大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

大規模修繕の塗料が「止まる」時代に——ナフサ調達不安で材料不足・値上がりが続く2026年、管理組合と収益物件オーナーが見積書と工法で打つコスト防衛の実務【2026年7月】

大規模修繕の塗料が「止まる」時代に——ナフサ調達不安で材料不足・値上がりが続く2026年、管理組合と収益物件オーナーが見積書と工法で打つコスト防衛の実務【2026年7月】

「塗料が来ないので、工程が組めない」——2026年夏の現場で起きていること

正直に申し上げます。この夏、私が現場の職人や取引先のメーカー担当者と話していて、一番多く出てくる言葉が「塗料が読めない」です。

読めない、というのは値段だけの話ではありません。「発注してから何日で入るのか」「そもそも希望の色・グレードが確保できるのか」という、納期そのものが揺れているのです。大規模修繕(マンションやビルの外壁・防水などを12年前後の周期でまとめて直す工事)は、足場をかけ、下地を直し、塗って、防水して、と工程が数珠つなぎになっています。真ん中の「塗る」が1週間止まれば、後ろの工程がまるごと後ろにずれます。

先日も、ある管理組合の理事長さまから「見積を取ったら、去年より材料費がずいぶん上がっていて驚いた。何が起きているのか」とご相談をいただきました。私はこの手のご質問に、いつも川上(原料)の話から順にご説明するようにしています。塗料が高い・入りにくいのは、現場のわがままでも、工事会社の便乗値上げでもありません。もっと手前で、日本全体の「材料の入口」が細くなっているからです。

この夏、私のところに届くご相談は、大きく3つに分かれます。「見積が去年より高くて、妥当なのか分からない」。「工事の時期だが、材料が高いので少し待つべきか」。「そもそも、うちの建物にどの工法が合うのか」。どれも、根っこは同じ「材料が不安定な時代に、どう損をせず修繕するか」という問いです。この記事は、その3つの問いにまとめてお答えするつもりで書いています。

この記事では、いま起きている「塗料が止まりかける」現象の正体を、原料であるナフサの話までさかのぼって整理します。そのうえで、管理組合や収益物件オーナーの立場で、修繕積立金をムダに減らさないために見積書のどこを見ればいいのか、そして工法の選び方でコストと工期をどう守れるのかを、現場の視点でお伝えします。築15〜25年でそろそろ2回目・3回目の修繕が視野に入っている方、区分マンションを複数お持ちのオーナーの方は、まさに「うちの話」として読んでいただけるはずです。

なぜ塗料が不足・値上がりするのか——「ナフサ」という川上の話

塗料の値段と納期を左右しているのは、ナフサという石油製品です。ナフサは原油を精製してできる液体で、プラスチックや塗料、溶剤(塗料を薄めたり乾きを調整したりする液体)の大もとの原料になります。ここが細くなると、塗料も防水材もシーリング材も、あらゆる建築材料が一斉に影響を受けます。

問題は、日本がこのナフサを海外に強く依存している点です。報道によれば、日本はナフサの約4割を中東から輸入しており、国産分の約4割も原料は中東由来の原油に頼っています(出典:時事通信「政府、ナフサ備蓄の復活検討 調達不安拡大で、保管が課題」)。つまり、中東情勢が荒れると、輸入も国産も同時に揺らぐ構造になっているのです。

実際、2026年に入ってからの中東情勢の悪化で、中東産ナフサの供給が細り、石油化学各社は米国・オーストラリア・インドなど非中東地域からの代替調達を急いでいます。国内では、エチレン(プラスチックや各種化学品の基礎原料)を作る生産プラントの一部が減産に追い込まれる場面もありました。原料の入口が細れば、その先にある塗料・溶剤の生産も当然しわ寄せを受けます。住宅・建設業界で塗料や溶剤の不足が相次いだのは、この流れの延長線上にある出来事です。

ここで一つ、歴史の話をさせてください。実は日本には、かつてナフサの備蓄制度がありました。しかし1993年、石油化学業界からの「コスト負担が重い」という要望を受けて廃止されています。それから30年あまり、「安く・必要なだけ・都度買えばいい」という前提で回ってきたわけです。ところが2026年、その前提が崩れました。赤沢亮正経済産業相は7月7日、供給の安定に向けてナフサの備蓄を検討する考えを表明しています(出典:時事通信 同上資源エネルギー庁「中東情勢を踏まえた石油及び関連製品等に関する対応」)。

数字で見ると、事態の深刻さが伝わります。報道や公的資料によれば、国内には12基のエチレン生産プラントがあり、2026年4月初旬の時点でそのうち6基が減産体制に追い込まれ、フル稼働を保てていたのはわずか3基という異常な状況でした。政府・業界は、すでに調達済みの輸入ナフサと国内精製で当面の需要を確保しつつ、中東以外からの輸入を月45万klから90万kl規模へと倍増させて在庫でしのげる期間を半年以上に延ばす、といった綱渡りの対応を進めています(出典:資源エネルギー庁「中東情勢を踏まえた石油及び関連製品等に関する対応」)。日本全体の石油備蓄はおよそ8カ月分ありますが、ナフサそのものを厚く積んでいるわけではない、というのが今回あぶり出された弱点です。

もっとも、備蓄を「検討する」からといって、明日から塗料が潤沢になるわけではありません。ナフサはガソリンに近い性質で揮発しやすく、長期の液体備蓄が難しいという技術的な壁があります。ペレット(固形の樹脂原料)の形で持つ、あるいは原料となる原油の備蓄を厚くする、といった代替案が検討されている段階です。私はこのニュースを「すぐ解決する朗報」ではなく、「材料の不安定さが一過性ではなく、当面続く前提で修繕計画を組みましょう」というサインとして受け止めています。政府が制度の復活まで議論するということは、それだけ根が深いということでもあるからです。

もう少しかみ砕きます。塗料が現場に届くまでには、原油 → ナフサ → 基礎化学品(エチレンなど) → 樹脂・溶剤 → 塗料メーカーでの調合、という長い川の流れがあります。今回の不安は、その一番上流である原油・ナフサで起きています。上流が細ると、下流にいくほど「どこかで止まるかもしれない」という不安が積み重なり、メーカーは在庫を厚めに持とうとし、価格には安全マージンが乗ります。これが、現場から見ると「去年より高い・納期が読めない」という形で表れるわけです。犯人は目の前の工事会社ではなく、この川全体の細りなのだと、まずは知っておいていただきたいのです。

大規模修繕に効く3つの材料——塗料・防水材・シーリング材

「ナフサが原料」と一口に言っても、大規模修繕に直接効いてくる材料は主に3つです。管理組合やオーナーが見積書を読むときの土地勘として、ざっくり押さえておくと役に立ちます。

まず塗料です。外壁塗装や鉄部塗装に使う材料で、樹脂・顔料・溶剤からできています。ナフサ由来の溶剤や合成樹脂の価格・供給に直結するため、今回の影響を最も受けやすい材料です。グレード(アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素・無機など、耐久年数が上がるほど高くなる)によっても納期の読みやすさが変わります。

次に防水材です。屋上やベランダ、廊下の床を雨から守る材料で、ウレタン防水や塩ビシート、アスファルト系など複数の工法があります。ウレタン系はとくに石油化学製品との関わりが深く、価格転嫁の波を受けやすい部類です。

3つ目がシーリング材(コーキング材)です。外壁の目地やサッシまわりの隙間を埋める、ゴム状の材料です。地味ですが、ここが切れると雨漏りの入口になります。シーリングも石油化学由来の原料が多く、近年は継続的に値上がり傾向にあります。

先日、あるオーナーさまの物件で、前回の修繕から10年ぶりにシーリングの状態を点検したことがありました。南面のサッシまわりのシーリングが痩せて、指で押すと弾力を失い、ところどころ切れかけていたのです。まだ雨漏りには至っていませんでしたが、あと1〜2年放置していれば、間違いなく水が入り、下地の補修まで必要になっていました。地味な材料ほど、切れると被害が大きい。これは私が現場で何度も見てきた事実です。

ここで一つ、周期の話も添えておきます。塗料の塗り替えはおおむね12年前後を目安に語られますが、防水は屋上で10〜15年、ベランダやバルコニーはそれより短いこともあり、シーリングに至っては塗装より早く傷む部位が出てきます。つまり、大規模修繕は「全部を12年ごとに一度だけ直す」ものではなく、部位ごとに寿命の違う材料の集合体なのです。材料が高い局面では、この寿命の違いを踏まえて「今回どこまで一緒に直すか」を設計できるかどうかが、総額を大きく左右します。足場を一度かけるなら、次に傷みそうな部位もまとめて手当てしておくほうが、足場代を二重に払わずに済む——これは現場の鉄則です。

私が現場で20年やってきて申し上げたいのは、「材料が高い局面ほど、必要な材料をケチると後で高くつく」ということです。たとえば耐久性の低い塗料に切り替えて目先の見積を下げても、次の修繕が早く来れば、足場代を含めた総額ではかえって割高になります。塗料のグレードは、シリコンなら期待耐用がおよそ12〜15年、フッ素や無機系ならさらに長く見込めるとされ、単価が高い材料ほど「1年あたりのコスト」ではむしろ有利になることも珍しくありません。材料高騰は、安いものに逃げる理由ではなく、「本当に必要な仕様を、いかにムダな周辺コストを削って実現するか」を考える理由にすべきだと私は考えています。

管理組合・収益物件オーナーが見積書で張る「5つの防衛線」

では、材料が不安定な2026年に、どうやって修繕積立金を守るのか。私がいつも理事長さまやオーナーさまにお伝えしている、見積書のチェックポイントを5つに整理します。押し売りではなく、相談前のセルフチェックだと思って使ってください。

防衛線 見るポイント なぜ効くか
①材料の「銘柄・グレード・数量」明記 メーカー名・製品名・㎡数まで書いてあるか 「塗料一式」では高騰時に何を削られたか分からない。仕様の透明化が第一
②材料費と施工費(労務)の分離 材料と手間が分けて書いてあるか 値上がりの正体が材料なのか手間なのかを切り分けられる
③有効期限と単価の前提日 見積の有効期限・単価の基準月 材料価格が動く前提で、いつまで有効かを合意しておく
④代替仕様の提示 同等性能の別材料や工法の選択肢があるか 特定材料が欠品しても工程を止めない保険になる
⑤足場・仮設費の内訳 足場面積・単価・共通仮設費 工事費の中で材料以外に削れる大きな塊はここ

とくに①と⑤は大切です。材料が不安定なときほど「塗装一式◯◯円」という丸めた見積は危険で、中で何が起きているか見えません。逆に、銘柄と数量まで開示された見積は、材料が動いても交渉の土台になります。

相見積もり(複数社から見積を取ること)を取るときも、この5点をそろえておくと比較の精度が上がります。よくあるのは、A社とB社で「一式」の中身が違うのに、総額だけを並べて「B社のほうが安い」と判断してしまうケースです。実際には、B社は下地補修の数量を少なく見込んでいただけで、工事が始まってから「追加です」と言われて結局高くなる、ということが起こり得ます。数量と仕様をそろえて初めて、フェアな比較になります。私はご相談のとき、他社さんの見積を持ってきていただければ、どこがそろっていないかを一緒に読み解くようにしています。

そしてもう一つ、断っておきたいことがあります。ここで挙げた5つは「安い会社を選ぶためのチェックリスト」ではありません。むしろ、極端に安い見積が出てきたときに「どこを削ったのか」を見抜くための道具です。相場から大きく外れて安い見積には、必要な下地補修を省く、耐久性の低い材料に落とす、といった理由が隠れていることがあります。私が一番悔しい思いをするのは、目先の安さで選んだ工事が数年で傷んで、結局オーナーさまが二度払いになる場面です。

戸あたりいくら効くのか——数字で「材料高騰」を体感する

材料費の話は、率(パーセント)で言われてもピンと来ないものです。そこで、財布の感覚に落として考えてみます。

仮に50戸のマンションで大規模修繕の総額が6,000万円だったとします。1戸あたりに直すと120万円。ここで材料費が全体の3割を占め、その材料が2割上がったとすると、総額は約360万円増え、1戸あたりでは7万円強の負担増です。これは修繕積立金にそのまま効いてきます。「材料が2割上がった」という一行のニュースが、各戸にとっては数万円単位の現実になる、ということです。

一方で、仮設費が総額の2割を占め、工法の見直しでその仮設費を仮に3割圧縮できたとすると、総額でおよそ360万円、1戸あたり7万円強を取り返せる計算になります。つまり、材料高騰で膨らんだぶんを、仮設の工夫でちょうど相殺できる可能性がある、ということです。数字はあくまで一例で、建物ごとに前提は変わりますが、「材料で上がったぶんを、材料以外で取り返す」という戦い方が現実的だと分かっていただけると思います。私が見積のご相談で必ず仮設費の話をするのは、ここに一番大きな交渉の余地があるからです。

「工法でコストを下げる」——足場・ロープアクセス・ハイブリッドの使い分け

材料の値段は、正直なところ一工事会社の努力で下げきれるものではありません。ナフサの話がそうであるように、川上の相場は現場の外で決まります。だからこそ私は、「材料で削れないなら、材料以外で削る」という発想を大事にしています。その最大の対象が、仮設——とくに足場です。

大規模修繕の工事費のうち、足場を含む仮設費は一般に2割前後を占めるとされます。建物の形状や高さによって幅はありますが、材料と並ぶ大きなコストの塊であることは間違いありません。ここに手を入れられるかどうかで、総額は大きく変わります。

明誠では、建物の特性に応じて3つの工法から最適な組み合わせをご提案しています。1つ目は通常の足場工法。全面をしっかり囲うため、広範囲の作業や複雑な形状に向きます。2つ目がロープアクセス工法(産業用ロープで作業員が降下しながら施工する無足場工法)。足場を組まないぶん仮設費を抑えられ、工期も短く、足場で囲われないため居住者や利用者の生活・営業への影響も小さくできます。3つ目が、その両方を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法です。

たとえば、下地補修が多い低層部は足場でしっかり作業し、傷みの少ない高層部の塗装や部分補修はロープアクセスで、というように分ければ、足場面積そのものを減らせます。全面足場を前提にしていた見積が、工法の組み替えで仮設費を圧縮できることは珍しくありません。材料が高い今だからこそ、この「仮設で取り返す」発想が効いてきます。

具体的なイメージをお伝えします。ある中高層の建物で、当初は全面に足場を組む前提で見積が出ていました。しかし現地を拝見すると、劣化が集中しているのは下層階のバルコニーまわりと、屋上の防水でした。上層階の外壁は塗膜こそ傷んでいるものの、下地は健全。そこで、下層部と屋上は足場と部分的な仮設で丁寧に、上層階の塗装はロープアクセスで、という組み合わせをご提案しました。足場をかける面積が減れば、その分の材料費・組立解体の手間・近隣への影響がまとめて軽くなります。しかも、足場で建物全体を囲わないため、居住者の方の採光や通風、テナントの看板の見え方といった「暮らしと商売への影響」も小さくできました。これは、材料の値段を1円も動かさずに実現できるコスト削減です。

居住者・利用者への影響が小さいという点は、実は工期にも効きます。足場の組立・解体には日数がかかり、その間は建物全体が幕で覆われます。ロープアクセスやハイブリッドで仮設を軽くできれば、工期そのものを短縮できる場合があり、住民の負担期間も、賃貸物件なら「工事中で見栄えが悪い」期間も短くなります。コスト・工期・生活影響の3つを同時に軽くできるのが、工法を選べることの本当の価値だと私は考えています。

ただし、両論を正直にお伝えします。ロープアクセスは万能ではありません。下地補修が全面にわたる、装飾が複雑で大量の材料や道具を同時に扱う、といった現場では、足場のほうが安全で結果的に安いこともあります。だからこそ「無足場ありき」でも「全面足場ありき」でもなく、建物を実際に見てから決めるべきなのです。私はこの見極めを、必ず現地調査とセットでご提案するようにしています。工法を3つとも自社の選択肢として持っているからこそ、どれかに誘導せず、建物にとって本当にベストな組み合わせを中立に選べる——これが明誠の一番の強みだと思っています。大規模修繕全体の考え方は大規模修繕工事のご紹介でも整理しています。

それでも今、動くべき理由——「先送り」が一番高くつく

材料が高い局面では、「値段が落ち着くまで工事を先送りしようか」という声も出ます。お気持ちはよく分かります。ですが、私はここを慎重にお考えいただきたいと思っています。

第一に、材料価格がすぐ下がる保証はありません。政府がナフサ備蓄という制度論にまで踏み込んでいる以上、供給の不安定さは当面続く前提で見ておくのが現実的です。「下がるまで待つ」が「ずっと待つ」になりかねません。

第二に、修繕の先送りは劣化の先送りではないということです。シーリングの切れや塗膜の劣化を放置すれば、雨水が入り、下地の鉄筋やコンクリートまで傷みます。そうなると、次の工事は塗り直しでは済まず、下地補修という重い工事が増え、かえって高くつきます。私が現場で見てきた「一番もったいないパターン」は、数年の先送りで補修範囲が倍増したケースです。塗料が数割高くなること以上に、下地まで傷んだときの追加費用のほうが、金額としてはよほど大きくなります。

第三に、修繕積立金の設計です。国土交通省は長期修繕計画(30年程度の期間で、いつ・何を・いくらで直すかをあらかじめ決めておく計画)の標準様式や、修繕積立金の目安を示すガイドラインを公表しており、計画的な積立と工事の実施を推奨しています(参考:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」)。材料高騰は、この長期計画が前提にしていた工事費の数字を狂わせます。5年前・10年前に組んだ計画の金額のままでは、いざ工事という段になって「積立が足りない」という事態になりかねません。だからこそ、いま必要なのは「先送り」ではなく、「工法の見直しを含めた計画の再点検」です。同じ予算でも、仮設費を圧縮できれば、材料が上がったぶんを吸収できる可能性があります。

賃貸経営の視点でも同じことが言えます。外壁や共用部の見た目・防水性能は、そのまま空室率や賃料維持に直結します。雨漏りやタイルの浮きを放置した建物は、入居者にすぐ見抜かれます。収益物件オーナーの方は、修繕を「コスト」ではなく「資産価値と収益を守る投資」として、下げるべきは総額、守るべきは性能、という順で考えていただきたいと思います。物件タイプ別のご相談は管理組合向けのご案内マンション・ビルオーナー向けのご案内もご参照ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 塗料の値上がりは、いつ落ち着きますか。
A. 断定はできません。原料であるナフサの供給が中東情勢に左右されており、政府も備蓄制度の復活を検討する段階です。少なくとも当面は不安定さが続く前提で修繕計画を立てるのが安全だと、私は考えています。

Q. 材料が高いので、安いグレードの塗料に変えれば得ですか。
A. 一概には言えません。耐久年数の低い塗料に落とすと次の修繕周期が早まり、足場代を含めた総額でかえって高くつくことがあります。守るべき性能は守り、仮設費など材料以外で総額を下げるのが基本の考え方です。

Q. ロープアクセス(無足場工法)にすれば必ず安くなりますか。
A. 建物によります。仮設費を抑えられるケースは多い一方、下地補修が全面にわたる現場などでは足場のほうが適することもあります。現地調査のうえ、足場・ロープアクセス・ハイブリッドから最適な組み合わせを選ぶことをおすすめします。

Q. まだ工事の時期ではありませんが、今できることはありますか。
A. 現状の劣化診断と、長期修繕計画の前提数字(材料費・仮設費)の見直しから始めるのが有効です。診断だけ、計画の整理だけでも、将来のコストの読み違いを防げます。

Q. 見積を1社しか取っていません。それでも大丈夫でしょうか。
A. できれば複数社での比較をおすすめします。ただ、単純な金額比較だけでは、安い理由(材料グレードや下地補修の範囲)が見えません。本記事の「5つの防衛線」を使って、仕様と内訳をそろえた上で比べると、正しい比較ができます。

まとめ——材料で削れないなら、仮設と計画で守る

2026年の塗料不足・値上がりは、現場の都合ではなく、ナフサという川上の供給不安から来ています。中東依存という構造、1993年に廃止された備蓄制度、そして政府による備蓄再検討——この流れを見れば、材料の不安定さが当面続く前提で修繕を考えるのが現実的だと分かります。

その前提に立てば、管理組合や収益物件オーナーが取るべき手は明確です。見積書は銘柄・数量・仮設費の内訳まで開示させて透明化する。守るべき性能は守り、削るのは仮設費など材料以外の塊から。そして「下がるまで待つ」ではなく、工法の見直しを含めて計画を再点検する。材料で削れないなら、仮設と計画で守る——これが私の結論です。材料の値段は、正直なところ私たち工事会社にも、そして政府にもすぐには動かせません。だからこそ、動かせるところ——仕様の透明化、工法の選択、計画の前倒しの点検——に、いま手をつけておく価値があります。

うちの建物ならどの工法の組み合わせが最適なのか、いまの見積は妥当なのか。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会前の整理や、現状の劣化診断だけでも、お力になれることがあります。現地を見ずに「安くします」とは申しません。建物を拝見したうえで、材料が高い時代でも総額を抑える現実的な道筋を、正直にお示しします。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。

ご相談はお問合せフォームからどうぞ。

出典・参考資料

本記事は2026年7月17日時点の公開情報に基づきます。制度・価格の最新状況は各一次情報をご確認ください。記載の費用割合・耐用年数は一般的な目安であり、建物の規模・形状・劣化状況により変動します。