大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

世田谷区のマンション管理計画認定制度|区への手数料は無料・独自基準なし。認定119件の現実を大規模修繕の現場から解説【2026年度版】

世田谷区のマンション管理計画認定制度|区への手数料は無料・独自基準なし。認定119件の現実を大規模修繕の現場から解説【2026年度版】

世田谷区の理事長さまとお話ししていると、管理計画認定の話題で必ず出てくるのが「うちの区はどうなんですか」という質問です。

隣の区と制度の中身が違うことは、あまり知られていません。実際に違います。同じ東京23区でも、区への手数料が2万6千円かかるところもあれば、世田谷区のように無料のところもある。区が独自の上乗せ基準を置いているところもあれば、世田谷区のように置いていないところもある。

私は大規模修繕の施工会社の人間ですので、認定申請の代行はしません。ただ、認定基準の中身は大規模修繕工事と真正面から重なります。長期修繕計画、修繕積立金、計画的な修繕の実施。どれも現場で毎日向き合っている項目です。この記事では、世田谷区でマンション管理計画認定を取るときの実務を、制度解説書には書かれていない「どこでつまずくか」まで含めて整理します。

結論:世田谷区への認定申請手数料は無料。独自基準もない

先に結論をお伝えします。

世田谷区でマンション管理計画認定(管理組合の管理計画が一定の基準を満たすと自治体が認定する制度)を取る場合、世田谷区への新規申請・更新申請の手数料は無料です。区の申請の手引きには「本制度の普及促進を図るため、当面のあいだは無料とします」と明記されています(出典:世田谷区「マンション管理計画認定制度 申請の手引き」(PDF)/令和7年11月28日 Ver1.2)。

もうひとつ、世田谷区は区独自の上乗せ基準を設けていません。区のページにも「審査基準に、区独自基準は設定していません」と書かれています(出典:世田谷区「マンション管理計画認定制度」/最終更新日2026年9月1日)。

制度上は、認定基準の5②に「世田谷区マンション管理適正化指針に照らして適切なものであること」という項目があります。ただし世田谷区の適正化指針は国の基準以外の独自基準を置いていないため、1①から5①までの16項目に適合すれば、5②にも自動的に適合するという扱いです。理事会・議事録の保管、要援護者名簿、自治会加入、防災訓練の実績——こうした上乗せ項目を求める区もありますが、世田谷区にはありません。

ただし「区への手数料が無料」と「申請費用がゼロ」はイコールではありません。ここを取り違えると予算取りで失敗します。

費目 支払先 金額
認定申請手数料(新規・更新) 世田谷区 無料(当面のあいだ)
支援システム利用料 (公財)マンション管理センター 1申請あたり10,000円
事前確認審査料 依頼先(マンション管理士・管理会社・日管連・センター) 依頼先により異なる
変更申請手数料 世田谷区 有料(後述)

事前確認審査料は、管理組合がマンション管理センターに直接申し込むパターンでは長期修繕計画1計画あたり10,000円です(出典:(公財)マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」)。管理会社やマンション管理士に依頼する場合は個別見積になります。

つまり世田谷区の管理組合は、実費2万円前後+手間で認定に手が届く、というのが現在地です。

世田谷区の認定は119件。23区の中でも突出している

数字を見てください。

世田谷区が公表している管理計画認定マンション一覧には、令和8年9月1日現在で119件が掲載されています(公表に同意したマンションのみ、出典:世田谷区管理計画認定マンション一覧(PDF))。世田谷区が制度を開始したのは令和5年10月31日ですから、約2年10か月で119件です。

同じ東京23区でも、公表件数が20件前後にとどまる区は珍しくありません。この差がどこから来ているかというと、私は3つあると見ています。

1. 区への手数料が無料であること。予算計上のハードルが下がります。総会に諮る際も「区への手数料はかかりません」と言えるかどうかで、議論の入口がまったく違います。

2. 独自基準がないこと。事前確認をしてくれるマンション管理士が国の基準だけを見ればよく、区の追加チェックで差し戻される心配がありません。

3. そもそも母数が多いこと。世田谷区は分譲マンションのストックが厚く、区は令和4年度に全分譲マンションを対象とした実態調査まで実施しています(出典:世田谷区分譲マンション実態調査報告書(令和4年度))。

一覧の中身にも示唆があります。成城・砧・等々力・経堂・烏山・三軒茶屋・二子玉川と、区内のほぼ全域に分布している。そして名称から推測するに、1980年代から1990年代に竣工したと思われる物件が相当数含まれています。新しいマンションだけの制度ではない、ということです。

「うちは古いから」「うちは小さいから」で最初から降りている組合が、世田谷区にはまだ相当数あると私は見ています。もったいない。

申請はオンラインのみ。紙で持ち込むことはできない

世田谷区の運用で、最初に押さえておくべき点があります。

新規申請と更新申請は、オンライン(管理計画認定手続支援システム)のみの受付です。区の窓口に書類を持ち込んで受け付けてもらう、という選択肢はありません。

流れはこうです。

  1. 総会(集会)で認定申請を決議する——ここが起点です。区分所有法第34条第1項の集会で、臨時総会も含みます
  2. マンション管理センターの支援システムに必要事項を入力し、書類をアップロードする
  3. 事前確認講習を受けたマンション管理士が、認定基準への適合を確認する
  4. 適合すれば「事前確認適合証」が発行される
  5. システム上で「認定申請」ボタンを押すと、世田谷区へ申請が飛ぶ
  6. 世田谷区が審査し、認定通知書を交付する

事前確認の依頼先は4パターンあります。①マンション管理士に個別依頼、②管理委託先(マンション管理業協会経由)に依頼、③日本マンション管理士会連合会に依頼、④マンション管理センターに直接依頼。なお、申請マンションの区分所有者や、管理委託先の担当者であるマンション管理士は、そのマンションの事前確認を行えません

そして時間です。事前確認審査には1〜2か月程度、さらに申請が集中した場合は区の審査に1か月以上かかることがあると区が明記しています。総会決議から認定通知まで、半年程度は見ておくのが現実的です。

変更申請だけは有料。しかも書面

見落とされがちなのがここです。

認定を受けたあとに管理計画の内容を変更する場合、支援システムが使えないため世田谷区へ直接、書面で申請します。そしてこの変更申請には手数料がかかります。

審査項目 基本手数料 加算手数料
管理組合の運営 4,800円 2,600円
管理規約 4,000円 2,600円
管理組合の経理 4,600円 2,800円
長期修繕計画の作成、見直し等 9,800円 5,200円
その他 2,900円 1,700円
上記以外の事項 2,000円 900円

(出典:前掲「申請の手引き」P.22。加算手数料は変更する長期修繕計画の数から1を引いた数を乗じて算出)

長期修繕計画の変更が9,800円と、最も高く設定されています。ここに現場としてのアドバイスがあります。認定申請の直前に長期修繕計画を見直しておく。認定を取った半年後に計画を大きく変えると、変更申請の手間と費用が発生します。順番を逆にするだけで、避けられる出費です。

なお、修繕の内容や実施時期の変更で計画期間や修繕資金計画を伴わないもの、監事の変更などは「軽微な変更」に該当し、変更申請ではなく届出で足ります。どちらに当たるか迷ったら、変更申請の前に区へ事前相談してください。

認定基準16項目のうち、世田谷区で実際に落ちるのはここ

独自基準がないということは、勝負は国の16項目で決まるということです。私の経験上、世田谷区の組合が引っかかりやすい項目は限られています。

修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと(4⑤)

これが最大の関門です。計画期間全体の修繕積立金総額から算出した月当たりの平均額が、国の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」が示す下限値を上回っている必要があります。下限値の目安は、20階未満・建築延床面積5,000㎡未満で月額235円/㎡、5,000〜10,000㎡で170円/㎡、10,000〜20,000㎡で200円/㎡、20,000㎡以上で190円/㎡、20階以上は240円/㎡です(機械式駐車場分を除く)。

70㎡の住戸なら、5,000㎡未満のマンションで月額16,450円が目安になります。世田谷区は住宅地としての歴史が長く、1980年代に分譲されて以来、積立金を大きく上げてこなかった組合が現実に存在します。ここで止まります。

下限値を下回る場合は、専門家による「著しく低額でない旨の理由書」を添付する道もあります。ただし理由書で通すより、計画そのものを見直すほうが本筋だと私は思います。

長期修繕計画が標準様式に準拠していること(4①)

国の長期修繕計画標準様式に沿って、19の工事項目、概算費用、実施時期、修繕積立金の月当たり㎡単価、計画期間当初の残高、期間全体で集める総額——これらが盛り込まれている必要があります。管理会社が作った簡易版の「修繕計画表」では要件を満たさないことがあります。

計画期間30年以上・残存期間に大規模修繕2回以上(4③)

築30年を超えたマンションで、計画期間を20年で切っている例をよく見ます。30年以上に引き延ばし、そのなかに大規模修繕を2回入れる。この作業をすると、必然的に積立金の総額が増え、4⑤の判定にも影響します。4③と4⑤はセットで考えてください。

修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内(3③)

直前事業年度末時点での判定です。滞納整理は時間がかかりますので、認定を目指すなら早めに着手してください。

長期修繕計画の見直しに、世田谷区の助成が使える場合がある

ここは世田谷区ならではの話です。

世田谷区は令和6年6月1日から、公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターの「マンション管理アドバイザー制度」のCコースを利用した際の派遣料の2分の1を助成しています。同一マンションにつき2回まで(出典:世田谷区「マンション管理アドバイザー制度利用助成」)。

認定に直結するコースを抜き出すと、次のとおりです。

コース 派遣料 助成後の自己負担(1/2)
C-6(修繕積立金の設定案) 95,700円 約47,850円
C-7(長期修繕計画見直し案及び修繕積立金見直し案) 95,700円 約47,850円
C-8(大規模修繕工事計画案) 191,400円 約95,700円

ただし助成には条件があります。東京都のマンション管理条例に基づく要届出マンション(昭和58年12月31日以前に新築された、居住用の独立部分6戸以上の分譲マンション)で届出済みであること、届出から5年以内であること、そして管理不全の兆候があるマンションであること。管理組合・管理者等・管理規約・総会開催・管理費・修繕積立金・修繕の計画的な実施のうち、いずれかが「無い」と回答しているマンションが対象です。

条件は限定的ですが、該当する組合にとっては、認定の一番の関門である長期修繕計画の見直しを半額で進められる制度です。区の居住支援課(03-5432-2504)に、まず該当するかどうかを確認する価値はあります。

なお、東京都条例に基づく管理状況の届出そのものは、5年以内ごとの更新が必要です。変更の届出をしても更新の扱いにはなりません。世田谷区では区役所西棟1階の窓口105、または郵送・インターネットで受け付けています(出典:世田谷区「マンション管理状況の届出について」/最終更新日2026年7月14日)。

認定がもたらす3つの経済効果と、税制の落とし穴

認定は「表彰状」ではありません。お金に効きます。

1)マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)

管理計画認定マンションが長寿命化に資する大規模修繕工事を行うと、工事完了翌年度の建物部分の固定資産税額が1/6〜1/2の範囲内で減額されます。対象は専有部分のうち居住用部分、100㎡相当分までです(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制の要件」(PDF))。

マンション側の要件は、築20年以上/総戸数10戸以上/過去に長寿命化工事を行っている/令和3年9月1日以降に修繕積立金を認定基準まで引き上げている(または引上げ予定)/認定を取得している(または取得予定)。工事側の要件は、外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事のいずれかを含み、令和5年4月1日から令和9年3月31日までに工事が完了すること。

現場で見ている落とし穴を2つ挙げます。

ひとつはタイミング。認定は、固定資産税の賦課期日(1月1日)時点と、減額措置の申告時点の両方で取得している必要があります。申告期限は工事完了日から3か月以内。「工事は終わったが認定はこれから」では間に合いません。

もうひとつは申告先。23区の固定資産税を課税しているのは世田谷区ではなく東京都です。減額の申告先は都税事務所(世田谷区であれば世田谷都税事務所)になります。認定の窓口は区、税の窓口は都。ここを最初に整理しておくと、後半がずいぶん楽です。

なお、国土交通省の令和8年度税制改正概要では、本特例を5年間(令和8年4月1日〜令和13年3月31日)延長し、対象住宅の床面積要件の下限を40㎡(現行50㎡)に緩和する旨が示されています(出典:国土交通省「令和8年度税制改正概要」(PDF))。一方で、制度概要資料には工事完了期限が令和9年3月31日と記載されたままの箇所もあります。申告を検討される際は、国土交通省マンション税制のページと世田谷都税事務所の最新情報を必ずご確認ください。

2)住宅金融支援機構の金利優遇

世田谷区の申請の手引きには、具体的な数字まで書かれています。マンション共用部分リフォーム融資は金利が年0.2%引下げ、【フラット35】維持保全型は購入後当初5年間の金利が年0.25%引下げ、マンションすまい・る債は利率の上乗せ。

フラット35の引下げは購入者側のメリットです。つまり、売却時に「認定済み」であることが買い手のローン条件を良くする。資産価値の話として理事会で説明すると、区分所有者の理解が一気に進みます。

3)市場での「見える化」

認定マンションは、マンション管理センターの閲覧サイトのほか、不動産情報サイトの建物ライブラリーにも掲載されます(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。世田谷区のホームページにも名称・所在地・認定コードが公表されます(公表可で申請した場合)。

世田谷区で大規模修繕を考えるとき、工法で積立金の景色が変わる

ここからは施工会社としての話です。

認定基準4⑤の「修繕積立金の平均額が著しく低額でない」をクリアする方法は、実は2つあります。積立金を上げるか、将来の工事費を下げるかです。長期修繕計画の推定修繕工事費が下がれば、必要な積立総額も下がります。

世田谷区の物件で、私が毎回申し上げていることがあります。世田谷区は住宅地としての性格上、隣地との離隔が狭い低中層マンションが非常に多い。成城や等々力のような閑静な住宅地では、道路幅員が狭く、足場の資材搬入自体に苦労する現場もあります。

こういう物件で効くのが、無足場工法であるロープアクセス工法(産業用ロープで作業員が壁面を昇降して施工する工法)です。

具体的な数字でお示しします。10階建て・外周80m・工期3か月の条件で、仮設足場を組むと168万円前後。同条件でロープアクセス工法なら59万円前後まで下がります。差額はおよそ109万円。あくまで条件による目安で、物件形状や近隣条件で大きく変動しますが、桁がひとつ違う話ではありません。

単価感もお伝えします。外壁塗装は3,500〜4,500円/㎡、屋上・バルコニー防水は5,000〜8,000円/㎡、外壁の打診調査は250〜500円/㎡が目安です。30戸規模のマンションの大規模修繕は総額3,500万〜5,000万円がひとつのレンジで、そのうち仮設足場が15〜25%を占めます。この15〜25%を圧縮できるかどうかが、長期修繕計画の総額を左右します。

株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。明誠のロープアクセス工法の技術詳細大規模修繕の料金の考え方は、それぞれのページにまとめています。工法の技術的な比較検討をもっと深く知りたい方は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに工法比較や訓練体系を掲載していますので、設計事務所や管理会社と議論する際の材料にお使いください。

もうひとつ。長寿命化促進税制の対象工事は「外壁塗装等工事、床防水工事及び屋根防水工事」——大規模修繕の中核そのものです。工事仕様を組む段階で税制要件を意識しておけば、証明書取得の段取りもスムーズになります。足場とロープアクセスを部位ごとに使い分けるハイブリッド工法という選択肢もありますので、詳しくはロープアクセスドットコムの工法解説をご覧ください。

令和9年4月1日から認定基準が変わる。逆算スケジュールを引く

今年いちばん重要な情報です。

令和7年のマンション関係法改正を受けて、令和8年国土交通省令第70号および令和8年国土交通省告示第1017号が令和8年7月31日に公布され、令和9年4月1日に施行されます。分譲事業者が申請者となる仕組みの導入に伴い、管理組合の管理者等が申請者となる場合の認定基準も見直されました(出典:前掲・国土交通省「マンション管理計画認定制度」令和9年4月1日施行関係)。

国交省は「地方公共団体への申請日が令和9年4月1日以降となる場合は、見直し後の認定基準が適用されます」と明記しています。申請日がいつになるかで、適用される基準が変わる。

世田谷区の運用(オンライン申請のみ、事前確認1〜2か月、区審査1か月以上)に合わせて逆算すると、こうなります。

時期 やること
今すぐ(2026年9月〜10月) 区の居住支援課(03-5432-2504)へ電話。申請の手引きを入手し、アドバイザー助成の対象になるかも確認
2026年10〜11月 長期修繕計画を標準様式に準拠して見直し。計画期間30年以上・大規模修繕2回以上・積立金平均額の3点を試算
2026年11〜12月 修繕積立金の滞納状況を整理。3か月以上の滞納額が全体の1割以内かを確認
2026年12月〜2027年1月 管理規約を確認(専有部立入り、修繕履歴の管理、財務情報の書面交付の定め)。組合員名簿・居住者名簿の年1回更新体制を整える
2027年1〜2月 総会(または臨時総会)で認定申請と長期修繕計画・修繕積立金額を決議
2027年2月 事前確認を依頼(1〜2か月を見込む)
2027年3月 事前確認適合証の交付を受け、世田谷区へオンライン申請

総会決議が必要な点を見落とさないでください。定時総会が春の組合なら、令和9年春の定時総会では令和9年4月1日の新基準に間に合いません。実質的に逆算の起点は臨時総会になる可能性があります。

そして更新です。認定の有効期間は5年間で、更新申請をしないと効力を失います。更新の申請手続きは有効期間満了日の1か月前から行えます。満了日までに申請していれば、更新認定または不認定の通知が届くまでは従前の認定が有効です。認定日を管理規約の付属資料や理事会の引継ぎ書に書き込んでおくことをおすすめします。

まとめ|世田谷区の管理組合が今週動くこと3点

長くなりましたので、今週できることに絞ります。

1. 区の「申請の手引き」をダウンロードして、認定基準16項目を理事会で1回だけ読み合わせる

区独自基準がないぶん、チェックすべきは国の16項目だけです。理事会の30分で、どこがクリアできてどこが足りないかは見当がつきます。

2. 直近の長期修繕計画を引っ張り出して、3点だけ確認する

計画期間は30年以上か。残存期間に大規模修繕が2回以上入っているか。作成・見直しから7年以内か。この3点が揃っていなければ、認定より先に計画の見直しです。

3. 世田谷区居住支援課(03-5432-2504)に電話して、アドバイザー助成の対象か聞く

要届出マンションで届出から5年以内、かつ管理不全の兆候がある場合に限られますが、該当すれば長期修繕計画の見直しを半額で進められます。聞くだけならゼロ円です。

10月から12月にかけての理事会が分かれ目です。理事会の議題に1分でもこの話題を出してみてください。工法の選択肢で工事費が変わる余地があるかどうかは、図面と現状写真があれば概算でお答えできます。総会前の整理だけでもお力になれることがありますので、管理組合向けサービスのご案内をご覧いただくか、お問合せフォームからお気軽にお声がけください。これまでの施工事例(約6,000棟)は施工事例一覧からご覧いただけます。

よくあるご質問

Q. 世田谷区の管理計画認定は、本当に手数料がかからないのですか?

A. 世田谷区への新規申請・更新申請の手数料は、当面のあいだ無料です。ただしマンション管理センターのシステム利用料10,000円と、事前確認審査料(センター直接依頼なら長期修繕計画1計画あたり10,000円)は別途かかります。実費としては2万円前後を見込んでください。なお区は「今後、社会的または経済的なインセンティブが十分に行われていると判断したときは手数料を設定する場合があります」としていますので、無料が恒久的な措置ではない点にはご注意ください。

Q. 世田谷区に独自の上乗せ基準はありますか?

A. ありません。区のページに「審査基準に、区独自基準は設定していません」と明記されています。認定基準5②の「世田谷区マンション管理適正化指針に照らして適切なものであること」は、国の16項目に適合すれば自動的に適合する扱いです。事前確認を担当するマンション管理士が国の基準だけを見ればよいため、手戻りが起きにくい運用になっています。

Q. 紙の書類を区役所に持っていけば申請できますか?

A. 新規申請と更新申請はオンライン(管理計画認定手続支援システム)のみの受付で、窓口への持ち込みはできません。書面申請ができるのは、認定後に管理計画を変更する「変更申請」の場合だけです。変更申請は有料で、長期修繕計画の変更なら基本手数料9,800円がかかります。

Q. 申請してから認定までどれくらいかかりますか?

A. 事前確認審査に1〜2か月程度、さらに申請が集中した場合は区の審査に1か月以上かかると区が案内しています。総会決議から認定通知まで、半年程度は見ておくのが現実的です。令和9年4月1日から認定基準が見直されますので、現行基準での申請をご希望なら逆算して動いてください。

Q. 築40年を超えていますが、認定は取れますか?

A. 築年数の要件はありません。世田谷区の認定マンション一覧にも、名称から1980年代の分譲と推測される物件が複数含まれています。ただし長寿命化促進税制の適用には総戸数10戸以上・築20年以上という別要件がありますので、税制メリットまで狙う場合はあわせてご確認ください。

Q. 修繕積立金が足りないと言われました。上げるしかないですか?

A. 積立金を上げる以外に、将来の推定修繕工事費そのものを下げるという道があります。総工費の15〜25%を占める仮設足場を、ロープアクセス工法やハイブリッド工法で圧縮できれば、長期修繕計画の総額が下がり、必要な積立金の平均額も下がります。10階建て・外周80m・工期3か月の条件では、足場168万円前後に対しロープアクセス工法で59万円前後という比較になります。あくまで条件による目安で、物件により変動します。

Q. 打診調査だけでも依頼できますか?

A. お受けしています。打診調査の単価は250〜500円/㎡が目安です。ロープアクセス工法なら足場を組まずに調査でき、調査で見つかった不具合の補修まで同じ体制で一貫して進められます。建築基準法第12条に基づく定期報告の期限が迫っている場合は、残り期間を伺ったうえで段取りをご提案します。

Q. 固定資産税の減額は、世田谷区の窓口に申告するのですか?

A. いいえ。東京23区の固定資産税は東京都が課税していますので、減額の申告先は都税事務所(世田谷区であれば世田谷都税事務所)です。認定の窓口は世田谷区、税の窓口は東京都、と分かれています。申告期限は工事完了日から3か月以内です。

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月17日時点で公表されている世田谷区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。とくに世田谷区への申請手数料の無料措置は「当面のあいだ」の取扱いです。実際に申請される前に、必ず世田谷区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。

この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月17日