大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

マンション大規模修繕、その発注金額は本当に適正ですか——修繕積立金「値上げ」局面で、管理組合とオーナーが工事費の妥当性を見抜く方法【2026年8月】

マンション大規模修繕、その発注金額は本当に適正ですか——修繕積立金「値上げ」局面で、管理組合とオーナーが工事費の妥当性を見抜く方法【2026年8月】

「うちの大規模修繕、見積もりが高い気がするけれど、比べようがない」。最近、そんな相談が本当に増えました。管理費や修繕積立金の値上げが続くいま、いちばん大切なのは“値上げの前に、発注そのものを見直すこと”です。20年現場を歩いてきた立場から、工事費の妥当性を見抜く視点を、正直にお話しします。


正直に申し上げます。私のところに来る相談で、この一年ほど明らかに増えたのが「この見積もり、適正なのでしょうか」という問い合わせです。

きっかけはたいてい同じです。管理組合の理事会で修繕積立金の値上げが議題に上がる。あるいは、収益物件を持つオーナーさまが、管理会社から回ってきた大規模修繕の見積書を見て、金額の大きさに手が止まる。そこで「そもそもこの金額は妥当なのか」という、当たり前の、けれど答えにくい疑問にぶつかるわけです。

この記事は、株式会社明誠で長く大規模修繕の現場を預かってきた私(本間)が、マンションの管理組合理事長さま、そしてビルやマンションを収益物件として持つオーナーさまに向けて書いています。工事を「安くしてください」という話ではありません。払うべきものは払い、払わなくてよいものは払わない——その線引きを、発注する側が自分の目で見極めるための材料をお渡しします。ここからが本題です。

いま「発注金額は適正か」という問いが増えている背景

まず、なぜこの問いがいま増えているのか。背景には、マンションを取り巻く二つの「値上がり」があります。

ひとつは、工事費そのものの上昇です。資材価格と人件費の上昇が続き、10年前と同じ内容の工事でも金額が膨らんでいます。もうひとつは、それを支える修繕積立金の不足です。多くのマンションで、当初の積立計画が実際の工事費に追いつかず、値上げや一時金の徴収を迫られる場面が増えています。管理費や修繕積立金の「値上げ」がニュースで取り上げられるのも、こうした構造が背景にあります。

ここで起きがちなのが、順番の取り違えです。積立金が足りない、だから値上げする——この流れ自体は間違っていません。けれど、値上げを決める前に「その工事費、そもそも適正だったのか」を確かめた組合が、どれだけあるでしょうか。発注金額に2割の余地があれば、値上げ幅も一時金も、その分だけ小さくできます。順番としては、まず発注の妥当性、次に積立の見直し。これが本来の姿だと私は考えています。

そもそも大規模修繕はいくらかかるのか——国が示した「ものさし」

「適正かどうか」を判断するには、比べる基準が要ります。ありがたいことに、国がその“ものさし”を用意してくれています。

国土交通省は「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」を実施し、全国の工事事例を集計して、1戸あたりの工事金額の分布を公表しています。この調査は、工事を発注しようとする管理組合等が、適正な見積りかどうかを検討する際の指標となることを目的として行われたものです(出典:国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査を初めて実施」)。

具体的な数字を挙げます。1回目の大規模修繕工事では、1戸あたりの工事金額は「100万円超120万円以下」が最も多く全体の約31%、中央値は約110.2万円でした。2回目は中央値が約106.1万円、3回目以降は約97.0万円という結果です。この集計は200社・818件の工事事例をもとにしています(出典:同上、および国土交通省の集計資料)。

大切なのは、この数字を「正解」ではなく「目安」として使うことです。マンションの規模、形状、階数、劣化の進み具合、地域によって適正額は動きます。ですから、手元の見積もりを1戸あたりに割り戻して、この中央値からどれだけ離れているかを見る。大きく外れていたら、その理由を説明できるかどうかを問う。これだけで、発注の議論はぐっと具体的になります。

なぜ同じマンションでも金額が大きく変わるのか——価格差の正体

同じような規模・築年数のマンションでも、見積金額が1.5倍、時に2倍近く変わることがあります。手抜きや不正があるという話ではありません。価格差には、いくつかの“正体”があります。

ひとつは、仮設費、とりわけ足場の費用です。大規模修繕の工事費のうち、足場をはじめとする仮設にかかる費用の割合は決して小さくありません。建物の形状や高さによっては、この仮設費が全体を大きく左右します。ここは後ほど詳しく触れます。

ふたつめは、数量と仕様の前提の違いです。補修する面積の想定、使う塗料や防水材のグレード、下地補修の範囲——こうした前提が各社でずれていると、単純な金額比較は意味を持ちません。安く見える見積もりが、実は補修範囲を絞っているだけ、ということもあります。

みっつめは、中間マージンの構造です。元請けが工事の多くを下請けに流し、そこに何層もの管理費が乗ると、実際に手を動かす職人に届く前に金額が膨らみます。品質は現場の職人が決めるのに、費用は流通の途中で増えていく。この構造こそ、私が長年もどかしく思ってきた点です。

もうひとつ、あまり語られない要因として、「比較のしにくさ」そのものが価格に反映されているという現実があります。発注者が金額の妥当性を確かめる術を持たないと、相場から離れた見積もりでも通ってしまう。だからこそ、発注する側が“ものさし”を持つことが、いちばんの価格対策になります。私は、発注者が賢くなることが業界全体を健全にすると本気で思っていて、この記事を書いているのもそのためです。

足場費という「見えにくい大きなコスト」——ここに工法の選択肢がある

価格差の正体の筆頭に挙げた足場費。実はここに、多くの発注者が知らない選択肢があります。それが工法の選び方です。

大規模修繕というと、建物の全面に足場を組む光景を思い浮かべる方が多いと思います。もちろんそれが最適な現場もあります。けれど、足場を組むこと自体に相応の費用と工期がかかり、しかも足場は工事が終われば撤去してしまう“消えもの”です。ここに手を入れられるかどうかで、総額は変わってきます。

株式会社明誠は、建物の特性に応じて次の3つの工法から最適なものをご提案できる、日本でも数少ない会社です。それぞれの特徴を整理します。

工法 概要 向いている建物・場面 コストへの効き方
通常足場工法 従来型の仮設足場を建物周囲に組んで施工する 中低層、複雑な形状、全面的な補修が必要な建物 足場の設置・撤去費が固定的にかかる
ロープアクセス工法(無足場工法) 産業用ロープで作業員が吊り下がり、足場を組まずに施工する 高層、足場の架設が難しい立地、部分補修、コスト最重視の物件 足場費を大きく圧縮でき、工期短縮・居住者の生活影響も抑えられる
ハイブリッド工法 足場とロープアクセスを部位ごとに使い分ける 大規模・複雑で、総合的なコスト最適化が必要な物件 必要な箇所だけ足場を組み、残りをロープで賄って総額を最適化

多くの会社は、このうち1つか2つの工法しか持っていません。すると、その会社が得意な工法に合わせた見積もりしか出てこない。足場ありきの見積もりしか手元にないと、そもそも比較のしようがないのです。3つの工法を横に並べて初めて、「この建物にとっての最安・最適」が見えてきます。ロープアクセス工法の詳細はこちら(ロープアクセスのご案内)でも解説しています。

念のため申し添えると、ロープアクセスは万能ではありません。全面的に下地から作り直すような工事では足場のほうが適する場面もあります。だからこそ、工法ありきではなく建物ありきで選ぶ。その中立性が、発注者の利益になると考えています。

実務としては、こう進めるのがおすすめです。まず現地調査で、どの面がどれだけ傷んでいるかを把握する。そのうえで「全面足場だといくら」「ロープアクセス中心だといくら」「ハイブリッドだといくら」を、同じ補修範囲・同じ仕様の前提で並べてもらう。同一条件で3通りの総額が横に並んだとき、初めて“建物にとっての最適”が数字で見えます。この比較表を作れる会社かどうか自体が、発注先を見極める試金石にもなります。私たちが3工法をすべて自社で扱えるようにしているのは、まさにこの比較を発注者にお見せするためです。

修繕積立金が足りない——「値上げ」の前にできること

ここで、冒頭の値上げの話に戻ります。修繕積立金については、国土交通省が「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を示しています(平成23年4月策定、直近では令和6年6月に改定)。ここでは、専有面積あたりの積立額の目安が、建物の階数や延床面積に応じて幅(レンジ)で示されています(出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」)。

たとえば20階未満で建築延床面積が5,000㎡以上1万㎡未満の場合、平均値は月あたり252円/㎡といった水準が示されています。もっとも、これはあくまで目安であり、機械式駐車場の有無などで必要額は変わります。単一の正解ではなく、幅で捉えるのが正しい読み方です。

そのうえで申し上げたいのは、積立金の議論には二つの入り口があるということです。ひとつは「いくら貯めるか(収入側)」、もうひとつは「いくらで工事するか(支出側)」。値上げは収入側の話ですが、支出側、つまり発注金額を適正化できれば、必要な積立額そのものが下がります。段階的に積立金を引き上げていく計画(段階増額方式)は、将来の負担が読みにくいという指摘もあります。収入側だけをいじる前に、支出側の工事費に手を入れる余地がないかを確認する。この順番を、ぜひ理事会で共有してください。

いつ発注するか——季節と工期という見落としがちな変数

金額の話に「時期」の視点を足させてください。私は、発注のタイミングも総額と品質に効いてくると考えています。

たとえば、いま原稿を書いているのは夏の盛りです。外壁塗装や防水は、気温や湿度、降雨の影響を受けやすい作業です。真夏は職人の安全面の配慮が必要になりますし、梅雨や台風の時期は工程が読みにくくなります。逆に、気候の落ち着いた季節は施工が安定しやすい。いつ着工するかで、工期の見通しやすさが変わり、それが結果的にコストや品質にも跳ね返るわけです。

私がお伝えしたいのは、「急いで発注しないこと」の価値です。値上げや一時金の話が出ると、どうしても「早く決めなければ」と気持ちが焦ります。けれど、前提をそろえた相見積もりを取り、工法を比べ、着工の季節まで含めて計画する——この準備に数か月かけたほうが、結果的に良い発注になることが多いのです。ロープアクセス工法は足場の架設・撤去が要らないぶん、工程の柔軟性が高く、天候による段取り替えにも対応しやすいという利点もあります。急かされる場面こそ、いったん立ち止まる。これは20年現場を見てきた私の実感です。

発注金額の妥当性を見抜く——5つのチェックリスト

では、実際に見積書を前にしたとき、何を確認すればよいのか。私が発注者の立場ならこう見る、という5点を挙げます。

  1. 1戸あたりに割り戻す:総額を戸数で割り、国交省の実態調査の中央値(1回目で約110万円)と比べる。大きく外れるなら、その理由を説明してもらう。
  2. 仮設費の内訳を見る:足場をはじめとする仮設費が総額のどれくらいを占めているか。ここが大きいなら、ロープアクセスやハイブリッドで圧縮できないか検討する。
  3. 数量と仕様をそろえて相見積もりを取る:補修面積・材料グレード・下地補修の範囲という前提を各社で統一する。前提がずれた見積もりは比較できない。
  4. 中間マージンの層を確認する:実際に施工するのは誰か。何社を経由するのか。手を動かす職人に費用が届いているかを問う。
  5. アフター(保証)と実績を確認する:安さだけで選ばない。保証年数、同種物件の施工実績、担当者の説明の丁寧さも「品質の価格」に含まれる。

この5点を、専門用語に負けずに一つずつ潰していけば、金額の“霧”はかなり晴れます。もし理事会だけで判断がつかなければ、利害関係のない第三者の目を入れるのも有効です。私の経験では、5点すべてを完璧に詰められなくても、1戸あたりの水準と仮設費の割合という最初の二つを確認するだけで、発注者の交渉力は目に見えて変わります。まずはできるところから、で構いません。

相見積もりで「安かろう悪かろう」を避けるには

「安く」と言うと、必ず「品質は大丈夫か」という不安がついてきます。もっともです。安さと品質は、本来トレードオフになりがちだからです。

ここで明誠が採っているのが、フランチャイズによる専門職ネットワークという仕組みです。塗装・防水・タイル・電気・看板といった各分野の専門職が加盟し、それぞれの得意分野を直接担う。中間の流通層を薄くしながら、手を動かすのは各分野のプロ、という体制です。だから高品質と低価格を同時に追える。安さのために品質を削るのではなく、無駄な流通コストを削って価格を下げる、という考え方です。

相見積もりを取るときは、単に3社の総額を並べるだけでなく、「なぜその金額なのか」を各社に語らせてください。前提をそろえ、根拠を問い、工法の選択肢まで含めて比べる。そうやって選ばれた見積もりなら、安くても不安は残りません。お見積もりのご相談はお問い合わせ窓口から承っています。

収益物件オーナーの視点——工事費だけが「原価」ではない

収益物件をお持ちのオーナーさまには、もうひとつ加えたい視点があります。それは、工事費だけがコストではない、ということです。

大規模修繕の期間中、建物の見栄えや居住性は一時的に下がります。全面に足場が組まれれば圧迫感が出ますし、窓が開けにくくなる、日当たりが落ちるといった声も出ます。賃貸物件であれば、これは入居者の満足度、ひいては空室リスクや家賃に跳ね返りかねません。工事による「稼働への影響」も、広い意味での原価なのです。

ここでもロープアクセス工法が効いてきます。足場を組まない、あるいは必要最小限にできれば、居住者・入居者の生活への影響を抑えられます。工期の短縮も、収益への影響を小さくする方向に働きます。工事費の数字だけでなく、こうした「見えないコスト」まで含めて総額を考える。それが、資産価値を長く保つオーナーの発注だと思います。無足場での施工事例はこちらでもご紹介しています。

私が現場で見た「発注のすれ違い」——ある管理組合の話

数字の話が続いたので、ひとつ現場の話をさせてください。個別の物件が特定されないよう細部は変えていますが、起きたことの本質はそのままです。

以前、築20年を少し超えたマンションの理事長さまから、2回目の大規模修繕の相談をいただきました。管理会社経由で出てきた見積もりは、正直に言えば決して不当な金額ではありませんでした。ただ、1戸あたりに割り戻すと、国交省の実態調査の中央値より2割ほど高い。理事長さまは「高い気はするが、根拠を説明できないから値上げを受け入れるしかないと思っていた」とおっしゃいました。

私が現地を見て気づいたのは、その建物が、全面足場を前提にした見積もりになっていたことです。ところが、劣化が集中していたのは一部の面と屋上まわりで、健全な面まで一律に足場を組む計画でした。そこで、劣化の激しい箇所は足場、それ以外はロープアクセスで賄うハイブリッドの案をお出ししたところ、仮設費が下がり、総額は当初案から目に見えて圧縮できました。工期も短くなり、居住者からの「足場で窓が開けられない期間」への不満も小さくなりました。

この話で私がお伝えしたいのは、「安い会社を見つけましょう」ということではありません。同じ建物でも、工法の前提が違えば総額は変わる。その前提を発注者が知らないまま議論が進むと、本来払わなくてよいコストまで積立金の値上げで賄うことになる——このすれ違いこそが、いちばんもったいないのです。理事長さまが最後に「もっと早く選択肢を知りたかった」とおっしゃったのが、今も忘れられません。

長期修繕計画は「作って終わり」ではない

もうひとつ、発注金額と切り離せないのが長期修繕計画です。長期修繕計画とは、これから数十年にわたって、いつ・どこを・いくらで直すかを見通した計画書のこと。修繕積立金の金額は、この計画を土台に決まります。

ここでよくあるのが、計画を一度作ったきり、実態と合わなくなっても更新していないというケースです。資材や人件費は動きますし、建物の劣化の進み方も当初の想定どおりとは限りません。古い前提のまま積立額だけが独り歩きすると、「気づいたら足りない」「急に値上げ」という事態を招きます。

国土交通省も、長期修繕計画は定期的に見直すことを前提に位置づけています。目安としては数年ごとに、直近の工事実績や物価の動きを織り込んで更新していく。発注金額の適正化と、計画の定期的な見直しは、車の両輪です。片方だけを頑張っても、資金計画は安定しません。値上げの議論が出たときこそ、計画そのものを棚卸しする好機だと捉えていただきたいと思います。

「誰が施工するか」を確かめる——業界のネットワークという裏付け

発注金額の話をすると、どうしても「価格」に目が行きます。けれど、最後に品質を決めるのは、現場で手を動かす職人です。だからこそ私は、発注先を選ぶときに「実際に施工するのは誰か」を確かめてほしいとお伝えしています。

明誠が各分野の専門職とフランチャイズでつながっているのは、この「誰が施工するか」を明確にするためでもあります。塗装は塗装の、防水は防水の専門職が直接担う。加えて、私たちは一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)の運営を通じて、全国の建設業者との情報交換やネットワークづくりにも取り組んでいます。業界の中で顔の見える関係を持っていることは、いざというときの対応力や、無理のない価格の裏付けになります。価格の数字だけでなく、その背後にある施工体制まで見ていただければと思います。

よくある質問(FAQ)

Q1. 国交省の実態調査の中央値より高い見積もりが来ました。ぼったくりでしょうか。
必ずしもそうとは限りません。高層・特殊形状・劣化が進んだ建物では、適正額が中央値を上回ることは十分にあります。大切なのは金額の高低そのものより、「なぜその金額なのか」を発注先が説明できるかどうかです。説明が曖昧なら、そこを掘り下げてください。

Q2. ロープアクセス工法にすれば必ず安くなりますか。
いいえ、必ずとは言えません。足場費を圧縮できるケースでは効果が大きい一方、全面的に下地から作り直すような工事では足場のほうが適することもあります。だからこそ、工法ありきではなく建物ごとに最適を選ぶ姿勢が重要です。

Q3. 相見積もりは何社くらい取ればよいですか。
一般的には3社程度が目安とされますが、社数より前提をそろえることのほうが重要です。補修範囲・材料・下地補修の条件を統一しないと、社数を増やしても比較になりません。可能なら、異なる工法を扱う会社を混ぜると視野が広がります。

Q4. 管理会社に任せているので、自分たちで見積もりを比べる余裕がありません。
お気持ちはよく分かります。ただ、任せることと丸投げは違います。最低限、1戸あたりの金額を実態調査の目安と照らす、仮設費の割合を聞く——この二つだけでも、理事会の判断はぐっと確かになります。専門的な部分は、利害関係のない第三者に相談するという選択肢もあります。

Q5. 修繕積立金が足りないと言われましたが、値上げ以外に方法はありますか。
まず確認したいのは、工事費そのものに見直しの余地がないかです。工法の選択や前提の統一で発注金額が下がれば、必要な積立額も変わります。そのうえで、段階的な引き上げや工事の優先順位づけなど、収入側の工夫を組み合わせるのが現実的です。値上げは「最後の調整弁」と考えると、議論の順番が整理しやすくなります。

まとめ——値上げの前に、発注を見直す

長くなりましたので、要点を絞ります。

管理費や修繕積立金の値上げが相次ぐいま、最初にやるべきは、収入側の値上げではなく、支出側の発注金額の見直しです。国土交通省の実態調査という“ものさし”で1戸あたりの水準を確かめ、足場費という大きなコストに工法の選択肢で手を入れ、前提をそろえた相見積もりで妥当性を問う。この順番を踏むだけで、値上げ幅も一時金も、無理のない範囲に収まる可能性があります。

最後に、忘れてほしくないことをひとつ。発注金額を見直すのは、けっして「ケチをする」ことではありません。限られた積立金を、本当に必要な補修に正しく振り向けるための行為です。無駄を削って浮いた分を、次の修繕や、より確かな品質に回す。そう考えれば、発注の見直しは資産を守る前向きな一手だと分かっていただけると思います。

株式会社明誠は、通常足場工法・ロープアクセス工法(無足場工法)・ハイブリッド工法の3つを、建物にとってベストな形でご提案できる数少ない会社です。各分野の専門職とのフランチャイズ・ネットワーク、そして一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)を通じた業界とのつながりを、発注者の利益に還元することを大切にしています。「この見積もり、適正なのだろうか」と迷ったら、判断材料をそろえるお手伝いをさせてください。押し売りはしません。まずは、あなたの建物にとっての“適正”を一緒に見極めるところから始めましょう。


出典

  • 国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査を初めて実施~工事を発注しようとする管理組合等が適正な見積りかどうか検討する際の指標となります~」:https://www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000154.html
  • 国土交通省 マンションの大規模修繕工事の修繕周期・工事金額の事例集計(200社818件):https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001477900.pdf
  • 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(平成23年4月策定/令和6年6月改定):https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001747009.pdf

※本記事の工事金額・積立金の数値は上記公的資料の公表値に基づく目安であり、個別物件の適正額は規模・形状・劣化状況・地域等により異なります。実際の発注にあたっては、現地調査に基づくお見積もりでご判断ください。