
この記事の前提:なぜ「オーナー視点」の渋谷区補助金整理が必要か
補助金記事は世にあふれていますが、管理組合向けの解説とオーナー(賃貸事業者)向けの解説は、決定的に違うものです。
管理組合向け記事の目的は「住民の合意形成」と「修繕積立金不足の解消」ですが、オーナーが知りたいのは、入居率・賃料単価・出口価格・税効果・キャッシュフローの5点です。同じ「耐震改修助成」でも、
- 管理組合視点:戸あたりキャッシュアウトをどれだけ圧縮できるか
- オーナー視点:1棟あたりの改修投資を、何年で家賃収入から回収できるか/売却時の収益還元価格をどう底上げするか/税務上、修繕費と資本的支出のどちらに振り分けるか
と、判定軸がまるで違います。
しかも渋谷区の場合、「住宅簡易改修支援事業は渋谷区に住所のある個人限定(区外オーナーは対象外)」「ブロック塀等安全化対策促進事業は令和7年度末で一度クローズし、令和8年度の継続有無は要確認」といった、賃貸オーナーにとって致命的な落とし穴も入っています。本記事はこのあたりも正直に書きます。
出典:渋谷区「融資・助成(建築)」「耐震助成 トップページ」
1. 渋谷区賃貸オーナーが「最優先」で取りに行くべき3制度
まず結論からです。渋谷区で賃貸物件を所有しているなら、順番に検討すべきは次の3制度です。
| 優先 | 制度名 | 何が嬉しいか |
|---|---|---|
| ★★★ | 渋谷区 特定緊急輸送道路沿道建築物 耐震化助成 | 甲州街道・国道246号・首都高沿いのRC・S造ビル/マンションが超大型の助成対象 |
| ★★★ | 国「住宅省エネ2026キャンペーン」(賃貸集合給湯省エネ/先進的窓リノベ等) | 賃貸オーナーが申請主体になれる、戸数に応じた現金補助 |
| ★★ | 渋谷区 一般緊急輸送道路沿道建築物 耐震化事業/一般分譲マンション耐震化支援 | 区道・主要地方道沿いの非木造建築物、3階建以上分譲マンションが対象 |
このほか、不燃化特区(本町2〜6丁目)に物件を持っているオーナーには、老朽建築物除却等助成金という独自メニューがあり、解体・建替えで上限320万円が出ます。順番に解説します。
2. 渋谷区 特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化――「甲州街道・国道246号・首都高」沿いの物件は最優遇
2-1. なぜこの制度を一番に取り上げるのか
渋谷区の補助金で、賃貸オーナーが最も大きな金額を取りに行ける可能性があるのが、この「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化」です。
渋谷区内で指定されている特定緊急輸送道路は、甲州街道(国道20号)/国道246号(玉川通り・青山通り)/首都高速道路です。これらの道路に沿って建つ建築物のうち、昭和56年(1981年)5月31日以前に建築工事に着手したもので、一定の高さ(道路境界から見て、当該道路幅員のおおむね1/2以上の高さ)に該当するものが対象になります。
私が現場でよくぶつかるのが、「自社ビル兼テナントビルが甲州街道沿いで、テナントから耐震が気になるという声が出ている」というご相談です。所有しているのが法人でも個人でも、用途が事務所でも店舗でも住宅でも、原則として申請可能です。
2-2. 助成内容の骨格
特定緊急輸送道路沿道建築物については、耐震診断・補強設計・耐震改修・除却・建替えの各段階で、それぞれ助成枠が設けられています。改修工事の助成限度額は、建築物の延べ床面積に応じて算定され、1棟あたり数千万円〜数億円規模にまでなるケースもあります。これは国・東京都・渋谷区の三層で補助スキームが組まれているためで、自治体単独の制度では実現できない規模感です。
| 段階 | 助成内容(概略) |
|---|---|
| 耐震診断 | 床面積に応じた単価×面積、または実費のいずれか低い額(ほぼ全額に近い助成枠) |
| 補強設計 | 設計費用の一定割合、上限あり |
| 耐震改修 | 工事費の一定割合、延べ床面積に応じた限度額 |
| 除却・建替え | 解体費・新築費の一部、限度額あり |
出典:渋谷区「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化」、東京都「緊急輸送道路沿道建築物の耐震化」
2-3. オーナーが意識すべき”3つの数字”
入居率・賃料・出口価格に効くポイントを、私はいつも次のように整理してオーナー様にお伝えしています。
- 入居率(テナント維持率):甲州街道・国道246号沿いの物件は、テナント側(特に上場企業の支店・金融機関の店舗・法人借り上げ社宅)が耐震診断結果と耐震改修計画を必ず確認しに来ます。診断結果が「Is値0.6未満」のまま放置されているビルは、契約更新時に「次回は退去します」と言われるリスクが現実にあります。
- 賃料維持:築古ビルは、放っておけば1年あたり1.0〜1.5%程度の賃料下落圧力が静かに効いてきます。耐震改修で「安全表示が出る築古ビル」に化けると、下落カーブを2〜3年単位で寝かせられます。
- 出口価格:収益還元価格 = 年間NOI ÷ キャップレート。NOIが下げ止まれば、出口の収益還元価格はそのまま底上げされます。渋谷区の築古RC・S造ビルの売却で、買主側が「耐震評価書あり/なし」「特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化助成の活用済か否か」を必ず聞いてくる現実は、現場で売却サポートをしていれば毎回ぶつかる壁です。
2-4. 申請のタイミング
契約前に区への事前相談・申請が必須です。これは制度の絶対的ルールで、「先に契約してしまった」「先に着工してしまった」案件は、原則として一切助成が出ません。
私のところに「あとから補助金を取れないか」というご相談が年に何件か入りますが、書類上の事前申請がないと、どれだけ立派な工事をしていても0円です。この一点だけは、本記事を読んだその日のうちに、ご自身の物件が特定緊急輸送道路沿いに該当するかどうか確認してください。
問合せ先:渋谷区 木密・耐震整備課 整備促進係
3. 国「住宅省エネ2026キャンペーン」――賃貸オーナーが申請主体になれる現金補助
3-1. キャンペーンの全体像
国土交通省・経済産業省・環境省が連携する「住宅省エネ2026キャンペーン」は、2026年度も継続される大型補助スキームです。賃貸オーナーが直接関係する主要メニューは以下の3本柱です。
| 補助金名 | 所管 | オーナー視点の使いどころ |
|---|---|---|
| 賃貸集合給湯省エネ2026事業 | 経済産業省 | 賃貸アパート・マンションのエコジョーズ等への交換に1台5万〜10万円 |
| 先進的窓リノベ2026事業 | 環境省 | 内窓・ガラス交換・外窓交換で大型補助、テナント満足度↑ |
| 給湯省エネ2026事業(戸建も対象) | 経済産業省 | エコキュート最大14万円補助、賃貸戸建にも適用余地 |
3-2. 賃貸集合給湯省エネ2026事業――オーナー必読
設置スペースの都合からヒートポンプ給湯機の導入が難しい既存賃貸集合住宅を主対象に、エコジョーズ等の小型省エネ給湯器の交換を補助する制度です。賃貸オーナーが申請主体(実際の申請手続きは登録事業者が代行)となり、1台あたり5万〜10万円の補助が出ます。
- 交付申請(予約含む)の受付開始:令和8年3月31日
- 交付申請の期限:令和8年12月31日
- 着工時期の目安:令和7年11月28日以降に対象製品の設置工事に着手したもの
予算上限到達時点で即時打ち切りとなる点に注意してください。
出典:経済産業省「賃貸集合給湯省エネ2026事業【公式】」「交付申請の受付開始プレスリリース」、資源エネルギー庁「既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業」
3-3. 先進的窓リノベ2026事業――内窓は「賃料維持」の隠れた武器
窓は、築古ビル・マンションで最も投資対効果が高い改修ポイントの一つです。内窓設置・ガラス交換・外窓改修などが対象で、性能(断熱区分)に応じた補助額が支給されます。
- 真夏・真冬の入居者からの「冷暖房が効きにくい」苦情を減らせる → 退去理由を一つ消せる
- 結露が減ることでカビ・サッシ周りの劣化が抑制される → 退去時原状回復費の圧縮
- 北側ワンルームの朝の結露は単身入居者の離反理由になりやすいため、優先度高い
出典:環境省「先進的窓リノベ2026事業」
3-4. 渋谷区オーナーへの実用アドバイス
渋谷区の物件は、立地ブランドで賃料を取れる代わりに、「築年数が古くても入居率が崩れない」幻想にオーナーが乗りすぎる傾向があります。給湯器・窓・断熱の3点は、表からは見えませんが、入居者の体感品質を直接決める部分です。
「2026年内にやる」「2027年に回す」と先延ばしすると、先進的窓リノベ・賃貸集合給湯省エネはどちらも予算到達で締切扱いになるリスクがあります。私は、年明け(1〜2月)の閑散期に診断と申請準備を済ませ、3月の申請開始日にエントリーするのを推奨しています。
4. 渋谷区 一般緊急輸送道路沿道建築物 耐震化事業/非木造建築物耐震化助成――「特定」ではない区道沿いも狙える
4-1. 一般緊急輸送道路沿道建築物 耐震化事業
特定緊急輸送道路(甲州街道・国道246号・首都高)に並んで、渋谷区では「一般緊急輸送道路沿道建築物」にも独自の耐震化助成を用意しています。区が指定する一般緊急輸送道路は、災害時の救援活動・物資輸送に支障が出ないようにすべき道路で、その沿道の建築物については耐震診断・補強設計・耐震改修・除却が助成対象です。
出典:渋谷区「一般緊急輸送道路沿道建築物耐震化事業」
「自分のビルが特定なのか一般なのか分からない」というご相談は本当に多いです。ご自身で判断するのが難しい場合は、まず渋谷区 木密・耐震整備課に問合せて、所在地で該当区分を教えてもらってください。
4-2. 一般分譲マンションの耐震化支援事業
賃貸オーナーの方の中には、分譲マンションの1室区分所有を5戸・10戸まとめて運用しているケースも珍しくありません。分譲マンション本体の耐震化が進めば、区分所有部分の物件価値も底上げされます。
- 対象:渋谷区内の昭和56年6月1日以前着工、3階以上の分譲マンション管理組合
- 耐震診断・補強設計:費用の2/3以内(上限300万円)
- 耐震改修・除却工事:工事費の一部(上限2,000万円)
出典:渋谷区「一般分譲マンションの耐震化支援事業」
ご自身が区分所有者として総会で動ける場合は、管理組合の理事に対して「特定緊急輸送道路指定の有無」「一般緊急輸送道路指定の有無」「マンション管理計画認定の取得状況」の3点を確認してください。これだけで、マンション全体としてどの助成が取れるかが見えてきます。
5. 渋谷区 木造住宅 耐震改修助成/ブロック塀等安全化対策促進事業――木造アパートオーナー向け
5-1. 木造住宅耐震改修費用及び除却費用助成
渋谷区は、昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅を対象に、耐震診断結果が一定の基準を下回った場合、耐震改修費用および除却(解体)費用の一部を助成しています。
- 対象:区内の木造住宅(賃貸の木造アパート・テラスハウス含む)
- 助成対象:耐震診断、耐震改修工事、除却工事
- 申請期限:原則として令和8年12月25日(年度内事業完了が原則)
- 担当:渋谷区 木密・耐震整備課 整備促進係(03-3463-2647)
出典:渋谷区「木造住宅耐震改修費用及び除却費用助成」
私の現場感覚では、築40年超の木造アパートは、耐震改修よりも「除却(建替え or 売却)」の方が事業判断として正しい場面が多いです。改修して20年もたせるのか、建替えて新たに30年回すのか、出口で売却するのか。1棟ごとに判断を変えるべき領域です。
5-2. ブロック塀等安全化対策促進事業
地震時のブロック塀倒壊は、所有者の損害賠償責任が問われる典型例です(民法717条の工作物責任)。賃貸物件の敷地境界に古いブロック塀が残っている場合、補助を使って今のうちに撤去・建替えしておく経営判断は、リスク管理として極めて合理的です。
- 補助額:撤去費の2/3、または塀の長さ(m)×15,000円のいずれか低い額
- 上限:60万円
- 申請期間:〜令和8年3月31日(令和8年度の継続有無は要確認)
出典:渋谷区「ブロック塀等安全化対策促進事業」
申請期限と予算枠の両方の制約があるため、敷地境界に古いブロック塀があるオーナー様は、本記事を読んだ翌週には「現地写真+長さ計測」だけでも済ませておいてください。
6. マンション管理計画認定+長寿命化促進税制――1棟保有オーナーも検討余地あり
6-1. マンション管理計画認定制度
「分譲マンション向け」と思われがちですが、渋谷区では令和8年4月から区独自の上乗せ基準が設けられており、適切な管理計画を持つマンションとして認定を受けると、住宅金融支援機構の金利優遇措置が受けられます。
出典:渋谷区「マンション管理計画認定制度」
6-2. マンション長寿命化促進税制(固定資産税1/3減額)
国の制度として、長寿命化に資する大規模修繕工事を実施したマンションは、固定資産税の特例措置(建物部分の固定資産税が1/3減額、原則1年度分)を受けられる可能性があります。これは賃貸オーナーが1棟保有しているマンションでも、要件を満たせば現金キャッシュフロー上の節税効果につながります。
6-3. 分譲マンション長期修繕計画作成等費用助成・計画修繕調査費助成
- 長期修繕計画の作成・見直し費用の1/2、上限20万円
- 計画修繕調査費(劣化診断等)の助成
出典:渋谷区「分譲マンション長期修繕計画作成等費用助成」「分譲マンション計画修繕調査費助成」
7. 渋谷区 不燃化推進特定整備地区における老朽建築物除却等助成金――本町2〜6丁目オーナー必読
渋谷区の本町2〜6丁目は、東京都の不燃化特区に指定されており、木造密集地域として優先的に対策が進められているエリアです。この区域内の老朽建築物の解体・建替えについては、独自の助成金が出ます。
- 木造:12,000円×延べ面積(㎡)、上限240万円
- 非木造:16,000円×延べ面積(㎡)、上限320万円
- 申請前に事前相談書の提出が必須
- 申請期限:12月25日(年度内事業完了が原則)
出典:渋谷区「老朽建築物の除却・建替え支援助成制度(不燃化特区区域内限定)」、渋谷区要綱PDF「渋谷区不燃化推進特定整備地区における老朽建築物等除却等助成金交付要綱」
本町地区に築45年超の木造アパートを所有していて、いつ建替えるか出口戦略に悩んでいるオーナー様には、この助成を使って解体→建替え(または更地売却)を組み立てる選択肢を真剣に検討する価値があります。
8. 【注意】渋谷区 住宅簡易改修支援事業はオーナー対象外
渋谷区には「住宅簡易改修支援事業」という制度もありますが、これは「渋谷区に住所を有している個人」が、自分が住む住宅を協定事業者に依頼して簡易改修する場合に限定された制度です。区外に住むオーナーの賃貸物件は対象外です。
- 助成額:工事費の20%、上限10万円
- 対象:渋谷区在住の個人が自宅を改修する場合のみ
出典:渋谷区「住宅簡易改修支援事業」
「区の補助金一覧で見つけた」というご相談を年に数件いただきますが、賃貸物件には使えません。読者の皆さまは、リフォーム業者の説明を鵜呑みにせず、必ず制度要綱をご確認ください。
9. ロープアクセス工法を組み合わせた「補助金×低コスト改修」のハイブリッド提案
ここまでは制度の話でしたが、「補助金を取れる」ことと「投資回収できる」ことはイコールではありません。渋谷区の築古マンション・小規模ビルで、私が現場で繰り返し提案しているのが、ロープアクセス工法(無足場工法)を組み合わせた大規模修繕です。
9-1. 渋谷区の物件特性とロープアクセスの相性
渋谷区の物件は、敷地が狭く、隣地境界ギリギリまで建っているケースが圧倒的に多いです。恵比寿・代官山の高級RCマンション、原宿・神宮前の小規模ビル、本町・幡ヶ谷の木造アパート密集エリア──どれも、従来型の足場仮設では足場費が膨らみ、工期も延びる現場です。
私たち明誠は、通常足場工法・ロープアクセス工法・両者のハイブリッド工法の3本柱を建物特性に応じて使い分けます。
- ロープアクセス:足場架設コスト削減、工期短縮(足場仮設・解体期間が不要)、入居者の生活影響最小化(バルコニーをふさぐ期間が短い)
- 通常足場:複雑形状・低層・全面打診検査が必要な部位
- ハイブリッド:高層部はロープ、低層部・庇まわりは足場、と部位ごとに最適化
特に特定緊急輸送道路沿道建築物(甲州街道・国道246号沿い)のオフィスビル・店舗テナント物件は、「足場で道路を塞ぐ期間を最小化したい」という事情があるため、ハイブリッド工法の検討価値が高いです。
9-2. 補助金との組み合わせ方
| 補助金 | ロープアクセスとの組み合わせ価値 |
|---|---|
| 特定/一般緊急輸送道路沿道建築物 耐震化助成 | 工事費全体を圧縮し、自己負担率を下げる |
| 国 先進的窓リノベ2026 | 外側からの窓改修は足場なしで施工不可能。部位限定の足場とロープの併用でコスト最適化 |
| 国 賃貸集合給湯省エネ2026 | 給湯器交換単体なら屋外配管ルートの一部修繕にロープが効く |
| マンション長寿命化促進税制対象工事 | 長寿命化に資する外壁・屋上・防水改修にロープが効く |
10. ケーススタディ:渋谷区内3エリアの仮想物件で見るシミュレーション
10-1. 恵比寿 築28年RCマンション(6戸/鉄筋コンクリート造)
- 状況:賃料下落圧力1.2%/年、空室期間が平均1.5ヶ月
- 適用候補:先進的窓リノベ2026(全戸内窓設置)/賃貸集合給湯省エネ2026(給湯器全戸交換)
- 効果:体感品質改善で退去率を年▲5pt、平均空室期間を1.5ヶ月→1.0ヶ月に短縮
- 試算:年間NOI改善額+80万円〜+120万円規模
10-2. 甲州街道沿い 築40年S造ビル(1〜3階店舗、4階以上事務所)
- 状況:特定緊急輸送道路沿道建築物に該当、Is値0.45(基準0.6を下回る)
- 適用候補:特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化助成(耐震診断・補強設計・改修工事)/賃貸集合給湯省エネ2026
- 効果:1F・2F店舗テナントの長期契約継続が確保、ビル全体の出口価格を底上げ
- 試算:助成額は補強設計+改修工事で数千万円規模、自己負担率を大幅に圧縮
10-3. 本町(幡ヶ谷北側)築45年木造アパート(4戸/木造2階建)
- 状況:不燃化特区内、入居者高齢化、家賃下落
- 適用候補:木造住宅耐震改修費用及び除却費用助成/不燃化特区 老朽建築物除却等助成金(最大240万円)
- 効果:解体助成を取って更地売却 or 建替え(耐火・新築賃貸)
- 試算:建替え後の新築賃貸として再生する場合、賃料単価1.3倍〜1.6倍回復の試算余地
11. オーナー必読:補助金にまつわる税務注意点
補助金を取るときに、オーナーが必ず税理士の先生と詰めるべき論点を整理しておきます。
- 補助金は雑収入として課税対象:受給額はその年度の雑収入に計上されます。「補助金が出るからその年の節税になる」というのは半分間違いです。
- 修繕費か資本的支出かで税務処理が全く変わる:耐震改修や大規模修繕は、原則として資本的支出(資産計上→減価償却)です。修繕費として一括損金算入できるのは、原状回復・部分補修の範囲に限られます。
- 圧縮記帳の検討余地:補助金を雑収入として課税されると、その年の税負担が増えます。一定の要件を満たす国庫補助金等は圧縮記帳の対象になり、課税を繰り延べることが可能です。
- 固定資産税の長寿命化促進税制:マンション長寿命化促進税制を取れれば、建物部分の固定資産税が1/3減額される年度があります。手続きを忘れずに。
- 不動産取得税・登録免許税:建替え・除却を行う場合は、不動産取得税・登録免許税の課税タイミングも併せて検討してください。
私のような工事会社が税務助言を行うことはできません。必ず顧問税理士の先生と、補助金申請前から事前協議してください。
12. ご相談の流れ──「現地調査と利回り改善シミュレーション」だけでも
渋谷区で賃貸物件を1棟以上所有されている方で、まだこのいずれの補助金も申請していないオーナー様は、ぜひ一度お問合せください。
私たち明誠は、
- 1棟の現地調査と劣化診断
- 対象になる補助金の洗い出し
- ロープアクセス工法/通常足場/ハイブリッドの3案の見積比較
- 改修後のNOI改善・利回り改善シミュレーション
を、初回ご相談時は無料で承っています。「補助金が取れるかどうか分からない段階」「税理士との相談前」でも構いません。現地調査の段階で、特定/一般緊急輸送道路沿いか、不燃化特区内か、築年数・構造から見て対象になる制度はどれかを、その場で整理してお出しできます。
特に甲州街道・国道246号沿いの物件、本町2〜6丁目(不燃化特区)内の物件、昭和56年5月以前着工の物件を所有されている方は、2026年度内に動くと動かないとで、その後5〜10年のキャッシュフローが大きく変わります。
「今すぐ補助金を申請する判断はできない」「税理士との相談を先にやりたい」という方でも、現地調査と概算見積だけでも先に取っておけば、社内・税理士・金融機関との打合せが格段にスムーズになります。
主要参照出典
- 渋谷区「融資・助成(建築)」
- 渋谷区「耐震助成 トップページ」
- 渋谷区「特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化」
- 渋谷区「一般緊急輸送道路沿道建築物耐震化事業」
- 渋谷区「一般分譲マンションの耐震化支援事業」
- 渋谷区「木造住宅耐震改修費用及び除却費用助成」
- 渋谷区「ブロック塀等安全化対策促進事業」
- 渋谷区「マンション管理計画認定制度」
- 渋谷区「分譲マンション長期修繕計画作成等費用助成」
- 渋谷区「分譲マンション計画修繕調査費助成」
- 渋谷区「住宅簡易改修支援事業」
- 渋谷区「老朽建築物の除却・建替え支援助成制度(不燃化特区区域内限定)」
- 経済産業省「賃貸集合給湯省エネ2026事業【公式】」
- 経済産業省「給湯省エネ2026事業【公式】」
- 環境省「先進的窓リノベ2026事業」
- 東京都耐震ポータルサイト「緊急輸送道路沿道建築物の耐震化」
※本記事の制度内容・助成金額・期限・要件は2026年5月時点の公開情報に基づきます。最新の正式情報は、必ず各制度の公式ページおよび渋谷区担当課にご確認ください。


