
大規模修繕の現場を30年見てきた私(本間)が、国立市に賃貸マンション・アパート、あるいは自社ビルをお持ちのオーナーさま向けに、2026年度(令和8年度)に「実際に使える」補助金を、投資判断の目線で整理します。管理組合向けの「住民の安心」ではなく、入居率・NOI(実質賃料収入)・固定資産税・出口価格という、オーナーの財布に直結する話だけをします。
先に結論から言うと、国立市の賃貸オーナーが本気で狙うべきは「国立市の制度」よりも「東京都の制度」です。理由は後述しますが、市の看板制度である耐震助成が「自己居住」の壁を持つのに対し、都には賃貸住宅そのものを対象にした218億円規模の助成があるからです。この一枚を知っているかどうかで、1棟あたり数百万円のキャッシュフローが変わります。
結論:国立市の賃貸・ビルオーナーが狙う「三層マップ」
補助金は「国・東京都・国立市」の三層で重なっています。まず全体像を、賃貸オーナーの実用度で並べておきます。
| 層 | 制度名 | 賃貸オーナーの実用度 | 何に効くか |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業(令和8年度218億円) | ★★★★★ | 賃貸1棟丸ごとの断熱改修・太陽光。オーナー本命 |
| 東京都 | 既存住宅における省エネ改修促進事業 | ★★★★ | 高断熱窓・ドア・断熱材・浴槽の改修 |
| 国 | 住宅省エネ2026キャンペーン(賃貸集合給湯省エネ2026 ほか) | ★★★★ | 賃貸集合住宅の省エネ給湯器・窓 |
| 国立市 | 住宅用スマートエネルギー関連システム設置補助金 | ★★★ | 太陽光・蓄電池・エネファーム(自宅併用向け) |
| 国立市 | 木造住宅耐震改修助成(工事費33%・上限80万円) | ★★(自己居住が条件) | 旧耐震の自宅・自宅併用のみ |
| 国立市 | ブロック塀等撤去費助成 | ★★★ | 賠償リスクの高い外構ブロック塀の撤去 |
このマップを頭に入れたうえで、「なぜ都が本命なのか」「市の制度はどこまで賃貸に使えるのか」を、一つずつ数字で見ていきます。
国立市という賃貸市場の読み方――「学生街の単身ストック」という構造
補助金の前に、国立市がどういう賃貸市場なのかを押さえておきます。制度は「どの物件に効くか」で価値が変わるからです。
国立市はJR中央線の国立駅を中心に、南側にはJR南武線の谷保駅・矢川駅が走ります。最大の特徴は一橋大学をはじめとする教育機関を抱える学生街であること。結果として、ストックの中心は単身向けのワンルーム・1Kです。国立駅周辺には築30年前後のワンルームマンションが集中し、賃料は1R・1Kで概ね6.2万〜7.2万円、2LDKで10万〜11万円、3LDKで12万〜13万円というレンジで推移しています(賃貸ポータル各社の相場データ、2026年時点)。
この構造がオーナーにとって意味するのは、次の3点です。
第一に、単身・学生需要は「築年数と設備の鮮度」に敏感だということ。ファミリー層のように「多少古くても広さ重視」で我慢してくれる層が薄く、築古のワンルームは競合の新しい単身物件に入居者を持っていかれやすい。だからこそ、窓・給湯・断熱といった「体感で分かる快適性」への投資が、そのまま入居率と賃料維持に効く市場です。
第二に、単身ストックは「1棟あたりの戸数が多い」こと。ワンルーム1棟20戸なら、給湯器交換も窓改修も戸数分がまとめて動きます。補助金は「戸あたり定額」「対象工事あたり定率」で出るものが多いので、戸数が多い物件ほど補助総額のインパクトが大きい。国立の単身ストックは、実は補助金と相性が良いのです。
第三に、築30年前後という年齢は、旧耐震(昭和56年5月以前)と新耐震の境目にあること。1981年(昭和56年)6月より前に建った木造アパートを持っているオーナーは、耐震の論点が出口価格に直結します。ここは後半で扱います。
私が現場で見ていて感じるのは、学生街の物件ほど「見た目の古さ」が静かに賃料を下げているということです。築年数なりの劣化は、家賃査定のときに1,000円、2,000円という単位で確実に効いてきます。単身ワンルームで1戸あたり月2,000円下がれば、20戸で年間48万円の減収。補助金を使った設備更新は、この「静かな値下げ圧力」を止めるための投資でもあります。
【都・最重要】令和8年度 賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業(218億円)
国立市の賃貸オーナーにとって、2026年度の本命がこれです。東京都環境局が令和8年度予算218億円を投じる、賃貸住宅を正面から対象にした助成事業です。
制度の骨子は次の通りです。入居者の健康確保や防音・防犯効果に資する断熱改修等を実施する賃貸住宅オーナーを「集中的に」支援するもので、①省エネ性能の診断・表示および一定水準以上の断熱性能を確保する改修を行う賃貸住宅の1棟所有者等への助成、②太陽光発電と低圧一括受電を組み合わせて各住戸へ再エネ電力を供給する場合の、太陽光発電設備・低圧一括受電附帯設備等への助成、の二本立てです。令和8年度は事前申込・事業者登録の受付が始まっています。
賃貸オーナー視点で、この制度の「効きどころ」を3つ挙げます。
(1)対象が「賃貸住宅の1棟所有者」であること。 国や市の多くの省エネ補助が「自ら住む住宅」を軸に組み立てられているのに対し、この事業は最初から賃貸=投資物件を狙い撃ちにしています。国立の単身ワンルーム1棟のような、まさにオーナー物件が主戦場です。
(2)「入居者の健康・防音・防犯」を政策目的に掲げていること。 これは裏を返せば、入居者にとっての付加価値を都のお金で高められるということです。断熱が上がれば夏涼しく冬暖かい、窓が良くなれば騒音が減る――学生・単身層が体感できる差は、内見時の決め手になり、空室期間の短縮と賃料維持に直結します。1棟の入居率が1%改善するだけで、年間のキャッシュフローがどれだけ変わるか。ワンルーム20戸・平均賃料6.5万円なら、1%=年間で家賃0.2戸分≒約15万円の差です。これを毎年積み上げれば、断熱投資の回収は「補助金+賃料維持」の二段で進みます。
(3)太陽光+低圧一括受電への助成。 屋上・屋根を持つ1棟オーナーにとって、太陽光と一括受電の組み合わせは「共用部電気代の圧縮」と「入居者向けの電力サービス化」の両面で効きます。これは修繕というより収益構造そのものへの投資であり、出口(売却)時の物件の「収益力」を底上げします。
注意点も正直に書きます。 ①予算規模は大きいものの、集中促進型の事業は年度内の予算枠に達すると受付が締め切られます。②「一定水準以上の断熱性能」など要件を満たす設計・製品選定が必要で、事業者登録された施工者と組む必要があります。③断熱改修は「資本的支出」と「修繕費」の判定が税務上分かれます(後述)。制度の詳細・要件・金額は必ず都の事業ホームページ(東京都環境局・クール・ネット東京)で最新版をご確認ください。
【都】既存住宅における省エネ改修促進事業――窓・ドア・断熱材に大枠
都のもう一つの柱が、クール・ネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター)が運営する「既存住宅における省エネ改修促進事業」の令和8年度版です。対象は高断熱窓・ドア・断熱材・高断熱浴槽の改修で、既存住宅の省エネ改修を後押しします。
国立の単身ワンルームで最も費用対効果が高いのは、やはり窓(開口部)の改修です。断熱の弱点は8割が窓と言われ、単板ガラスのアルミサッシを内窓や複層ガラスに替えるだけで、体感温度と結露が大きく変わります。結露はカビ・建具の劣化を呼び、原状回復コストと入居者クレームの温床です。窓改修は「入居者満足」「原状回復費の削減」「断熱等級の向上」を一度に取りに行ける、賃貸オーナーにとって王道の一手です。
この都の事業と、後述する国の「先進的窓リノベ2026」は、対象や併用可否のルールがあります。同一工事に対する国と都の補助は、重複受給が制限される場合があるため、どちらを主に使うかを施工前に設計する必要があります。ここは経験のある施工会社と一緒に、補助金の「取り分」を最大化する組み方を先に決めるのが鉄則です。
【国】住宅省エネ2026キャンペーン――「賃貸集合」という専用枠がある
国の補助は「住宅省エネ2026キャンペーン」に集約されています。これは国土交通省・経済産業省・環境省が連携する4事業――みらいエコ住宅2026事業/先進的窓リノベ2026事業/給湯省エネ2026事業/賃貸集合給湯省エネ2026事業――の総称です。
賃貸オーナーが真っ先に見るべきは、その名の通り賃貸集合給湯省エネ2026事業です。これは賃貸集合住宅における小型の省エネ型給湯器への交換に補助が出る、賃貸専用の枠。交付申請(予約含む)は令和8年3月31日から受付が始まっています。国立の単身ワンルーム1棟のように、同型の給湯器がまとまって設置されている物件では、更新時期を合わせて一括交換すれば、戸数分の補助がまとめて動きます。
もう一つが先進的窓リノベ2026事業(環境省)。高断熱性能の製品を用いた開口部改修への補助で、補助率・単価が手厚いのが特徴です。前述の都の窓改修事業とどちらを軸にするかは、物件と工事内容で判断します。
国の制度の勘所は、「登録事業者(登録工事事業者)を通じて申請する」仕組みであること。オーナーが直接申請するのではなく、施工会社が代行して補助金分を工事費から差し引く形が基本です。したがって、その補助金の登録事業者になっている施工会社を選べるかどうかが、そもそも補助を取れるかの分かれ目になります。制度の内容・予算・締切は公式サイト(住宅省エネ2026キャンペーン)で必ず最新をご確認ください。
【市】住宅用スマートエネルギー関連システム設置補助金――自宅併用オーナー向けの一枚
ここから国立市の制度です。まず市の「住宅用スマートエネルギー関連システム設置補助金」。地球温暖化対策の一環で、太陽光発電システム・燃料電池コージェネレーション(エネファーム)・蓄電池システム・太陽熱利用システムなどの設置費用の一部を助成する制度です。
金額の目安(個人・新設)は、太陽光発電システムで上限12.5万円、エネファームで4万円などで、1年度あたり2種類まで、先着順・予算内での交付です。令和8年度の申請期間は2026年4月1日〜2027年3月31日。担当は国立市の環境政策担当(TEL:042-576-2111)です。
賃貸オーナーにとっての位置づけを正直に言うと、この市の制度は「住宅用」であり、自宅・自宅併用(オーナー居住部分)向けの色が濃い制度です。純然たる投資用の賃貸1棟で使うなら、前述の都の「賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業」の方が本命。ただし、1階に自宅を構え上階を賃貸に回している「自宅併用オーナー」であれば、居住部分の設備更新にこの市の枠を、賃貸部分の断熱・太陽光に都の枠を、と層を分けて併用する設計が有効です。対象範囲は年度ごとに変わるため、賃貸部分に使えるかは必ず市の環境政策担当に確認してください。
【市・要注意】木造住宅耐震改修助成――「自己居住」の壁と、旧耐震アパートの出口
国立市の看板制度が、木造住宅の耐震化への助成です。金額は魅力的で、耐震改修工事費用の33%・上限80万円。耐震診断への助成もあります。
しかし、賃貸オーナーが飛びつく前に、対象要件を冷静に読む必要があります。対象は「昭和56年5月31日以前に建築され、耐震診断助成を受けて改修が必要と評価された木造住宅」で、条件として「その住宅に居住しており(店舗併用住宅の場合は居住部分が2分の1以上)」「市税等の滞納がないこと」が付いています。
ここで効いてくるのが「居住しており」という一語です。多くの自治体の木造耐震助成は「所有者自らが居住する住宅」を軸にしており、純粋な賃貸アパート(オーナーが住んでいない木造共同住宅)は対象外となるケースが一般的です。国立市でも、賃貸専用の木造アパートに使えるかは、この居住要件の解釈次第になります。使えるかどうかは、必ず着工前に国立市都市計画課(都市計画係・TEL:042-576-2111)へ物件の登記と居住状況を示して確認してください。 「使えると思って契約したら対象外だった」は、補助金で最も多い事故です。
では旧耐震の木造アパートを持つオーナーは、この壁の前で何を考えるべきか。ポイントは出口(売却)と融資です。1981年6月より前の旧耐震物件は、買主にとって融資が付きにくく、地震保険料も高く、売却時の価格に「旧耐震ディスカウント」が乗ります。耐震改修は、補助が使えるか否かにかかわらず、物件価値そのもの(収益還元価格の前提になる「売れやすさ」)を底上げする投資という側面を持ちます。補助が自己居住部分にしか使えなくても、耐震改修と併せて固定資産税の減額特例(耐震改修を行った住宅への一定期間の減額)が使える場合があり、これは賃貸でも効くことがあります。ここも制度の適用可否は市の担当窓口で確認が必要です。
【市】ブロック塀等撤去費助成――「賠償リスク」を消す一手
意外と賃貸オーナーの実用度が高いのが、国立市のブロック塀等撤去費助成です。地震時の倒壊による市民の安全確保を目的に、道路等に面するブロック塀等の撤去工事費用の一部を助成します。
金額は、対象ブロック塀の長さ1メートルあたり5,000円を乗じた額と、撤去工事費用の9割に相当する額と、15万円――このうちいずれか少ない額が上限です。さらに国立市の谷保・青柳・石田・矢川、および地区防災計画を策定済みの区域では、1メートルあたり8,000円・上限24万円と手厚くなります。国立の南部(南武線沿線)に物件を持つオーナーは、この上乗せ区域に該当する可能性があります。
賃貸オーナーがこれを軽視できない理由は、工作物責任(民法717条)です。所有する外構ブロック塀が地震や経年で倒壊し、通行人や隣家に被害が出れば、オーナーが賠償責任を負う可能性があります。2018年の大阪北部地震では、ブロック塀の倒壊による痛ましい事故が起きました。古い外構ブロック塀は「いつか直す修繕」ではなく「今すぐ消すべき賠償リスク」です。それを市のお金の補助を受けながら撤去し、軽量なフェンス等に更新できるなら、使わない手はありません。担当は国立市の防災・都市整備の窓口です。
オーナーが押さえる「税務の3点セット」――損金・雑収入・固定資産税
補助金は「もらって終わり」ではありません。賃貸オーナーには税務の論点が必ず付いてきます。私は税理士ではないので一般的な考え方の整理にとどめますが、必ず顧問税理士に確認してください。そのうえで、押さえるべき3点です。
(1)修繕費か、資本的支出か。 同じ工事でも、原状回復・維持管理のための支出は「修繕費」としてその年に全額損金算入できますが、資産の価値を高めたり使用可能期間を延ばしたりする支出は「資本的支出」となり、減価償却で複数年に分けて費用化します。断熱改修や太陽光設置のような「価値を高める」工事は資本的支出と判定されやすい。どちらになるかで、その年の課税所得=手残りが大きく変わります。「この工事は修繕費か資本的支出か」を、見積り段階で税理士と握っておくのが賢いオーナーです。
(2)補助金は「雑収入」として課税される。 受け取った補助金は、原則として受給した年度の雑収入(益金)に計上され、課税対象になります。「100万円もらえた」=「100万円まるまる得」ではありません。ただし一定の要件を満たす国庫補助金等には圧縮記帳という、課税を繰り延べる会計処理が使える場合があります。補助金の額が大きいほど、この処理の有無で税額が変わります。
(3)固定資産税の減額特例。 耐震改修・省エネ改修・バリアフリー改修などを行った住宅には、翌年度分などの固定資産税が一定割合減額される特例が用意されている場合があります。補助金(現金)+損金算入(所得圧縮)+固定資産税減額の「三段」で効かせるのが、オーナー補助金活用の理想形です。適用要件・申告期限は制度ごとに異なるため、工事前に確認しておきましょう。
工法の話――「足場か、ロープか」で工事費は変わる
補助金で工事費の一部が戻るとしても、元の工事費そのものを下げれば手残りはさらに増えます。ここで効いてくるのが工法の選択です。
大規模修繕や外壁改修の費用は、実は「足場代」が全体の2〜3割を占めることが珍しくありません。私たち明誠は、①通常の足場を架ける従来工法、②産業用ロープで無足場施工するロープアクセス工法、③足場とロープを部位ごとに使い分けるハイブリッド工法――の3つから、建物にとって最適な組み方を提案できる、日本でも数少ない会社です。
国立の単身ワンルーム物件のように、外壁の一部補修・シーリング打ち替え・部分的な塗装・窓まわりの改修といった「全面足場までは要らない」工事では、ロープアクセスやハイブリッドが特に効きます。全周に足場を架けずに済めば、その足場代がまるごと浮く。しかも足場を組まない分、工期が短くなり、足場設置による入居者の圧迫感・防犯上の不安・日照の遮りが減る。単身入居者は工事中のストレスに敏感で、退去のきっかけにもなりますから、「工事のやり方」が入居率にも効くのです。
補助金で戻る額と、工法で削れる額。この両輪を最初に設計できるかどうかで、1棟あたりの実質負担は大きく変わります。
申請の順番とタイムライン――「契約前」と「対象確認」がすべての鍵
補助金で最も多い失敗は、「工事契約・着工してから申請しようとして、対象外になる」ことです。ほぼすべての補助金は「交付決定の前に契約・着工したものは対象外」というルールを持っています。順番は必ずこうです。
- 対象確認:物件(登記・築年・居住状況)を持って、市・都・国それぞれの窓口/事務局に「うちの物件は対象か」を確認する。
- 事業者選定:国・都の制度は「登録事業者を通じた申請」が基本。その補助金の登録事業者になっている施工会社を選ぶ。
- 設計・見積り:補助要件(断熱性能・製品指定など)を満たす仕様で見積りを取る。国と都の重複受給ルールもここで整理。
- 事前申込・交付申請:予算枠に達する前に申し込む。集中促進型・先着型は特に早い者勝ち。
- 交付決定を待って契約・着工。
- 完了報告・実績報告:期限内に。年度内完了が条件のものが多い。
- 税務処理:雑収入計上・圧縮記帳・固定資産税減額の申告を税理士と。
このタイムラインを、物件の修繕計画と補助金の公募スケジュールの両方から逆算して組むのが、オーナー補助金活用の実務です。
よくある質問(FAQ)
Q. 国立市に住んでいない遠方のオーナーですが、市の補助は使えますか。
A. 制度によります。市の「住宅用スマートエネルギー…」や「耐震改修助成」は自己居住を軸にした要件があり、賃貸専用物件では対象外の可能性があります。一方、都の「賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業」は賃貸1棟所有者を対象にしているため、オーナーの居住地に関わらず使える可能性が高い制度です。いずれも着工前に各窓口で確認を。
Q. いちばん金額の大きい補助はどれですか。
A. 単発の上限額だけでなく「賃貸に正面から使えるか」で見ると、令和8年度は東京都の賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業(予算218億円)が本命です。国の賃貸集合給湯省エネ2026、都の窓改修事業を組み合わせるのが王道です。
Q. 補助金は結局いくら「手残り」になりますか。
A. 補助額はそのまま得にはなりません。雑収入として課税され、工事が資本的支出なら損金算入も分割されます。反面、固定資産税の減額が乗ることもあります。「補助額×(1−実効税率)+固定資産税減額+賃料維持効果」で見るのが正確です。試算は税理士+施工会社との連携で。
Q. 旧耐震の木造アパートを持っています。何から手を付けるべきですか。
A. まず耐震診断で現状を把握し、市の耐震助成が自己居住要件で使えるか確認。使えなくても、耐震改修は融資・地震保険・売却価格に効く「出口投資」です。並行して外構ブロック塀の撤去(賠償リスク)を優先度高で検討してください。
Q. 工事中に入居者から苦情が出ないか心配です。
A. だからこそ工法の選択が効きます。ロープアクセスやハイブリッド工法で全面足場を避けられれば、工期短縮・防犯不安の軽減・日照確保につながり、工事起因の退去リスクを下げられます。
まとめ――国立市の1棟を、制度と工法の両輪で守る
国立市は一橋大学を核とした学生街で、単身向けワンルーム・1Kが厚い賃貸市場です。単身層は設備の鮮度に敏感で、窓・給湯・断熱への投資が、そのまま入居率と賃料維持に効く――これが国立の賃貸オーナーの基本戦略です。
そのうえで2026年度の補助金は、都の「賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業(218億円)」を本命に、国の賃貸集合給湯省エネ2026・都の窓改修事業を組み合わせ、市のブロック塀撤去助成で賠償リスクを消す――この組み立てが最も効率的です。市の耐震・スマートエネルギー補助は「自己居住・自宅併用」の色が濃く、純賃貸では対象確認が必須です。
そして忘れてはいけないのが、補助金で戻す額と、工法で削る額の両輪です。補助金は工事費の一部しか戻しません。元の工事費を足場代から見直せば、手残りはさらに増えます。私たち明誠は、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法から、その物件にとって最も安く・入居者に優しい組み方を提案できます。
お持ちの国立市の物件で、まだこれらの補助金の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問合せください。1棟の現地調査と、補助金を織り込んだ利回り改善シミュレーション・キャッシュフロー試算だけでも、ご相談を承ります。制度は予算枠に達すると締め切られます。動くなら、公募が開いている今年度のうちです。
※本記事の補助率・上限額・要件・受付期間は2026年7月時点で確認した情報です。制度は予算到達で締切・内容変更となる場合があります。申請前に必ず各制度の公式窓口・事務局で最新情報をご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務・法務の助言ではありません。税務処理は顧問税理士にご相談ください。
出典・参考資料
- 国立市「木造住宅の耐震化について」 https://www.city.kunitachi.tokyo.jp/soshiki/Dept06/Div01/Sec01/gyomu/0523/1612867015806.html
- 国立市「住宅の耐震化に対する助成について」 https://www.city.kunitachi.tokyo.jp/soshiki/Dept06/Div01/Sec01/gyomu/0523/1461065862675.html
- 国立市「市内におけるブロック塀等の対応について」 https://www.city.kunitachi.tokyo.jp/kurashi/emergency/disaster/1539665937418.html
- 東京都環境局「賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進 令和8年度助成事業受付等」 https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/05/2026052202
- 東京都賃貸住宅断熱・再エネ×コンシェルジュ事業 https://concierge.metro.tokyo.lg.jp/
- クール・ネット東京「令和8年度 既存住宅における省エネ改修促進事業」 https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/ene_reform/ene_reform_r08/
- 住宅省エネ2026キャンペーン【公式】 https://jutaku-shoene2026.mlit.go.jp/
- 経済産業省「給湯省エネ2026事業/賃貸集合給湯省エネ2026事業」 https://www.meti.go.jp/press/2025/03/20260330001/20260330001.html
- 環境省「先進的窓リノベ2026事業」 https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/building_insulation/window_00004.html


