9年2月28日まで、予算がなくなり次第終了とされています。専用の事務局(埼玉県住宅供給公社内、専用ダイヤル048-711-8916)が置かれ、申請は事務局ホームページのフォームから行います(出典:埼玉県窓断熱リフォーム支援事業 事務局)。
一点、正直にお伝えします。県の補助金交付申請の手引きには、補助対象者・対象工事の詳細な条件が定められています。賃貸物件で使う場合、オーナー名義でどう申請するかは、必ず手引きと事務局で個別にご確認ください。私は「たぶん大丈夫」で工事を進めるのが一番危ないと考えています。国+県の二階建てを狙うなら、着工前の対象確認が絶対条件です。
③ 上尾市住宅断熱改修奨励金:使えるのは「自宅」だけ、と正直にお伝えします
ここで、上尾市独自の制度を正直に整理します。上尾市には令和8年度上尾市住宅断熱改修奨励金があり、内窓工事・ガラス交換・外窓交換・ドア交換・躯体(くたい)断熱工事を対象に、開口部の大きさに応じて1箇所あたり7,000円〜25,000円(特大25,000円・大17,000円・中11,000円・小7,000円)、合計で上限10万円が交付されます(出典:上尾市 住宅断熱改修奨励金)。国の住宅省エネ2025・2026キャンペーンに登録された製品を使うことが条件で、業者の所在地の制限はありません。
金額としては、上で述べた国の窓リノベ・県の上乗せと重ねられれば、上尾のオーナーにとって「トリプル併用」の一角になり得る制度です。ところが、ここに大きな壁があります。この奨励金の交付対象者は「上尾市内に住所を有し、かつ居住する市民」で、対象住宅は「個人が所有して居住するもの」とされています(共同住宅は自ら居住する住戸を自らリフォームする場合に限る)。つまり、オーナーがそこに住んでいない投資用の賃貸マンション・アパートは、原則この市の奨励金の対象になりません(出典:上尾市住宅断熱改修奨励金 制度概要(PDF))。
期待させたくないので、はっきり書いておきます。純粋な投資用物件には、この上尾市の断熱奨励金は使えません。ご自身が居住する自宅(賃貸併用住宅の自宅部分を含む)であれば対象になり得ます。さらにこの奨励金は予算額600万円のみの先着順で、予算到達日は抽選、1世帯1棟・1回のみという制限もあります。早期終了が確実視される小さな枠ですので、自宅にお使いになる場合も、受付開始(令和8年5月1日)直後の早い動きが必要です。申請は令和9年3月31日までに完了することが条件です。最新の受付状況は、上尾市環境政策課ゼロカーボン推進室(直通048-775-7308)にご確認ください。
④ 賃貸集合給湯省エネ2026事業:オーナーが主役の給湯器補助
給湯器の更新期を迎えている物件には、賃貸集合給湯省エネ2026事業(経済産業省)が候補です。これは賃貸集合住宅のオーナー等が補助対象者となる、まさにオーナー向けの制度です。
ただし特徴的なのは、オーナーが直接申請するのではなく、登録事業者である「賃貸集合給湯省エネ事業者」が申請と還元を行う仕組みだという点です(出典:経済産業省 賃貸集合給湯省エネ2026事業)。ですから、まず登録事業者に相談するのが入口になります。
対象は、従来型の給湯器からエコジョーズ・エコフィール等の小型の省エネ型給湯器への交換で、補助額の目安は1台あたり上限5万〜7万円程度です。ここは注意が必要で、エコキュートや電気温水器などは、この事業の補助対象には該当しません。ご自身の物件の給湯方式(ガスか電気か)によって、使える・使えないが分かれます。
戸数の多い物件で給湯器の更新時期が重なっているなら、まとめて交換することで補助を効率的に取りにいけます。退去のたびに1台ずつ交換するより、計画的にまとめたほうが、工事単価も補助手続きも有利になりやすい、というのが私の実感です。上尾市はJR高崎線で大宮・さいたま新都心方面へ直通できるベッドタウンで、単身・ファミリー双方の賃貸需要が厚く、給湯器の一斉更新期を迎えたワンルーム・ファミリー物件が少なくありません。
⑤ 上尾ならではの強み:事業者向け太陽光・省エネ設備の「市独自」補助
ここが、上尾市が法人オーナー・自社ビルオーナーにとって際立つポイントです。多くの市町村では、事業用の太陽光や省エネ設備の補助は「県か国に行ってください」で終わります。ところが上尾市は、市が独自に事業者向けの補助制度を用意しているのです。
一つ目が、令和8年度上尾市事業者向け太陽光発電設備設置補助金です(出典:上尾市 事業者向け太陽光発電設備設置補助金)。市内に事業所を有する事業者または市内で事業を営む個人事業主が対象で、補助額は「設置費用」「発電出力1kW当たり25,000円」「上限額」のうち最も低い額。上限は125万円という、市の制度としては手厚い枠です。要件として、未使用設備を市内の事業所に設置すること、発電した電力の50%以上を自家消費することなどが定められています。自社ビルや自社所有の事業用建物の屋上に自家消費型の太陽光を載せるなら、まず検討したい制度です。
二つ目が、令和8年度上尾市事業者向け省エネ設備等設置補助金です(出典:上尾市 事業者向け省エネ設備等設置補助金)。こちらは省エネ診断等により提案された省エネ設備への交換が対象で(新規設置は対象外)、高効率空調をはじめとする各種省エネ設備が対象になり得ます。対象事業所は、市内で3年以上継続して事業を行っているものとされ、補助率2分の1、上限は1,000万円という規模感です。共用部の空調更新や照明・受変電設備の省エネ化を検討している自社ビルオーナーにとって、これは大きな追い風です。
つまり上尾市では、「賃貸集合住宅の入居者向け改修は国+県で、自社ビル・事業所の省エネ投資は市の事業者枠で」という二正面の攻め方ができます。これは、市の家庭用枠しか持たない自治体との明確な違いです。ただし事業者向けの制度はいずれも予算に限りがあり、公募・受付の時期や要件が年度で変わります。導入を検討されるなら、早めに市の窓口で最新の公募状況をご確認ください。
⑥ 住宅用の太陽光・蓄電池は「自宅」限定:投資用には使えません
「上尾市にも太陽光や蓄電池の補助金があるのでは」とお考えのオーナーさまへ、住宅用の枠についても正直にお伝えします。上尾市には令和8年度上尾市再エネ・省エネ対策推進奨励金があり、住宅用太陽光発電に2万円/kW(上限9万円)、定置用蓄電池に一律5万円が交付されます(出典:上尾市 再エネ・省エネ対策推進奨励金)。受付は令和8年5月1日から令和9年3月31日までの先着順です。
ただし、この奨励金は申請者の住宅と同一敷地内に設置し、発電した電力をその住宅に供給するものが前提です。要するに、自宅に載せる家庭用の設備が対象であって、オーナーが居住しない投資用の賃貸物件に載せる太陽光・蓄電池には、原則使えないと考えるべきです。ここも③の断熱奨励金と同じで、「住宅用の市の枠は自宅向け、事業用は事業者向けの市の枠へ」という切り分けになります。純粋な投資用物件の再エネ導入は、前述の事業者向け太陽光補助金か、埼玉県の事業者向け制度を軸に検討するのが筋道です。
法人・事業として大規模に太陽光・蓄電池を導入する場合の受け皿として、埼玉県も「企業等における省エネ・再エネ活用設備導入補助金」など、事業者が事業所に自家消費型設備を導入する際の補助を用意しています(出典:埼玉県 企業等における省エネ・再エネ活用設備導入補助金)。市の事業者枠と県の事業者枠、どちらが有利かは投資規模と時期によりますので、両方を並べて比較することをお勧めします。
賃貸では「使いにくい」税制も正直にお伝えします
もう一つ、賃貸オーナーが誤解しやすいのがマンション長寿命化促進税制です。これは、一定の大規模修繕(外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事のすべて)を行った分譲マンションについて、工事完了の翌年度分の固定資産税を2分の1軽減する制度です(出典:国土交通省 マンション長寿命化促進税制)。数字は魅力的ですが、対象要件が「築後20年以上・10戸以上」かつ「マンション管理適正化法に基づく管理計画の認定を受けている」ことです。
管理計画の認定は、区分所有で管理組合があるマンションを前提とした仕組みです。そのため、オーナー一人が一棟を所有する賃貸マンション・アパートは区分所有ではなく、この税制は基本的に適用できません。この特例の適用期限も年度ごとの税制改正で変わりますので、分譲を区分所有でお持ちのオーナーさまは、最新の期限を上尾市の資産税担当にご確認ください。名前だけ見て計画に織り込むと、あとで狂います。
補助金を使うオーナーが必ず押さえるべき税務の注意点
ここは、管理組合向けの記事では深く触れませんが、オーナーさまには外せない論点です。補助金は、受給した年度に「雑収入」として計上され、課税対象になります。工事費の一部が戻ってくる感覚でいると、思わぬ課税で手残りが目減りします。顧問税理士と受給年度の損益を必ずすり合わせてください。
もう一つが、修繕費(損金)になるか、資本的支出(減価償却)になるかの区分です。原状回復・維持のための工事は修繕費としてその年に損金算入できますが、物件の価値を高めたり耐用年数を延ばしたりする工事は資本的支出として資産計上し、数年〜数十年かけて減価償却します。同じ「外壁の工事」でも、内容と規模で税務処理が変わり、キャッシュフローへの効き方がまるで違います。
私はオーナーさまへのご提案の際、「この工事は税務上どちらに寄るか」を必ず設計段階で論点に上げるようにしています。補助金・損金算入・固定資産税の三つをどう組み合わせるかで、同じ工事でも手残りが変わるからです。ここは税理士の領域なので断定は避けますが、工事の意思決定と税務判断はワンセット、とだけお伝えしておきます。
数字で見る:入居率1%・退去1件が、上尾の物件でどれだけ効くか
補助金の話を、オーナーさまの財布の感覚に翻訳してみます。
たとえば上尾市内で、家賃6.8万円・20戸の賃貸マンションを想定します。満室の年間賃料収入は6.8万円×20戸×12か月=1,632万円です。ここで入居率が1%下がると、年間で約16.3万円の減収。空室が1戸、次の入居まで3か月空けば、6.8万円×3か月=20.4万円がそのまま消えます。
窓の断熱改修や計画的な給湯器更新は、単なるコストではありません。「冬が寒い」「結露がひどい」「お湯の出が悪い」といった不満は、更新のたびに賃料交渉や退去の口実になります。逆に、快適性が上がれば、家賃を下げずに入居を決めやすくなり、退去率も下がります。補助金で初期投資を圧縮しつつ、入居率と賃料単価を守る——これがオーナー視点での補助金活用の本質です。
上尾市はJR高崎線で大宮・さいたま新都心・都心方面へアクセスがよく、ファミリーから単身まで賃貸需要の層が厚いエリアです。だからこそ、競合物件との差は「築年数」よりも「住み心地」で付きやすい。そして出口。売却を見据えたとき、収益還元価格はNOI(実質賃料収入)で決まります。目先の利回りより、物件価値そのものを底上げする修繕投資のほうが、出口で効いてくる場面を、私は現場で何度も見てきました。補助金は、その投資判断を後押ししてくれる追い風です。
工法で変わるコスト:足場・ロープアクセス・ハイブリッドの比較
補助金で対象になるのは主に「工事の中身」ですが、オーナーさまの手残りを大きく左右するのは、実は工事の足場のかけ方です。窓・給湯器・外壁・防水、いずれの工事も、どうやって職人が施工箇所に到達するかでコストと工期が変わります。
明誠では、建物の特性に応じて三つの工法から最適なものをご提案しています。一つ目は通常の足場を組む工法。中低層や形状が複雑な物件に向きます。二つ目がロープアクセス工法。産業用ロープで職人が施工する無足場工法で、足場の設置費用を抑え、工期を短縮でき、居住者の生活への影響も小さく済みます。高層物件や、足場の架設が難しい立地、コストを最重視する物件で強みを発揮します。三つ目がハイブリッド工法で、部位ごとに足場とロープアクセスを使い分けます(詳しくはロープアクセス工法のご紹介をご覧ください)。
賃貸オーナーにとって、足場費の圧縮は補助金と同じくらいインパクトがあります。入居者に長期間ネットと足場で囲まれる不快感を与えずに済む点も、退去防止という意味で見逃せません。私は、補助金の対象工事と工法選定をセットで組み立てることを、いつもお勧めしています(大規模修繕工事のご紹介、マンション・ビルオーナーさま向けページもご参照ください)。
みらいエコ住宅2026事業という選択肢
窓リノベ・給湯省エネと並ぶ国の柱がみらいエコ住宅2026事業(国土交通省・環境省)です。断熱改修や省エネ改修を幅広く対象とする制度で、埼玉県の窓断熱リフォーム支援事業は、この「みらいエコ住宅2026事業」を使った窓改修にも上乗せ対象としています(出典:みらいエコ住宅2026事業)。
複数の国の制度は、対象部位が重ならなければワンストップ申請でまとめて使える設計になっています(住宅省エネ2026キャンペーン全体の窓口:住宅省エネ2026キャンペーン)。どの部位をどの制度に割り当てると補助総額が最大化するかは、物件ごとに変わります。ここは経験がものを言う部分です。窓は窓リノベ、給湯器は賃貸集合給湯省エネ、その他の断熱はみらいエコ住宅、と役割分担を整理してから見積りに入ると、取りこぼしが減ります。
病院・介護施設・自社ビルのオーナーさまへ
ここまでは賃貸マンション・アパートを念頭に書いてきましたが、上尾市にはクリニック・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)・特別養護老人ホームを運営される医療法人・介護事業者のオーナーさまや、自社ビルを保有される企業のオーナーさまも多くいらっしゃいます。これらの建物でも、窓断熱や給湯・空調の省エネ改修は補助制度の対象になり得ます。
とりわけ上尾は、前述の市の事業者向け太陽光・省エネ設備補助という受け皿がある点で、事業用建物のオーナーに有利です。医療・介護施設の場合は、省エネによる光熱費の圧縮が、そのまま運営コストの改善につながります。入居者・患者の療養環境を左右する空調・給湯の安定は、施設の評価にも直結します。加えて、外壁や屋上防水の劣化を放置すると、漏水が電気設備や医療機器に及ぶリスクがあり、BCP(事業継続計画)の観点でも見過ごせません。私は介護施設の現場で、屋上防水の小さな劣化から始まった漏水が、最上階の居室を一時的に使えなくして稼働率を落とした例を見たことがあります。
自社ビルのオーナーさまであれば、テナントの快適性が賃料維持と空室対策に直結します。省エネ改修は、テナントへの訴求材料にもなります。太陽光・蓄電池や高効率空調の導入を検討されるなら、まず上尾市の事業者向け補助(太陽光上限125万円・省エネ設備上限1,000万円)を軸に、県の事業者枠と比較する。施設の用途によって使える制度が変わりますので、まずは物件ごとの棚卸しからご一緒させてください。
よくある質問(上尾市の賃貸・ビルオーナーから多い相談)
Q. 賃貸物件のオーナーでも国の窓補助は使えますか。
A. 先進的窓リノベ2026事業は、賃貸物件やマンションにも適用できるとされています。埼玉県の上乗せも、持ち家・賃貸を問わず対象とされていますが、対象者要件は手引きでご確認ください。
Q. 上尾市の住宅断熱改修奨励金は投資用の賃貸に使えますか。
A. 対象者は「市内に居住する市民」で、対象住宅は「個人が所有して居住するもの」に限られます。オーナーが住んでいない投資用の賃貸物件には原則使えません。ご自身の自宅であれば対象になり得ます。
Q. 給湯器の補助は自分で申請するのですか。
A. 賃貸集合給湯省エネ2026事業は、登録事業者である「賃貸集合給湯省エネ事業者」が申請します。まず登録事業者にご相談ください。
Q. 自社ビルの屋上に太陽光を載せたいのですが、上尾市の補助はありますか。
A. 上尾市には事業者向け太陽光発電設備設置補助金(1kWあたり25,000円・上限125万円)があります。市内に事業所を有する事業者が対象で、発電量の50%以上を自家消費することなどが要件です。
Q. 補助金は課税されますか。
A. 受給した年度に雑収入として計上され、課税対象になります。受給年度の損益を税理士とすり合わせてください。
まとめ:上尾市のオーナーが2026年度にやるべきこと
正直に申し上げます。上尾市の賃貸オーナーさまにとって、2026年度は「窓」を軸に動くのが最も現実的です。国の先進的窓リノベ2026事業を土台に、埼玉県窓断熱リフォーム支援事業の上乗せを重ね、給湯器更新期の物件には賃貸集合給湯省エネ2026事業を合わせる。これが、私がいまオーナーさまにお勧めする組み立ての基本形です。
そのうえで上尾ならではの一手が、事業者向けの市独自補助です。自社ビルや事業所を保有する法人オーナーであれば、太陽光発電設備設置補助金(上限125万円)と省エネ設備等設置補助金(補助率2分の1・上限1,000万円)という、他市では見かけない厚い枠が使えます。一方で、住宅断熱改修奨励金や住宅用の再エネ奨励金は自宅居住が前提で、投資用の賃貸には原則使えないことも、あらかじめ押さえておいてください。マンション長寿命化促進税制も一棟所有の賃貸には基本的に適用できません。「使えると思っていた」で計画が狂うのが、一番もったいないからです。
いずれの制度も予算と期限があること、そして補助金は雑収入として課税されることを、投資判断の前提に置いてください。数字が合えば、補助金は入居率と物件価値を守る強力な追い風になります。
お持ちの物件で、まだこの補助金の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問合せください。1棟の現地調査と、補助金を織り込んだ利回り改善シミュレーションだけでも、ご相談を承ります(お問合せフォームはこちら)。制度の期限が来る前に、動けるかどうかが分かれ目です。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- 環境省「先進的窓リノベ2026事業【公式】」
- 経済産業省「賃貸集合給湯省エネ2026事業【公式】」
- 国土交通省・環境省「みらいエコ住宅2026事業【公式】」
- 国土交通省「住宅省エネ2026キャンペーン」
- 埼玉県「埼玉県窓断熱リフォーム支援事業について」/事務局サイト
- 埼玉県「企業等における省エネ・再エネ活用設備導入補助金」
- 上尾市「令和8年度上尾市住宅断熱改修奨励金」/制度概要(PDF)
- 上尾市「令和8年度上尾市再エネ・省エネ対策推進奨励金」
- 上尾市「令和8年度上尾市事業者向け太陽光発電設備設置補助金」
- 上尾市「令和8年度上尾市事業者向け省エネ設備等設置補助金」
- 国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」
※本記事は2026年7月6日時点の公開情報をもとに作成しています。補助率・上限額・受付期間・対象要件は年度や予算状況により変更されます。申請前に必ず各制度の公式サイトと上尾市・埼玉県の窓口で最新情報をご確認ください。


