大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

日野市の賃貸オーナー向け補助金2026|耐震改修「4/5・上限100万円」が“賃貸を含む”数少ない自治体

この記事で答える質問:日野市に賃貸物件を持つオーナーは、2026年度にどの補助金をいくら使えるのか?

大規模修繕の現場を30年近く見てきた私(本間)が、日野市に賃貸マンション・アパート、戸建賃貸、あるいは自社ビルや医療・介護施設をお持ちのオーナーさま向けに、2026年度(令和8年度)に「実際に使える」補助金を、投資判断の目線で整理します。管理組合向けの記事によくある「住民の安心のため」という話はしません。入居率・NOI(実質賃料収入。家賃収入から運営経費を引いた手残り)・固定資産税・出口価格という、オーナーの財布に直結する話だけをします。

先に結論を言います。日野市は、多摩地域のなかでも賃貸オーナーにとって「市の制度」が本当に効く、数少ない自治体です。理由ははっきりしています。多くの自治体では耐震改修助成が「所有者が現に居住している住宅」に限定され、賃貸物件がまるごとこぼれ落ちます。ところが日野市の木造住宅耐震改修工事助成は、対象建築物の要件に「昭和56年5月31日以前に着工されたもの(賃貸住宅を含む)」と明記されています(出典:日野市「住宅の耐震化、バリアフリー化及び断熱改修に関する補助金のご案内」)。しかも補助率は5分の4以内・上限80万円、市内業者施工なら上限100万円。この水準は多摩地域でも屈指です。

ただし、そこには一発で失格になる落とし穴もあります。この記事の後半で、その条件を必ず確認してください。


結論:日野市の賃貸・ビルオーナーが狙う「三層マップ」

補助金は「国・東京都・日野市」の三層で重なっています。まず全体像を、賃貸オーナーの実用度で並べておきます。

制度名 賃貸オーナーの実用度 何に効くか
日野市 木造住宅耐震改修工事助成(4/5・上限80万/市内業者100万円) ★★★★★ 旧耐震の戸建賃貸・併用住宅。賃貸住宅を含む
日野市 木造住宅耐震診断助成(2/3・上限8万8千円) ★★★★★ 上記の入口。診断なしに改修助成は取れない
日野市 住宅バリアフリー化工事助成(1/10・上限20万円) ★★★★ 集合住宅は専有部分に限り対象。高齢入居者対策
日野市 木造住宅断熱改修工事助成(1/6・上限20万円) ★★★ 木造戸建賃貸の断熱材充填。外壁塗装は対象外
東京都 賃貸集合住宅向け省エネ化・再エネ導入支援(クール・ネット東京) ★★★★★ 賃貸1棟の窓・断熱材・太陽光。オーナー本命枠
先進的窓リノベ2026事業 ★★★★★ 窓の断熱改修。1棟につき100万円×住戸数が上限
住宅省エネ2026キャンペーン各事業(給湯・断熱) ★★★★ 給湯器更新・断熱の全国共通枠
マンションストック長寿命化等モデル事業 ★★★ 投資型1棟マンションの長寿命化改修
東京都 マンション改良工事助成(利子1%補給) ★★(分譲・管理組合限定) 分譲区分を保有するオーナーが管理組合として活用
日野市 分譲マンション耐震化助成(改修23%等) ★★(管理組合限定) 1棟所有オーナーは対象外。区分所有なら間接的に恩恵

このマップを頭に入れたうえで、「なぜ日野市の市制度が本命になり得るのか」「どこで失格になるのか」を、一つずつ数字で見ていきます。


日野市という賃貸市場の読み方――「産業と大学と多摩川」の三本足

制度の話に入る前に、日野市という賃貸市場の性格を押さえておきます。補助金は「入れられるかどうか」だけでなく「入れて回収できるか」で判断すべきで、その分母になるのが地域の家賃と入居者層だからです。

日野市は東京都多摩地域の中央部、多摩川と浅川に挟まれた人口約19万人の中核都市です。世帯数は96,256世帯(令和8年6月1日現在)と、多摩地域でも有数の規模を持ちます(出典:日野市「日野市の人口、世帯数、面積」)。鉄道はJR中央線の日野駅・豊田駅、京王線の高幡不動駅・百草園駅、そして多摩都市モノレールが走り、新宿方面へのアクセスと多摩地域内の横移動の両方を持つ、珍しい二軸構造の街です。

日野市の賃貸市場を支えているのは、大きく三本の足だと私は見ています。

第一に産業です。日野自動車をはじめとする製造業の拠点が集積し、勤労者世帯の実需が厚い。第二に大学・教育です。市内および周辺に複数の大学キャンパスがあり、単身の学生・若年層の需要が継続的に発生します。第三にファミリーの定住です。多摩平や旭が丘といった大規模団地の再生が進み、子育て世代の受け皿として機能してきました。

家賃相場は、賃貸情報サイトの公開値を見る限り、高幡不動駅・豊田駅周辺のワンルーム・1Kでおおむね4〜6万円台、2LDKで9〜10万円台、3LDKで10〜11万円台といった水準が目安として示されています(各賃貸ポータルの公開相場より。時期・条件で変動するため、投資判断にあたっては最新の募集事例でご確認ください)。都心のような大幅な賃料上昇は望みにくい代わりに、産業・学生・ファミリーの三層が需要を分散して支えているため、空室リスクが読みやすい「守りの効く市場」です。

この市場でオーナーが取るべき戦略は、私の見立てでははっきりしています。相場の天井が見えている以上、家賃を上げるより、支出を減らし、退去を減らすほうが利回りに効きます。断熱改修による光熱費の削減と体感温度の改善、給湯器の計画更新による突発故障の撲滅は、まさにこの「退去を減らす」施策の中核です。私が現場でオーナーさまによく申し上げるのは、「入居率1%の改善が、年間どれだけのキャッシュフロー差になるか」という問いです。10戸のアパートで1戸の空室期間が1か月縮まるだけで、年間の手残りは目に見えて変わります。

そして日野市には、多摩平や旭が丘、程久保などに昭和40〜50年代に建った木造アパート・戸建賃貸のストックが厚いという特徴があります。ここが、次に述べる市の耐震助成が「効く」土壌になっています。


【市・最重要】木造住宅耐震改修工事助成――補助率4/5、市内業者なら上限100万円

日野市の賃貸オーナーにとって、まず押さえるべきは市の木造住宅耐震改修工事助成です。数字を先に並べます。

項目 内容
助成額 耐震改修工事費用の5分の4以内上限80万円
市内業者施工の場合 上限100万円
対象事業の金額 耐震改修工事費用が10万円以上(消費税込)
対象建築物 市内に所有する木造住宅/居住用一戸建住宅/昭和56年5月31日以前に着工されたもの(賃貸住宅を含む)
対象工事 耐震診断の上部構造評点が1.0未満の木造住宅を1.0以上にする耐震改修工事、または除却・建替え工事
併用住宅の場合 床面積の2分の1以上を住宅として使用していること

(出典:日野市「住宅の耐震化、バリアフリー化及び断熱改修に関する補助金のご案内」

補助率5分の4という水準は、住宅系の耐震助成としてはかなり高い部類です。仮に耐震改修工事費が125万円かかった場合、5分の4は100万円ですから、市内業者施工なら上限いっぱいの100万円が出る計算になります。オーナーの実質負担は25万円。旧耐震の戸建賃貸をお持ちで、上部構造評点が1.0を割っている物件なら、これを使わない手はありません。

ここで「賃貸住宅を含む」の一文の重みを、あらためて強調しておきます。多摩地域の他市では、耐震改修助成の対象を「所有者が現に居住する住宅」に限定している例が珍しくありません。その場合、投資用に持っている旧耐震の戸建賃貸は、どれだけ危険でも一円も出ないことになります。日野市はそこを開いている。投資用の木造戸建・併用住宅を持つオーナーにとって、日野市は制度上かなり有利な立地だということです。

なお、建替え工事については扱いが異なります。要綱上、建替えは「所有者が自ら居住する場合に限る」とされているため、純粋な投資物件の建替えには使えません。耐震改修(補強工事)と除却は賃貸を含む扱い、建替えは自己居住限定――この線引きは間違えやすいので、必ず事前相談で確認してください。

上部構造評点とは何か(初出なので補足します)

「上部構造評点」とは、木造住宅の耐震診断で算出される、建物の粘り強さを示す指標です。1.0以上で「一応倒壊しない」、1.5以上で「倒壊しない」とされ、1.0未満だと「倒壊する可能性がある」と判定されます。日野市の改修助成は「1.0未満を1.0以上にする工事」が対象なので、まず診断で自分の物件の評点を知ることが出発点になります。

太陽光発電システム付属耐震改修という加算枠

見落とされがちですが、日野市には耐震改修に太陽光発電システムの設置を想定した設計を組み込んだ場合の加算枠があります。

  • 助成額:対象事業に要する費用の5分の3以内、上限30万円
  • 条件:木造耐震改修工事に要する経費が250万円を超えるもの(建替えを除く)

耐震補強で構造をいじるタイミングは、屋根荷重の見直しをする絶好の機会です。将来の太陽光設置を前提に設計しておけば、後から屋根を触り直す二度手間を避けられます。共用部・自家消費に回せる発電量を確保できれば、オーナー負担の電気代(=運営経費)そのものが下がり、NOIの底上げに直結します。


【市】耐震診断助成――上限8万8千円、まずここから始まる

改修助成を取るには、その前段の耐震診断が必須です。日野市はここにも助成を用意しています。

項目 内容
助成額 耐震診断費用の3分の2以内上限8万8千円
対象事業の金額 耐震診断費用が2万円以上(消費税込)
対象建築物① 昭和56年5月31日以前着工の市内木造住宅(在来軸組工法以外の工法も含む)/居住用一戸建住宅(賃貸住宅を含む
対象建築物② 昭和56年6月1日〜平成12年5月31日着工の市内木造住宅(在来軸組工法のみ)/居住用一戸建住宅(賃貸住宅を含む
診断機関 一般社団法人東京都建築士事務所協会立川支部、または東京都木造住宅耐震診断事務所登録制度に基づく登録事務所

(出典:日野市 同上ページ

注目すべきは対象建築物②です。昭和56年6月以降、つまり新耐震基準に入った後の建物でも、平成12年5月31日以前に着工した在来軸組工法の木造住宅は診断助成の対象になります。いわゆる「2000年基準」以前の木造は、金物の仕様や壁配置のバランス規定が緩く、実際に診断すると評点が振るわないケースが少なくありません。築25〜45年の木造賃貸を持っているなら、まず診断を受ける価値があります。

診断機関が指定されている点は要注意です。付き合いのある工務店に頼めばよいという話ではなく、東京都の登録事務所か、東京都建築士事務所協会立川支部を通す必要があります。ここを外すと助成が出ません。


【市】バリアフリー化・断熱改修――集合住宅オーナーが使える「専有部分」の抜け道

「うちは木造戸建じゃなくてRC造のマンションだから、日野市の制度は関係ない」と思われたオーナーさま。ひとつだけ、集合住宅でも使える枠があります。

住宅バリアフリー化工事助成

項目 内容
助成額 工事費用の10分の1以内上限20万円
対象事業の金額 10万円以上(消費税込)
対象建築物 市内に所有する居住用住宅/築1年以上経過/賃貸住宅を含むが、集合住宅にあっては専有部分に限る
対象工事 段差解消、廊下・出入口の幅確保、低い浴槽への交換、手すり設置(居室・浴室・階段・廊下・トイレ・玄関)、ホームエレベーター/階段昇降機、いす座・車いす対応キッチン、高齢者・身体障害者対応トイレ/洗面所

(出典:日野市 同上ページ

「集合住宅にあっては専有部分に限る」という一文が、賃貸マンション・アパートのオーナーにとっての入口です。共用部の大規模修繕には使えませんが、住戸内のバリアフリー改修には使える。補助率1割・上限20万円は決して大きくありませんが、これを「高齢入居者の長期入居施策」として捉えると意味が変わります。

日野市に限らず、多摩地域の賃貸市場では入居者の高齢化が静かに進んでいます。浴室の手すり、段差解消、低い浴槽への交換――こうした工事は、高齢の長期入居者に「ここに住み続けられる」と思ってもらうための投資です。退去を1回防げば、原状回復費・広告料・空室期間の三重コストが浮きます。20万円の補助で工事の1割が戻り、そのうえ長期入居につながるなら、費用対効果は悪くありません。

木造住宅断熱改修工事助成――ただし外壁塗装は対象外

項目 内容
助成額 工事費用の6分の1以内上限20万円
対象事業の金額 10万円以上(消費税込)
対象建築物 市内に所有する木造住宅/居住用一戸建住宅/築1年以上経過(賃貸住宅を含む
対象工事 天井・床・壁・屋根裏の内部に断熱材等を充填し断熱性能を向上させる工事。外気に接する壁(窓・扉を除く)すべてを改修すること/断熱材が断熱材等性能等級4の性能を有すること
対象外 外壁塗装や屋根の葺き替え工事は対象ではありません

(出典:日野市 同上ページ

ここは正直にお伝えしなければなりません。日野市の断熱改修助成では、外壁塗装も屋根の葺き替えも対象外です。市のページに明記されています。「大規模修繕のついでに補助金が出る」と期待して問い合わせると、ここで肩透かしを食らいます。

対象になるのは、あくまで断熱材そのものを壁・天井・床・屋根裏に充填する工事です。しかも「外気に接する壁のすべて」という要件があるため、部分的な工事では通りません。木造アパートの空室期間中に一気に断熱改修をかける、といった使い方が現実的です。

外壁の塗り替えや防水といった、いわゆる大規模修繕の本体工事については、市の助成ではなく東京都・国の省エネ系メニューと、後述する工法選択によるコスト圧縮で勝負するのが正解です。


【市・最大の落とし穴】「日野市民であること」――市外オーナーは原則使えない

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい注意点です。日野市の耐震・バリアフリー・断熱の各助成には、対象者について次の要件があります。

補助対象住宅の所有者で日野市民または、補助対象事業完了後直ちに市民になる方。
(出典:日野市「住宅の耐震化、バリアフリー化及び断熱改修に関する補助金のご案内」

つまり、八王子市や国立市、あるいは都心にお住まいで日野市内に投資物件だけを持っているオーナーは、原則としてこれらの助成を使えません。 建物が「賃貸住宅を含む」対象であっても、申請者であるオーナー自身が日野市民でなければ入口に立てない、という構造です。

これは残酷ですが、制度設計としては筋が通っています。市税を負担する市民の住環境整備が目的だからです。したがって、日野市の市制度をフルに使えるのは、

  • 日野市内に居住しながら市内に賃貸物件を持つ、いわゆる地元大家
  • 日野市に本店・住所を置く、市内在住のオーナー

に絞られます。市外在住のオーナーさまは、この記事の後半で扱う東京都と国の制度が主戦場になります。落胆せずに読み進めてください。都と国のメニューには市民要件がなく、金額規模もむしろ大きいからです。

そのほかの申請条件(ここも失格ポイント)

  • 該当事業の契約をしていないこと(=契約前に申請が必要。工事契約を先に結ぶと出ません)
  • 申請した年度内に事業が完了すること(申請受付は12月28日まで
  • 過去に同様の補助金を市から受けていないこと
  • 申請前に事前相談票の提出による事前相談が必須
  • 交付決定通知を受けてから契約すること。先に契約すると補助金を受けられません

私は現場で、「良い業者が見つかったので契約してから役所に行った」という理由だけで助成を逃したオーナーを何度も見てきました。補助金は、契約書にハンコを押す前が勝負です。これは日野市に限らず、ほぼすべての自治体で共通する鉄則だと思ってください。

問い合わせ先は、まちづくり部都市計画課住宅政策係(直通:042-514-8371)です。

おまけ:【フラット35】地域連携型の金利引き下げ

日野市の耐震改修に伴う建替えの助成を受けた場合、【フラット35】地域連携型による金利引き下げが受けられます(出典:日野市 同上ページ)。補助金の現金給付だけでなく、調達金利という形でもキャッシュフローに効くという点は、投資家目線では見逃せません。ただし現時点で対象事業は「木造住宅の耐震改修工事(建替えのみ)」とされており、建替えは自己居住が前提です。


【市】分譲マンション耐震化助成――1棟オーナーは対象外、区分所有なら間接的に効く

日野市には、平成28年(2016年)4月から分譲マンション耐震化助成が設けられています。金額規模が大きいので、内容を押さえておきましょう。

助成対象事業 助成率・限度
耐震アドバイザー派遣 助成対象費用の10分の10(1回あたり5万円限度、1管理組合につき5回まで)
耐震診断 助成対象費用の3分の2(延べ面積2,000㎡以上なら 5,240,000円+1,050円/㎡×(延べ面積−2,000㎡) を上限に算定)
耐震補強設計 3分の2(2,000円/㎡×延べ面積を上限に算定)
耐震改修工事 助成対象費用の23%(1,000㎡以上は50,200円/㎡、特殊工法は83,800円/㎡、1,000㎡未満は34,100円/㎡で算定)
建替え工事・除却工事 助成対象費用の23%

(出典:日野市「分譲マンション耐震化助成」

耐震アドバイザー派遣が10分の10(全額)というのは、かなり手厚い設計です。アドバイザーには一級建築士、マンション管理士、弁護士、税理士、開発プランナー、ファイナンシャルプランナーなどが充てられます。税理士やFPを無料で呼べる枠があるというのは、修繕計画の資金繰りを詰めたい局面では実務的に非常に使えます

ただし、対象要件は厳格です。

  • 2以上の区分所有者がいる分譲マンションであること
  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築されたもの
  • 耐火建築物または準耐火建築物であること
  • 階数が3階以上であること(地階を除く)
  • 特定沿道建築物ではないこと
  • 対象者は当該分譲マンションの管理組合であり、区分所有法に定める承認に必要な区分所有者の数以上の承認を総会で得ていること

つまり、1棟をまるごと所有している投資型マンションのオーナーは、この制度の対象外です。「2以上の区分所有者」という要件を満たさないからです。ここは制度の性格上どうにもなりません。

一方で、日野市内の分譲マンションを区分で複数戸保有している投資家にとっては話が別です。管理組合が主体となって耐震診断・改修に動く場合、あなたも区分所有者としてその恩恵を受けます。耐震改修が実現すれば、保有区分の担保評価・売却時の物件価値に直接効いてきます。総会での賛否は、住み心地の話ではなく「自分の資産価値の話」として判断すべきです。


【都】東京都の賃貸オーナー向けメニュー――市民要件のない主戦場

市外在住オーナーの本命がここです。東京都は、賃貸集合住宅を対象にした省エネ・再エネの助成を、クール・ネット東京(東京都地球温暖化防止活動推進センター)を窓口に展開しています。

代表例が「賃貸住宅における省エネ化・再エネ導入促進事業」です。この事業の助成水準は、賃貸オーナーにとって相当に大きなものでした。

対象 補助額
高断熱窓改修 対象経費の2/3(上限30万円/戸
断熱材改修(壁・屋根・天井・床) 対象経費の2/3(上限60万円/戸
高断熱ドア 対象経費の2/3(上限27万円/戸
省エネ診断等 対象経費の10/10(上限120万円/件
省エネ診断用現況図面 対象経費の10/10(上限10万円/戸)
既築の太陽光発電(3.75kW以下) 30万円/kW(上限90万円/棟)、3.75kW超は24万円/kW
陸屋根の架台設置 +20万円/kW 上乗せ
陸屋根の防水工事(既築) +18万円/kW 上乗せ
低圧電力一括受電の電力量計 7万円/戸

(出典:クール・ネット東京「賃貸住宅における省エネ化・再エネ導入促進事業」

断熱材改修が戸あたり上限60万円、省エネ診断が全額・上限120万円という水準は、市の助成とは桁が違います。さらに投資家目線で見逃せないのが、陸屋根の防水工事に対する18万円/kWの上乗せです。RC造の屋上防水は大規模修繕の主要費目のひとつですが、太陽光設置とセットで計画すれば、その防水費用の一部が再エネ助成として戻ってくる設計になっていました。「どうせ防水をやるなら、太陽光と同時に」という発想が、そのまま補助金の最大化につながります。

重要な注意点を申し上げます。上記の令和6年度事業については、交付申請の受付はすでに終了しており、現在は交付決定済み案件の実績報告(省エネ化:令和8年3月31日17時まで/再エネ導入:令和8年9月30日17時まで)の段階に入っています。都の賃貸向け省エネ支援は年度ごとに後継事業として組み替えられ、予算規模も拡大傾向にあります。必ずクール・ネット東京の補助金・助成金一覧で最新年度の公募状況を確認し、登録事業者経由で契約前に対象確認を行ってください。 都の事業は原則として事前申請制で、交付決定前に契約・工事したものは対象外になります。この一点だけは、年度が変わっても変わりません。問い合わせは創エネ支援チーム(03-6258-5317)です。

もうひとつ、分譲区分を保有するオーナー向けに東京都マンション改良工事助成(利子補給制度)があります。共用部分の修繕・改修工事を融資を受けて実施した場合、住宅金融支援機構の金利が1%(1%未満の場合は当該金利分)低利になるよう、東京都が管理組合に対して利子補給を行う制度です。令和8年度の募集は第1期:2026年5月13日〜9月30日、第2期:2026年10月1日〜2027年2月19日と案内されています(出典:東京都マンションポータルサイト)。金利1%の差は、借入額と期間によっては数百万円規模の総支払額差になります。


【国】住宅省エネ2026キャンペーン――窓リノベは1棟100万円×住戸数

国のメニューで、日野市の賃貸オーナーにいちばん効くのが先進的窓リノベ2026事業です。

  • 補助上限:1棟(建物)につき100万円 × リフォームした住戸数
  • 補助対象工事の内容に応じて、一戸あたり5万円から最大100万円
  • 対象:低層集合住宅(3階建以下)および中高層集合住宅(4階建以上)を含む
  • 交付申請期間:2025年11月28日〜遅くとも2026年12月31日まで(予算上限に達した場合は当該時点で終了)
  • 申請は「窓リノベ事業者」として登録された施工業者が行う。一般消費者・オーナーが直接申請することはできない

(出典:環境省「先進的窓リノベ2026事業」対象要件の詳細

「1棟につき100万円×住戸数」という設計は、戸数の多い賃貸を持つオーナーほど有利です。10戸のアパートで全戸の窓を内窓・外窓交換で改修すれば、理論上の上限は1,000万円規模になります。もちろん実際の補助額は工事内容と製品グレードで決まりますが、窓は住戸の熱の出入りが最も大きい部位であり、費用対効果でいえば断熱改修の一丁目一番地です。

窓改修は、入居者にとっての体感がはっきりしている点も見逃せません。「夏の西日が入る」「冬に窓際が寒い」「線路の音がうるさい」——日野市のようにJR中央線・京王線の沿線物件が多いエリアでは、内窓による遮音効果が募集時の武器になります。断熱と遮音を同時に取れて、その費用の相当部分に国費が入る。使わない理由が見当たりません。

同じ住宅省エネ2026キャンペーンの枠内には、給湯器の省エネ化を支援する事業や、断熱改修全般を支援する事業も並びます。いずれも登録事業者経由・予算上限に達し次第終了という共通ルールがあり、人気の高い窓・給湯の枠は例年、年度後半になるほど埋まりがちです。使うなら早めに施工計画を固めるのが鉄則です。

マンションストック長寿命化等モデル事業――投資型1棟マンション向け

国土交通省のマンションストック長寿命化等モデル事業は、老朽化マンションの再生・長寿命化を後押しする補助制度です。令和8年度の提案募集は、第2回:2026年6月22日〜6月26日、第3回:2026年9月14日〜9月18日と案内されています(出典:国土交通省 報道発表資料)。

「総合的に優れた先導的な再生プロジェクト」を公募し、国が費用の一部を補助する仕組みで、採択制のため難易度は高い制度です。ただし、築古の大規模物件を単なる原状回復ではなく「長寿命化」という付加価値のある改修として再生し、出口の物件価値そのものを底上げしたいオーナーには、選択肢として頭の隅に置く価値があります。応募期間が年に数回・各1週間程度と非常に短いため、狙うなら年度当初から準備を始めることが必須です。


税務:補助金は「もらって終わり」ではない――雑収入と資本的支出の話

ここは私の専門から少し外れますので、一般的な考え方の整理としてお読みください(個別の判断は必ず税理士にご確認ください)。オーナーが補助金を使う際、税務で必ず論点になるのが次の二つです。

第一に、補助金は原則として受給した年度の「雑収入」として課税対象になります。 100万円の補助金が入れば、それはそのまま利益に乗ります。手元に残る金額を計算するときは、税引後で考える必要があります。国庫補助金等の圧縮記帳など、課税を繰り延べる制度が使える場合もありますが、適用要件が細かいため、必ず事前に税理士に相談してください。

第二に、工事費が「修繕費」なのか「資本的支出」なのかで、キャッシュフローの形が大きく変わります。 大まかな考え方として、原状回復や維持管理にあたる支出は修繕費として一括で損金算入でき、建物の価値を高めたり使用可能期間を延ばしたりする支出は資本的支出として資産計上し、減価償却で費用化していきます。

耐震改修や断熱改修は、この線引きが悩ましい領域です。「同じ工事でも、契約書と見積書の書き方で判断が分かれることがある」——これが実務の現実です。私が現場でお勧めしているのは、着工前に見積書の内訳を税理士に見せて、修繕費/資本的支出の切り分けを確認しておくことです。工事が終わってから相談しても、書類は書き直せません。

固定資産税についても触れておきます。一定の耐震改修や省エネ改修を行った住宅について、家屋の固定資産税を一定期間減額する特例が設けられている場合があります。適用要件・期間・申告期限は制度改正で変わりますので、工事前に日野市の資産税担当窓口で最新の取り扱いを確認してください。補助金・所得税(法人税)・固定資産税の三段で効いてくるのが、オーナーにとっての改修投資の本当の妙味です。


工法の選択――補助金の次に効く「足場をどうするか」

補助金の話をひととおりしたところで、もう一つ、私が本業として最もお伝えしたいコスト論に触れさせてください。補助金で削れる金額には上限がありますが、工法の選択で削れる金額には上限がありません。

大規模修繕の見積書を分解すると、仮設足場費が全体の20%前後を占めることは珍しくありません。ここは建物そのものを直すお金ではなく、「作業員が高所に行くための足場を組んで、解体して、運ぶ」ためのお金です。

そこで選択肢になるのがロープアクセス工法(無足場工法)です。産業用ロープと下降器を用いて作業員が屋上から吊り下がり、外壁の調査・補修・シーリング・塗装・防水を行う工法で、足場を組まずに施工できます。オーナー物件で効いてくるメリットは三つあります。

  1. 足場費用がまるごと不要になるため、総工事費が圧縮できる(=補助金と同じ方向にキャッシュを残せる)
  2. 工期が短い。足場の架設・解体期間がゼロになるぶん、入居者へのストレス期間が短くなります
  3. 足場を組まないため、足場を伝った侵入という防犯リスクがない。女性の単身入居者が多い物件では、これが募集時の安心材料になります

一方で、正直にデメリットも申し上げます。全面打診が必要な劣化調査や、大量の面積を一気に処理する工事では、足場のほうが有利な場面もあります。 隣地との離隔がほとんどない建物、屋上に支点を取れない構造、バルコニー内部の細かい作業が多い物件では、ロープアクセスが最適解にならないケースもあります。

だからこそ私たちは、足場・ロープアクセス・その両方を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法という三択で提案しています。北面と東面は足場、南面のタイル補修だけロープアクセス、といった組み方をすると、総額と工期の両方が最適化できることが多いのです。ロープアクセス工法の技術的な解説・安全基準・施工事例は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめていますので、工法選択の判断材料としてご覧ください。明誠のロープアクセス施工についてはロープアクセス工法のご紹介、大規模修繕の進め方全般については大規模修繕・改修工事のご案内でもご案内しています。

日野市のような、駅からの距離で家賃が階段状に下がる郊外型の賃貸市場では、総工事費を1割削れるかどうかが、そのまま投資回収年数の差になります。補助金で取れる分は取り、工法で削れる分は削る。この両輪をそろえて初めて、修繕投資は「守り」から「攻め」に変わります。


日野市オーナーの実行手順――今日から何をするか

最後に、行動に落とし込みます。日野市に賃貸物件をお持ちのオーナーが取るべき順序は、次のとおりです。

  1. 自分が日野市民かどうかを確認する。 市民なら市の助成が全部使える。市外在住なら都・国が主戦場になる(この分岐が最初)
  2. 物件の着工年月日を確認する。 昭和56年5月31日以前か、平成12年5月31日以前か。木造なら耐震診断助成の対象になり得る
  3. 耐震診断を、東京都の登録事務所または東京都建築士事務所協会立川支部に依頼する。 費用の2/3・上限8万8千円が出る
  4. 上部構造評点が1.0未満なら、改修工事助成(4/5・上限80万円/市内業者100万円)を申請する。 必ず事前相談 → 交付決定 → 契約の順で
  5. 窓・断熱・給湯は、国の住宅省エネ2026キャンペーンと都の賃貸向け省エネ事業の最新公募を確認する。 登録事業者経由でしか申請できない
  6. 屋上防水・外壁の大規模修繕は、足場/ロープアクセス/ハイブリッドの三択で相見積もりを取る
  7. 着工前に、見積内訳を税理士に見せて修繕費/資本的支出を確認する

年度内完了が要件で、市の申請受付は12月28日までです。今が8月なら、動くのにちょうどよい時期です。年末に駆け込むと、診断・設計・工事の日程が物理的に入りません。


よくある質問(FAQ)

Q1. 日野市に住んでいませんが、日野市内の賃貸物件で市の耐震助成は使えますか?
A. 原則として使えません。日野市の耐震・バリアフリー・断熱の各助成は、対象者を「補助対象住宅の所有者で日野市民または、補助対象事業完了後直ちに市民になる方」と定めています(出典:日野市)。市外在住のオーナーは、市民要件のない東京都・国の制度が主戦場になります。

Q2. 賃貸に出している木造アパートでも耐震改修助成は使えますか?
A. 対象は「居住用一戸建住宅」で、賃貸住宅を含むとされています。したがって戸建賃貸や併用住宅(住宅部分が床面積の1/2以上)は対象になり得ますが、共同住宅形式のアパートについては形態により判断が分かれます。着工前に必ず都市計画課住宅政策係(042-514-8371)へ事前相談してください。

Q3. 外壁塗装や屋上防水に、日野市の補助金は出ますか?
A. 出ません。日野市の断熱改修工事助成のページには「外壁塗装や屋根の葺き替え工事は対象ではありません」と明記されています。外壁・防水の費用は、国・都の省エネ系メニューと、足場/ロープアクセスの工法選択によるコスト圧縮で組み立てるのが現実的です。

Q4. 1棟まるごと所有している投資用マンションで、日野市の分譲マンション耐震化助成は使えますか?
A. 使えません。同助成は「2以上の区分所有者がいる分譲マンション」であり、対象者は「管理組合」と定められています(出典:日野市)。1棟所有のオーナーは、国のマンションストック長寿命化等モデル事業や都の省エネ系事業を検討してください。

Q5. 工事の契約を済ませてから補助金を申請してもよいですか?
A. 認められません。日野市の申請条件には「該当事業の契約をしていないこと」「交付決定通知を受けてから契約してください。先に契約をされると補助金を受けることができません」と明記されています。都・国の事業も同様に事前申請制が原則です。契約前が勝負です。

Q6. 補助金を受け取ったら、税金はどうなりますか?
A. 一般に、受給した補助金は雑収入として課税対象になります。また、工事費が修繕費か資本的支出かで損金算入のタイミングが変わります。圧縮記帳等の制度が使える場合もありますので、着工前に見積内訳を税理士にご確認ください(本記事は税務上の助言ではありません)。


この記事のポイントまとめ

  • 日野市の木造住宅耐震改修助成は4/5・上限80万円、市内業者なら100万円
  • 対象に「賃貸住宅を含む」と明記された、オーナーに有利な数少ない制度
  • ただし申請者が日野市民であることが必須。市外オーナーは都・国が主戦場
  • バリアフリー助成は集合住宅の専有部分も対象。長期入居施策に使える
  • 外壁塗装・屋根葺き替えは市の断熱助成の対象外なので工法選択で削る
  • 契約前の事前相談・交付決定が絶対条件。市の受付は12月28日まで
  • 補助金は雑収入課税、修繕費か資本的支出かは着工前に税理士確認を

出典・参考資料

※本記事に記載した制度内容・金額・期日は執筆時点の公表情報に基づきます。制度は年度途中でも変更・終了する可能性があるため、申請前に必ず各実施主体の公式ページで最新情報をご確認ください。


執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都小平市を拠点に、東京・関東一円でロープアクセス工法と従来足場工法の両方を提案できる改修会社です。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開し、塗装・防水・タイル・電気・看板など各分野の専門職が加盟することで、高品質と低価格を両立しています。

最終更新:2026年8月15日


日野市で賃貸マンション・アパート、戸建賃貸、自社ビルをお持ちのオーナーさま。まだこれらの補助金の検討を始めていないなら、まずは築年と着工年月日の確認からです。1棟の現地調査と、足場/ロープアクセス/ハイブリッドの3パターンでの概算比較、そこから逆算した利回り改善シミュレーションだけでも承ります。お気軽にお問合せフォームからご相談ください。制度の使い方も含めて、数字でお答えします。