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【令和8年度版】文京区のマンション管理計画認定制度|区手数料無料・防災+コミュニティの独自上乗せ基準の全手順

【令和8年度版】文京区のマンション管理計画認定制度|区手数料無料・防災+コミュニティの独自上乗せ基準の全手順

【令和8年度版】文京区のマンション管理計画認定制度|区手数料無料・防災+コミュニティの独自上乗せ基準の全手順

2026年9月14日 更新

「うちのマンションは白山にあるんですが、区の独自基準が令和7年4月から追加されたと聞きました。実際、何が求められるのでしょうか」——先週、文京区の理事長さまから、そうご相談をいただきました。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも自分の手でやってきた人間です。

結論から申し上げると、その理事長さまが耳にした話は正確です。文京区の管理計画認定は、令和7年4月以降、国の基準にプラスして「防災対策」と「地域コミュニティ」という2つの区独自の上乗せ基準が課される仕組みになっています。

今日お話しするのは、文京区にあるマンションが管理計画認定を取ると何が変わり、いくらかかり、区独自基準にどう対応すればいいのかという一点に絞ります。


結論:文京区で認定を取ると何が変わり、いくらかかるか

先に全体像を表でお示しします。

論点 文京区での答え
認定の主体 文京区(マンション管理適正化推進計画を策定済みの特別区)
窓口 文京区都市計画部住環境課管理担当(文京シビックセンター18階北側)/電話 03-5803-1374
制度運用開始 令和5年7月
事前相談 推奨。区独自基準について事前相談をお願い(来庁時は事前連絡)
マンション管理センター経由 使います。「事前確認適合証」を取得してシステムから申請
独自基準 あり(令和7年4月から)。防災対策5項目のうち1つ以上+地域コミュニティ2項目のうち1つ以上、両方必要
区への申請手数料 無料
別途必要な費用 システム使用料10,000円+事前確認審査料(おおむね10,000円程度)
手数料の総額目安 約20,000円(区への手数料はゼロ)
認定までの期間 区の審査は概ね1か月(不備がない場合)
有効期間 5年間(5年ごとの更新認定)
主な経済効果 長寿命化促進税制、フラット35の金利引下げ、共用部分リフォーム融資の金利引下げ、すまい・る債の利率上乗せ

(出典:文京区「マンション管理計画認定制度」国土交通省「マンション管理計画認定制度」

文京区の一番の特徴は、区への申請手数料が無料であることです。他区では基本手数料4,000〜5,000円程度がかかりますが、文京区はここをゼロにしています。ただしその代わりに、区独自の上乗せ基準を全国でも早期に導入した区でもあります。手数料は削って、基準の内容で管理の質を担保しにいっている——そういう設計だと私は理解しています。

なお、文京区のこの制度案内ページの更新日は2026年(令和8年)4月2日です。令和8年9月時点でおおむね半年前の更新ですので、条件は現行に近いものと考えられます。ただ、詳細部分は申請前に住環境課へ電話で確認いただくのが安全です。


認定主体はどこか——文京区は「区が認定する」

管理計画認定制度の認定主体は、マンション管理適正化法に基づく「マンション管理適正化推進計画」を策定した市・特別区です。市以外の町村部は都道府県が担います(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」)。

文京区は特別区で、推進計画を策定済みです。つまり文京区が認定主体です。東京都に申請するものではありません。

私はこの点を取り違えている理事会に、これまで何度も出会いました。「東京都の窓口に電話したら区へ、と言われて、区に電話したら都では、と言われて、たらい回しになってしまった」という管理組合が、実際にありました。文京区のマンションについては、窓口は文京シビックセンター18階北側の住環境課管理担当、電話は03-5803-1374です(出典:文京区「マンション管理計画認定制度」)。

なお、固定資産税の減額措置(後述の長寿命化促進税制)だけは話が別です。東京23区の固定資産税は東京都が課税するため、申告先は物件所在地を管轄する都税事務所になります。文京区内のマンションであれば文京都税事務所(固定資産税)電話:03-3812-3469が窓口です。認定は区、減税の申告は都。この二本立てを最初に頭に入れておくと、後で慌てません。


国が定める必須基準——16項目が土台

文京区の認定基準は、まず国の16項目を土台にしています(出典:国土交通省「マンション管理計画認定基準」文京区「マンション管理計画の認定基準」)。

1)管理組合の運営

  • 管理者等(理事長など)が定められていること
  • 監事が選任されていること
  • 集会(総会)が年に1回以上開催されていること

2)管理規約

  • 管理規約が作成されていること
  • 災害などの緊急時や管理上必要なときの専有部への立ち入り、修繕などの履歴情報の管理について定められていること
  • 管理組合の財務・管理に関する情報の書面交付(または電磁的方法による提供)について定められていること

3)管理組合の経理

  • 管理費と修繕積立金などを明確に区分して経理していること
  • 修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこと
  • 直前の事業年度末時点で、修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内であること

4)長期修繕計画の作成及び見直し等

  • 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成され、計画内容と修繕積立金額が総会で決議されていること
  • 長期修繕計画の作成または見直しが7年以内に行われていること
  • 計画期間が30年以上で、かつ残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていること
  • 将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していないこと
  • 計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された平均額が著しく低額でないこと
  • 計画期間の最終年度において、借入金の残高のない計画となっていること

5)その他

  • 組合員名簿・居住者名簿を備え、年1回以上は内容の確認を行っていること
  • (区の指針に照らして適切なものであること)

私の経験上、ここでつまずくマンションの大半は4)の長期修繕計画です。特に「一時金徴収を前提にしていないこと」と「最終年度に借入金残高がないこと」の2つ。この2条件は、修繕積立金の水準そのものに踏み込む要件です。積立金を上げずに認定は取れない、という設計になっています。逆に言えば、認定の準備がそのまま積立金不足の是正になる、ということでもあります。

文京区は、都心3区ほどではないにせよ、山の手台地に旧耐震分譲マンションが点在するエリアです。白山、千駄木、本駒込、根津。1970年代〜80年代に建てられた中層マンションで、いま修繕積立金が段階的引き上げの初期水準のまま止まっている——というケースが、私の見てきた限りかなりの数あります。認定申請を機に、積立金の水準を国の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に合わせにいく判断が必要になる管理組合が多いはずです。


文京区独自の上乗せ基準——「防災対策」と「地域コミュニティ」

ここからが文京区の本題です。

令和7年4月から、国の16項目に加えて、次の2カテゴリの独自基準が上乗せされました。両方を満たさないと認定は取れません(出典:文京区「区独自基準の審査に必要な書類」)。

5)防災対策——5項目のうち1つ以上

次のうち、申請時点でいずれか1つ以上をマンションで実施していること。

項目 内容
① 防災マニュアル 防災マニュアルを作成し、居住者等への周知徹底を図るよう努めていること
② 防災訓練 年1回以上の定期的な防災訓練を実施していること
③ 防災用品の備蓄 飲料水、食料、簡易トイレなどの防災用品を備蓄していること
④ 自発的な活動組織 災害に対して平常時や災害時に自発的な活動を行う組織を結成していること
⑤ 情報の収集・周知 ハザードマップその他の防災・災害対策に関する情報の収集・周知をしていること

確認書類:文京区独自基準に係る申出書に加え、防災マニュアルの写し(配付事実が分かる書類とセット)、訓練の実施が分かる書類(実施日時・参加者・実施内容が明記されたもの/申請日から1年以内)、備蓄品リスト、組織の活動報告書、マンション広報など。

6)地域コミュニティ——2項目のうち1つ以上

次のうち、申請時点でいずれか1つ以上をマンションで実施していること。

項目 内容
① 町会・自治会との連絡担当者 管理組合が、地域住民との良好なコミュニティの形成に取り組むため、町会や自治会との連絡担当者を選任していること
② 緊急時連絡先の表示 管理人をはじめ、緊急時の連絡先等について、来訪者の見やすい場所に表示をすること

確認書類:連絡担当者の氏名・役職が分かる書類、または管理人の駐在時間・管理会社名・その連絡先など管理体制に関する表示が分かる書類(写真等)。

この2つを初めて読んだとき、私は正直、少しほっとしました。すでに満たしているマンションが、文京区にはかなりあるはずだと思ったからです。

たとえば防災対策のうち③備蓄。地震対策として飲料水と携帯トイレを共用倉庫に置いてある、というマンションは珍しくありません。町会・自治会との連絡担当者も、規約上は理事長が兼務している管理組合が多いのですが、その事実を「担当者一覧」の紙1枚に落とせば要件に届きます。緊急時連絡先の表示も、エントランスに管理会社の掲示板があれば、写真1枚で証拠になります。

つまり文京区の独自基準は、新しく何かを始めないと取れないものではなく、すでにやっていることを書類に落とせば取れる可能性があるものです。ここに気づくかどうかで、理事会の心理的ハードルが大きく変わります。


手数料と申請ルート——文京区は「区への手数料ゼロ+独自基準の書類提出」

文京区の申請は、他区と比べて費用が軽いのが最大の特徴です。区への申請手数料が無料なので、必要になるのはマンション管理センターまわりの費用だけです。

手数料の内訳

内容 費用 支払先
システム使用料 10,000円 (公財)マンション管理センター
事前確認審査料 おおむね10,000円程度(依頼先により異なる) 依頼先
区の申請手数料 無料

(出典:文京区「マンション管理計画認定制度」(公財)マンション管理センター「管理計画認定手続支援サービス」

総額の目安は約20,000円。5年で1回の支出と考えれば、年あたり4,000円。総戸数40戸のマンションなら、1戸あたり年100円です。制度による経済効果(減税・金利引下げ)に比べれば、限りなくゼロに近いコストと言えます。

申請の流れ(4ステップ)

文京区の申請フローは、区が公開している手引きでは4ステップに整理されています。

  1. 文京区へ事前相談(03-5803-1374)。区独自基準について事前に相談。来庁される場合は事前に電話連絡を。認定申請にあたっては総会での決議が必要です
  2. 事前確認の依頼。(公財)マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」を利用。4パターンあります(マンション管理士に直接/管理委託先経由でマンション管理業協会/日本マンション管理士会連合会/マンション管理センターに直接)
  3. 事前確認適合証の発行。基準適合が確認されると、マンション管理センターから発行されます
  4. 文京区へ管理計画認定申請。(1)「事前確認適合証」取得後、マンション管理センターのシステムで区に認定申請、(2)区に、区独自基準の審査に必要な書類を提出(電子申請・郵送・窓口のいずれか)

(出典:文京区「マンション管理計画認定申請の手引き」

(2)の区独自基準の書類提出をシステムだけで終わらせようとして、抜け落ちる管理組合が出てきます。区は電子申請(LoGoフォーム)、郵送、窓口の3つの提出方法を用意しています。電子申請の窓口は「文京区独自基準に係る申出書」のLoGoフォームです。郵送・窓口の場合は「文京区独自基準に係る申出書」に必要書類を添付して、〒112-8555 文京区春日1-16-21 文京シビックセンター18階北側 都市計画部住環境課へ提出します。

注意点:区での認定までは、申請内容の確認から認定まで概ね1か月(不備等がない場合)です。事前確認の1〜2か月と合わせて、事前確認の依頼から認定通知まで3か月前後を見ておくと安全です。

なお、事前確認の問い合わせ先は、(公財)マンション管理センターが03-6261-1274(平日9:30〜17:00)、(一社)マンション管理業協会が03-3500-2721、(一社)日本マンション管理士会連合会が03-5801-2721です。制度そのものの相談は、日本マンション管理士会連合会の「マンション管理計画認定制度 相談ダイヤル」(03-5801-0858/月〜土 10:00〜17:00、祝日・年末年始を除く)が国土交通省のページでも案内されています。

経過措置

令和7年3月31日までに事前確認申請をした管理組合については経過措置が設けられています(出典:文京区「マンション管理計画認定制度」)。これから初めて申請する管理組合は、原則として令和7年4月からの新しい独自基準(防災+コミュニティ)で申請していく形になります。


認定の3つの経済効果——税・ローン・融資

認定を取ると、お金の面で3つの効果が出てきます。

1)マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)

管理計画認定マンションが長寿命化に資する大規模修繕工事を行った場合、固定資産税額が減額されます。東京23区の減額割合は2分の1で、減額期間は工事完了年の翌年度分(完了日が1月1日の場合はその年度分)です。1戸当たり100㎡の床面積相当分までが対象です。

主な要件は次のとおりです。

  • 新築された日から20年以上が経過していること
  • 総戸数10戸以上であること
  • 長寿命化工事(外壁塗装等工事、床防水工事、屋根防水工事のすべて)を過去に1度以上行っていること
  • 令和3年9月1日以降に、修繕積立金の額を管理計画の認定基準まで引き上げたこと

(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」東京都主税局「長寿命化に資する大規模修繕工事が行われたマンションに対する固定資産税の減額制度」

適用期限について、ここは重要な更新があります。この特例措置の現行の適用期間は令和5年4月1日から令和9年3月31日までですが、令和8年度税制改正で5年間の延長(令和8年4月1日〜令和13年3月31日)が示されており、あわせて対象住宅の床面積要件の下限が40㎡(現行50㎡)に緩和される方向です(出典:国土交通省「令和8年度税制改正概要」)。適用を前提に工事計画を立てる場合は、工事完了時点で有効な期限と要件を都税事務所に確認したうえで進めるのが安全です。

申告期限は工事完了日から3か月以内、申告先は文京都税事務所(03-3812-3469)です。ここを区役所に持っていくと、二度手間になります。

2)フラット35の金利引下げ・フラット50の利用

認定マンションを購入する人は、住宅金融支援機構の【フラット35】維持保全型の対象となり、借入金利が当初5年間、年0.25%引き下げられます。また、返済期間が最長50年となる【フラット50】も利用できます(出典:国土交通省「マンション管理計画認定制度」文京区「マンション管理計画認定制度」)。

文京区は、東京大学をはじめとする大学の集積、区内2駅の医療機関、教育環境の良さから、中古マンションの流通単価が23区の中でも高めに推移するエリアです。買い手のローン金利が当初5年間下がるという事実は、販売図面に書ける材料になります。認定マンションは(公財)マンション管理センターの「管理計画認定マンション閲覧サイト」や不動産情報サイトの建物ライブラリーでも公開されるため、管理の質が外から見える状態になります。

3)マンション共用部分リフォーム融資の金利引下げ・すまい・る債の利率上乗せ

管理組合が大規模修繕工事を行う際に使えるマンションすまい・る融資(マンション共用部分リフォーム融資)では、管理計画認定の取得で金利が年0.2%引き下げられます。加えて、認定を取得している場合は返済期間を1年以上35年以内とすることが可能になります(出典:住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資(管理組合申込みの場合)」)。

さらに、管理組合向けのマンションすまい・る債についても、認定マンションは利率の上乗せを受けられます。

私はいつも理事長さまに、こうお伝えしています。「認定は、減税のためだけの制度ではありません。借りるときの金利、売るときの評価、そして積立金の健全化——この3つが同時に動く話です」と。


令和9年4月1日から認定基準が見直されます

ここは、令和8年度に申請を検討している管理組合が知っておくべき最重要ポイントです。

令和7年5月30日に公布された「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第47号)に基づき、管理計画認定制度の見直しが令和9年4月1日に施行されます。令和8年5月15日の閣議決定で施行期日が確定し、同年5月20日に政令が公布されました(出典:国土交通省 報道発表「マンション管理・再生の円滑化等のための改正法の一部の施行期日を定める政令等を閣議決定」(令和8年5月15日))。

施行される内容は2つです。

  • 管理計画認定制度の見直し(新築時の分譲事業者による認定申請の導入)
  • 管理計画認定マンションの表示制度の創設

これに伴い、令和8年7月31日に省令と告示が公布されています(マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則及び長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令〈令和8年国土交通省令第70号〉、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針の一部を改正する告示〈令和8年国土交通省告示第1017号〉。いずれも令和9年4月1日施行)。

実務上の分かれ目は、ここです。

地方公共団体への申請日が令和9年4月1日以降となる場合は、見直し後の認定基準が適用されます。

つまり、申請日が令和9年3月31日までなら現行基準、4月1日以降なら新基準という切り分けです。改正省令の附則で経過措置も設けられています。

令和8年9月14日現在から数えると、現行基準での申請期限まで約6か月半。総会決議から事前確認、システム申請まで含めると、決して余裕のあるスケジュールではありません。現行基準(かつ令和7年4月からの区独自基準)で進めたい管理組合は、秋の理事会で議題に乗せる判断が必要になる時期です。

文京区の場合、区独自基準の運用は令和7年4月から始まって1年半が経過しています。区の窓口も運用に慣れてきており、この時期に事前相談をかけると相談内容の整理が進みやすい局面にあると私は見ています。


逆算スケジュール——総会決議から認定通知まで

文京区で、令和9年3月31日までに認定申請を完了させたい場合の逆算です。所要期間は私が現場で見てきた実感ベースの目安で、区や事前確認機関の混雑状況によって前後します。

時期の目安 やること 所要の目安
9月〜10月 理事会で議題化。長期修繕計画の作成・見直しが7年以内か、計画期間30年以上・大規模修繕2回以上を満たすかを確認。防災・コミュニティの独自基準の該当項目を洗い出す 1〜2か月
10月 文京区住環境課へ事前相談(03-5803-1374)。区独自基準の該当項目と証拠書類の目線合わせ 2〜4週間
10月〜11月 長期修繕計画の見直しと修繕積立金の改定案づくり。標準様式への準拠を確認 1〜2か月
11月〜12月 総会で認定申請の決議。長期修繕計画と修繕積立金額の決議も同時に 招集期間を含めて1〜2か月
12月〜1月 事前確認の依頼。事前確認適合証の取得 1〜2か月
1月〜2月 システムから文京区へ認定申請+区独自基準の書類提出(電子申請・郵送・窓口いずれか) 2週間〜1か月
2月〜3月 区の審査、認定通知書の交付 概ね1か月

一番読めないのは、総会のタイミングです。管理規約で総会の招集時期が決まっている管理組合は、そこが動かせない固定点になります。私の経験上、認定申請でスケジュールが崩れる原因の7割はここです。

臨時総会を開くか、通常総会に間に合わせるか。この判断だけは、9月〜10月のうちに理事会で決めておきたいところです。書類は後から追いつきますが、総会は追いつきません。


文京区特有の論点——旧耐震・大学立地・狭い前面道路

ここからが、私が本業として一番お伝えしたい話です。

文京区の分譲マンションを見ていて、私が気になっている論点は3つあります。

①旧耐震比率が23区平均より高い

文京区は関東大震災後の住宅地整備が早かった土地柄で、坂の上下に古い分譲マンションが点在しています。昭和56年5月31日以前に建築確認を受けたマンション(旧耐震)については、認定申請にあたって耐震診断の実施と、耐震性不足の場合の耐震改修・建替え検討が国の基準に含まれています。旧耐震マンションは、この検討状況の書類化が最初の関門になります。

文京区にはマンション耐震改修工事に係る助成制度もあり、認定申請の準備と並行して耐震関連の補助制度も見ておく価値があります。詳しくは区のマンション劣化診断調査費助成マンション共用部分改修費助成のページで確認してください。

②大学立地ゆえの「賃貸化した区分所有者」問題

文京区は東京大学、お茶の水女子大学、日本女子大学、東京医科歯科大学、順天堂大学など、大学と付属病院の集積地です。この立地のよさゆえに、元居住者が卒業や退職を機に賃貸に出して、区分所有者が学生・研修医などの若い賃借人に貸しているというマンションが多く見られます。

これが認定申請にどう効いてくるかというと、総会の定足数と、居住者名簿の整備の2点です。区分所有者が遠方にいる場合、書面決議や委任状の運用が必要になります。名簿は、区分所有者名簿と居住者名簿の2本立てを、年1回以上更新している必要があります。ここは国基準の「その他」項目に該当します。

③狭隘道路と隣接建物の近接

小石川、白山、千駄木、根津。この一帯は、幕末から明治にかけての街路網がほぼそのまま残っていて、前面道路が幅員4m未満の狭隘道路のマンションが少なくありません。隣地との離隔も取れない立地が多く、足場を全周に組もうとすると、道路占用許可・隣地承諾・仮設計画のハードルが一気に上がります

こういう建物では、ロープアクセス工法(産業用ロープで職人が降下しながら施工する、足場を組まない工法)が効いてきます。足場費そのものが不要になり、工期も短くなります。居住者の生活への影響という点でも、窓の外に足場と養生シートが数か月かかり続ける状態を避けられるのは、かなり大きい違いです。

私たちは、通常の足場工法、ロープアクセス工法、そして部位ごとに使い分けるハイブリッド工法の3つから、建物にとって一番合う方法をご提案しています。工法の詳しい解説はロープアクセス工法のご紹介と、ロープアクセス専門サイトのロープアクセス工法の技術解説にまとめています。文京区のように狭隘道路が多く、大学・病院・学校が近接する立地での施工事例や、足場とロープアクセスを組み合わせた場合のコスト比較については、ロープアクセスによる大規模修繕の実際で具体的な数字を交えて整理しています。

会社としての考え方や、管理組合さま向けのサービス体系については明誠のコンセプト管理組合さま向けサービスのご案内もあわせてご覧ください。


まとめ:文京区の管理組合が今週のうちに動けること3点

長くなりましたので、要点を3つに絞ります。

1)長期修繕計画の「7年」と「30年・2回」を確認する

いま手元にある長期修繕計画は、いつ作成または見直したものでしょうか。7年を超えていれば、認定の入口に立てません。あわせて、計画期間が30年以上あるか、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上入っているかを見てください。この3つのチェックは、理事会の議題として5分で終わります。

2)区独自基準の「防災+コミュニティ」の該当項目を棚卸しする

防災用品を備蓄している。年1回の防災訓練をやっている。町会・自治会の連絡担当者を理事から出している。エントランスに管理会社の連絡先を掲示している。——このどれかに心当たりがあれば、独自基準は手が届く範囲にあります。証拠書類は既存の掲示物や広報の写真、備蓄品リスト1枚で足ります。新しい取組を始める話ではなく、いまやっていることを書類にする話です。

3)文京区住環境課へ事前相談する(03-5803-1374)

文京区は「区独自基準について、事前に区に相談をお願いします」と明記しています。来庁される場合は事前連絡が必要です。このとき、「令和9年4月1日以降の申請の扱い」と「独自基準の証拠書類の粒度」もあわせて確認しておくと、後戻りがなくなります。区への手数料は無料ですので、事前相談も気軽にかけられる制度設計です。

そして、もし次の大規模修繕が3年以内に視野に入っているなら、認定の準備と修繕の仕様検討は同時に進めたほうが得です。文京区のように旧耐震・狭隘道路・大学立地という条件が重なるエリアでは、工法の選択肢を3つ持てるかどうかで、見積書の総額が数百万円単位で変わることも珍しくありません。

工法の選択肢が1つしかない会社に相談すると、その1つの工法での見積しか出てきません。3つの工法を比べたうえで判断したいという段階のご相談だけでも、遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。お問い合わせはお問合せフォームから承っています。


出典・参考資料


本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月14日時点で公表されている文京区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。文京区の制度案内ページは2026年4月2日更新で運用中ですが、手数料・様式・区独自基準の運用、および令和9年4月1日施行の新基準の扱いについては、実際の申請前に必ず最新の運用をご確認ください。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。文京区都市計画部住環境課管理担当(03-5803-1374)および該当窓口へ最新の内容をご確認のうえ、ご検討をお願いいたします。


株式会社明誠は、東京都東大和市を拠点に、マンション・ビル・ホテルの大規模修繕工事を手がけています。通常の足場工法、無足場のロープアクセス工法、両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つから、建物の条件に合わせた工法をご提案します。

ロープアクセス工法の詳細は、専門サイト https://rope-access-method.com/ をご覧ください。