
結論先出し ── 5月29日の申請開始前に動かないと「来年回し」になります
東京都が令和8年5月22日付プレスリリースで、「集合住宅における再エネ電気導入促進事業」の令和8年度受付を令和8年5月29日(金)から令和9年3月31日(水)まで実施すると発表しました(出典:東京都報道発表「高圧一括受電による集合住宅再エネ100%化を支援」)。
この助成のポイントは、太陽光発電設備の本体に加えて、「架台工事の上乗せ」と「屋上の防水工事」までが助成の対象になっていることです。令和7年度の単価ベースでは、防水工事に最大18万円/kW、架台工事に20万円/kWが上乗せされていました(出典:クール・ネット東京 令和7年度実施要綱)。50kW弱の太陽光を載せれば、屋上防水だけで900万円近い助成枠が動くことになります。
私はこの2週間、いくつかの管理組合さまから「うちの理事会でも検討したい」というご相談をいただきました。正直に申し上げます。ここから動き始めて、年内に発注まで持っていけるかどうかが分かれ目です。本記事では、この助成制度の本質と、管理組合・所有者さまが今月中にやるべきことを、現場目線で整理します。
この助成制度の全体像 ── なぜ「太陽光」と「防水」がセットなのか
高圧一括受電とは何か
「高圧一括受電」とは、マンション全体で一つの大口契約として高圧電力をまとめて受電し、各住戸へ低圧で配分する仕組みです。各戸が個別に東京電力等と契約する従来方式に比べ、電気の調達コストが2〜3割程度下がるケースが一般的です。新築マンションでは導入実績が増えていますが、既存マンションでの導入はまだ少なく、合意形成と既存契約解約のハードルがネックになっていました。
再エネ100%電気の意味
今回の助成は、その高圧一括受電を再エネ100%プランで行うことが大前提です。建物全体で使う電気を、太陽光・風力・水力など再生可能エネルギー由来の電気に切り替えることが条件になります。東京都が「ゼロエミッション東京」の旗印で進めている政策の集合住宅版、と理解していただくのが分かりやすいでしょう。
なぜ太陽光と「架台工事」「防水工事」がセットなのか
私はこの設計を、東京都の制度設計者がよく考えたなと感心しました。屋上に太陽光パネルを載せるためには、当然ながらパネルを支える架台が必要です。そして、その架台を陸屋根(フラットな屋上)に固定する際、既存の防水層を傷めずに済む施工が要ります。
ここで現場の本音を申し上げます。「太陽光を載せたら屋上の防水が早く傷んだ」というトラブルは、業界では決して珍しい話ではありません。私は20年現場をやってきて、屋上に後付けの設備を載せて防水が10年保たなかった事例を、片手では数えきれないほど見てきました。
東京都はこの「防水と太陽光の相性問題」を見越して、太陽光設置の機会に合わせて屋上防水を更新する費用を補助するという、極めて実務的な枠組みを作ったわけです。これは管理組合さまにとって、長期修繕計画の屋上防水工事と、創エネ・再エネ対応をワンセットで前倒しできる、稀有なタイミングです。
令和8年度の概要と、令和7年度との関係
申請スケジュール(公式発表ベース)
東京都の発表によれば、令和8年度の助成金申請期間は令和8年5月29日(金)から令和9年3月31日(水)までです(出典:東京都報道発表)。
ただし、これは「期間の上限」であって、令和7年度同様に申請総額が予算枠に達した時点で前倒し終了する仕組みと考えるのが妥当です。令和7年度の同事業は、令和7年5月22日に受付を開始し、令和8年3月31日をもって受付終了が告知されています(出典:クール・ネット東京 令和7年度ページ)。年度途中での予算到達は珍しくありません。
助成額(令和7年度実績ベース/令和8年度は最新の実施要綱で要確認)
参考までに、令和7年度の助成額をまとめます。令和8年度の正式な助成単価は、5月29日開始時点で公表される実施要綱で必ず確認してください。
| 助成対象 | 助成単価(令和7年度実績) | 上限 |
|---|---|---|
| 受変電設備 | 助成対象経費の2/3 | 850万円/棟 または 8.5万円/戸 |
| 太陽光発電設備(既存集合住宅) | 12万円/kW | 発電出力50kW未満 |
| 太陽光発電設備(新築集合住宅) | 10万円/kW | 発電出力50kW未満 |
| 架台工事上乗せ | 20万円/kW | 陸屋根への施工に限る |
| 防水工事 | 18万円/kW | 既存集合住宅の陸屋根への施工に限る |
(出典:クール・ネット東京 令和7年度実施要綱)
例えば、屋上に45kWの太陽光を載せた場合、令和7年度ベースで以下のような助成総額が見込めます。
- 太陽光発電設備(既存):12万円 × 45kW = 540万円
- 架台工事上乗せ:20万円 × 45kW = 900万円
- 防水工事:18万円 × 45kW = 810万円
- 合計:2,250万円(受変電設備の助成は別途)
これは戸数50戸のマンションであれば、戸あたり45万円相当の補助です。修繕積立金の負担感覚で言えば、月額数百円〜千円の値上げを5年前倒しできるレベルのインパクトがあります。
押さえるべき2つの主体 ── 高圧一括受電事業者と管理組合
この助成のややこしいところは、助成対象者が2系統に分かれる点です。
- 受変電設備など:クール・ネット東京に登録された高圧一括受電事業者が申請(助成金は利用者である管理組合等に還元される設計)
- 太陽光発電設備(架台・防水含む):高圧一括受電が導入される集合住宅の所有者・管理組合等が申請
つまり管理組合さまが直接申請するのは、太陽光・架台・防水のパートです。受変電設備は事業者経由になります。私の経験上、ここを混同して「全部うちが申請するのか」と理事会で議論が止まる組合さまが少なくありません。役割分担をまず明確にすることが第一歩です。
管理組合がつまずきやすい3つの実務ポイント
① 屋上防水の劣化診断は誰が、いつ、どうやるか
私はいつも理事長さまに、こう申し上げています。「補助金の話より先に、まず屋上の現状診断をしてください」と。
なぜか。太陽光のパネル架台は、設置後20年以上はそこに居座り続けます。今の防水層がそのまま20年保つかどうかを見極めずに架台を載せると、5〜10年後に「防水だけ更新したいのに、パネルがあって工事できない」という最悪のケースに陥ります。
診断のやり方は3通りです。
- 足場仮設による全面打診・赤外線調査:精度は高いが費用と工期が大きい
- ロープアクセスによる屋上端部・パラペット点検:足場不要で1〜2日、費用は足場の1/3〜1/5
- ドローン目視+部分的なサンプル採取:初期スクリーニング向き
築15年以上で過去に防水更新履歴がない物件であれば、ロープアクセスで屋上端部と排水ドレン周りを集中的に点検するのが、コストと情報密度のバランスが最も良いと私は考えています。私の会社では、これを単独の見積もりとしても、太陽光・防水のセット提案の前段としても請けています。
② 長期修繕計画への組み込み
築20年前後のマンションでは、第2回大規模修繕の時期がそろそろ視野に入ってきます。この助成を使う最大の意味は、「次回の大規模修繕での屋上防水更新を、補助金付きで前倒しできる」ことです。
ただし、長期修繕計画を改訂せずにこの工事を突っ込むと、後でややこしくなります。修繕積立金の取り崩し計画、次回大規模修繕の工事範囲、第2回・第3回の長期見積もり──このあたりを理事会・修繕委員会で1回は議論にあげることを強くお勧めします。
国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」(出典:国土交通省)でも、修繕計画は概ね5年ごとに見直すこととされています。今回の助成は、その見直しタイミングを早める良いきっかけになります。
③ 高圧一括受電事業者の選定リスク
ここが一番、私が理事会で「ちょっと待ってください」と申し上げたいポイントです。
高圧一括受電は、契約期間が10〜15年の長期契約になるのが一般的です。途中解約には違約金が発生するケースが多く、また「再エネ100%プラン」と謳いつつ、内訳が非化石証書のみで実質的には通常電気と変わらない、というケースも市場には存在します。
事業者選定の際は、以下を必ず確認してください。
- 契約期間・違約金条項・更新条件
- 「再エネ100%」の中身(実物の再エネ電気か、証書ベースか)
- 各戸への料金体系(メリットが各戸の電気料金にどう還元されるか)
- 撤去・解約時の費用負担
- クール・ネット東京の登録事業者であること
「クール・ネット東京の登録事業者」というのは、東京都が一定の要件を確認した事業者という意味です。これ自体は安心材料ですが、「登録されている=ベストである」ではありません。最低2〜3社からの提案を取り、契約条件を横並びで比較するのが大原則です。
私が現場で見てきた「失敗」と「正解」
失敗例1:「太陽光だけ」設置で防水が劣化した物件
5年ほど前、私は他社さまが施工された築23年の中規模マンション(48戸、陸屋根)の屋上を、管理組合さまからのセカンドオピニオン依頼で見せていただいたことがあります。3年前に屋上に太陽光パネル30kWを設置されていました。
ロープアクセスで端部から見て、まず驚いたのは架台アンカーの周辺の防水シートが波打っていることでした。設置時に既存防水を傷めないよう養生はされていたのですが、3年間の日射と温度変化で、アンカー周りに局所的な応力が集中し、シートの接着が浮き始めていたのです。
このまま放置すれば5年以内に漏水。しかし防水を更新するためには、太陽光パネルを一度撤去する必要がある。撤去・再設置のコストだけで300万円近くかかる見積もりになりました。
もし最初から防水更新と同時に施工していれば、この300万円は不要だったわけです。今回の東京都の助成は、まさにこの種の悲劇を防ぐためにあると言っても過言ではありません。
失敗例2:高圧一括受電の解約条件を読み込んでいなかった理事会
別の物件では、高圧一括受電を導入した10年後に、「やはり各戸が自由に電力会社を選べる方が良い」という意見が住民から出て、解約を検討された組合さまがありました。契約書を見たら、残存期間の電気料金見込み額の30%が違約金として規定されており、撤去費を合わせると総額1,500万円超。結果、解約を断念されました。
これは10年前の話ですが、現在も類似の契約条件は存在します。契約締結時に「将来の出口」をどう設計するかを理事会の議事録に残しておくことが、5年後10年後の理事の方々を救います。
正解例:ロープアクセスで先に防水診断、屋上荷重も同時調査
逆に上手くいった例も紹介します。築18年・60戸のマンションさまでは、最初の相談時点で「太陽光を載せたい、補助金も使いたい」というご要望でしたが、私たちはまず屋上の現状診断から入りました。
具体的にはロープアクセスで以下を1日半で実施。
- 屋上防水層の打診・赤外線調査
- パラペット・笠木周りのシーリング劣化確認
- 構造躯体への追加荷重に対する設計図書のレビュー(管理組合保管の建築確認申請書類)
- 排水ドレン周りの土砂堆積と排水勾配の確認
結果、防水層は部分補修で5年延命可能、構造的には45kWまで載せられる、ただし排水勾配の関係でパネル配置を一部見直す必要あり、という診断書をお渡ししました。
理事会ではこの診断書をもとに、「今年は屋上防水更新と太陽光・架台・受変電をセットで実施」という方針を全戸合意で固められました。設計から実工事まで通して、補助金を含めた管理組合さまの実質負担は、当初想定の40%程度に収まりました。
これが「正解」だと私は思っています。順番が大事なのです。診断 → 計画 → 補助金申請 → 工事、この順序を守れば、補助金は最大化し、リスクは最小化できます。
東京都の脱炭素政策の中での、この助成の位置づけ
ここで一度、視点を引き上げて、東京都全体の動きを整理しておきます。今回の助成は単発の制度ではなく、東京都が進める「ゼロエミッション東京」という大きな政策パッケージの中の一部分です。
東京都は、2030年までに温室効果ガス排出量を2000年比50%削減(カーボンハーフ)、2050年までに実質ゼロを目標として掲げています(出典:東京都環境局 ゼロエミッション東京)。東京都内のCO2排出量のうち、家庭部門が約30%、業務部門が約40%を占めており、合計で7割が「建物起因」と言ってよい構造です。
私が現場で実感するのは、ここ2〜3年、東京都の補助金がはっきりと「建物の脱炭素化」に予算を集中させてきたということです。屋根太陽光、断熱改修、窓改修、エコキュート、EV充電器、そして今回の集合住宅向け再エネ電気導入。一つひとつは単独制度ですが、組み合わせて活用すると、マンション1棟あたり数千万円規模の助成を引き出せる可能性があります。
たとえば、共用部の照明LED化、エレベーター更新時の高効率モーター採用、各戸への省エネガラス導入助成(クール・ネット東京の関連事業)と、今回の太陽光・再エネ電気導入を組み合わせれば、修繕積立金の取り崩し額を相当圧縮しながら、建物の長期価値を上げることができます。今回の助成を単発で見るのではなく、「次回大規模修繕とのパッケージとして組み立てる」視点を、ぜひ理事会に持ち込んでください。
ここからが本題です。では実際に屋上を見るとき、ロープアクセスでは何が分かるのか、現場の具体を一段深くお伝えします。
ロープアクセスでの屋上診断の実際 ── 1日でわかること
「屋上診断はロープアクセスで」と申し上げると、よく「目視で何が分かるんですか」という質問をいただきます。正直に申し上げます。目視だけで分かることは、想像以上に多いです。
私が現場で1日でチェックする項目を、参考までに列挙します。
- 防水層の物理的劣化:シート防水のジョイント開き、塗膜防水のクラック・剥離、アスファルト防水の浮き
- パラペット笠木周りのシーリング:充填材の硬化・断裂、笠木ジョイントからの雨水侵入痕
- 排水ドレン周辺:土砂・落葉の堆積、勾配の崩れ、ドレン金具の腐食
- 既設配管・架台の固定状況:エアコン室外機台、アンテナ、避雷針などのアンカー部
- 打診による浮き診断:必要に応じてサンプリング的に実施(テストハンマーまたは赤外線併用)
- 屋根面の温度分布(赤外線カメラ併用時):水分滞留箇所の特定
これらをロープアクセスで体系的に見れば、「あと何年保つか」「太陽光を載せて大丈夫か」「補強が必要な箇所はどこか」の3点が、現場1日+報告書作成2〜3日で出せます。費用感覚としては、中規模マンション(50戸前後)であれば20〜40万円程度が目安です。
「いきなり大規模修繕の見積依頼」よりも、まずこの屋上診断単独でお声がけいただく方が、管理組合さまの選択肢を狭めません。私たちはこの診断を、太陽光・防水のセット提案前の入口商品として位置づけており、診断後に他社施工を選ばれても全く構いません。情報を持って意思決定していただくことが、結局は管理組合さま、そして業界全体のためになると考えているからです。
工法の選び方 ── 「足場」「ロープアクセス」「ハイブリッド」のどれが向くか
私の会社、株式会社明誠は、大規模修繕工事において通常足場工法・ロープアクセス工法・ハイブリッド工法の3つを建物特性に応じて使い分けることができる、日本でも数少ない会社です。今回の助成案件のように「屋上工事+部分的な外壁・パラペット工事」が中心になる場合の使い分けを、簡単に整理します。
屋上点検・防水工事におけるロープアクセスの強み
- 足場架設不要のため工期が短い(屋上1棟分の防水診断なら1〜2日)
- 居住者の生活影響が小さい(足場による日照阻害・洗濯物干せない問題なし)
- コストが足場の1/3〜1/5になることも多い
- 足場を架けにくい複雑形状・狭隘地でも対応可能
特に「補助金の申請前提で診断書を急ぎたい」という場面では、ロープアクセスは強力な選択肢です。
足場が向くケース/ハイブリッドが活きるケース
ロープアクセスが万能というわけではありません。以下のような場合は、足場、もしくはハイブリッド工法が向きます。
- 外壁全面の塗装・タイル補修も同時に実施するなら、結局足場を架けた方が総合的に安い
- 大量の資材(架台パーツ、防水材ロール、太陽光モジュール)を屋上に揚重する場合、足場経由の方が安全
- 第2回大規模修繕の一環として総合的に実施するなら、足場前提で工程を組み、ロープは補助的に使う
ハイブリッド工法は、例えば「外壁は足場、屋上端部とバルコニー側溝の補修はロープアクセスで先行」というふうに、部位ごとに最適工法を組み合わせるやり方です。これにより、全面足場の半分弱の費用で、同等の品質を実現できる場合があります。
私はこれを、必ずワンセットで提案するようにしています。「3工法から、お宅にとって最も合理的な組み合わせを設計します」と。
理事会で必ず聞かれる7つの質問(FAQ)
Q1:うちのマンションは陸屋根じゃないけど対象になりますか
防水工事の助成は既存集合住宅の陸屋根への施工に限ると明記されています(出典:クール・ネット東京 令和7年度実施要綱)。勾配屋根の物件は防水工事分の助成対象外ですが、太陽光本体と受変電設備は別途検討の余地があります。
Q2:管理組合の決議は普通決議でいいですか、特別決議が必要ですか
工事の規模と「共用部分の変更」の度合いによって変わります。屋上に太陽光を新設し、防水も全面更新する場合、区分所有法上の「共用部分の重大変更」にあたる可能性が高く、原則として特別決議(区分所有者・議決権の各3/4以上)が必要と整理されるケースが多いです(出典:マンション管理センター)。実際の判断は管理規約と物件状況によりますので、専門家にご相談ください。
Q3:今ある電力契約はどうなりますか
高圧一括受電を導入すると、共用部・各戸の電力契約は新しい一括受電事業者経由に切り替わります。各戸の住民さまの合意取得は、理事会で最も時間がかかる部分です。「全戸書面同意」が事業者から求められるケースが大半なので、説明会と同意書回収のスケジュールを早めに組んでください。
Q4:賃貸住戸が多いマンションでも可能ですか
可能ですが、賃借人の同意取得や、賃料への影響などを整理する必要があります。区分所有者が法人で、賃貸経営を主たる目的としているマンションの場合は、所有者単位の合意で進められるケースが多くなります。
Q5:太陽光のメンテナンスは誰がやるんですか
これは契約スキームによります。事業者所有・管理組合借り受け(PPAモデル)か、管理組合所有かで分かれます。前者の場合、メンテナンスは事業者責任。後者の場合は管理組合が外部委託することになり、年間維持費が10〜30万円程度別途必要になります。
Q6:補助金申請の事務は誰がやりますか
申請書類は管理組合さま単独でも可能ですが、実務上は施工会社や太陽光事業者が代行するケースがほとんどです。私の会社では、必要書類のドラフト作成と現場写真・図面の整備をセットでお引き受けしています。
Q7:補助金の入金はいつになりますか
一般論として、工事完了報告 → 完了検査 → 助成金確定 → 入金、というフローで工事完了から3〜6ヶ月かかります。資金繰り上、補助金が「後から入る」設計であることを理事会で共有しておくことが重要です。
今月中(5月末)にやるべきこと ── 管理組合チェックリスト
5月29日の受付開始までに、以下のうち最低3つは着手しておきたいところです。
- 屋上の現状診断(簡易でも良いので、防水・排水・荷重の3点)に着手
- 過去5年の電気料金(共用部・各戸の合算可能なら)の整理
- 高圧一括受電事業者2〜3社の提案依頼(NDA前提でも可)
- 第2回大規模修繕の修繕積立金残高と、長期修繕計画上の屋上防水更新時期の確認
- 6月理事会の議題に「東京都の集合住宅再エネ助成について」を追加
- クール・ネット東京の最新情報ページ(こちら)をブックマーク
- 信頼できる施工会社・太陽光事業者・設計事務所の連絡先を確保
「今月中に全部やる」必要はありません。まず屋上を見ること、まず情報を集めること、この2つから始めれば十分です。
東京都外のオーナーさま・管理組合さまへ ── 他自治体の動きと、共通する考え方
ここまで東京都の制度を中心に書いてきましたが、実は同種の集合住宅向け再エネ・防水関連助成は、他の自治体でも徐々に拡充されてきています。
横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市など、いわゆる首都圏政令指定都市では、マンション省エネ改修やZEH-M(ゼッチ・マンション)対応工事への助成メニューが整備されつつあります。大阪市、京都市、神戸市など関西の主要都市でも、独自の脱炭素マンション支援が動き始めています。
これらの自治体助成と、東京都の今回の制度との共通点を3つ挙げます。
- 「電気の脱炭素化」と「建物の躯体性能改善」をセットで評価する設計が増えている
- 既存マンションの大規模修繕タイミングと噛み合わせることが想定されている
- 書類の煩雑さは年々増しており、専門家の代行ニーズが高い
私の会社は東京都を中心に活動していますが、ロープアクセス工法のフランチャイズを通じて全国の地域パートナーと連携しています。日本初となる、ロープアクセス工事のフランチャイズ展開を行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板工事など、各分野の専門職が加盟しています。お住まいの地域の自治体助成と組み合わせて、「高品質×低価格×地元工事店」の組み合わせを設計できる体制を整えてきました。
「うちは東京じゃないから関係ない」と思われた方こそ、お住まいの市区町村の最新の補助金検索ページを一度開いてみることをお勧めします。意外な助成枠が眠っているケースが、本当に少なくありません。
まとめ ── 「順番」を間違えなければ、この助成は活きます
私はこの東京都の助成制度を、マンション管理組合さまにとって今年最大級の機会と見ています。理由は3つです。
- 屋上防水更新という、本来は単独では「億の自己負担」になる工事に、まとまった公的助成が入る
- 太陽光・受変電とセットで実施することで、長期の電気料金削減も同時に得られる
- 申請開始から年度末まで10ヶ月あり、理事会の合意形成と工事実施のスケジュールが現実的に組める
ただし、何度も申し上げますが、順番を間違えると逆効果になります。診断なしで太陽光を載せて屋上を傷める。事業者選定を急いで違約金リスクを背負う。長期修繕計画を見直さずに突っ込んで、後年の修繕予算に穴が空く──こうした「失敗」は、すべて順番のミスから生まれます。
私はいつも理事長さまに、こう申し上げています。「補助金は急がず、でも逃さず」。9月の防水点検シーズンまでに屋上診断、10月までに事業者選定の絞り込み、12月の臨時総会で決議、年明けから工事──このペースで、十分間に合います。
ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。屋上の現状診断や、高圧一括受電事業者からの提案内容のセカンドオピニオンなど、契約前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。私たちは大規模修繕の総合提案として、ロープアクセス工法のご紹介、大規模修繕工事のご紹介、そしてお問合せフォームでご質問を承っています。
次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- 東京都「高圧一括受電による集合住宅再エネ100%化を支援|5月(令和8年度報道発表)」
- クール・ネット東京「令和7年度 集合住宅における再エネ電気導入促進事業」
- 東京都環境局「集合住宅における再エネ電気導入先行実装事業」
- 国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」
- 公益財団法人マンション管理センター「マンション管理に関する各種情報」


