大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

山中湖村のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

山中湖村のマンション補助金|大規模修繕2026年度版

株式会社明誠の本間です。今日は山梨県南都留郡山中湖村のマンション管理組合の皆さま、そして山中湖村に物件をお持ちの区分所有者の方に向けて書きます。

この記事で答える質問は1つです。「山中湖村のマンションで大規模修繕をするとき、使える補助金はあるのか。そして、工事を始める前に何をしておくべきか」。

先に結論を申し上げます。山中湖村には、マンションの共用部改修に直接使える村独自の補助金は、現時点で公式サイト上に見当たりません。効いてくるのは山梨県と国の制度です。そして山中湖村の場合、補助金よりも先に効く論点がもう1つあります。外壁の色を変えるなら、工事より前に届出が要る、という話です。

これは私が他の自治体の記事では一度も書いていない、山中湖村と忍野村・富士吉田市などの富士北麓地域に固有の段取りです。ここを知らずに総会で工事を決議してしまうと、工程が丸ごと組み直しになることがあります。


結論|山中湖村のマンション共用部に効くのは「県・国・届出の段取り」の3つ

まず全体像を、共用部に使えるか使えないかで仕分けた早見表でお示しします。総会資料にそのまま貼っていただいて構いません。

制度・手続き 実施主体 共用部に使えるか 令和8年度の要点
山中湖村 木造住宅耐震診断・耐震化支援 山中湖村 使えない(木造在来工法2階建て以下が対象) 診断無料、改修最大100万円(工事費の8割が限度)
山中湖村 住宅用太陽光発電システム設置費補助金 山中湖村 原則使えない(申請者本人が居住する住宅が対象) 1kWにつき2万円・最大20万円/受付は令和9年3月31日まで
山中湖村 定住化促進新築等補助金 山中湖村 使えない(新築・購入が対象) 50万円
住宅・建築物安全ストック形成事業(耐震改修) 国+地方 使える可能性あり マンションの耐震改修は国と地方で1/3
耐震診断への支援 国+地方 使える可能性あり 民間実施は国と地方で2/3
マンションストック長寿命化等モデル事業 使える(採択制) 令和8年度 第3回受付は9月18日(金)まで
マンション管理計画認定制度 山梨県(町村部) 直接の補助ではないが税制の入口 適合証あり3,600円/なし25,500円
マンション長寿命化促進税制 国(固定資産税) 使える(要件あり) 令和8年度税制改正で5年延長
マンション共用部分リフォーム融資 住宅金融支援機構 使える 管理組合向けの融資制度
自然公園法の許可・届出 山梨県/村土整備課 補助ではなく必須手続き 屋根・壁面等の色彩変更が対象行為
山中湖村景観条例の届出 山中湖村 補助ではなく必須手続き 「色彩のみ」の届出様式が用意されている

この表の下3行、つまりお金をくれる制度ではなく、やらないと工事が止まる手続きが、山中湖村では一番重要です。順番に解説します。


山中湖村はリゾートマンション30数棟・2,886室以上|管理組合の数がそもそも多い村です

山中湖村の規模感を、村の公式資料で確認しておきます。

  • 総面積:53.05平方キロメートル
  • 村役場の海抜:980.5m。村の大半は標高1,000m前後の高原地帯
  • 別荘:約3,490軒
  • ホテル・旅館・民宿・ペンション等:大小あわせて320軒以上
  • リゾートマンション:30数棟・2,886室以上
  • 観光客:年間約150万人

(出典:山中湖村「山中湖村の概要」2024年4月6日更新)

私がこの数字を見たとき、正直に申し上げて「これは無視できない」と思いました。人口5,000人規模の村に、2,886室以上のリゾートマンションがある。単純に言えば、居住者より区分所有者のほうが多い建物が、30数棟あるということです。

そしてその区分所有者の多くは、東京・神奈川・静岡にお住まいです。理事会が年に数回しか物理的に集まれない。総会の委任状が頼り。修繕積立金の滞納が起きても顔が見えない。こういう構造の管理組合が、山中湖村には集中しています。

この構造を前提にしないと、大規模修繕の計画は絵に描いた餅になります。後半で、この合意形成をどう設計するかを具体的に書きます。


山中湖村ならではの論点|外壁の色を変えるなら、工事より先に「2つの届出」

ここからが本題です。

山中湖村は昭和11年に富士箱根伊豆国立公園として指定され、平成8年7月16日に公園区域(地種区分)が決定されています。そして村の公式サイトには、こう明記されています。

建築物、工作物の新築・改築・増築行為、木竹の伐採、看板・標識等の設置、屋根・壁面等の色彩変更、土地の形状変更、太陽光パネルの設置などを行う場合については、場所・規模等により、自然公園法の規制を受けます

(出典:山中湖村「自然公園法について」2024年10月10日更新)

太字は私が付けました。「屋根・壁面等の色彩変更」が、自然公園法の規制対象として名指しされているのです。

大規模修繕で外壁を塗り替えるとき、まったく同じ色に戻すなら問題になりにくい。しかし「せっかくだから少し明るくしよう」「サッシまわりのアクセントを変えよう」という話は、理事会でごく普通に出ます。山中湖村では、その判断が法手続きに直結します。

さらに村の景観条例でも届出が要ります

山中湖村は、湖を囲む自然景観と富士山への眺望を守るために山中湖村景観計画を策定し、山中湖村景観条例を定めています。そして届出様式のラインナップを見ると、村の本気度がわかります。

  • 第4号様式(1)景観計画区域内行為届出(通知)書(色彩のみ)
  • 第4号様式(2)(3)景観計画区域内行為届出(通知)書
  • 第5号様式 景観計画区域内行為変更届出(通知)書
  • 第11号様式 対象行為完了届出書
  • 第16号様式 大規模行為に係る事前協議書
  • 第17号様式 事前説明状況報告書

(出典:山中湖村「山中湖村景観条例について」)

注目していただきたいのは、「色彩のみ」という専用の届出様式がわざわざ用意されている点です。色を変えるだけの行為が、それ単独で届出対象として想定されている。こういう様式構成の自治体は、全国的にも多くありません。

加えて、規模が大きければ「大規模行為に係る事前協議書」と「事前説明状況報告書」が出てきます。事前説明ということは、周辺への説明が求められる可能性があるということです。

地種区分によって建築規制が変わります

自然公園法の規制内容は、その土地がどの地種区分にあるかで変わります。山中湖村が公表している建築物の取り扱い概要から、集合住宅に関わる部分を抜き出します。

区域 集合住宅等の高さ 建ぺい率 容積率
第二種特別地域(分譲地内) 10m・2階建以下 20% 40%
第二種特別地域(その他) 13m 敷地面積により10〜20% 20〜40%
第三種特別地域 第二種と同じ 20% 60%
普通地域 15m 70%(50%) 200%

※「集合住宅等」には、集合住宅・集合別荘・分譲ホテル・保養所または分譲地内に設けられる建築物が含まれます
(出典:山中湖村「自然公園法による建築物の取り扱い概要」2013年4月1日更新)

同じ資料には、こうも書かれています。

  • 高さ13m又は延べ床面積が1,000平方メートルを超える建築物は、届出が必要(自然公園法)
  • 高さ10m又は敷地面積が2,000平方メートルを超える建築・開発行為は、村との事前協議が必要(村住環境保全指導要綱による)
  • 上記の規模を超えない場合の後退距離は、景観計画により隣地・道路共に2mのセットバック

さらに、屋根及び壁面の色彩並びに形態が周囲の自然との調和を著しく乱すものでないこと、という判断基準も明記されています。

なお、この取り扱い概要のページは2013年4月1日更新と表示されています。現行の運用が同じとは限りませんので、実際の計画では必ず村土整備課と山梨県富士・東部林務環境事務所に事前確認してください。私が管理組合の立場なら、ここは絶対に自分で電話します。

理事会として押さえるべき段取り

私が山中湖村の管理組合にご説明するとき、必ず次の順番でお伝えしています。

  1. まず自社物件の地種区分を調べる(村が地種区分図を参考資料として公開しています)
  2. 色を変えるのか、同色復旧なのかを理事会で先に決める
  3. 色を変えるなら、色見本を持って村土整備課へ事前相談に行く
  4. 届出・協議に要する期間を確認し、その期間を工程表に組み込む
  5. その上で施工会社に見積を依頼する

この順番を逆にすると、「工事会社は決まった、色も決まった、しかし届出が通るまで着工できない」という宙ぶらりんの期間が生まれます。修繕積立金を取り崩す決議だけ先に済んでいて、工事は動かない。理事長が一番つらい状況です。

問い合わせ先

窓口 電話番号
山中湖村役場 村土整備課 村土整備都市計画係 0555-62-9975
富士五湖自然保護官事務所 0555-72-0353
山梨県富士・東部林務環境事務所 環境エネルギー課 0554-45-7810

(出典:山中湖村「自然公園法について」)

仮設足場そのものも、確認しておいたほうがよい論点です

自然公園法は「工作物の新築」を規制対象に含んでいます。大規模修繕の仮設足場が、規模や設置期間によってこの取り扱いにどう整理されるのか。これは私が断定できる話ではありませんので、計画段階で村土整備課に確認することをおすすめします

ここで、山中湖村においてロープアクセス工法(産業用ロープで作業員が直接降下して施工する無足場工法)が持つ意味が出てきます。足場を組まないということは、外周を囲う大きな仮設構造物を国立公園の中に数か月間立てない、ということでもあります。景観への影響、湖からの眺望、周辺の別荘への圧迫感。山中湖村という場所では、これらが都心とは違う重みを持ちます。ロープアクセス工法の技術的な解説は、姉妹サイトのロープアクセスドットコムにまとめています。


山中湖村の村制度を、共用部目線で正直に仕分けます

村が公表している補助制度を、マンション共用部に使えるかどうかで見ていきます。ここは期待を持たせるような書き方をしません。

木造住宅耐震診断支援・耐震化支援補助事業|マンションは対象外です

山中湖村は「山中湖村木造住宅耐震診断事業」および「木造住宅耐震化支援事業」を実施しています。

項目 内容
耐震診断の対象 昭和56年5月31日以前に建築、現在も居住中、木造在来工法、2階建て以下
診断費用 無料
耐震改修工事 最大100万円(工事費の8割が限度)。低コスト工法採用でさらに20万円上乗せ可
建替え工事 最大100万円(工事費の8割が限度)
耐震シェルター設置 最大24万円(工事費の2/3が限度)

(出典:山中湖村「木造住宅耐震診断支援・耐震化支援補助事業について」2022年6月10日更新)

対象が「木造在来工法で建設された2階建て以下の住宅」と明記されています。鉄筋コンクリート造のリゾートマンションは、この制度の対象外です。 共用部の耐震改修にも、専有部のリフォームにも使えません。

なお、このページの更新日は2022年6月10日で、令和8年度の受付状況は公式サイト上で確認できませんでした。関連PDFも「令和6年度山中湖村住宅耐震化アクションプログラム」となっています。木造住宅をお持ちの方は、村土整備課(0555-62-9975)へ令和8年度の取り扱いをご確認ください。

住宅用太陽光発電システム設置費補助金|令和8年度の一次情報があります

一方、こちらは令和8年4月1日更新の、正真正銘の現行年度情報です。

項目 内容
受付期間 令和8年4月1日〜令和9年3月31日(予算がなくなり次第終了)
太陽光発電システム 最大出力1kWにつき2万円(最大20万円)。10kW未満に限る
定置用リチウムイオン蓄電池 蓄電容量1kWh以上・太陽光と常時接続で20万円
対象者 村内に住所を保有し村税に未納のない方/設置後5年以上居住/申請者本人が住居として現に使用(予定含む)
申請期限 設置後6か月以内
窓口 村民生活環境産業課 0555-62-9978

(出典:山中湖村「令和8年度の住宅用太陽光発電システム設置費用補助金の申請受付を開始します」2026年4月1日更新)

管理組合がこの制度で共用部に太陽光を載せられるか。対象者要件が「申請者本人が住居として現に使用している、または使用予定の建物」となっており、10kW未満という出力上限もあります。管理組合としての共用部設置は、この要件に素直には当てはまりません。 ただし、村税の納税証明書が必要という運用から見ても、個人単位の制度設計であることが読み取れます。

そして、ここでも例の論点が出てきます。同じページにこう書かれています。

山中湖村景観条例の規定により、事前の届出が必要な場合があります。設置前に村土整備課 都市計画担当に事前協議を行ってください。

太陽光パネル1枚でも、山中湖村では景観の事前協議が要る。この村の設計思想がよく表れている一文だと私は思います。

定住化促進新築等補助金|共用部には無関係ですが、参考まで

5年以内に村外から転入した40歳以下の方等を対象に、新築・購入に50万円が交付される制度です。共用部改修には使えません。ただし、リゾートマンションの区分所有者が定住に切り替えるケースでは関係し得ます。なお、このページの更新日は2020年10月1日ですので、現行の取り扱いは村未来政策課 ふるさと企画推進係(0555-62-9971)へご確認ください。

(出典:山中湖村「定住化促進のため新築等に補助金が交付されます」)


国の耐震支援策(令和8年度)|マンションは「国と地方で1/3」

村に共用部向けの制度がない以上、国の枠組みが主戦場になります。国土交通省が公表している令和8年度の支援策を、そのまま引用します。

住宅・建築物安全ストック形成事業(社会資本整備総合交付金・防災安全交付金の基幹事業/令和8年度予算)

対象 交付率
マンションの耐震改修 国と地方で1/3
その他の住宅 国と地方で23%
耐震診断(民間実施) 国と地方で2/3
補強設計等(民間実施) 国と地方で2/3

(出典:国土交通省「住宅・建築物の耐震改修の支援策(令和8年度)」PDF)

同じ資料には、注意書きとして「地方公共団体の補助制度については、住宅・建築物がある地方公共団体にお問い合わせください」とあります。つまりこの1/3は、山中湖村または山梨県が受け皿の制度を持っていて初めて動くお金です。 村の公式サイトには非木造建築物の耐震補助のページが見当たりませんので、ここは村土整備課への直接確認が必要になります。

耐震改修促進税制についても同資料に記載があります。耐震改修を行った住宅は、固定資産税額(120平方メートル相当部分まで)を1年間1/2に減額(令和13年3月まで)。所得税は耐震改修工事に係る標準的な工事費用相当額の10%等を控除(令和10年12月まで)となっています。

住宅金融支援機構の融資も押さえておいてください。同資料には「このほか、マンション管理組合向けの『マンション共用部分リフォーム融資』もあります」と明記されています。個人向けリフォーム融資の条件は、融資限度額1,500万円、金利は償還期間10年以内1.90%、11年〜20年以内2.13%(令和8年4月1日現在)です。金利は毎月見直されますので、実際の検討時は住宅金融支援機構の公式サイトで最新値をご確認ください。


マンションストック長寿命化等モデル事業|令和8年度 第3回の受付は明日9月18日(金)まで

これは急ぎの話なので、先に書きます。

国土交通省の「マンションストック長寿命化等モデル事業」は、老朽化マンションの再生検討から長寿命化改修・建替えまでを対象に、先導的なプロジェクトを公募して国が費用の一部を補助する制度です。令和8年度の受付スケジュールは次のとおりです。

令和8年度 受付期間 状況
第1回 令和8年4月1日(水)〜4月15日(水) 受付終了
第2回 令和8年6月22日(月)〜6月26日(金) 受付終了
第3回 令和8年9月14日(月)〜9月18日(金) 受付中

(出典:国土交通省「マンション総合対策モデル事業」)

この記事を公開している本日9月17日は、第3回受付期間の4日目です。締切は明日の9月18日(金)。今からの応募は現実的ではありませんが、来年度に向けて「こういう制度がある」と理事会の記憶に残しておくことには十分な価値があります。

事業には2つのタイプがあります。

  • 先導的再生モデルタイプ:先導性の高い新工法・新材料・新機能の導入等の検討や、創意工夫に富む改修への支援
  • 管理適正化モデルタイプ:管理水準の低いマンションが地方公共団体と協力して管理適正化を図るために必要な調査・検討や大規模修繕等への支援

それぞれに「計画支援(事業前の準備段階)」と「改修工事支援・建替え工事支援(実施段階)」があります。

ここで山中湖村の管理組合に正直にお伝えしなければならない点が1つあります。募集要領には、管理適正化モデルタイプについて「事前に必ず地方公共団体にご相談の上、応募いただきますよう」と書かれています。そして老朽マンション対策モデル事業の側では、対象が「マンション管理適正化推進計画を策定した団体に限ります」と明記されています。山中湖村が推進計画を策定しているかどうかが、前提条件として効いてきます。 国土交通省が公表しているマンション管理適正化推進計画作成状況一覧(令和7年5月末時点)で確認できますが、最新の作成動向は当該地方公共団体に確認が必要です。

また、先導的再生モデルタイプについては、注意すべき除外規定があります。募集要領には「劣化した部材の補修や設備の修理や取り替えなど、性能や機能を建設当初の水準に回復するような修繕等のみを行う工事は対象となりません」とあります。通常の大規模修繕をそのまま出しても採択されない、ということです。ここを誤解して期待値だけ上げてしまう管理組合を、私は何度か見ています。

事業の提案申請等に関する問い合わせは、マンションストック長寿命化等モデル事業評価室事務局(03-6801-5902/平日10〜16時、12〜13時を除く)が窓口です。


マンション管理計画認定制度|山中湖村は「山梨県」が窓口です

ここは、山中湖村の管理組合が間違えやすいポイントです。

マンション管理計画認定制度は、管理計画が一定の基準を満たすマンションを地方公共団体が認定する制度です。認定を受けられるのは、自治体が「マンション管理適正化推進計画」を作成している地域にあるマンションに限られます。

そして山梨県は、町村部にあるマンションのみを対象に、令和4年4月1日から認定の受付を開始しています。

山中湖村は「村」です。したがって、山中湖村のマンションの管理計画認定は、村役場ではなく山梨県建築住宅課が窓口になります。

認定申請手数料(山梨県)

区分 手数料
長期修繕計画が1つ・適合証あり 3,600円
長期修繕計画が1つ・適合証なし 25,500円
長期修繕計画が2以上・適合証あり 3,600円+1計画あたり1,600円
長期修繕計画が2以上・適合証なし 25,500円+1計画あたり14,700円
変更認定申請 適合証なしの額の1/2(100円未満切捨て)

(出典:山梨県「マンション管理計画認定制度について」2025年12月24日更新)

適合証ありとなしの差は21,900円です。適合証は公益財団法人マンション管理センターが発行します。この差額をどう見るか。私はいつも理事長さまに「マンション管理センターの事前確認を通す過程で、長期修繕計画の穴が見つかることがあります。21,900円は書類審査の手数料ではなく、健康診断の費用だと思ってください」とお伝えしています。

なお、山梨県のページには「県独自の基準はありません」と明記されています。国の基準だけを満たせばよい、ということです。認定申請を予定している場合は、申請前に建築住宅課企画担当(055-223-1730)へ相談するよう案内されています。


マンション長寿命化促進税制|令和8年度税制改正で5年延長されます

管理計画認定を取る実利の1つが、この税制です。

マンション長寿命化促進税制は、一定の要件を満たす長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションについて、固定資産税を減額する制度です。国土交通省は「必要な修繕積立金の確保や適切な長寿命化工事の実施に向けた管理組合の合意形成を後押しすることを目的とした制度」と説明しています(出典:国土交通省「マンション税制」)。

そして令和8年度税制改正大綱では、この特例措置が令和8年4月1日から令和13年3月31日までの5年間延長され、対象となる住宅の床面積要件の下限が40平方メートル(現行50平方メートル)に緩和される方向が示されています(出典:国土交通省「令和8年度税制改正概要」令和7年12月)。

床面積40平方メートルへの緩和は、山中湖村にとって地味に大きい話です。 リゾートマンションは1室あたりの面積が50平方メートル未満のケースが珍しくありません。これまで床面積要件で外れていた住戸が、対象に入ってくる可能性があります。

適用には「大規模の修繕等証明書」「過去工事証明書」「修繕積立金引上証明書」などの書類が必要で、国土交通省が様式と記入例を公開しています。この証明書は、工事を発注する施工会社が書ける立場にあるかどうかで、管理組合の手間が大きく変わります。 見積を取る段階で「長寿命化促進税制の証明書作成に対応できますか」と一言聞いておいてください。

税制に関する相談は、一般社団法人日本マンション管理士会連合会の相談ダイヤル(03-5801-0858/月〜土 10:00〜17:00、祝日・年末年始を除く)が窓口として案内されています。


標高980.5mという条件|山中湖村の外壁が受ける負荷と、工事ができる季節

ここからは制度の話を離れて、建物の話をします。

山中湖村役場の海抜は980.5mで、村の大半は標高1,000m前後の高原地帯です。村の公式資料は気候を「冷涼」と表現しています(出典:山中湖村「山中湖村の概要」)。

この標高が、マンションの外壁に何をもたらすか。私が現場で見てきたのは、次の4つです。

1. 凍結融解による外壁の劣化

日中に融けた水が夜間に凍り、また融ける。この繰り返しが、モルタルやタイル下地の微細なひび割れを押し広げていきます。標高の低い平野部のマンションでは12年周期で問題ないひび割れが、山中湖村では同じ年数でもう一段進んでいる。これを私は何度も見ています。

とくに北面と、水が溜まりやすい笠木・庇・バルコニー床の立ち上がり。ここは重点的に見てもらってください。

2. シーリング(目地のゴム状の充填材)の早期硬化

紫外線が強く、寒暖差が大きい環境では、シーリングの可塑剤が抜けるのが早くなります。硬くなったシーリングは追従性を失い、そこから雨水が入ります。外壁の塗膜がまだきれいでも、シーリングだけ先に寿命が来ているという建物が、山中湖村には少なくありません。

3. 工事ができる期間が短い

一般に、塗料メーカーが定める施工条件は気温5℃以上・湿度85%未満が目安です(これは製品により異なりますので、実際の施工要領書でご確認ください)。冷涼な山中湖村では、この条件を安定して満たせる期間が、平野部より短くなります。

現実的には、5月から10月が勝負の期間です。しかもこの期間は、山中湖村にとって観光のピークシーズンでもあります。年間約150万人の観光客が春から秋、とくに夏休みに集中する村です。リゾートマンションであれば、区分所有者が最も利用する時期と、工事に最も適した時期が、真正面から衝突します。

4. 発注のタイミングが1年ずれると、実質2年遅れる

ここが山中湖村で一番怖いところです。

「秋の総会で工事を決議しよう」とすると、決議は10月〜11月。そこから施工会社選定、色彩の検討、自然公園法と景観条例の届出・協議。これらを終えて着工できるのは、早くても翌年の春以降です。もし届出の段階で1か月つまずけば、その年の施工可能期間が削られ、工期が翌年に食い込む

私が山中湖村の管理組合にお伝えしているのは、こうです。

逆算してください。着工したい年の「前の年の春」に、劣化診断と色彩方針を決めておく。 総会は秋でいい。でも準備は1年半前から始めてください。

これは押し付けではなく、この村の物理的な制約から出てくる結論です。


リゾートマンション30数棟・2,886室|合意形成をどう設計するか

冒頭で触れた構造の話に戻ります。

山中湖村のリゾートマンションでは、区分所有者の多くが村外にお住まいです。ここで起きやすいことを、私が実際に見てきた順に挙げます。

  • 総会の出席率が上がらず、委任状と議決権行使書に依存する
  • 修繕積立金の水準が、建設当時のまま据え置かれている
  • 「自分が使うのは年に数回なのに、なぜ数百万円出すのか」という感情が生まれる
  • 利用頻度の高い所有者と低い所有者で、工事範囲への温度差が出る
  • 相続で所有者が変わり、連絡先が追えない住戸が発生する

これに対して、理事会が打てる手を挙げます。

1. 「使わないから出したくない」に、資産価値の言葉で答える

私は、リゾートマンションの総会資料には近隣物件の売買事例を入れることをおすすめしています。外壁が傷んだ建物と、直近で大規模修繕を終えた建物とで、売却価格や成約までの期間がどう違うか。これは感情論ではなく、区分所有者にとっての実損の話です。

とくに山中湖村のように、湖と富士山への眺望が価値の源泉になっている場所では、建物の見た目の劣化が資産価値に直撃します。

2. 総会の1回前から、情報を出し始める

決議の総会でいきなり数字を出すと、必ず紛糾します。その前の総会、あるいは書面での中間報告で、劣化診断の結果と概算金額のレンジを先に共有しておく。「聞いていない」をなくすことが、委任状中心の管理組合では決定的に効きます。

3. 工法の選択肢を、金額付きで2案以上示す

足場を組む案と、組まない案。全面やる案と、優先部位に絞る案。選択肢が1つしかない提案は、反対票を集めます。 選択肢が複数あれば、議論は「やるかやらないか」から「どれにするか」に移ります。これは理事長さまの精神衛生上も、まったく違います。

4. 管理計画認定を、合意形成の道具として使う

前述のとおり、山梨県への認定申請手数料は適合証ありで3,600円です。認定を取ると長寿命化促進税制の入口になり、長期修繕計画の見直しが必須になります。「県のお墨付きを取りに行く」という目標は、村外の区分所有者にも説明しやすい。 金額の話をする前に、この共通目標を置く手があります。


足場か、ロープアクセスか|山中湖村の建物での考え方と金額

ここは正直に、山中湖村の実情に即して書きます。

まず、一般的な工事費の目安

工種 単価の目安
外壁塗装 3,500〜4,500円/平方メートル
外壁打診調査 250〜500円/平方メートル
屋上・バルコニー防水 5,000〜8,000円/平方メートル
30戸規模マンションの大規模修繕総額 3,500〜5,000万円
うち仮設足場が占める割合 おおむね15〜25%

いずれも参考値です。実際の見積は建物の形状、劣化度合い、アクセス条件、搬入経路で大きく変動します。山中湖村は道路条件や敷地内の樹木の状況が物件ごとにまったく違いますので、この表の数字をそのまま自分の建物に当てはめないでください。

山中湖村では、足場とロープの差額は都心ほど大きくありません

ここは、営業として不利になることも含めて正直に申し上げます。

ロープアクセス工法の費用メリットが最も大きく出るのは、高層建物です。たとえば10階建て・外周80m・工期3か月の物件では、足場約168万円に対しロープアクセス約59万円、差額およそ109万円という比較になります(あくまで一例です)。

しかし山中湖村では、先に見たとおり自然公園法の地種区分によって集合住宅等の高さが10m〜15mに制限されています。つまり、そもそも高層のマンションが建てられない村です。 3〜5階建てが中心になります。

4階建て・外周70m程度の建物であれば、外周足場の面積はおおよそ840平方メートル。架設・解体・養生込みで1,000〜1,200円/平方メートルとすれば84万〜101万円という規模感です。ここからロープアクセスに置き換えても、削減額は数十万円のレンジにとどまります。「足場をやめれば100万円以上浮く」という話には、山中湖村ではなりにくい。 これが事実です。

では、山中湖村でロープアクセスが効くのはどこか

金額ではなく、次の4点です。

  1. 工期が短い:足場の架設と解体に要する日数が丸ごと不要になります。施工可能期間が短い山中湖村では、この日数が効きます
  2. 部分施工ができる:北面のシーリングだけ、湖側の外壁だけ、といった優先部位への集中投下が可能です。全面工事の予算が組めない年でも、劣化の進んだ面から手を打てます
  3. 国立公園内に大きな仮設構造物を長期間立てなくて済む:景観への配慮という観点で、この村では意味を持ちます
  4. 利用者の出入りを妨げにくい:バルコニーや出入口を足場で囲まないため、シーズン中の滞在への影響が抑えられます

私はこれを、必ずワンセットで提案するようにしています。足場が向く建物には足場を提案します。 株式会社明誠が通常足場工法・ロープアクセス工法・両者を組み合わせたハイブリッド工法の3つを持っているのは、建物ごとに答えが違うからです。詳しくは明誠のロープアクセス工法の技術詳細大規模修繕の料金の考え方をご覧ください。工法ごとの安全基準や国際的な訓練体系については、ロープアクセスドットコムで詳しく解説しています。

なお、株式会社明誠はこれまでに約6,000棟のマンション・ビル・ホテルの大規模修繕を手がけてきました。ロープアクセス工法での高所作業について、明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。作業員はIRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けており、安全管理の考え方は明誠の安全管理への取り組みにまとめています。これまでの施工事例は施工事例一覧からご覧いただけます。


村土整備課に聞くときの質問文(そのまま使えます)

理事会でどなたかが電話をかける想定で、質問文を用意しました。コピーしてお使いください。

宛先:山中湖村役場 村土整備課 村土整備都市計画係(0555-62-9975)

山中湖村内のリゾートマンションの管理組合です。大規模修繕工事を検討しており、5点お伺いします。

  1. 当マンションの所在地の自然公園法上の地種区分を教えてください。(住所を伝える)
  2. 外壁の塗り替えで同一色に復旧する場合と、色を変更する場合とで、自然公園法および山中湖村景観条例上の手続きはどう変わりますか。
  3. 色彩を変更する場合、景観条例の第4号様式(1)(色彩のみ)の届出で足りますか。それとも大規模行為に係る事前協議が必要になりますか。判断の基準となる規模を教えてください。
  4. 届出または事前協議から着工までに、標準的にどれくらいの期間を見ておくべきでしょうか。
  5. 大規模修繕のための仮設足場を数か月間設置する場合、自然公園法上の手続きは必要ですか。

あわせて、非木造の共同住宅の耐震診断・耐震改修について、村または山梨県の補助制度がありましたら教えてください。

宛先:山梨県県土整備部建築住宅課 企画担当(055-223-1730)

山中湖村のマンション管理組合です。マンション管理計画認定制度の申請を検討しています。申請前のご相談として、当組合の長期修繕計画で不足している点を確認させていただけますでしょうか。

この2本の電話で、山中湖村の管理組合が知るべきことのかなりの部分が埋まります。


よくあるご質問

Q. 山中湖村に、マンションの大規模修繕に使える村独自の補助金はありますか?

A. 令和8年9月17日時点で、山中湖村の公式サイト上にマンション共用部の改修へ直接使える村独自の補助制度は確認できませんでした。村の耐震補助は木造在来工法・2階建て以下が対象で、太陽光補助は個人の住宅が対象です。国の耐震支援策(マンションは国と地方で1/3)や、マンションストック長寿命化等モデル事業をご検討ください。

Q. 外壁の色を変えるだけでも、本当に届出が必要ですか?

A. 山中湖村は富士箱根伊豆国立公園の区域内にあり、村の公式ページは「屋根・壁面等の色彩変更」を自然公園法の規制を受ける行為として挙げています。さらに村景観条例には「色彩のみ」の届出様式が用意されています。場所・規模によって扱いが変わりますので、村土整備課(0555-62-9975)へ事前にご確認ください。

Q. 山中湖村のマンションの管理計画認定は、村役場に申請するのですか?

A. いいえ。山梨県が町村部にあるマンションを対象に認定の受付を行っていますので、山梨県建築住宅課(055-223-1730)が窓口です。申請手数料は、公益財団法人マンション管理センターの適合証がある場合3,600円、ない場合25,500円です。山梨県独自の認定基準はありません。

Q. 大規模修繕で固定資産税が減額される制度は、うちのリゾートマンションでも使えますか?

A. マンション長寿命化促進税制は、一定の要件を満たす長寿命化工事を行ったマンションの固定資産税を減額する制度です。令和8年度税制改正で5年間の延長と、床面積要件の下限を40平方メートルへ緩和する方向が示されています。専有面積が50平方メートル未満の住戸が多いリゾートマンションには、影響の大きい改正です。適用可否は管理計画認定の有無など複数の要件で決まりますので、日本マンション管理士会連合会の相談ダイヤル(03-5801-0858)へご確認ください。

Q. 山中湖村では、工事はいつやるのがよいですか?

A. 標高1,000m前後の冷涼な気候のため、塗装・防水の施工条件を安定して満たせるのは概ね5月から10月です。ただしこの期間は観光のピークとも重なります。着工したい年の1年半前から、劣化診断と色彩方針の検討を始めることをおすすめします。届出・事前協議に要する期間を工程に織り込む必要があるためです。

Q. 山中湖村の建物で、ロープアクセス工法はどれくらい安くなりますか?

A. 正直に申し上げると、山中湖村では自然公園法の高さ制限(集合住宅等で10〜15m)があるため高層建物が少なく、足場との差額は都心の高層物件ほど大きくなりません。4階建て・外周70m程度であれば削減額は数十万円のレンジが目安です。山中湖村でロープアクセスが効くのは金額よりも、工期短縮・部分施工が可能・大きな仮設構造物を国立公園内に立てずに済む、という3点です。

Q. 修繕積立金が足りません。工事を先送りするしかないでしょうか?

A. 先送りが必ずしも安くつくとは限りません。凍結融解で下地まで傷んでからでは、補修の単価が上がります。優先部位から段階的に着手する部分施工、住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資、国のモデル事業の活用など、取り得る選択肢を並べてから判断してください。概算のお見積りだけでもご相談いただければ、判断材料をお出しできます。

Q. 相談すると、そのまま契約を勧められませんか?

A. そういうことはいたしません。私は、足場が向く建物には足場をご提案します。理事会で議論するための材料が欲しい、という段階のご相談を一番歓迎しています。お問い合わせはこちらからどうぞ。


この記事のポイントまとめ

  • 山中湖村にマンション共用部向けの村独自補助は確認できず、効くのは県と国の制度
  • 山中湖村は国立公園内。外壁の色彩変更は自然公園法と景観条例の二重の手続き対象
  • 村景観条例には「色彩のみ」の専用届出様式があり、色の変更が単独で想定されている
  • 管理計画認定の窓口は村ではなく山梨県。手数料は適合証あり3,600円・なし25,500円
  • 国の耐震支援はマンションの耐震改修で国と地方で1/3、診断は民間実施で2/3
  • 長寿命化促進税制は令和8年度改正で5年延長、床面積下限40平方メートルへ緩和の方向
  • リゾートマンション30数棟・2,886室以上。委任状中心の合意形成を前提に設計する
  • 標高約1,000m。施工可能期間は概ね5〜10月。準備は着工の1年半前から

出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月17日時点で公表されている山中湖村および国土交通省・山梨県の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、必ず山中湖村および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


今日は制度の話が多くなりましたが、山中湖村については、補助金の有無よりも「色を変えるなら先に届出」という段取りのほうが、皆さまの工程表に直接効いてきます。ここだけでも理事会で共有していただければ、この記事を書いた甲斐があります。ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。


▼ロープアクセス工法・無足場工法の詳細解説はこちら
ロープアクセスドットコム|無足場工法専門メディア


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月17日