栃木県日光市で分譲マンションの理事長や修繕委員を務めておられる方から、私はよくこう聞かれます。「うちの大規模修繕に、日光市から直接お金は出ないのですか」と。
正直に申し上げます。日光市には、マンションの大規模修繕工事費そのものへ現金を直接補助する市独自の制度は、私が確認した範囲では見当たりませんでした。ですが、ここで話を終わらせてしまうのは、あまりにもったいない。国と市が用意している「認定」「減税」「低利融資」という三本柱を組み合わせれば、実質的な負担は確かに軽くなります。
私はこの仕事を現場で20年近くやってきました。今市や鬼怒川温泉のあたりで、足場を組んだり、産業用ロープでビルの外壁に降りたりしながら、たくさんのマンションを見てきました。その経験から言えるのは、制度を知っているかどうかで、同じ工事でも数百万円単位の差が生まれるということです。この記事では、日光市の管理組合が本当に使える制度だけを、市の一次情報にあたって整理してお伝えします。
この記事の結論を、先にお伝えします
読み進める時間がない理事長さまのために、要点を先に置きます。日光市のマンション管理組合が大規模修繕で押さえるべきは、次の三つです。
第一に、マンション管理計画認定制度です。日光市への認定申請手数料は無料で、認定を取ると住宅金融支援機構の融資金利が下がり、後述の減税の入口にもなります。第二に、マンション長寿命化促進税制による固定資産税の減額。第三に、住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資という、理事長個人の保証がいらない低利の借入です。
そしてもう一つ、2026年4月に施行された法改正が、修繕の合意形成を後押ししてくれます。ここからが本題です。
日光市という土地で、マンションが傷む理由
制度の話に入る前に、私が現場で感じている日光市特有の事情をお話しさせてください。
日光市は栃木県の北西部にあり、面積は約1,450平方キロメートルと全国でも有数の広さを持つ市です。世界遺産の門前町として知られる一方、今市や鬼怒川温泉のあたりに分譲マンションが点在しています。標高が高く、内陸性の気候で、冬の冷え込みと積雪、そして一日の寒暖差の大きさが、建物にとってはなかなか手強い相手になります。
私が特に気にしているのが「凍害(とうがい)」です。これは、コンクリートやタイルの内部にしみ込んだ水分が、冬に凍って膨張し、溶けてまた縮む。この繰り返しで、外壁がじわじわと割れたり剥がれたりしていく現象です。平野部のマンションより、日光市のような寒暖差の大きい土地では、この凍結融解のダメージが早く出やすい。屋上防水も、雪解け水が滞留すると寿命を縮めます。
だからこそ、日光市のマンションは「まだ大丈夫だろう」と後回しにすると、気づいたときには補修範囲が広がっていることが少なくありません。私が一番悔しい思いをするのは、早めに一度声をかけていただければ小さな工事で済んだものが、放置されて大掛かりになってしまうケースです。
現場で見た、たった一冬の差
以前、寒冷地の五階建てマンションで、屋上防水の一部に小さな膨れを見つけたことがあります。面積にして畳一枚ほど、費用も数十万円で収まる範囲でした。ところが、その年の総会では「もう一年様子を見よう」となり、着工が翌々年に持ち越されました。
翌春、私が再び現場に上がると、膨れは屋上の三分の一近くに広がり、下の階の天井にも雨染みが出ていました。結局、部分補修では済まず、屋上全面の防水改修になり、費用は当初想定のおよそ四倍。私は理事長さまに数字を並べてお見せしながら、「一冬の凍結融解が、これだけの差を生むのです」とお伝えしました。脅すつもりはありません。ただ、寒暖差の大きい土地では、劣化のスピードが平野部より速いという事実だけは、正直にお伝えしておきたいのです。
制度その1:マンション管理計画認定制度(申請手数料は無料)
まず入口になるのが、マンション管理計画認定制度です。これは、マンションの管理計画が一定の基準を満たしている場合に、市から「適切に管理されたマンション」としてお墨付きをもらえる制度で、マンション管理適正化法(正式には「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」)第5条の3に基づくものです。
日光市の場合、市域にある分譲マンションは日光市に認定申請をします。市独自の上乗せ基準は設けておらず、国が定める全国共通の基準で審査される、と市は明記しています。
認定を取ると、何が得なのか
日光市が公表している認定のメリットは、大きく五つです。管理組合の意識向上、周辺の居住環境への寄与、市場での評価、そして管理組合にとって実利が大きいのが「金利優遇」と「減税措置」です。
金利優遇では、認定マンションに対して住宅金融支援機構の「フラット35」と「マンション共用部分リフォーム融資」の金利が引き下げられます。さらに、機構の「マンションすまい・る債」を購入する際の利率も上乗せされます。減税措置というのは、次の章でお話しする長寿命化促進税制の入口のことです。
認定の基準は、実はそれほど特別ではありません
「認定と聞くと、うちには無理そうだ」とおっしゃる理事長さまがいます。ですが、日光市は市独自の上乗せ基準を設けていません。国が定める共通の基準で審査されます。
その基準の柱は、管理組合がきちんと運営されていること、管理規約が定められていること、管理組合の経理が区分経理されていること、そして長期修繕計画が適切に作成・見直しされていること、といった内容です。言い換えれば、日頃からまじめに管理をしている組合であれば、決して高すぎるハードルではありません。私の経験上、認定準備そのものが「自分たちの管理を点検する良い機会」になります。長期修繕計画を見直したら、実は積立金が足りないと気づいた、というのはよくある話です。
申請の流れと費用
認定申請は、公益財団法人マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を使って進めます。おおまかな流れは、総会で申請の決議を取り、必要書類をサービスに入力・アップロードし、マンション管理士による事前確認を受けて「事前確認適合証」を取得、その上で市に認定申請、という順序です。
費用について、日光市は正直に整理してくれています。支援サービスのシステム利用料が1申請あたり10,000円、これに加えて事前確認審査料が別途かかります。一方で、日光市への認定申請手数料はかからない(無料)と明記されています。窓口は建設部建築住宅課住環境係(電話0288-21-5164)です。
私はいつも理事長さまに、「この認定は工事の補助金ではありませんが、融資と減税の“通行手形”になります」とお伝えしています。まずここを取っておくと、後の選択肢が広がるのです。
制度その2:マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)
二つ目が、長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションの、固定資産税を減額する制度です。国が定めた特例措置で、対象工事を令和5年4月1日から令和9年3月31日までの間に完了すると、申告により翌年度の建物部分の固定資産税が減額されます(都市計画税は対象外です)。
減額割合は「日光市が定める割合」
ここで大事な注意点があります。この税制の減額割合は、法律で全国一律に決まっているのではなく、各市町村が条例で定める仕組みです。日光市のホームページは、この減額について「市町村が定める減額割合に応じて」減税される、と案内し、詳細は国土交通省のページを確認するよう促すにとどめています。つまり、日光市としての具体的な減額割合や申告期限、必要書類は、着工前に市に直接確認するのが確実です。
私はこの点を、あえて「半額です」などと断定しません。横浜市などでは2分の1、佐野市のように3分の1と定める市もあり、市によって差があるからです。日光市で工事を計画されるなら、財務部税務課資産税係(電話0288-21-5114)へ、減額割合と申告のタイミングをお問い合わせください。数字を思い込みで進めると、後で「話が違う」となりかねません。
おおまかな対象要件
国の制度としての主な要件は、築後20年以上が経過した総戸数10戸以上のマンションであること、過去に一度以上の長寿命化工事の実績があること、そしてマンション管理計画の認定を受けているか、または助言・指導を受けていること、などです。ここでも、制度その1の認定が効いてきます。詳細な要件は国土交通省の解説ページで確認できます。
制度その3:住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資
三つ目は、工事費そのものへの補助ではありませんが、資金繰りの要になる融資です。住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」は、管理組合が共用部分の修繕資金を借りる際の全期間固定金利の融資で、先ほどの管理計画認定を受けていると金利が引き下げられます。
私がこの融資を管理組合におすすめする一番の理由は、マンション管理センターの債務保証を使うことで、理事長個人の連帯保証が不要になる点です。「自分が代表だからと個人保証を背負うのは避けたい」という理事長さまの不安を、制度として解消してくれます。金利は毎月見直されるため、ここでも具体的な数字は断定せず、機構の最新情報でご確認ください。あわせて「マンションすまい・る債」で計画的に積み立てておくと、いざという時の自己資金にもなります。
日光市の住宅補助を「使える・使えない」で正直に仕分けます
日光市には個人住宅向けの補助制度がいくつもあります。ただ、その多くは戸建てや移住者向けで、分譲マンションの共用部大規模修繕にはそのまま使えないものが大半です。誤解を招かないよう、正直に仕分けしておきます。
共用部にはそのまま使いにくいもの
木造住宅耐震診断等経費補助(耐震改修は上限115万円・補助率5分の4、建替えは上限100万円・補助率2分の1)は、昭和56年5月31日以前に着工した木造の戸建て住宅などが対象で、鉄筋コンクリート造マンションの共用部は対象外です。空き家バンクリフォーム補助金(移住者は上限50万円、子育て世帯等は上限100万円、補助率2分の1)も、空き家バンク登録物件を買って住む方向けで、居住中の分譲マンションの共用部工事には使えません。「ようこそ日光応援金」や「日光の木」プレゼント事業も、移住・木造新築の色が濃い制度です。
使い方によっては接点があるもの
一方で、日光市らしい制度として注目したいのが「景観形成資金助成制度」です。景観形成地域内の建築物の新築・増改築等で市の基準に適合するものに、助成率2分の1以内・上限70万円の助成があります(問い合わせは都市計画課、電話0288-21-5102)。世界遺産の門前や温泉地を抱える日光市ならではの制度で、対象地域内にあるマンションの外観に関わる改修なら、活用の余地があるかもしれません。ただし、対象になるかどうかは立地と工事内容次第ですので、計画段階で市にご相談ください。
また、住戸内の設備更新にはなりますが、次世代自動車・住宅用蓄電システム補助(蓄電システムは3万円/kWh・上限15万円、太陽光同時設置で加算)のように、専有部分の省エネ化で使える制度もあります。共用部の大規模修繕と直接は結びつきませんが、居住者の方への情報提供として、頭の片隅に置いておくとよいでしょう。
2026年の追い風:改正区分所有法で「合意形成」が変わりました
制度と並んで、私がぜひお伝えしたいのが法改正の話です。2026年4月1日、区分所有法(正式には「建物の区分所有等に関する法律」)を中心とした改正法(令和7年法律第47号)が施行されました。約24年ぶりの大きな改正です。
これまで、大規模修繕などの決議は、総会を欠席した人が事実上「反対」と同じ扱いになり、無関心層が多いマンションほど話が前に進みませんでした。改正後は、決議の基礎が「集会に出席した区分所有者」に見直され、賛成票を投じない欠席者が反対にカウントされない仕組みへと緩和されます。所在の分からない所有者は、一定の手続きを経て決議の母数から除外できるようにもなります。
私はこれを、現場で本当に大きな変化だと感じています。「総会に半分しか集まらないから修繕が決まらない」と悩んでいた管理組合にとって、決議のハードルが下がる。制度と融資で費用の見通しを立て、この法改正で合意形成のハードルを下げる。日光市の管理組合にとって、2026年は動き出すのにちょうどよい年だと思うのです。詳細な運用は、国土交通省や法務省の公表資料でご確認ください。
栃木県ぐるみの後押しもあります
日光市単独の動きだけではありません。栃木県は令和6年3月、県と13市が共同で「栃木県マンション管理適正化推進計画」を作成しました。この13市には日光市も含まれています(宇都宮市は先行して単独で作成済み)。県全体で分譲マンションの管理適正化を計画的に進める土台が整っている、ということです。
私どもが運営する一般社団法人全国建設業支援協会(JCSA)でも、こうした制度改正や管理適正化の動きを、管理組合と施工会社の双方に分かりやすく届ける取り組みを続けています。制度は年々変わります。だからこそ、最新の一次情報にあたる習慣が大切だと、私はいつも思っています。
工事の中身で差をつける:明誠の3工法という選択肢
制度で費用を軽くしたら、次は工事そのもののコストと質です。ここは私の本業なので、少し踏み込ませてください。
私ども明誠は、大規模修繕を「足場」「ロープアクセス」「ハイブリッド」の3つの工法から、その建物にとって最適なかたちで提案できる、日本でも数少ない会社です。
通常の足場工法は、建物全体に仮設足場を組む従来型で、複雑な形状や低層の建物に向きます。ロープアクセス工法(無足場工法とも呼びます)は、産業用ロープで職人が壁面に降りて施工する方法で、足場を架けにくい高さや、足場費と工期を抑えたい物件に強みがあります。そしてハイブリッド工法は、部位ごとに足場とロープアクセスを使い分け、総合的にコストを最適化します。
日光市のように寒暖差が大きく、外壁の一部だけが集中的に傷んでいるようなケースでは、全面足場を組まずにロープアクセスで的を絞って直す判断が効くことがあります。私はこの工法の組み合わせを、いつもワンセットで検討するようにしています。
3工法の向き・不向きを、表にしました
| 工法 | 向いている建物 | 費用の傾向 | 居住者への影響 |
|---|---|---|---|
| 足場工法 | 低層・複雑な形状、全面的に劣化が進んだ建物 | 足場架設費がかかる | 一定期間、窓周りに足場が残る |
| ロープアクセス工法 | 高層、足場を架けにくい立地、部分的な劣化 | 足場費を抑えやすい | 窓を塞がず生活影響が小さい |
| ハイブリッド工法 | 大規模・部位ごとに状態差がある建物 | 総合的に最適化しやすい | 必要な範囲だけ足場を使う |
大切なのは、どれか一つが常に正しいわけではない、ということです。同じ日光市のマンションでも、築年数や外壁の劣化の出方、周囲の敷地の余裕によって、最適な答えは変わります。私は現地を見ずに工法を決めることはしません。まず建物を見て、それから一番ムダのない組み合わせをご提案します。
モデルケースで、費用感をつかんでください
イメージがわきやすいよう、あくまで一般的な試算として二つのケースをお示しします(実際の金額は建物の状態で変わります)。
一つ目。今市の中心部にある築25年・11階建て・48戸のマンション。全面足場での標準的な見積もりが約9,000万円だったとして、ハイブリッド工法で足場を必要な範囲に絞ると、約7,800万円まで抑えられる場合があります。差額は約1,200万円、1戸あたりに直すと約25万円の違いです。修繕積立金の1戸分としては決して小さくない金額でしょう。
二つ目。鬼怒川温泉に近い築40年超・5階建て・18戸のマンション。積立金に余裕がないなかで、ロープアクセスを主体に外壁と防水を優先施工し、約3,200万円を約2,600万円に。不足分は住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資でつなぎ、管理計画認定で金利を下げる。制度と工法を合わせ技で使う、私が現場でよくご提案する形です。
大規模修繕の全体像は大規模修繕工事のご紹介でも整理しています。「高品質のまま、いかに費用を抑えるか」という視点は費用を抑える工事の考え方もあわせてご覧ください。
修繕積立金が足りないとき、打てる手は4つ
「工法を工夫しても、そもそも積立金が足りない」。これも日光市に限らず、私がよく相談を受けるお悩みです。打てる手は、大きく四つあります。
一つ目は、工法の見直しによる工事費そのものの圧縮。二つ目は、住宅金融支援機構の共用部分リフォーム融資による借入。三つ目は、長寿命化促進税制と管理計画認定を組み合わせた、税と金利の負担軽減。四つ目が、工事範囲の優先順位づけです。全部を一度にやるのではなく、雨漏りや剥落など「安全と資産価値に直結する部位」から段階的に手をつける。この四つを、私はいつもセットで考えます。
長期修繕計画は、制度活用の「背骨」です
ここまで読んでくださった理事長さまに、一つだけ強くお伝えしたいことがあります。管理計画認定も、長寿命化促進税制も、その土台にあるのは「長期修繕計画」です。ここがあいまいだと、どの制度も実際には動きません。
長期修繕計画とは、これから25年から30年先までを見据えて、いつ・どの部位を・いくらで直すかを一覧にした計画書のことです。日光市のような寒冷地では、平野部より外壁や防水の劣化が早く進みやすいので、一般的な標準年数をそのまま当てはめると、実態と合わないことがあります。私はいつも、標準の周期を鵜呑みにせず、実際の建物診断の結果で周期を微調整することをおすすめしています。
見直しのときに確認していただきたいのは、三点です。まず、直近の建物診断の結果が反映されているか。次に、工事費の想定が最近の物価で更新されているか。ここ数年、材料費も人件費も上がっていますから、古い計画のままだと積立金がまるで足りません。そして、積立金の集め方が計画と釣り合っているか。この三点がそろって初めて、認定の審査も、総会での説明も、地に足のついたものになります。計画の点検は、専門家に頼まなくても、まず理事会で「最後にいつ見直したか」を確認するところから始められます。
総会までの逆算カレンダー
制度も工法も、間に合ってこそ意味があります。日光市の管理組合が総会で修繕を決議するなら、私はおおむね次の逆算をおすすめしています。
総会の12か月前には建物診断と長期修繕計画の点検を。9か月前には複数社からの見積もり取得と工法比較を。6か月前には管理計画認定の申請準備と、市への税制・補助の確認を。3か月前には資金計画(積立金・融資・税制)を固め、総会資料に落とし込む。そして、寒冷な日光市では、施工時期を春から秋に寄せる工程が現実的です。冬季は塗装や防水が気温・湿度の条件で止まりやすいからです。
総会で反対されないための、3つの説明のコツ
制度と工法の準備が整っても、最後に待っているのが総会です。せっかくの計画も、区分所有者の理解を得られなければ前に進みません。私が現場で見てきた、合意形成の三つのコツをお伝えします。
一つ目は、費用を「1戸あたり」に翻訳することです。「工事費7,800万円」と言われてもピンときませんが、「1戸あたり月々いくら」「一時金で1戸いくら」と直せば、自分の財布の話として受け止めてもらえます。二つ目は、やらなかった場合のリスクを、感情ではなく数字で示すこと。先ほどの防水の例のように、放置すると費用が何倍になるかを具体的に示すと、判断がぶれにくくなります。三つ目は、複数の選択肢を用意することです。松・竹・梅の三案を並べ、それぞれの費用と工事範囲を比べられるようにすると、「押しつけられた」という感覚が薄れます。
そして、ここに2026年施行の改正区分所有法が効いてきます。欠席者が反対に数えられなくなることで、出席された方の意思がまっすぐ決議に反映されやすくなる。準備をした管理組合ほど、この追い風を活かせるはずです。
施工会社をどう選ぶか、私からの本音
最後に、少し立場を離れて、施工会社選びについて正直な話をします。相見積もりを取ること自体は、私は大賛成です。ただ、金額の安さだけで選ぶと、後で泣くことがあります。
見積書を比べるときは、単価の裏にある「数量」と「仕様」をそろえて見てください。同じ「外壁塗装一式」でも、塗る回数や材料のグレード、下地補修の範囲が違えば、金額が違って当たり前です。私はいつも、明細をそろえて比較できるように、数量と仕様を明記した見積書をお出しするようにしています。安さの理由が「手を抜いているから」なのか「工法でムダを削っているから」なのかは、明細を見れば分かります。日光市のような寒冷地では、下地処理を省くと数年で不具合が出ますから、なおさら中身の吟味が大切です。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 日光市から大規模修繕の補助金は出ますか。
私が確認した範囲では、工事費への直接の現金補助は市独自制度としては見当たりませんでした。ただし、管理計画認定・長寿命化促進税制・機構の低利融資という間接的な支援は活用できます。
Q. 管理計画認定にお金はかかりますか。
支援サービスのシステム利用料1申請あたり10,000円と事前確認審査料が必要ですが、日光市への認定申請手数料は無料です。
Q. 固定資産税はどれくらい減りますか。
減額割合は日光市が定めるため、市の税務課資産税係にご確認ください。ここは断定を避けるのが誠実だと考えています。
Q. 理事長が個人保証をしないと融資は受けられませんか。
マンション管理センターの債務保証を使えば、理事長個人の連帯保証は不要になります。
Q. うちは戸数が少ないのですが、対象になりますか。
長寿命化促進税制は総戸数10戸以上などの要件があります。戸数が少ない場合は、融資や工法の工夫で費用を抑える方向で組み立てます。
Q. 冬に工事はできますか。
できないわけではありませんが、日光市の冬は塗装・防水の施工条件に合わない日が増えます。春から秋を主軸に計画するのが無難です。
Q. ロープアクセスと足場、どちらが安いのですか。
建物の形や劣化の出方で変わります。全面的に傷んでいれば足場が向くこともありますし、部分的なら足場費を抑えられるロープアクセスが有利なこともあります。現地を見てから、ムダのない組み合わせをご提案します。
Q. まず何から始めればよいですか。
理事会で「長期修繕計画を最後に見直したのはいつか」を確認することから始めてください。そこが出発点になります。そのうえで、建物診断と工法の相談を、総会の1年ほど前から動き出すのが理想です。
おわりに
日光市には、大規模修繕そのものへの直接補助はなくとも、認定・減税・低利融資という三本柱と、2026年の法改正という追い風があります。ここに、建物に合わせた工法選びを重ねれば、費用も、合意形成も、確実に軽くなっていきます。
これは、私が現場で20年見てきた、嘘偽りのない感想です。数字や制度の詳細は、市の窓口や公的機関の最新情報でご確認ください。そのうえで、総会の前段階の整理だけでも、私どもでお力になれることがあります。お問合せフォームから、ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。同業の皆さまで、こうした地域密着の提案力を一緒に育てたい方は、フランチャイズ・協力会社のご案内もご覧いただければ幸いです。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。
出典・参考資料
- 日光市「マンション管理計画認定制度」
- 国土交通省「マンション長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」
- 栃木県「個人住宅向け支援制度について(日光市)」
- 栃木県「マンション政策について」
- 公益財団法人マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」
- 住宅金融支援機構「マンション共用部分リフォーム融資」
- 国土交通省「マンション管理・再生ポータルサイト(区分所有法改正)」


