大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

【令和8年度版】新宿区の12条点検・外壁打診調査|延べ面積1万㎡で変わる提出先と全面打診10年ルール

【令和8年度版】新宿区の12条点検・外壁打診調査|延べ面積1万㎡で変わる提出先と全面打診10年ルール

【令和8年度版】新宿区の12条点検・外壁打診調査|延べ面積1万㎡で変わる提出先と全面打診10年ルール

新宿区のマンション・ビル・ホテルで、12条点検(建築基準法第12条第1項の定期調査報告)の対象になるのはどの建物で、報告書はどこに出し、外壁の全面打診はいつ必要になるのか。この記事は、その3点に絞ってお答えします。

株式会社明誠の本間です。東京都東大和市を拠点に、20年近く外壁と防水の現場をやってきました。新宿区は私たちにとって、一区のなかで建物の性格がこれほど振れるエリアはほかにない、という場所です。西新宿の超高層オフィスとタワーレジデンス。歌舞伎町・大久保のホテルと商業ビル。神楽坂・四谷の路地に建つペンシルビル。落合・中井の低中層レジデンス。高田馬場の学生向け共同住宅。同じ「新宿区の12条点検」でも、当たり方と段取りがまったく違います。

そして新宿区には、ほかの区と判定軸が違うポイントがひとつあります。延べ床面積1万㎡を境に、報告書の提出先が区か東京都かに分かれるという線引きです。ここを取り違えると、報告シーズンの終盤に手戻りが出ます。


結論:新宿区で12条点検の対象になる建物と、打診が必要になるタイミング

先に結論からお伝えします。

論点 新宿区での答え
対象建築物 共同住宅、ホテル、旅館、店舗、病院、学校、興行場、百貨店など多数の人が利用する「特定建築物」のうち、用途・規模により区長が指定するもの
報告周期 用途と規模により毎年または3年ごと
報告時期 東京都の運用では報告年度の5月1日〜10月31日
所管の線引き 延べ床面積1万㎡以下は新宿区の所管、1万㎡を超える建築物は東京都の所管
提出先(特定建築物・防火設備) 公益財団法人 東京都防災・建築まちづくりセンター(新宿区西新宿7-7-30 小田急西新宿O-PLACE 2階)
外壁の全面打診 竣工または外壁改修から10年を超えたあと、最初の定期調査のタイミングで実施
報告しなかった場合 建築基準法第101条により100万円以下の罰金が科されることがあります
制度改正 令和7年7月1日施行の告示改正あり。東京都は独自の措置を設けています

このうち、新宿区のオーナーさまが最初につまずくのが「所管の線引き」です。港区などでは「敷地内に1万㎡超の建築物があれば、その敷地内の建物はすべて都所管」という敷地単位の判定を採っていますが、新宿区は建築物の延べ床面積そのもので判定すると明記しています。西新宿の超高層はほぼ都所管、神楽坂の中小ビルは区所管、という分かれ方になります。

詳細は新宿区の定期報告制度のページと、そこからリンクされている定期報告対象・報告時期一覧(PDF)でご確認ください。なお、この新宿区のページは最終更新日が2025年(令和7年)7月1日で、令和7年7月1日施行の改正に合わせて更新されたものです。令和8年度時点でも掲載内容は有効ですが、報告年度そのものや様式は東京都側で更新されることがあるため、東京都都市整備局のページと必ず突き合わせてください


建築基準法第12条とは何か(1項報告と3項検査の違い)

まず用語の整理からいきます。ここは毎回、理事会でご説明する部分です。

建築基準法第12条は、建物の安全・衛生・防災・避難の現状を所有者や管理者の責任で確かめ、その結果を特定行政庁(建築行政を担当する自治体。新宿区の場合は区長)に報告させる規定です。世の中で「12条点検」と呼ばれているものは、実務上は4種類に分かれます。

区分 対象 周期 新宿区での提出先
特定建築物定期調査(12条1項) 敷地・構造・外部・内部・防火避難 毎年または3年ごと 東京都防災・建築まちづくりセンター(03-5989-1929)
防火設備定期検査(12条3項) 防火扉・防火シャッター等 毎年 東京都防災・建築まちづくりセンター(03-5989-1937)
建築設備定期検査(12条3項) 換気・排煙・非常用照明・給排水 毎年 日本建築設備・昇降機センター(03-3591-2421)
昇降機等定期検査(12条3項) エレベーター・エスカレーター・小荷物専用昇降機 昇降機は毎年 東京都昇降機安全協議会(03-6304-2225)

外壁の打診調査が入ってくるのは、この一番上の特定建築物定期調査です。調査は一級建築士、二級建築士、または特定建築物調査員の資格者が行います。

ひとつ現場目線の話をすると、特定建築物の提出先である東京都防災・建築まちづくりセンターは、新宿区西新宿7-7-30の小田急西新宿O-PLACE 2階にあります。つまり新宿区の物件は、提出先が同じ区内にある。細かい話ですが、書面提出で不備が出たときの往復が短いのは、新宿区のオーナーさまにとって地味なメリットです。

報告しないとどうなるか

新宿区は公式ページのQ&Aで、はっきりこう書いています。報告を怠ることは法令違反であり、建築基準法第101条により100万円以下の罰金が科されることがある、と。

さらに実務上もっと重いのは、そのあとの一文です。万が一、建築に係る事故が発生した場合、定期報告の有無およびその内容は重要な参考資料となることも予想される——つまり、外壁タイルが落ちて誰かが怪我をしたとき、12条点検をやっていたかどうかが問われるということです。私はこの一文を、理事会でも必ず読み上げるようにしています。

共同住宅は「3年ごと」が基本

新宿区のマンションで多いのは3年周期の区分です。東京都は報告年度をあらかじめ定めており、たとえば令和6年度が報告年次だった共同住宅は、次が令和9年度になります。

新築直後には「初回免除」という仕組みもあります。特定建築物定期調査報告と防火設備定期検査報告には初回免除があり、報告時期は検査済証の交付年度によって変わります。一方で建築設備と昇降機は扱いが違い、新築・改築後、検査済証の交付を受けてから2年を超えない時期に初回の定期検査報告が必要です。この2つは混同されやすいので、切り分けて覚えてください。

私はいつも理事長さまに、「検査済証の日付を先に確認してください」とお伝えしています。ここが分かれば、次の報告年度と全面打診の時期が同時に見えてくるからです。


全面打診が必要になる4つのトリガー

ここからが本題です。外壁の打診には2段階あります。

① 通常の打診(手の届く範囲)
外壁の外装仕上げ材(タイル、石張り、モルタルなど)について、手の届く範囲を打診棒などで叩いて確認する調査。定期調査ごとに行います。

② 全面打診等
落下すれば歩行者等に危害を与えるおそれのある部分について、全面を打診する調査。こちらが10年周期です。

平成20年4月1日施行の国土交通省告示第282号で、この調査項目・調査方法・判定基準が明確化されました(出典:国土交通省「建築基準法に基づく定期報告制度について」)。

全面打診等が発動するトリガーは、実務上おおむね次の4つです。

  1. 竣工から10年を超えたあと、最初の定期調査のタイミング
  2. 外壁改修(タイル張替え等)から10年を超えたあと、最初の定期調査のタイミング
  3. 通常の調査で要是正(剥離・浮き・ひび割れ等)と判定された場合
  4. 落下事故が発生した、または落下のおそれが具体的に認められた場合

新宿区で特に気をつけていただきたいのは2番目です。前回の大規模修繕でタイルを張り替えた物件は、竣工年ではなく「外壁改修の完了年」から10年を数えます。平成20年代後半に修繕を終えた物件が、いまちょうどこの10年を迎えつつあります。管理会社の履歴に「外壁改修 完了年月」が残っているかを確認してください。

赤外線・ドローンという選択肢も認められている

令和4年1月18日に告示第282号が一部改正され、無人航空機(ドローン)による赤外線調査が、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有する場合の代替調査方法として位置づけられました。有機系接着剤張り工法のタイルについては、引張接着試験による方法も認められています(出典:国土交通省「定期報告制度における外壁のタイル等の調査について」)。

ただし現場をやってきた人間として、正直なところを申し上げます。赤外線は天候・日射・外装材の構成に結果が左右されます。新宿区は高層建築が密集していて、隣の棟の影が終日かかる面が普通にあります。西新宿はその典型です。日が当たらない面は赤外線の精度が出にくい。だから私は、赤外線で当たりをつけて打診で確定させる組み合わせを推しています。加えて、新宿区は都心のなかでも上空の制約が多く、ドローン単独で全面をカバーできる物件はそれほど多くありません。


令和7年7月1日施行の改正と、東京都独自の措置

ここは令和8年度に報告する方には必ず押さえていただきたい部分です。

令和6年国土交通省告示第974号(令和6年6月28日公布)および令和7年国土交通省告示第53号(令和7年1月29日公布)により、定期調査・検査等の項目、方法、結果の判定基準、調査結果表などが見直され、いずれも令和7年7月1日に施行されました。

そして東京都は、国の改正内容を原則踏襲しつつ、都独自の措置を設けています。新宿区を含む都内各行政庁も基本的にこれに沿った運用です。

区分 東京都独自の措置
特定建築物 「常時閉鎖式防火扉」は、従来どおり特定建築物定期調査で報告を求める
特定建築物 「換気設備」の「物品放置の状況」について、自然換気設備は従来どおり特定建築物定期調査で報告を求める
特定建築物 避難経路上の「窓先の空間」の確保に関する調査を追記(東京都建築安全条例の改正内容の反映)
防火設備 「常時閉鎖式防火扉」は、防火設備定期検査では報告を求めない

出典:東京都都市整備局「2.定期調査・検査制度改正の内容

実務で効いてくるのは、常時閉鎖式防火扉をどちらの報告に載せるかです。東京都のQ&Aでは、常時閉鎖式防火扉を防火設備定期検査のほうで点検して特定建築物定期調査の欄が未記入だった場合、または建築設備等検査員が記入した場合は要是正の判定になるとされています。常時閉鎖式防火扉は特定建築物として調査する項目なので、建築物調査員が実施する必要があるからです。

つまり、調査会社や検査会社を分けて発注している物件ほど、この改正で取り違えが起きやすい。令和7年7月1日以降に調査した物件は新しい調査結果表を使うという切り替えもあります。報告書が上がってきたら、常時閉鎖式防火扉の欄が埋まっているかを一度目で追ってください。


新宿区固有の実務で押さえるべき3点

① 整理番号は電話では教えてもらえない

これは新宿区の運用で、初めての方が必ず驚くところです。

特定建築物および防火設備の定期報告には整理番号が必要です。そして新宿区は、整理番号について電話での回答は行っていません。すでに整理番号を取得している場合は、区役所へ出向いて過去の定期報告概要書から確認することになります。

整理番号をまだ取得していない物件(新規で定期報告を行う物件)は、区のページから「定期報告新規登録票」(Excel)をダウンロードして記入し、区へFAX等で申し込んで番号を取得します。

相続や売買で物件を取得された直後のオーナーさまは、ここで止まりがちです。報告期限の間際に「整理番号が分からない」と気づくと、来所の時間まで含めて数日は溶けます。報告年度に入った時点で、まず整理番号を手元に確認しておいてください。

② 改善完了(計画)報告書の様式は東京都のものを使い、宛名を直す

要是正の指摘を受けたあとに提出する「改善完了(計画)報告書」について、新宿区のホームページには様式がありません。区のQ&Aは、東京都のホームページから様式をダウンロードし、宛名を「新宿区長」に二重線で修正して、入力後にFAXまたは窓口へ持参するという手順を案内しています。

細かい話に見えますが、要是正が出た直後というのは管理組合も慌てている時期です。様式の入手先が区の外にある、という点だけ先に知っておくと落ち着いて動けます。

③ 窓口は都市計画部 建築調整課

新宿区の定期報告制度の担当は、都市計画部 建築調整課(〒160-8484 新宿区歌舞伎町1-4-1、電話03-5273-4323、FAX 03-3209-9227)です。

延べ床面積1万㎡を超える建築物は東京都の所管となり、特定建築物・防火設備の窓口は東京都都市整備局市街地建築部建築企画課 建築安全担当(03-5388-3344)、建築設備・昇降機は同課 設備担当(03-5388-3349)になります。西新宿や大久保の大規模物件をお持ちの方は、こちらが窓口です。


新宿区が用意している無料の支援制度

新宿区は、12条点検そのものへの補助は設けていませんが、マンションの維持管理の相談を無料で受けられる制度が3本あります。全面打診の結果を受けて修繕の段取りを考える段階で、かなり使えます。

マンション管理相談員派遣(無料・年度3回まで)

区内の分譲マンション管理組合や賃貸マンション所有者を対象に、総会・理事会・専門委員会など区分所有者が集まる場へ、専門家を無料で派遣する制度です。

項目 内容
対象 区内の分譲マンション管理組合、賃貸マンションの所有者
派遣先 総会、理事会、専門委員会など複数の区分所有者が集まる場
時間 1回あたり2時間
回数 1年度につき同一マンションで3回まで(区長が特に必要と認めたときは3回に限らない)
相談員 マンション管理士、一級建築士、建築設備士、弁護士などの資格を有する者、またはマンション問題に知見を有する者で区の委嘱を受けた専門家
費用 無料
申請 派遣希望日の2週間前までに区へ申請(電子申請可)
申請者 分譲は理事会の決定を経て理事長名。管理組合がない場合は区分所有者の概ね5分の1以上かつ議決権の概ね5分の1以上の連名で申請可

出典:新宿区「新宿区マンション管理相談員派遣」(最終更新日:2026年9月1日/実施要領は令和8年9月1日一部改正)

賃貸マンションの所有者も対象である点は、収益不動産をお持ちの方にとって見逃せないところです。申請書と実施要領は令和8年9月1日に一部改正されていますので、古い様式が手元にある方は差し替えてください。

マンション管理相談(無料・予約制)

区内の分譲マンション管理組合役員・区分所有者、賃貸マンション所有者を対象とした予約制の窓口相談です。マンション管理士や一級建築士、弁護士等の資格を持つ相談員が対応します。

項目 内容
日程 原則として毎月第2・第4金曜日(祝日を除く)
令和8年9月以降の相談日 9月11日・25日、10月9日・23日、11月13日・27日、12月11日・25日、令和9年1月8日・22日、2月12日・26日、3月12日・26日
時間 [1]13時〜14時20分/[2]14時30分〜15時50分
場所 新宿区役所 第一分庁舎2階 区民相談室(新宿区歌舞伎町1-5-1)
相談料 無料
予約 住宅課居住支援係 直通03-5273-3567(相談日の2日前まで。その日が祝日の場合は祝日の前日まで)。電子申請も可
注意 相談者は2名以内。賃貸マンションの場合は建物の維持管理に関する相談のみ

出典:新宿区「マンション管理相談」(最終更新日:2026年4月1日)

このほか「分譲マンション無料なんでも相談」も用意されています。

非木造の耐震化支援(令和8年度は締切が迫っています)

12条点検とは別枠ですが、新宿区の建築物等耐震化支援事業には非木造建築物向けのメニューがあり、令和8年度の申請期限が決まっています。外壁の全面打診で足場やロープを上げるなら、同じ時期に耐震の検討を寄せると調査が一度で済みます。

メニュー(非木造) 令和8年度の申請期限
耐震アドバイザー派遣 令和9(2027)年1月末まで
簡易耐震診断 令和8(2026)年12月末まで
耐震診断、補強設計への助成 令和8(2026)年11月末まで
耐震改修工事への助成 令和8(2026)年10月末まで
エレベーター防災対策改修工事への助成 令和8(2026)年10月末まで

出典:新宿区「令和8(2026)年度 建築物等耐震化支援事業の申請受付について」(最終更新日:2026年4月1日)

完了実績報告の提出期限も定められており、上表の多くは令和9(2027)年2月5日(金)まで、エレベーター防災対策改修は令和9(2027)年2月26日(金)までです。窓口は都市計画部 防災都市づくり課 耐震担当(03-5273-3829)。この記事を書いている9月中旬は、耐震改修工事への助成(10月末まで)が最も期限が近いメニューになります。金額や対象要件は各メニューのページで現行年度の内容をご確認ください。


実務コスト感:足場かロープアクセスかで、こんなに違う

ここからは制度の話ではなく、私たちの見積り現場の話です。数字は当社の実務経験にもとづく目安であり、建物形状・立地・高さ・道路条件で変わります。

全面打診でいちばん効くのは、「外壁に人をどう届かせるか」のコストです。打診作業そのものの単価より、アクセス手段の費用のほうが大きくなるケースが多い。

アクセス手段 特徴 向いている建物
枠組足場 全面を安定して調査できる。設営・解体に日数と費用 中低層、複雑形状、修繕工事と同時施工
ゴンドラ 常設ゴンドラがあれば低コスト。可動範囲に制約 常設設備のある高層オフィス
高所作業車 小面積なら機動的。前面道路の幅員・駐車許可が必要 低層、道路条件のよい物件
ロープアクセス(無足場工法) 足場を組まずに全面へ到達。設営が短時間、居ながら調査が可能 高層、足場架設が困難、調査だけ先行したい物件

新宿区で私が特に痛感するのは、足場を組むこと自体のハードルの高さです。神楽坂や荒木町の細い坂道、隣地との離隔がほとんどない四谷のペンシルビル、深夜まで人通りが絶えない歌舞伎町の商業ビル。足場が組めない、あるいは組むと営業に響く物件が本当に多い。

特にホテルです。新宿区はホテル・旅館のストックが非常に厚く、12条点検の特定建築物としてど真ん中に当たります。足場と養生シートで全棟を覆えば、客室からの眺望と採光は確実に落ちます。稼働率と客室単価に直接響くというのは、オーナーさまから何度も聞いてきた話です。

調査のためだけに全面足場を架けて、数週間後に解体する。そのあと大規模修繕でもう一度架ける。この「二度架け」をやってしまうと、費用は素直に倍方向に動きます。私が一番悔しい思いをするのは、ご相談をいただいた時点でもう一度目の足場が解体されたあとだった、というときです。

ロープアクセス工法の技術情報や安全基準については、姉妹サイトのロープアクセスドットコムに詳しくまとめています。


ロープアクセス工法が12条打診で選ばれる理由

私たちが新宿区で全面打診のご相談を受けるとき、ロープアクセス工法をご提案する理由は3つです。

1. 足場を組まない分、調査だけを先に回せる

全面打診は、大規模修繕より先に必要になることがあります。報告年度が先に来るからです。足場なしで全面に到達できれば、「まず打診だけ実施して、結果を見て修繕の規模と予算を決める」という順番が取れます。管理相談員派遣を使って理事会で工法を検討するなら、この順番のほうが素直です。

2. 居住者・テナント・宿泊客への影響が小さい

足場を架ければ、窓は開けにくくなり、防犯面の不安も出ます。新宿区の賃貸マンションやホテルでは、これが直接「稼働率」に響きます。ロープアクセスなら、外壁に人が降りるのは作業する面だけ。バルコニーを塞ぐ期間も、養生シートで全棟が覆われる期間もありません。

3. 調査から補修まで、同じアクセス手段でつながる

打診で浮きが見つかったとき、その場で範囲をマーキングし、部分補修まで同じロープで続けられます。「調査は調査会社、補修は工事会社、足場はまた別」と分かれると、その都度アクセス費用が発生します。

ただし、ロープアクセス工法が常に最適だとは申し上げません。全面的な塗替えや防水改修まで一気にやるなら、足場のほうが総額で有利な場合があります。私たちが足場・ロープアクセス・ハイブリッド(部位ごとの使い分け)の3工法から選べる体制を取っているのは、そのためです。工法の考え方は明誠のコンセプトロープアクセス工法のご紹介にまとめています。


12条点検を大規模修繕と一体化する3つのメリット

私はこれを、ワンセットで提案するようにしています。

① アクセス費用が1回で済む

先ほどの「二度架け」問題です。全面打診の年度と大規模修繕の着工年度を寄せられれば、足場やロープの設営費は1回分になります。

② 打診結果がそのまま修繕設計の根拠になる

全面打診では、浮きの位置と面積が図面上に落ちます。これは大規模修繕のタイル補修数量を積算する、そのままの基礎データです。別途の劣化診断をやり直す必要が減ります。

③ 「要是正」を放置した期間をつくらない

要是正の指摘を受けたあと、予算取りと総会決議で1年、設計で半年、と時間が流れがちです。その間に剥落事故が起きれば、責任は所有者・管理者に向かいます。新宿区が公式ページで「事故が発生した場合、定期報告の有無およびその内容は重要な参考資料となる」と書いているのは、まさにこの局面の話です。調査と補修の段取りを最初からつないでおけば、この空白を短くできます。

管理組合さま向けのご支援は管理組合のお客様へ、ビル・収益物件のオーナーさま向けはビルオーナーのお客様へにまとめています。ロープアクセスの施工事例や技術解説はロープアクセスドットコムもあわせてご覧ください。


まとめ:新宿区のオーナー・管理組合が今週動くこと3点

長くなりましたので、今週できることに絞ります。

1. 延べ床面積を確認して、区所管か都所管かを確定させる

1万㎡以下なら新宿区(建築調整課 03-5273-4323)、1万㎡超なら東京都(建築企画課 03-5388-3344)。港区のような敷地単位ではなく、建築物の延べ床面積で判定されるのが新宿区です。ここを先に決めてください。

2. 整理番号と、前回の外壁改修完了年月を手元に出す

整理番号は電話で教えてもらえません。未取得なら新規登録票の提出が先に必要です。あわせて「竣工年」ではなく「外壁改修の完了年月」を確認すれば、全面打診の要否がほぼ判定できます。管理会社にメール1本で頼めるはずです。

3. 理事会の日程が決まっているなら、管理相談員派遣を申請する

派遣希望日の2週間前が申請期限です。無料で、1年度に同一マンションで3回まで。全面打診の進め方や工法の選択を、区が委嘱した一級建築士やマンション管理士を交えて議論できます。予約・申請は住宅課居住支援係(03-5273-3567)です。

12条点検は、オーナーさまにとっては「やらされる手続き」に見えるかもしれません。けれど私は、10年に一度、建物の外壁を全面見てもらえる貴重な機会だと思っています。その1回を、報告書だけで終わらせるか、次の10年の修繕計画につなげるか。ここが分かれ目です。

ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。報告年度の確認や、足場とロープアクセスのどちらが向く建物かの当たりをつける段階だけでも、お力になれることがあります。お問合せはこちらから承ります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 新宿区の賃貸マンションでも12条点検の対象になりますか?
A. 用途と規模が特定建築物の要件に当てはまれば、分譲・賃貸を問わず対象です。判定は新宿区の定期報告対象・報告時期一覧(PDF)または東京都都市整備局の報告時期一覧でご確認ください。

Q2. 延べ床面積がちょうど1万㎡のときは、区と都のどちらですか?
A. 新宿区は「延べ床面積が1万平方メートル以下の建物は新宿区の所管、1万平方メートルを超える建築物は東京都の所管」と案内しています。ちょうど1万㎡は区の所管という整理です。判断に迷う場合は建築調整課(03-5273-4323)へご確認ください。

Q3. 整理番号が分からないのですが、電話で聞けますか?
A. 新宿区は整理番号について電話での回答を行っていません。取得済みであれば区役所へ来所して過去の定期報告概要書から確認する運用です。未取得の場合は「定期報告新規登録票」を提出して取得します。

Q4. 竣工から10年経ったら、その年にすぐ全面打診をするのですか?
A. 竣工または外壁改修から10年を超えたあと、最初に到来する定期調査のタイミングで実施する運用です。共同住宅は3年周期のため、10年ちょうどの年とは限りません。

Q5. 令和7年7月の改正で、うちの報告書は何が変わりますか?
A. 東京都では常時閉鎖式防火扉を従来どおり特定建築物定期調査で報告します。防火設備定期検査のほうで点検して特定建築物側が未記入、または建築設備等検査員が記入した場合は要是正の判定となるため、次回以降は特定建築物定期調査で報告してください(出典:東京都都市整備局)。

Q6. 赤外線調査やドローンで打診の代わりにできますか?
A. 令和4年1月18日の告示第282号一部改正で、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有する場合の代替調査方法として無人航空機による赤外線調査が位置づけられました。ただし新宿区は高層建築が密集し、隣棟の影で日照条件が悪い面が出やすいため、打診との併用を検討する価値があります。


この記事のポイントまとめ

  • 新宿区の12条点検は、延べ床面積1万㎡以下が区所管、1万㎡超が東京都所管(敷地単位ではなく建物単位の判定)
  • 特定建築物・防火設備の提出先は東京都防災・建築まちづくりセンター(新宿区西新宿7-7-30)
  • 報告を怠ると建築基準法第101条により100万円以下の罰金が科されることがある
  • 外壁の全面打診は竣工または外壁改修から10年超で、最初の定期調査時に実施
  • 令和7年7月1日施行の告示改正で、東京都は常時閉鎖式防火扉を特定建築物定期調査で報告する独自措置を採用
  • 整理番号は電話では教えてもらえず、未取得なら新規登録票の提出が必要
  • マンション管理相談員派遣は無料・1回2時間・年度3回まで、申請は派遣希望日の2週間前まで
  • 全面打診と大規模修繕を寄せれば、アクセス費用の二度架けを避けられる

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月13日時点で公表されている新宿区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。新宿区の定期報告制度ページは最終更新日が2025年(令和7年)7月1日であり、令和7年7月1日施行の改正に対応した内容です。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に報告・申請される前に、必ず新宿区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


執筆者:本間 幸紘(株式会社明誠 代表取締役)
専門領域:マンション大規模修繕/ロープアクセス工法/建物長寿命化計画
実務経験:建設・改修業界 20年以上
所属:一般社団法人 全国建設業支援協会(JCSA)

株式会社明誠について:東京都東大和市を拠点に、東京・関東一円でロープアクセス工法・従来足場工法・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物に合った工法をご提案できる改修会社です。日本初のロープアクセス工事フランチャイズを展開しています。

最終更新:2026年9月13日

ロープアクセス工法の詳細解説・技術情報は、姉妹サイト ロープアクセスドットコム(https://rope-access-method.com/)をご覧ください。