
2026年9月20日 更新
Q. 国土交通省が新しく立ち上げた「都市型水害」の検討委員会は、東京・関東のマンションやビルを持つ私たちに、具体的に何を意味するのでしょうか。
A. 短く申し上げます。国が「河川があふれる被害」ではなく「下水道が処理しきれずに街にあふれる被害(内水氾濫)」を正面から扱い、年内に対策をとりまとめる、ということです。そして内水氾濫でマンションが本当に困るのは、水が室内に入ることそのものよりも、地下の電気室が水没して建物全体が止まることです。ここは大規模修繕の計画と切り離して考えるべきではない、と私は思っています。
結論:9月18日に動いたのは「内水氾濫を都市問題として扱う」という国の姿勢
国土交通省は令和8年9月15日付の報道発表で、「水災害調査・対策検討委員会」(座長:中北 英一 京都大学総長特別補佐 名誉教授)を新たに設置し、第1回を9月18日(金)16時00分から18時00分に開催すると公表しました。今後、年内を目途に、都市型の内水氾濫対策等についてとりまとめるとしています(出典:国土交通省「千葉豪雨等の集中豪雨を踏まえ調査・対策検討委員会を新たに設置」(令和8年9月15日))。
第1回の議題は「令和8年8月千葉豪雨などを踏まえた都市型水害の特徴とその課題について(仮)」。設置の直接のきっかけは、令和8年8月13日に発生した千葉県の豪雨で、道路や市街地に水が滞留する「内水氾濫」による浸水被害が甚大なものとなったことだと、同発表は明記しています。
ここで押さえておきたい点を3つに整理します。
- 国が扱う主戦場が「河川の堤防」から「街なかの排水能力」へ広がった
- とりまとめは年内。つまり令和9年度(2027年度)の制度・予算に反映される可能性がある
- 建物側の自衛策(止水板・電気室の嵩上げ・排水まわりの改修)は、国の結論を待たずに今日から着手できる
私は3つ目がいちばん大事だと考えています。国の対策は下水道やポンプ場といった「公共側」の話が中心になります。敷地の中に降った雨、建物の中に入ってくる水は、結局のところ所有者・管理者が守るしかありません。
「内水氾濫」と「外水氾濫」の違いを1分で
専門用語なので、最初に整理しておきます。
| 区分 | 何が起きているか | 起きる場所の特徴 |
|---|---|---|
| 外水氾濫 | 河川の水が堤防を越える・決壊してあふれる | 河川沿い、低地 |
| 内水氾濫 | 街に降った雨が下水道の排水能力を上回る/河川水位が高くて下水道から河川へ放流できない | 舗装された市街地全般。河川から離れていても起こる |
国土交通省の資料では、内水氾濫を「下水道の雨水排水能力を上回り浸水、または河川水位の上昇により、下水道から河川へ放流できず浸水」と定義しています(出典:国土交通省「近年の降雨及び内水被害の状況、下水道整備の現状について」)。
「うちは川から離れているから大丈夫」が通用しないのが内水氾濫です。ここが、管理組合の理事会で最も誤解されているポイントだと、私は現場で何度も感じてきました。
Yes/Noで確認:川から1km以上離れていれば安心?
→ いいえ。 内水氾濫はアスファルトとマンホールの街で起こります。むしろ、地下駐車場や地下の電気室を持つ市街地のマンションほど、内水に弱い構造になっていることが少なくありません。
数字で見る内水氾濫:被害額の約4割、東京都では約7割
抽象論ではなく、数字で見ます。国土交通省が水害統計(平成20〜29年の10年間の合計)をもとに整理した数値は次のとおりです(出典:国土交通省「近年の降雨及び内水被害の状況、下水道整備の現状について」)。
| 指標 | 全国 | 東京都 |
|---|---|---|
| 水害被害額の合計(10年間) | 約1.8兆円 | 約605億円(内水+洪水氾濫等) |
| うち内水氾濫による被害額 | 41%(約0.7兆円) | 71%(約429億円) |
| 浸水棟数のうち内水氾濫によるもの(全国) | 68%(約22万棟) | — |
東京都では、水害被害額の約7割が内水氾濫によるもの。この一文だけでも、23区や多摩地域にマンションを持つ方には十分な材料だと思います。
あわせて、下水道の整備水準についても数字があります。同資料によれば、雨水排除計画で採用する確率年は5〜10年が標準(下水道施設計画・設計指針と解説)とされ、都市浸水対策達成率は平成30年度末時点で約59%でした。この達成率は「概ね5年に1回程度発生する規模の降雨に対応する下水道整備が完了した区域面積の割合」です。数値としてはやや古い時点のものですが、公表資料で確認できる整理として引用します(浸水対策の最新の考え方は国土交通省の下水道による浸水対策をご参照ください)。
つまり、多くの市街地の下水道は「5年に1回程度の雨」を前提に設計されている。そこに100年に1回級の雨が降れば、設計を超えるのは構造上の帰結です。今回の検討委員会が扱おうとしているのは、まさにこの設計思想の見直しだと私は理解しています。
令和8年8月千葉豪雨で、インフラ側に何が起きていたか
今回の委員会設置の引き金になった豪雨について、国土交通省の災害情報から事実だけを拾います。以下は第3報(令和8年8月14日17時時点)の速報値であり、その後の続報で更新されている項目があります(出典:国土交通省「令和8年8月千葉豪雨による被害状況等について(第3報)」)。
- 千葉県では13日夕方以降に線状降水帯が発生し、14日6時まで24時間降水量が200ミリを超える記録的な大雨
- 特に千葉市では、8月の平年1ヶ月分の3倍以上となる360ミリを超える降水量を観測し、24時間降水量として観測史上1位を更新
- 13日19時30分から14日5時15分まで、レベル5大雨特別警報を広い範囲に発表
- 下水道施設では、印旛沼流域下水道の八千代ポンプ場(汚水)、千葉市の越智ポンプ場(汚水)、茂原市の道目木ポンプ場(汚水)が浸水により機能停止。マンホール蓋の飛散、マンホールポンプの機能停止、市原市・菊間処理場の汚泥圧送機能停止も発生
- 国道16号(千葉市中央区村田町)が冠水し通行止め。冠水箇所で水没した車両の乗員1名が搬送されたほか、運行中のタクシーが水没し乗客1名が亡くなられています
最後の一行は、書くべきか迷いました。ただ、内水氾濫は「床が濡れる」だけの災害ではないということは、正確にお伝えすべきだと思いました。亡くなられた方に、お悔やみを申し上げます。
注目していただきたいのは、下水道インフラの側の設備が、浸水によって次々に機能を止めているという事実です。上に挙がっているのは汚水系の施設が中心ですが、雨水の排除と汚水の処理が同時に揺らぐ状況が、市街地で現実に起きたということです。これは建物側の対策が「余計な備え」ではなく「前提」になりつつあることを示していると、私は受け止めています。
マンションが止まる3つの急所——電気室・昇降機・給水
ここからが本題です。内水氾濫でマンション・ビルの資産価値に効いてくるのは、次の3点です。
急所①:地下の電気室(高圧受変電設備)
令和元年東日本台風(台風第19号)では、大雨に伴う内水氾濫により、高層マンションの地下部分に設置されていた高圧受変電設備が冠水して停電し、エレベーター・給水設備等のライフラインが一定期間使用不能となる被害が発生しました。これを受けて国土交通省と経済産業省は、令和2年6月に「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」をとりまとめています(出典:国土交通省・経済産業省「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」(令和2年6月)、報道発表資料)。
ガイドラインが示す対策の考え方は、大きく3段構えです。
- 浸水そのものを防ぐ(止水板・防水扉、開口部・貫通部の閉塞)
- 浸水量を軽減する(浸水経路の限定、排水設備の確保)
- 浸水しても被害を最小化する(重要機器の上階移設・嵩上げ、早期復旧体制)
急所②:エレベーター
電気が落ちれば昇降機は止まります。高層階に高齢のご入居者がいらっしゃる場合、これは生活の停止に直結します。復旧には点検業者の到着を待つ必要があり、広域災害では順番待ちになります。
急所③:給水ポンプ
加圧給水方式のマンションでは、停電=断水です。トイレが使えないという状況は、想像以上に生活を痛めます。
この3つは、すべて「電気室が沈むかどうか」で連鎖します。私はいつも理事長さまに、「浸水対策の優先順位は、住戸より先に電気室です」とお伝えしています。順番を間違えると、同じ予算で守れる範囲が大きく変わってしまうからです。
東京・関東で使える止水板設置助成(2026年9月20日時点)
建物側の一次防衛線が止水板です。東京23区では助成制度を持つ区が増えています。制度は年度で内容が変わりますので、各区の公式ページで最新の受付状況をご確認ください。
| 自治体 | 助成内容 | 期限・備考 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 江戸川区 | 止水板の設置に係る費用の2分の1(上限50万円)。関連する内外壁の止水工事、土間コンクリート打設工事も対象 | 申込期限:令和8年12月25日(金)。全手続きを期限までに完了する必要あり。承認通知書の受領前に契約・着手すると対象外 | 江戸川区 止水板設置等助成(2026年6月1日更新) |
| 世田谷区 | 令和8年度より開始。止水板の設置工事費用/簡易型止水板の購入費用が対象(助成額は区の案内図表を要確認) | 令和7年7月10日〜令和8年3月31日に設置・購入した分も対象。JIS A 4716に準じた性能などの要件あり | 世田谷区 止水板設置等助成制度(2026年9月15日更新) |
| 板橋区 | 止水板設置工事等への助成制度あり(金額・要件は区の要綱による) | 区ページの更新日は2025年2月14日のため、令和8年度の受付状況・助成額は区へ直接ご確認ください | 板橋区 止水板設置工事助成制度 |
| 東京都(参考) | 都として「止水板設置促進アクション」を展開 | 区市町村制度の一覧・考え方の整理 | 東京都都市整備局 止水板設置促進アクション |
江戸川区の「承認通知書を受け取る前に契約すると対象外」という条件は、実務上いちばん事故が起きやすいところです。管理会社経由で見積を取り、勢いで発注してしまってから助成に気づく——このパターンを、私は何度も見てきました。先に区へ、次に発注。この順番だけは崩さないでいただきたいと思います。
費用の目安:浸水対策と外壁改修を「一緒にやる」と何が変わるか
金額の話をします。以下は東京・関東一円での一般的な目安(参考値)であり、物件の規模・形状・劣化状況により大きく変動します。実際の金額は現地調査のうえでの見積によります。
| 工種 | 単価の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 外壁打診調査 | 250〜500円/㎡ | 建築基準法第12条に基づく定期調査とも関連 |
| 外壁塗装 | 3,500〜4,500円/㎡ | 下地補修の量で上下 |
| 防水(屋上・バルコニー等) | 5,000〜8,000円/㎡ | 工法(ウレタン・塩ビシート等)で差 |
| 30戸規模マンションの大規模修繕 総額 | 3,500〜5,000万円 | うち仮設足場が15〜25% |
ここで効いてくるのが仮設足場の比率です。総工費の15〜25%、つまり30戸規模なら500万〜1,200万円前後が「作業のために組んで、終わったら外す構造物」に消えていきます。
無足場工法であるロープアクセス工法(産業用ロープで屋上から降下して作業する無足場の施工方法)を使うと、この部分を圧縮できます。一例として、10階建て・外周80m・工期3ヶ月の物件で、外壁作業に必要な範囲の仮設費を比較すると、足場が約168万円のところ、ロープアクセスなら約59万円、差額は約109万円という試算になります(当社の一般的な条件での参考値。実際は形状・搬入条件で変動します)。なお、この168万円は外壁作業に必要な範囲に限定した比較例であり、上表の「大規模修繕一式に占める仮設足場15〜25%」とは対象範囲が異なります。
そして内水氾濫対策の文脈では、もう一つ大きな意味があります。豪雨の後に「どこから水が入ったか」を調べるとき、足場の架設工程を挟むと、着手までに相応の期間が必要になります。ロープアクセスなら、条件が整えば数日から1週間程度で外壁・目地・ドレンまわりを上から順に確認できるケースがあります(繁忙状況や天候により変動します)。ロープアクセス工法の技術的な背景は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムで詳しく解説しています。
当社は足場・ロープアクセス・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物特性に応じて提案しています。料金の考え方については大規模修繕の料金の考え方、技術面については明誠のロープアクセス工法の技術詳細をご覧ください。
大規模修繕のタイミングで一緒にやりたい「雨水まわり」5点
内水氾濫対策を単独工事でやると、仮設費を二重に負担することになり、割高になりやすい傾向があります。足場やロープを出すタイミングで一緒にやるのが、最もコスト効率が良い進め方です。理事会でご提案するなら、次の5点を候補にしていただくと話が早いと思います。
- 屋上・バルコニーのドレン(排水口)の更新・増設
詰まったドレン1箇所が、屋上をプールに変えます。改修用ドレンの挿入は、防水改修と同時なら追加費用を抑えられます。 - 雨水竪樋・横引き管の内部調査と洗浄
築20年を超えると、内部に土砂と根が溜まっている物件が珍しくありません。 - 外壁目地シーリングの打ち替え
横殴りの雨は、シーリングの切れ目から入ります。大規模修繕の標準工種です。 - 電気室・機械室の開口部への止水板・防水扉
上記の助成制度が使える可能性があります。 - 地下駐車場スロープの止水対策と排水ピットのポンプ点検
ポンプの能力と非常電源の有無を、図面ベースで確認しておきます。
私の経験上、この5点のうち1と2は、目視点検だけならほとんど費用をかけずに確認できます。長期修繕計画の見直し時に、まずここだけでも点検項目に入れていただければと思います。漏水の原因調査については漏水対応の考え方にまとめています。
現場から:ドレン1箇所で、階下3戸が水浸しになった話
数年前、都内のある築24年・8階建てのマンションで、台風の翌朝に「最上階の3戸から水が落ちてきている」とご連絡をいただきました。
屋上に上がると、防水層は生きていました。原因はドレンです。落ち葉と経年の土砂で排水口が塞がり、屋上に10cm近く水が溜まっていた。そのまま笠木の取り合いからオーバーフローして、躯体の中を伝って下へ落ちていました。
そのとき私が悔しかったのは、その年の春に屋上点検の見積を出していて、「今年は見送り」と理事会で決まっていたことです。金額は数万円でした。結果として、内装復旧と原因調査で数十万円かかりました。
正直に申し上げます。私はこの手の話を、営業のために使いたくありません。ただ、雨水の出口の点検は、建物の中でいちばん費用対効果が高い部類の投資だというのは、20年近く現場を見てきた実感です。
なお当社は、これまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕に携わってきました。ロープアクセス工法での高所作業については、当社および全国のフランチャイズ加盟企業で過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練、ISO9001品質マネジメントシステム、日本ロープ高所作業協会の事務局運営——この体制があるからこそ、豪雨の翌週に「すぐ上から見に行く」という対応ができます。安全管理の考え方は明誠の安全管理体制に記載しています。
これまでの施工事例(約6,000棟)は施工事例一覧からご覧いただけます。
東京23区・千葉・埼玉のオーナー物件で、収益面に効いてくること
賃貸マンションをお持ちのオーナーさまには、もう一段別の論点があります。
- 停電・断水が1日続けば、入居者の退去理由になり得ます。とくに単身者向け物件では、原状回復よりも空室期間の損失のほうが大きくなります
- ハザードマップ上の位置について、仲介の現場で説明を求められる場面が増えています。物件側で「止水板を設置済み」「電気室は2階」と言えるかどうかは、競合との差になります
- 保険の観点:水災補償の付帯有無と免責額は、この機会に一度確認しておく価値があります
東京23区・千葉・埼玉の内水ハザードマップは各自治体が公表しています。ご自身の物件が「浸水想定区域の外」でも安心はできません。令和8年8月千葉豪雨では、浸水被害報告のうち相当数が浸水想定区域の外で発生していたとの民間分析も出ています(参考:ウェザーニューズ「令和8年8月千葉豪雨、2人に1人が浸水想定区域“外”で被災か」)。
オーナーさま向けの改修の考え方は収益物件オーナー向けのご提案にまとめています。技術的な工法選定の判断材料はロープアクセスドットコムも参考になさってください。
管理組合・オーナーが年内にできる5ステップ
国の検討委員会は年内にとりまとめを行う予定です。それを待つ間に、建物側でできることを順番に並べます。
| 順番 | やること | 目安の期間 | 費用感 |
|---|---|---|---|
| 1 | 電気室・機械室の位置と床レベルを図面で確認(地下か、1階か、嵩上げされているか) | 1日 | 実質0円 |
| 2 | 自治体の内水ハザードマップで建物位置の想定浸水深を確認 | 1日 | 実質0円 |
| 3 | 屋上ドレン・雨樋の目視点検と清掃 | 半日〜1日 | 数万円〜 |
| 4 | 止水板設置の可否と助成制度の確認(区の窓口へ相談→承認→発注の順) | 1〜3ヶ月 | 助成で1/2・上限50万円の区あり |
| 5 | 長期修繕計画に「雨水まわり」の項目を追加し、次回大規模修繕と統合 | 理事会2回分 | 計画見直し費用のみ |
1と2は、今週の理事会で「資料を用意する」と決めるだけで進みます。お金をかける前に、現状を知る。ここを飛ばして工事の話から入ると、たいてい高くつきます。
10月までに動けるかどうかが、令和8年度の助成に間に合うかの分かれ目になる区もあります。理事会で1分だけでも、この話題を出してみてください。
よくあるご質問
Q. 築25年のマンションですが、今から電気室の移設は現実的ですか?
A. 移設は大がかりで、費用も数百万円単位になることが一般的です。多くの物件では、まず開口部への止水板・防水扉の設置と、貫通部の閉塞から検討します。国土交通省・経済産業省のガイドラインも、浸水を防ぐ/量を軽減する/被害を最小化する、という段階的な考え方を示しています(出典:建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン)。
Q. 止水板の助成は、分譲マンションの管理組合でも使えますか?
A. 区によって対象者の定義が異なります。たとえば世田谷区は「区内で止水板の設置工事又は簡易型止水板の購入を行う住宅、事務所等の所有者又は使用者」を対象としています(出典:世田谷区)。共用部の工事として管理組合が申請できるかは、事前に区の担当課へご確認ください。
Q. 屋上ドレンの点検には足場が必要ですか?
A. 屋上のドレンそのものは屋上からアクセスできます。問題は外壁側の縦樋や、バルコニー・庇まわりの排水で、ここは上からの確認が必要になります。ロープアクセス工法なら足場を組まずに点検でき、10階建て・外周80m程度の物件なら、仮設費の目安で約168万円(足場)に対し約59万円(ロープアクセス)という差が出る場合があります(参考値・条件により変動)。
Q. 内水氾濫の被害は、水災保険で全部カバーされますか?
A. 保険の内容によります。水災補償が付帯されているか、免責金額がいくらか、共用部と専有部でどう分かれているか——この3点を保険証券でご確認ください。保険の可否について当社が判断することはできませんので、保険代理店へのご相談をおすすめします。
Q. 「川から離れているから内水氾濫は関係ない」は本当ですか?
A. 内水氾濫は、街に降った雨が下水道の排水能力を上回って発生します。河川からの距離とは別の話です。国土交通省の集計では、東京都の水害被害額の約7割が内水氾濫によるものでした(平成20〜29年の10年間合計/出典:国土交通省資料)。
Q. 大規模修繕と浸水対策、どちらを先にやるべきですか?
A. 分けずに同じ工事の中で計画するのが、費用面では有利になりやすいと考えています。仮設(足場やロープ)を出すタイミングは年に何度もありません。長期修繕計画の見直し時に、雨水まわりの項目を組み込んでおくのが現実的です。
Q. 見積だけ取りたいのですが、相談できますか?
A. もちろんです。概算のお見積りと、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3案比較をお出ししています。お問い合わせフォームからご連絡ください。総会前の情報整理だけでも、お力になれることがあります。
この記事のポイントまとめ
- 国交省が9月18日に「水災害調査・対策検討委員会」の初会合を開催、年内に都市型内水氾濫対策をとりまとめる
- 過去10年の全国水害被害額の約4割、東京都では約7割が内水氾濫によるもの
- マンションが止まる急所は電気室・エレベーター・給水の3点で、すべて電気室に連鎖する
- 江戸川区は費用の1/2・上限50万円(令和8年12月25日まで)、世田谷区は令和8年度から制度開始
- 止水板・ドレン更新は大規模修繕と統合すると仮設費を二重に払わずに済む
▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア
この記事の執筆者
本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)
最終更新:2026年9月20日
制度の内容は年度や予算の状況により変更される場合があります。申請の可否・金額・期限については、各自治体の公式ページおよび担当課で最新の情報をご確認ください。
出典・参考資料
- 国土交通省「千葉豪雨等の集中豪雨を踏まえ調査・対策検討委員会を新たに設置」(令和8年9月15日)
- 国土交通省「令和8年8月千葉豪雨による被害状況等について(第3報)」(令和8年8月14日)
- 国土交通省「近年の降雨及び内水被害の状況、下水道整備の現状について」
- 国土交通省住宅局建築指導課・経済産業省産業保安グループ電力安全課「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」(令和2年6月)
- 国土交通省「「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」をとりまとめました」
- 江戸川区「止水板設置等助成」(2026年6月1日更新)
- 世田谷区「止水板設置等助成制度のご案内」(2026年9月15日更新)
- 板橋区「止水板設置工事助成制度」
- 東京都都市整備局「止水板設置促進アクション」


