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座間市の賃貸マンション補助金|オーナー向け2026年版

座間市の賃貸マンション補助金|オーナー向け2026年版

座間市で賃貸マンション、賃貸アパート、テナントビル、倉庫、社宅・寮などの収益物件をお持ちのオーナーさまへ。2026年度(令和8年度)に「収益物件のオーナーが自分名義で申請できる」補助制度を、市・県・国の一次情報だけをもとに整理しました。

先に結論をお伝えします。座間市には、賃貸共同住宅のオーナー本人(個人・団体・法人)が申請者になれる市独自の補助金が、はっきりと存在します。ただし年間予算は30万円です。

読み間違いではありません。制度全体の年間予算額が30万円。補助上限も30万円。つまり枠を使い切るのは1件という設計です。座間市共同住宅用太陽光発電システム導入支援補助金という制度で、要綱にはこう書かれています。「市内の賃貸共同住宅に補助対象設備を設置し……当該共同住宅を所有する個人、団体または法人」。大家さんが主役だと明記されている、県内でも数少ない制度です。

一方で、座間市の住宅リフォーム補助(5万円)と子育て世帯等住宅リフォーム補助(上限30万円)は、いずれも「自らが現に居住し」という要件が入口に置かれています。貸している部屋には使えません。この2つは令和8年8月26日から9月8日まで第2回の募集が動いていますが、オーナーが申請できる制度ではない、というのが実務上の結論です。

この記事では、座間市の制度を「オーナーが使えるもの」と「使えないもの」に切り分け、県と国の本命制度(9月30日締切のものがあります)を加え、補助額の計算方法、10年間の財産処分制限というトレードオフ、そして受け取った後に必ず発生する税務の論点まで踏み込みます。最後に、座間という市場で賃貸物件の外装をどう維持するか、工法選定でコストがどこまで動くかについても触れます。


この記事のポイントまとめ

  • 【本命①】座間市共同住宅用太陽光発電システム導入支援補助金は、補助対象条件に「市内の賃貸共同住宅に補助対象設備を設置し……当該共同住宅を所有する個人、団体または法人」が明記されています。補助額は1キロワット当たり1万円(上限30万円)。ただし本年度予算額は30万円で、令和8年7月29日時点の予算残額も30万円。実質、年に1件です。
  • 同制度には「発電された電力の一部または全部を当該共同住宅の共用部分で使用する場合に限る」という条件があります。売電専用では通りません。共用廊下・エレベーター・給水ポンプの電気を自家消費する設計が前提です。
  • 【本命②】座間市事業所用太陽光発電システム導入支援補助金は、店舗・事務所・営業所・倉庫等が対象。最大出力合計10キロワット以上が要件で、1キロワット当たり1万円・上限30万円。こちらも本年度予算額30万円(令和8年7月29日時点の残額30万円)。テナントビル・倉庫オーナーの枠です。
  • 【条件付き】座間市電気自動車等用充電設備導入支援補助金は、対象が「市内に設置する事業者及び市内にあるマンション等の管理組合法人」または「管理組合の代表者」。市のページには「個人は補助対象外です」と明記されています。法人でお持ちのオーナーは検討余地がありますが、個人名義では入口で外れます。急速充電設備20万円、普通充電設備2万円、本年度予算22万円
  • 【本命③】令和8年度 神奈川県住宅用太陽光発電・蓄電池導入費補助金は、今年度から共同住宅が対象に加わり、賃貸共同住宅を所有する個人・法人が申請できます。太陽光は発電出力1kWあたり7万円、蓄電システムは1台あたり15万円第2期は9月7日(月曜日)8時30分開始、9月30日(水曜日)締切、電子申請システムのみ・先着500件程度
  • 令和8年8月28日、県は「施工業者等による代行申請はできません」という注意喚起を追加しました。代行申請と判明した場合は不受理、受理後に判明した場合も交付されません。
  • 【本命④】賃貸集合給湯省エネ2026事業(国)は、補助対象者が「賃貸集合住宅のオーナー等」。追い焚きなし5万円/台、追い焚きあり7万円/台が基本です。
  • 【対象外】令和8年度住宅リフォーム補助制度(5万円)は、対象が「自らが現に居住し、かつ、市内に存する住宅(マンション等の共同住宅は専用部分)を所有する者」。貸室は対象外です。第2回募集は令和8年8月26日〜9月8日、25件程度、抽選日9月28日
  • 【対象外】子育て世帯等住宅リフォーム補助制度(上限30万円)も、「18歳以下である者または妊婦が属する世帯が現に居住し」が要件。募集は令和8年8月26日〜9月8日、15件程度、抽選日9月29日
  • 【要確認】沿道建築物耐震診断事業補助制度は、県が指定した第1次緊急輸送道路の沿道建築物の耐震診断を行う所有者が対象。昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた建物が要件です。路線沿いにビルをお持ちなら、確認する価値があります。
  • 補助金は受給時に雑収入(益金)として課税対象。修繕費か資本的支出かの判定で、初年度に落とせる損金額が大きく変わります。
  • 太陽光発電設備は償却資産として申告対象になる場合があります。市も明記しています(固定資産税課 直通 046-252-8047)。補助金で取得しても、固定資産税(償却資産)の課税は別問題です。
  • 判断の物差しは補助額の大小ではなく、NOI(純営業収益=賃料収入から運営費を引いた利益)がいくら動くかです。座間市の枠は30万円。NOIを動かす主戦場は、補助金ではなく工事の中身と工法にあります。

1. 結論:座間市は「大家向けの枠が確かにある。ただし1件分」

座間市で収益物件を所有するオーナーが、2026年度に自分名義で申請を検討できる制度を、実務上の優先順位で並べると次のようになります。

動くべき制度(4つ)

  1. 座間市共同住宅用太陽光発電システム導入支援補助金(市)
    → 補助対象条件に「市内の賃貸共同住宅……を所有する個人、団体または法人」。1kW当たり1万円、上限30万円。予算30万円・残額30万円(令和8年7月29日時点)。着手14日前までに申請。
  2. 座間市事業所用太陽光発電システム導入支援補助金(市)
    → 店舗・事務所・営業所・倉庫等。10kW以上。1kW当たり1万円、上限30万円。予算30万円・残額30万円(同時点)
  3. 令和8年度 神奈川県住宅用太陽光発電・蓄電池導入費補助金(県)
    → 共同住宅枠で「賃貸共同住宅を所有する個人又は法人」が申請者。太陽光7万円/kW、蓄電システム15万円/台。9月7日8時30分開始、9月30日締切、電子申請のみ先着500件程度。
  4. 賃貸集合給湯省エネ2026事業(国/資源エネルギー庁)
    → 補助対象者が「賃貸集合住宅のオーナー等」。従来型給湯器からエコジョーズ・エコフィールへの取替が対象。

諦めるべき制度(2つ)

  1. 令和8年度住宅リフォーム補助制度(5万円/自らが現に居住し、が要件)
  2. 子育て世帯等住宅リフォーム補助制度(上限30万円/子育て世帯等が現に居住し、が要件)

条件を確認すべき制度(2つ)

  1. 座間市電気自動車等用充電設備導入支援補助金(事業者または管理組合法人・管理組合代表者が対象。個人は対象外)
  2. 沿道建築物耐震診断事業補助制度(第1次緊急輸送道路の沿道建築物の所有者が対象)

この切り分けが、座間市のオーナーにとって最初の分岐点です。リフォーム系のまとめサイトでよく見かける「座間市で最大30万円」といった見出しは、子育て世帯等住宅リフォーム補助(居住要件あり)の数字であることがほとんどで、収益物件のオーナーがそのまま使えるものではありません。

そのうえで、座間市の特徴を強調しておきます。多くの自治体では「市の制度はオーナー全滅、県と国で取りにいく」という結論になりますが、座間市は違います。ゼロカーボン推進課が所管する共同住宅用・事業所用の太陽光補助が、明確に賃貸オーナー・事業者を申請者として設計されています。

ただし、そこには冷静な但し書きが必要です。予算額30万円。この数字を見て「補助金があるから太陽光を載せよう」と考えるのは、順番が逆です。太陽光を載せる経済合理性が先にあり、たまたま枠が空いていたら30万円取りにいく。この順序を守ってください。

出典:座間市「共同住宅用太陽光発電システム導入支援補助金」(令和8年8月5日更新)


2. 【本命①】共同住宅用太陽光発電システム導入支援補助金 ── 賃貸オーナーが申請者になれる

座間市の制度で、賃貸マンション・アパートのオーナーがまず押さえるべきはこれです。

2-1. 制度の骨格

項目 内容
補助対象設備 共同住宅用太陽光発電システム
補助金額 1キロワット当たり1万円(上限30万円)
本年度予算額 30万円
予算残額 30万円(令和8年7月29日時点)
申請受付開始日 令和8年4月1日(水曜日)
申請期限 補助対象事業に着手する14日前まで
完成期限・最終提出期限 令和9年3月31日(水曜日)
財産処分の制限 10年
申請方法 ゼロカーボン推進課窓口へ直接/メール(zerocarbon@city.zama.kanagawa.jp)/郵送
窓口 ゼロカーボン推進課 温暖化対策係 TEL 046-252-7675

出典:座間市「共同住宅用太陽光発電システム導入支援補助金」(令和8年8月5日更新)

補助単価は1kWあたり1万円。上限30万円ということは、30kWを載せても30kWを超えて載せても、市の補助は30万円で頭打ちです。逆に言えば、30kW載せた時点で市の年間予算を1件で使い切ります。

メールで申請できる点は、実務上ありがたい設計です。座間市の住宅リフォーム補助が「市役所4階都市整備課窓口に直接持参(郵送不可)」であるのと比べると、ゼロカーボン推進課側の運用は明らかに柔軟です。

2-2. 誰が申請できるのか ── 要綱の文言を正確に読む

補助対象条件のうち、オーナーに関係する部分を市のページからそのまま引用します。

市内の賃貸共同住宅に補助対象設備を設置し、当該補助対象設備によって発電された電力の一部または全部を当該共同住宅で使用する当該共同住宅を所有する個人、団体または法人。ただし、補助対象設備によって発電された電力の一部または全部を当該共同住宅の共用部分で使用する場合に限る。

出典:座間市「共同住宅用太陽光発電システム導入支援補助金」(令和8年8月5日更新)

ここから読み取れることは3つです。

第一に、賃貸共同住宅の所有者が申請者になれます。個人でも、団体でも、法人でも構いません。分譲マンションの管理組合と並列で、賃貸オーナーが書かれている。これは大きいことです。

第二に、共用部分での自家消費が必須条件です。「発電された電力の一部または全部を当該共同住宅の共用部分で使用する場合に限る」。全量売電を目的とした設置は対象になりません。共用廊下・階段の照明、エレベーター、給水ポンプ、機械式駐車場、オートロック、防犯カメラ──共用部の電力を太陽光で賄う構成が前提です。

第三に、管理組合が設立されていない共同住宅では建築主も申請できます。ただしこちらも「共用部分で使用する場合に限る」という同じ条件が付きます。

2-3. 見落としやすい除外要件

要綱には、次の条件も並んでいます。

  • 市内の共同住宅の屋根等などへの設置に適した太陽光発電システムであること
  • 補助対象設備が未使用品であること
  • 市税(延滞金を含む)に未納がないこと
  • 座間市スマートハウス関連設備設置補助金(平成25年座間市告示第42号)に基づく補助金の交付を受けていないこと
  • 過去に座間市共同住宅用太陽光発電システム導入支援補助金を受けていないこと

出典:座間市「共同住宅用太陽光発電システム導入支援補助金」(令和8年8月5日更新)

実務でつまずきやすいのは市税の未納です。申請時に「市税納付状況確認同意書(第2号様式)」を提出しますので、市の側で納付状況を確認します。法人名義で複数物件をお持ちの場合、固定資産税の納期を1本でも落としていると入口で止まります。申請を検討し始めた時点で、まず納税状況を確認してください。

もうひとつ、「過去に受けていないこと」という条件も効きます。1棟で1回。複数棟お持ちのオーナーが、A棟で使ってB棟でも使う、という運用ができるかどうかは要綱の解釈次第ですので、必ず事前に窓口へ確認してください。

2-4. 手続きの順番を間違えないこと

これが最大の落とし穴です。

補助対象事業に着手する14日前までに申請してください。
※補助対象事業への着手後の申請は、受け付けることはできません。
決定通知後に着手してください。

つまり、工事を始めてから「そういえば補助金があった」では手遅れです。しかも「着手日=当該工事開始日」と定義されています。

さらに、市は申請後に「太陽光発電設備が設置されていないことの確認」を行い、現地調査に来る場合があると明記しています。事後申請は物理的に通りません。

実務の順番はこうなります。

  1. 施工会社を決め、工事請負契約書または費用内訳書を用意する
  2. 登記事項証明書(3か月以内発行)を取る
  3. 市税の納付状況を確認する
  4. 申請書一式を提出する(着手予定日の14日前まで)
  5. 交付決定通知を受け取る
  6. 工事に着手する
  7. 完了後、速やかに実績報告書(第7号様式)を提出。完成期限は令和9年3月31日
  8. 交付額確定通知を受けたら、請求書(第8号様式)を提出

「申請書および添付書類が全て揃った時点で審査を開始します。キャンセル待ちはできません」とも書かれています。予算額30万円の制度で「キャンセル待ちはできない」ということは、書類が全部揃っている人から順に埋まるという意味です。準備の速さがそのまま採否に直結します。

2-5. 10年間の財産処分制限

補助を受けた設備には縛りが付きます。

次の期間が経過する前に設置した設備を処分する際には、承認を受ける必要がありますので事前にご連絡ください。
共同住宅用太陽光発電システム…10年

これはオーナーにとって、単なる事務手続きの話ではありません。10年以内に物件を売却する場合、設備の扱いをどうするかという論点が発生します。建物ごと譲渡する場合に「処分」に当たるのかどうかは、ケースバイケースで市の判断が必要です。出口戦略として5年〜7年での売却を視野に入れているオーナーは、30万円の補助と引き換えに、売却時に一手間増えるという構図を理解したうえで判断してください。

2-6. 数字で見たときのインパクト ── 30万円は何を動かすか

ここからはオーナーの言語で考えます。補助額の大小ではなく、NOI(純営業収益)がいくら動くかです。

仮に、座間市内の20戸の賃貸マンションで共用部の電気代が月2万5,000円かかっているとします。年間30万円です。ここに20kWの太陽光を載せ、共用部の電力の6割を自家消費で賄えたとすると、電気代の削減は年間18万円程度。これがそのままNOIの押し上げになります。

そこに市の補助20万円(20kW×1万円)が乗る。さらに県の補助が使えれば、20kW×7万円で140万円。国の制度と組み合わせられるかは要件次第ですが、市20万円+県140万円=160万円が初期投資から引かれる計算です。

20kWの太陽光の設置費用を仮に400万円とすると、実質負担は240万円。年間18万円のNOI改善で単純回収年数は約13年。ここに売電収入や電気料金の上昇を織り込むと、もう少し縮みます。

この計算で効いているのは、市の20万円ではありません。県の140万円です。市の補助は全体の12%程度にすぎない。だからこそ、市の枠が埋まっていても県と国だけで判断できるかを先に検証すべきなのです。市の30万円が取れたらボーナス、くらいの位置づけが健全です。

なお、この試算はあくまで構造を示すための仮定値です。実際の発電量は屋根の方位・傾斜・日影・パネル効率で大きく変わりますし、共用部の電力消費パターンによって自家消費率も変動します。ご自身の物件で必ず個別に試算してください。

2-7. 償却資産の申告を忘れない

市のページには、地味ですが重要な注意書きがあります。

太陽光発電設備(太陽光発電システム)は償却資産に該当し、申告の対象となる場合があります。
詳細については、固定資産税課へお問い合わせください。
財務部固定資産税課 直通 046-252-8047

補助金をもらった設備であっても、償却資産としての固定資産税は課税されます。20kWの設備を400万円で取得すれば、初年度から償却資産税の対象です(免税点や評価額の計算方法は市にご確認ください)。

「補助金30万円をもらったが、償却資産税で毎年数万円払う」という構図を、10年・15年のスパンで見たときにどうか。単年度のキャッシュフローではなく、保有期間全体のトータルで判断する。これがオーナーの視点です。

出典:座間市「共同住宅用太陽光発電システム導入支援補助金」(令和8年8月5日更新)


3. 【本命②】事業所用太陽光発電システム導入支援補助金 ── テナントビル・倉庫のオーナー枠

賃貸マンション以外の収益物件をお持ちなら、こちらが該当します。

3-1. 制度の骨格

項目 内容
補助対象設備 事業所用太陽光発電システム
補助金額 1キロワット当たり1万円(上限30万円)
本年度予算額 30万円
予算残額 30万円(令和8年7月29日時点)
出力要件 太陽光発電による電気の最大出力合計値が10キロワット以上
対象建築物 市内に自己の所有する店舗、事務所、営業所、倉庫等の用に供する建築物等
申請受付開始日 令和8年4月1日(水曜日)
申請期限 設置工事着手日の14日前まで
完成期限・最終提出期限 令和9年3月31日(水曜日)
財産処分の制限 10年
窓口 ゼロカーボン推進課 温暖化対策係 TEL 046-252-7675

出典:座間市「事業所用太陽光発電システム導入支援補助金」(令和8年8月6日更新)

10キロワット以上という下限が置かれている点が、共同住宅用との大きな違いです。小規模な設備では申請できません。逆に言えば、倉庫や工場の広い屋根を持つオーナーには相性が良い制度です。

3-2. 借りている建物でも申請できる

この制度には、興味深い条項があります。

賃貸借契約または使用貸借契約により借り受けている店舗、事務所、営業所、倉庫等の用に供する建築物等で、その所有者から補助対象設備を設置することに同意を得ていること

つまり、テナント側(借主)が太陽光を設置する場合も、貸主の同意書があれば申請できる設計です。

オーナーの立場からすると、これは「テナントから屋根貸しの相談が来たときの選択肢」として知っておく価値があります。テナントが自社の脱炭素目標のために屋根を使いたいと言ってきたとき、市の補助金が使えるかどうかは交渉材料になります。

なお、申請時には「申請者が賃貸借契約又は使用貸借契約により建築物を借り受けている場合は、当該所有者の補助対象設備を設置することに関する同意書」が必要書類として明記されています。オーナー側は、同意書を出す=10年間の財産処分制限が屋根に付くという点を理解したうえで判断してください。屋根防水の更新周期と設備の処分制限期間が衝突する可能性があります。

3-3. 屋根防水と太陽光の順番を間違えない

ここは工事の実務として、私が最も強く申し上げたい点です。

太陽光パネルを載せてから「屋根防水の改修時期でした」と気づくケースが、実際にあります。

陸屋根のシート防水やアスファルト防水は、一般に12年〜15年程度で改修時期を迎えます。ここに太陽光の架台をアンカーで固定してしまうと、防水改修のたびにパネルの一時撤去・再設置が必要になり、その費用が丸ごと余計に乗ります。20kW規模なら、撤去・再設置だけで数十万円から百万円規模の話になり得ます。

正しい順番は、防水改修が先、太陽光が後です。

補助金の申請期限(令和9年3月31日完成)に追われて順番を逆にすると、10年後に確実に損をします。屋根の残存年数を先に確認してください。直近の改修履歴が分からない場合は、まず屋上の状態を診断してから設備投資の順番を決めるべきです。


4. 【条件付き】電気自動車等用充電設備導入支援補助金 ── 「個人は対象外」の壁

賃貸マンションの共用駐車場にEV充電設備を入れたい、というご相談が増えています。座間市にも制度がありますが、対象者に注意が必要です。

4-1. 制度の骨格

項目 内容
対象者 市内に設置する事業者及び市内にあるマンション等の管理組合法人、または管理組合の代表者
補助金額 急速充電設備 20万円/蓄電池付急速充電設備 20万円/普通充電設備 2万円/充電用コンセント 2万円/充電用コンセントスタンド 2万円
補助上限基数 急速系から1基、普通系から1基、合計最大2基
本年度予算 22万円
予算残額 22万円(令和8年7月29日時点)
申請受付開始日 令和8年4月1日(水曜日)
申請期限 設置工事をする日の14日前まで
実績報告期限 令和9年3月31日(水曜日)
窓口 ゼロカーボン推進課 温暖化対策係 TEL 046-252-7675

出典:座間市「座間市電気自動車等用充電設備導入支援補助金」(令和8年8月6日更新)

4-2. 「個人は補助対象外です」という一文

市のページには、はっきりとこう書かれています。

本補助金は充電設備を「市内に設置する事業者及び市内にあるマンション等の管理組合法人」または「管理組合の代表者」を対象としており、個人は補助対象外です。

ここが分岐点です。

  • 法人(資産管理法人を含む)で賃貸物件を所有し、賃貸事業を営んでいる場合 → 「事業者」に該当するかどうかを窓口で確認する価値があります
  • 個人名義で賃貸物件を所有している場合 → この一文により、入口で外れる可能性が高いと読むべきです

「個人事業主としての不動産賃貸業は事業者に含まれるのか」という論点は、要綱の文言だけでは判断できません。必ず窓口(046-252-7675)に確認してください。この記事で断定はしません。

4-3. 予算22万円という現実

補助上限は急速20万円+普通2万円で最大22万円。本年度予算も22万円。つまり急速充電設備を1件入れた時点で、ほぼ枠が消える設計です。

普通充電設備・充電用コンセントであれば2万円ですので、複数件が入る余地はあります。ただし、賃貸マンションの共用駐車場に普通充電コンセントを設置する工事費は、電気容量の増設が必要かどうかで大きく変わります。2万円の補助で判断する話ではありません。

EV充電設備を賃貸物件に入れる意味は、補助金ではなく入居者募集での差別化にあります。県央エリアの単身・ファミリー向け賃貸で、EV充電が決め手になる入居者層がどれだけいるか。ここを冷静に見積もったうえで、補助金は最後に足す。順番はやはり同じです。

なお、購入する充電設備には要件があります。「一般社団法人次世代自動車振興センター(通称『NeV』)が定める充電インフラ補助金の対象となる新品の充電設備であること」「充電するに当たり、他のサービスの利用または物品の購入を条件としていないこと(駐車料金の徴収は除く)」。安価な汎用品では通りません。

市は国(CEV補助金)・県の制度との併用が可能な場合があると明記していますので、国の充電インフラ補助と組み合わせる前提で設計するのが現実的です。


5. 【本命③】神奈川県の太陽光・蓄電池補助 ── 9月7日8時30分、先着500件程度

座間市の枠が30万円である以上、金額のインパクトで見れば県の制度が本命です。

5-1. 今年度から共同住宅が対象に加わった

令和8年度の神奈川県住宅用太陽光発電・蓄電池導入費補助金は、今年度の変更点として共同住宅が対象に追加されました。分譲共同住宅の管理組合に加えて、賃貸共同住宅を所有する個人・法人が申請者になれます。

賃貸オーナーが県の住宅系補助の申請者として明記されることは、これまであまりありませんでした。制度設計が変わった年です。

出典:神奈川県「令和8年度神奈川県住宅用太陽光発電・蓄電池導入費補助金」

5-2. 補助額は機械的に決まる

設備 補助額
住宅用太陽光発電設備 発電出力1kWあたり7万円
蓄電システム 1台あたり15万円

座間市の1kWあたり1万円と比べると、単価で7倍です。20kW載せれば140万円。この差は無視できません。

市の補助と県の補助について、座間市自身が「申請内容によっては、市補助金と併用が可能です。詳しくは担当にお問い合わせください」と案内しています。併用できるなら、20kWで市20万円+県140万円=160万円。ここまで来ると投資判断が変わります。

出典:座間市「共同住宅用太陽光発電システム導入支援補助金」(令和8年8月5日更新)

5-3. 第2期のスケジュール ── 9月7日8時30分・9月30日締切

ここが最重要です。

  • 第2期受付開始:令和8年9月7日(月曜日)8時30分
  • 締切:令和8年9月30日(水曜日)
  • 電子申請システムのみ(窓口・郵送不可)
  • 先着500件程度
  • 事業完了は令和9年3月31日まで
  • 実績報告は事業完了から2か月以内、または令和9年4月30日のいずれか早い期日まで

先着順です。9月7日8時30分に間に合わせるには、その前に見積・設備仕様・電子申請アカウントを揃えておく必要があります。当日に書類を作り始めても間に合いません。

この記事を読んでいるのが8月30日であれば、準備期間は1週間です。

5-4. 令和8年8月28日追加の注意喚起 ── 代行申請は不受理

県は令和8年8月28日、重要な注意喚起を追加しました。

「施工業者等による代行申請はできません」

代行申請と判明した場合は不受理。受理後に判明した場合も補助金は交付されません。

これは実務に直結します。太陽光の営業担当者から「申請はうちで全部やりますので」と言われても、それは制度違反です。申請は必ずオーナーご本人(法人の場合は法人として)が電子申請システムから行ってください。

施工業者にできるのは、見積書・設備仕様書・図面といった添付書類の準備の支援までです。ログインして申請ボタンを押す行為は、申請者本人が行う必要があります。

5-5. 賃貸共同住宅で申請する場合の注意

共同住宅枠での申請は、戸建てとは必要書類が変わります。建物の登記事項証明書、共用部での使用を示す資料などが求められる可能性が高いため、8月中に県の交付要綱と手引きを取り寄せて、必要書類のリストを確定させてください。

9月7日の朝に「書類が1点足りない」と気づいても、先着500件の枠は待ってくれません。

5-6. 交付決定前の着工は絶対にNG

県の制度も、市の制度と同様に交付決定前の着工を認めていません。「9月に工事を始めて、後から申請する」は通りません。

工事スケジュールと補助金スケジュールは、必ずセットで組む。これは大規模修繕でも太陽光でも同じ原則です。

6. 【本命④】賃貸集合給湯省エネ2026事業 ── 補助対象者が「オーナー等」

国の制度で、賃貸オーナーが真正面から対象になっているものがあります。

6-1. 制度の骨格

賃貸集合給湯省エネ2026事業(令和7年度補正予算「既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業」)は、資源エネルギー庁が所管する制度です。

項目 内容
補助対象者 賃貸集合住宅のオーナー等
対象工事 従来型給湯器からエコジョーズ・エコフィールへの交換
補助額(基本) 追い焚きなし 5万円/台/追い焚きあり 7万円/台
補助額(加算あり) 一定の排水工事を伴う場合、最大 8万円/台10万円/台
申請の形 登録事業者(賃貸集合給湯省エネ事業者)と契約し、事業者が申請

出典:資源エネルギー庁「賃貸集合給湯省エネ2026事業について」賃貸集合給湯省エネ2026事業 公式サイト

6-2. 「県は本人申請、国は事業者申請」という逆転に注意

ここは混乱しやすいポイントです。

  • 神奈川県の太陽光・蓄電池補助オーナー本人が申請。施工業者の代行は不受理。
  • 国の賃貸集合給湯省エネ2026事業登録事業者と契約し、事業者が申請

真逆の設計です。「県のときと同じやり方でいいだろう」と考えると、どちらかで失敗します。制度ごとに申請主体を確認してください。

国の制度では、契約する工事会社が「賃貸集合給湯省エネ事業者」として登録されているかどうかが絶対条件です。登録のない業者に発注してしまうと、工事の内容が要件を満たしていても補助は受けられません。見積を取る段階で「御社は登録事業者ですか」と確認してください。

6-3. 数字で見たときのインパクト

20戸の賃貸マンションで、給湯器の更新時期がまとめて来ているケースを考えます。

  • 追い焚きあり20台 × 7万円 = 140万円
  • 追い焚きなし20台 × 5万円 = 100万円

給湯器1台の交換費用を15万円〜20万円とすると、20台で300万円〜400万円。そこから140万円が戻れば、実質負担は4割前後圧縮されます。

しかも給湯器の更新は、入居中の物件でも工事ができるという点で大規模修繕とは性質が違います。空室のタイミングを待つ必要がなく、計画的に進められる。NOIへの効きは、市の太陽光補助30万円より圧倒的に大きいというのが率直なところです。

築15年〜25年の賃貸マンションをお持ちなら、まずここを検討してください。


7. 【対象外①】令和8年度住宅リフォーム補助制度 ── 「自らが現に居住し」

座間市のリフォーム補助について、期待を持たれる方が多いので、なぜ使えないのかを明確にしておきます。

7-1. 制度の内容

項目 内容
補助金額 5万円
対象工事 市内施工業者による10万円(税抜き)以上のリフォーム工事
第2回募集期間 令和8年8月26日(水曜日)〜9月8日(火曜日)
募集件数 25件程度(申込多数の場合は公開抽選/抽選日9月28日
申込方法 市役所4階都市整備課窓口に直接持参(郵送不可)
受付時間 8時30分〜16時(12時〜13時を除く)
窓口 都市整備課 指導係 TEL 046-252-7396

7-2. なぜオーナーが使えないのか

対象要件の1行目がこうなっています。

自らが現に居住し、かつ、市内に存する住宅(マンション等の共同住宅は専用部分、併用住宅は住宅部分)を所有する者

「自らが現に居住し」──貸している部屋は、この時点で対象外です。

さらに「マンション等の共同住宅は専用部分」と限定されています。仮に居住要件をクリアしたとしても、共用部(外壁・屋上・廊下)の工事は対象になりません。大規模修繕とは制度の設計思想が違うのです。

そのほか、次の要件も並んでいます。

  • 市税の滞納のない者
  • 過去に子育て世帯等住宅リフォーム補助を受けていない者
  • 年度内(令和9年3月23日まで)に工事完了報告が可能なもの
  • 着工予定のリフォーム(リフォーム中や着手済みは対象外)
  • 市内に本社・本店所在地を有する法人・個人事業者が行うリフォーム
  • 申請件数は施工業者1社につき、第1回・第2回合わせて5件まで

出典:座間市「令和8年度住宅リフォーム補助制度」(令和8年6月2日更新)

「施工業者1社につき5件まで」という制限は、この制度が地域経済の活性化を目的としていることの表れです。市のページにも「市民の消費を促し、地域経済の活性化・居住環境の向上を図ることを目的としています」と書かれています。収益物件の資本的支出を支援する制度ではないということです。

7-3. オーナーが自宅を持っている場合

ひとつだけ、抜け道ではなく正当な使い道があります。オーナーご自身が座間市内に自宅を所有し、そこに居住している場合、自宅のリフォームには使えます。

賃貸経営とは別の話ですが、屋根の塗り替えや水回りの改修を検討しているなら、第2回募集(9月8日締切)は選択肢です。ただし25件程度の枠に対して公開抽選ですので、確実性はありません。


8. 【対象外②】子育て世帯等住宅リフォーム補助制度 ── 上限30万円だが居住要件

「座間市で最大30万円」という見出しの正体はこれです。

項目 内容
補助金額 工事金額(税抜き)の2分の1(限度額30万円、1,000円未満切り捨て)
対象工事 30万円(税抜き)以上のリフォーム
募集期間 令和8年8月26日(水曜日)〜9月8日(火曜日)
募集件数 15件程度(申込多数の場合は公開抽選/抽選日9月29日
申込方法 市役所4階都市整備課窓口に直接持参(郵送不可)

対象要件はこうです。

18歳以下である者または妊婦が属する世帯が現に居住し、市内に存する住宅(共同住宅は専有部分、併用住宅は住宅部分)を所有している者、または子育て世帯の親で当該住宅を所有している者

賃貸マンションのオーナーが、入居者である子育て世帯のために申請することはできません。所有者本人(またはその親)が対象であり、かつその住宅に子育て世帯が現に居住している必要があります。

なお、住宅リフォーム補助(5万円)と子育て世帯等住宅リフォーム補助(上限30万円)は重複して受けることができません。第2回の住宅リフォーム補助と子育て世帯等リフォーム補助を併せて申請することもできません。

出典:座間市「令和8年度住宅リフォーム補助制度」(令和8年6月2日更新)


9. 【要確認】耐震関係の補助 ── 沿道建築物の所有者は確認する価値がある

座間市の耐震補助は2系統あります。オーナーにとっての意味が違いますので、分けて整理します。

9-1. 木造住宅の耐震診断・耐震改修補助 ── 居住要件で対象外

対象は、昭和56年5月31日以前に在来工法で建築された階数が2階以下の木造住宅を所有し、その住宅に居住していて、市が実施する「木造住宅無料耐震相談会」に参加した方です。

「所有し、居住している」という要件がありますので、貸している木造アパートは対象外と読むのが自然です。枠組壁工法・プレハブ工法も除外されています。

出典:座間市「耐震診断および耐震改修工事補助制度」

9-2. 沿道建築物耐震診断事業補助制度 ── こちらは「所有者」が対象

一方、こちらは性格が違います。

座間市は、県が指定した第1次緊急輸送道路の沿道建築物の耐震診断を行う所有者に対し、耐震診断に要する費用の一部を補助しています。補助対象建築物の要件は、昭和56年5月31日以前に建築基準法の規定による建築確認を得て建築工事に着手した建築物であることです。

「居住していること」という要件が入っていません。つまり、緊急輸送道路沿いに旧耐震のビルやマンションをお持ちのオーナーは、対象になり得ます。

ただし、市のページには補助率・上限額の具体的な記載が確認できませんでした。この制度を検討される場合は、必ず都市整備課 指導係(046-252-7396)に直接お問い合わせください。この記事では補助額を断定しません。

出典:座間市「沿道建築物耐震診断事業補助制度」

旧耐震のビルをお持ちで、かつ緊急輸送道路沿いという条件が重なるオーナーは、県内でもそう多くありません。だからこそこの制度は競合が少ないとも言えます。該当しそうなら、一本電話を入れる価値は十分にあります。


10. 座間市オーナー向け・制度早見表(2026年8月30日時点)

制度名 実施主体 オーナーが申請者になれるか 補助額 期限・注意
共同住宅用太陽光発電システム導入支援補助金 座間市 (賃貸共同住宅を所有する個人・団体・法人) 1万円/kW・上限30万円 予算30万円・残30万円(7/29時点)/着手14日前まで/完成期限 令和9年3月31日
事業所用太陽光発電システム導入支援補助金 座間市 (店舗・事務所・営業所・倉庫等の所有者) 1万円/kW・上限30万円 10kW以上/予算30万円・残30万円(7/29時点)/着手14日前まで
電気自動車等用充電設備導入支援補助金 座間市 (事業者・管理組合法人等。個人は対象外 急速20万円/普通2万円 予算22万円・残22万円(7/29時点)/工事14日前まで
沿道建築物耐震診断事業補助制度 座間市 (第1次緊急輸送道路の沿道建築物の所有者) 市に要確認 昭和56年5月31日以前の建築確認
住宅用太陽光発電・蓄電池導入費補助金 神奈川県 (賃貸共同住宅を所有する個人・法人) 太陽光7万円/kW/蓄電15万円/台 第2期 9月7日8時30分〜9月30日・電子申請のみ・先着500件程度・代行申請不可
賃貸集合給湯省エネ2026事業 (賃貸集合住宅のオーナー等) 5万円〜10万円/台 登録事業者との契約が必須
令和8年度住宅リフォーム補助制度 座間市 ×(自らが現に居住し、が要件) 5万円 第2回 8/26〜9/8・25件程度・抽選9/28
子育て世帯等住宅リフォーム補助制度 座間市 ×(子育て世帯が現に居住し、が要件) 工事費1/2・上限30万円 8/26〜9/8・15件程度・抽選9/29
木造住宅耐震診断・改修補助 座間市 ×(所有し居住が要件) 2階以下の在来工法木造

※制度内容は変更される場合があります。申請前に必ず各実施主体の公式ページでご確認ください。


11. 補助金は「もらって終わり」ではない:オーナーが必ず押さえる税務3点

ここからが、オーナー向け記事の本題です。補助金を受け取ると、必ず税務の論点が発生します。

11-1. 補助金は雑収入(益金)として課税対象になる

見落とされがちですが、受け取った補助金は収入です。

個人の不動産所得なら雑収入、法人なら益金として計上します。市から30万円、県から140万円を受け取れば、合計170万円が課税対象の収入に乗ります。

「170万円もらえた」ではなく、「170万円の益金が立ち、対応する費用をどう計上するか」という組み立てで考えてください。所得税・住民税、あるいは法人税の税率次第で、手元に残る金額は変わります。

計上のタイミングも重要です。原則として交付決定通知を受けた日の属する年度に収益計上します。工事が年度をまたぐ場合、収益と費用の計上時期がずれる可能性がありますので、必ず顧問税理士にご相談ください。

11-2. 修繕費か資本的支出かで、初年度の損金額が大きく変わる

太陽光発電設備の設置は、原則として資本的支出(固定資産の取得)です。一括で損金にはできず、耐用年数にわたって減価償却します。

一方、外壁塗装や防水改修は、内容によって修繕費(一括損金)になる場合と、資本的支出(減価償却)になる場合があります。

  • 修繕費:原状回復、通常の維持管理の範囲。支出した年度に全額損金算入できる
  • 資本的支出:使用可能期間の延長、価値の増加をもたらすもの。減価償却により複数年で費用化

たとえば、外壁の塗り替えで従来と同等の塗料を使えば修繕費として処理できる可能性が高い一方、遮熱塗料や高耐久フッ素塗料へグレードアップすると資本的支出と判定される余地が出ます。

同じ工事金額でも、初年度に落とせる損金額は数百万円単位で変わります。そしてこの判定は工事の内容と仕様書の書き方に依存します。だからこそ、工事の仕様を決める段階で税理士に相談するのが正しい順番です。工事が終わってから領収書を持って行っても、選択肢は残っていません。

11-3. 圧縮記帳という選択肢

法人で補助金を受け取る場合、圧縮記帳という制度があります。

補助金相当額を固定資産の取得価額から控除(圧縮)することで、補助金を受け取った年度の課税所得を圧縮する方法です。課税が消えるわけではなく、減価償却費が減る分だけ将来の所得が増える──課税の繰り延べです。

キャッシュフローを重視するなら有効な選択肢ですが、適用要件が細かく、対象となる補助金の種類も限られます。必ず税理士にご確認ください。この記事では制度の存在をお伝えするにとどめます。

なお、償却資産の申告(固定資産税)は、圧縮記帳をしても取得価額ベースで課税されるのが原則です。法人税と固定資産税で扱いが違う点は、実務で混乱しやすいところです。


12. 座間市という市場で、賃貸物件はどう戦うか

制度の話はここまでです。ここからは、座間という市場でNOIをどう守るかという話をします。

12-1. 座間市の人口統計は、いま「公表休止中」

まず正直にお伝えしておきます。座間市は、令和7年10月分から国勢調査結果を基礎数値とするため、月次の人口情報の作成を休止しています。

つまり、この記事を書いている2026年8月時点で、直近の月次人口・世帯数を市の公表値として引用することができません。他の記事でよく見る「人口○○人、前月比+○人」という書き方を、座間市についてはできないのです。

出典:座間市「令和7年度各月の人口情報」座間市「人口推計」

数字がないことを、数字があるかのように書かない。これは私が記事を書くうえで守っているルールです。座間市のオーナーが人口動向を確認したいときは、市の「人口推計」ページと国勢調査の結果を直接ご覧ください。

12-2. 座間の立地特性 ── 県央の「通勤圏」としての位置づけ

座間市は神奈川県のほぼ中央、相模原市・海老名市・大和市・綾瀬市に囲まれた位置にあります。市内には小田急小田原線とJR相模線が走り、都心方面へのアクセスと、県央の工業・物流拠点への近さを併せ持つ立地です。

賃貸経営の観点で見ると、この立地には二面性があります。

プラス面は、通勤利便性と家賃水準のバランスです。都心へ直通で出られる路線がありながら、23区や横浜市中心部と比べて家賃相場は抑えられる。「都心に通うが、家賃は抑えたい」という層に対して、明確な訴求力があります。単身者にもファミリーにも一定の需要が見込めるエリアです。

マイナス面は、競合の多さです。県央エリアは、相模原・海老名・大和・厚木と、似た性格の賃貸市場が隣接して並んでいます。入居者から見れば、座間でなければならない理由は必ずしもない。選ばれる理由を物件側が用意しなければ、価格競争に引きずり込まれます。

12-3. 「見た目で負ける」ことのコストを試算する

築20年を超えた賃貸マンションで、外壁の色褪せ、チョーキング、鉄部のサビ、シーリングの切れが目立ってきたとします。

内見に来た入居希望者は、部屋を見る前に建物の外観を見ます。同じ家賃帯で、外観がきれいな物件と、くたびれた物件が並んでいたら、答えは明らかです。

この差が、家賃の値下げ圧力として現れます。

20戸の物件で、外観の見劣りを理由に1戸あたり月2,000円の値下げを飲んだとします。

  • 2,000円 × 20戸 × 12か月 = 年間48万円のNOI減
  • 表面利回り5%で還元すると、物件価値で約960万円の毀損

これは補助金30万円とは桁が違う話です。

さらに深刻なのは空室です。空室が1戸増え、その状態が年間を通じて続けば、家賃7万円の物件で年間84万円の減収。修繕を先送りして節約した金額を、あっという間に超えます。

大規模修繕は「コスト」ではなく「NOIの防衛線」である。これがオーナー視点での正しい捉え方です。

12-4. 出口戦略から逆算する

売却を視野に入れているオーナーには、もうひとつの論点があります。

収益物件の売買では、買主は必ず修繕履歴を見ます。長期修繕計画の有無、直近の外装改修がいつだったか、屋上防水の残存年数はどれくらいか。ここが不明瞭だと、買主は「引き渡し後すぐに大規模修繕が必要」と判断し、その分を価格から差し引いて指値してきます。

大規模修繕を1,500万円で実施した物件と、未実施の物件では、指値の幅がそれ以上に開くことがあります。修繕を「済ませておく」ことが、そのまま売却価格を守ることにつながる。

逆に言えば、5年以内の売却を考えているなら、10年の財産処分制限が付く設備投資は慎重に判断すべきです。太陽光の補助金30万円のために、売却時の自由度を10年間縛る。その取引が合理的かどうかは、出口の時期次第です。

補助金の判断は、保有期間の長さで答えが変わるのです。


13. 座間の物件に、足場は本当に必要か ── 工法選定でコストが動く

ここからは、私の本業である工事の話です。座間市の補助金が最大30万円である以上、NOIを本当に動かすのは工事費そのものです。

13-1. 仮設足場が総工事費に占める重さ

大規模修繕工事の見積書を開くと、最初に出てくるのが仮設工事費です。一般的に、総工事費の20%前後を占めます。

1,500万円の工事なら300万円前後。この300万円は、塗料でも防水材でもタイルでもありません。職人が作業するための「足場」というだけの費用です。

しかも足場には、金額以外のコストが付いてきます。

  • 工期の伸長:架設と解体だけで、規模によっては2週間前後かかります
  • 防犯リスク:足場は侵入経路になり得ます。賃貸物件では入居者からの不安の声が実際に出ます
  • 日照と通風の阻害:メッシュシートで覆われる期間、部屋は暗くなります
  • プライバシーへの不安:窓の外を作業員が通ります
  • 駐車場の使用制限:資材置き場・搬入路として一部区画が使えなくなります

賃貸マンションのオーナーにとって、これらはクレームと退去のリスクです。工事期間中に退去が重なれば、修繕でNOIを守るつもりが、逆にNOIを削ることになります。

13-2. ロープアクセス工法(無足場工法)という選択肢

そこで検討していただきたいのが、ロープアクセス工法(無足場工法)です。

産業用ロープで職人が屋上から降下し、外壁の塗装・シーリング・タイル補修・防水などの作業を行う工法です。ヨーロッパで発達し、日本でも高層ビルや橋梁の点検・補修で実績を積んできました。

賃貸物件のオーナーにとってのメリットは明快です。

  1. 仮設足場費が原則不要。総工事費の2割前後を占める項目が構造的に消えます
  2. 工期が短い。架設・解体の期間がなく、作業に直行できます
  3. 入居者の生活影響が小さい。メッシュシートで建物全体を覆わないため、日照・通風・眺望が保たれます
  4. 防犯リスクが低い。足場という常設の侵入経路ができません
  5. 駐車場の制限が小さい。資材置き場の必要面積が小さく済みます

賃貸経営の言葉に翻訳すると、工事期間中の退去リスクとクレームリスクを下げながら、工事費そのものも下げられるということです。

工法の詳細や施工事例については、ロープアクセス工法の専門サイト(rope-access-method.com)で解説しています。座間市のような中低層の賃貸マンションが多いエリアでどう適用できるか、判断材料としてご覧ください。

13-3. ハイブリッド工法という現実解

ただし、私は「すべてロープアクセスで」とは申し上げません。足場が必要な工事は確実に存在します。

  • 外壁の全面打診調査を伴う大規模なタイル改修
  • バルコニー内部の広範囲な防水改修
  • サッシの一括交換や躯体の大規模補修
  • 施工面積が広く、作業効率で足場が明確に上回るケース

こうした場合は、足場を組んだほうが安全で、結果的に安いのです。

そこで現実的な解が、ハイブリッド工法です。

たとえば、道路に面していて足場の架設が困難な面、あるいはバルコニーのない妻壁側はロープアクセスで。バルコニー側や大規模な補修が必要な面は足場で。部位ごとに工法を使い分けることで、総額と工期と居住性のバランスを取ります。

株式会社明誠は、通常の足場仮設による工事、ロープアクセス工法、そしてハイブリッド工法の3つを、建物の特性に応じて提案できる会社です。日本でもまだ数少ない体制だと自負しています。

さらに当社は、ロープアクセスとしては日本で初となるフランチャイズ展開を行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板などの各分野の専門職が加盟しています。専門工事会社が直接施工に入る体制のため、重層下請けによる中間マージンを圧縮でき、高品質と低価格を両立させています。

13-4. 私が座間の現場で感じていること

県央エリアの賃貸マンションを見ていて思うのは、「まだ大丈夫」と判断された物件ほど、後から高くつくということです。

外壁のシーリングが切れて、そこから水が入る。すぐには漏水として現れなくても、内部で鉄筋が錆び、膨張し、コンクリートを押し出す。爆裂(ばくれつ)が起きた時点では、塗装だけでは済みません。躯体補修が必要になり、工事費は跳ね上がります。

シーリングの打ち替えで済んだはずの工事が、5年後には躯体補修を伴う工事になる。この差は、金額にして数倍です。

だからこそ、まず現状を正確に把握することをお勧めします。診断だけでも構いません。今の状態を知り、あと何年もつのかを把握したうえで、補助金のスケジュールと工事のタイミングを合わせる。この順番であれば、補助金は「使えたら使う」ものとして冷静に扱えます。


14. 座間市の収益物件オーナーが、9月30日までにやるべきこと

具体的なアクションに落とします。

ステップ1:今週中(〜9月6日)

  • 神奈川県の補助金要綱と手引きをダウンロードし、必要書類のリストを作る
    第2期は9月7日8時30分開始。電子申請システムのアカウントも事前に用意してください。
  • 太陽光を検討するなら、施工会社から見積と設備仕様書を取り寄せる
    9月7日の朝に添付できる状態にしておきます。
  • 市税の納付状況を確認する
    市の補助金は市税の未納があると申請できません。

ステップ2:9月7日(月)8時30分

  • 県の電子申請システムから、オーナー本人(法人の場合は法人)として申請する
    施工業者による代行申請は不受理です。先着500件程度。

ステップ3:9月中

  • 座間市ゼロカーボン推進課(046-252-7675)に、市の共同住宅用太陽光補助の残枠を確認する
    予算30万円の制度です。電話一本で分かります。メール(zerocarbon@city.zama.kanagawa.jp)での申請も可能です。
  • 緊急輸送道路沿いに旧耐震のビルをお持ちなら、都市整備課(046-252-7396)に沿道建築物耐震診断補助を確認する
  • 給湯器の更新時期が近いなら、賃貸集合給湯省エネ2026事業の登録事業者に相談する

ステップ4:年内

  • 建物の現状診断を受け、長期修繕計画を更新する
    屋上防水の残存年数を確認せずに太陽光を載せると、10年後に後悔します。
  • 工事の仕様を決める前に、税理士に修繕費/資本的支出の判定を相談する
    工事が終わってからでは選択肢がありません。

ステップ5:令和9年3月31日まで

  • 市・県の補助を使う場合、事業完了は令和9年3月31日
    年度末は工事が集中します。逆算して発注時期を決めてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 座間市の共同住宅用太陽光補助は、個人名義の賃貸マンションでも申請できますか。

A. 市の補助対象条件には「市内の賃貸共同住宅に補助対象設備を設置し……当該共同住宅を所有する個人、団体または法人」と明記されていますので、個人名義でも対象です。ただし、共用部分での自家消費が条件です。詳細はゼロカーボン推進課(046-252-7675)にご確認ください。

Q. 予算残額が30万円ということは、まだ誰も申請していないのですか。

A. 令和8年7月29日時点の市の公表値では、予算額30万円に対して残額30万円と記載されています。ただし、この記事の執筆時点(2026年8月30日)から状況は変わっている可能性があります。必ず市に直接ご確認ください。

Q. 市の太陽光補助と県の太陽光補助は併用できますか。

A. 座間市は「申請内容によっては、市補助金と併用が可能です。詳しくは担当にお問い合わせください」と案内しています。併用可否は申請内容によりますので、両方の窓口に確認してください。

Q. EV充電設備の補助は、個人オーナーでは本当に使えませんか。

A. 市のページには「個人は補助対象外です」と明記されています。ただし「事業者」の定義に個人事業主としての不動産賃貸業が含まれるかどうかは、要綱の文言だけでは判断できません。ゼロカーボン推進課への確認をお勧めします。

Q. 外壁塗装や防水工事に使える補助金は、座間市にありますか。

A. 収益物件のオーナーが自分名義で申請できる、外壁塗装・防水工事専用の補助金は、2026年8月30日時点の座間市には見当たりません。住宅リフォーム補助は「自らが現に居住し」が要件で、しかも共同住宅は専用部分に限定されています。外装改修は補助金ではなく、工法選定と工事内容でコストを下げるのが現実的な戦略です。

Q. 神奈川県の補助金は、施工業者に申請を任せてはいけないのですか。

A. 県は令和8年8月28日に「施工業者等による代行申請はできません」という注意喚起を追加しました。代行申請と判明した場合は不受理、受理後に判明した場合も交付されません。申請は必ず申請者ご本人が行ってください。

Q. ロープアクセス工法は、どんな建物でも使えますか。

A. いいえ。屋上にアンカーを取れる構造であること、降下経路が確保できることなどの条件があります。また、全面的なタイル改修やバルコニー内部の大規模な防水改修など、足場のほうが適した工事もあります。当社では建物を実際に見たうえで、足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3案から最適な工法をご提案しています。

Q. 補助金を受け取ると、税金はどうなりますか。

A. 個人の不動産所得なら雑収入、法人なら益金として計上します。課税対象です。また、太陽光発電設備は償却資産として申告対象になる場合があります(座間市固定資産税課 046-252-8047)。必ず顧問税理士にご相談ください。

Q. 屋上防水の改修と太陽光の設置は、どちらを先にすべきですか。

A. 防水改修が先です。陸屋根の防水は一般に12〜15年程度で改修時期を迎えます。先に太陽光の架台を固定してしまうと、防水改修のたびにパネルの一時撤去・再設置が必要になり、その費用が丸ごと余計に発生します。補助金の年度末期限に追われて順番を逆にすると、10年後に必ず損をします。まず屋上の残存年数を確認してください。

Q. 座間市の共同住宅用太陽光補助は、複数の物件で使えますか。

A. 補助対象条件に「過去に座間市共同住宅用太陽光発電システム導入支援補助金を受けていないこと」とあります。申請者単位なのか物件単位なのかは要綱の解釈に関わりますので、複数棟をお持ちの場合は必ずゼロカーボン推進課(046-252-7675)に事前確認してください。

Q. 工事中の入居者からのクレームが心配です。何ができますか。

A. 工事の告知を早めに、複数回に分けて行うことが基本です。そのうえで、そもそも生活影響の小さい工法を選ぶという手があります。ロープアクセス工法は建物全体をメッシュシートで覆わないため、日照・通風・眺望が保たれ、足場という侵入経路もできません。工期が短い分、影響期間そのものも短くなります。


制度は変わります。最新は必ず公式でご確認ください

この記事は2026年8月30日時点で公開されている一次情報をもとに作成しています。

補助金制度は、予算の消化状況によって受付が終了したり、要件が年度途中で変更されたりします。特に座間市の太陽光補助は予算額30万円という規模ですので、1件の申請で受付終了となる可能性があります。県の補助も先着順です。

申請を検討される際は、必ず以下の公式ページと窓口で最新情報をご確認ください。

  • 座間市 ゼロカーボン推進課 温暖化対策係:046-252-7675(太陽光・EV充電)
  • 座間市 都市整備課 指導係:046-252-7396(住宅リフォーム・耐震)
  • 座間市 財務部固定資産税課:046-252-8047(償却資産の申告)
  • 神奈川県 かながわ脱炭素ポータルサイト(県の補助制度)

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出典・参考資料


株式会社明誠は、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を、通常の足場工法・ロープアクセス工法(無足場工法)・ハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な方法でご提案しています。座間市をはじめ神奈川県央エリアの収益物件について、建物診断・工法比較のご相談を承っています。

補助金の申請可否の切り分けから、工事仕様の決定、税務上の論点整理まで、まずは現状を把握するところからお手伝いいたします。

また当社は、一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)を運営し、全国の建設業者向けに経営支援情報の発信、オンラインセミナー、交流会、ビジネスマッチングを行っています。工事会社選びでお悩みのオーナーさまにも、業界の実情をふまえたご相談に応じています。


本記事は株式会社明誠が、座間市・神奈川県・国の公表資料(一次情報)にもとづいて作成しました。
最終更新:2026年8月30日