
世間では、材料屋からもシンナーがなくなり現場が進まないなどのトラブルが始まっています。
イラン情勢が落ち着き、ホルムズ海峡で原油が運ばれるようになるのか、アメリカから割高になる原油が入ってくるのか、いずれにしても貯蔵量が切らないうちに政府が手を打ってくれると思いますが、輸入がされても価格は高くなったままに据え置きになると思われます。
但し、だからと言って、今から計画をしている工事に関して、油性➡水性にするのは非常に危険です。
外壁や屋上の防水など、それぞれの相性は以下の通りになります。
【水性の材料を使用する場合】
●塗装部分
・モルタル◎ 従来よりモルタルには水性塗料を使用してきました。弾力性も得ることが出来ますし、何よりも膜厚がつくことで強固な塗膜が成形できます。
・サイディング△ 基本的にサイディングには油性の方が相性が良いので、極力、水性塗料の使用は避けたいところ。但し、油性塗料やシンナーが入らないのであれば選択肢の1つにしても良いですが、その際には水性塗料との相性がよいシーリングを選択しないといけないので、要注意です。
・ALCパネル△ 基本的に水性で塗装されることが多いですが、どちらかというと油性の方がパネル表面とシーリングとの相性は良いです。よく見受けられるのは、シーリングと塗膜の伸縮度の違いから、目地にひび割れが後から発生するケースも。
・コロニアル屋根× 後から必ず塗膜が膨れてきて、再塗装をしても段差が残ったり、時間差で浮いてくるので使用しない方が良いです。
・木部、鉄部× 絶対に使用してはいけないです。ただし、室内の鉄部などに関しては使用することが推奨は出来ませんが低臭の観点を考えると選択肢に入れても良いです。
●防水部分
・アスファルト防水◎ アスファルトには水性を使用しないと、溶かしてしまうため逆に良いです。
・ポリマーセメント系防水△ 下地調整剤を入れれば施工はできますが、硬いため、後々、割れてくる可能性があるので、あまり推奨はできません。
・ウレタン防水トップ△ 使用は可能ですが、耐久性は落ちるため、材料が入るのを待てるのであれば待ちましょう。
☆アドバイス
シンナー不足による新たな材料の開発が進んでいるようですが、過去25年を見てもリリースされたばかりの材料は不具合が発生するリスクがあるため、
新しいからといって良い材料とは決して限りません。
過去10年ほどの使用実績と劣化具合を見てから判断をしないと、あとで余計に費用がかかることがあります。
メーカーの耳障りの良い言葉やパンフレットに騙されないよう、論より証拠で選択することをお勧めします。
1. 水分依存による施工条件の制約
水性塗料や水性防水材は、その名の通り水を媒体としているため、乾燥・硬化の過程において「水分の蒸発」が不可欠である。この特性は、施工環境に大きく依存するという問題を生む。
例えば、湿度が高い環境や低温環境では水分が蒸発しにくく、乾燥不良を引き起こす。その結果、以下のような問題が発生する:
- 塗膜の硬化不良
- 表面のべたつき(タック)
- 密着不良による剥離
- 防水性能の未発揮
特に梅雨時期や冬季の施工では、乾燥時間が大幅に延び、施工品質が安定しない。このような環境では、溶剤系(油性)材料の方が安定した性能を発揮する場合が多い。
2. 下地条件への依存性の高さ
水性材料は、下地に含まれる水分の影響を強く受ける。下地が十分に乾燥していない場合、水性塗料は内部の水分と干渉し、密着不良や膨れ(ブリスター)を引き起こす。
特に以下のような下地では問題が顕著である:
- コンクリート打設後間もない構造物
- 湿気の多い地下構造物
- 雨水や漏水の影響を受ける部位
水性防水材の場合、下地の水分と材料の水分が混ざり合い、適切な膜形成ができないことがある。その結果、防水層が本来の機能を果たさず、漏水リスクが高まる。
3. 耐水性・耐久性の限界
水性材料は環境負荷が低く扱いやすい一方で、耐水性や耐久性において溶剤系材料に劣るケースがある。
特に問題となるのは以下の点である:
- 長期的な防水性能の低下
- 紫外線による劣化の進行
- 水の浸透による塗膜の軟化
防水材として使用する場合、「水にさらされる環境」であるにもかかわらず、水性材料は長期間の浸水状態に弱い傾向がある。そのため、屋上防水やプール、貯水槽など常時水圧がかかる場所では不適切とされる場合がある。
4. 密着力の問題
水性塗料は、溶剤系塗料に比べて浸透性が低く、下地への食いつき(アンカー効果)が弱い傾向がある。そのため、以下のような下地では密着不良が発生しやすい:
- 金属面(特に錆のある面)
- 旧塗膜が残る面
- 表面が平滑すぎる素材
油性塗料は溶剤が下地に浸透し、強固な密着を得られるのに対し、水性塗料は表面に乗る形になりやすく、剥がれやすいという弱点がある。
5. 低温環境での性能低下
水性材料は凍結の影響を受ける。気温が低い環境では水分が凍結し、材料の性質が変化してしまう。
具体的には:
- 塗料が分離する
- 均一な塗膜が形成されない
- 硬化後の強度低下
一般的に、水性塗料は5℃以下での施工が推奨されていないことが多く、寒冷地や冬季施工には不向きである。
6. 厚膜形成の難しさ
防水材として重要な性能の一つに「膜厚」がある。厚い膜を形成することで、防水性能や耐久性が向上する。
しかし水性材料は:
- 一度に厚く塗ると乾燥不良を起こす
- 内部に水分が閉じ込められる
このため、複数回に分けて塗布する必要があり、施工手間が増加する。また、施工者の技術によって仕上がりに差が出やすい。
7. 既存材料との相性問題
既存の塗膜や防水層との相性も重要な問題である。特に溶剤系の旧塗膜の上に水性塗料を塗る場合、密着不良が起きることがある。
逆に、水性塗膜の上に溶剤系を塗ると、旧塗膜が侵されることもある。このように、材料の組み合わせによっては施工不良の原因となる。
8. 防水信頼性が求められる箇所でのリスク
防水は建物の寿命を左右する極めて重要な要素である。そのため、わずかな施工不良でも重大な漏水事故につながる。
水性防水材は:
- 施工条件に左右されやすい
- 初期性能が安定しにくい
という特徴があるため、以下のような高リスク箇所では避けられることが多い:
- 屋上防水
- 地下構造
- 水槽・プール
- 外壁のクラック補修
これらの部位では、より確実性の高い溶剤系やシート防水が選択される傾向がある。
9. 施工管理の難しさ
水性材料は一見扱いやすいが、実際には施工管理が非常に重要である。
管理項目としては:
- 温度・湿度の管理
- 下地含水率の確認
- 乾燥時間の厳守
これらを適切に守らないと性能が大きく低下するため、経験の少ない施工者による施工では品質が不安定になる。
10. 結論
水性塗料や水性防水材は、環境性・安全性・作業性といった点で優れた材料であるが、以下のような明確な制約を持つ:
- 環境条件(湿度・温度)に強く依存する
- 下地の状態に影響されやすい
- 耐久性・防水性に限界がある場合がある
- 高信頼性が求められる箇所には不向き
したがって、「使用してはいけない」とされるのは、それらの特性を無視して不適切な条件下で使用した場合に重大な不具合を招くためである。重要なのは、水性か溶剤系かという単純な二分法ではなく、「適材適所」の判断である。
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