
墨田区で使える賃貸オーナー向け補助金活用ガイド|NOIと入居率を底上げする2026年度の保存版
墨田区で賃貸マンション・ビル・ホテルを保有しているオーナーさまへ、最初に結論からお伝えします。墨田区の補助制度は「申請窓口の縦割りが厳しい」エリアです。住宅課(民間賃貸支援担当)、不燃・耐震促進課、環境保全課にまたがり、しかも「契約前の交付決定」が大原則。動き方を一歩間違えると、同じ工事内容でも手元に残るキャッシュが100万円単位で変わります。
私は本間と申します。株式会社明誠で大規模修繕工事を本業としつつ、足場仮設・ロープアクセス・両者のハイブリッドという3つの工法を建物特性に応じて使い分け、首都圏の収益不動産オーナーさまの修繕を支えてきました。墨田区は弊社にとってご相談の多いエリアで、押上・錦糸町・両国・本所・向島・京島・東向島あたりの築20〜45年・5〜80戸規模のRC造・SRC造の賃貸マンション、事業用ビル、ホテル・簡易宿所まで、毎月のように現地調査のお声がけを頂戴しています。
そのなかで強く感じるのは、「補助金の存在は知っているが、自分の物件で何にいくら使えるのか正確に説明できるオーナーさまが意外と少ない」という事実です。墨田区は東京スカイツリー周辺の観光資源と、京島・八広・東向島を中心とする木造密集市街地という、まったく性質の異なる二つの顔を持つ区です。賃貸需要は底堅い一方で、築年数の経った物件が23区平均よりも多く、補助制度を絡めた修繕計画の重要性は特に高いエリアと言えます。
本記事では、墨田区の助成制度と国・都の主要制度を「賃貸オーナーの財布」目線で再編集しました。NOI(実質賃料収入:家賃収入から運営経費を差し引いた実質的な収益)、入居率、出口の売却価格まで意識した「使い倒し方」をお話しします。9,000字超ありますので、ブックマークしてお茶を淹れてからお読みいただくのが正解です。
1. なぜ今、墨田区オーナーが補助金を本気で取りに行くべきか
まず大前提として、墨田区の賃貸市場は強い独自色を持っています。スカイツリー開業以降、観光・インバウンド需要によって押上・本所・両国エリアのホテル・簡易宿所の稼働は高水準で推移し、住居系賃貸も錦糸町・押上駅周辺は単身者中心、両国・東向島・曳舟方面はDINKsやファミリー層と、エリアによって入居者層が大きく分かれます。だからこそ、「うちの物件はどの入居者層を狙うのか」が定まらないまま改修するのは、補助金の取り方としても投資としても遠回りになります。
ただ全体傾向として、築20年以上の単身向け1Rのみの物件や、築30年以上で共用部が古びた物件は、空室期間が確実に伸びてきています。私が現場で見てきた限り、最近の入居検討者は内見の30分で窓の断熱性、エアコン、給湯器、共用部の照度、エントランスの清潔感を驚くほど細かく見抜きます。法人サブリースやマンスリー運営会社が入る場合、調達担当はさらに厳密にチェックします。
ここに補助金を入れる意味はシンプルです。自己負担を圧縮しながら設備をひとつ上の等級に押し上げ、入居率と賃料単価を同時に守るという攻めの一手になります。墨田区の場合、SUUMOやLIFULL HOME’Sの集計を見ると、単身向けワンルームの相場は概ね8〜10万円台、2LDKで17〜18万円、3LDKで19〜20万円という水準ですが、同じ駅徒歩圏内でも築年数と設備グレードで月1〜2万円の差はざらに発生します。
入居率1%の改善が、年間どれだけのキャッシュフロー差になるか試算してみてください。たとえば20戸・平均賃料9万円の物件なら、1%の入居率改善は年216,000円。3%改善なら年648,000円です。これに見合う改修投資を補助金併用で行うかどうかの判断は、オーナーさまの経営判断そのものです。
2. 墨田区の独自制度:賃貸オーナーが「直接」使える3制度
墨田区の補助制度のうち、賃貸マンション・ビルのオーナーさまが直接申請者となれる制度を整理します。分譲マンション向け制度(管理組合が申請主体)も後段で触れますが、まずはオーナー直撃の3つから。
2-1. 墨田区 民間賃貸住宅改修支援事業(高齢者世帯等向け)
これは墨田区が住宅セーフティネット政策の一環として整備した、賃貸住宅オーナー専用の改修補助制度です。住宅確保要配慮者(高齢者・障害者・子育て世帯・ひとり親世帯・被災者世帯・DV被害世帯など)が安心して入居できるよう、賃貸オーナーが行う改修・リフォーム工事を補助します(出典:墨田区「墨田区民間賃貸住宅改修支援事業(高齢者世帯等向け改修事業)」)。
| 工事区分 | 補助率 | 補助上限 |
|---|---|---|
| 設備改修(手すり設置・段差解消等) | 対象工事費の2/3 | 1住戸あたり20万円 |
| 浴室・便所の設置・改修 | 対象工事費の2/3 | 1住戸あたり30万円 |
| リフォーム工事 | 対象工事費の2/3 | 1棟あたり100万円 |
ポイントは3つあります。第一に、「2/3補助」というのは自治体制度のなかでも極めて手厚い水準です。第二に、設備改修と浴室・便所改修と建物全体のリフォーム工事を組み合わせると、1住戸の単価アップに加え、1棟あたり100万円の追加補助が組めます。第三に、契約は区内事業者(支店・営業所を含む)と締結する必要がある点に注意です。区外業者だけでは対象外になります。
私が墨田区のオーナーさまに必ずお伝えしているのは、「サ高住・ケアハウスにせよ、と言っているわけではない」ということ。あくまで通常の賃貸住宅で、入居対象者として住宅確保要配慮者を含めることに同意するだけで使える設計です。少子高齢化のなか、シニア単身世帯や子育て世帯は今後も賃貸市場の主要なセグメントになります。物件のターゲットを広げる意味でも、検討する価値は大きい制度です。
2-2. 墨田区 非木造建築物 耐震診断・補強設計・耐震改修工事助成
築古ビル・マンションオーナーさまにとって最も使う場面の多い制度がこちらです。昭和56年5月31日以前の建築(いわゆる旧耐震)が対象で、診断→補強設計→改修工事の3段階それぞれに助成が用意されています(出典:墨田区「耐震改修事業助成金一覧」)。
耐震診断助成(非木造)の助成上限額
| 診断対象床面積 | 助成限度額 |
|---|---|
| 1,000㎡以内 | 50万〜153万円 |
| 1,000〜2,000㎡ | 153万〜204.5万円 |
| 2,000㎡超 | 204.5万円 |
補強設計助成・改修工事助成
補強設計助成は、耐震診断の結果Is値(構造耐震指標)が0.6未満(倒壊の危険あり)と判定され、改修後にIs値0.6以上となる計画であり、補強設計内容について評定機関の評定を取得することが要件です。改修工事助成の補助対象経費は、診断対象床面積×50,200円/㎡または実際に耐震改修に要した費用のいずれか低い額が上限となります。
ここで重要なのは、「旧耐震ビルを売却するときの評価」と「耐震改修済みビルを売却するときの評価」は明確に違うということです。仲介担当に「Is値0.6を超えています」と一行書ける状態にしておくだけで、買い主の与信判断・融資判断・保険査定がスムーズに進みます。出口価格を本気で考えるなら、診断→補強設計だけでも区の補助を入れて早めに動かしておくことを、私は強くおすすめしています。
2-3. 墨田区 地球温暖化防止設備導入助成(高反射率塗装ほか)
これは賃貸物件の屋根・屋上を高反射率塗料(遮熱塗料)で塗装する場合に使える、墨田区の独自制度です。共同住宅の屋上防水改修と組み合わせて使うのが現場的な定石になっています(出典:墨田区「地球温暖化防止設備導入助成制度」)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 補助対象経費(消費税除く)の10% |
| 補助上限 | 15万円 |
| 主な要件 | 日射反射率(全波長領域)50%以上の高反射率塗料を使用/屋根全体または屋根および壁全面の塗装 |
| 申請時期 | 工事着工の1ヶ月前〜7日前まで |
15万円という金額は単独で見ると派手ではありません。ただ「屋上防水改修+高反射塗装」をセットで計画する場合、塗装費用の一部が戻ってくると考えれば、十分意味のある制度です。さらに副次効果として、最上階の室温が夏場で2〜3℃下がるという報告もあり、最上階入居者からのクレーム(エアコン効きにくい・夏場退去)を抑制できれば、入居率維持にも効いてきます。
注意点は「予算額に達した時点で受付終了」という典型的な自治体制度の性質です。年度後半に申請しても受付終了で空振り、というケースが他制度でも頻発しています。やるなら早く動く、です。
2-4. 太陽光発電・蓄電池・V2H補助も同じ要綱内に
墨田区の地球温暖化防止設備導入助成は、太陽光発電システム・家庭用蓄電池・V2H・雨水利用施設なども補助対象に含まれます(出典:墨田区「墨田区地球温暖化防止設備導入助成金交付要綱」)。賃貸物件への太陽光導入は、共用部電気代の圧縮や、PR訴求(環境配慮型物件)として一部のオーナーさまが導入を始めています。最新の補助単価・上限は年度ごとに変動するため、申請前に必ず公式要綱を確認してください。
3. 分譲マンション制度を「賃貸オーナー」が見るときの注意
墨田区には分譲マンション専用の制度もあります。賃貸オーナーさま向けではないので利用は限定的ですが、誤って「うちでも使える」と思って動いてしまうと無駄足になるため、必ず区別を理解しておいてください。
| 制度 | 内容 | オーナー利用可否 |
|---|---|---|
| 分譲マンション計画修繕調査支援制度 | 調査費の1/3、上限50万円 | 分譲マンション管理組合のみ(賃貸単独オーナーは対象外) |
| 分譲マンションリフォームローン償還助成 | 住宅金融支援機構融資の償還の一部助成 | 分譲マンション管理組合のみ |
ご自身が分譲マンションを「投資用区分」として保有されている場合は、管理組合の総会決議を経て、組合として申請してもらう必要があります。区分オーナー単独では使えません。一方で、自分が大規模修繕の発議をするなど、組合内での発言力次第ではこの制度を組合に使ってもらうよう働きかけることはできます。区分保有メインのオーナーさまは、まず管理会社や理事会への確認をしてみてください。
4. 国の制度:賃貸オーナーが取りに行くべき2本柱
ここからは、墨田区にいながら使える国の補助制度に話を移します。賃貸オーナーさま向けは、2026年度時点で実質的に「先進的窓リノベ2026事業」と「賃貸集合給湯省エネ2026事業」の2本が主役です。
4-1. 先進的窓リノベ2026事業
環境省の主管事業で、窓の断熱改修を強力に後押しします。賃貸オーナーさまも対象です(出典:環境省「先進的窓リノベ2026事業【公式】対象要件の詳細」)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助上限 | 住宅:1戸あたり100万円/非住宅240㎡以下:1棟あたり100万円 |
| 補助下限 | 1申請あたり5万円以上 |
| 対象者 | 個人オーナー・法人オーナー・管理組合等 |
| 申請者 | 登録事業者(オーナーは登録事業者に委任して申請) |
| 申請期間 | 2025年11月28日〜2026年12月31日(予算到達で締切) |
「1戸あたり100万円」という上限の意味を、現場感覚で噛み砕いてご説明します。これは1住戸の窓を全て高断熱化したときの実質的な総額に近い水準です。築古マンションのアルミサッシをアルゴンガス入り複層・トリプル樹脂サッシに刷新するイメージで、外気温の影響を一気に小さくできます。賃貸でこの工事を入れると、内見時の体感が明らかに変わります。「暖かい」「結露が少ない」「音が静か」が、入居決定の最後の一押しになるケースを、私は実際に何度も見てきました。
夏冬の電気代圧縮、冬の結露・カビクレーム抑制(特に共用廊下側窓・キッチン換気扇周り)、夏のエアコン稼働時間短縮による光熱費メリット。賃貸でも入居者の光熱費が下がれば、それは間接的に「賃料を据え置ける/上げられる」要因になります。窓リノベは派手な改修ではありませんが、入居率と賃料単価の両方に効く、地味で強い投資だと私は捉えています。
4-2. 賃貸集合給湯省エネ2026事業
これは賃貸集合住宅専用に設計された珍しい制度で、賃貸オーナーさまが従来型給湯器をエコジョーズ・エコフィールに交換する際に使えます(出典:資源エネルギー庁「賃貸集合給湯省エネ2026事業」、賃貸集合給湯省エネ2026事業【公式】)。
| 給湯器種別 | 通常 | 共用廊下・浴室への排水工事を伴う場合 |
|---|---|---|
| 追い焚き機能なし(エコジョーズ/エコフィール) | 5万円/台 | 8万円/台 |
| 追い焚き機能あり | 7万円/台 | 10万円/台 |
対象工事の起算日は2025年11月28日以降の着工です。古い給湯器が壊れる前に計画的に交換することで、共用部断水・住戸トラブル・夜間出動対応を予防しつつ、補助金で実質負担を圧縮できます。
賃貸給湯器交換は、放っておくと「夜中の故障 → 即日対応 → 高い緊急工事費」というパターンに陥りがちです。計画交換に補助金を組み合わせることで、緊急対応費の年間支出を平準化できる。ここがオーナー経営の核心です。
注意点は、補助金の申請主体が「賃貸集合給湯省エネ事業者」として登録された施工会社である点。オーナーさまが直接申請することはできません。物件の給湯器交換を依頼する施工会社が登録事業者かどうかを、必ず事前確認してください。
5. 東京都の本命:ささエール住宅 貸主応援事業
東京都の住宅セーフティネット制度のなかに、「東京ささエール住宅 貸主応援事業」という、賃貸オーナーさまにとって極めて魅力的なパッケージ補助制度があります(出典:東京都住宅政策本部「貸主応援事業(補助金)」、「東京ささエール住宅貸主応援事業」募集(2026年4月10日))。
| 補助メニュー | 概要 |
|---|---|
| 耐震改修費補助金 | 1棟あたり新規登録住戸×250万円 |
| 住宅設備改善費補助金 | バリアフリー化・断熱改修等の設備改修 |
| 見守り機器設置費等補助金 | 高齢入居者の見守り機器設置費 |
| 少額短期保険等保険料補助金 | 入居者の家財・賠償保険料補助 |
「1棟あたり住戸数×250万円」は、賃貸補助の世界では破格の水準です。20戸の物件なら5,000万円が理論上の上限になります。令和7年度(2026年度)から補助要件が一部緩和され、より貸主が使いやすくなっています。
ただし、この補助を受けるには物件を「東京ささエール住宅」として登録する必要があります。住宅確保要配慮者(高齢者・障害者・子育て世帯・低所得世帯・外国人等)の入居を拒まない物件、というのが基本要件です。
私の現場感覚で言えば、墨田区はもともと多様な世帯が混在するエリアで、「単身高齢者を断っていなかった」「外国人テナントを既に複数受け入れている」というオーナーさまが多いです。この場合、「登録するだけで、実質的な賃貸運営は今までと変わらないのに数千万円規模の改修補助を活用できる」という、極めてオイシイ構造になります。ご興味があれば、登録要件の確認から私どもでお手伝いできます。
6. ホテル・簡易宿所オーナー向けの視点
墨田区はスカイツリー・両国国技館・浅草に近く、訪日観光客向けのホテル・簡易宿所・民泊運営オーナーさまが多いエリアでもあります。住宅系制度の多くはこれらの宿泊施設には適用されませんが、外壁塗装・屋上防水・耐震改修については、墨田区の地球温暖化防止設備導入助成(高反射率塗装)、非木造建築物耐震改修助成のいずれも、用途要件次第で対象になり得ます。
宿泊施設は「お客さまの目線で見られている」感度が住宅系賃貸より遥かに高く、外観の経年劣化はOTA(オンライン旅行代理店)レビューに即座に反映されます。OTAスコアが0.1下がるとADR(平均客室単価)が500〜1,000円落ちる、というのが業界の経験則です。観光地立地のホテル・簡易宿所では、補助金を活用した外観リフレッシュの投資効果は住宅系より大きいと私は見ています。
7. 補助金活用の「順番」――NOI最大化のための実務ロードマップ
ここからが本題です。墨田区オーナーさまにとって実際にどの順番で動くべきかを、私が現場で実践している進め方でお話しします。
Step 1:物件診断と「使える制度」のマッピング(無料・2週間)
まず私どもにご相談いただくか、信頼できる施工会社に現地調査を依頼してください。築年数・構造・規模・劣化状況に応じて、使える制度を一覧化します。墨田区は窓口が分散しているので、この棚卸し作業を1度やっておくと、その後3〜5年の修繕計画が一気に組みやすくなるのが特徴です。
Step 2:補助制度の交付決定 → 着工
ほぼ全ての自治体制度・国制度・都制度に共通する大原則は、「契約前または着工前に申請して交付決定を受けること」です。これを怠ると、たとえ要件を満たしていても補助は出ません。私が見てきた最悪のケースは、施工会社に契約してしまった後に「補助金ありますよ」と言われて、結局1円も貰えなかった、というものです。
Step 3:複数制度の重複適用と「部位分け」
墨田区の地球温暖化防止設備導入助成、国の先進的窓リノベ2026、賃貸集合給湯省エネ2026、都のささエール住宅貸主応援事業は、それぞれ対象工事が違うため重複適用は可能です。ただし「同一の工事費を二度補助対象にする」のは禁止です。部位ごとに切り分け、見積書・契約書を制度別に分離するのが実務の定石になります。
私はいつもオーナーさまに「1つの大規模修繕プロジェクトを、3〜4本の補助申請に分解する」とお伝えしています。これは制度設計に詳しい施工会社でないと組めない作業です。
Step 4:補助金は雑収入計上――税理士との事前相談を
これが意外と見落とされがちなのですが、受給した補助金は雑収入として課税対象になります(一部、圧縮記帳が認められる制度もあります)。改修工事費そのものは「修繕費」か「資本的支出」かで税務処理が分かれ、損金算入できる範囲が大きく変わります。「補助金で得した分が、税金で持っていかれた」という残念な結末にならないよう、必ず顧問税理士と事前にすり合わせてください。
8. 工法選択:足場・ロープアクセス・ハイブリッドの賢い使い分け
ここで弊社の専門領域である3つの工法の選び方をお話しします。墨田区は隅田川沿いの中高層物件、京島・八広エリアの2〜3階建て木造密集物件、押上・本所の事業用ビル、両国の住居系マンションと、物件のバリエーションが豊富なため、工法選択の判断軸を持っておくことが特に重要です。
| 工法 | 適する物件 | コスト感 | 入居者・利用者への影響 |
|---|---|---|---|
| 通常足場 | 中低層・複雑形状・全面塗装 | 標準 | 足場架設期間中の窓開閉制限・採光低下 |
| ロープアクセス工法 | 高層・部分補修・足場架設困難物件 | 足場費分削減 | 居住者の生活影響を最小化 |
| ハイブリッド工法 | 大規模・複雑物件 | 総合最適 | 必要箇所のみ足場、残りはロープ |
特に賃貸オーナーさまにお伝えしたいのは、「足場架設期間中の入居者クレームと退去リスク」です。3ヶ月足場が架かると、防犯不安・採光低下・洗濯物干せない問題が必ず噴出します。私の経験上、退去予告が足場架設のタイミングに重なるケースは、ロープアクセスやハイブリッド工法を選んだ物件より明らかに少なくなります。
ロープアクセス工法は、弊社が日本で初めてフランチャイズ展開している工法でもあり、塗装・防水・タイル・電気・看板の各専門職が加盟しています。一棟丸ごとの大規模修繕でも、部分的な改修でも、対応の幅が広いのが特徴です。詳しくはロープアクセス工法のご紹介・大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。
9. 墨田区オーナーが押さえておくべき申請上の落とし穴
最後に、墨田区で補助金申請を進める際に特に注意すべき5つの落とし穴を挙げます。
落とし穴1:契約前の交付決定が大原則
繰り返しになりますが、契約・着工後に申請しても補助は出ません。施工会社からの見積もりを取り、内容を固めてから、契約締結の前に申請書類を区に提出するのが正しい順序です。
落とし穴2:予算枠到達で年度途中終了
地球温暖化防止設備導入助成・耐震改修助成・国の先進的窓リノベ2026・賃貸集合給湯省エネ2026いずれも、予算枠到達時点で受付終了です。「来年度の枠でもいいや」と先送りした結果、年度後半に予算終了、翌年度は制度設計が変更されて条件が悪くなる、というケースも珍しくありません。
落とし穴3:区内事業者要件
民間賃貸住宅改修支援事業(高齢者世帯等向け)は、区内事業者(支店・営業所含む)との契約が要件です。区外業者のみで完結する契約は対象外。弊社のように墨田区での施工実績を持つ会社を選ぶことで、この要件を満たしやすくなります。
落とし穴4:補助金の確定通知が来るまで「内定」ではない
申請して交付決定通知が出るまで、補助金は確定していません。「申請したから貰える」ではなく「交付決定が出たから貰える」のが正確な表現です。施工会社に支払いを行う前に、必ず交付決定通知の有無を確認してください。
落とし穴5:補助金の還元タイミング
国の賃貸集合給湯省エネ2026事業のように、施工事業者が補助金を受領してオーナーに還元する仕組みの制度では、還元方法・タイミングを契約書で明確に取り決めておく必要があります。「いつ、どの口座に、いくら還元されるか」を書面化するだけで、後のトラブルを大きく減らせます。
10. 出口戦略:耐震・断熱改修済み物件の売却価格
賃貸オーナーさまの最終ゴールは、保有期間中のNOI最大化と、出口での売却価格最大化の両立です。墨田区の補助金は、この両方に効きます。
築古ビル・マンションを売却する際、買い主側が必ずチェックするのは「耐震基準(旧耐震/新耐震/Is値)」「省エネ性能(断熱等級・一次エネルギー消費量)」「修繕履歴と長期修繕計画」の3点です。補助金を使って耐震改修・窓断熱・給湯省エネを進めることは、買い主のデューデリで「減点されない物件」を作る投資でもあります。
私が現場で見ている限り、墨田区の収益不動産取引で「旧耐震・断熱無改修・長期修繕計画なし」の物件は、表面利回りで0.5〜1.0ポイント高めの利回り設定をしないと売れなくなってきています。逆に言えば、改修済み物件は売却時のキャップレートで明確に有利なポジションを取れます。
築年数なりの劣化は、賃料の下落圧力として静かに効いてきます。補助金を活用した「先回り投資」は、利回り改善より物件価値そのものを底上げする効果が大きいと、私は20年の現場経験から実感しています。
11. ご相談からプロジェクト開始までの流れ
「自分の物件で使える制度を整理してほしい」「補助金を最大化する修繕計画を組んでほしい」「ロープアクセスか足場か、コスト最適化の相談に乗ってほしい」――そういったご相談は、いつでもお寄せください。
私どもは1棟ごとの現地調査から、補助金マッピング、修繕計画の策定、施工、補助金申請の書類サポートまで、ワンストップでご支援できます。1棟の現地調査と利回り改善シミュレーションだけでも、ご相談を承ります。
まとめ:墨田区オーナーが2026年度に必ず検討すべき制度
| 制度 | 主な補助上限 | 賃貸オーナー直接利用 |
|---|---|---|
| 墨田区 民間賃貸住宅改修支援事業 | 1住戸20〜30万円/1棟100万円 | ◯ |
| 墨田区 非木造建築物 耐震診断・補強設計・改修工事助成 | 診断50〜204.5万円/改修は床面積×50,200円/㎡ | ◯ |
| 墨田区 地球温暖化防止設備導入助成(高反射率塗装ほか) | 補助対象経費の10%・上限15万円 | ◯ |
| 国 先進的窓リノベ2026事業 | 1戸あたり100万円 | ◯(登録事業者経由) |
| 国 賃貸集合給湯省エネ2026事業 | エコジョーズ1台5〜10万円 | ◯(登録事業者経由) |
| 東京都 ささエール住宅 貸主応援事業 | 1棟あたり住戸数×250万円ほか | ◯(要:物件登録) |
| 墨田区 分譲マンション計画修繕調査支援制度 | 1/3・上限50万円 | ×(管理組合のみ) |
| 墨田区 分譲マンションリフォームローン償還助成 | 償還の一部 | ×(管理組合のみ) |
お持ちの物件で、まだこの補助金の検討を始めていないオーナーさまは、ぜひ一度お問合せください。1棟の現地調査と利回り改善シミュレーションだけでも、私どもがお力になります。
これは私が現場で20年見てきた、嘘偽りのない感想です。次回も、墨田区で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- 墨田区「墨田区民間賃貸住宅改修支援事業(高齢者世帯等向け改修事業)」
- 墨田区「耐震改修事業助成金一覧」
- 墨田区「地球温暖化防止設備導入助成制度」
- 墨田区「墨田区地球温暖化防止設備導入助成金交付要綱」
- 墨田区「分譲マンション計画修繕調査支援制度」
- 墨田区「分譲マンションリフォームローン償還助成」
- 墨田区「住宅に関する助成制度」
- 墨田区「助成金・補助金、貸付制度」
- 墨田区「防火・耐震化改修促進助成事業」
- 墨田区「不燃化特区」
- 墨田区「マンション 管理組合の皆様へ(マンションガイド)」
- 環境省「先進的窓リノベ2026事業【公式】対象要件の詳細」
- 環境省「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業(先進的窓リノベ2026事業)について」
- 資源エネルギー庁「賃貸集合給湯省エネ2026事業について」
- 経済産業省・資源エネルギー庁「賃貸集合給湯省エネ2026事業【公式】」
- 資源エネルギー庁「給湯省エネ2026事業について」
- 東京都住宅政策本部「住宅セーフティネット制度(東京ささエール住宅・居住サポート住宅)」
- 東京都住宅政策本部「貸主応援事業(補助金)」
- 東京都「東京ささエール住宅貸主応援事業 募集(2026年4月10日)」
- 東京都住宅政策本部「既存住宅の省エネ診断・省エネ設計への補助」
- 国土交通省「建築物耐震対策 緊急促進事業 交付申請マニュアル」
- 株式会社明誠「ロープアクセス工法のご紹介」
- 株式会社明誠「大規模修繕工事のご紹介」
- 株式会社明誠「お問合せフォーム」


