大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

大規模修繕、10年後もあなたの建物を「直せる会社」は残っていますか——担い手不足・CCUS・2024年問題が変える、管理組合とオーナーの発注先選び【2026年8月】

大規模修繕、10年後もあなたの建物を「直せる会社」は残っていますか——担い手不足・CCUS・2024年問題が変える、管理組合とオーナーの発注先選び【2026年8月】

「今回の大規模修繕は、なんとか良い会社にお願いできた」。理事長さまからそう伺うたびに、私はいつも、こうお返しするようにしています。「では、次の12年後、その会社さんはまだ現場に職人さんを送り込めますか」と。

築15年、25年、37年——マンションもビルもホテルも、大規模修繕は一度きりで終わりません。12〜15年周期で、あなたの建物は「直せる会社」を必要とし続けます。ところが今、その大前提が静かに崩れかけています。建設業の担い手が、想像以上のスピードで減っているからです。

2026年8月、業界では「担い手」をめぐる動きが相次いでいます。少し専門的な話に聞こえるかもしれませんが、これは施工会社だけの問題ではありません。発注する側、つまり管理組合の理事長さまと、収益物件をお持ちのオーナーさまにとっての「発注先選び」の問題です。今日は、私が現場で20年見てきた実感も交えながら、なるべく数字と一次情報で、この話を整理してみます。


発端:大規模修繕の会社が「担い手」を語り始めた

きっかけは、2026年7月に開かれた建設業界の一つのイベントでした。建設技能者の登録制度「建設キャリアアップシステム(CCUS)」の運営主体である一般財団法人建設業振興基金が、2026年7月23日に「2026 CCUS先進事例発表会」を開催し、防水工事に強い大規模修繕会社などが、改修工事の現場でCCUSをどう導入し、職人の処遇改善につなげたかを発表しました(出典:株式会社富士防 プレスリリース(PR TIMES)建設キャリアアップシステム 公式サイト)。

一見すると、業者向けの地味なニュースです。けれど私は、この種の話こそ、発注者にお伝えしなければならないと考えています。理由はシンプルで、「誰が、どんな条件で、あなたの建物を直すのか」が、これからの工事の品質と価格を左右するからです。

大規模修繕は、値段と工期だけで決められがちです。しかし、10年・20年という長い付き合いになる工事だからこそ、「この会社は、次の周期まで担い手を確保し続けられるか」という視点を、発注の判断軸に加えていただきたいのです。ここからが本題です。


そもそもCCUS(建設キャリアアップシステム)とは何か

まず言葉の整理からです。CCUS(シーシーユーエス/建設キャリアアップシステム)とは、建設現場で働く技能者一人ひとりの資格・社会保険の加入状況・現場での就業履歴を、業界全体で登録・蓄積する仕組みのことです。技能者にはICカードが発行され、現場に入るときにカードリーダーにタッチすると、「いつ・どの現場で・どんな作業をしたか」が自動的に記録されていきます(出典:建設キャリアアップシステム 公式サイト)。

もう少し噛み砕くと、これは職人さんの「業界共通の履歴書」のようなものです。会社を移っても、これまで積み上げた経験や資格がデータとして残るため、技能者が正当に評価されやすくなり、それが処遇改善(賃金アップ)につながることが期待されています。運営しているのは、国土交通省と建設業団体が官民一体で支える一般財団法人建設業振興基金です。

加えてCCUSには、技能者の経験や資格、マネジメント能力に応じて4段階(レベル1〜4)で評価する仕組みがあります。カードの色でおおまかに示され、レベル1は白、レベル2は青、レベル3は銀、レベル4は金と、上がるほど「一人前から、現場をまとめる職長・登録基幹技能者クラスへ」という経験の厚みを表します(出典:建設キャリアアップシステム 公式サイト)。発注者の立場では、「金や銀のカードを持つベテランが、うちの現場に入っているのか」を確認する手がかりになる、と考えていただければ十分です。

なぜ国を挙げてこんな仕組みを整えているのか。答えは一つ、このままでは現場を担う人がいなくなるからです。次の章で、その現実を数字で見ていきます。


データで見る、建設業の担い手不足

「人手不足」という言葉は使い古されていますが、建設業のそれは、体感で語れる域を超えています。国土交通省がまとめた資料をもとに、正確な数字だけを並べます。

  • 就業者数はピークから約3割減:建設業の就業者数は1997年(平成9年)の685万人をピークに、2022年(令和4年)には479万人まで減少しました。約30%の減少です。
  • 技能者はさらに減少:実際に手を動かす技能者に絞ると、1997年の455万人から2022年には302万人へと、約34%も減っています。
  • 高齢化の偏り:2022年時点で、建設業就業者のうち55歳以上が約35.9%を占める一方、29歳以下は約11.7%にとどまります。若手が入ってこない構造が固定化しつつあります。
  • 将来推計:国土交通省の試算では、新規の入職者が増えないままだと、建設業の担い手は2030年に約400万人、2040年には300万人を割り込む可能性が指摘されています。

(出典:国土交通省 建設業を巡る現状と課題に関する参考資料集(令和8年)

一方で、担い手を「見える化」して定着させるためのCCUS登録は着実に増えています。技能者の登録数は2026年3月末時点で約181.8万人に達しました(出典:国土交通省 建設キャリアアップシステムの利用状況)。ただ、これでも技能者全体(約300万人規模)の一部にとどまり、業界の裾野まで浸透しきっているとは言い切れません。

数字を並べると冷たく見えますが、現場での実感はもっと生々しいものです。10年前なら「明日3人お願い」で集まった職人が、今は「来週まで待ってほしい」になる。これが、コストにも工期にも、じわじわ効いてきます。


なぜこれが「発注者の問題」なのか

ここで、多くの理事長さま・オーナーさまが感じるであろう疑問にお答えします。「担い手不足は業者が困る話であって、発注する私たちには関係ないのでは?」——正直に申し上げます。むしろ発注者にこそ、次の3つの形で跳ね返ってきます。

第一に、価格です。 職人が足りなければ人件費(労務費)は上がります。実際、建設資材の高騰に加えて労務費の上昇が続いており、大規模修繕の見積り総額は数年前と同じ内容でも膨らみやすくなっています。修繕積立金の不足に悩む管理組合にとって、これは直接の打撃です。

第二に、工期と品質です。 人が集まらなければ、工期は延びます。無理に人数を詰めれば、経験の浅い作業員が増え、品質のばらつきにつながりかねません。私が現場で20年やってきて一番悔しいのは、良い材料と正しい工程を組んでも、それを実際に施工する「人の層」が薄いと、仕上がりが安定しないときです。

第三に、そもそも「頼める会社が残っているか」です。 大規模修繕は12〜15年周期。今回お願いした会社が、次の周期まで存続し、担い手を確保できているとは限りません。地域の建築会社が後継者難や人手不足で廃業する例は、決して珍しくなくなりました。次に直すとき、「頼める会社が近くにいない」という事態は、絵空事ではないのです。

つまり担い手不足は、発注者にとって「価格・工期・将来の発注先」という三重のリスクなのです。だからこそ、業者選びの段階で「この会社は担い手をどう確保しているか」を見ておくことが、資産を守る実務になります。


2024年問題——時間外労働の上限規制が工期に効いてくる

もう一つ、発注者に知っておいていただきたい制度変更があります。いわゆる「建設業の2024年問題」です。

働き方改革関連法により、これまで猶予されていた建設業にも、2024年4月から時間外労働の上限規制が罰則付きで適用されました。原則として時間外労働は「月45時間・年360時間」が上限となり、繁忙期などで特別条項を結んでも「年720時間以内」などの厳しい条件が課されます(出典:厚生労働省 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説)。

これは働く人を守る大切なルールですが、発注者の側から見ると、「一つの現場に長時間・大人数を投入して一気に仕上げる」というやり方が取りにくくなったことを意味します。結果として、余裕を持った工程計画が前提となり、極端な短工期は組みにくくなります。

私はこれを、決してマイナスだけとは捉えていません。無理な突貫工事は、職人の疲労による事故や施工不良の温床でもありました。ルールに沿って適正な工期を組むことは、めぐりめぐって発注者の資産価値を守ることにつながります。ただし、「工期に余裕を持つ=発注は早めに動く」ことが、これまで以上に大切になった、とはお伝えしておきます。


担い手不足時代の工法選択——「省人化」という視点

ここで、私たちが本業とする「工法の選び方」の話に入ります。担い手が減る時代には、同じ品質を、より少ない人数と工期で実現できる工法の価値が上がります。専門用語で「省人化(しょうじんか)」と言いますが、要は「限られた職人で、いかに無駄なく直すか」という視点です。

大規模修繕の工法は、大きく3つに整理できます。それぞれの特徴を、担い手不足の観点も加えて比較します。

工法 概要 担い手・工期の観点 向いている建物
通常足場工法 建物全体に仮設足場を組んで施工する従来型 足場の組立・解体に人員と日数を要する。全面診断はしやすい 中低層、複雑な形状、全面的な改修が必要な建物
ロープアクセス工法(無足場工法) 産業用ロープで作業員が降下し、足場を架けずに施工する 足場の設営が不要で省人化・短工期。高所や狭所に強い 高層、足場架設が難しい物件、部分補修、コスト最重視の物件
ハイブリッド工法 足場とロープアクセスを、建物の部位ごとに使い分ける 必要な箇所だけ足場を組み、残りはロープで対応。総合的に人員と費用を最適化 大規模・複雑で、総合的なコスト最適化が必要な物件

特にロープアクセス工法(無足場工法)は、足場の組立・解体という人手のかかる工程を省けるため、担い手不足の時代に相性の良い工法です。足場代がかからない分コストを抑えられ、工期も短くなり、さらに足場がないことで居住者・テナントの生活や営業への影響も小さくできます。私はこの工法を、ロープアクセス工法のご紹介のページでも詳しくご説明しています。

ただし、正直に申し上げると、ロープアクセスが万能というわけではありません。全面的な下地補修が広範囲に必要な場合や、建物形状によっては、足場を組んだほうが結果的に合理的なこともあります。「うちの建物は無足場でいけるのか、足場が要るのか」を、部位ごとに冷静に見極めること——ここが、工法を1つ2つしか持たない会社と、3工法から選べる会社の差が出るところだと考えています。私はこれを、必ず現地調査のうえでワンセットでご提案するようにしています。詳しくは大規模修繕工事のご紹介をご覧ください。


発注先を見極める7つのチェックポイント

では、担い手不足の時代に「次の周期まで頼める会社」をどう見分けるか。理事会や見積り比較の場で、そのまま使えるチェックリストにまとめました。難しい専門知識は要りません。聞き方だけ知っておけば十分です。

  1. 技能者の確保・育成の姿勢:自社で職人を育てているか、CCUSに登録・活用しているかを尋ねる。「人はどう集めていますか」の一言で会社の姿勢が見えます。
  2. 社会保険への加入:現場に入る技能者の社会保険加入が徹底されているか。これは職人の定着と、まっとうな会社であることの目安です。
  3. 工法の選択肢:足場・ロープアクセス・ハイブリッドのうち、いくつ提案できるか。選択肢が多いほど、あなたの建物に最適化しやすくなります。
  4. 専門職のネットワーク:塗装・防水・タイル・シーリングなど、各分野の専門職をどう手配しているか。一社で丸抱えか、信頼できる専門会社と組んでいるか。
  5. 適正な工期の説明:2024年の労働時間規制を踏まえ、無理のない工期を根拠とともに説明できるか。極端な短工期を安請け合いする会社は要注意です。
  6. 見積りの透明性:労務費・材料費・仮設費(足場代など)の内訳が明確か。「一式」だらけの見積りは比較になりません。
  7. アフターと継続性:保証内容と、次回以降の周期まで見据えた付き合い方を語れるか。会社の存続性・地域での実績も確認したいところです。

このうち一つでも「言葉に詰まる」会社があれば、価格が安くても、いったん立ち止まって考える価値があります。安さの裏に、担い手を無理に安く使う構造が隠れていないか——そこは、発注者が守るべき一線だと私は思います。


現場20年の実感——「良い会社」は職人が辞めない

少し、私自身の話をさせてください。現場に出て20年近く、私が「この会社は強い」と感じるときの共通点は、決まって一つです。職人が辞めないこと。

腕の良い職人ほど、待遇と仕事の中身に敏感です。無理な突貫、報われない賃金、雑な段取り——そういう現場からは、静かに人が離れていきます。逆に、工程に無理がなく、正当に評価される現場には、良い職人が残り、後輩も育ちます。CCUSのような「履歴が正当に評価される仕組み」が広がろうとしているのは、この当たり前を、業界全体で取り戻そうという動きだと私は受け止めています。

私が新しく入った若い職人に必ず話すのは、「足場もロープも、両方できるようになれ」ということです。片方しかできないと、現場も自分の選択肢も狭くなる。両方を持てば、どんな建物が来ても最適な直し方を提案でき、それが会社の強さになり、あなた自身の食い扶持を守る——そう伝えています。担い手不足の時代に会社が生き残る道は、結局のところ、人を大事にして技を厚くすることに尽きるのだと、現場で20年見てきて、嘘偽りなくそう感じています。


現場から一つ、具体的な話をします

抽象論だけでは伝わりにくいので、私が実際に経験した話を一つ、物件が特定されない範囲でお伝えします。

ある築22年、80戸ほどのマンションで、2回目の大規模修繕のご相談をいただいたときのことです。当初、別の会社さんが全面足場で見積もっていましたが、足場の組立・解体だけでおよそ3週間、そこに職人の手配が追いつかず、着工が二度ずれ込んでいました。理事長さまは「工期が読めない」と、頭を抱えておられました。

現地を見せていただくと、大きく傷んでいたのは外壁の一部と屋上防水、そして高層階のシーリングでした。建物全面を足場で覆う必要は、必ずしもありません。そこで私たちは、傷みの激しい低層の一部だけ足場を組み、高層階の外壁とシーリングはロープアクセスで対応するハイブリッド工法をご提案しました。結果として、足場の設営範囲を絞れた分、投入する職人の数を平準化でき、全面足場の当初計画より工期に無理がなくなりました。足場代を圧縮できたことで、浮いた予算を屋上防水の仕様グレードアップに回すこともできました。

このとき私が一番お伝えしたかったのは、金額の多寡ではありません。「限られた職人で、どこに人手をかけ、どこを省くか」を建物ごとに設計できるかどうか——それが担い手不足の時代の工法選択の肝だ、ということです。全面足場が悪いのではありません。人が潤沢に集められない前提で、最適な配分を組めるかが問われているのです。


長期修繕計画に「担い手」を書き込む時代

もう一歩、管理組合の実務に踏み込みます。多くのマンションには長期修繕計画(ちょうきしゅうぜんけいかく)——今後20〜30年の修繕の時期と費用を見通した計画書があります。従来これは「いつ・何を・いくらで直すか」を書くものでした。これからは、そこに「誰が直すのか」という担い手の視点を、もう一列加えていただきたいのです。

具体的には、次のような点を計画の見直し時に確認しておくと、将来の慌てを防げます。

  • 次回の大規模修繕の想定時期に、依頼できそうな会社を地域に複数見込めているか
  • 労務費上昇を織り込んだ費用の余裕を、修繕積立金の計画に持たせているか
  • 工期に余裕を見込んだスケジュール(総会・理事会からの逆算)になっているか
  • 部分補修とロープアクセスの活用で、周期の間の「小さな延命」ができないか

とくに最後の点は見落とされがちです。12年ごとの大工事だけでなく、その合間に無足場で部分補修を挟むことで、建物の傷みを緩やかにし、次の大規模修繕の負担を平準化できることがあります。私はこれを「点検と小補修をワンセットにする延命の考え方」として、必ずご提案するようにしています。

数字の体感でお伝えするなら、たとえば足場を全面に組むと、規模にもよりますが仮設費だけで工事全体の2〜3割を占めることも珍しくありません。80戸のマンションで工事総額が仮に1億円なら、仮設費は数千万円規模。ここを工法の工夫で圧縮できれば、1戸あたりの負担に直接効いてきます。担い手不足で人件費が上がる時代だからこそ、「人手のかかる工程をどう減らすか」は、発注者の財布を守る実務そのものなのです。


明誠がご提案できること(自社サービスのご案内)

ここは自社の宣伝になりますので、見出しで明確に区切ってお伝えします。私たち株式会社明誠は、担い手不足という業界の逆風に対して、3つの備えでお応えしています。

1つ目は、3工法から最適提案できること。 通常足場・ロープアクセス(無足場)・ハイブリッドの3つを、建物の特性に応じて使い分け、省人化とコスト最適化を両立します。工法が1〜2種類しかない会社より、あなたの建物に合った「無駄のない直し方」を選びやすくなります。

2つ目は、フランチャイズによる専門職ネットワークです。 明誠は、ロープアクセス工事として日本で初めてフランチャイズ展開を進めており、塗装・防水・タイル・電気・看板など各分野の専門職が加盟しています。各分野のプロが連携することで、高品質と適正価格の両立を目指しています。担い手を「一社抱え込み」ではなく「専門職の面」で確保する考え方です。

3つ目は、JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)の運営です。 私たちは建設業向けの経営支援として、オンラインセミナーや交流会、ビジネスマッチングを通じ、業界全体の担い手を支える活動も行っています。発注者から見れば、「業界の健全化に汗をかいている会社かどうか」も、長く付き合える相手を見極める一つの材料になるはずです。

ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階で「うちの建物は、担い手不足の時代にどの工法が向いているのか」を整理するだけでも、お力になれることがあります。お問い合わせはお問合せフォームからどうぞ。


よくある質問(FAQ)

Q1. 担い手不足だと、大規模修繕の費用は今後も上がり続けるのですか?
断定はできませんが、労務費の上昇圧力は当面続くと見るのが自然です。だからこそ、足場代などの仮設費を抑えられる工法の検討や、早めの長期修繕計画の見直しが、費用を平準化する現実的な手立てになります。

Q2. CCUSに登録している会社を選べば安心ですか?
CCUSの登録・活用は「担い手を大事にしている会社かどうか」の一つの目安になりますが、それだけで良し悪しは決められません。工法の選択肢、見積りの透明性、工期の説明とあわせて総合的に判断してください。

Q3. ロープアクセス(無足場)なら、担い手不足でも安く早く済むのですか?
足場の組立・解体が不要な分、省人化・短工期・コスト削減につながりやすいのは事実です。ただし、建物の状態や補修範囲によっては足場が適することもあります。現地調査のうえで、部位ごとに向き不向きを見極めることが大切です。

Q4. 「2024年問題」で工期が延びると聞きました。発注側は何をすべきですか?
時間外労働の上限規制により、極端な短工期は組みにくくなりました。発注側の対策は「早めに動く」ことです。総会・理事会のスケジュールから逆算し、余裕を持って業者選定・工程調整に入ることをおすすめします。

Q5. 小規模なマンションやビルでも、こうした視点は必要ですか?
むしろ小規模物件ほど、担い手不足の影響を受けやすい面があります。規模が小さいと発注量も限られ、対応してくれる会社が絞られがちだからです。だからこそ、工法の選択肢が広く、専門職ネットワークを持つ会社と早めにつながっておく意味があります。


まとめ——「今の一社」ではなく「次の周期まで」を見て選ぶ

大規模修繕は、価格と工期の勝負に見えて、その裏では「誰が直すのか」という担い手の問題が、静かに、しかし確実に効いてきています。就業者はピークから約3割減り、高齢化は進み、若手は入りにくい。2024年からは労働時間の規制も加わりました。この流れは、発注者にとって価格・工期・将来の発注先という三重のリスクです。

だからこそ、業者を選ぶときは、目の前の見積り金額だけでなく、「この会社は、次の周期まで担い手を確保できるか」「うちの建物に、無駄のない工法を提案できるか」を見ていただきたいのです。工法の選択肢を持ち、専門職のネットワークを厚くし、業界の担い手を支える——そういう会社かどうかが、10年後・20年後のあなたの資産を左右します。

これは私が現場で20年見てきた、嘘偽りのない感想です。次回も、現場で本当に使える話だけをお届けします。まずは、あなたの建物が「担い手不足の時代にどの工法が向いているのか」を、理事会で1分だけでも話題に出してみてください。その一歩が、次の周期の安心につながります。


出典・参考資料

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の工事の可否・費用・工期、または個別の制度適用を保証するものではありません。統計数値は国土交通省等の公表資料に基づいており、最新の数値・制度内容は各一次情報をご確認ください。工事内容・工法の適否は、必ず現地調査のうえでご判断ください。

文責:株式会社明誠 代表取締役 本間幸紘