大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

【令和8年度版】台東区のマンション管理計画認定制度|区手数料4,100円・国基準準拠の全17項目と下町運用の全手順

【令和8年度版】台東区のマンション管理計画認定制度|区手数料4,100円・国基準準拠の全17項目と下町運用の全手順

【令和8年度版】台東区のマンション管理計画認定制度|区手数料4,100円・国基準準拠の全17項目と下町運用の全手順

2026年9月14日 更新

「うちのマンションは浅草橋にあるんですが、1階が店舗で2階以上が住居、区分所有者の一部が外国人の投資家です。認定は取れるものでしょうか」——先月、台東区のあるマンションの理事長さまから、そう質問されました。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。

結論から申し上げると、店舗併用型でも外国人区分所有者がいても、要件を満たせば認定は取れます。ただし、台東区特有の論点——下町ならではの狭隘道路、密集地の足場問題、そして総会運営の実務——を理解して準備を進める必要があります。

今日お話しするのは、台東区にあるマンションが管理計画認定を取ると何が変わり、いくらかかり、どの順番で動けばいいのかという一点に絞ります。


結論:台東区で認定を取ると何が変わり、いくらかかるか

先に全体像を表でお示しします。

論点 台東区での答え
認定の主体 台東区(マンション管理適正化推進計画を策定済みの特別区)
窓口 台東区住宅課マンション施策担当(台東区役所5階)/電話 03-5246-9028
制度運用開始 令和4年11月1日
マンション管理センター経由 使います。「事前確認適合証」を取得してシステムから申請
独自基準 なし。国のマンション管理適正化指針の基準と同一(16項目+その他1項目)
区の基本手数料 4,100円(長期修繕計画が1つ増えるごとに1,800円加算)
手数料の総額目安 約24,100円(区4,100円+システム使用料10,000円+事前確認審査料おおむね10,000円程度)
認定までの期間 事前確認1〜2か月+区の審査約2〜3週間+通知書発行
有効期間 5年間(5年ごとの更新認定。区からの通知はなし
主な経済効果 長寿命化促進税制、フラット35の金利引下げ、共用部分リフォーム融資の金利引下げ、すまい・る債の利率上乗せ

(出典:台東区「マンション管理計画認定制度」国土交通省「マンション管理計画認定制度」

台東区の一番の特徴は、区独自基準を設けず、国基準そのままで運用していることです。区独自の上乗せ基準を導入した文京区・港区・渋谷区とは対照的な設計です。「まずは国基準を満たす管理組合を増やす」という考え方だと私は理解しています。基準がシンプルな分、書類のブレも少なく、申請ハードルは他区より低めです。

このページの更新日は2026年(令和8年)2月20日で、ちらしは令和7年10月28日に更新されています。手数料や様式の情報は現行に近いものと考えられますが、詳細は申請前に住宅課へ電話で確認いただくのが安全です。


認定主体はどこか——台東区は「区が認定する」

管理計画認定制度の認定主体は、マンション管理適正化法に基づく「マンション管理適正化推進計画」を策定した市・特別区です。市以外の町村部は都道府県が担います(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。

台東区は特別区で、推進計画を策定済みです。つまり台東区が認定主体です。東京都に申請するものではありません。

私はこの点を取り違えている理事会に、これまで何度も出会いました。「都に出すのか区に出すのか分からないので、とりあえず保留にしています」という管理組合が、実際にありました。台東区のマンションについては、窓口は台東区役所5階の住宅課マンション施策担当、電話は03-5246-9028です。台東区マンション管理適正化推進計画は令和7年度から令和16年度までの計画として策定されています(出典:台東区マンション管理適正化推進計画)。

なお、固定資産税の減額措置(後述の長寿命化促進税制)だけは話が別です。東京23区の固定資産税は東京都が課税するため、申告先は物件所在地を管轄する都税事務所になります。認定は区、減税の申告は都。この二本立てを最初に頭に入れておくと、後で慌てません。


認定基準——国が定める17項目のみ(区独自基準なし)

台東区の認定基準は、国が定める17項目です。台東区独自の上乗せ基準はありません(出典:台東区「マンション管理計画認定制度」国土交通省「マンション管理計画認定基準」)。

1)管理組合の運営

  • 管理者等(理事長など)が定められていること
  • 監事が選任されていること
  • 集会(総会)が年に1回以上開催されていること

2)管理規約

  • 管理規約が作成されていること
  • 災害などの緊急時や管理上必要なときの専有部への立ち入り、修繕などの履歴情報の管理について定められていること
  • 管理組合の財務・管理に関する情報の書面交付(または電磁的方法による提供)について定められていること

3)管理組合の経理

  • 管理費と修繕積立金などを明確に区分して経理していること
  • 修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこと
  • 直前の事業年度末時点で、修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること

4)長期修繕計画の作成及び見直し等

  • 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成され、計画内容と修繕積立金額が総会で決議されていること
  • 長期修繕計画の作成または見直しが7年以内に行われていること
  • 計画期間が30年以上で、かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていること
  • 将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していないこと
  • 計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された平均額が著しく低額でないこと
  • 計画期間の最終年度において、借入金の残高のない計画となっていること

5)その他

  • 組合員名簿・居住者名簿を備え、年1回以上は内容の確認を行っていること
  • 都道府県等マンション管理適正化指針に照らして適切なものであること(※台東区マンション管理適正化指針では国基準以外の独自基準を設けていないため、上記16項目に適合すれば5(2)にも適合したとみなされる)

私の経験上、ここでつまずくマンションの大半は4)の長期修繕計画です。特に「一時金徴収を前提にしていないこと」と「最終年度に借入金残高がないこと」の2つ。この2条件は、修繕積立金の水準そのものに踏み込む要件です。積立金を上げずに認定は取れない、という設計になっています。逆に言えば、認定の準備がそのまま積立金不足の是正になる、ということでもあります。

台東区は、浅草・上野・浅草橋・入谷・鶯谷・根岸・下谷・谷中・浅草橋の一帯を抱える下町です。1970〜80年代の中小規模の分譲マンションが多く、当時の水準のまま修繕積立金がスライドしてきているマンションが少なからず存在します。認定申請の準備は、そのまま積立金不足の点検作業になります。


手数料と申請ルート——台東区は「国のシステム+区の紙手数料」

台東区の申請は、他区と比べてもシンプルな構造です。区独自基準の書類がない分、区窓口とのやり取りは手数料納付と審査結果の受け取りが中心です。

手数料の内訳(認定申請・更新申請)

内容 費用 支払先
システム使用料 10,000円 (公財)マンション管理センター
事前確認審査料 おおむね10,000円程度(依頼先により異なる) 依頼先
区の手数料(基本手数料) 4,100円 台東区
区の手数料(加算手数料) 1,800円(長期修繕計画が1つ増えるごと) 台東区

(出典:台東区「マンション管理計画認定制度」申請手数料

長期修繕計画が1つのマンションであれば、総額の目安は約24,100円です。5年で1回の支出と考えれば、年あたり5,000円弱。総戸数50戸なら、1戸あたり年100円に届きません。

区の手数料は、申請受付が完了した後、区の担当者から申請ご担当者(原則メール)へ連絡が入り、その後に納付書が送付されます。金融機関または台東区役所1階のみずほ銀行派出所(午後3時まで/ATMでは納付不可)での納付が必要です。ATMで払おうとして受け付けられなかった、という管理組合が実際にありました。銀行の窓口業務時間に、通帳を持って窓口で払う——このひと手間を段取りに入れておいてください。

なお、手数料の入金後に金融機関から渡される「領収証書」のコピーをメール等で区の担当者へ提出すると、入金確認の時間が短縮されます。区としては入金の消し込みを待たずに審査に入れるからです。

変更認定の手数料

認定を受けた管理計画を変更する場合の手数料は、変更する項目ごとに分かれています。

変更する項目 基本手数料 加算手数料
管理組合の運営 4,800円 2,600円
管理規約 4,000円 2,600円
管理組合の経理 4,600円 2,800円
長期修繕計画の作成及び見直し等 9,800円 5,200円
その他 2,900円 1,700円
上記以外の事項の変更 2,000円 900円

長期修繕計画の変更だけが9,800円と、他の項目の2倍以上に設定されています。審査の重さがそのまま金額に出ている、ということだと私は理解しています。軽微な変更に該当する場合は変更申請そのものが不要で、その線引きは区の「軽微な変更に該当する項目」表にまとめられています。

なお、変更認定申請では、管理計画認定手続支援サービス(事前確認)及び電子システムは利用できません。変更認定申請書の正本・副本それぞれに変更に係る添付書類を添え、区に直接提出する形になります。ここは当初申請と大きく違うポイントです。

申請の流れ(6ステップ)

  1. 事前確認の依頼。(公財)マンション管理センター、(一社)マンション管理業協会、(一社)日本マンション管理士会連合会などに依頼。方法は4パターンあります。事前確認は通常1〜2か月
  2. 事前確認適合証の発行。基準適合が確認されると、マンション管理センターから電子システムで発行されます
  3. 総会決議。認定申請を行う旨を総会で決議します(事前確認の依頼前でも実施可能ですが、遅くともシステム申請前までに)
  4. システムから台東区へ認定申請。マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」から送信
  5. 手数料納付。区からメールで連絡→納付書送付→金融機関またはみずほ銀行派出所で納付。領収証書のコピーを区担当者に提出すると審査開始が早い
  6. 区の審査 → 認定通知書の交付。手数料納入から約2〜3週間で審査開始、審査後に認定通知書を発行・送付。公表に同意した管理組合は、区とマンション管理センターのサイトで「マンション名・所在地・認定コード」が公表されます

(出典:台東区「マンション管理計画認定制度」認定手続きの流れ(公財)マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」

注意点:事前確認適合証が発行されていても、審査の結果、認定基準を満たしていないと区が判断した場合は、不認定になる場合があります。その場合も手数料の返還は行われません。事前確認は「基準への適合を確認する」ものであって、「区の認定を保証する」ものではない、という設計です。事前確認と区の審査で見ているポイントが完全一致しないケースがあり得るということです。

事前確認に関する問い合わせ先も公開されています。(公財)マンション管理センターは03-6261-1274、(一社)マンション管理業協会は03-3500-2721、(一社)日本マンション管理士会連合会は03-5801-2721です。制度そのものの相談は、日本マンション管理士会連合会の「マンション管理計画認定制度 相談ダイヤル」(03-5801-0858/月〜土 10:00〜17:00、祝日・年末年始を除く)が国土交通省のページでも案内されています。

有効期間と更新の注意

認定の有効期間は、認定を受けた日から5年間です。台東区からは有効期間満了に関する通知等は行われませんので、認定を受けた日を管理組合の帳簿にしっかり残しておく必要があります。5年後の更新申請を忘れると、認定は失効します。更新申請の流れと手数料は、当初認定申請と同じです。


認定の3つの経済効果——税・ローン・融資

認定を取ると、お金の面で3つの効果が出てきます。

1)マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)

管理計画認定マンションが長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合、固定資産税額が減額されます。東京23区の減額割合は2分の1で、減額期間は工事完了年の翌年度分(完了日が1月1日の場合はその年度分)です。1戸当たり100㎡の床面積相当分までが対象です。

主な要件は次のとおりです。

  • 新築された日から20年以上が経過していること
  • 総戸数10戸以上であること
  • 長寿命化工事(外壁塗装等工事、床防水工事、屋根防水工事のすべて)を過去に1度以上行っていること
  • 令和3年9月1日以降に、修繕積立金の額を管理計画の認定基準まで引き上げたこと

(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」東京都主税局「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに対する固定資産税の減額制度」

適用期限について、ここは重要な更新があります。この特例措置の現行の適用期間は令和5年4月1日から令和9年3月31日までですが、令和8年度税制改正で5年間の延長(令和8年4月1日〜令和13年3月31日)が示されており、あわせて対象住宅の床面積要件の下限が40㎡(現行50㎡)に緩和される方向です(出典:国土交通省「令和8年度税制改正概要」)。適用を前提に工事計画を立てる場合は、工事完了時点で有効な期限と要件を都税事務所に確認したうえで進めるのが安全です。

申告期限は工事完了日から3か月以内です。東京23区は都が課税主体なので、申告先は物件所在地を管轄する都税事務所になります。ここを区役所に持っていくと、二度手間になります。

2)フラット35の金利引下げ・フラット50の利用

認定マンションを購入する人は、住宅金融支援機構の【フラット35】維持保全型の対象となり、借入金利が当初5年間、年0.25%引き下げられます。また、返済期間が最長50年となる【フラット50】も利用できます(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」台東区「マンション管理計画認定制度」)。

台東区は、浅草・上野の観光需要と、都心へのアクセスの良さから、インバウンド需要と中古分譲マンションの投資需要が交錯するエリアです。買い手のローン金利が当初5年間下がるという事実は、販売図面に書ける材料になります。認定マンションは(公財)マンション管理センターの「管理計画認定マンション閲覧サイト」や不動産情報サイトの建物ライブラリーでも公開されるため、管理の質が外から見える状態になります。

3)マンション共用部分リフォーム融資の金利引下げ・すまい・る債の利率上乗せ

管理組合が大規模修繕工事を行う際に使えるマンションすまい・る融資(マンション共用部分リフォーム融資)では、管理計画認定の取得で金利が年0.2%引き下げられます。加えて、認定を取得している場合は返済期間を1年以上35年以内とすることが可能になります(出典:住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)」)。

さらに、管理組合向けのマンションすまい・る債についても、認定マンションは利率の上乗せを受けられます。

私はいつも理事長さまに、こうお伝えしています。「認定は、減税のためだけの制度ではありません。借りるときの金利、売るときの評価、そして積立金の健全化——この3つが同時に動く話です」と。


令和9年4月1日から認定基準が見直されます

ここは、令和8年度に申請を検討している管理組合が知っておくべき最重要ポイントです。

令和7年5月30日に公布された「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第47号)に基づき、管理計画認定制度の見直しが令和9年4月1日に施行されます。令和8年5月15日の閣議決定で施行期日が確定し、同年5月20日に政令が公布されました(出典:国土交通省 報道発表「マンション管理・再生の円滑化等のための改正法の一部の施行期日を定める政令等を閣議決定」(令和8年5月15日))。

施行される内容は2つです。

  • 管理計画認定制度の見直し(新築時の分譲事業者による認定申請の導入)
  • 管理計画認定マンションの表示制度の創設

これに伴い、令和8年7月31日に省令と告示が公布されています(マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則の一部を改正する省令〈令和8年国土交通省令第70号〉、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針の一部を改正する告示〈令和8年国土交通省告示第1017号〉。いずれも令和9年4月1日施行)。

実務上の分かれ目は、ここです。

地方公共団体への申請日が令和9年4月1日以降となる場合は、見直し後の認定基準が適用されます。

つまり、申請日が令和9年3月31日までなら現行基準、4月1日以降なら新基準という切り分けです。改正省令の附則で経過措置も設けられています。

なお、台東区マンション管理適正化推進計画については、令和7年11月28日付でマンション管理適正化法の一部改正があり、推進計画本文の引用条文の一部に条ズレが生じている旨が区のホームページに明記されています(「マンション管理適正化法第5条の4」→「第5条の14」への読み替え)。近年、この分野は法令改正が続いており、実務での照合が地味に効いてくる時期です(出典:台東区マンション管理適正化推進計画)。

令和8年9月14日現在から数えると、現行基準での申請期限まで約6か月半。総会決議から事前確認、システム申請まで含めると、決して余裕のあるスケジュールではありません。現行基準で進めたい管理組合は、秋の理事会で議題に乗せる判断が必要になる時期です。


逆算スケジュール——総会決議から認定通知まで

台東区で、令和9年3月31日までに認定申請を完了させたい場合の逆算です。所要期間は私が現場で見てきた実感ベースの目安で、区や事前確認機関の混雑状況によって前後します。

時期の目安 やること 所要の目安
9月〜10月 理事会で議題化。長期修繕計画の作成・見直しが7年以内か、計画期間30年以上・大規模修繕2回以上を満たすかを確認 1〜2か月
10月 台東区住宅課へ事前相談(03-5246-9028)。手続きの粒度と提出書類チェックリストの確認 1〜2週間
10月〜11月 長期修繕計画の見直しと修繕積立金の改定案づくり。標準様式への準拠を確認 1〜2か月
11月〜12月 総会で認定申請の決議。長期修繕計画と修繕積立金額の決議も同時に 招集期間を含めて1〜2か月
12月〜1月 事前確認の依頼。事前確認適合証の取得(通常1〜2か月) 1〜2か月
1月〜2月 システムから台東区へ認定申請→区から連絡→納付書受領→みずほ銀行派出所または金融機関で納付→領収証書コピーを提出 2〜3週間
2月〜3月 区の審査、認定通知書の交付 2〜3週間

一番読めないのは、総会のタイミングです。管理規約で総会の招集時期が決まっている管理組合は、そこが動かせない固定点になります。私の経験上、認定申請でスケジュールが崩れる原因の7割はここです。

臨時総会を開くか、通常総会に間に合わせるか。この判断だけは、9月〜10月のうちに理事会で決めておきたいところです。書類は後から追いつきますが、総会は追いつきません。


台東区特有の論点——下町の三重苦「店舗併用・狭隘道路・外国人区分所有者」

ここからが、私が本業として一番お伝えしたい話です。

台東区の分譲マンションを見ていて、私が気になっている論点は3つあります。

①1階店舗・2階以上住居の「店舗併用型」の総会運営

浅草・上野・浅草橋・鳥越・入谷。台東区の駅前や商店街沿いには、1階が飲食店・雑貨店・小売店で、2階以上が住居というマンションが数多くあります。この場合、区分所有者は住居のオーナーだけでなく、店舗のオーナー・テナントも構成員に含まれることが多く、総会での議決権配分と、店舗側の営業日程との調整が難所になります。

大規模修繕工事の際は、店舗側の売上への影響(足場養生による集客低下・営業時間の一時制限)が理事会と店舗オーナーの間で必ず論点になります。認定申請の段階では、長期修繕計画の見直し決議で店舗オーナーからの反対が出やすい局面があります。「積立金の値上げ案は住居側だけの負担ではなく、店舗側の管理費相当額の見直しとセットで議論する」——この骨組みを事前に固めておかないと、総会は紛糾します

②狭隘道路と密集市街地の足場問題

浅草・鳥越・谷中の一帯は、江戸〜明治期の街路網がほぼそのまま残っていて、前面道路が幅員4m未満の狭隘道路のマンションが少なくありません。隣地との離隔も取れない立地が多く、足場を全周に組もうとすると、道路占用許可・隣地承諾・仮設計画のハードルが一気に上がります

さらに台東区は、東京都の「木密地域不燃化10年プロジェクト」や、密集市街地整備の対象エリアを抱えています。周辺の低層住宅が密集していると、足場架設のための隣地立ち入りに時間がかかることもあります。

③外国人区分所有者と総会運営

浅草・上野の観光地立地と、羽田・成田両空港へのアクセスの良さから、台東区の中古分譲マンションは外国人投資家による区分所有・賃貸運用の対象になりやすいエリアです。認定申請の総会決議で、外国人区分所有者への招集通知の到達・議決権行使書の返送・言語対応が、事務局側の負担になります。

この場合、管理規約に書面決議・電磁的方法による決議の条項が入っているかどうかが最初の関門です。国基準の管理規約項目には「災害等の緊急時の対応」「書面交付・電磁的方法による情報提供」があり、これらが規約に明記されていないと、認定申請の前に規約改正の総会を挟む必要が出てきます。国土交通省のマンション標準管理規約(令和7年改正版)を土台に、書面決議・電磁的方法の運用を整えておくと、申請時にも運用時にも効いてきます。

これら3つの論点、そして足場の問題については、ロープアクセス工法(産業用ロープで職人が降下しながら施工する、足場を組まない工法)が効いてきます。足場費そのものが不要になり、工期も短くなります。1階店舗の営業影響も、居住者の生活影響も、窓の外に足場と養生シートが数か月かかり続ける状態を避けられるのは、かなり大きい違いです。

私たちは、通常の足場工法、ロープアクセス工法、そして部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、建物にとって一番合う方法をご提案しています。工法の詳しい解説はロープアクセス工法のご紹介と、ロープアクセス専門サイトのロープアクセス工法の技術解説にまとめています。台東区のような下町立地・狭隘道路・店舗併用型での施工事例や、足場とロープアクセスを組み合わせた場合のコスト比較については、ロープアクセスによる大規模修繕の実際で具体的な数字を交えて整理しています。

会社としての考え方や、管理組合さま向けのサービス体系については明誠のコンセプト管理組合さま向けサービスのご案内もあわせてご覧ください。


まとめ:台東区の管理組合が今週のうちに動けること3点

長くなりましたので、要点を3つに絞ります。

1)長期修繕計画の「7年」と「30年・2回」を確認する

いま手元にある長期修繕計画は、いつ作成または見直したものでしょうか。7年を超えていれば、認定の入口に立てません。あわせて、計画期間が30年以上あるか、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上入っているかを見てください。この3つのチェックは、理事会の議題として5分で終わります。

2)台東区住宅課へ事前相談(03-5246-9028)

台東区は区独自基準がなく、区が公開している提出書類チェックリスト(Excel)とその記入例(PDF)が便利です。事前確認のシステムにアップロードするファイルは1ファイルあたり9MB以内という制約もあります。事前相談で運用のクセを把握してから、事前確認の依頼をかけるとブレが減ります。

3)「マンション管理組合登録制度」への登録も同時に検討する

台東区には、認定制度とは別に「マンション管理組合登録制度」があります。登録すると、区の助成制度(マンション計画修繕調査費助成、マンション共用部分バリアフリー化支援助成、マンションアドバイザー利用助成、マンション耐震化助成など)を利用できるようになります。認定申請の準備を進めるついでに、この登録もあわせて行っておくと、次の大規模修繕の段階で使える手数が増えます(出典:台東区「マンション管理計画認定制度」)。

そして、もし次の大規模修繕が3年以内に視野に入っているなら、認定の準備と修繕の仕様検討は同時に進めたほうが得です。台東区のように狭隘道路・店舗併用・密集地という条件が重なるエリアでは、工法の選択肢を3つ持てるかどうかで、見積書の総額が数百万円単位で変わることも珍しくありません。

工法の選択肢が1つしかない会社に相談すると、その1つの工法での見積しか出てきません。3つの工法を比べたうえで判断したいという段階のご相談だけでも、遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。お問い合わせはお問合せフォームから承っています。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月14日時点で公表されている台東区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。台東区の制度案内ページは2026年2月20日更新(ちらしは令和7年10月28日更新)で運用中ですが、手数料・様式・令和9年4月1日施行の新基準の扱いについては、実際の申請前に必ず最新の運用をご確認ください。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。台東区住宅課マンション施策担当(03-5246-9028)および該当窓口へ最新の内容をご確認のうえ、ご検討をお願いいたします。


株式会社明誠は、東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を手がけています。通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物の条件に合わせた工法をご提案します。

ロープアクセス工法の詳細は、専門サイト https://rope-access-method.com/ をご覧ください。