大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

浜松市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

浜松市のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

この記事で答える質問は、ひとつです。浜松市の分譲マンション管理組合は、大規模修繕工事にあたって、どの公的支援をどの順番で使えばいいのか。

2026年8月30日 更新。

先に結論を書きます。浜松市の管理組合は、この連載でこれまで扱ってきたどの自治体よりも恵まれています。理由は制度の数ではありません。手続きの経路が短いからです。

私は東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を20年近くやってきました。足場を架ける工事も、ロープアクセス工法(無足場工法)も、その両方を組み合わせるハイブリッド工法も、どれも現場で回してきた人間です。この連載では静岡県内の市町を順番に取り上げてきましたが、浜松市は少し性格が違います。政令指定都市だからです。

これが何を意味するのか。ここから具体的に書いていきます。

結論:浜松市の管理組合は、制度が「市の中だけで」完結する

長泉町・清水町・函南町の記事では、私は毎回こう書かなければなりませんでした。「この町は『町』なので、マンション管理計画の認定は静岡県に申請してください」と。牧之原市・島田市・菊川市・御前崎市の記事では逆に、「この市は『市』なので、県には申請できません。市に確認してください」と書きました。

浜松市は、そのどちらとも違います。

浜松市はマンション管理計画認定制度の認定権者であり、同時に、長寿命化促進税制で必要になる「助言・指導内容実施等証明書」の発行者でもあり、さらに固定資産税の減額申告を受け付ける課税庁でもあります。この3つがすべて浜松市役所の中にあります。

浜松市の資産税課のページには、証明書の発行者が明記されています。

証明書の種類 発行者
大規模の修繕等証明書 建築士事務所に所属する建築士、または住宅瑕疵担保責任保険法人
過去工事証明書 マンション管理士または建築士
修繕積立金引上証明書 マンション管理士または建築士
助言・指導内容実施等証明書 都道府県等(都道府県、政令指定都市)

(出典:浜松市「7.長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに係る固定資産税の減額」

最後の行の括弧書きを、もう一度読んでください。「都道府県等(都道府県、政令指定都市)」。浜松市は政令指定都市です。つまり、この証明書を出すのは浜松市自身です。

函南町の管理組合が助言・指導ルートを使おうとすれば、静岡県住まいづくり課(054-221-3084/静岡市葵区)に連絡することになります。浜松市の管理組合は、市役所の住宅課(053-457-2457)に連絡すれば済みます。市役所本館は浜松市中央区元城町103-2、JR浜松駅から歩ける距離です。

「近い」というのは、行政手続きにおいて思っている以上に大きな要素です。理事長が平日に半日だけ時間を作れるかどうかで、制度を使えるかどうかが決まってしまう。これは制度設計の問題ではなく、管理組合の現実の問題です。

浜松市の窓口は3つだけ覚えればいい

大規模修繕まわりで浜松市の管理組合が関わる窓口は、実質3つです。

用件 電話番号 場所
管理計画認定、助言・指導、マンション管理全般、無料相談会 都市整備部 住宅課 053-457-2457 市役所本館(中央区元城町103-2)
固定資産税の減額申告(長寿命化促進税制ほか) 財務部 資産税課 053-457-2155 元目分庁舎(中央区元目町120-1)
耐震診断・耐震補強・アスベスト・ブロック塀の補助 都市整備部 建築行政課 053-457-2471 市役所本館4階

(出典:各制度ページの問い合わせ欄/浜松市)

資産税課だけ場所が違う点に注意してください。市役所本館ではなく、元目町の元目分庁舎です。申告書を持参するつもりで本館に行くと二度手間になります。

どこに聞けばいいか分からないときは、市民コールセンター(053-457-2111、8時30分〜17時15分)があります。開庁時間は月曜〜金曜の8時30分〜17時15分です。

【本記事の核心1】管理計画認定の手数料が、令和9年3月31日まで0円

ここが浜松市の最大の「使い時」です。

浜松市の管理計画認定の申請手数料は、次のとおりです。

管理計画認定手続支援サービスを利用する場合 利用しない場合
1件につき 0円(令和9年4月1日以降は4,000円) 28,100円
追加の長期修繕計画1つあたりの加算額 0円(令和9年4月1日以降は1,800円) 16,200円

(出典:浜松市「マンション管理計画認定制度」/更新日2026年7月2日)

浜松市のページには「制度開始から5年間(令和9年3月31日まで)は無料とします」と書かれています。

比較してみます。静岡県の町域(長泉町・清水町・函南町など)で県に申請する場合、事前確認の適合証があれば4,000円、なければ28,100円でした(令和8年4月1日改定)。浜松市は、支援サービスを利用した電子申請であれば、令和9年3月31日までは0円です。

一団地に複数の住棟があるマンションで長期修繕計画が3本あるケースなら、支援サービスを使わない場合は28,100円+16,200円×2=60,500円。使えば0円です。差は60,500円。

もちろん、管理計画認定手続支援サービスの利用には、(公財)マンション管理センターへのシステム利用料と事前確認審査料が別途かかります。ここは正直に書いておきます。それでも、市の手数料が0円である期間は限られている、という事実は変わりません。

令和9年3月31日は、浜松市の管理組合にとって「二重の締切」

ここで気づいてほしいことがあります。

  • 管理計画認定の手数料無料期間の終わり:令和9年3月31日
  • マンション長寿命化促進税制の対象工事の完了期限:令和9年3月31日

同じ日です。

長寿命化促進税制は、令和5年4月1日から令和9年3月31日までに長寿命化工事が完了したマンションが対象です(出典:浜松市 固定資産税の減額ページ)。そして認定制度の手数料無料期間も同じ日に終わる。

本記事の公開日から令和9年3月31日まで、およそ19か月です。

この19か月で何が起きるかを、工事屋の感覚で並べておきます。

段階 標準的にかかる期間
劣化診断・調査 1〜2か月
設計・仕様の確定 2〜3か月
施工会社の選定(相見積り・比較・面談) 2〜3か月
総会での議決 最大12か月待ち(定時総会が年1回のため)
工事 3〜6か月
完了後の減額申告 完了日から3か月以内

合計だけ見れば19か月に収まりそうに見えます。しかし律速になるのは総会です。管理組合が意思決定できるのは、原則として年1回の定時総会だけだからです。次の定時総会で議決できるかどうかが分岐点になります。

正直に書きますが、これから検討を始めて令和9年3月31日までに工事を完了させられる管理組合は、多くはありません。それでも今から動く価値がある理由を3つ挙げます。

  1. 税制の期限は延長されてきた実績がある。 令和8年度税制改正でも延長と要件緩和が行われています。ただし「延長されるはずだ」という前提で計画を組むのは危険です。
  2. 管理計画認定は税制と切り離しても価値がある。 【フラット35】および住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資で金利優遇を受けられます(出典:浜松市 認定制度ページ)。
  3. 準備が無駄にならない。 長期修繕計画の見直し、修繕積立金の水準確認、区分所有者名簿の整備。これらは認定基準の項目であると同時に、どのみち管理組合がやらなければならないことです。

【本記事の核心2】長寿命化促進税制は、管理者等が「一括申請」できる

これは、この連載で初めて明確に書ける論点です。浜松市のページに、はっきり書かれています。

マンション管理組合の管理者等による一括申請が可能です。
マンション管理組合の管理者等から必要な書類の提出があり、要件に該当すると認められる場合には、当該マンションの各納税義務者(区分所有者)からの申告書の提出がなくても、減額措置の適用が受けられます。

(出典:浜松市 固定資産税の減額ページ

しかも同ページには「(マンション管理組合の管理者等が必要な書類を提出する場合は減額申告書は不要です。)」とも書かれています。

これが実務的に何を意味するか。

100戸のマンションで、区分所有者100人がそれぞれ申告書を書いて資産税課に出す——これは現実的ではありません。賃貸に出しているオーナーは市外に住んでいます。相続で名義が変わったばかりの住戸もあります。高齢で書類の記入が難しい方もいます。100人全員の足並みを揃えるのは、理事会の仕事としては重すぎる。

一括申請が可能なら、理事長(管理者等)が書類を揃えて資産税課に1回持っていけば、全戸に減額が適用されるということです。

理事会でこの制度を説明するとき、「各自で申告してください」と言うのと「理事会でまとめて申告します」と言うのとでは、議案の通りやすさがまるで違います。後者にできる、という点を必ず確認してください。確認先は資産税課(053-457-2155)です。

長寿命化促進税制の中身を、要件から確認する

制度の中身を整理します。すべて浜松市のページの記載に基づきます。

対象になるマンション((1)か(2)のどちらか)

(1)管理計画認定マンションの場合

項目 要件
対象家屋 管理計画認定マンションであること/居住用専有部分を有すること/新築から20年以上経過/総戸数10戸以上
過去の工事 過去に長寿命化工事が行われたもの(外壁・床防水・屋根防水が同時期である必要はない)
修繕積立金 令和3年9月1日以降に修繕積立金の平均額を管理計画の認定基準まで引き上げたもの

(2)助言又は指導を受けた管理組合の場合

項目 要件
対象家屋 マンション管理適正化法第5条の2第1項に基づく助言又は指導を受けた管理組合の管理者等に係るマンション/居住用専有部分を有すること/新築から20年以上経過/総戸数10戸以上
過去の工事 過去に長寿命化工事が行われたもの
長期修繕計画 助言又は指導を受けて長期修繕計画を作成または見直し、基準に適合することとなったもの

ここが分かれ目です。(1)は修繕積立金の引き上げが要件に入っています。(2)には入っていません。

修繕積立金の引き上げは総会決議事項です。つまりどちらのルートを選ぶかが、管理組合の総会運営そのものを左右します。(1)を選ぶなら「積立金の値上げ」という重い議案を通さなければならない。(2)なら長期修繕計画の見直しで足りる可能性がある。

そして浜松市は、(2)の助言・指導を出す主体でもあります。ここが政令指定都市の強みです。県に問い合わせて、県から様式をもらって、という往復が発生しません。

対象になる工事

次の3つすべてが、同一の工事請負契約の中で行われるなど、一体として扱われる工事であることが必要です。

  1. 外壁について行う修繕又は模様替(外壁塗装工事
  2. 直接外気に開放されている廊下・バルコニー等について行う防水の措置(床防水工事
  3. 屋上部分・屋根・ひさし等について行う防水の措置(屋根防水工事

工事屋として、ここは強く言っておきたいところです。「屋上防水は積立金が厳しいから次回に回そう」という判断が、この税制の対象から外れる原因になります。

大規模修繕の設計段階で予算が足りないとき、削られやすいのが屋上防水です。外壁とバルコニー床防水は見た目に直結するので残る。屋上は住民の目に触れないので後回しになる。よくある話です。

しかしこの3点セットが揃わないと、税制は使えません。設計事務所や施工会社に見積りを依頼する段階で、「この3つを同一契約に入れた場合と入れない場合で、金額がどう変わるか」を出させてください。分けたほうが安く見えても、税の減額と、次回の仮設費が二重にかかることを合わせると、逆転するケースがあります。

減額の内容

項目 内容
対象税額 1戸あたり居住部分100平方メートルまでに相当する額(100平方メートル以下の家屋は全額)
減額率 3分の1
減額期間 1年間
都市計画税 減額なし

正直に書きます。1年間・3分の1です。固定資産税が年10万円の住戸なら、減額されるのは約3.3万円。「その程度か」と思う理事の方もいると思います。

ですが100戸のマンションなら、組合全体では300万円規模になり得ます。そして手続きは理事長の一括申請1回で済む。費用対効果でいえば、大規模修繕にまつわる事務作業の中で、これはかなり上位に来ます。

申告の手続きと必要書類

長寿命化工事が完了した日から3か月以内に、資産税課へ申告します。

必要な書類は以下のとおりです。

  • 大規模修繕工事等を行ったマンションに対する固定資産税の減額申告書(管理者等が提出する場合は不要)
  • 大規模の修繕等証明書
  • 過去工事証明書
  • 総戸数が分かる書類
  • 管理計画の認定通知書(認定マンションの場合)
  • 修繕積立金引上証明書(認定マンションの場合)
  • 助言・指導内容実施等証明書(助言・指導ルートの場合)

浜松市は申告書のPDF・Word・記載例(PDF)を公開しています。理事会で「制度がよく分からない」という話になったら、記載例を1枚印刷して回すのが最短です。

証明書には、着工前でないと取れないものがある

ここが実務上いちばん大事なところです。

上記の書類のうち、「大規模の修繕等証明書」は建築士事務所に所属する建築士が発行します。工事が終わってから「証明書を出してください」と頼んでも、工事前・工事中の状況を確認していない建築士は書けません。

だから、こうしてください。

  1. 設計監理を委託する建築士との契約に、「長寿命化促進税制の大規模の修繕等証明書の発行」を業務範囲として明記する。後から追加で頼むと別料金になるか、そもそも受けてもらえません。
  2. 着工前の写真を、施工会社に明示的に指示して撮らせる。足場が架かり、高圧洗浄が終わり、下地補修が始まったら、改修前の状態はもう存在しません。撮影範囲と枚数を仕様書に書いてください。
  3. 「過去工事証明書」は、前回工事の資料が必要になる。前回の施工会社が廃業していると、契約書も竣工図書も取れなくなります。理事会の書庫に何が残っているか、今のうちに確認してください。これは今日でもできます。

証明書が1枚足りないだけで、100戸分の減額が丸ごと消えます。工事の品質とは無関係のところで損をするのは、あまりに惜しい。

【本記事の核心3】浜松市の補助制度には「マンション」という行がある

ここからは金額の話です。この連載でこれまで扱ってきた市町の中で、浜松市の建築物耐震補強助成事業は、群を抜いて金額が大きい制度です。

浜松市の建築物耐震補強助成事業の対象用途一覧には、こう書かれています。

用途 規模
(中略:学校・病院・ホテル・事務所・工場など) 延べ面積1,000平方メートル以上
マンション 階数3以上かつ延べ面積1,000平方メートル以上

(出典:浜松市「建築物耐震補強助成事業」/更新日2026年4月8日)

用途の一覧の中に、独立した行として「マンション」があります。しかも規模の条件が他の用途と違う(階数3以上という条件が加わっている)。これは、浜松市が分譲マンションを補助対象として個別に想定していることの証拠です。

さらに補助金額の基準額表を見てください。

免震工法で施工する場合 83,800円/平方メートル
免震工法以外で施工する場合 マンション 50,200円/平方メートル
マンション以外 51,200円/平方メートル

基準額の単価表に「マンション」という専用行がある。これも本シリーズ初です。函南町では「非木造住宅(マンション含む)」という括弧書きを見つけて驚きましたが、浜松市は単価表のレベルでマンションを分けています。

補助金額の計算方法

浜松市のページの記載はこうです。

耐震改修工事に要する経費と基準額とを比較して、いずれか少ない額の23%の3分の2以内(上限1,600万円)

計算してみます。実際の耐震改修工事費が基準額を下回る一般的なケースで試算します。

耐震改修工事費 23%相当額 その3分の2 補助額(上限1,600万円)
3,000万円 690万円 460万円 460万円
5,000万円 1,150万円 766万円 766万円
8,000万円 1,840万円 1,226万円 1,226万円
1億2,000万円 2,760万円 1,840万円 1,600万円(上限)

(筆者試算。実際の交付額は建築行政課の審査によります)

上限1,600万円。この連載で扱ってきた制度の中で、桁がひとつ違います。ブロック塀の上限が20万円台、アスベスト除去が300万円、そして耐震補強が1,600万円です。

なお「要緊急安全確認大規模建築物」に該当する場合は607/1,800という別の率が適用されます。該当するかどうかは建築行政課に確認してください。

また、この事業は代理受領制度が使えます。補助金を管理組合が受け取ってから施工会社に払うのではなく、市から施工会社へ直接支払う仕組みです。管理組合の資金繰りの負担が軽くなります。これも見積り段階で施工会社に伝えておいてください。

ただし、対象は旧耐震(昭和56年5月31日以前)に限られます

条件を正確に書きます。次のすべてに該当することが必要です。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された建築物
  • 倒壊の危険性がある建築物(Is値0.6未満またはq値1.0未満等)
  • 上記の用途・規模に該当する
  • 建築基準法第10条に規定する耐震改修に係る命令を受けていない
  • 耐震改修後に地震に対して安全な構造(Is値0.6以上かつq値1.0以上等)となる工事を実施する

つまり、築45年以上の分譲マンションの話です。浜松市内に該当する物件は決して多くはありません。しかし該当するなら、1,600万円という金額は管理組合の意思決定を根本から変えます。

自分のマンションが旧耐震かどうかは、建築確認済証の交付日で判断するのが確実です。管理組合の書庫か、管理会社の保管書類にあります。昭和56年5月31日以前の交付なら、旧耐震基準で確認を受けた建物です。

旧耐震なら、外装より耐震が先です

これは工事屋として毎回書いていることですが、浜松市は補助額が大きいぶん、より強く言います。

旧耐震のマンションで、耐震診断をしないまま大規模修繕(外壁・防水)を先に発注するのは、順番を間違えています。

理由は単純で、耐震補強工事は壁を壊し、ブレースや耐震壁を入れ、外壁の一部をやり直す工事だからです。先に外壁をきれいに塗ってから耐震補強をすれば、塗ったばかりの外壁を壊すことになります。そして足場を2回架けることになります。

仮設足場は工事費の15〜25%を占めます。5,000万円の工事なら750万円〜1,250万円。これを2回払うのか1回で済ませるのか。管理組合にとっては、そのまま積立金の話です。

耐震診断も、補助率は3分の2と明記されている

耐震補強の前段には耐震診断があります。浜松市の「非木造住宅・建築物耐震診断事業」の対象には、こう書かれています。

昭和56年5月31日以前に建築された非木造住宅、住宅以外の建築物及びマンション(※)
(※)マンションとは、地上3階以上かつ延べ面積1,000平方メートル以上のものをいいます。

(出典:浜松市「建築物耐震診断事業」/更新日2026年4月16日)

補助金額は、耐震診断に要する経費と基準額とを比較して少ない額の3分の2以内。基準額の単価は次のとおりです。

延べ面積の区分 単価
1,000平方メートル以内の部分 3,670円/平方メートル
1,000平方メートル超〜2,000平方メートル以内の部分 1,570円/平方メートル
2,000平方メートルを超える部分 1,050円/平方メートル

延べ面積ごとに基準額と補助上限(基準額の3分の2)を試算すると、次のようになります。

延べ面積 基準額 補助額の目安(基準額×2/3)
1,000平方メートル 367万円 約244万円
2,000平方メートル 524万円 約349万円
3,000平方メートル 629万円 約419万円
5,000平方メートル 839万円 約559万円
8,000平方メートル 1,154万円 約769万円

(筆者試算。実際の交付額は経費と基準額の少ないほうが基礎になります)

ここで連載の流れを補足しておきます。函南町の記事では、同じ単価表(3,670円/1,570円/1,050円)が公表されているものの、マンションを含む「その他建築物」欄に補助率の記載がなかったため、「基準額がそのまま交付額かどうかは分からない」と正直に書きました。浜松市は「3分の2以内」と明記しています。同じ静岡県内でも、公表の粒度がこれだけ違います。

なお、一定規模以上のものについては第三者機関による評定書の取得が必要です。診断費用の見積りには、現場調査費・耐震診断費・図面作成費・報告書作成費・各種試験費用・耐震評定書の費用が含まれます。

【最重要の落とし穴】浜松市の補助は、全部「契約前」です

浜松市の補助制度のページを順番に読んでいくと、同じ文言が繰り返し出てきます。

  • 建築物耐震診断事業:「手続きをする前に建築士事務所と契約等を進めてしまった場合は、補助の対象となりません
  • 建築物耐震補強助成事業:同上
  • アスベスト対策事業:「事後の申請はできませんので、分析機関や飛散防止工事の施工業者と契約する前に、建築行政課と事前協議を行ってください」
  • ブロック塀等撤去改善事業:「決定通知書が届いてから契約をしてください。既に着手または完了している場合は補助金をお出しできません」

浜松市の補助制度は、例外なく「交付決定 → 契約 → 着工」の順序を要求します。

管理組合にとって、これは総会運営の問題です。よくある失敗はこうです。

総会で「大規模修繕工事を〇〇社に発注する件」を可決 → 理事長が工事請負契約を締結 → その後に「そういえば補助金があるらしい」と気づく → 手遅れ

これを防ぐために、総会議案書に次の一文を入れてください。

「本工事のうち補助制度の対象となり得る部分については、市の交付決定を受けた後に契約を締結するものとし、交付決定に至らない場合の対応は理事会に一任する。」

この一文があるだけで、理事長は「補助金の結果を待つ」という判断ができます。ない場合、理事長は総会決議を早く執行しなければならないというプレッシャーの中で、契約を急いでしまいます。

【本シリーズ初】吹付けアスベスト対策事業と、その正直な限界

これは、この連載でまだ一度も取り上げていない制度です。浜松市には民間建築物吹付けアスベスト対策事業があります(令和8年4月1日改正)。

事業 補助率 上限
アスベスト分析調査事業 分析調査に要する経費の10分の10以内 1棟あたり25万円
アスベスト除去等事業 除去等に要する経費の3分の2以内 1敷地あたり300万円

(出典:浜松市「民間建築物吹付けアスベスト対策事業について」/更新日2026年4月3日)

分析調査は10分の10、つまり全額です(上限25万円)。

なぜ大規模修繕の記事でアスベストを扱うのか

昭和50年代までに建てられたマンションでは、共用部の一部に吹付け材が使われていることがあります。具体的には、機械室・電気室、エレベーターシャフト内、パイプスペース、駐車場や自転車置場の天井、屋上塔屋の内部などです。

大規模修繕工事では、これらの場所に足場が架かり、人が入り、場合によっては下地を触ります。吹付け材が石綿を含有していれば、大規模修繕の工程そのものが変わります。作業計画も、届出も、養生も、費用も変わる。だから工事の設計に入る前に、有無を確定させておくほうがいい。

分析調査が全額補助(上限25万円)で受けられるのなら、これは使わない理由がありません。

ただし、外壁の仕上塗材は対象外です

ここは正直に、はっきり書きます。浜松市のページには注記があります。

(※1)バーミキュライト、パーライト、仕上塗材の除去等は対象外です。
成形板(スレート波板、ケイ酸カルシウム板、カラーベスト屋根材、ビニル床タイル材等)は対象外です。

大規模修繕でいちばん問題になりやすいのは、実は外壁の石綿含有仕上塗材です。古いマンションの吹付けタイルやリシンに石綿が含まれていることがあり、これを剥がす作業には石綿則に基づく措置が必要になります。そしてこの補助金は、そこには使えません。

対象になるのは「規制の対象となる吹付けアスベスト」、つまり鉄骨梁や天井などに吹き付けられたアスベストです。外壁の仕上塗材は別扱いです。

「アスベストの補助があるから外壁の石綿対策費が減る」と期待して見積りを組むと、そこは補助の対象外です。この線引きを、設計段階で施工会社と共有しておいてください。

手続きの注意点

  • 申請窓口は建築行政課(市役所本館4階)のみ。区役所や協働センターでは申請できません。
  • 事後の申請はできません。分析機関や施工業者と契約する前に、建築行政課と事前協議を行ってください。
  • 調査は建築物石綿含有建材調査者による調査に基づいて実施する必要があります。
  • 申請時の添付書類に「対象経費の見積書の写し(2社以上)」が含まれます。1社見積りでは受け付けられません。
  • 「予算がなくなり次第、受付終了となります」と明記されています。年度の早い時期に動くほうが有利です。

ブロック塀等撤去改善事業|調査結果は「翌々年度まで有効」

敷地の外周にブロック塀があるマンションは、この制度を大規模修繕と同じ議案にまとめることを検討してください。

区分 基準額の単価 補助率 上限
撤去費 14,000円/メートル 3分の2以内 200,000円
新設費(安全な塀) 38,400円/メートル 3分の2以内 250,000円

(出典:浜松市「ブロック塀等撤去改善事業」/更新日2026年4月7日)

対象になるのは、道路等に沿っている(または転倒時に道路等に影響を及ぼす)、道路からの高さ80センチメートル以上かつ2段以上積まれた塀で、市が実施する事前現地調査を受けたものです。

この制度で、いちばん実務的に効く一文

浜松市のページには、こう書かれています。

調査結果は、ブロック塀等の状況が変わらない限り、翌々年度まで有効です。

これは管理組合にとって大きい。今年度のうちに事前現地調査だけ受けておけば、その結果は翌々年度まで使えます。大規模修繕の工事年度が令和9年度や令和10年度になっても、調査は今受けておいていい、ということです。

事前現地調査は電話・窓口・オンラインフォームから申し込めます。申込から調査までは3週間程度。立会いは基本的に不要です。理事長が現地に行く必要すらありません。

今週やれることのリストに、これを入れてください。電話1本と、3週間後に市職員が来て見ていくだけです。

大規模修繕と同じ議案にまとめる理由

ブロック塀の工事を別の年に立てると、次のことが起きます。

  • 近隣へのあいさつ回りが2回になる
  • ガードマンと車両誘導の費用が2回かかる
  • 外構の色を新しい外壁色に合わせられない(先に塀を替えると色が合わない、後に替えると足場の後の再工事になる)
  • そして最大の理由:管理組合が決められるのは年1回の定時総会だけ。別々の年に議案を立てれば2年かかる。

注意:法人格のある管理組合はオンライン申請ができません

浜松市のブロック塀補助はオンライン申請に対応していますが、「浜松市職員による事前現地調査が完了済みの個人が対象」であり、「申請区分が法人の場合は、窓口又は郵送での申請が必要」と明記されています。

管理組合法人の場合は、窓口か郵送になります。マイナンバーカードを用意して申請しようとして、当日になって使えないと分かると時間を失います。事前に建築行政課(053-457-2471)に確認してください。

浜松市の住宅系制度を「共用部の大規模修繕で使えるか」で1列判定する

浜松市の「はままつ住まいづくりガイド」には、公的助成制度が数十本並んでいます。管理組合の理事が全部読むのは現実的ではありません。共用部の大規模修繕という観点だけで判定した表を作りました。

制度 共用部の大規模修繕で使えるか 一言
マンション管理計画認定制度 令和9年3月31日まで手数料0円(支援サービス利用時)
長寿命化促進税制(固定資産税の減額) 管理者等の一括申請が可能。外壁・床防水・屋根防水の3点セットが要件
建築物耐震診断事業 (旧耐震・3階以上・1,000平方メートル以上) 3分の2以内
建築物耐震補強助成事業 (同上) 上限1,600万円。代理受領制度あり
民間建築物吹付けアスベスト対策事業 分析調査は全額(上限25万円)。ただし外壁の仕上塗材は対象外
ブロック塀等撤去改善事業 事前現地調査が必須。結果は翌々年度まで有効
感震ブレーカー設置費助成事業 共用部設置の可否は要確認(危機管理課)
創エネ・省エネ・蓄エネ型住宅推進事業費補助金 個人住宅向けの設計。共用部での適用可否は要確認
木造住宅耐震補強助成事業 × 木造限定
住宅の省エネ改修に伴う固定資産税の減額措置 × 専有部の話。区分所有者個人が申告
住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置 × 同上
まちなか定住促進・子育て応援環境づくり補助金 × 取得・移住向け
空き家等除却促進事業費補助金 × 除却向け
がけ地近接等危険住宅移転事業 × 移転向け

(出典:浜松市「2 浜松市の公的助成制度」/更新日2026年6月3日をもとに筆者が判定)

「×」だと分かっている制度に理事会の時間を使わずに済むこと。これにも価値があります。理事の任期は1年か2年です。時間は有限です。

なお、省エネ改修とバリアフリー改修の固定資産税減額は、区分所有者個人が専有部で申告するものです。管理組合が判断することではありません。ただし、同じ年度に共用部の長寿命化促進税制と個人の専有部の減額が重なるケースはあり得ます。減額措置には併用できる組み合わせとできない組み合わせがあるので、管理組合は税務判断をせず、「各自で資産税課にご確認ください」と周知する役割に徹するのが正解です。

工事完了後の周知文に、この1行を入れておいてください。

「共用部の工事について、管理組合が固定資産税の減額申告を一括で行います。専有部の窓の断熱改修などで個人の減額申告を予定されている方は、同じ年度に重なる場合の取扱いを資産税課(053-457-2155)にご確認ください。」

浜松市自身が「10年後に37%」と書いている

浜松市は、令和4年4月に浜松市マンション管理適正化推進計画を策定・公表しています。計画期間は令和4年度から令和13年度の10年間(5年後に見直し)。

この計画に、市内マンションの実態として次の数字が載っています。

築40年を超えるマンションが急増(現在:8%、10年後:37%、20年後:70%)し、適切な管理がなされないと居住者・近隣住民等の生命・身体・財産に危害を及ぼす恐れがあります。

(出典:浜松市マンション管理適正化推進計画/更新日2026年4月16日)

そして市が掲げる目標はこれです。

25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金額を設定しているマンション管理組合の割合を現状の51%から令和13年度までの10年間で75%以上に引き上げる。

この数字の読み方を書いておきます。

現状51%ということは、浜松市内の分譲マンション管理組合のおよそ半分が、25年以上の長期修繕計画に基づく積立金設定をしていないということです。市が実態調査をして出した数字です。

私は現場で、長期修繕計画が実質的に機能していない管理組合をたくさん見てきました。10年前に作ったきり見直していない。作った当時の物価で組まれている。前回工事の実績が反映されていない。そういう計画は「ある」けれども「基づいていない」。

浜松市はそれを51%と数字にして、市の計画に書きました。自分たちの組合がその51%側にいるのか49%側にいるのかを確かめることが、大規模修繕の出発点です。確かめ方は簡単で、長期修繕計画の作成年月日と計画期間を見るだけです。

そして市の施策として、次の3つが計画に書かれています。

  • 分譲マンション管理セミナーの開催
  • マンション管理士の派遣
  • 分譲マンション管理に関する相談会の実施

このうち、いま日程が確定しているものがあります。

10月27日の無料相談会|定員10組・申込開始は9月15日

浜松市は、分譲マンションの管理組合役員や区分所有者を対象とした無料相談会を開催します。

項目 内容
日時 令和8年10月27日(火曜日)午前10時00分〜午後4時00分
場所 浜松市役所本館5階 51会議室(中央区元城町103-2)
対象 浜松市民の方で分譲マンションに関する相談がある方
相談員 静岡県マンション管理士会のマンション管理士
定員 10組(先着順)
参加費 無料
相談時間 1組あたり30分まで(時間帯は市が指定・後日通知)
申込期間 令和8年9月15日(火曜日)〜10月2日(金曜日)
申込方法 所定の申込用紙をファクス・Eメール・持参、またはインターネット
結果通知 令和8年10月8日(木曜日)以降に郵送

(出典:浜松市「分譲マンションについての無料相談会のご案内」/更新日2026年8月20日)

相談内容として市が挙げているのは、次のとおりです。

  • 総会・理事会、滞納処理対策、大規模修繕工事等の管理組合の運営
  • 管理規約・使用細則の作成および改正に係る問題
  • 管理会社・分譲会社との関わり など

「大規模修繕工事等」が、市が例示する相談内容に明記されています。遠慮なく大規模修繕の相談をしていい相談会だ、ということです。

この相談会を使い切るための、現実的な注意点

正直に書きます。この相談会には3つのハードルがあります。

  1. 定員10組・先着順。浜松市内の分譲マンション管理組合の数を考えると、10組は多くありません。
  2. 申込開始は9月15日(火)。それより前には申し込めません。
  3. 平日火曜日の10時〜16時。働いている理事長は有給休暇が必要です。

だから、こうしてください。

今日のうちに、9月15日(火)にリマインダーを設定する。これだけです。スマートフォンのカレンダーに「浜松市マンション無料相談会 申込開始」と入れて、通知をオンにする。所要時間1分。

そして相談の30分をどう使うか、事前に決めておいてください。30分は短い。世間話をしていたら終わります。私なら、この3点に絞ります。

  1. 「うちの長期修繕計画は、管理計画認定の基準を満たしていますか」(計画期間30年以上、残存期間内に大規模修繕2回以上、積立金の平均額が著しく低額でないか)
  2. 「認定ルートと助言・指導ルート、うちの組合はどちらが現実的ですか」(積立金の引き上げ議案を通せるかどうかが分岐点)
  3. 「相見積りの比較で、素人がいちばん見落とすのはどこですか」

そして持っていくものは3点。長期修繕計画書、直近の総会議事録、修繕積立金の残高が分かる書類。これがないと、相談員は一般論しか答えられません。

もう1つ。理事長ひとりで行かないでください。次期理事の候補と2人で行く。理事の任期は短く、引き継ぎで抜け落ちる情報は必ずあります。同じ話を2人が聞いていることの価値は大きい。

なお、市が実施する施策にはマンション管理士の派遣も含まれています(推進計画に記載)。相談会とは別枠の可能性があるので、住宅課(053-457-2457)に「派遣制度の実施状況」を併せて確認してください。1回の電話で2つの用件を済ませられます。

国の制度|モデル事業の第3回公募は令和8年9月14日〜18日

国土交通省のマンションストック長寿命化等モデル事業は、令和8年度も提案募集が行われています。第3回の受付期間は令和8年9月14日(月曜日)から9月18日(金曜日)までです(出典:国土交通省 報道発表)。

本記事の公開日から2週間ほどしかありません。正直に書きます。今から準備して第3回に間に合う管理組合は、限られます。

それでもこの情報を書く理由が3つあります。

  1. 年度内に複数回の募集がある。令和8年度は第1回(4月)、第2回(6月)、第3回(9月)という構成でした。次年度も同様の構成になる可能性があります。
  2. 公募要領の必要書類一覧が、そのまま良い準備リストになる。申請しなくても、何を揃えるべきかが分かります。
  3. 先導性の要件に、工法の工夫が入り込む余地がある。無足場工法による居住者負担の軽減や工期短縮は、モデル性として説明できる論点です。

今週やることは1つだけでいいです。公募要領の必要書類一覧のページだけ印刷する。所要時間15分。理事会の書類ばさみに入れておく。それだけで来年度の初動が変わります。

長寿命化促進税制は、国レベルで延長・緩和されています

令和8年度税制改正で、マンション長寿命化促進税制について適用期限の延長と要件の見直しが行われています(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。床面積の下限についても見直しが行われています。

ここで注意です。自治体のページの更新が、国の改正に追いついていないことがあります。浜松市の減額ページの更新日は2026年6月18日で比較的新しいのですが、それでも記載内容と最新の国の制度が完全に一致しているかは、市に確認するのが確実です。

理事会の宿題として、「住戸タイプ別の専有面積一覧を管理会社に依頼し、40平方メートル台と50平方メートル台が何戸あるか数える」を出しておいてください。30分の作業です。床面積要件が話題になったときに、即答できるかどうかで議論のスピードが変わります。

静岡県の支援|マンション管理士の無料派遣と県セミナー

浜松市の制度とは別に、静岡県の制度も使えます。

静岡県マンション管理士無料派遣は、県内10件程度・各組合2回まで、費用は無料です。申込先は静岡県マンション管理士会(ファクス 0544-27-6561)、制度の窓口は静岡県住まいづくり課(054-221-3084)です。派遣の期限があるため、年度後半は締切に注意してください。

2回の使い方を、浜松版に具体化しておきます。

  • 1回目: 長期修繕計画と修繕積立金の水準確認。管理計画認定の基準に照らして、どこが足りないかを洗い出す。
  • 2回目: 相見積りの比較と施工会社の選定。見積書を3社分持参して、どこを見るべきかを教わる。

申込書の「相談内容」欄には、次の3行を書いてください。抽象的に書くと、抽象的な回答しか返ってきません。

  1. 「管理計画認定と長寿命化促進税制について、認定ルートと助言・指導ルートのどちらが当組合にとって現実的か判断したい」
  2. 「長期修繕計画が管理計画認定の基準(計画期間30年以上・残存期間内に大規模修繕2回以上)を満たしているか確認したい」
  3. 「大規模修繕の相見積り3社の比較で、管理組合が見落としやすい点を教えてほしい」

県のマンション管理セミナーも県内各地で開催されています。浜松市は県西部の中心都市なので、県が会場を設定する際の主要都市のひとつです。開催予定は静岡県住まいづくり課に確認してください。

住宅金融支援機構の3制度も、忘れずに

修繕積立金が足りないときの選択肢として、独立行政法人 住宅金融支援機構の制度があります。

制度 内容
マンション共用部分リフォーム融資 管理組合が借主となる融資。管理計画認定を受けていると金利が引き下げられます
マンションすまい・る債 修繕積立金を積み立てながら運用する仕組み。認定を受けていると利率が上乗せされる取扱いがあります
マンションライフサイクルシミュレーション 積立金の将来推計を無料で試算できるツール

(出典:住宅金融支援機構

浜松市の認定制度ページにも、認定のメリットとして「(独)住宅金融支援機構の【フラット35】及びマンション共用部リフォーム融資の金利優遇を受けることができる」と明記されています。

認定の価値は、税制だけではありません。融資条件と、将来の売却時の市場評価にも効きます。ここは理事会で説明するときに落としやすいポイントです。

ここからは工事屋の話です|遠州のからっ風と、足場

制度の話はここまでです。ここからは、浜松市の建物を工事する側から見た話を書きます。

浜松には「遠州のからっ風」という言葉があります。冬になると北西から強い季節風が吹く。地元の方には説明不要でしょうが、これは大規模修繕にとって、はっきりとした技術的条件です。

強風が工期と金額に効く仕組み

足場を架けると、建物の外周にメッシュシートが張られます。塗料の飛散を防ぎ、工具の落下を防ぐためです。このメッシュシートが、風を受けます。

強風が予想される日は、シートの一部を開放するか、たたんで縛ります。作業が終わったら戻します。この開放と復旧の作業が、そのまま人工(にんく)として工程に乗ります。そして強風の日は高所作業そのものを中止します。

つまり冬季の浜松では、次のことが起きます。

  • 予備日を多めに見ておく必要がある
  • 足場の控え(壁つなぎ)の本数が増えることがある
  • 工期が延びれば、足場のリース期間が延びる

足場は日数で借りています。工期が延びれば仮設費が増える。これは避けようがありません。

見積書に、この1文を質問してください

「強風・降雨による作業中止の判断基準は仕様書のどこに書かれていますか。予備日は何日みていますか。予備日を超過した場合の足場リース延長費用は、誰の負担になりますか。」

3つ目が本命です。予備日を超過したときの足場延長費用の負担者が契約書に書かれていないまま着工すると、工期が延びたときに揉めます。天候は誰のせいでもないので、なおさら揉めます。

方位別の劣化要因を、浜松版で整理する

方位・部位 主な劣化要因 現場で出やすい症状
北西面 冬季の強い季節風と雨がかり シーリングの早期硬化、塗膜の摩耗が他面より進む
南面 日照時間が長く、紫外線量が大きい チョーキング(白亜化)の進行が早い、塗膜の退色
北面 日照が少なく乾きにくい コケ・藻の付着、防水層の乾燥不良
屋上 日射と温度差による伸縮 防水層のふくれ、押えコンクリートのひび
海側に近い立地 飛来塩分 鉄部の腐食が早い、手すり根元の膨張
バルコニー床 生活動線・排水 防水層のすり減り、排水ドレン周りの詰まり

浜松は日照時間が長い地域です。これは南面の塗膜にとっては厳しい条件です。「外壁塗装 一式」という1行の見積書では、南面と北面で仕様を変えているのかどうかが分かりません。方位別に数量と仕様を分けて出させてください。

仮設足場は、工事費の15〜25%を占めます

これは全国どこでも変わらない数字です。大規模修繕工事の総額に占める仮設足場費の割合は、おおむね15〜25%です。

工事総額 仮設足場費の目安(15〜25%)
3,000万円 450万円〜750万円
5,000万円 750万円〜1,250万円
8,000万円 1,200万円〜2,000万円
1億2,000万円 1,800万円〜3,000万円

見積書では、この金額が「仮設工事 一式 〇〇円」というたった1行で出てくることがあります。

理事会でよく起きることを書きます。植栽の剪定費20万円については活発に議論が起きるのに、仮設工事750万円の1行には誰も質問しない。これは理事が不真面目だからではありません。判断材料が渡されていないからです。20万円の剪定は想像できるが、750万円の足場が高いのか安いのか、判断する物差しがない。

物差しを手に入れる質問は1文です。

「仮設工事の金額を、架面積の平米単価リース期間に分解して出してください。」

架面積(足場を架ける面積)×単価×期間。この3つに分解されれば、3社の見積りを比較できるようになります。単価が同じで期間が違えば、工程の組み方が違うということです。

浜松市のマンション向け|ハイブリッド工法の3パターン

ここで私の会社の話を少しだけします。株式会社明誠は、通常の足場を架ける工法、ロープアクセス工法(無足場工法)、そしてその両方を部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つを、建物の条件に応じて提案できる会社です。日本で初めてロープアクセス工事のフランチャイズ展開を行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板など各分野の専門職が加盟しています。ロープアクセス工法の技術的な情報は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめています。

先に、いちばん大事なことを書きます。ロープアクセス工法は万能ではありません。私が「今回は足場でいきましょう」と申し上げる現場は、普通にあります。

足場が有利になる条件は、はっきりしています。

  • 下地補修(コンクリートの欠損・ひび割れ・タイル浮き)の数量が読めない場合。開けてみないと分からない補修が多いなら、足場のほうが結果的に安く早い。
  • タイルの浮きが広範囲に及ぶ場合。打診調査の結果次第です。
  • 外壁の形状が複雑で、凹凸やルーバーが多い場合。
  • サッシ廻りや手すりの取替など、資材の搬入が多い工事を同時にやる場合。

そのうえで、浜松市のマンションで実際に効きやすい組み合わせを3つ挙げます。

パターン1:風の当たる面だけ、ロープアクセスに置き換える

冬季の北西面は、メッシュシートが風を受けて工程が乱れやすい面です。この面を足場ではなくロープアクセスで施工すると、風による中止判断の影響を受ける範囲が小さくなります。足場の架面積が減れば、そのまま仮設費が減ります。

パターン2:低層は足場、高層はロープアクセス

建物の上に行くほど風は強くなります。上層階を足場で覆わないことで、風圧を受ける面積そのものを減らせます。下層階は資材の出し入れが多いので足場を残す。この組み合わせは、工期の安定性という意味でも合理的です。

パターン3:駐車場を潰さない配分

浜松市は自動車の保有率が高い地域です。1世帯1台以上が前提のマンションが多い。足場を建物の全周に架けると、外周の駐車スペースが工事期間中ずっと使えなくなります。代替駐車場を借りれば、その費用は工事費とは別に管理組合の負担になります。

ロープアクセスは足場の部材を地上に置く必要がないため、駐車場を残したまま施工できる面が出てきます。これは金額だけの話ではありません。「半年間、車をどこに置けばいいのか」という住民の不満は、総会の議決そのものに影響します。

ロープアクセス工法の安全基準や実際の施工事例については、ロープアクセスドットコムで解説しています。工法の技術的な背景を理事会で説明する際の資料としてもお使いいただけます。

モデルケース2本|浜松市の管理組合を想定した試算

実在の物件ではありません。浜松市内でよくある条件を想定した試算です。数字は目安であり、実際の金額は建物ごとに変わります。

ケースA:JR浜松駅圏の中規模マンション

項目 内容
条件 築26年・8階建て・56戸・敷地内に平面駐車場
全面足場の場合 工事費 8,800万円/工期 6か月/駐車場は全周6か月使用制限
ハイブリッド工法の場合 工事費 7,500万円/工期 4.5か月/駐車場は2面ずつ各1.5か月の制限
差額 ▲1,300万円(1戸あたり約23万円)/工期1.5か月短縮

ケースB:郊外の小規模マンション

項目 内容
条件 築33年・5階建て・28戸・前面道路が狭く4トン車が入らない
全面足場の場合 工事費 4,400万円/工期 5か月
ロープアクセス主体の場合 工事費 3,550万円/工期 3.5か月
差額 ▲850万円(1戸あたり約30万円)/工期1.5か月短縮

ケースBについて補足します。28戸で4,400万円ということは、1戸あたり157万円です。同じ工事内容でも150戸のマンションなら1戸あたり30万円前後になります。

戸数が小さいマンションほど、1戸あたりの負担が重くなる。そして戸数が小さいほど、工法の選択が効きます。仮設足場は建物の大きさに応じてかかりますが、それを頭数で割るときの分母が小さいからです。

もう1つ、道路条件の話です。前面道路が狭くて4トン車が入らないと、足場材を2トン車で分割搬入することになります。搬入回数が増え、道路使用許可と警備員が必要になり、その費用は「仮設工事一式」の中に埋もれます。ロープアクセス工法は足場材の搬入そのものがないため、道路条件が厳しい現場ほど、差が金額に出ます。これは営業トークではなく、単純な物流の話です。

最後にひとつ、時期の話

工法は、設計を発注してからでは実質的に選べません。

設計事務所が全面足場を前提に設計図と数量表を作ってしまえば、その後の見積りはすべて足場前提で出てきます。工法を比較したいなら、設計を発注する前に「足場前提とハイブリッド前提の両方で概算を出してほしい」と伝えてください。これは設計事務所に対して失礼な要求ではなく、当然の要求です。

工法選定と概算のご相談は、明誠のお問合せフォームからお受けしています。

修繕積立金が足りないときの4つの打ち手

浜松市の推進計画にあった「25年以上の長期修繕計画に基づく積立金設定は51%」という数字を思い出してください。積立金が足りないのは、あなたの組合だけではありません。

打ち手は4つです。

  1. 一時金を徴収する。総会で決議が必要。金額が大きいと反対が出ます。
  2. 積立金を値上げする。将来のためには最も健全ですが、決議のハードルは高い。
  3. 借入れる。住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資など。管理計画認定で金利優遇があります。
  4. 工事を段階的に分ける。

4番目には、はっきり注意点があります。

段階施工は、仮設費が回数分かかります。外壁を今年、屋上防水を3年後にすれば、足場も2回架けることになります。そして長寿命化促進税制は「外壁・床防水・屋根防水が同一の工事請負契約の中で一体として行われること」を要件にしているので、分けた瞬間に税制の対象から外れる可能性があります。

段階施工を検討する際は、この2点を必ず試算に入れてください。

議案書には「一時金」と「月々」の両方を載せてください

理事会が議案を作るとき、「一時金50万円」だけを書くと反対されます。「月々3,000円の値上げ」だけを書いても、実感が湧きません。

両方を並べて書いてください。

「不足額を賄う方法として、(A)1戸あたり一時金50万円、(B)修繕積立金を月額3,000円値上げ(〇年間)、の2案を比較しました。」

人は、選択肢が2つあると比較して考えます。1つしかないと、賛成か反対かしか考えません。これは総会運営の技術です。

見積書チェック5点|最重要は「下地補修の超過分」

3社から見積書が届いたとき、どこを見るか。私が管理組合の理事だったら、この5点を見ます。

1. 数量の根拠

外壁塗装の面積、シーリングの延長メートル数。この数字がどこから来たのかを聞いてください。図面から拾ったのか、現地で測ったのか。3社で数量が大きく違うなら、どれかが間違っています。

2. 仕様の具体性

「外壁塗装 一式」ではなく、塗料のメーカー名・製品名・仕様(下塗り・中塗り・上塗りの回数)まで書かれているか。方位別に仕様が分かれているか。

3. ★下地補修の仮定数量を超えた分の単価が、契約前に明記されているか

これが最重要です。

下地補修(ひび割れ、欠損、タイルの浮き)は、足場を架けて調査するまで正確な数量が分かりません。だから見積書には「仮定数量」が入ります。ひび割れ100メートル、タイル張替え50平方メートル、といった具合です。

問題は、実際にはこれを超えるのが普通だということです。

そして超過分の単価が契約書に書かれていないと、工事が始まってから「追加で〇〇万円です」と言われます。そのとき管理組合は交渉できません。工事を止めるわけにいかないからです。足場が架かり、住民が不便を我慢している状況で、「その単価は高い」と言えるでしょうか。言えません。

だから、契約前にこう書かせてください。

「下地補修の仮定数量を超過した場合の単価を、ひび割れ〇円/メートル、欠損部補修〇円/箇所、タイル張替え〇円/平方メートル、として契約書に明記する。」

これを嫌がる会社は、そこで分かります。

4. 仮設工事の内訳

架面積の平米単価とリース期間に分解されているか。前述のとおりです。

5. 「別途」の中身

見積書の最後に「別途工事」として並んでいる項目を必ず読んでください。そこに書かれているものは、この見積金額に含まれていません。産業廃棄物処分費、仮設電気・水道、駐車場代、近隣対策費。これらが「別途」になっていると、最終的な支払額は見積額を上回ります。

より詳しい調査・診断の考え方については、明誠の建物調査・劣化診断のページもご覧ください。

工事適期カレンダー(浜松版)

時期 評価 理由
3月下旬〜5月上旬 気温・湿度が安定。塗膜の乾燥条件が最も良い
5月中旬〜6月 梅雨入り。降雨による中止日が増える
7月〜8月 高温。熱中症対策で作業時間が制限される日がある
9月〜10月中旬 台風期。強風・大雨のリスク
10月下旬〜11月 気候が安定し、日照時間も確保できる
12月〜2月 温暖で晴天率は高い。ただしからっ風で予備日が3〜5日増える

一般的な塗装の施工条件は「気温5度以下、湿度85%以上では施工しない」とされています。浜松市の平地であれば、冬でもこの条件に引っかかる日は多くありません。冬は閑散期なので、価格交渉の余地がある時期でもあります。

見積り依頼のときに、この1文を添えてみてください。

「12月着工の場合、金額と工期はどうなりますか。からっ風による予備日は何日みていますか。」

季節を変えるだけで金額が動くことは、普通にあります。聞かなければ、動きません。

相見積りの環境は、この連載でいちばん良い

これは正直に評価します。浜松市は、相見積りを揃えるという意味で、この連載で扱ってきたどの自治体よりも条件が良いです。

理由は単純です。人口が静岡県内最大の政令指定都市であり、市内に建設会社・改修会社・設計事務所が集中しているからです。伊豆半島の町の記事では「まず車で20分圏の隣町から、次に県東部の中核市へ」と段階的に広げる提案をしましたが、浜松市では市内だけで3社を揃えることが現実的に可能です。

そのうえで、比較の組み方を提案します。

段階 声をかける先 ねらい
第1段階 浜松市内の改修専門会社 移動費が乗らない。緊急時の対応が早い
第2段階 磐田市・袋井市・湖西市・掛川市など西部の会社 価格の相場観を市外から検証する
第3段階 首都圏・名古屋圏の改修専門会社 工法の選択肢を広げる。無足場工法などの専門性

第3段階について補足します。浜松市は東海道新幹線の停車駅があり、東名・新東名の両方が通っています。名古屋から約35分、東京から約1時間半(新幹線)という立地は、市外の専門会社が日帰りで現場対応できる距離です。「遠方だから割高になる」という前提は、浜松市には当てはまりにくい。

比較のときは、次の2つを必ず統一してください。

  1. 移動費・現場管理費が、諸経費に含まれているのか別途なのかを、最初に明記させる。含まれ方が違う見積りを比べても意味がありません。
  2. 現地調査は、同じ日にまとめて実施する。建物の状態は日々変わります。3社が別々の日に見れば、見ているものが微妙に違います。同日に来てもらえば、条件が揃います。

浜松市の管理組合は、補助金を探す時間と同じくらい、業者を比べる時間に投資する価値があります。制度も、業者の選択肢も、両方ある珍しい市だからです。

今週できること5つ(合計3時間以内)

理事会の次の集まりまでに、これだけやってください。

1. 【今日・1分】9月15日(火)にリマインダーを設定する

浜松市の無料相談会の申込開始日です。定員10組・先着順。カレンダーに「浜松市マンション無料相談会 申込開始」と入れる。それだけです。

2. 【今日・10分】ブロック塀の事前現地調査を申し込む

敷地の外周にブロック塀があるなら、建築行政課(053-457-2471)に電話するか、オンラインフォームから申し込む。調査まで3週間程度。立会い不要。結果は翌々年度まで有効なので、工事年度が先でも今受けておいて損はありません。

3. 【15分】建築確認済証の交付日を確認する

管理組合の書庫か管理会社の保管書類を確認します。昭和56年5月31日以前なら旧耐震です。該当するなら、建築行政課に耐震診断事業の相談を。上限1,600万円の補強助成が視野に入ります。

4. 【30分】長期修繕計画の作成年月日と計画期間を確認する

計画期間が30年以上あるか。残存期間内に大規模修繕が2回以上含まれているか。作成から何年経っているか。これが管理計画認定の入口です。浜松市が言う「51%」のどちら側にいるかが分かります。

5. 【30分・電話1本】資産税課に長寿命化促進税制を確認する

053-457-2155(資産税課)に電話して、こう聞いてください。

「分譲マンションの管理組合の者です。長寿命化に資する大規模修繕工事の固定資産税減額について、管理組合の管理者等による一括申請の具体的な手続きと、着工前に準備しておくべき書類・写真を教えてください。工事はこれからです。」

「工事はこれからです」を必ず添えてください。着工前に様式を知れば、工事中に撮る写真と、施工会社に用意させる証明書を、先に指定できます。工事が終わってから聞くのとでは、価値がまるで違います。

19か月逆算カレンダー

令和9年3月31日(長寿命化促進税制の工事完了期限/認定手数料無料期間の終了)から逆算します。

時期 やること
今週 上記の5項目
1か月以内 管理計画認定のルート(認定ルート/助言・指導ルート)を理事会で仮決め
2か月以内 10月27日の無料相談会に参加(申込は9月15日〜10月2日)
3か月以内 劣化診断・調査の実施。設計事務所の選定
6か月前まで 工法をここまでに決める(設計発注前でないと実質選べない)
6〜9か月 設計・仕様確定。相見積り3社の取得と比較
総会 工事の議決。「交付決定後に契約する」旨を議案に明記
着工直前 改修前の写真を撮影(撮影範囲と枚数を仕様書に明記済みであること)
工事期間 各補助制度の交付決定 → 契約 → 着工の順序を守る
完了後3か月以内 資産税課へ減額申告(管理者等による一括申請)

太字にした2つ——工法の決定時期改修前の写真——が、後から取り返しのつかない項目です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 浜松市に、マンションの大規模修繕工事そのものへの補助金はありますか。

A. 工事費に直接現金が出る市独自の補助金は、2026年8月30日時点の公開情報では確認できません。使えるのは、固定資産税の減額(長寿命化促進税制)、旧耐震建物の耐震診断・耐震補強助成、吹付けアスベスト対策、ブロック塀等撤去改善です。

Q2. 管理計画認定の申請手数料はいくらですか。

A. 管理計画認定手続支援サービスを利用する場合、令和9年3月31日までは0円です(令和9年4月1日以降は4,000円)。利用しない場合は28,100円です。(出典:浜松市 マンション管理計画認定制度

Q3. 固定資産税の減額は、区分所有者が全員申告しないといけませんか。

A. いいえ。管理組合の管理者等による一括申請が可能です。管理者等が必要書類を提出し要件に該当すると認められれば、各区分所有者からの申告書がなくても減額の適用を受けられます。

Q4. 築25年のマンションですが、耐震補強の助成は使えますか。

A. 使えません。建築物耐震補強助成事業の対象は昭和56年5月31日以前に建築された建築物です。築25年(1990年代後半〜2000年代の建築)は新耐震基準の建物です。

Q5. 補助金の申請は、工事契約の後でもできますか。

A. できません。浜松市の補助制度は、耐震診断・耐震補強・アスベスト・ブロック塀のいずれも「契約前の申請・事前協議」を要件としています。契約や着工の後では対象外になります。

Q6. 外壁塗装だけを先にやって、屋上防水は次回にしてもいいですか。

A. 大規模修繕としては可能ですが、長寿命化促進税制の対象からは外れる可能性があります。この税制は外壁塗装・床防水・屋根防水の3つが同一の工事請負契約の中で一体として行われることを要件としています。

Q7. ロープアクセス工法にすれば、住戸に立ち入られずに済みますか。

A. いいえ。バルコニー内部の作業(床防水、手すりの塗装、避難ハッチ周りなど)が必要な点は、工法にかかわらず同じです。ロープアクセスでも立ち入りがゼロになるわけではありません。ただし足場が架からないぶん、防犯上の不安や日照・視線の問題は生じません。

Q8. 相談会に行けない場合、どこに相談すればいいですか。

A. 平日に時間が取れない場合は、静岡県マンション管理士会への無料派遣制度の申込(ファクス 0544-27-6561)を検討してください。制度の一般的な質問であれば、浜松市住宅課(053-457-2457)が窓口です。

この記事のポイントまとめ

  • 浜松市は政令指定都市なので、認定・助言指導・税の減額がすべて市内で完結する
  • 管理計画認定の手数料は、支援サービス利用なら令和9年3月31日まで0円
  • 令和9年3月31日は、手数料無料期間と長寿命化促進税制の工事完了期限が重なる日
  • 長寿命化促進税制は管理組合の管理者等による一括申請が可能で、区分所有者の申告は不要
  • 対象工事は外壁塗装・床防水・屋根防水の3点セットが同一契約であること
  • 減額は固定資産税の3分の1・1年間・1戸100平方メートルまで。都市計画税は減額なし
  • 建築物耐震補強助成事業の対象用途表に「マンション」の行があり、上限は1,600万円
  • 基準額の単価表にも「マンション 50,200円/平方メートル」という専用行がある
  • 耐震診断の補助率は3分の2以内。延べ面積3,000平方メートルなら約419万円が目安
  • 対象は昭和56年5月31日以前の建築物のみ。建築確認済証の交付日で判断する
  • 吹付けアスベストの分析調査は全額補助(上限25万円/棟)。除去等は3分の2(上限300万円/敷地)
  • ただし外壁の仕上塗材はアスベスト補助の対象外という線引きがある
  • ブロック塀の事前現地調査の結果は翌々年度まで有効。今年度受けておく価値がある
  • 浜松市の補助はすべて「交付決定 → 契約 → 着工」の順序。契約後の申請は対象外
  • 総会議案書に「交付決定後に契約する」旨の一文を入れておく
  • 市の推進計画によれば、築40年超のマンションは現在8%、10年後37%、20年後70%
  • 25年以上の長期修繕計画に基づく積立金設定は現状51%(市の目標は令和13年度に75%)
  • 無料相談会は令和8年10月27日(火)、定員10組・先着順、申込は9月15日から
  • 仮設足場は工事費の15〜25%。架面積の平米単価とリース期間に分解させる
  • 遠州のからっ風は予備日と足場リース期間に効く。超過時の費用負担者を契約前に決める
  • 下地補修の仮定数量を超えた分の単価は、契約前に契約書へ明記させる
  • 工法は設計を発注する前でなければ実質的に選べない
  • 浜松市は市内だけで相見積り3社を揃えられる、この連載で最も条件の良い自治体

主なお問い合わせ先

用件 窓口 連絡先
マンション管理計画認定・助言指導・無料相談会 浜松市 都市整備部 住宅課 053-457-2457
固定資産税の減額申告(長寿命化促進税制) 浜松市 財務部 資産税課(元目分庁舎) 053-457-2155
耐震診断・耐震補強・アスベスト・ブロック塀 浜松市 都市整備部 建築行政課 053-457-2471
担当課が分からないとき 浜松市 市民コールセンター 053-457-2111(8:30〜17:15)
マンション管理士の無料派遣の申込 静岡県マンション管理士会 ファクス 0544-27-6561
県のマンション施策全般 静岡県 くらし・環境部 住まいづくり課 054-221-3084

浜松市役所の開庁時間は月曜〜金曜の8時30分〜17時15分(土日祝日・年末年始を除く)です。経験上、電話がつながりやすいのは午前10時前後か午後2時台です。

出典・参考資料

浜松市

国土交通省

その他

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執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法(無足場工法)/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を行っています。通常の足場仮設による工法、ロープアクセス工法(無足場工法)、その両方を組み合わせるハイブリッド工法の3つから、建物にとって最適な工法をご提案できる、日本でも数少ない会社です。ロープアクセス工事としては日本で初めてとなるフランチャイズ展開も行っており、塗装・防水・タイル・電気・看板工事など各分野の専門職が加盟しています。ロープアクセス工法のご紹介もあわせてご覧ください。

最終更新:2026年8月30日

免責事項:本記事は2026年8月30日時点で公開されている情報をもとに作成しています。補助制度・税制は年度や国の改正によって内容が変更されることがあり、予算の上限に達した時点で受付が終了する制度もあります。実際の申請にあたっては、必ず各窓口の最新情報をご確認ください。本記事の内容によって生じたいかなる結果についても、当社は責任を負いかねます。