大規模修繕はロープアクセスが提案可能な東京の明誠へ

創業から6000棟超の施工実績

大田区のマンション漏水・防災対策|多摩川・高潮・呑川の内水と台地の崖線から逆算する大規模修繕2026年度版

大田区のマンション漏水・防災対策|多摩川・高潮・呑川の内水と台地の崖線から逆算する大規模修繕2026年度版

2026年9月17日 更新

去年の秋、大田区の蒲田で賃貸マンションを2棟お持ちのオーナーさまから、夜の10時過ぎに電話をいただきました。「1階の店舗に水が来た。屋上は問題ないと言われていたのに、なぜだ」。令和7年9月11日、大田区で初めて「記録的短時間大雨情報」が発表された日のことです。大田区の大規模修繕では、この日の雨が1つの分岐点になったと私は考えています。

私は株式会社明誠の本間幸紘と申します。東京都東大和市を拠点に、20年近くマンション・ビル・ホテルの外壁と向き合ってきました。仮設足場を組む工事も、ロープ1本でぶら下がる無足場の工事も、どちらも現場でやってきた人間です。

現地に入って分かったのは、水は屋上からではなく、道路側から入ってきていたということでした。大田区の蒲田・大森あたりは、雨が降ったときに「上から漏る」より先に「下から来る」建物が少なくありません。同じ大田区でも、田園調布や久が原の高台では、まったく別の理由で水が回ります。

今日は、大田区が公表している最新のハザード資料から逆算して、大田区の分譲・賃貸マンションで先に手を打つべき漏水ポイントと、防災上の共用部の修繕優先度を整理します。


結論:大田区は「4つのリスクが1区に同居する」珍しい区です

先に結論から申し上げます。大田区の建物では、自分の建物がどの地形に立っているかを地図で確定させてから、修繕の順番を組みます。23区のなかでも、大田区ほど条件の違う土地が1つの区に混在している場所は多くありません。

立地 該当エリアの例 主なリスク 最優先の対策
多摩川沿いの低地 田園調布南・鵜の木・下丸子・矢口・六郷 多摩川の洪水/内水 開口部の止水・地下設備の位置
内陸の低地 蒲田・大森・糀谷 呑川などの内水氾濫 排水経路・地下駐車場・受電設備
湾岸の埋立地 平和島・昭和島・京浜島・城南島・羽田 高潮・塩害・液状化 塩害腐食・シーリング・液状化沈下
台地とその崖線 田園調布・嶺町・久が原・雪谷・馬込・池上・千束 土砂災害・擁壁 擁壁とがけ・斜面側の排水

この4類型のうち、自分の建物がどれに当たるかを、区のハザードマップで先に確定させる。それをやらずに「とりあえず屋上防水から」と進めてしまうと、順番を1つ間違えるだけで数百万円が無駄になります。私が理事長さまにいつも最初にお伝えしているのは、この一点です。


大田区のハザードマップを1枚で読む

大田区は「大田区防災ハザードマップ」を冊子型で発行しています。最新版は令和8年2月発行で、区のページは令和8年7月2日に更新されています(出典:大田区「大田区防災ハザードマップ」)。

構成は3編です。

  • 震災編:液状化可能性マップ、火災の被害想定、建物倒壊の被害想定、津波ハザードマップ、防災マップ
  • 風水害編:多摩川ハザードマップ、高潮ハザードマップ、中小河川・土砂災害・内水氾濫ハザードマップ
  • 防災編:避難先の一覧、情報入手先

注目していただきたいのは、令和8年2月の改訂で高潮ハザードマップの被害想定が最新の情報に更新された点です。湾岸側に建物をお持ちの方は、手元のマップが令和7年3月版以前のものであれば、想定が変わっている可能性があります。管理室に置いてある冊子の発行年月を、一度確認されることをおすすめします。

それぞれのリスクを詳しく見たいときは、次の一次情報が使えます。

東京都の液状化予測図は、特定の地震を想定したものではなく、大正12年の関東大地震で都心が受けた程度のゆれ、都内全体として震度6弱程度を一律にかけた場合の相対評価です。境界線がはっきり引かれた地図ではない、という前提で読む必要があります。


大田区で起きた水害と、そこから見える建物の弱点

令和7年9月11日:区で初めての「記録的短時間大雨情報」

大田区の公式ページには、こう書かれています。令和7年9月11日、大田区で初めて「記録的短時間大雨情報」が発表され、家屋の浸水など多くの被害が発生しました(出典:大田区「大田区の豪雨対策」(令和8年3月19日更新))。

同じページに、建物を持つ側として押さえておくべき数字があります。

1時間に100mm以上の非常に激しい雨が降り、一般的な排水設備能力(50mm)を超えて道路の冠水が起こります。

つまり、大田区の街は時間50mmの雨を流す前提で下水と側溝が設計されている。そこに100mmが来れば、あふれるのは設計どおりということです。建物側で受け止めるしかない、という意味でもあります。

気象庁の「日本の気候変動2025」によれば、1時間降水量50mm以上の短時間強雨の年間発生回数は、1976〜1985年平均の226回から2013〜2022年平均の328回へ、約1.5倍に増えています(出典:気象庁「日本の気候変動2025」)。50mmを超える雨が例外ではなくなってきている、というのが私の実感とも一致します。

令和元年東日本台風:田園調布四丁目・五丁目

もう一つ、大田区の水害史で外せないのが令和元年台風19号です。大田区は田園調布四丁目・五丁目の浸水原因を究明するため、内水解析シミュレーションを実施し、検証結果を公表しています(出典:大田区「令和元年台風19号における田園調布地区内水解析 検証結果」)。

田園調布と聞くと高台のイメージをお持ちの方が多いのですが、四丁目・五丁目は多摩川側に下りた低地です。「区名」でも「町名のイメージ」でもなく、丁目と標高で判断する。大田区は特に、これが効く区です。


地域特性別・大田区のマンションで起きている漏水

現場で20年やってきて、私が一番悔しい思いをするのは、「地形に合っていない修繕を高いお金でやってしまった建物」を後から見せられるときです。大田区の4類型それぞれで、実際に多い漏水パターンを挙げます。

湾岸の埋立地(平和島・昭和島・京浜島・城南島・羽田)
潮風が常時当たるため、シーリング(外壁の目地に詰めるゴム状の材料)の劣化が内陸より数年早く進みます。手すりや避難ハッチの取付金物、屋上の笠木のビス周りから錆が回り、そこが水みちになる。塩害地域では、防水そのものより金物まわりの腐食が先に来ます。

内陸の低地(蒲田・大森・糀谷)
上からではなく下から来ます。地下駐車場のスロープ、地下ピット、1階店舗の出入口。冒頭のオーナーさまの蒲田の建物も、これでした。あわせて、屋上のドレン(排水口)に落ち葉やビニールが詰まって、屋上がプール状態になる「詰まり漏水」も多い区です。

多摩川沿いの低地(田園調布南・鵜の木・下丸子・矢口・六郷)
洪水時の浸水深が大きいエリアでは、受電設備(キュービクル)や給水ポンプが地下や1階にあると、水が引いても復旧に時間がかかります。建物は無事なのに電気と水が止まるという状況が、住民の生活を一番痛めつけます。

台地とその崖線(田園調布・嶺町・久が原・雪谷・馬込・池上・千束)
大田区が公表している土砂災害マップは、田園調布/嶺町/鵜の木・久が原/千束/雪谷/馬込・池上・新井宿/入新井・馬込・新井宿の7エリア分に分かれています。土砂災害警戒区域の指定基準は「傾斜度30度以上で高さ5m以上」など地形で決まるため、都心の住宅地でも該当します。斜面側の擁壁の水抜き穴、建物と擁壁の隙間、斜面に面した外壁の下端。ここが大田区の高台側の弱点です。


大規模修繕で見ておきたい漏水ポイント7つ

大田区のどの地形であっても、共通して押さえるべき箇所は7つです。私はこれを、いつもワンセットで提案するようにしています。

  1. 屋上防水の立上りと押えコンクリートの伸縮目地 — 平場より先に端部から切れます
  2. 外壁シーリング — 湾岸は劣化が早い。打ち替え周期を内陸と同じにしない
  3. バルコニーの床防水と排水ドレン — 住戸内漏水の入口No.1
  4. ドレン・ルーフドレンの詰まり — 時間100mmの雨は詰まりを一発で露呈させます
  5. サッシまわりのシーリングと水切り — 横殴りの雨で室内に回る典型
  6. エキスパンションジョイント(建物の継ぎ目のカバー) — 地震後に開き、そこから漏る
  7. 笠木・手すり・避難ハッチの取付金物 — 塩害地域では腐食起点になる

費用の目安を申し上げると、外壁塗装で3,500〜4,500円/㎡、外壁の打診調査で250〜500円/㎡、屋上防水で5,000〜8,000円/㎡といったレンジです。30戸規模のマンションの大規模修繕全体では3,500〜5,000万円程度、そのうち15〜25%が仮設足場費というのが一般的な構成になります。あくまで参考値で、実際の見積は建物の形状・立地・劣化状況で大きく変わります。


大田区の漏水緊急対応で、ロープアクセス工法が強い理由

漏水は、雨が降っているときに起きます。そして仮設足場は、雨の日に組めません。

足場を計画して組み上げるまでには、資材の手配から近隣への挨拶まで含めて、早くても1〜2週間はかかります。その間、漏れ続けます。私が「足場だけの会社では対応しきれない」と申し上げるのは、この時間差のためです。

ロープアクセス工法(産業用ロープで屋上から降下して作業する無足場工法)なら、当日から屋上の立上りやサッシまわりの応急止水に入れます。漏れている場所が7階の1住戸だけなら、そこだけをピンポイントで止める。全面を囲う必要がありません。

コストの差も大きい。10階建て・外周80m・工期3ヶ月という条件で試算すると、仮設足場が168万円のところ、ロープアクセスなら59万円程度。差額は約109万円です。これも物件条件で変動しますが、規模が大きくなるほど差は開きます。

大田区の湾岸エリアのように、建物の海側だけが激しく傷んでいるケースでは、傷んだ面だけロープアクセス、複雑な形状の面だけ足場というハイブリッド工法が総額を一番抑えます。株式会社明誠は、通常足場・ロープアクセス・ハイブリッドの3工法から建物特性に応じて選べる、日本でも数少ない会社です。工法ごとの技術的な違いや安全管理の考え方は、同業者向けの姉妹サイトロープアクセスドットコムで詳しく解説しています。

安全面についても申し上げておきます。明誠および全国のフランチャイズ加盟企業では、ロープアクセス工法での高所作業について過去16年間、墜落による労働災害はゼロを維持しています。IRATA(国際産業ロープアクセス協会)水準の技能訓練を受けた作業員が担当し、ISO9001の品質マネジメントシステムのもとで施工しています。訓練体系の中身はロープアクセスドットコムに掲載しています。

より実務的な工法比較は明誠のロープアクセス工法の技術詳細、漏水そのものへの対応はマンション・ビルの漏水調査と補修をご覧ください。


防災上の共用部:修繕の優先度をどうつけるか

理事会で「どこから直すか」の議論になったとき、私は災害時に生活が止まる順で並べることをおすすめしています。

優先度 部位 理由
最優先 受電設備・給水ポンプ 浸水すると電気も水も止まり、復旧に最も時間がかかる
エレベーター機械室・ピット 浸水・冠水で長期停止。高層階の高齢入居者に直撃
避難通路・外部階段 鉄部の腐食は避難そのものを危うくする
屋上防水・ドレン 詰まりは低コストで直せるが、放置すると全体に波及
擁壁・がけの水抜き 崖線側の建物のみ。ただし該当すれば最優先へ繰り上げ

大田区には、浸水被害を受けた場合の排水ポンプ貸出制度があり、区内在住・在勤の方が対象です。また区内30か所に土のう置場が設置されていて、連絡なしで利用できます(出典:大田区「大田区の豪雨対策」)。管理会社任せにせず、管理組合として置場の位置を1か所把握しておくだけでも、当日の動きが変わります。


大田区で使える防災・耐震の助成制度(令和8年度)

止水板設置助成制度

令和7年9月の浸水被害を受けて、大田区は止水板設置の助成を行っています。令和8年度現在の内容は次のとおりです(出典:大田区「止水板設置助成制度」(令和8年8月25日更新))。

区分 助成割合 限度額
止水板設置工事(関連工事含む) 5分の3(個人は5分の4) 150万円(個人は100万円)
簡易型止水板の購入費 5分の3(個人は5分の4) 20万円(個人は25万円)

対象区域は、区内で過去に浸水被害が発生した地域、および区の防災ハザードマップの中小河川・内水氾濫ハザードマップにおける浸水想定区域です。1棟につき1回が限度で、交付決定前に工事に着手すると対象外になります。設置後は10年間の適切な維持管理が求められます。

管理組合として申請される場合は「個人」ではない扱いになりますので、5分の3・上限150万円が適用される想定です。適用区分は事前に建築調整課(03-5744-1308)へご確認ください。

マンションの耐震診断・改修助成

大田区は、地階を除く3階建て以上の耐火・準耐火の共同住宅を対象に、分譲・賃貸ともに耐震診断と耐震改修の助成を行っています(出典:大田区「マンションの耐震診断・改修の費用の助成について」(令和8年4月1日更新))。

ステップ 分譲マンション 賃貸マンション
耐震診断 上限300万円/費用の2/3 上限100万円/費用の2/3
耐震改修設計 上限300万円/費用の2/3 上限100万円/費用の2/3
耐震改修工事 上限4,000万円/費用の1/2 上限500万円/費用の1/2

耐震改修工事は、単価51,700円/㎡×延べ面積で算出した額と実費のうち、低いほうが適用されます。賃貸はさらに50万円/戸の上限が重なります。道路への突出がある場合や未接道の場合は助成不可となる点にご注意ください。

令和8年度の申請締切日は、分譲マンション耐震化アドバイザー派遣申請および非木造建築物の診断・改修設計・改修工事申請が令和8年12月18日(金)です(出典:大田区「令和8年度耐震化助成申請締切日について」)。

あわせて、大田区は分譲マンション耐震化アドバイザー派遣制度を無料で実施しています。建築士が管理組合に出向いて耐震化の助言を行うもので、派遣回数は調査・報告で各1回、その他3回までが上限です。総会に諮る前の整理に使いやすい制度だと思います。


よくあるご質問

Q. 大田区で漏水が起きたとき、いつ来てもらえますか?

A. ロープアクセス工法であれば、足場を組まずに屋上から降下して調査・応急止水に入れるため、状況によっては当日から対応できます。足場工法の場合は資材手配と近隣挨拶を含めて1〜2週間が目安となり、その間の漏水は続いてしまいます。

Q. 漏水の原因調査だけをお願いすることはできますか?

A. できます。外壁の打診調査は250〜500円/㎡が目安で、ロープアクセスやドローンを併用すれば足場費をかけずに全面を確認できます。調査結果をもとに、補修範囲と概算をご提示します。

Q. 湾岸エリアは本当に修繕周期が短いのですか?

A. 潮風が常時当たる立地では、シーリングや鉄部塗装の劣化が内陸より早く進む傾向があります。長期修繕計画を内陸の標準周期のまま使っていると、実態と合わなくなることがあります。現況調査のうえで周期を見直すことをおすすめします。

Q. 止水板の助成は管理組合でも使えますか?

A. 大田区の止水板設置助成は「区内に存する又は新たに建築される建築物」が対象で、個人以外の場合は助成割合5分の3・上限150万円が適用される想定です。対象区域と適用区分は物件ごとに判断されますので、着工前に建築調整課へご確認ください。

Q. 足場とロープアクセスは、どちらが安いのですか?

A. 建物の形状と工事範囲によります。10階建て・外周80m・工期3ヶ月の条件では足場168万円に対しロープアクセス59万円程度という試算になりますが、複雑な形状の建物や全面改修では足場のほうが効率的な場合もあります。明誠は3工法を比較したうえで、総額が最も抑えられる組み合わせをご提案します。

Q. 耐震改修の助成を使うと、大規模修繕と同時にできますか?

A. 同時期に計画すること自体は可能ですが、耐震改修助成は交付決定後に契約・着手する必要があります。大規模修繕のスケジュールと申請時期の調整が要点になりますので、早めに区へご相談ください。

Q. 相談は無料ですか?

A. 現地調査と概算のご提示までは無料で承っています。お問合せフォームからご連絡ください。管理組合向けのご説明資料もご用意しています。


まとめ:今週、大田区の理事会で動けること3つ

  1. 管理室の防災ハザードマップの発行年月を確認する — 令和8年2月発行版より古ければ差し替え。高潮の想定が更新されています
  2. 受電設備・給水ポンプ・エレベーターピットの標高を確認する — 浸水想定深と見比べて、かさ上げ検討の要否を判断する
  3. 止水板設置助成と耐震化助成の締切を理事会の議題に載せる — 耐震化助成の非木造・アドバイザー派遣は令和8年12月18日(金)が締切です

大田区は、多摩川・東京湾・呑川・台地の崖線という、性格の違うリスクを1つの区に抱えています。だからこそ、「23区の平均的な修繕計画」がいちばん当てはまらない区でもあります。自分の建物がどこに立っているかを地図で確定させることから、修繕の議論を始めていただきたいと思います。

ご相談だけでも遠慮なくお声がけください。総会の前段階の整理だけでも、お力になれることがあります。管理組合さま向けのサービス内容は管理組合向け大規模修繕のご案内、賃貸・オーナー物件はビルオーナー向けのご案内にまとめています。

明誠のこれまでの施工事例(約6,000棟)は https://rita-construction.com/blog/category/works/ からご覧いただけます。


出典・参考資料

本記事の情報の鮮度について:本記事は2026年9月17日時点で公表されている大田区および国土交通省・東京都の公式情報をもとに執筆しています。制度は年度途中でも改正・予算終了があり得ます。実際に申請される前に、大田区および該当窓口へ最新の内容をご確認ください。


この記事の執筆者

本間 幸紘(ほんま ゆきひろ)
株式会社明誠 代表取締役/東京都東大和市
マンション・ビル・ホテルの大規模修繕20年以上の実務経験。3工法(通常足場/ロープアクセス/ハイブリッド)から建物特性に応じて最適提案。日本初のロープアクセス工事フランチャイズ本部を運営。JCSA(一般社団法人 全国建設業支援協会)代表理事。

最終更新:2026年9月17日