「うちのマンション、そろそろ2回目の大規模修繕だけれど、西東京市から何か支援は受けられないのだろうか」。理事会でそんな声が出はじめたら、この記事はまさに「うちの話」です。
私は大規模修繕の現場に20年近く立ってきました。マンション・ビル・ホテルの外壁や屋上防水を、足場を組む工法と、ロープでぶら下がって施工する無足場の工法(ロープアクセス工法)の両方で手がけています。その中で、西東京市の管理組合の理事長さまから一番多くいただく相談が、「補助金や税制で、修繕積立金の負担を少しでも軽くできないか」というものです。
最初に、正直に申し上げます。西東京市には、共用部の大規模修繕そのものに工事費の何割かを直接出してくれる「ど真ん中の補助金」は、現時点では用意されていません。これは西東京市に限った話ではなく、多摩地域の多くの市が同じ事情です。ですが、使い方を間違えなければ、管理組合の負担を確実に軽くできる制度がいくつもあります。しかも西東京市は、分譲マンション専用の耐震化助成を独自に整え、診断から改修・建替えまで幅広くカバーしている、多摩地域では手厚い部類の自治体です。
この記事では、2026年(令和8年度)時点で西東京市の分譲マンション管理組合が実際に使える制度を、現場目線で整理してお伝えします。数字や期限はすべて西東京市・東京都・国の公式情報にあたって確認していますが、制度は年度途中で予算が尽きることもあります。最後の判断は、必ず担当窓口でご確認ください。
まず押さえる結論:西東京市の管理組合向けは「5本柱」
細かい話に入る前に、全体像をお伝えします。西東京市のマンション管理組合が活用を検討できる支援は、大きく次の5つで整理すると分かりやすいです。最初に表でお見せします。
| 制度 | 何に効くか | 共用部の修繕に直接使えるか | 担当窓口 |
|---|---|---|---|
| ① 西東京市 マンション管理計画認定制度 | 管理体制の「お墨付き」・税制や融資の入口 | 間接的(前提条件になる) | 西東京市 住宅課 |
| ② 西東京市 分譲マンション耐震化促進事業助成制度 | 旧耐震マンションの診断・設計・改修・建替え | 使える(旧耐震が条件) | 西東京市 住宅課 |
| ③ マンション長寿命化促進税制(国) | 大規模修繕後の固定資産税を減額 | 間接的(税の軽減) | 西東京市 資産税課 |
| ④ 東京都 マンション改良工事助成 | 共用部リフォーム融資の利子を補給 | 使える(利子の軽減) | 東京都 マンション課 |
| ⑤ 東京都 マンション管理アドバイザー制度 | 専門家派遣で現状整理・計画見直し | 間接的(準備段階を支える) | 東京都防災・建築まちづくりセンター |
私はいつも理事長さまに、「補助金は1つを探すのではなく、この5つを組み合わせて考えてください」とお伝えしています。1つだけを見て「うちは対象外だった」とあきらめてしまう管理組合を、私は何度も見てきました。実際には、ある制度では対象外でも、別の制度や税制では恩恵を受けられることがほとんどです。ここからが本題です。1本ずつ見ていきましょう。
① 西東京市 マンション管理計画認定制度:すべての入口になる「お墨付き」
最初にご紹介するのは、お金が直接もらえる制度ではありません。ですが、後で出てくる税制や融資のいくつもの入口になる、いちばん大事な土台です。
マンション管理計画認定制度とは、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)の改正に伴い、令和4年4月から始まった制度です。長期修繕計画や修繕積立金、管理組合の運営体制などが一定の基準を満たしているマンションを、自治体が「適正に管理されている」と認定してくれる仕組みです。西東京市は「西東京市マンション管理適正化推進計画」を令和5年8月1日に策定し、同日付けでこの認定制度を開始しました。
申請できるのは、西東京市内の既存マンションの管理組合の管理者等(理事長など)です。認定申請や更新申請にあたっては、あらかじめ集会(総会)で決議を得ておく必要があります。ここは現場でよく見落とされるポイントです。「理事会だけで進めてしまい、総会決議が後回しになっていた」という相談を私も受けたことがあります。段取りとして、まず総会で方針を固める。これが第一歩です。
認定の基準は、西東京市の独自基準はなく、国がマンション管理適正化指針に定める基準と同一です。つまり、他市と比べて西東京市だけが特別に厳しい・緩いということはありません。全国共通のものさしで判断されます。
費用についても押さえておきましょう。西東京市への認定申請手数料は無料です。ただし、申請の前に、公益財団法人マンション管理センターによる「管理計画認定支援サービス」(事前確認)を利用し、マンション管理士が認定基準への適合状況を確認した「事前確認適合証」の発行を受ける必要があります。この事前確認の利用料として、マンション管理センターに10,000円の支払いが必要です(申請パターンによっては別途料金が発生する場合があります)。認定の有効期間は、新たに認定を受けた場合で5年間です。
では、認定を取ると何が良いのか。理事長さまが一番気にされるところを、率直にお伝えします。認定を受けると、住宅金融支援機構の「フラット35」および「マンション共用部分リフォーム融資」の金利引下げが適用され、マンションすまい・る債の利率の上乗せも受けられます。さらに、後ほど詳しくご説明する国の「マンション長寿命化促進税制」(固定資産税の減額)を使うための前提条件のひとつにもなります。つまり、認定は「それ自体でお金がもらえる」というより、「お金にまつわる他の制度を開けるための鍵」だとお考えください。
② 西東京市 分譲マンション耐震化促進事業助成制度:旧耐震マンションの本命
ここからが、工事費そのものに効く制度です。西東京市は、災害に強いまちづくりを進めるため、市内の分譲マンションを対象に、耐震診断・耐震補強設計・耐震改修(建替えまたは除却を含む)に必要な費用の一部を助成しています。多摩地域の中でも、分譲マンション専用の耐震メニューをここまで揃えている市は多くありません。
助成の対象になるのは、分譲マンションの管理組合(建物の区分所有等に関する法律に基づいて設置されていること)です。耐震診断などの実施について、区分所有者による集会で有効な決議がなされていることが条件です。ここでも総会決議が前提になります。
対象となるマンションの基本要件は、次のすべてを満たすものです。少し専門的になりますが、ご自分のマンションが当てはまるか、チェックしてみてください。
- 昭和56年6月1日(建築基準法施行令改正の施行日)より前に建設工事に着手した、いわゆる「旧耐震」のマンションであること
- 耐火建築物または準耐火建築物であり、地階を除く階数が3階以上であること
- 建物の区分所有者の複数が、そのマンションに居住する個人であること
- 東京都の条例で耐震診断が義務付けられている「特定沿道建築物」ではないこと(こちらは別制度の対象になります)
- 耐震診断の結果や補強設計の内容について、市が定めた機関の評定等を取得すること
4つ目の「特定沿道建築物」について補足します。西東京市内では、青梅街道・所沢街道・保谷新道・五日市街道の一部、および新青梅街道の全線の沿道で、地震により倒壊した場合に道路を閉鎖するおそれのある建物が該当します。こうした建物は、今回ご紹介する一般の助成ではなく、別途「特定沿道建築物の耐震化促進事業助成制度」の対象になります。自分のマンションがどちらに当たるかは、必ず事前相談で確認してください。
肝心の助成内容を、表で整理します。金額は西東京市の公式情報(最終更新2024年4月15日)に基づくものです。
| 区分 | 助成率 | 助成限度額 | 主な要件 |
|---|---|---|---|
| 耐震診断 | 対象費用の3分の2 | 200万円 | 基準単価(1,000㎡以内の部分は1㎡あたり3,600円等)との低い方 |
| 耐震補強設計 | 対象費用の3分の2 | 200万円 | 診断結果がIS値0.6未満相当であること |
| 耐震改修 | 対象費用の100分の23 | 1,500万円 | 改修後にIS値0.6以上となること |
| 建替え・除却 | 100分の23 | 1,500万円 | 耐震改修費用相当額の算出が必要 |
ここで「IS値」という言葉が出てきました。IS値(構造耐震指標)とは、建物が地震の揺れにどれだけ耐えられるかを示す数値で、一般に0.6以上あれば「倒壊や崩壊の危険性が低い」とされます。診断の結果が0.6未満だった場合に、設計や改修の助成へと進めるイメージです。
耐震改修の助成基準単価も具体的です。延べ面積1,000㎡以内の場合は1㎡あたり33,500円、1,000㎡を超える場合は49,300円、免震工法など市長が認める特殊な工法による場合は82,300円が上限単価として設定されています。実際の助成額は「実費」「基準額」の低い方に助成率を掛けて算定され、最終的に上限1,500万円の枠内に収まります。
そして、私が現場で何度も口を酸っぱくしてお伝えしているのが、申請の順番です。この助成は、助成金の交付決定通知より前に契約を行ってしまうと、助成金を受け取れません。「先に業者を決めて契約してから役所に相談に行ったら、もう手遅れだった」という失敗を、本当に多くの管理組合がやってしまいます。正しい流れは、(1) 住宅課住宅係への事前相談 → (2) 総会決議・見積取得 → (3) 交付申請 → (4) 交付決定通知の受領 → (5) ここで初めて契約・着手、です。「まず段取り、それから工事」。これだけは絶対に守ってください。
③ マンション長寿命化促進税制(国):大規模修繕後の固定資産税が減る
3つ目は、国が設けている税制の優遇です。一定の要件を満たす大規模修繕工事を行ったマンションについて、工事完了の翌年度分の家屋に係る固定資産税が減額されます。これが「マンション長寿命化促進税制」です。対象となる工事期間は、令和5年(2023年)4月1日から令和9年(2027年)3月31日までです。
ひとつ注意点をお伝えします。西東京市の管理計画認定制度のページには、この税制の対象工事期間が「令和7年3月31日まで」と書かれた記述が残っています。これは制度開始当初の期限で、その後、国の税制改正により令和9年3月31日まで延長されています。最新の現行制度は令和9年3月末までですので、本記事ではそちらに合わせてご案内しています。こうした「ページの更新が制度改正に追いついていない」ことは、行政の情報ではよく起こります。だからこそ、最終確認は窓口で、とお伝えしているのです。
減額の主な要件は、次のとおりです。
- 築20年以上が経過していること
- 総戸数が10戸以上であること
- 過去に1回以上、長寿命化に資する大規模修繕工事を適切に行っていること
- 今回の工事に、外壁塗装等・床防水・屋根防水の3種類の工事がすべて含まれていること
- マンション管理計画の認定を受けている、または修繕積立金を令和3年9月1日以降に認定基準額以上へ引き上げていること
ここで先ほどの①管理計画認定制度が効いてきます。認定を取っておくことが、この税制の入口のひとつになるわけです。制度は単独で見るのではなく、線でつなぐ。何度も申し上げているのは、このためです。
減額の割合については、標準で固定資産税額の2分の1とされていますが、実際の減額割合は市の条例で6分の1から2分の1の範囲で定められます。具体的な割合は西東京市の資産税課にご確認ください(本記事では断定を避けます)。手続きは、工事完了後3か月以内に必要書類を添えて申請する必要があり、1つのマンションにつき1回限りの適用です。完了してから慌てないよう、工事の計画段階から「この税制を使う」と決めて、書類の準備を進めておくのが賢明です。
④ 東京都 マンション改良工事助成:共用部リフォーム融資の利子を都が補給
4つ目は、東京都の制度です。東京都は、分譲マンションの維持・管理や修繕が適正かつ円滑に進むよう、住宅金融支援機構と連携して、管理組合への利子補給の助成(マンション改良工事助成制度)を行っています。
仕組みをかみ砕くと、こうです。大規模修繕の資金として住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」などを借り入れた場合、その利子の一部を東京都が補給してくれます。借入をして工事を進める管理組合にとっては、実質的な金利負担が軽くなる、ありがたい制度です。
申込期間には注意が必要です。令和7年度(2025年度)は、令和7年6月25日から令和8年2月20日まで募集が行われました。ただし、受付期間中であっても、申込戸数が募集戸数に達した時点、または申込額が予算額に達した時点で締め切られる「先着順」です。令和8年度(2026年度)の申込期間は本記事の執筆時点ではまだ正式発表されていませんが、例年6月頃に募集が始まる傾向があります。借入を伴う大規模修繕を計画している管理組合は、年度の早いうちに東京都マンション課(マンション施策調整担当)へ問い合わせ、募集開始を待ち構えておくことをおすすめします。予算枠は毎年あっという間に埋まります。
⑤ 東京都 マンション管理アドバイザー制度:まず「無料の専門家」を使う
5つ目は、お金をかけずに専門家の力を借りられる制度です。私が理事長さまに「最初の一歩」として最もおすすめしているのが、これです。
東京都では、「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」(平成31年3月制定、令和2年4月施行)に基づき、管理状況届出制度を設けています。この届出を行った管理組合に対し、その管理状況に応じて、マンション管理士などの専門家を派遣し、管理や建替え・改修について個別の相談に応じてくれるのが、マンション管理アドバイザー制度です。
派遣の費用は、届出が受理または更新された「要届出マンション」は1回まで無料、そのうち管理不全の兆候があるマンションは5回まで無料です。申込は、申込書に必要事項を記入し、FAX・メール・郵送で東京都防災・建築まちづくりセンターへ行います。申込後、1〜2週間ほどでアドバイザーから日程調整の連絡が入ります。
なぜ私がこれを最初におすすめするのか。理由は単純です。補助金や税制は「使える状態」になっていないと使えません。長期修繕計画が古いまま、修繕積立金が不足したまま、では、認定も税制も入口で止まってしまいます。まず中立的な専門家に現状を整理してもらい、計画と積立金を点検する。その土台ができてはじめて、①〜④の制度がきれいにつながります。無料で使える専門家を使わない手はありません。
注意:太陽光・蓄電池などの省エネ補助は「共用部に使えるか」を必ず確認
最近、理事会で「太陽光や蓄電池の補助金はマンションでも使えるのか」というご質問をよくいただきます。ここは誤解が多いので、正直にお伝えします。
西東京市には、太陽光発電や蓄電池に対する市独自の補助金は基本的になく(省エネ家電などが中心)、利用できるのは主に東京都や国の補助制度です。東京都の補助は、既築住宅向けの太陽光で1kWあたり10万円台、蓄電池でも手厚い水準が用意されていますが、多くは「住宅」「自ら居住する者」を前提とした制度設計になっています。マンションの共用部(屋上に共用の太陽光を載せる等)に適用できるかどうかは、制度ごとに条件が異なり、一律に「使える」とは言えません。
ですから、共用部での再エネ・省エネ設備の導入を検討する場合は、必ず事前に各制度の窓口(東京都の場合はクール・ネット東京、西東京市の場合は環境を担当する部署)に「管理組合として共用部に使えるか」を確認してください。専有部・個人向けの補助を共用部の工事に当てはめてしまうと、後で対象外と判明することがあります。
モデルケースで考える:築35年・60戸・旧耐震マンションの場合
制度の話だけでは実感が湧きにくいので、よくあるケースで考えてみましょう。あくまで考え方を示すための仮のモデルで、実際の金額を保証するものではありません。
西東京市内、築35年・総戸数60戸・延べ面積約4,000㎡・旧耐震の分譲マンション。2回目の大規模修繕を控え、耐震性にも不安がある、というケースです。私ならこう道筋を描きます。
まず、東京都のマンション管理アドバイザー派遣(無料)を申し込み、現状を整理します。旧耐震ですから、西東京市の②分譲マンション耐震化促進事業助成を視野に入れ、住宅課住宅係に事前相談へ。耐震診断は対象費用の3分の2・上限200万円、補強設計も3分の2・上限200万円が見込めます。診断の結果IS値が0.6未満であれば、耐震改修は100分の23・上限1,500万円の助成が射程に入ります。
並行して、①管理計画認定の取得を進め、長期修繕計画と修繕積立金を見直します。認定が取れれば、フラット35や共用部リフォーム融資の金利引下げが使え、③国の長寿命化促進税制の入口も開きます。今回の大規模修繕に外壁塗装・床防水・屋根防水をすべて含め、過去の修繕履歴と積立金の引上げ要件を満たせば、工事翌年度の固定資産税の減額も狙えます。借入が必要なら、④東京都の改良工事助成(利子補給)を年度の早いうちに申し込む。
60戸なら、たとえば耐震診断の200万円の助成は、単純計算で一戸あたり約3.3万円分の負担軽減に相当します。一つひとつは小さく見えても、診断・設計・改修・税・利子と重ねれば、組合全体ではまとまった金額になります。これが「重ねて使う」発想です。
よくある質問(FAQ)
Q. 西東京市には、大規模修繕の工事費を直接くれる補助金はありますか。
A. 共用部の大規模修繕そのものに工事費を直接助成する制度は、現時点ではありません。ただし、旧耐震マンションなら②の耐震化助成で診断・設計・改修の費用補助が、全マンションで③の固定資産税減額や④の利子補給が使える可能性があります。
Q. 新耐震(昭和56年6月以降着工)のマンションは、耐震助成を使えませんか。
A. 西東京市の分譲マンション耐震化促進事業助成は、昭和56年6月1日より前に着工した旧耐震マンションが対象です。新耐震の場合は対象外ですが、①管理計画認定、③長寿命化促進税制、④東京都の利子補給、⑤アドバイザー派遣は活用できます。
Q. 管理計画認定を取るのに、お金はかかりますか。
A. 西東京市への申請手数料は無料です。ただし、事前確認のためにマンション管理センターへ10,000円(申請パターンにより別途料金あり)が必要になります。
Q. 補助金の申請は、工事業者を決めてからでも間に合いますか。
A. 間に合わない場合があります。特に②耐震化助成は、交付決定通知の前に契約してしまうと助成を受けられません。必ず「事前相談 → 交付決定 → 契約・着手」の順で進めてください。
Q. 制度の金額や期限は、この記事のままで確定ですか。
A. いいえ。補助金・税制は年度ごとに見直され、予算枠に達すると締め切られます。最終的な金額・期限・要件は、必ず各窓口の最新情報でご確認ください。
大規模修繕のコストを抑えるもう一つの鍵:工法の選び方
ここまでは制度の話でした。ここからは、私たち施工会社だからこそお伝えできる、もう一つのコスト削減の鍵をご紹介します(自社サービスのご案内になりますので、見出しで区切っておきます)。
補助金や税制で軽くできる負担には、限度があります。それよりも大きく効いてくるのが、実は「工法の選び方」です。大規模修繕の費用のうち、足場の仮設・解体費は決して小さくありません。建物の形状や高さによっては、足場をすべて組まずに、ロープアクセス工法(無足場工法)で施工したほうが、コストも工期も抑えられるケースがあります。ロープアクセス工法とは、産業用のロープで作業員がぶら下がって外壁の塗装や防水、タイルの補修を行う工法です。足場を組む必要がない分、仮設費を圧縮でき、工期も短くなり、居住者の方の生活への影響も小さく抑えられます。
ただし、ロープアクセスが万能というわけではありません。施工面積が広く全面的な改修が必要な場合や、複雑な形状の建物では、従来の足場のほうが適していることもあります。だからこそ私たちは、足場を組む工法と、ロープアクセスの無足場工法、そして両者を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、その建物にとって最適な組み合わせを提案できる体制を整えています。「足場ありき」でも「ロープありき」でもなく、建物を見てから正直に申し上げる。これが私たちのやり方です。詳しくはロープアクセス工法のご案内やマンション管理組合さま向けサービス、私たちの考え方もご覧ください。
まとめ:制度は「重ねて」「工事の前に」動く
西東京市のマンション管理組合が使える支援は、①管理計画認定制度、②分譲マンション耐震化促進事業助成制度、③国の長寿命化促進税制、④東京都の改良工事助成(利子補給)、⑤東京都のマンション管理アドバイザー制度の5本柱が中心です。どれも単独では小さく見えるかもしれませんが、重ねて使えば、組合の負担はしっかり軽くなります。そして、いずれも「工事の前」に動くことが鉄則です。西東京市は、分譲マンション専用の耐震メニューを診断から建替えまで揃えるなど、多摩地域では支援が手厚い市でもあります。
改めて、優先順位もお伝えしておきます。まず取り組んでいただきたいのは、お金のかからない東京都のマンション管理アドバイザー派遣です。専門家を入れて現状を整理し、長期修繕計画と修繕積立金を点検する。その流れの中で管理計画認定を取りに行けば、長寿命化税制という固定資産税の減額まで一本の線でつながります。旧耐震であれば、住宅課への事前相談から耐震化助成へ。そのうえで、借入が必要なら東京都の利子補給を年度の早いうちに申し込む。この順番で動けば、制度を取りこぼすリスクをかなり減らせます。逆に、工事業者との契約を先に進めてしまうと、入口が閉じてしまう制度がいくつもあります。だからこそ私は、「まず段取り、それから工事」と繰り返しお伝えしているのです。
最後に、私の本音をお伝えします。補助金や税制は、あくまで負担を軽くする道具にすぎません。いちばん大事なのは、その建物にとって本当に必要な工事を、適切なコストで、住んでいる方々の暮らしを止めずにやり切ることです。私たちは足場とロープアクセス、その両方を提案できるからこそ、「この建物にはこの工法が最適です」と正直に申し上げられます。
西東京市で大規模修繕や耐震改修をお考えの管理組合さまは、補助金が使えるかどうかの整理だけでも、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- 西東京市「マンションの管理計画認定制度」
- 西東京市「西東京市分譲マンション耐震化促進事業助成制度」
- 国土交通省「住宅:管理計画認定制度」
- 東京都主税局「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに対する固定資産税の減額制度」
- 東京都マンションポータルサイト「分譲マンションの修繕への助成(マンション改良工事助成制度)」
- 東京都防災・建築まちづくりセンター「マンションアドバイザー無料派遣」
本記事は2026年6月時点で公開されている西東京市・東京都・国の公式情報をもとに、株式会社明誠の本間が監修しています。制度の内容・金額・期限・要件は年度ごとに変更され、予算枠に達すると受付が締め切られる場合があります。実際のご検討にあたっては、各窓口の最新情報を必ずご確認ください。


